特許第5919957号(P5919957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特許5919957-貯湯給湯装置 図000002
  • 特許5919957-貯湯給湯装置 図000003
  • 特許5919957-貯湯給湯装置 図000004
  • 特許5919957-貯湯給湯装置 図000005
  • 特許5919957-貯湯給湯装置 図000006
  • 特許5919957-貯湯給湯装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919957
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】貯湯給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   F24H1/18 301Z
   F24H1/18 503Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-79071(P2012-79071)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210117(P2013-210117A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 由典
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−250505(JP,A)
【文献】 特開2006−145048(JP,A)
【文献】 特開2006−250503(JP,A)
【文献】 特開2006−250507(JP,A)
【文献】 特開2006−010145(JP,A)
【文献】 特開2011−094863(JP,A)
【文献】 特開2010−242986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18
F24D 3/00
F24D17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯槽と、この貯湯槽の下部から熱源機を経由して貯湯槽の上部へ水を循環させて加熱する循環加熱回路と、この循環加熱回路に設けられた循環ポンプと、貯湯槽の下部に接続された給水管及び上部に接続された出湯管と、この出湯管から分岐して浴槽へ湯水を供給するための注湯配管と、この注湯配管に設けられた注湯電磁弁とを備えた貯湯給湯装置であって、この貯湯給湯装置に水張りを行う際には、前記注湯電磁弁を開放してエア抜きを行いながら貯湯槽への水張りを行い、貯湯槽への水張りが完了したことを検知してから前記循環ポンプを駆動して循環加熱回路の水張りを行う貯湯給湯装置において、
前記貯湯槽の水張り完了後、前記循環ポンプ駆動開始前に、前記注湯電磁弁を閉弁させてから開弁状態に戻す注湯電磁弁閉開制御であって前記貯湯槽内の下部と上部の水圧の差圧を増大させる注湯電磁弁閉開制御を行う制御手段を設けたことを特徴とする貯湯給湯装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記循環ポンプ停止状態での前記注湯電磁弁閉開制御と、前記循環ポンプの所定時間の駆動とを複数回繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯給湯装置に関し、特に試運転時に循環加熱回路に自動的に確実に水張りできるようにした貯湯給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貯湯給湯装置は、一般に、貯湯槽と、貯湯槽の下部に接続された給水管及び上部に接続された出湯管と、この出湯管から分岐して浴槽へ湯水を供給するための注湯配管と、注湯配管に設けられた注湯電磁弁と、貯湯槽の下部から熱源機を経由して貯湯槽の上部へ水を循環させて加熱する循環加熱回路と、この循環加熱回路に設けられた循環ポンプなどを有する。前記熱源機としては、燃料電池発電ユニットの排熱回収熱交換器やヒートポンプユニットが活用される。
【0003】
貯湯給湯装置の設置後に試運転する際には、貯湯槽、出湯管や注湯配管等の配管系および循環加熱回路に水張りを行ってエア抜きしてから熱源機を作動させる。この水張り時、注湯電磁弁を開放状態に切換えた状態で、給水管から給水しながら貯湯槽と出湯管や注湯配管等の配管系に水張りし、その後、循環ポンプを駆動して循環加熱回路に水張りする。
【0004】
特許文献1には、貯湯槽と配管系に水張りしてから、循環ポンプを駆動して循環加熱回路に自動的に水張りするヒートポンプ式給湯機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4294605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
貯湯給湯装置において、機器の配置上の都合から循環ポンプが貯湯槽の底部よりも高い位置に配置されることも関係して、循環加熱回路に水張りする際に、循環加熱回路内のエア抜きが不十分のため、循環ポンプが空運転状態になって循環加熱回路に水が流れず、熱源機の冷却が十分に行われずに空焚き状態になって熱源機が損傷する虞がある。
【0007】
特許文献1の給湯機では、貯湯槽や配管系に水張り後、循環加熱回路に水張りする際、図5図6に基づいて以下に説明するように、循環加熱回路内にエアが残留する虞があるため、正常な試運転を行うことができるとは限らない。
【0008】
図5図6は貯湯給湯装置100の貯湯槽103と配管系と循環加熱回路101に水張りする際の挙動を示すもので、図5に示すように給水管102から貯湯槽103内へ給水していくと、配管系と循環加熱回路101の往き側通路101a内へも給水されて水位が上昇していき、循環ポンプ105の位置まで水張り状態になる。しかし、循環加熱回路101の管路抵抗の影響もあるため循環加熱回路101の途中までしか水張りされない。
【0009】
その後、図6に示すように、貯湯槽103が満水状態になって貯湯槽103の内部の全域に給水圧が作用したとき、貯湯槽103の上部に接続された戻り側通路101bにも給水圧が作用し、戻り側通路101bに水が流入して循環加熱回路101内にエアが閉じ込められた状態になって、そのエアが往き側通路101a側へ押し戻され、循環ポンプ105に水張りされない状態が発生することがある。この場合、循環ポンプ105を駆動しても空運転となり、循環加熱回路101に水が流れずに、熱源機104が空焚き状態になる。
【0010】
そのため、従来では、貯湯給湯装置100への水張りを完全自動化することは難しく、計器類を点検しながら手動操作により水張りを行っていた。
特に、循環ポンプ105を貯湯槽103側ではなく、燃料電池の発電ユニット側に設ける場合には、貯湯槽103から循環ポンプ105に延びる往き側通路101aの通路長も長くなるため上記の問題が顕著になる。
【0011】
本発明の目的は、試運転時に循環加熱回路に自動的に確実に水張りすることのできる貯湯給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の貯湯給湯装置は、貯湯槽と、この貯湯槽の下部から熱源機を経由して貯湯槽の上部へ水を循環させて加熱する循環加熱回路と、この循環加熱回路に設けられた循環ポンプと、貯湯槽の下部に接続された給水管及び上部に接続された出湯管と、この出湯管から分岐して浴槽へ湯水を供給するための注湯配管と、この注湯配管に設けられた注湯電磁弁とを備えた貯湯給湯装置であって、この貯湯給湯装置に水張りを行う際には、前記注湯電磁弁を開放してエア抜きを行いながら貯湯槽への水張りを行い、貯湯槽への水張りが完了したことを検知してから前記循環ポンプを駆動して循環加熱回路の水張りを行う貯湯給湯装置において、前記貯湯槽の水張り完了後、前記循環ポンプ駆動開始前に、前記注湯電磁弁を閉弁させてから開弁状態に戻す注湯電磁弁閉開制御であって前記貯湯槽内の下部と上部の水圧の差圧を増大させる注湯電磁弁閉開制御を行う制御手段を設けたことを特徴としている。
【0013】
請求項2の貯湯給湯装置は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記循環ポンプ停止状態での前記注湯電磁弁閉開制御と、前記循環ポンプの所定時間の駆動とを複数回繰り返すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、貯湯給湯装置に水張りを行う際には、注湯電磁弁を開放してエア抜きを行いながら貯湯槽への水張りを行い、貯湯槽への水張りが完了したことを検知してから循環ポンプを駆動して循環加熱回路の水張りを行う貯湯給湯装置において、前記貯湯槽の水張り完了後、前記循環ポンプ駆動開始前に、前記注湯電磁弁を閉弁させてから開弁状態に戻す注湯電磁弁閉開制御を行う制御手段を設けたため、注湯電磁弁を閉弁させると貯湯槽内の全体に給水圧が作用した状態になり、その後注湯電磁弁を開弁状態にすると、貯湯槽内の上部の水圧が低下し、貯湯槽の下部と上部の水圧の差圧が瞬間的に大きくなって、貯湯槽の下部側の水圧でもって循環加熱回路の往き側通路内のエアが戻り側通路の方へ押し戻され、循環ポンプが確実に水張り状態になる。その状態で循環ポンプを駆動させることで、循環加熱回路内のエアを貯湯槽へ抜いて循環加熱回路に確実に水張りすることができる。
前記制御手段により注湯電磁弁閉開制御を自動的に行うことができるため、循環加熱回路への水張りを自動的に行うことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、前記制御手段は、前記循環ポンプ停止状態での前記注湯電磁弁閉開制御と、前記循環ポンプの所定時間の駆動とを複数回繰り返すため、循環加熱回路内に細かい気泡が残留しない状態まで完全にエア抜きして、循環加熱回路に完全に水張りすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1に係る燃料電池コージェネレーションシステムの貯湯給湯装置の構成図である。
図2】前記燃料電池コージェネレーションシステムの発電ユニットの構成図である。
図3】循環加熱回路水張り制御のフローチャートである。
図4】循環加熱回路水張り制御に係るタイムチャートである。
図5】従来技術に係る貯湯給湯装置の循環加熱回路への水張りの作動説明図である。
図6図5の貯湯給湯装置の循環加熱回路への水張りの作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
先ず、燃料電池コージェネレーションシステム1の全体構成について説明する。
図1図2に示すように、この燃料電池コージェネレーションシステム1は、燃料電池発電ユニット2と、この燃料電池発電ユニット2を熱源機とする貯湯給湯装置3とで構成されている。
【0019】
図2に示すように、発電ユニット2は、貯湯槽41の湯水を加熱する為の貯湯給湯装置3の外部熱源であり、燃料電池発電モジュール4、カソード空気用送風装置5、燃料ガス昇圧用送風装置6、燃料改質空気用送風装置7、排気ガス排出通路8、熱交換器9、水処理装置11、インバータ12等から構成されている。
【0020】
発電ユニット2は、上記の各種装置が外装ケース13に一体的に収納されて構成され、燃料電池発電モジュール4にて発電された直流電力は、インバータ12を介して交流電力に変換されて外部に出力される。
カソード空気用送風装置5は、外部から空気を発電空気ブロワに取り込み、この取り込まれた空気を空気通路15を介して燃料電池発電モジュール4に供給する。
【0021】
燃料ガス昇圧用送風装置6は、図示外のガス供給源から燃料ガスを燃料昇圧ブロワに取り込み、この昇圧された燃料ガスを、ガス通路16と共通通路18を介して燃料電池発電モジュール4に供給する。
燃料改質空気用送風装置7は、外部から燃料改質用の空気を改質空気ブロワに取り込み、この取り込まれた燃料改質用の空気を、改質空気通路17と共通通路18を介して燃料電池発電モジュール4に供給する。
【0022】
次に、燃料電池発電モジュール4について説明する。
図2に示すように、燃料電池発電モジュール4(以下、発電モジュール4という)は、燃料電池セルスタック21、蒸発器22、燃料改質器23、オフガス燃焼室24、熱交換器27等を備え、燃料改質器23によって改質された改質燃料ガス及び酸化剤としての空気を燃料電池セルスタック21で化学反応させることで発電を行うものである。
【0023】
熱交換器9は、排気ガス排出通路8の途中部に設けられ、循環加熱回路45の一部を構成する熱交換通路部9aを備えている。この熱交換器9において、発電モジュール4から排出される排気ガスを、熱交換通路部9aを流れる湯水との間で熱交換させて、排気ガス中に含まれる水蒸気は冷却され凝縮されて凝縮水となる。
【0024】
次に、貯湯給湯装置3について説明する。
図1に示すように、貯湯給湯装置3は、貯湯と給湯と床暖房パネル等の温水暖房端末への温水の供給や風呂の追い焚き等の機能を有するものであり、貯湯タンク41、補助熱源機42、第1,第2熱交換器43,44、発電ユニット2側において循環ポンプ64が介装された循環加熱回路45、給水通路46、出湯回路47、温水暖房回路48、風呂給湯追焚回路49、熱利用循環回路50、複数のバイパス通路51〜54,57、風呂注湯通路55、出湯通路58等を備え、これらは外装ケース59内に一体的に収納されて構成されている。
【0025】
貯湯槽41は、高温の湯水(例えば、80〜90℃)を貯留可能な上下方向に細長い断熱性の密閉タンクであり、貯留された温水の放熱を防ぐ為にタンク周囲は断熱材で覆われている。貯湯槽41内の複数の貯留層の湯水の温度が複数の貯湯水温度センサ61a〜61dにより検出される。補助熱源機42は、公知のガス給湯器で構成され、熱利用循環回路50の湯水の温度が不足する等の特別な場合に限り、湯水を再度加熱するものである。
【0026】
第1熱交換器43は、温水暖房回路48を流れる暖房水を加熱するものであり、この第1熱交換器43において、熱利用循環回路50を流れる高温の湯水と温水暖房回路48を流れる暖房水との間で熱交換され、暖房水は加熱され湯水は冷却される。
【0027】
第2熱交換器44は、風呂給湯追焚回路49を流れる浴槽水を加熱するものであり、この第2熱交換器44において、熱利用循環回路50を流れる高温の湯水と風呂給湯追焚回路49を流れる風呂のお湯との間で熱交換され、浴槽水は加熱され湯水は冷却される。
【0028】
次に、循環加熱回路45について説明する。
図1図2に示すように、循環加熱回路45は、外部熱源である発電ユニット2の熱交換器9と貯湯槽41との間に湯水を循環させる閉回路であり、往き側通路45a、戻り側通路45bを有し、貯湯槽41の下部に往き側通路45aの上流端が接続され、貯湯タンク41の上部に戻り側通路45bの下流端が接続されている。
【0029】
往き側通路45aの途中部から戻り側通路45bの途中部にバイパスする第1バイパス通路51が分岐され、この分岐部には、貯湯切換弁62が設置されている。往き側通路45aには、湯水を急速に冷却可能なラジエータ63が設置されている。往き側通路45aの発電ユニット2側には、排熱回収用循環ポンプ64(図2参照)が設置されている。往き側通路45aと戻り側通路45bとの間に、発電ユニット2の熱交換器9の熱交換通路部9aが接続されている。
【0030】
次に、給水通路46について説明する。
給水通路46は、上水源から低温の上水を貯湯槽41に供給するものであり、上流給水通路46a、中間給水通路46b、下流給水通路46cを有し、上流給水通路46aの上流端が上水源に接続され、貯湯槽41の下部に下流給水通路46cの下流端が接続されている。上流給水通路46aには減圧弁67が設置され、中間給水通路46bには逆止弁46dが設置されている。中間給水通路46bには、安全弁68aが設置された排水通路68が接続され、この排水通路68の下流端は、排水桝69に延びている。
【0031】
給水通路46において、中間給水通路46bと下流給水通路46cとの間から熱利用循環回路50に接続する第2バイパス通路52が分岐され、この分岐部には、中間給水通路46bと下流給水通路46cとの接続又は中間給水通路46bと第2バイパス通路52との接続又は第2バイパス通路52と下流給水通路46cとの接続を選択可能な蓄熱切換弁71が設置されている。下流給水通路46cから外部に接続する排水通路72が分岐している。
【0032】
次に、出湯回路47について説明する。
出湯回路47は、貯湯槽41内に貯湯された湯水を風呂等の所望の給湯先に供給するものであり、高温の湯水が流れる上流出湯通路47a、水と高温の湯水が混合された混合湯水が流れる中間出湯通路47bおよび下流出湯通路47cを有する。上流出湯通路47aの上流端が貯湯槽41の上部に接続され、上流出湯通路47aの下流端に中間出湯通路47bの上流端が接続され、中間出湯通路47bの下流端に下流出湯通路47cの上流端が接続され、下流出湯通路47cの下流端に給湯栓73が接続されている。上流出湯通路47aと中間出湯通路47bとの間には混合弁74が設置され、この混合弁74に上流給水通路46aから分岐した第3バイパス通路53が接続されている。混合弁74は、出湯温度が指令温度になるように、水と高温の湯水の流量比が制御される。尚、上流出湯通路47aと中間出湯通路47bとが「出湯管」に相当する。
【0033】
第3バイパス通路53には、逆止弁53aが設置されている。第3バイパス通路53から混合弁74を介さずに中間出湯通路47bへ直接接続する第4バイパス通路54が分岐され、この第4バイパス通路54には、高温回避電磁弁78が設置されている。この第4バイパス通路54によって、中間出湯通路47bに上水源から低温の上水を直接供給することができる。
【0034】
中間出湯通路47bには、流量センサ47d及び出湯水比例弁75が設置され、出湯水比例弁75の下流側から風呂給湯追焚回路49へ接続する風呂注湯通路55が分岐されている。風呂注湯通路55には、流量センサ55a、注湯電磁弁76、逆止弁55bが順に一体的に設置され、逆止弁55bには逆流防止手段55cが接続されている。尚、風呂注湯通路55が「注湯配管」に相当する。
【0035】
次に、風呂給湯追焚回路49について説明する。
風呂給湯追焚回路49は、風呂のお湯を追い焚きする回路であり、風呂往き側通路49a、風呂戻り側通路49bを有している。風呂往き側通路49aと風呂戻り側通路49bとの間には、第2熱交換器44の内部通路44bが接続され、風呂戻り側通路49bには、風呂水流スイッチ84や風呂循環ポンプ85等が設置されている。
【0036】
風呂内のお湯は風呂循環ポンプ85により風呂戻り側通路49bへ送られ、内部通路44bに送られて熱交換通路部44aにより加熱され、加熱されたお湯は、風呂往き側通路49aから風呂へ送り出される。必要に応じて、出湯回路47から分岐した風呂出湯通路55を介して、風呂戻り側通路49bに湯水を補充することができる。
【0037】
次に、制御ユニット97について説明する。
燃料電池コージェネレーションシステム1は、制御ユニット97(制御手段に相当する)によって制御される。各種の温度センサ、各種の流量センサ、水処理装置11の水位スイッチや膨張タンク80の水位センサの信号が制御ユニット97に送信され、この制御ユニット97により、発電ユニット2と貯湯注湯装置3の動作、各種弁部材の切り換え、各種ポンプの作動・停止、各種開閉弁の開閉状態の切り換え等を制御し、各種運転(排熱回収運転、追い焚き運転、暖房運転、給湯運転等)を実行する。
【0038】
次に、この燃料電池コージェネレーションシステム1を設置後に試運転する際に、前記制御ユニット97により自動的に行われる、循環加熱回路45へ水張りする循環加熱回路水張り制御について、図3のフローチャートに基づいて説明する。尚、図中の符号Si(i=1,2,・・)は各ステップを示す。この循環加熱回路水張り制御の制御プログラムは、制御ユニット97に予め格納されている。
【0039】
この貯湯給湯装置3に水張りを行う際には、注湯電磁弁76を開放した状態で、給水通路46から貯湯槽41に給水することで、風呂側へエア抜きしながら貯湯槽41と循環加熱回路45以外の配管系(回路や通路)への水張りを行い、貯湯槽41への水張りが完了したことを検知後に前記循環ポンプ64を駆動して循環加熱回路45への水張りを行う。
【0040】
図3のフローチャートにおいて、この制御が開始されると、最初にS1において、貯湯槽41への水張りが自動的に行われる。この場合、注湯電磁弁76が開弁され、蓄熱切換弁71が貯湯槽41へ給水する給水位置に保持され、貯湯切換弁62が循環加熱回路45の往き側通路45aを連通させる連通位置に保持され、循環ポンプ64が停止状態に保持される。すると、貯湯槽41と配管系に水張りされ、余剰の給水は貯湯槽41から上流出湯通路47aと、中間出湯通路47bと、風呂注湯通路55を介して風呂へ排水される。
【0041】
次に、S2において流量センサ55aの検出信号を読み込み、検出流量が定流量状態になった否か判定される(S3)。水張り実行中には貯湯槽41や配管系からエア抜きされるため、流量センサ55aで検出される流量が安定せず定流量状態にならない。しかし、貯湯槽41や配管系への水張りが完了すると、流量センサ55aで検出される流量が定流量状態になり、S3の判定がYesになると、S4へ移行する。
【0042】
次に、S4において注湯電磁弁76を所定時間t1(例えば10秒)の間閉弁状態にし、次に注湯電磁弁76を開弁する(S5)。尚、S4とS5のステップが「注湯電磁弁閉開制御」に相当する。
次に、S6において注湯電磁弁76の開弁後所定時間t2(例えば、2秒)経過したか否か判定し、その判定がNoのうちはS6を繰り返し、その判定がYesになったらS7において循環ポンプ64を駆動する。次に、S8において循環ポンプ64を駆動開始してから所定時間t3(例えば、30秒)経過したか否か判定し、その判定がNoのうちはS8を繰り返し、その判定がYesになったときには、S9へ移行する。
【0043】
次に、S9において流量センサ55aの検出流量を読み込んで検出流量が定流量状態になった否か判定される。循環加熱回路45から貯湯槽41に流入したエアが貯湯槽41からエア抜きされている状態では、検出流量が定流量状態にならないため、S9の判定がNoとなるため、その場合はS10において、循環ポンプ64を停止させてからS4へ戻ってS4以降を繰り返す。
【0044】
循環加熱回路45内のエアと貯湯槽41内のエアが完全にエア抜きされると、S9の判定がYesとなるため、S9からS11へ移行して、S11において循環ポンプ64を停止させる。次に、S12において、循環加熱回路45への水張りが完了したとして、この循環加熱回路水張り制御が終了する。
【0045】
次に、以上説明した循環加熱回路水張り制御の作用、効果について図4のタイムチャートに基づいて説明する。貯湯槽41及び配管系に水張りが完了した時点においては、循環加熱回路45内にはエアが残留しており、貯湯槽41内に給水圧が作用し、貯湯槽41内の下部と上部の水圧の差圧(例えば10kPa)が大きくなく、また、管路抵抗の影響もあるため、循環加熱回路45の往き側通路45aと戻り側通路45bへ水が流入し、循環加熱回路45内の残留エアが循環ポンプ64の所まで押し戻されることがあるため、循環ポンプ64が水張り状態になっているとは限らない。循環ポンプ64が水張りされない状態で、循環ポンプ64を駆動しても空運転するだけで、エア抜きすることができない。
【0046】
そこで、注湯電磁弁76を所定時間t1の間閉弁状態に保持して、貯湯槽41内の全体に給水圧を作用させた状態で、注湯電磁弁76を開弁すると、貯湯槽41の上部の水圧が瞬間的に低下し、貯湯槽41内の下部と上部の水圧の差圧が例えば28kPa程度までパルス的に増大するため、往き側通路45aから戻り側通路45bに流れる水流が発生し、循環ポンプ64が水張りされた状態になる。
【0047】
注湯電磁弁76を開弁した時点から短い所定時間t2経過し、循環ポンプ64が水張りされた状態で、循環ポンプ64を所定時間t3の間駆動することで、循環加熱回路45内の残留エアを貯湯槽41へ確実に排出し、貯湯槽41から上流出湯通路47aと、中間出湯通路47bと、風呂注湯通路55を介して風呂へエア抜きすることができる。
【0048】
上記のような循環ポンプ64停止状態でのS4とS5の注湯電磁弁閉開制御と、前記循環ポンプ64の所定時間t3の駆動とを行うことにより、循環加熱回路45内のエアの大部分をエア抜きすることができる。しかし、循環加熱回路45内に気泡状態のエアが残留している場合があるため、循環ポンプ64停止状態でのS4とS5の注湯電磁弁閉開制御と、前記循環ポンプ64の所定時間t3の駆動とを、複数回繰り返し行うことにより、循環加熱回路45から完全にエア抜きし、循環加熱回路45に確実に水張りすることができる。
【0049】
以上説明した貯湯槽41と配管系への水張りと、循環加熱回路45への水張りは、制御ユニット97により自動的に且つ能率的に行うことができるため、貯湯給湯装置3の試運転にかかる所要時間とコストを大幅に低減することができる。そして、循環加熱回路45に水が循環しない状態で、発電ユニット2を空焚き運転して発電ユニット2を故障させてしまう虞もない。
しかも、前記循環加熱回路水張り制御は、同様の構造の種々の貯湯給湯装置3に適用することができるため、汎用性に優れる。
【0050】
次に、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
(1)前記実施例では、燃料電池コージェネレーションシステム1の発電ユニット2を熱源機とする貯湯給湯装置3を例にして説明したが、ヒートポンプやガスエンジンを熱源機とする貯湯給湯装置にも本発明を同様に適用することができる。
(2)その他、当業者であれば、前記実施例に適宜変更を付加した形態で本発明を実施可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 燃料電池コージェネレーションシステム
2 発電ユニット
3 貯湯給湯装置
9 熱交換器
45 循環加熱回路
46 給水通路
47 出湯回路
47a 上流出湯通路
47b 中間出湯通路
55 風呂注湯通路
64 循環ポンプ
76 注湯電磁弁
97 制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6