(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の機構では、定規を使い込むとネジの先端や板バネ等によって平行定規の取付バー上面に多数の圧痕ができてしまう。取付バー上面に圧痕ができてしまうと、平行定規を固定する際にネジの先端や板バネ等がこの圧痕にならってずれてしまい、位置合わせの微調整が困難となる問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、平行定規の取付バー上面に圧痕がつくのを有効に防止することができる携帯用切断機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0008】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の携帯用切断機は、モータと、前記モータを内蔵する切断機本体と、前記モータによって回転して被切断材を切断するのこ刃と、前記切断機本体の下部に設けられて被切断材に当接するベースと、を備え、前記ベースには、平行定規を挿入するための定規挿入路が設けられ、前記定規挿入路の上部には、前記定規挿入路に挿入された平行定規に対して上方向から当接する支持部材が
前記ベースに宙吊り状態で保持されて上下動可能に配置され、前記支持部材の上部には、前記支持部材を下方に押圧可能な押圧手段が設けられ
、前記支持部材に前記平行定規と面接触する水平面を設け、前記押圧手段と前記支持部材との接触部よりも前記支持部材と前記平行定規との接触部の方が広い面積で接触するようにしたことを特徴とする。
【0010】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0011】
すなわち、
前記定規挿入路の挿入側から見たときに、宙吊り状態の前記支持部材の下部が前記定規挿入路の内部に突出するとともに、この定規挿入路の内部に突出した前記支持部材の下部は、挿入方向に対して傾斜していることを特徴とする。
【0012】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0013】
すなわち、前記支持部材は、両端を上方に折り曲げた略コ字形の板金部材であることを特徴とする。
【0014】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、前記ベースに対して回動可能かつ上下動可能なレバーによって前記押圧手段を構成し、前記レバーは、前記支持部材を下方に押圧するための押圧カムを備え、前記レバーの上下動を制限するための上下動制限手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項4記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、前記レバーは、前記上下動制限手段として前記ベースに対して突っ張る上下動制限カムを備え、前記レバーを回動させたときに、前記上下動制限カムによって前記レバーの上下動が制限された後に、前記押圧カムによって前記支持部材を下方に押圧することを特徴とする。
【0018】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項4記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0019】
すなわち、前記上下動制限手段は、前記レバーの回動軸を上方から押さえこむストッパ部材と、前記ストッパ部材の上方向への移動を規制する止めネジと、を備えて構成され、前記止めネジを締め付けまたは緩めることで、前記ストッパ部材の上方向への移動を規制する位置が調節可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、定規挿入路の上部には、前記定規挿入路に挿入された平行定規に対して上方向から平行に当接する支持部材が上下動可能に配置され、前記支持部材の上部には、前記支持部材を下方に押圧可能な押圧手段が設けられている。このため、平行定規に対して支持部材が面接触して平行定規を固定するので、平行定規の取付バー上面に圧痕がつくのを有効に防止することができる。
【0021】
また、取付バーに圧痕がつかないため、支持部材が圧痕にならって支持されることがなく、取付バーを任意の位置で固定することができる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記支持部材はベースに宙吊り状態で保持されており、前記定規挿入路の挿入側から見たときに、宙吊り状態の前記支持部材の下部が前記定規挿入路の内部に突出するとともに、この定規挿入路の内部に突出した前記支持部材の下部は、挿入方向に対して傾斜しているので、定規挿入路に平行定規を挿入すると、平行定規の先端が支持部材の傾斜面に当たって宙吊り状態の支持部材を上方に押し上げるようになっている。このため、平行定規の取付バーの板厚が薄ければ支持部材の押し上げが小さく、平行定規の取付バーの板厚が厚ければ支持部材の押し上げが大きくなるようになっている。このように平行定規の取付バーの板厚に応じた位置まで支持部材を押し上げた上で押圧手段によって支持部材を下方に押圧することで、様々な板厚の平行定規の取付バーを固定することができる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記支持部材は、両端を上方に折り曲げた略コ字形の板金部材であるので、折り曲げ箇所によって自然に曲面を形成することができる。すなわち、特別な加工を要せずに、定規挿入路の内部に突出した傾斜面を形成することができる。
【0024】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記ベースに対して回動可能かつ上下動可能なレバーによって前記押圧手段を構成し、前記レバーは、前記支持部材を下方に押圧するための押圧カムを備え、前記レバーの上下動を制限するための上下動制限手段を設けた。このため、レバーが上下動することで様々な平行定規の取付バーの板厚に対応することができ、従来のレバー式の機構の弱点であった平行定規の取付バーの板厚に対応できないという問題を解決することができる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、前記レバーは、前記上下動制限手段として前記ベースに対して突っ張る上下動制限カムを備え、前記レバーを回動させたときに、前記上下動制限カムによって前記レバーの上下動が制限された後に、前記押圧カムによって前記支持部材を下方に押圧する。このため、レバーを回動させるだけでレバーの上下動が制限されるとともに、支持部材を押圧して平行定規を固定することができ、平行定規の固定を容易に行うことができる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明は上記の通りであり、前記上下動制限手段は、前記レバーの回動軸を上方から押さえこむストッパ部材と、前記ストッパ部材の上方向への移動を規制する止めネジと、を備えて構成され、前記止めネジを締め付けまたは緩めることで、前記ストッパ部材の上方向への移動を規制する位置が調節可能である。このため、止めネジを締め付けまたは緩めることで様々な平行定規の取付バーの板厚に対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、
図1〜7を参照しつつ説明する。
【0029】
本実施形態に係る携帯用切断機10は、
図1に示すように、のこ刃14を回転可能に支持する切断機本体11の下部に、ベース20が回動可能に取り付けられたものである。切断機本体11のモータハウジング12の内部にはモータが内蔵されており、このモータを作動させることでのこ刃14が駆動され、被切断材を切断できるようにしたものである。
【0030】
モータは、切断機本体11後部のバッテリ装着部17に着脱可能に設けられたバッテリ18を駆動源として作動する。
【0031】
また、切断機本体11の上部には、のこ刃14の切断方向と略平行にグリップ15が設けられ、このグリップ15の内側に設けられたトリガ16を引くことでモータが作動するようになっている。
【0032】
ベース20は、切断機本体11の下部に設けられて被切断材に当接する金属製の板状部材であり、貫通形成された刃口からのこ刃14の一部を露出させることで、ベース20の下方において被切断材を切断できるように形成されている。
【0033】
このベース20の両側部には、被切断材を所定の寸法で平行に切断するための平行定規25が装着可能となっている。具体的には、
図1及び
図2に示すように、ベース20の両側部にそれぞれ2つずつ定規挿入路20aが開口しており、この定規挿入路20aに平行定規25の取付バー25bを挿入した上で、所定の装着機構で固定できるように形成されている。
【0034】
なお、平行定規25は公知の形状であり、被切断材の側面に当接させる定規本体25aの両端に、ベース20に取り付けるための取付バー25bを設けたものである。
【0035】
本実施形態に係る平行定規25の装着機構は、
図3に示すように、定規挿入路20aに挿入された平行定規25に対して上方向から平行に当接する支持部材としての板金部材30と、この板金部材30を上下動可能にベース20に取り付けるためのピン31と、板金部材30を下方に押圧可能な押圧手段としてのネジ部材32と、ネジ部材32を上方に付勢するバネ33と、を備えている。
【0036】
板金部材30は、両端を上方に折り曲げた略コ字形の部材であり、略平行な側面部に長孔30aと切り欠き30bとを設けたものである。長孔30a及び切り欠き30bにはピン31が挿通され、このピン31がベース20のピン支持孔20bに固定されることで、板金部材30はベース20に対して宙吊り状態で保持される。なお、長孔30aは上下に延びているため、板金部材30は自重で吊下がった状態となっており、長孔30aの縦幅の分だけ上下に移動できるようになっている。
【0037】
また、この板金部材30は、折り曲げ加工されることで曲折部30cが自然に曲面を形成している。そして、ピン31で板金部材30を吊り下げたときに、この曲面を形成した曲折部30cが定規挿入路20aの内部に突出するように配置される。詳しくは、
図4及び
図5に示すように、定規挿入路20aの挿入側から見たときに、宙吊り状態の板金部材30下部の曲折部30cが定規挿入路20aの内部に突出するとともに、この定規挿入路20aの内部に突出した曲折部30cは曲面を形成することで挿入方向に対して拾い込み斜面を形成している。
【0038】
すなわち、定規挿入路20aの内部に突出した板金部材30の下部には、挿入方向に対して傾斜した傾斜面と、挿入方向に対して水平な水平面とが形成され、水平面の挿入側端部が曲折することで円弧状の曲面が形成されている。
【0039】
ネジ部材32は、上部のつまみ32aと下部の軸部32bとからなる部材であり、板金部材30の上部に配置される。このネジ部材32の軸部32bの周面には雄ネジが形成されているため、つまみ32aを回転操作することで軸部32bがベース20に対して螺合可能となっており、つまみ32aを回転させることでネジ部材32が上下に進退するようになっている。ネジ部材32の下端部は板金部材30と当接可能な位置に配置されており、ネジ部材32を締め付けることで板金部材30を下方に押圧可能となっている。
【0040】
なお、このネジ部材32はバネ33によって上方に付勢されることによって、平行定規25が無い状態(フリー状態)での振動によるネジ部材32のゆるみを防止することができる。
【0041】
本実施形態に係る装着機構にを取り付ける際には、まず、
図5に示すように、ネジ部材32を緩めて板金部材30が上方に自由に移動できるようにする。
【0042】
この状態で平行定規25の取付バー25bを定規挿入路20aに挿入すると、
図6に示すように、取付バー25bの先端が板金部材30の曲折部30cに突き当たるが、曲折部30cに拾い込み斜面が形成されているため、取付バー25bが板金部材30を持ち上げられてそのまま挿入される。
【0043】
取付バー25bを挿入し終わったら、
図7に示すように、ネジ部材32を締め付けて板金部材30を下方に押圧する。これにより、板金部材30の下方の接面が面接触で取付バー25bを挟み込んで保持する。
【0044】
このような実施形態によれば、平行定規25に対して板金部材30が平行に面接触して平行定規25を固定するので、平行定規25の取付バー25b上面に圧痕がつくのを有効に防止することができる。
【0045】
また、板金部材30はベース20に宙吊り状態で保持されており、定規挿入路20aの挿入側から見たときに、宙吊り状態の板金部材30の曲折部30cが定規挿入路20aの内部に突出しているので、定規挿入路20aに平行定規25を挿入したときに、平行定規25の先端が板金部材30の傾斜面(曲折部30c)に当たって宙吊り状態の板金部材30を上方に押し上げるようになっている。このため、平行定規25の取付バー25bの板厚が薄ければ板金部材30の押し上げが小さく、平行定規25の取付バー25bの板厚が厚ければ板金部材30の押し上げが大きくなるようになっている。このように平行定規25の取付バー25bの板厚に応じた位置に押し上げられた板金部材30をネジ部材32によって下方に押圧することで、様々な板厚の平行定規25の取付バー25bを簡単に固定することができる。
【0046】
また、板金部材30は、両端を上方に折り曲げた略コ字形であるので、折り曲げ箇所によって自然に曲面を形成することができる。すなわち、定規挿入路20aの内部に突出し、平行定規25の取付バー25bの先端部と接触した場合に、板金部材30を押し上げるように誘導する傾斜面を特別な加工を要せずに形成することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、
図8〜12を参照しつつ説明する。
【0048】
なお、本実施形態に係る携帯用切断機10の基本的態様は第1の実施形態と同様であるので、重複した記載を避けて本実施形態の特徴点のみを説明する。
【0049】
本実施形態の特徴点は、第1の実施形態の板金部材30に代えて、
図8に示すようなブロック部材35を使用した点にある。
【0050】
このブロック部材35も、第1の実施形態の板金部材30と同様に、定規挿入路20aに挿入された平行定規25に対して上方向から平行に当接する支持部材としての役割を果たすものであり、両側に切り欠き35aを形成した略エ字形の金属製部材である。
【0051】
このブロック部材35は、切り欠き35aにピン31を係合させた状態でピン31がベース20のピン支持孔20bに固定されることで、ベース20に対して宙吊り状態で保持される。切り欠き35aはピン31よりも上下に幅広に形成されているため、ブロック部材35は自重で吊下がった状態となっており、切り欠き35aの幅の分だけ上下に移動できるようになっている。
【0052】
また、このブロック部材35は、下端縁部が面取り加工されて傾斜面35bを形成している。そして、ピン31でブロック部材35を吊り下げたときに、この傾斜面35bが定規挿入路20aの内部に突出するようになっている。詳しくは、
図9及び
図10に示すように、定規挿入路20aの挿入側から見たときに、宙吊り状態のブロック部材35下部の傾斜面35bが定規挿入路20aの内部に突出しており、この定規挿入路20aの内部に突出したブロック部材35の下部が挿入方向に対して拾い込み斜面を形成している。
【0053】
本実施形態に係る装着機構に平行定規25を取り付ける際には、まず、
図10に示すように、ネジ部材32を緩めてブロック部材35が上方に自由に移動できるようにする。
【0054】
この状態で平行定規25の取付バー25bを定規挿入路20aに挿入すると、
図11に示すように、取付バー25bの先端がブロック部材35の傾斜面35bに突き当たるが、傾斜面35bが傾斜しているため、取付バー25bがブロック部材35を持ち上げてそのまま挿入される。
【0055】
取付バー25bを挿入し終わったら、
図12に示すように、ネジ部材32を締め付けてブロック部材35を下方に押圧する。これにより、ブロック部材35の下方の接面が面接触で取付バー25bを挟み込んで保持する。
【0056】
このような実施形態によれば、平行定規25に対してブロック部材35が平行に面接触によって平行定規25を固定するので、平行定規25の取付バー25b上面に圧痕がつくのを有効に防止することができる。
【0057】
また、ブロック部材35はベース20に宙吊り状態で保持されており、定規挿入路20aの挿入側から見たときに、宙吊り状態のブロック部材35の傾斜面35bが定規挿入路20aの内部に突出しているので、定規挿入路20aに平行定規25を挿入すると、平行定規25の先端がブロック部材35の傾斜面35bに当たって宙吊り状態のブロック部材35を上方に押し上げるようになっている。このため、平行定規25の取付バー25bの板厚が薄ければブロック部材35の押し上げが小さく、平行定規25の取付バー25bの板厚が厚ければブロック部材35の押し上げが大きくなるようになっている。このように平行定規25の取付バー25bの板厚に応じた位置までブロック部材35を押し上げた上でネジ部材32によってブロック部材35を下方に押圧することで、様々な板厚の平行定規25の取付バー25bを固定することができる。
【0058】
なお、本発明の第2の実施形態では両側に切り欠き35aを形成した略エ字形の金属製部材としているが、略直方体のブロック形状にして、切り欠き35aに相当する2個のピン溝を貫通形成した構成にしてもよい。(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について、
図13〜17を参照しつつ説明する。
【0059】
なお、本実施形態に係る携帯用切断機10の基本的態様は第1の実施形態と同様であるので、重複した記載を避けて本実施形態の特徴点のみを説明する。
【0060】
本実施形態の特徴点は、第1の実施形態の装着機構に代えて、
図13に示すようなレバー式の装着機構を採用した点にある。
【0061】
本実施形態に係る平行定規25の装着機構は、
図13に示すように、定規挿入路20aに挿入された平行定規25に対して上方向から平行に当接する支持部材としての板金部材40と、この板金部材40を上下動可能にベース20に取り付けるためのピン41と、板金部材40を下方に押圧可能な押圧手段としてのレバー42と、を備えている。
【0062】
板金部材40は、両端を上方に折り曲げた略コ字形の部材であり、ピン41の軸方向に貫通する長孔40aを備えている。この板金部材40は、長孔40aにピン41を貫通させた状態でピン41がベース20のピンガイド孔20dに係合することで、ベース20に対して宙吊り状態で保持される。長孔40aは上下に延びているため、板金部材40は自重で吊下がった状態となっており、長孔40aの幅の分だけ上下に移動できるようになっている。
【0063】
また、この板金部材40は、折り曲げ加工されることで曲折部40bが自然に曲面を形成している。そして、ピン41で板金部材40を吊り下げたときに、この曲面を形成した曲折部40bが定規挿入路20aの内部に突出するようになっている。詳しくは、
図14に示すように、定規挿入路20aの挿入側から見たときに、宙吊り状態の板金部材40下部の曲折部40bが定規挿入路20aの内部に突出するとともに、この定規挿入路20aの内部に突出した曲折部40bは曲面を形成することで挿入方向に対して傾斜している。
【0064】
レバー42は、操作部42aを操作することで回動するものであり、回動軸孔42bを貫通する回動軸としてのピン41を中心に回動可能となっている。このとき、ピン41を支持するベース20のピンガイド孔20dは上下に延びる長孔で形成されているため、ピン41はピンガイド孔20dに沿って上下動可能となっている。このため、レバー42もベース20に対して上下動可能となっている。
【0065】
このレバー42の回動軸孔42b付近には、偏心が異なる二種類のカムが設けられている。1つは、板金部材40を下方に押圧するための押圧カム42cであり、もう1つは、レバー42の上下動を制限するための上下動制限手段としての上下動制限カム42dである。
【0066】
押圧カム42cは、レバー42を回動させたときに、板金部材40を下方に押圧するように作用するものである。
【0067】
一方、上下動制限カム42dは、レバー42を回動させたときに、ベース20に対して突っ張ることでレバー42の上下動を制限するように作用する。詳しくは、
図13等に示すように、ベース20の上下動制限カム42dに臨む位置には縦溝状のカム係合部20cが設けられており、レバー42を回動させたときに、このカム係合部20cの両側壁と上下動制限カム42dとが係合してレバー42の上下動が制限される。
【0068】
本実施形態に係る装着機構に平行定規25を取り付ける際には、まず、
図15に示すように、レバー42を解除方向に回動させる。これにより、板金部材40及びレバー42は上下動可能な状態となる。
【0069】
この状態で平行定規25の取付バー25bを定規挿入路20aに挿入すると、
図16に示すように、取付バー25bの先端が板金部材40の曲折部40bに突き当たるが、曲折部40bが傾斜しているため、取付バー25bが板金部材40を持ち上げてそのまま挿入される。このとき、板金部材40を持ち上げられると同時に、板金部材40の上に乗った状態のレバー42も上方に持ち上げられる。
【0070】
取付バー25bを挿入し終わったら、
図17に示すように、レバー42を固定方向に回動させる。すると、まずカム係合部20cの両側壁と上下動制限カム42dとが係合してレバー42の上下動が制限され、その後、押圧カム42cが板金部材40を下方に押圧する。これにより、板金部材40の下方の接面が面接触で取付バー25bを挟み込んで保持する。
【0071】
このような実施形態によれば、平行定規25に対して板金部材40が平行に面接触して平行定規25を固定するので、平行定規25の取付バー25b上面に圧痕がつくのを有効に防止することができる。
【0072】
また、板金部材40はベース20に宙吊り状態で保持されており、定規挿入路20aの挿入側から見たときに、宙吊り状態の板金部材40の曲折部40bが定規挿入路20aの内部に突出しているので、定規挿入路20aに平行定規25を挿入すると、平行定規25の先端が板金部材40の傾斜面(曲折部40b)に当たって宙吊り状態の板金部材40を上方に押し上げるようになっている。このため、平行定規25の取付バー25bの板厚が薄ければ板金部材40の押し上げが小さく、平行定規25の取付バー25bの板厚が厚ければ板金部材40の押し上げが大きくなるようになっている。このように平行定規25の取付バー25bの板厚に応じた位置まで板金部材40を押し上げた上でレバー42によって板金部材40を下方に押圧することで、様々な板厚の平行定規25の取付バー25bを固定することができる。
【0073】
特に、本実施形態のようなレバー式の機構においては平行定規25の取付バー25bの板厚の変化に対応しにくいという弱点があったが、本実施形態によれば、レバー42が上下動することで様々な平行定規25の取付バー25bの板厚に対応することができる。
【0074】
しかも、レバー42を回動させるだけでレバー42の上下動が制限されるとともに、板金部材40を押圧して平行定規25を固定することができ、平行定規25の固定を容易に行うことができる。
【0075】
また、板金部材40は、両端を上方に折り曲げた略コ字形であるので、折り曲げ箇所によって自然に曲面を形成することができる。すなわち、特別な加工を要せずに、定規挿入路20aの内部に突出する部位に傾斜面を形成することができる。
【0076】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について、
図18〜23を参照しつつ説明する。
【0077】
なお、本実施形態に係る携帯用切断機10の基本的態様は第1の実施形態と同様であるので、重複した記載を避けて本実施形態の特徴点のみを説明する。
【0078】
本実施形態の特徴点は、第1の実施形態の装着機構に代えて、
図18に示すようなレバー式の装着機構を採用した点にある。
【0079】
本実施形態に係る平行定規25の装着機構は、
図18に示すように、定規挿入路20aに挿入された平行定規25に対して上方向から平行に当接する支持部材としての板金部材45と、この板金部材45を上下動可能にベース20に取り付けるためのピン46と、板金部材45を下方に押圧可能な押圧手段としてのレバー47と、前記ピン46を上方から押さえこむストッパ部材48と、前記ストッパ部材48の上方向への移動を規制する止めネジ49と、を備えている。
【0080】
板金部材45は、両端を上方に折り曲げた略コ字形の部材であり、ピン41の軸方向に貫通する長孔45a及び切り欠き45bを備えている。この板金部材40は、長孔45a及び切り欠き45bにピン46を貫通させた状態でピン46がベース20のピンガイド孔20dに係合することで、ベース20に対して宙吊り状態で保持される。長孔45aは上下に延びているため、板金部材45は自重で吊下がった状態となっており、長孔45aの幅の分だけ上下に移動できるようになっている。
【0081】
また、この板金部材45は、折り曲げ加工されることで曲折部45cが自然に曲面を形成している。そして、ピン46で板金部材45を吊り下げたときに、この曲面を形成した曲折部45cが定規挿入路20aの内部に突出するようになっている。詳しくは、
図19及び
図20に示すように、定規挿入路20aの挿入側から見たときに、宙吊り状態の板金部材45下部の曲折部45cが定規挿入路20aの内部に突出するとともに、この定規挿入路20aの内部に突出した曲折部45cは曲面を形成することで挿入方向に対して傾斜している。
【0082】
レバー47は、操作部47aを操作することで回動するものであり、回動軸孔47bを貫通する回動軸としてのピン46を中心に回動可能となっている。このとき、ピン46を支持するベース20のピンガイド孔20dは上下に延びる長孔で形成されているため、ピン46はピンガイド孔20dに沿って上下動可能となっている。このため、レバー47もベース20に対して上下動可能となっている。
【0083】
このレバー47の回動軸孔47b付近には、板金部材45を下方に押圧するための押圧カム47cが設けられている。この押圧カム47cは、レバー47を回動させたときに、板金部材45を下方に押圧するように作用するものである。
【0084】
ストッパ部材48及び止めネジ49は、レバー47の上下動を制限するための上下動制限手段として機能するものである。ストッパ部材48は、略コ字形の部材であり、両端がピン46と当接するように配置される。止めネジ49は、ベース20の止めネジ挿入部20eに螺合して上下動するものであり、下端においてストッパ部材48を抑えつけている。このため、止めネジ49を締め付けることで、ストッパ部材48の上方向への移動が規制され、ストッパ部材48が上方からピン46を押さえこむようになっている。言い換えると、止めネジ49を締め付けまたは緩めることで、ストッパ部材48及びピン46の上方向への移動を規制する位置を調節可能となっている。
【0085】
本実施形態に係る装着機構に平行定規25を取り付ける際には、予め止めネジ49を締め付けまたは緩めることで、平行定規25の取付バー25bの板厚に合うように、ストッパ部材48及びピン46の上方向への移動を規制する位置を調節する。そして、
図20に示すように、レバー42を解除方向に回動させる。これにより、板金部材45及びレバー47は、ストッパ部材48及び止めネジ49によってピン46の移動が規制される範囲において、上下動可能な状態となる。
【0086】
この状態で平行定規25の取付バー25bを定規挿入路20aに挿入すると、
図21に示すように、取付バー25bの先端が板金部材45の曲折部45cに突き当たるが、曲折部45cが傾斜しているため、取付バー25bが板金部材45を持ち上げてそのまま挿入される。このとき、板金部材45を持ち上げられると同時に、板金部材45の上に乗った状態のレバー47も上方に持ち上げられる。
【0087】
取付バー25bを挿入し終わったら、
図22及び
図23に示すように、レバー47を固定方向に回動させる。すると、押圧カム47cが板金部材45を下方に押圧する。これにより、板金部材45の下方の接面が面接触で取付バー25bを挟み込んで保持する。
【0088】
このような実施形態によれば、平行定規25に対して板金部材45が平行に面接触して平行定規25を固定するので、平行定規25の取付バー25b上面に圧痕がつくのを有効に防止することができる。
【0089】
また、板金部材45はベース20に宙吊り状態で保持されており、定規挿入路20aの挿入側から見たときに、宙吊り状態の板金部材45の曲折部45cが定規挿入路20aの内部に突出しているので、定規挿入路20aに平行定規25を挿入すると、平行定規25の先端が板金部材45の傾斜面(曲折部45c)に当たって宙吊り状態の板金部材45を上方に押し上げるようになっている。このため、平行定規25の取付バー25bの板厚が薄ければ板金部材45の押し上げが小さく、平行定規25の取付バー25bの板厚が厚ければ板金部材45の押し上げが大きくなるようになっている。このように平行定規25の取付バー25bの板厚に応じた位置まで板金部材45を押し上げた上でレバー47によって板金部材45を下方に押圧することで、様々な板厚の平行定規25の取付バー25bを固定することができる。
【0090】
特に、本実施形態のようなレバー式の機構においては平行定規25の取付バー25bの板厚の変化に対応しにくいという弱点があったが、本実施形態によれば、レバー47が上下動することで様々な平行定規25の取付バー25bの板厚に対応することができる。
【0091】
また、板金部材45は、両端を上方に折り曲げた略コ字形であるので、折り曲げ箇所によって自然に曲面を形成することができる。すなわち、特別な加工を要せずに、定規挿入路20aの内部に突出する部位に傾斜面を形成することができる。
【0092】
なお、本実施形態では、定規挿入路20aの内部に突出した支持部材の折曲部を曲面形成としたが、取付バー25bの先端部の拾いこみができる面取り斜面としてもよい。