(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
絶縁電線における絶縁被覆の材料は、通常、合成樹脂からなる粒状の部材(粒状樹脂材)である。そのような粒状樹脂材は、樹脂ペレットなどと称される。また、有彩色の絶縁被覆の材料は、予め定められた比率で混合された主材料の粒状樹脂材と着色材料の粒状樹脂材とを含む。以下、前者を主粒状樹脂材と称し、後者を着色粒状樹脂材と称する。主粒状樹脂材の色は白色であり、着色粒状樹脂材の色は、比較的濃い赤色又は青色などの有彩色である。有彩色の絶縁被覆の材料において、着色粒状樹脂材の配合率は、5%に満たない比較的低い目標値に設定される。
【0003】
絶縁電線の製造工程において、有彩色の絶縁被覆の材料を得るために、粒状体配合装置が用いられる。粒状体配合装置は、主粒状樹脂材及び着色粒状樹脂材の各々をそれぞれ異なる速度で所定の材料供給先へ送り出す複数の粒状体供給装置を備えている。
【0004】
従来、絶縁電線の製造工程で用いられる粒状体配合装置は、主粒状樹脂材及び着色粒状樹脂材の各々を送り出す複数のスクリュー式粒状体供給装置を備えている。スクリュー式粒状体供給装置は、一般に、スクリューフィーダと称される。
【0005】
スクリュー式粒状体供給装置は、粒状体が供給される中空部を囲む筒状の外筒部材と、その外筒部材の中空部において回転するスクリュー部材とを備えている。粒状体は、回転するスクリュー部材における螺旋状の羽根の間の空間を通って送り出される。
【0006】
また、特許文献1には、スクリュー式粒状体供給装置と振動フィーダとを備える粒状体配合装置が示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、絶縁電線の製造において、絶縁被覆の色をより薄くするほど、即ち、着色粒状樹脂材の配合率がより低く設定されるほど、着色粒状樹脂材のコストを低減できる。
【0009】
しかしながら、着色粒状樹脂材の配合率がより低く設定されるほど、実際の着色粒状樹脂材の配合率のばらつきに起因する見た目上の絶縁被覆の色のばらつきが顕著となる。
【0010】
さらに、スクリュー式粒状体供給装置は、粒状体の供給速度が低く設定されると、供給速度の誤差の比率が大きくなる。そのため、絶縁電線の製造工程で用いられる従来の粒状体配合装置において、着色粒状樹脂材の配合比率の設定値が低いほど、配合比率のばらつきが大きくなり、製造された絶縁電線の絶縁被覆における見た目上の色のばらつきがより顕著となる。
【0011】
また、特許文献1に示される振動フィーダなどの他の一般的な粒状体供給装置は、絶縁被覆の材料を配合する粒状体配合装置への採用に適していない。例えば、振動フィーダは、スクリュー式粒状体供給装置よりも粒状樹脂材の供給速度のばらつきが大きい。
【0012】
本発明は、絶縁電線における絶縁被覆の主材料及び着色材料各々の粒状樹脂材を供給先へ送り出す粒状体配合装置において、着色材料の粒状樹脂材の配合比率の精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1態様に係る粒状体供給装置は、絶縁電線における絶縁被覆の着色材料である粒状樹脂材を送り出す装置であり、筒状回転部材を備える。この筒状回転部材は、上記粒状樹脂材が供給される中空部を囲み、円筒面に沿って形成された筒状の回転物であり、横向きに支持された状態で軸心の周りに回転する部材である。さらに、上記筒状回転部材は、一端の開口から少なくとも一部の範囲を占め、それぞれ一連の螺旋状の稜線を形成し相互に平行な複数の螺旋状凸部が内側面に形成された送出筒部を有する。
【0014】
また、第1態様に係る粒状体供給装置
では、上記筒状回転部材は、上記送出筒部に連なり、一部に上記粒状樹脂材の入口をなす開口が形成され、内側面が円筒面状に形成された受入筒部をさらに有する。
【0015】
本発明の第2態様に係る粒状体供給装置は、第1態様に係る粒状体供給装置の一態様である。
第2態様に係る粒状体供給装置において、上記筒状回転部材の上記送出筒部の内側面における複数の上記螺旋状凸部各々の横断面の輪郭形状が円弧状である。
【0016】
本発明の
第3態様は、絶縁電線における絶縁被覆の着色材料である粒状樹脂材を送り出す粒状体供給装置であって、さらに、前記粒状樹脂材が供給される中空部を囲み、円筒面に沿って形成された筒状の回転物であり、横向きに支持された状態で軸心の周りに回転する筒状回転部材を備え、前記筒状回転部材は、一端の開口から少なくとも一部の範囲を占め、それぞれ一連の螺旋状の稜線を形成し相互に平行な複数の螺旋状凸部が内側面に形成された送出筒部を有し、前記筒状回転部材の前記送出筒部の内側面における複数の前記螺旋状凸部各々の横断面の輪郭形状が円弧状とされた粒状体供給装置の製造方法であって、上記筒状回転部材の前記送出筒部を、それぞれ横断面が円形の複数の線材が、横並びに配列されかつ螺旋状に巻かれた状態に成形された部材
とした。
【0017】
また、本発明は、上記各態様に係る粒状体供給装置を備える粒状体配合装置の発明として捉えられてもよい。本発明の
第4態様に係る粒状体配合装置は、以下に示される各構成要素を備えている。
(1)第1の構成要素は、絶縁電線における絶縁被覆の主材料である第1の粒状樹脂材を材料供給先へ送り出す第1の粒状体供給装置である。この第1の粒状体供給装置は、上記第1の粒状樹脂材が供給される中空部を囲む筒状の外筒部材、及びその外筒部材の中空部において回転するスクリュー部材を備えるスクリュー式粒状体供給装置である。
(2)第2の構成要素は、上記絶縁電線における上記絶縁被覆の着色材料である第2の粒状樹脂材を上記材料供給先へ送り出す第2の粒状体供給装置である。この第2の粒状体供給装置は、上記第2の粒状樹脂材が供給される中空部を囲み、円筒面に沿って形成された筒状の回転物であり、横向きに支持された状態で軸心の周りに回転する筒状回転部材を備えている。この筒状回転部材は、一端の開口から少なくとも一部の範囲を占め、それぞれ一連の螺旋状の稜線を形成し相互に平行な複数の螺旋状凸部が内側面に形成された送出筒部
と、前記送出筒部に連なり、一部に前記第2の粒状樹脂材の入口をなす開口が形成され、内側面が円筒面状に形成された受入筒部とを有する。
【発明の効果】
【0018】
上記の各態様に係る装置によれば、着色用の複数の粒状樹脂材は、筒状回転部材における送出筒部の中空部において、自重と回転する複数の螺旋状凸部から受ける推進力とにより、送出筒部における内側面の底部に一列に並ぶ状態で開口端(出口)方向へほぼ一定速度で進行する。これにより、着色用の粒状樹脂材は、送出筒部の開口端(出口)から一定周期で1粒ずつ連続的に排出され、粒状樹脂材の供給速度(排出速度)のばらつきが小さくなる。
【0019】
従って、上記筒状回転部材を備える粒状体供給装置又はそれを備える粒状体配合装置が採用されれば、着色材料の粒状樹脂材の配合比率の精度を高めることが可能となる。その結果、着色用の粒状樹脂材の配合比率を従来よりも低く設定することによって絶縁被覆の樹脂材料を低減することが可能となる。
【0020】
また、
第1、第2、第4の態様に係る粒状体供給装置において、筒状回転部材における受入筒部の内側面には、着色用の粒状樹脂材に推進力を与える凸部が形成されていない。この場合、着色用の粒状樹脂材は、受入筒部の中空部から送出筒部の入口付近に亘る領域において山積み状態で一時滞留した後、送出筒部の開口端(出口)へ向かうにつれて徐々に一列に並ぶ状態へ遷移する。そして、着色用の粒状樹脂材の送出筒部からの排出速度と、受入筒部から送出筒部への着色用の粒状樹脂材の供給速度とが自然に均衡する。従って、特別な制御装置を付加することなく、着色用の粒状樹脂材を送出筒部内へ安定供給することが可能になる。
【0021】
また、
第2態様に係る粒状体供給装置において、筒状回転部材の送出筒部の内側面における複数の螺旋状凸部各々の横断面の輪郭が円弧状である。この場合、螺旋状凸部各々と着色用の粒状樹脂材とが円滑に接触し、これにより螺旋状凸部から粒状樹脂材に作用する推進力が安定する。その結果、粒状樹脂材の供給速度(排出速度)がより安定する。
【0022】
また、
第3態様に係る粒状体供給装置
の製造方法において、筒状回転部材の送出筒部は、それぞれ横断面が円形の複数の線材が、横並びに配列されかつ螺旋状に巻かれた状態に成形された部材からなる。この場合、螺旋状凸部が円筒部材の切削加工によって形成される場合に比べ、簡易にかつ低コストで送出筒部を成形することが可能である。
【0023】
ところで、前述したように、第1態様から
第3態様のいずれかに係る粒状体供給装置は、粒状樹脂材を1粒ずつ連続的に供給(排出)する。この装置は、絶縁電線における絶縁被覆の着色材料のように、低速での供給が必要な粒状樹脂材への適用に適しているが、絶縁電線における絶縁被覆の主材料のように、比較的高速での供給が必要な粒状樹脂材への適用には不向きである。
【0024】
第4態様に係る粒状体配合装置においては、絶縁被覆の主材料用の粒状樹脂材(第1の粒状樹脂材)は、高速供給に適したスクリュー式粒状体供給装置によって供給され、絶縁被覆の着色用の粒状樹脂材(第2の粒状樹脂材)は、低速供給に適した上記筒状回転部材を備える粒状体供給装置によって供給される。これにより、絶縁電線の絶縁被覆の材料の配合工程において、着色材料の粒状樹脂材の配合比率の精度が高くなる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0027】
<着色材料用の粒状体供給装置>
まず、
図1〜4を参照しつつ、本発明の実施形態に係る着色材料用の粒状体供給装置10の構成について説明する。粒状体供給装置10は、絶縁電線における絶縁被覆の着色材料である粒状樹脂材を送り出す装置の一例である。後述するように、この粒状体供給装置10は、絶縁電線における絶縁被覆の粒状の主材料及び着色材料の各々を予め定められた配合率で供給先へ送り出す粒状体配合装置に適用される。便宜上、以下の説明において、主材料用の粒状体供給装置のことを第一粒状体供給装置と称し、着色材料用の粒状体供給装置10のことを第二粒状体供給装置10と称する。
【0028】
第一粒状体供給装置及び第二粒状体供給装置10による供給対象である粒状樹脂材は、絶縁電線の絶縁被覆の材料であり、合成樹脂からなる粒状の部材である。絶縁被覆の主材料である主粒状樹脂材の色は白色であり、絶縁被覆の着色材料である着色粒状樹脂材の色は、比較的濃い有彩色である。有彩色の絶縁被覆の材料において、着色粒状樹脂材の配合率は、5%に満たない比較的低い目標値に設定される。
【0029】
図1に示されるように、第二粒状体供給装置10は、筒状回転部材1、回転支持機構4、回転駆動機構5及び貯留ホッパ6を備えている。
【0030】
<貯留ホッパ>
貯留ホッパ6は、その上部に着色粒状樹脂材9の投入口を有し、その下部に着色粒状樹脂材9の排出口を有する筒状の部分である。着色粒状樹脂材9は、貯留ホッパ6の上部の投入口から貯留ホッパ6内へ投入され、貯留ホッパ6内で一時的に滞留した後、貯留ホッパ6の下部の排出口から下方へ排出される。
【0031】
<筒状回転部材>
筒状回転部材1は、貯留ホッパ6から排出される着色粒状樹脂材9を内部に受け入れ、その着色粒状樹脂材9を一定のペースで排出する筒状の回転物である。筒状回転部材1は、着色粒状樹脂材9が供給される中空部を囲み、円筒面に沿って形成された筒状に形成されている。
【0032】
図1に示されるように、筒状回転部材1は、回転支持機構4によって横向きに支持された状態で当該部材の軸心の周りに回転する。例えば、筒状回転部材1は、その軸心方向が水平に向く状態で回転支持機構4により回転可能に支持されている。なお、筒状回転部材1の軸心は、筒状回転部材1の中空部の中心線である。
【0033】
筒状回転部材1は、その軸心方向における第1の端11の開口から一部の範囲を占める送出筒部2と、第2の端12から残りの範囲を占め、送出筒部2と連なって形成された受入筒部3と、を有している。筒状回転部材1の第2の端12は、開口ではなく閉塞端である。
【0034】
受入筒部3は、筒状回転部材1の第2の端12をなす一端が閉じた円筒状の部材である。受入筒部3は、例えば、一端が閉じた円筒状の金属の部材である。
【0035】
受入筒部3の内側面及び外側面各々は、円筒面状に形成されており、凹凸のない滑らかな周面である。また、受入筒部3における中空部を囲む筒状の壁の一部には、貯留ホッパ6から落下してくる着色粒状樹脂材9の入口をなす開口31が形成されている。
【0036】
一方、送出筒部2は、
図1に示されるように、筒状回転部材1における第1の端11をなす一端の開口から一部の範囲を占める筒状の部分である。また、
図4に示されるように、送出筒部2は、それぞれ一連の螺旋状の稜線を形成し相互に平行な複数の螺旋状凸部23が内側面に形成された部分である。複数の螺旋状凸部23は、それぞれ螺旋状の一連の凸部である。
【0037】
換言すれば、送出筒部2の内側面には、それぞれ一連の螺旋状の溝を形成し相互に平行な複数の螺旋状凹部24が形成されている。複数の螺旋状凹部24は、複数の螺旋条凸部23の間に形成された凹部である。
【0038】
本実施形態においては、
図2〜4に示されるように、送出筒部2は、それぞれ横断面が円形の複数の線材21が、横並びに配列されかつ螺旋状に巻かれた状態に成形された部材からなる。便宜上、
図2,4において、3本の線材21が、網掛けの有無及び網掛けの種類により区別して描かれている。なお、
図2,4に示される線材21の本数は3本であるが、送出筒部2を構成する線材21の本数は、2本又は4本以上であることも考えられる。
【0039】
例えば、送出筒部2は、それぞれ横断面が円形の複数の金属製の線材21が、横並びに配列されかつ螺旋状に巻かれた状態で、溶接によって隙間のない筒状に保持された部材である。この場合、
図1,2に示されるように、送出筒部2の外側面には、それぞれ送出筒部2の軸心方向に延びて形成された複数の溶接部22が形成されている。
【0040】
図4に示されるように、横断面が円形の複数の線材21が螺旋状に巻かれた構造を有する送出筒部2において、内側面における複数の螺旋状凸部23の横断面の輪郭形状は円弧状である。受入筒部3の一端と及び送出筒部2の一端とは、例えば、溶接によって接合されており、受入筒部3の中空部と送出筒部2の中空部とは連通している。
【0041】
<回転支持機構>
回転支持機構4は、筒状回転部材1を横向き状態で筒状回転部材1の軸心の周りに回転可能に支持する機構である。例えば、回転支持機構4は、ベアリング機構などにより、筒状回転部材1をその軸心方向が水平に向く状態で、筒状回転部材1の軸心の周りに回転可能に支持する。
【0042】
本実施形態においては、回転支持機構4は、筒状回転部材1における円筒状の受入筒部3を回転可能に支持している。受入筒部3が、外側面に凹凸が形成されていない円筒状であるため、そのような受入筒部3を回転可能に支持する回転支持機構4は、比較的簡易に構造によって実現可能である。
【0043】
さらに、回転支持機構4は、貯留ホッパ6が存在する上方以外の方向において筒状回転部材1における受入筒部3の開口31を塞ぐ蓋部41を備えている。蓋部41は、貯留ホッパ6から受入筒部3内へ供給された着色粒状樹脂材9が、受入筒部3からこぼれ出すことを防ぐ。
【0044】
貯留ホッパ6内の着色粒状樹脂材9は、筒状回転部材1の受入筒部3における開口31が上方を向いたときのみ、貯留ホッパ6から受入筒部3の開口31を通じて受入筒部3内へ供給される。また、着色粒状樹脂材9は、受入筒部3における開口31が形成されている部分の中空部に隙間が生じた場合にのみ、貯留ホッパ6から受入筒部3内へ供給される。
【0045】
<回転駆動機構>
回転駆動機構5は、筒状回転部材1をその軸心の周りに一定速度で回転させる機構である。例えば、回転駆動機構5は、モータ51と、モータ51の回転力を予め定められた速度比で筒状回転部材1の回転軸へ伝える回転軸連結機構52とにより構成されている。
【0046】
<着色粒状樹脂材の送り出しの状況>
次に、
図5を参照しつつ、筒状回転部材1による着色粒状樹脂材9の送り出しの状況について説明する。
図5は、着色粒状樹脂材9を送り出している筒状回転部材1の縦断面図である。
【0047】
筒状回転部材1がその軸心の周りに回転することにより、開口が形成された第1の端11(送出筒部2の開口端)へ向かう推進力が、送出筒部2の内側面に形成された複数の螺旋状凸部23から送出筒部2内の着色粒状樹脂材9に対して作用する。そして、複数の着色粒状樹脂材9は、送出筒部2の中空部において、自重と回転する複数の螺旋状凸部23から受ける推進力とにより、送出筒部2における内側面の底部に一列に並ぶ状態で開口端(出口)方向へほぼ一定速度で進行する。
【0048】
一方、筒状回転部材1における送出筒部2の内側面には、着色粒状樹脂材9に対して推進力を与える凸部は形成されていない。この場合、着色粒状樹脂材9は、受入筒部3の中空部から送出筒部2の入口付近に亘る領域において山積み状態で一時滞留した後、送出筒部2の開口端へ向かうにつれて徐々に一列に並ぶ状態へ遷移する。そして、着色粒状樹脂材9の送出筒部2からの排出速度と、受入筒部3から送出筒部2への着色粒状樹脂材9の供給速度とが自然に均衡する。
【0049】
なお、各種の実験結果によれば、1本の線材21が螺旋状に巻かれた状態に成形された部材が送出筒部2の代わりに採用されたときの着色粒状樹脂材9の供給速度を基準速度とした場合、第二粒状体供給装置10は、概ね以下に示される着色粒状樹脂材9の供給速度を発揮する。即ち、3本の線材21が螺旋状に巻かれた状態に成形された送出筒部2が採用された場合、上記の基準速度の約1.5倍の供給速度が得られる。また、5本の線材21が螺旋状に巻かれた状態に成形された送出筒部2が採用された場合、上記の基準速度の約2倍の供給速度が得られる。また、第二粒状体供給装置10による着色粒状樹脂材9の供給速度は、概ね筒状回転部材1の回転速度に比例する。
【0050】
<粒状体配合装置>
次に、
図6を参照しつつ、本発明の実施形態に係る粒状体配合装置20について説明する。粒状体配合装置20は、絶縁電線における絶縁被覆の主材料である主粒状樹脂材8を材料供給先へ送り出す第一粒状体供給装置100と、着色粒状樹脂材9を同じ材料供給先へ送り出す第二粒状体供給装置10とを備えている。
図6に示される例において、第一粒状体供給装置100及び第二粒状体供給装置10に共通の材料供給先は、絶縁電線の芯線の周囲に絶縁被覆を成形する押し出し装置が備える混合材料受入ホッパ7である。
【0051】
第一粒状体供給装置100は、スクリュー式粒状体供給装置であり、貯留ホッパ106、外筒部材102、スクリュー部材103及び回転駆動機構105を備えている。
【0052】
貯留ホッパ106は、その上部に主粒状樹脂材8の投入口を有し、その下部に主粒状樹脂材8の排出口を有する筒状の部分である。主粒状樹脂材8は、貯留ホッパ106の上部の投入口から貯留ホッパ106内へ投入され、貯留ホッパ106内で一時的に滞留した後、貯留ホッパ106の下部の排出口から下方へ排出される。
【0053】
外筒部材102は、主粒状樹脂材8が供給される中空部を囲む筒状の部材であり、横向きに支持されている。例えば、外筒部材102は、その軸心が水平方向を向く状態で支持されている。
【0054】
また、外筒部材102における中空部を囲む筒状の壁の一部には、貯留ホッパ106から落下してくる主粒状樹脂材8の入口をなす開口1021が形成されている。貯留ホッパ106内の主粒状樹脂材8は、外筒部材102における開口1021が形成されている部分の中空部に隙間が生じた場合にのみ、貯留ホッパ106から外筒部材102内へ供給される。
【0055】
スクリュー部材103は、外筒部材102の中空部において回転するスクリュー形状の部材である。より具体的には、スクリュー部材103は、回転軸部1031と、その回転軸部1031の周囲に形成された螺旋状の羽根部1032と、を有する部材である。
【0056】
外筒部材102内の主粒状樹脂材8は、回転するスクリュー部材103の羽根部1032から、外筒部材102の出口側へ向かう推進力を受ける。
【0057】
回転駆動機構105は、スクリュー部材103の回転軸部1031と連結され、スクリュー部材103を回転駆動する機構である。
【0058】
図6に示されるように、着色粒状樹脂材9を供給する第二粒状体供給装置10は、主粒状樹脂材8を供給する第一粒状体供給装置100との組み合わせによって使用される。
【0059】
<効果>
図5に示されるように、複数の着色粒状樹脂材9は、筒状回転部材1における送出筒部2の中空部において、自重と回転する複数の螺旋状凸部23から受ける推進力とにより、送出筒部2における内側面の底部に一列に並ぶ状態で開口端(出口)方向へほぼ一定速度で進行する。これにより、着色粒状樹脂材9は、送出筒部2の開口端(出口)から一定周期で1粒ずつ連続的に排出され、着色粒状樹脂材9の供給速度(排出速度)のばらつきが小さくなる。
【0060】
従って、筒状回転部材1を備える第二粒状体供給装置10又はそれを備える粒状体配合装置20が採用されれば、着色粒状樹脂材9の配合比率の精度を高めることが可能となる。
【0061】
各種の実験によれば、第二粒状体供給装置10による着色粒状樹脂材9の供給速度のばらつきは、第一粒状体供給装置100と同様のスクリュー式粒状体供給装置と比較して、3分の1程度に低減される。そのため、着色粒状樹脂材9の配合比率が従来よりも低く設定された場合でも、見た目上の絶縁被覆の色のばらつきが抑制される。その結果、着色粒状樹脂材9の配合比率を従来よりも低く設定することによって絶縁被覆の樹脂材料を低減することが可能となる。
【0062】
また、第二粒状体供給装置10において、筒状回転部材1における受入筒部3の内側面には、着色粒状樹脂材9に推進力を与える凸部が形成されていない。この場合、着色粒状樹脂材9は、
図5に示されるように、受入筒部3の中空部から送出筒部2の入口付近に亘る領域において山積み状態で一時滞留した後、送出筒部2の開口端(出口)へ向かうにつれて徐々に一列に並ぶ状態へ遷移する。そして、着色粒状樹脂材9の送出筒部2からの排出速度と、受入筒部3から送出筒部2への着色粒状樹脂材9の供給速度とが自然に均衡する。従って、特別な制御装置を付加することなく、着色粒状樹脂材9を送出筒部2内へ安定供給することが可能になる。
【0063】
また、第二粒状体供給装置10において、筒状回転部材1の送出筒部2の内側面における複数の螺旋状凸部23各々の横断面の輪郭が円弧状である。この場合、螺旋状凸部23各々と着色粒状樹脂材9とが円滑に接触し、これにより螺旋状凸部23から着色粒状樹脂材9に作用する推進力が安定する。その結果、着色粒状樹脂材9の供給速度(排出速度)がより安定する。
【0064】
また、第二粒状体供給装置10において、筒状回転部材1の送出筒部2は、それぞれ横断面が円形の複数の線材21が、横並びに配列されかつ螺旋状に巻かれた状態に成形された部材からなる。この場合、螺旋状凸部23が円筒部材の切削加工によって形成される場合に比べ、簡易にかつ低コストで送出筒部2を成形することが可能である。
【0065】
また、前述したように、第二粒状体供給装置10は、着色粒状樹脂材9を1粒ずつ連続的に供給(排出)する。この第二粒状体供給装置10は、絶縁電線における絶縁被覆の着色材料のように、低速での供給が必要な粒状樹脂材への適用に適しているが、絶縁電線における絶縁被覆の主材料のように、比較的高速での供給が必要な粒状樹脂材への適用には不向きである。
【0066】
粒状体配合装置20においては、主粒状樹脂材8は、高速供給に適したスクリュー式粒状体供給装置である第一粒状体供給装置100によって供給され、着色粒状樹脂材9は、低速供給に適した筒状回転部材1を備える第二粒状体供給装置10によって供給される。これにより、絶縁電線の絶縁被覆の材料の配合工程において、着色材料の粒状樹脂材の配合比率の精度がより高くなる。
【0067】
<その他>
前述した実施形態において、筒状回転部材1の送出筒部2の内側面における複数の螺旋状凸部23各々の横断面の輪郭形状が円弧状以外の形状であることも考えられる。例えば、螺旋状凸部23各々の横断面の輪郭形状が、三角形状、台形状、五角形又はその他の多角形状であることも考えられる。
【0068】
また、粒状体配合装置20が、1つの第一粒状体供給装置100と複数の第一粒状体供給装置10とを備えることも考えられる。