特許第5920049号(P5920049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920049
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20160428BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20160428BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 612U
   G09G3/20 622E
   G09G3/20 622G
   G09G3/20 611A
   G09G3/20 623R
   G09G3/20 660Q
   G02F1/133 505
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-139296(P2012-139296)
(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公開番号】特開2014-2331(P2014-2331A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】清水 健
【審査官】 西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−133934(JP,A)
【文献】 特開2002−169517(JP,A)
【文献】 特開平02−143781(JP,A)
【文献】 特開2001−265293(JP,A)
【文献】 特開平11−052926(JP,A)
【文献】 特開2007−079398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が水平方向及び垂直方向にマトリクス状に配置され、それぞれの画素に設けられた画素電極と、前記画素電極と対向する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に封入された液晶とを有する液晶パネルと、
前記対向電極に印加され、前記液晶パネルに表示する映像データのサブフレームごとにローとハイとが交互に繰り返される電圧と同期させて、前記画素電極に、前記対向電極に印加される電圧がローであればロー、前記対向電極に印加される電圧がハイであればハイの電圧を印加することによって、前記液晶パネルに黒を表示させる黒データを生成する黒データ生成部と、
前記液晶パネルの水平方向の所定の位置の画素に前記映像データまたは前記黒データを表示させるよう駆動する水平駆動回路と、
前記映像データまたは前記黒データを前記液晶パネルの垂直方向の所定のラインに表示させるよう駆動する垂直駆動回路と、
を備え、
前記水平駆動回路は、前記映像データが有する水平方向の画素数に応じたモード信号に基づいて、前記映像データを構成する画素データを書き込む水平位置のカラムを選択するデータセレクタ付き並列Dフリップフロップを有し、
前記データセレクタ付き並列Dフリップフロップには、前記黒データ生成部によって生成され、前記液晶パネルの水平方向の所定の画素に表示される前記黒データ、または前記画素数に応じた映像データを構成する画素データが供給されるように構成されており、
前記水平駆動回路は、前記データセレクタ付き並列Dフリップフロップより出力された前記映像データまたは前記黒データが入力され、入力された前記映像データまたは前記黒データを前記液晶パネルに表示させる水平方向の位置を調整する画素位置調整シフトレジスタをさらに有し、
前記画素位置調整シフトレジスタの初段、前記黒データ生成部によって生成された前記黒データが供給されるように構成されている
ことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
前記水平駆動回路は、前記画素位置調整シフトレジスタより出力された前記映像データまたは前記黒データを前記液晶パネルのそれぞれの画素に供給する水平方向信号ドライバをさらに有し、
前記水平方向信号ドライバに、前記黒データ生成部によって生成された前記黒データが供給されるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
【請求項3】
前記垂直駆動回路は、前記液晶パネルのそれぞれのラインに対して接続され、垂直方向のアドレスを生成するアドレスデコーダを有することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
LCOS等の液晶表示素子を用いて映像を拡大投射する投射型表示装置が普及している。従来、液晶表示素子にアナログ信号を入力して階調を表現するアナログ駆動方式が主として用いられていたが、近年になって、液晶表示素子にPWM(Pulse Width Modulation)のデジタル信号を入力して階調を表現するデジタル駆動方式が多く用いられるようになってきた。
【0003】
デジタル駆動方式では、階調に応じたパルス幅のデジタル信号をそれぞれサブフレームのデータとし、例えば64サブフレームのデータによって階調を表現する。
【0004】
近年、液晶表示素子に入力する映像データの画素数はますます増大している。液晶表示素子に4K2Kと称される画素数の映像データが入力される場合がある。4K2Kとは、水平方向の画素数×垂直方向の画素数という表記を用いて、例えば、4096×2400,4096×2160,3840×2160等の画素数のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−51643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、投射型表示装置で投射する映像の領域を狭くした場合、狭くした映像の外側部分は黒となる。映像の外側部分を黒にするためには、一般的には、黒データに相当するデジタル信号を液晶表示素子の画素に書き込む。この場合、液晶表示素子の外部で黒データを生成して液晶表示素子に供給することになる。
【0007】
ところで、4K2Kの画素数に対応した液晶表示素子に、4K2Kの44ビットの映像データを64サブフレームのサブフレーム数で入力したとすると、入力する映像データの必要なデータレートは約1Gbpsとなる。映像データのデータレートが高くなれば、回路規模が増大し、消費電力が増えてしまう。
【0008】
液晶表示素子に外部から供給するデータを黒データ以外の映像データのみとすれば、データレートを下げることが可能となる。データレートを下げれば、回路規模を削減することができ、消費電力を少なくすることができる。
【0009】
また、液晶表示素子に外部から供給するデータを黒データ以外の映像データのみとしてデータレートを変更しないとすれば、サブフレーム数を例えば65サブフレームや66サブフレームのように増大させることが可能となる。サブフレーム数を増大させれば、表現可能な階調数が増大するので、高画質とすることができる。
【0010】
このように、液晶表示素子に外部から供給するデータを黒データ以外の映像データのみとすることは、種々の好都合を生むことになる。そこで、黒データを外部から供給しなくても、液晶表示素子が備える周辺回路を用いて黒を表示することができる液晶表示素子が望まれる。
【0011】
本発明はこのような要望に対応するため、液晶表示素子が備える周辺回路を用いて黒を表示することができる液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、複数の画素が水平方向及び垂直方向にマトリクス状に配置され、それぞれの画素に設けられた画素電極と、前記画素電極と対向する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に封入された液晶とを有する液晶パネルと、前記対向電極に印加され、前記液晶パネルに表示する映像データのサブフレームごとにローとハイとが交互に繰り返される電圧と同期させて、前記画素電極に、前記対向電極に印加される電圧がローであればロー、前記対向電極に印加される電圧がハイであればハイの電圧を印加することによって、前記液晶パネルに黒を表示させる黒データを生成する黒データ生成部と、前記液晶パネルの水平方向の所定の位置の画素に前記映像データまたは前記黒データを表示させるよう駆動する水平駆動回路と、前記映像データまたは前記黒データを前記液晶パネルの垂直方向の所定のラインに表示させるよう駆動する垂直駆動回路とを備え、前記水平駆動回路は、前記映像データが有する水平方向の画素数に応じたモード信号に基づいて、前記映像データを構成する画素データを書き込む水平位置のカラムを選択するデータセレクタ付き並列Dフリップフロップを有し、前記データセレクタ付き並列Dフリップフロップには、前記黒データ生成部によって生成され、前記液晶パネルの水平方向の所定の画素に表示される前記黒データ、または前記画素数に応じた映像データを構成する画素データが供給されるように構成されており、前記水平駆動回路は、前記データセレクタ付き並列Dフリップフロップより出力された前記映像データまたは前記黒データが入力され、入力された前記映像データまたは前記黒データを前記液晶パネルに表示させる水平方向の位置を調整する画素位置調整シフトレジスタをさらに有し、前記画素位置調整シフトレジスタの初段、前記黒データ生成部によって生成された前記黒データが供給されるように構成されていることを特徴とする液晶表示素子を提供する。
【0015】
上記の液晶表示素子において、前記水平駆動回路は、前記画素位置調整シフトレジスタより出力された前記映像データまたは前記黒データを前記液晶パネルのそれぞれの画素に供給する水平方向信号ドライバをさらに有し、前記水平方向信号ドライバに、前記黒データ生成部によって生成された前記黒データが供給されるように構成されていることが好ましい。
【0016】
上記の液晶表示素子において、前記垂直駆動回路は、前記液晶パネルのそれぞれのラインに対して接続され、垂直方向のアドレスを生成するアドレスデコーダを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液晶表示素子によれば、液晶表示素子が備える周辺回路を用いて黒を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の液晶表示素子の一実施形態を示すブロック図である。
図2図1中のデータセレクタ付き並列Dフリップフロップ4の具体的構成例を示すブロック図である。
図3図2に示すデータセレクタ付き並列Dフリップフロップ4の具体的構成例の動作を説明するための図である。
図4図1中の画素位置調整シフトレジスタ5の具体的構成例を示すブロック図である。
図5】一実施形態における黒データの生成方法を説明するためのタイミングチャートである。
図6図1中の水平方向信号ドライバ6の具体的構成例を示すブロック図である。
図7図6に示す水平方向信号ドライバ6の具体的構成例の動作を説明するための図である。
図8図6に示す水平方向信号ドライバ6の具体的構成例の動作を説明するための図である。
図9図1中のアドレスデコーダ8a,8bの具体的構成例を示すブロック図である。
図10】一実施形態による映像データ及び黒データの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の液晶表示素子の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1において、液晶パネル1には、複数の画素Pxがマトリクス状に配置されている。液晶パネル1は、4K2Kに対応した画素数を有する。図1では図示の都合上、画素Pxの数を4K2Kの画素数よりも少ない数としている。
【0020】
本実施形態では、液晶パネル1の水平方向の画素数は4096画素に対応した画素数とする。具体的には、4096画素の左右に4画素ずつの調整画素を有して、4104画素を有するとする。液晶パネル1の垂直方向のライン数は2400ラインに対応したライン数とし、同様に、上下に4ラインずつの調整ラインを有して、2408ラインを有するとする。
【0021】
液晶パネル1は、それぞれの画素Pxに対応して設けられた画素電極と、画素電極に対向し、全ての画素電極に対して共通に設けられた対向電極とを有する。対向電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide)により形成される。液晶パネル1は、画素電極と対向電極との間に封入された液晶を有する。
【0022】
液晶パネル1に表示する映像データは、高速インタフェース(高速I/F)2を介してデジタル信号バス3へと供給される。映像データにおける1ライン分の画素データは、データセレクタ付き並列Dフリップフロップ(データセレクタ付き並列DFF)4へと入力される。データセレクタ付き並列DFF4は、水平駆動回路である。
【0023】
制御部7は、液晶パネル1における水平方向の所定の画素に表示する黒データDblkを生成して、デジタル信号バス3に供給する場合がある。この黒データDblkは液晶表示素子の周辺回路である制御部7によって生成するデータであり、液晶表示素子の外部より供給されるデータではない。黒データDblkの生成方法については後述する。
【0024】
上記のように、4K2Kの画素数は、4096×2400,4096×2160,3840×2160と複数存在している。本実施形態では、これらの全ての画素数の映像データを表示可能としている。また、4K2Kの映像データではなく、いわゆるフルHDと称されている1920×1080の画素数の映像データも表示可能としている。
【0025】
即ち、本実施形態の液晶表示素子には、水平方向の画素数として、4096,3840,1920のいずれかの映像データが入力されることになる。データセレクタ付き並列DFF4におけるデータセレクタは、映像データの水平方向の画素数が4096,3840,1920のいずれであっても、それぞれに対応して映像データを表示させるために設けられている。
【0026】
図2を用いて、データセレクタ付き並列DFF4の具体的構成例について説明する。図2は、データセレクタ付き並列DFF4における1つの画素に対応して設けられている1カラム分の構成を示している。データセレクタ付き並列DFF4は、図2に示す構成が4104カラム分、並列的に設けられている。
【0027】
図2において、データd1は水平方向の画素数1920の映像データを構成する1画素のデータ、データd2は水平方向の画素数3840の映像データを構成する1画素のデータ、データd3は水平方向の画素数4096の映像データを構成する1画素のデータであるとする。
【0028】
データセレクタ41には、データd1と、データセレクタ42によって選択されたデータとが入力される。データセレクタ42には、データd2,d3が入力される。データセレクタ43には、イネーブル信号EN1と、データセレクタ44によって選択されたイネーブル信号とが入力される。データセレクタ44には、イネーブル信号EN2,EN3が入力される。
【0029】
データセレクタ41,43にはモード信号M1が入力され、データセレクタ42,44にはモード信号M2が入力される。モード信号M1,M2は、それぞれ、“0”または“1”である。モード信号M1,M2は、制御部7より入力される。
【0030】
データセレクタ41〜44は、モード信号M1,M2が“0”であれば端子0に入力されるデータまたはイネーブル信号を選択し、モード信号M1,M2が“1”であれば端子1に入力されるデータまたはイネーブル信号を選択する。
【0031】
従って、データセレクタ45に入力される選択信号SELと入力信号DINは、図3に示すように、モード信号M1,M2がいずれも“0”であれば、イネーブル信号EN3とデータd3となる。モード信号M1が“0”、モード信号M2が“1”であれば、選択信号SELと入力信号DINは、イネーブル信号EN2とデータd2となる。モード信号M1が“1”、モード信号M2が“0”であれば、選択信号SELと入力信号DINは、イネーブル信号EN1とデータd1となる。
【0032】
データセレクタ45は、選択信号SELが“1”であれば端子1に入力される入力信号DINを出力し、選択信号SELが“0”であれば、入力信号DINを出力しない。従って、データセレクタ45の出力は、図3に示すように、イネーブル信号EN3,EN2,EN1が“0”であればQとして示す前のデータを保持する状態となり、イネーブル信号EN3,EN2,EN1が“1”であればデータd3,d2,d1となる。
【0033】
データセレクタ45の出力は、DFF46で一旦保持されて、後段の画素位置調整シフトレジスタ5を構成するDFFへと入力される。DFF46には、クロックCLKが入力される。クロックCLKは、制御部7よりDFF46へと供給される。
【0034】
このように、データセレクタ付き並列DFF4は、それぞれのカラムにおいて、モード信号M1,M2とイネーブル信号EN1〜EN3をそれぞれ設定することによって、データd1〜d3のいずれかを選択する。データd1〜d3を選択することによって、映像データの水平方向の画素数が4096,3840,1920のいずれであっても、適切な水平位置のカラムに画素データを書き込むことができる。
【0035】
入力される映像データの画素数が固定であれば、データセレクタを省略してDFF46のみとしてもよい。
【0036】
データセレクタ付き並列DFF4より出力された1ライン分の画素データは、画素位置調整シフトレジスタ5に入力される。画素位置調整シフトレジスタ5は、並列入力シフトレジスタによって構成できる。画素位置調整シフトレジスタ5は、水平駆動回路である。
【0037】
図4に示すように、画素位置調整シフトレジスタ5には、クロックCLKと、データセレクタ付き並列DFF4が保持しているデータを画素位置調整シフトレジスタ5へと転送させるためのデータDloadとが入力される。また、画素位置調整シフトレジスタ5には、制御部7によって生成される黒データDblkが入力される。
【0038】
画素位置調整シフトレジスタ5は、データセレクタ付き並列DFF4より出力された1ライン分の画素データの水平方向の位置を調整することができる。上記のように、液晶パネル1は、4096画素の左右に4画素ずつの調整画素を有しているので、水平方向4096画素の映像データを入力した場合であっても、1ライン分の4096画素を最も左側に寄せた状態と最も右側に寄せた状態との間で画素データの位置を調整することができる。
【0039】
画素位置調整シフトレジスタ5は、制御部7よりシリアルに入力される黒データDblkを水平方向にシフトさせることによって、映像データの画素データ以外に黒データDblkを保持させることができる。画素位置調整シフトレジスタ5は、1ラインの全てに対して黒データDblkを保持させることもできる。
【0040】
ここで、図5を用いて、黒データDblkの生成方法について説明する。図5において、(a)は、対向電極に印加される電圧を示している。対向電極に印加される電圧は、サブフレーム(SF)ごとにロー(L)とハイ(H)とが交互に繰り返される。図5において、(b)は、画素電極に印加される電圧を示している。図5の(a)に示す対向電極に印加される電圧のL,Hと同期させて、画素電極に印加される電圧をL,Hとすれば、黒が表示されることになる。
【0041】
そこで、図5の(c)に示すように、1つ前のサブフレームのタイミングで、対向電極に印加される電圧がLのときにH、HのときにLとなるよう、L,Hとを交互に繰り返す黒データDblkを生成する。図5の(c)に示す黒データDblkを、図5の(d)に示すそれぞれのサブフレームの先頭でHとなるパルスのタイミングで、一括して画素に転送する。
【0042】
制御部7は、対向電極に印加され、液晶パネル1に表示する映像データのサブフレームごとにローとハイとが交互に繰り返される電圧と同期させて、画素電極に、対向電極に印加される電圧がローであればロー、対向電極に印加される電圧がハイであればハイの電圧を印加することによって、液晶パネル1に黒を表示させる黒データを生成する黒データ生成部となっている。
【0043】
画素位置調整シフトレジスタ5より出力された1ライン分の画素データは、水平方向信号ドライバ6に入力される。水平方向信号ドライバ6は、水平駆動回路である。
【0044】
図6を用いて、水平方向信号ドライバ6の具体的構成例について説明する。図6は、水平方向信号ドライバ6における1つの画素に対応して設けられている1カラム分の構成を示している。水平方向信号ドライバ6は、図6に示す構成が4104カラム分、並列的に設けられている。
【0045】
図6において、データセレクタ61の端子00には、画素位置調整シフトレジスタのDFFより出力された画素データが入力される。データセレクタ61の端子01には、制御部7より出力されたL固定のデータが入力される。データセレクタ61の端子10には、制御部7より出力されたH固定のデータが入力される。L固定またはH固定のデータは、黒データDblkに相当する。
【0046】
データセレクタ61には、ライン単位で端子00,01,10を選択する2ビットの選択信号SLselが入力される。データセレクタ61は、図7に示すように、選択信号SLselが“00”であれば、通常状態として、端子00を選択する。データセレクタ61は、選択信号が“01”であれば、L固定の端子01を選択し、選択信号が“10” であれば、H固定の端子10を選択する。
【0047】
データセレクタ61の出力は、NAND回路62の一方の入力端子に入力される。NAND回路62の他方の入力端子には、出力制御信号SOUTctlが入力される。図8に示すように、出力制御信号SOUTctlは、“1”または“0”である。
【0048】
図1に示す構成は、液晶表示素子をテストするために液晶パネル1への書き込みを停止させることができる。出力制御信号SOUTctlが“0”であれば、ハイインピーダンスとなって、水平方向信号ドライバ6の出力は水平方向信号線をドライブしない状態となる。通常の動作状態では、出力制御信号SOUTctlは“1”であるので水平方向信号ドライバ6の出力には画素データが出力される。
【0049】
データセレクタ61の出力は反転されて、AND回路63の一方の入力端子に入力される。出力制御信号SOUTctlは、NOT回路64で反転されて、さらに、NOT回路64の出力が反転されて、AND回路63の他方の入力端子に入力される。
【0050】
NAND回路62の出力はp型MOSFET65に入力され、AND回路63の出力はn型MOSFET66に入力される。p型MOSFET65とn型MOSFET66とのCMOS回路の出力が、液晶パネル1の画素Pxへと供給される。この回路構成で出力をハイインピーダンスにする場合はp型MOSFET65とn型MOSFET66をOFF状態にする。また通常状態ではp型MOSFET65とn型MOSFET66が共にON状態になるインバータ動作を行う状態になる。
【0051】
本実施形態の液晶表示素子は、液晶パネル1の垂直駆動回路として、アドレスデコーダ8a,8bを備える。図1に示す構成例では、液晶パネル1の左右方向から駆動できるようアドレスデコーダ8a,8bを備える。左側のアドレスデコーダ8aのみ、右側のアドレスデコーダ8bのみとしてもよい。アドレスデコーダ8a,8bをアドレスデコーダ8と総称する。
【0052】
シフトレジスタを垂直駆動回路として用いるのが一般的であるが、本実施形態では、複数ラインに黒を表示する場合でも書き込み時間を少なくすることができるアドレスデコーダ8を垂直駆動回路として用いている。
【0053】
図9を用いて、アドレスデコーダ8の具体的構成例について説明する。図9は、アドレスデコーダ8における1つのラインに対応して設けられている1ライン分の構成を示している。アドレスデコーダ8は、図9に示す構成が2408ライン分、並列的に設けられている。
【0054】
制御回路7は、mビットカウント71を有する。垂直アドレスデコーダ81には、mビットカウント71のカウント出力と反転カウント出力とが入力される。垂直アドレスデコーダ81は、垂直方向のアドレスと一致するカウンタ値が“0”になったら、“1”を出力する。垂直アドレスデコーダ81には、ラインごとに異なるmビットカウント71が接続されている。
【0055】
NAND回路82の一方の入力端子には、垂直アドレスデコーダ81の出力が反転されて入力される。NAND回路82の他方の入力端子には、ライン単位で黒を表示する際に“1”とする黒書き込み信号SBWが反転されて入力される。NAND回路82の出力は、AND回路83の一方の入力端子に入力される。AND回路83の他方の入力端子には、1ラインを駆動する時間の幅を決めるパルス幅信号SPWが入力される。
【0056】
これにより水平方向に画素をドライブする行走査線に出力される画素の有効データ時間とライン選択時間のタイミングを合わせて正しい画素に正しいタイミングで書き込みができる。
【0057】
AND回路83の出力は、行走査線を垂直方向に選択するライン選択信号SVLselとなる。
【0058】
アドレスデコーダ8は、黒データDblkを表示するラインを選択することができる。また、アドレスデコーダ8は、黒データDblkを表示する複数のラインを選択することができる。
【0059】
液晶パネル1に書き込んだデータをテスト用に読み出す場合には、シフトレジスタ9にスタートパルスPsttを入力する。シフトレジスタ9は、液晶パネル1より読み出したデータをシリアルデータとしてテスト用の比較部10に供給する。
【0060】
以上のようにして、本実施形態の液晶表示素子によれば、一例として、図10のように、白で示している映像データの周囲部に、液晶表示素子が有する周辺回路によって生成した黒データDblkによる黒を表示することができる。図10でも図示の都合上、画素Pxの数を4K2Kの画素数よりも少ない数としている。
【0061】
図10に示す例では、液晶表示素子に白で示している映像データのみを供給すればよく、周囲の黒データを外部から供給する必要はない。よって、映像データのデータレートを下げることができ、回路規模を削減することができ、消費電力を少なくすることができる。また、データレートを変更しない場合には、サブフレーム数を増大させることができ、表現可能な階調数を増させて高画質とすることができる。
【0062】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。本実施形態では、黒データDblkをデータセレクタ付き並列Dフリップフロップ4、画素位置調整シフトレジスタ5、水平方向信号ドライバ6のいずれに対しても供給するようにしているが、これらのうち、任意の1または2に対して供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 液晶パネル
2 高速インタフェース
3 デジタル信号バス
4 データセレクタ付き並列Dフリップフロップ(水平駆動回路)
5 画素位置調整シフトレジスタ(水平駆動回路)
6 水平方向信号ドライバ(水平駆動回路)
7 制御部(黒データ生成部)
8a,8b アドレスデコーダ(垂直駆動回路)
9 シフトレジスタ
10 比較部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10