(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919954
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】二次元画像逐次生成装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 15/00 20110101AFI20160428BHJP
G06T 13/20 20110101ALI20160428BHJP
【FI】
G06T15/00 501
G06T13/20
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-76891(P2012-76891)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-206316(P2013-206316A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】笠井 隆
【審査官】
村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−227744(JP,A)
【文献】
特開2007−072916(JP,A)
【文献】
特開2000−082155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 13/00 − 15/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想三次元空間内において、
前記仮想三次元空間内に配置された三次元物体の少なくとも頂点のデータを含む三次元物体データを格納する、三次元物体データ記憶手段と、
予め設定された前記仮想三次元空間内に配置されたカメラの位置、姿勢及び/又は画角の変化の時系列データ(カメラ時系列変化データ)、及び、予め設定された前記三次元物体の位置、姿勢及び/又は形状の変化の時系列データ(三次元物体時系列変化データ)を記憶する、時系列変化データ記憶手段と、
前記三次元物体の描画計算の省略を行うか否かを示す真偽値及び/又は前記三次元物体をどの程度簡略化するかを表すLOD(Level Of Detail)値を記憶する、三次元物体制御データ記憶手段と、
前記三次元物体の複数の頂点と前記カメラの視点とを結ぶ複数の直線と、前記カメラの視線と直角でありなおかつ前記カメラの視点と一定の距離にある平面との、複数の交点を求めることによって、前記形状を前記平面に投影した二次元形状を生成する二次元形状生成手段と、
前記二次元形状を描画した二次元画像を逐次生成する二次元画像逐次生成手段と、
前記逐次生成の開始時点からの経過時間を記憶する経過時間記憶手段と、
前記三次元物体データ、前記カメラ時系列変化データ及び前記三次元物体時系列変化データに基づき、前記二次元画像上での前記三次元物体の表示面積又は表示面積の推定値の時系列データ(時系列表示面積データ)を、前記逐次生成の開始以前に生成する、時系列表示面積データ生成手段と、
前記時系列表示面積データ及び前記経過時間に基づき、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定を、前記逐次生成と並行して行う、三次元物体制御手段と、
を具備することを特徴とする二次元画像逐次生成装置。
【請求項2】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定が行われ、前記経過時間が前記非零区間の終端に差し掛かるまで、前記設定の内容が維持されることを特徴とする前記三次元物体制御手段を具備する、請求項1に記載の二次元画像逐次生成装置。
【請求項3】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値が一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御手段を具備する、請求項2に記載の二次元画像逐次生成装置。
【請求項4】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値に対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御手段を具備する、請求項2〜3のいずれかに記載の二次元画像逐次生成装置。
【請求項5】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さが一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御手段を具備する、請求項2〜4のいずれかに記載の二次元画像逐次生成装置。
【請求項6】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さに対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御手段を具備する、請求項2〜5のいずれかに記載の二次元画像逐次生成装置。
【請求項7】
仮想三次元空間内において、
前記仮想三次元空間内に配置された三次元物体の少なくとも頂点のデータを含む三次元物体データを格納する、三次元物体データ記憶段階と、
予め設定された前記仮想三次元空間内に配置されたカメラの位置、姿勢及び/又は画角の変化の時系列データ(カメラ時系列変化データ)、及び、予め設定された前記三次元物体の位置、姿勢及び/又は形状の変化の時系列データ(三次元物体時系列変化データ)を記憶する、時系列変化データ記憶段階と、
前記三次元物体の描画計算の省略を行うか否かを示す真偽値及び/又は前記三次元物体をどの程度簡略化するかを表すLOD(Level Of Detail)値を記憶する、三次元物体制御データ記憶段階と、
前記三次元物体の複数の頂点と前記カメラの視点とを結ぶ複数の直線と、前記カメラの視線と直角でありなおかつ前記カメラの視点と一定の距離にある平面との、複数の交点を求めることによって、前記形状を前記平面に投影した二次元形状を生成する二次元形状生成段階と、
前記二次元形状を描画した二次元画像を逐次生成する二次元画像逐次生成段階と、
前記逐次生成の開始時点からの経過時間を記憶する経過時間記憶段階と、
前記三次元物体データ、前記カメラ時系列変化データ及び前記三次元物体時系列変化データに基づき、前記二次元画像上での前記三次元物体の表示面積又は表示面積の推定値の時系列データ(時系列表示面積データ)を、前記逐次生成の開始以前に生成する、時系列表示面積データ生成段階と、
前記時系列表示面積データ及び前記経過時間に基づき、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定を、前記逐次生成と並行して行う、三次元物体制御段階と、
を具備することを特徴とする二次元画像逐次生成方法。
【請求項8】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定が行われ、前記経過時間が前記非零区間の終端に差し掛かるまで、前記設定の内容が維持されることを特徴とする前記三次元物体制御段階を具備する、請求項7に記載の二次元画像逐次生成方法。
【請求項9】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値が一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御段階を具備する、請求項8に記載の二次元画像逐次生成方法。
【請求項10】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値に対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御段階を具備する、請求項8〜9のいずれかに記載の二次元画像逐次生成方法。
【請求項11】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さが一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御段階を具備する、請求項8〜10のいずれかに記載の二次元画像逐次生成方法。
【請求項12】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さに対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御段階を具備する、請求項8〜11のいずれかに記載の二次元画像逐次生成方法。
【請求項13】
仮想三次元空間内において、
前記仮想三次元空間内に配置された三次元物体の少なくとも頂点のデータを含む三次元物体データを格納する、三次元物体データ記憶過程と、
予め設定された前記仮想三次元空間内に配置されたカメラの位置、姿勢及び/又は画角の変化の時系列データ(カメラ時系列変化データ)、及び、予め設定された前記三次元物体の位置、姿勢及び/又は形状の変化の時系列データ(三次元物体時系列変化データ)を記憶する、時系列変化データ記憶過程と、
前記三次元物体の描画計算の省略を行うか否かを示す真偽値及び/又は前記三次元物体をどの程度簡略化するかを表すLOD(Level Of Detail)値を記憶する、三次元物体制御データ記憶過程と、
前記三次元物体の複数の頂点と前記カメラの視点とを結ぶ複数の直線と、前記カメラの視線と直角でありなおかつ前記カメラの視点と一定の距離にある平面との、複数の交点を求めることによって、前記形状を前記平面に投影した二次元形状を生成する二次元形状生成過程と、
前記二次元形状を描画した二次元画像を逐次生成する二次元画像逐次生成過程と、
前記逐次生成の開始時点からの経過時間を記憶する経過時間記憶過程と、
前記三次元物体データ、前記カメラ時系列変化データ及び前記三次元物体時系列変化データに基づき、前記二次元画像上での前記三次元物体の表示面積又は表示面積の推定値の時系列データ(時系列表示面積データ)を、前記逐次生成の開始以前に生成する、時系列表示面積データ生成過程と、
前記時系列表示面積データ及び前記経過時間に基づき、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定を、前記逐次生成と並行して行う、三次元物体制御過程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする二次元画像逐次生成プログラム。
【請求項14】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定が行われ、前記経過時間が前記非零区間の終端に差し掛かるまで、前記設定の内容が維持されることを特徴とする前記三次元物体制御過程をコンピュータに実行させる、請求項13に記載の二次元画像逐次生成プログラム。
【請求項15】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値が一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御過程をコンピュータに実行させる、請求項14に記載の二次元画像逐次生成プログラム。
【請求項16】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値に対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御過程をコンピュータに実行させる、請求項14〜15のいずれかに記載の二次元画像逐次生成プログラム。
【請求項17】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さが一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御過程をコンピュータに実行させる、請求項14〜16のいずれかに記載の二次元画像逐次生成プログラム。
【請求項18】
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さに対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御過程をコンピュータに実行させる、請求項14〜17のいずれかに記載の二次元画像逐次生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想三次元空間上に配置されたカメラ及び/又は三次元物体のデータに基づいて、三次元物体を前記カメラに写した二次元画像を逐次生成する二次元画像逐次生成装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想三次元空間上に複数の三次元物体を配置することによって、現実または創作した環境をコンピュータ上に再現することができる。また、仮想三次元空間上に配置された複数の三次元物体の形状や色を、仮想三次元空間上に配置されたカメラの視点からの透視投影によって画像平面へと投影することにより、仮想三次元空間上に再現した環境の景観を二次元画像として生成することができる。
【0003】
また、カメラの位置、姿勢及び画角等や、三次元物体の位置、姿勢及び形状等を時々刻々と変化させながら、二次元画像の生成を逐次行うことによって、前記景観のアニメーションを生成することができる。
【0004】
アニメーションを違和感無く見せるためには、高速かつ所定の時間間隔で二次元画像を生成して表示する必要がある。しかしながら、三次元物体の数が多かったり、形状が複雑だったりすると、前記二次元画像の生成に要する計算の量が大きくなって処理時間がかかり、適切な時間間隔での画像表示ができなくなる、という問題が発生する。
【0005】
そこで、二次元画像生成の際に計算負荷を軽減するための方法が考え出されている。一例として、
図1に示すように対象となる三次元物体が、視点との距離が離れている等の理由で、二次元画像中において表示面積が小さくなり、したがって、目立たなくなることが予想される場合がある。
図1の黒色で示した三次元物体は、描画面積が小さく目立たない。このような場合において、その三次元物体の描画処理の省略または簡略化を行う方法(例えば、特許文献1参照。)がある。
【0006】
また、前記簡略化の代表的な例に、LOD(Level Of Detail)という方法がある。LODは、描画対象の三次元物体に詳細度の異なる複数の形状を持たせ、前記方法と同様に、前記三次元物体の前記二次元画像中における表示面積と強い相関関係を有する条件(例えば視点との距離等)に応じて、どの詳細度の形状を画像平面に投影するかを決める方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−366965号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】D. Schmalstieg, R. Tobler. Real-TimeBound-ing Box Area Computation. Technical ReportTR-186-2-99-05, Vienna University, 1999.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、描画処理の省略を行うか行わないかの切り替えや、LODにおける形状の切り替えの瞬間に、アニメーションの見た目に違和感を生じる可能性がある。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、アニメーションの見た目に違和感を生じることなく、描画処理の省略を行うか行わないかの切り替えや、LODにおける形状の切り替えを行うための二次元画像逐次生成装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の本発明により、
仮想三次元空間内において、
前記仮想三次元空間内に配置された三次元物体の少なくとも頂点のデータを含む三次元物体データを格納する、三次元物体データ記憶手段と、
予め設定された前記仮想三次元空間内に配置されたカメラの位置、姿勢及び/又は画角の変化の時系列データ(カメラ時系列変化データ)、及び、予め設定された前記三次元物体の位置、姿勢及び/又は形状の変化の時系列データ(三次元物体時系列変化データ)を記憶する、時系列変化データ記憶手段と、
前記
三次元物体の描画計算の省略を行うか否かを示す真偽値及び/又は前記三次元物体をどの程度簡略化するかを表すLOD(Level Of Detail)値を記憶する、三次元物体制御データ記憶手段と、
前記三次元物体の複数の頂点と前記カメラの視点とを結ぶ複数の直線と、前記カメラの視線と直角でありなおかつ前記カメラの視点と一定の距離にある平面との、複数の交点を求めることによって、前記形状を前記平面に投影した二次元形状を生成する二次元形状生成手段と、
前記二次元形状を描画した二次元画像を逐次生成する二次元画像逐次生成手段と、
前記逐次生成の開始時点からの経過時間を記憶する経過時間記憶手段と、
前記三次元物体データ、前記カメラ時系列変化データ及び前記三次元物体時系列変化データに基づき、前記二次元画像上での前記三次元物体の表示面積又は表示面積の推定値の時系列データ(時系列表示面積データ)を、前記逐次生成の開始以前に生成する、時系列表示面積データ生成手段と、
前記時系列表示面積データ及び前記経過時間に基づき、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定を、前記逐次生成と並行して行う、三次元物体制御手段と、
を具備することを特徴とする二次元画像逐次生成装置を提供する。
【0012】
請求項2に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定が行われ、前記経過時間が前記非零区間の終端に差し掛かるまで、前記設定の内容が維持されることを特徴とする前記三次元物体制御手段を具備する、請求項1に記載の二次元画像逐次生成装置を提供する。
【0013】
請求項3に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値が一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御手段を具備する、請求項2に記載の二次元画像逐次生成装置を提供する。
【0014】
請求項4に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値に対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御手段を具備する、請求項2〜3のいずれかに記載の二次元画像逐次生成装置を提供する。
【0015】
請求項5に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さが一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御手段を具備する、請求項2〜4のいずれかに記載の二次元画像逐次生成装置を提供する。
【0016】
請求項6に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さに対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御手段を具備する、請求項2〜5のいずれかに記載の二次元画像逐次生成装置を提供する。
【0017】
請求項7に記載の本発明により、
仮想三次元空間内において、
前記仮想三次元空間内に配置された三次元物体の少なくとも頂点のデータを含む三次元物体データを格納する、三次元物体データ記憶段階と、
予め設定された前記仮想三次元空間内に配置されたカメラの位置、姿勢及び/又は画角の変化の時系列データ(カメラ時系列変化データ)、及び、予め設定された前記三次元物体の位置、姿勢及び/又は形状の変化の時系列データ(三次元物体時系列変化データ)を記憶する、時系列変化データ記憶段階と、
前記
三次元物体の描画計算の省略を行うか否かを示す真偽値及び/又は前記三次元物体をどの程度簡略化するかを表すLOD(Level Of Detail)値を記憶する、三次元物体制御データ記憶段階と、
前記三次元物体の複数の頂点と前記カメラの視点とを結ぶ複数の直線と、前記カメラの視線と直角でありなおかつ前記カメラの視点と一定の距離にある平面との、複数の交点を求めることによって、前記形状を前記平面に投影した二次元形状を生成する二次元形状生成段階と、
前記二次元形状を描画した二次元画像を逐次生成する二次元画像逐次生成段階と、
前記逐次生成の開始時点からの経過時間を記憶する経過時間記憶段階と、
前記三次元物体データ、前記カメラ時系列変化データ及び前記三次元物体時系列変化データに基づき、前記二次元画像上での前記三次元物体の表示面積又は表示面積の推定値の時系列データ(時系列表示面積データ)を、前記逐次生成の開始以前に生成する、時系列表示面積データ生成段階と、
前記時系列表示面積データ及び前記経過時間に基づき、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定を、前記逐次生成と並行して行う、三次元物体制御段階と、
を具備することを特徴とする二次元画像逐次生成方法を提供する。
【0018】
請求項8に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定が行われ、前記経過時間が前記非零区間の終端に差し掛かるまで、前記設定の内容が維持されることを特徴とする前記三次元物体制御段階を具備する、請求項7に記載の二次元画像逐次生成方法を提供する。
【0019】
請求項9に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値が一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御段階を具備する、請求項8に記載の二次元画像逐次生成方法を提供する。
【0020】
請求項10に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値に対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御段階を具備する、請求項8〜9のいずれかに記載の二次元画像逐次生成方法を提供する。
【0021】
請求項11に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さが一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御段階を具備する、請求項8〜10のいずれかに記載の二次元画像逐次生成方法を提供する。
【0022】
請求項12に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さに対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御段階を具備する、請求項8〜11のいずれかに記載の二次元画像逐次生成方法を提供する。
【0023】
請求項13に記載の本発明により、
仮想三次元空間内において、
前記仮想三次元空間内に配置された三次元物体の少なくとも頂点のデータを含む三次元物体データを格納する、三次元物体データ記憶過程と、
予め設定された前記仮想三次元空間内に配置されたカメラの位置、姿勢及び/又は画角の変化の時系列データ(カメラ時系列変化データ)、及び、予め設定された前記三次元物体の位置、姿勢及び/又は形状の変化の時系列データ(三次元物体時系列変化データ)を記憶する、時系列変化データ記憶過程と、
前記
三次元物体の描画計算の省略を行うか否かを示す真偽値及び/又は前記三次元物体をどの程度簡略化するかを表すLOD(Level Of Detail)値を記憶する、三次元物体制御データ記憶過程と、
前記三次元物体の複数の頂点と前記カメラの視点とを結ぶ複数の直線と、前記カメラの視線と直角でありなおかつ前記カメラの視点と一定の距離にある平面との、複数の交点を求めることによって、前記形状を前記平面に投影した二次元形状を生成する二次元形状生成過程と、
前記二次元形状を描画した二次元画像を逐次生成する二次元画像逐次生成過程と、
前記逐次生成の開始時点からの経過時間を記憶する経過時間記憶過程と、
前記三次元物体データ、前記カメラ時系列変化データ及び前記三次元物体時系列変化データに基づき、前記二次元画像上での前記三次元物体の表示面積又は表示面積の推定値の時系列データ(時系列表示面積データ)を、前記逐次生成の開始以前に生成する、時系列表示面積データ生成過程と、
前記時系列表示面積データ及び前記経過時間に基づき、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定を、前記逐次生成と並行して行う、三次元物体制御過程と、
を
コンピュータに実行させることを特徴とする二次元画像逐次生成プログラムを提供する。
【0024】
請求項14に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記真偽値及び/又は前記LOD値の設定が行われ、前記経過時間が前記非零区間の終端に差し掛かるまで、前記設定の内容が維持されることを特徴とする前記三次元物体制御過程を
コンピュータに実行させる、請求項13に記載の二次元画像逐次生成プログラムを提供する。
【0025】
請求項15に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値が一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御過程を
コンピュータに実行させる、請求項14に記載の二次元画像逐次生成プログラムを提供する。
【0026】
請求項16に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記時系列表示面積データの前記非零区間における最大値に対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御過程を
コンピュータに実行させる、請求項14〜15のいずれかに記載の二次元画像逐次生成プログラムを提供する。
【0027】
請求項17に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さが一定の条件を満たした場合には、前記真偽値に真が設定され、前記条件が満たされなかった場合には、前記真偽値に偽が設定されることを特徴とする前記三次元物体制御過程を
コンピュータに実行させる、請求項14〜16のいずれかに記載の二次元画像逐次生成プログラムを提供する。
【0028】
請求項18に記載の本発明により、
前記時系列表示面積データ内の任意の一つの非零区間の先頭に、前記経過時間が差し掛かかったら、前記非零区間の直前の零区間の長さに対して単調増加又は単調減少である値が前記LOD値に設定されることを特徴とする前記三次元物体制御過程を
コンピュータに実行させる、請求項14〜17のいずれかに記載の二次元画像逐次生成プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の請求項1に記載の二次元画像逐次生成装置においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成している間の任意の時点以前に、その時点より後の三次元物体の描画面積に対応した、描画処理の省略を行うか行わないかの切り替えや、LODにおける適切な形状の切り替えを行うことが可能となる。
【0030】
本発明の請求項2に記載の二次元画像逐次生成装置においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、三次元物体が表示されていない時点で、その時点よりも後での三次元物体の描画面積に対応した、描画処理の省略を行うか行わないかの切り替えや、LODにおける適切な形状の切り替えを行うことが可能となる。
【0031】
本発明の請求項3に記載の二次元画像逐次生成装置においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、三次元物体が表示されていない時点で、その時点から前記表示面積が0より大きい値から0となる時点までの間で前記表示面積が取りうる最大値又は最大値の推定値に応じた、描画処理の省略を行うか行わないかの適切な切り替えが可能となる。
【0032】
本発明の請求項4に記載の二次元画像逐次生成装置においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、三次元物体が表示されていない時点で、その時点から前記表示面積が0より大きい値から0となる時点までの間で前記表示面積が取りうる最大値又は最大値の推定値に応じた、LODにおける適切な形状の切り替えが可能となる。
【0033】
本発明の請求項5に記載の二次元画像逐次生成装置においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、長い間表示されず、したがって、見る人にとって印象が薄れていると推測される三次元物体に対して、描画処理の省略を行うことが可能となる。
【0034】
本発明の請求項6に記載の二次元画像逐次生成装置においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、長い間表示されず、したがって、見る人にとって印象が薄れていると推測される三次元物体に対して、LODにおける詳細度の低い形状を適用することが可能となる。
【0035】
本発明の請求項7に記載の二次元画像逐次生成方法においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成している間の任意の時点以前に、その時点より後の三次元物体の描画面積に対応した、描画処理の省略を行うか行わないかの切り替えや、LODにおける適切な形状の切り替えを行うことが可能となる。
【0036】
本発明の請求項8に記載の二次元画像逐次生成方法においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、三次元物体が表示されていない間に、その時点よりも後での三次元物体の描画面積に適した、描画処理の省略を行うか行わないかの切り替えや、LODにおける適切な形状の切り替えを行うことが可能となる。
【0037】
本発明の請求項9に記載の二次元画像逐次生成方法においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、三次元物体が表示されていない時点で、その時点から前記表示面積が0より大きい値から0となる時点までの間で前記表示面積が取りうる最大値又は最大値の推定値に応じた、描画処理の省略を行うか行わないかの適切な切り替えが可能となる。
【0038】
本発明の請求項10に記載の二次元画像逐次生成方法においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、三次元物体が表示されていない時点で、その時点から前記表示面積が0より大きい値から0となる時点までの間で前記表示面積が取りうる最大値又は最大値の推定値に応じた、LODにおける適切な形状の切り替えが可能となる。
【0039】
本発明の請求項11に記載の二次元画像逐次生成方法においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、長い間表示されず、したがって、見る人にとって印象が薄れていると推測される三次元物体に対して、描画処理の省略を行うことが可能となる。
【0040】
本発明の請求項12に記載の二次元画像逐次生成方法においては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、長い間表示されず、したがって、見る人にとって印象が薄れていると推測される三次元物体に対して、LODにおける詳細度の低い形状を適用することが可能となる。
【0041】
本発明の請求項13に記載の二次元画像逐次生成プログラムにおいては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成している間の、前記逐次生成中の任意の時点以前に、その時点より後での三次元物体の描画面積に対応した、描画処理の省略を行うか行わないかの切り替えや、LODにおける適切な形状の切り替えを行うことが可能となる。
【0042】
本発明の請求項14に記載の二次元画像逐次生成プログラムにおいては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、三次元物体が表示されていない時点で、その時点よりも後での三次元物体の描画面積に対応した、描画処理の省略を行うか行わないかの切り替えや、LODにおける適切な形状の切り替えを行うことが可能となる。
【0043】
本発明の請求項15に記載の二次元画像逐次生成プログラムにおいては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、三次元物体が表示されていない時点で、その時点から前記表示面積が0より大きい値から0となる時点までの間で前記表示面積が取りうる最大値又は最大値の推定値に応じた、描画処理の省略を行うか行わないかの適切な切り替えが可能となる。
【0044】
本発明の請求項16に記載の二次元画像逐次生成プログラムにおいては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、三次元物体が表示されていない時点で、その時点から前記表示面積が0より大きい値から0となる時点までの間で前記表示面積が取りうる最大値又は最大値の推定値に応じた、LODにおける適切な形状の切り替えが可能となる。
【0045】
本発明の請求項17に記載の二次元画像逐次生成プログラムにおいては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、長い間表示されず、したがって、見る人にとって印象が薄れていると推測される三次元物体に対して、描画処理の省略を行うことが可能となる。
【0046】
本発明の請求項18に記載の二次元画像逐次生成プログラムにおいては、仮想三次元空間に配置された三次元物体やカメラ及びその動作に基づいて二次元画像を逐次生成する際、長い間表示されず、したがって、見る人にとって印象が薄れていると推測される三次元物体に対して、LODにおける詳細度の低い形状を適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】目立たない仮想三次元物体の一例を示す説明図
【
図2】本発明に係る二次元画像逐次生成装置の一例を示すブロック構成図
【
図3】本発明に係るプログラムの一例を示す機能構成図
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0049】
図2は、本発明に係る二次元画像逐次生成装置の一例を示すブロック構成図である。コンピュータ(1)は、一般に市販されるパーソナルコンピュータであり、CPU(2)、RAM(Random Access Memory)(4)、HDD(Hard disk drive)(5)、描画処理プロセッサ(6)、VRAM(Video-RAM)(7)、映像データ出力インタフェース(8)、及び、操作コントローラ入出力インタフェース(9)を備えている。
【0050】
コンピュータ(1)には映像データ出力インタフェース(8)を介して三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)が接続されている。
【0051】
コンピュータ(1)には操作コントローラ入出力インタフェース(9)を介して操作コントローラ(11)が接続されている。
【0052】
CPU(2)、RAM(4)、HDD(5)、描画処理プロセッサ(6)、映像データ出力インタフェース(8)及び操作コントローラ入出力インタフェース(9)はバス(12)によって相互にデータ伝送が可能となるよう接続されている。
【0053】
HDD(5)には、プログラム(p1)と三次元データ(d1)が記憶されている。
【0054】
三次元データ(d1)には、アニメーションを再生する対象となる仮想三次元空間(t1)の情報(光源等)、仮想三次元空間(t1)に配置された複数の三次元物体(t2)の情報(ポリゴン、テクスチャ等)及び仮想三次元空間(t1)に配置されたカメラ(t3)の情報(内部パラメータなど)が含まれる。
【0055】
CPU(2)は、上記のようにHDD(5)からRAM(4)に読み込まれるプログラム(p1)を実行することより、三次元アニメーション(t4)の再生を統括的に制御する。より具体的には、操作コントローラ(11)から操作者の操作信号が入力されると、CPU(2)は、プログラム(p1)に従ってその操作信号に対する所定の二次元画像の生成を逐次行い、その処理結果を逐次三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)に表示する。
【0056】
三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)に表示するための三次元アニメーション(t4)の描画処理は、主として描画処理プロセッサ(6)によって行われる。CPU(2)は、プログラム(p1)に従って、操作コントローラ(11)からの操作者の操作信号に基づき、三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)に表示すべき三次元アニメーション(t4)の内容を決定し、その内容に応じて描画データ(d2)を描画処理プロセッサ(6)に逐次転送して逐次描画処理を行わせる。
【0057】
描画データ(d2)には、アニメーションを再生する対象となる仮想三次元空間(t1)の情報(光源等)、仮想三次元空間(t1)に配置された三次元物体(t2)の情報(ポリゴン、テクスチャ等)及び仮想三次元空間(t1)に配置されたカメラ(t3)の情報(内部パラメータ、外部パラメータなど)が含まれる。
【0058】
RAM(4)は、HDDから読み込まれたプログラム(p1)及びアニメーションデータ(d3)を格納するエリアと、CPU(2)がプログラム(p1)を処理するためのワークエリアを提供するものである。RAM(4)には、必要なプログラム(p1)とデータ(d4)とがHDD(5)から読み込まれて記憶される。
【0059】
アニメーションデータ(d3)には、三次元物体(t2)の位置、姿勢及び/又は形状の変化の時系列データである三次元物体アニメーションデータ(d3o)と、カメラ(t3)の位置、姿勢及び/又は画角の変化の時系列データであるカメラアニメーションデータ(d3c)とが含まれる。
【0060】
図3は、プログラム(p1)の機能的な構成を示すブロック図である。
図3に示すように、プログラム(p1)は、
操作コントローラ(11)からの操作信号に応じて三次元アニメーション(t4)の再生を制御する、三次元アニメーション再生制御機能(f1)と、
アニメーションデータ(d3)に基づいた、三次元物体(t2)の前記視野画像上での表示面積の推定値の時系列データである時系列表示面積データ(d5)を生成する時系列表示面積データ生成機能(f2)と、
経過時間(d6)と時系列表示面積データ(d5)に基づいて、三次元物体(t2)の表示/非表示の切り替えや、LODにおける適切な形状の切り替えを行う、三次元物体制御機能(f3)と、
経過時間(d6)とアニメーションデータ(d3)に基づいて、描画データ(d2)を、描画処理プロセッサ(6)へ転送する、描画データ転送機能(f4)と、
描画処理プロセッサ(6)へ描画命令を出す、描画制御機能(f5)と、
操作コントローラ(11)からの入力に応じて、カメラアニメーションデータ(d3c)を動的に生成する、カメラアニメーション生成機能(f6)と、
を備えている。
【0061】
経過時間(d6)は、三次元アニメーション(t4)の再生を開始してから経過した時間を示す値である。
【0062】
時系列表示面積データ生成機能(f2)の内部実装は特に限定されるものではないが、本実施形態では、時系列表示面積データ(d5)は、描画処理を伴わない解析的手法(非特許文献1参照)を用いて求められる。
【0063】
三次元物体制御機能(f3)の内部実装は特に限定されるものではないが、本実施形態では、前記経過時間が、時系列表示面積データ(d6)の非零区間の先頭に差し掛かった時に、前記非零区間における表示面積の推定値の最大値が特定の閾値以下であれば、三次元物体を非表示とし、そうでなければ、三次元物体にLODを適用するという実装を用いる。なお、前記最大値が大きければ大きいほど、前記LODにおいて、より詳細な形状(ポリゴン)が用いられる。
【0064】
描画データ転送機能(f4)では、経過時間(d6)とアニメーションデータ(d3)とを照らし合わせて、転送する三次元物体(t2)の位置、姿勢及び/又は形状と、カメラ(t3)の位置、姿勢及び/又は画角を決める。
また、転送する描画データ(d2)の中に、三次元物体制御機能(f3)で非表示とされた三次元物体(t1)の情報は含めない。
また、転送する描画データ(d2)に含める三次元物体(t2)のポリゴンとして、前記LODにおいて選択されたものを用いる。
【0065】
カメラアニメーション生成機能(f6)は、操作コントローラ(11)からの、三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)に表示されている二次元画像上の座標の入力から、その座標に出力されている三次元物体(t2)を求め、公知のカメラパス自動生成方法にて、現時点でのカメラの視点位置と、三次元物体(t2)の位置とを結ぶカメラアニメーションデータ(d3c)を自動的に生成する。
【0066】
三次元アニメーション再生制御機能(f7)は、カメラアニメーション生成機能(f6)によりカメラアニメーションデータ(d3c)が新しく生成された時点で、アニメーションデータ(d3)に基づいて、三次元アニメーション(t4)の再生を開始し、三次元アニメーション(t4)を再生し終わった時点で、三次元アニメーション(t4)を停止する。初期状態では、三次元アニメーション(t4)は停止状態である。
【0067】
データ(d4)には、三次元物体(t2)を構成するポリゴンデータ、テクスチャデータ、三次元物体アニメーションデータ(d3o)、カメラアニメーションデータ(d3c)、経過時間(d6)及び時系列表示面積データ(d5)が含まれる。
【0068】
描画処理プロセッサ(6)は、三次元アニメーション(t4)の各コマの三次元物体(t2)及びカメラ(t3)の状態から、透視投影を用いて二次元画像を生成するものである。
描画処理プロセッサ(6)は、CPU(2)からの描画命令に基づき、CPU(2)から供給される描画データ(d2)を用いて三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)に表示させる各コマの二次元画像を生成する。
【0069】
描画処理プロセッサ(6)は、まず、三次元物体(t2)の複数の各頂点と、カメラの視点とを結ぶ複数の直線と、カメラの視線と直角であり、なおかつカメラの視点と一定の距離にある仮想的な平面との、複数の交点を求めることによって、三次元物体(t2)の形状をこの仮想的な平面に投影した二次元形状を生成する。(
図4参照)
【0070】
描画処理プロセッサ(6)には各コマの二次元画像の生成作業をするためのVRAM(7)が接続されている。描画処理プロセッサ(6)はVRAM(7)を用いて、三次元物体(t2)の形状を仮想的な平面に投影した二次元形状をもとに、1/60ないし1/30秒毎に各コマの二次元画像のデータを生成する。
【0071】
VRAM(7)には、三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)に表示される各コマの二次元画像のデータを格納するバッファメモリ(m1)(以下、「スクリーンバッファ」という。)と、スクリーンバッファ(m1)に格納すべき画像データを作成するためのバッファメモリ(m2)(以下、「テクスチャバッファ」という。)が設けられている。スクリーンバッファ(m1)は同一のメモリ構造及びメモリ容量を有する2枚のスクリーンバッファ(m1a),(m1b)で構成されている。
【0072】
スクリーンバッファ(m1)を2枚構成とするのは、三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)への表示速度に対してスクリーンバッファ(m1)への描画速度に余裕を持たせるためである。すなわち、一方のスクリーンバッファ(m1a)を用いて三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)への表示処理を行っている間に、他方のスクリーンバッファ(m1b)で次のコマの画像データを生成し、この処理をスクリーンバッファ(m1a)とスクリーンバッファ(m1b)との間で交互に行うことにより、三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)への1/60ないし1/30秒毎の各コマの表示処理をスムーズに行うようにしている。
【0073】
テクスチャバッファ(m2)は、スクリーンバッファ(m1)に三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)に表示すべき二次元画像のデータを作成するための前処理を行うためのバッファである。
【0074】
映像データ出力インタフェース(8)は、スクリーンバッファ(m1)から出力される画像データを三次元アニメーション再生ディスプレイ(10)に転送するものである。
【0075】
コントローラ入出力インタフェース(9)は、操作コントローラ(11)をコンピュータ(1)に接続するためのインタフェースである。操作コントローラ(11)は、コンピュータ(1)に各種の操作情報を入力するものである。操作コントローラ(11)は、複数の操作部材が設けられており、メニューの選択や、画面上の任意の座標を指定できる機能が搭載されている。
【0076】
本実施形態によれば、プログラム(p1)において、三次元物体(t2)の目立たなさ(表示面積が閾値以下かどうか)を基準としつつ、表示されている時間区間毎に表示/非表示及び三次元物体を表す形状の詳細度が切り替えられるため、従来の表示/非表示の切り替えや、LODの手法とは異なり、見えている途中での表示/非表示やLODにおける形状の切り替えを行わないため、切り替えに伴うアニメーション中の違和感が生じないという利点が得られる。
【実施例1】
【0077】
以下、前記実施形態の基づく本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
任意のOSと、そのOS上で動作するプログラム(p1)をインストールし、なおかつ三次元データ(d3)を記憶したHDD(Hard Disk Drive)(5)及び、ビデオカード(6)を搭載したパーソナルコンピュータ(1)にディスプレイ(10)と左右のボタンを有するマウス(11)とキーボード(11)を接続し、以上の機器の中で各別に電源を要するものは電源を入れる。
パーソナルコンピュータ(1)をキーボード(11)で操作し、プログラム(p1)を実行する。ディスプレイ(10)上に仮想三次元空間(t1)を二次元平面に投影した映像が表示される。
その後、マウス(11)の操作によって映像上の任意の座標にマウスカーソルを移動し、マウス(11)の左ボタンを押し下げると、マウスカーソルの位置に表示されている仮想三次元空間(t1)上の三次元物体(t2)の仮想三次元空間(t1)上での座標に向かって、仮想三次元空間(t1)上のカメラ(t3)が移動する三次元アニメーション(t4)が再生され、その各コマの二次元画像が逐次ディスプレイ(10)に表示される。この際、三次元データ(d3)の表示/非表示やLODにおける形状の切り替えが行われるが、ディスプレイ(10)に表示される映像中にはこのような切り替えの瞬間は表示されない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、上記のようなリアルタイムレンダリングを用いたシステムに限らず、プリレンダリング映像生成手段及び装置にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0080】
(1)…コンピュータ
(2)…コンピュータ(1)の構成要素であるCPU
(4)…コンピュータ(1)の構成要素であるRAM(Random Access Memory)
(5)…コンピュータ(1)の構成要素であるHDD(Hard disk drive)
(6)…コンピュータ(1)の構成要素である描画処理プロセッサ
(7)…コンピュータ(1)の構成要素であるVRAM(Video-RAM)
(8)…コンピュータ(1)の構成要素である映像データ出力インタフェース
(9)…コンピュータ(1)の構成要素である操作コントローラ入出力インタフェース
(10)…コンピュータ(1)の周辺機器である三次元アニメーション再生ディスプレイ
(11)…コンピュータ(1)の周辺機器である操作コントローラ
(12)…CPU(2)、RAM(4)、HDD(5)、描画処理プロセッサ(6)、映像データ出力インタフェース(8)及び操作コントローラ入出力インタフェース(9)間のデータ転送経路として用いられるバス
(t1)…仮想三次元空間
(t2)…仮想三次元空間(t1)に配置された三次元物体
(t3)…仮想三次元空間(t1)に配置されたカメラ
(t4)…仮想三次元空間(t1)全体におけるアニメーション
(p1)…HDD(Harddisk drive)上に記憶されたプログラム
(f1)…プログラム(p1)の構成要素である三次元アニメーション再生制御機能
(f2)…プログラム(p1)の構成要素である時系列表示面積データ生成機能
(f3)…プログラム(p1)の構成要素である三次元物体制御機能
(f4)…プログラム(p1)の構成要素である描画データ転送機能
(f5)…プログラム(p1)の構成要素である描画制御機能
(f6)…プログラム(p1)の構成要素であるカメラアニメーション生成機能
(d1)…HDD(Harddisk drive)上に記憶された三次元データ
(d2)…プログラム(p1)を実行するCPU(2)によって描画処理プロセッサ(6)に転送される描画データ
(d3)…三次元物体アニメーションデータ(d3o)及び/又はカメラアニメーションデータ(d3c)
(d3o)…三次元物体(t2)の位置、姿勢及び/又は形状の変化の時系列データ
(d3c)…カメラ(t3)の位置、姿勢及び/又は画角の変化の時系列データ
(d4)…プログラム(p1)にて使用するデータ
(d5)…時系列表示面積データ生成機能により生成される時系列表示面積データ
(d6)…三次元アニメーションの再生を開始してからの経過時間
(m1)…VRAM(7)上に確保されるバッファメモリ(「スクリーンバッファ」)
(m2)…VRAM(7)上に確保されるバッファメモリ(「テクスチャバッファ」)
(m1a)…スクリーンバッファ(m1)の構成要素であるスクリーンバッファ
(m1b)…スクリーンバッファ(m1)の構成要素であるスクリーンバッファ