特許第5920103号(P5920103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920103
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】ポリエーテルポリアミド繊維
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/40 20060101AFI20160428BHJP
   C08L 77/06 20060101ALI20160428BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   C08G69/40
   C08L77/06
   C08L101/00
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-179758(P2012-179758)
(22)【出願日】2012年8月14日
(65)【公開番号】特開2014-37470(P2014-37470A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100081765
【弁理士】
【氏名又は名称】東平 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100171022
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 玉乃
(74)【代理人】
【識別番号】100080399
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 一途
(72)【発明者】
【氏名】三田寺 淳
(72)【発明者】
【氏名】武尾 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和哉
(72)【発明者】
【氏名】津中 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智則
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−158221(JP,A)
【文献】 特開昭56−65026(JP,A)
【文献】 特開平9−241924(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/145324(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/005204(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/105607(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/111635(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/111636(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 69/40
C08L 77/06
C08L 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来し、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリエーテルポリアミド(A)を含有する、ポリエーテルポリアミド繊維。
【化1】
(式中、x+zは1〜30、yは1〜50を表し、R1はプロピレン基を表す。)
【請求項2】
50〜12,000dtexの繊度を有するモノフィラメントである、請求項1に記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項3】
1〜10,000dtexの繊度を有するマルチフィラメントである、請求項1に記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項4】
0.001〜0.8dtexの繊度を有するマイクロファイバーである、請求項1に記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項5】
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項6】
キシリレンジアミン(a−2)が、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項7】
キシリレンジアミン(a−2)が、メタキシリレンジアミンである、請求項6に記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項8】
キシリレンジアミン(a−2)が、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物である、請求項6に記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項9】
メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンの総量に対するパラキシリレンジアミンの割合が90モル%以下である、請求項8に記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項10】
ジアミン構成単位中のキシリレンジアミン(a−2)に由来する構成単位の割合が、50〜99.8モル%である、請求項1〜9のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項11】
ポリエーテルポリアミド(A)を含有し、さらに分子鎖延長剤(B)を配合した組成物からなる、請求項1〜10のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項12】
分子鎖延長剤(B)が、カルボジイミド化合物及び分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項11に記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項13】
ポリエーテルポリアミド(A)と、該ポリエーテルポリアミド(A)以外の熱可塑性樹脂(C)とが複合されてなる複合繊維である、請求項1〜10のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項14】
異形断面形状を有する、請求項1〜13のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド繊維。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド繊維からなる編物、織物、不織布及びステープル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテルポリアミド繊維に関し、詳しくは、高強度、高弾性率を有し、柔軟性にも優れたポリエーテルポリアミド繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド系繊維は、ラケット用ストリング、ゴム補強材、タイヤコード及び抄紙用ろ布材等のスポーツ用品、工業用資材等として使用されている。これらの用途においては、材料であるポリアミド系繊維には、高強度、高弾性率であること等、優れた機械的強度が要求される。
【0003】
高強度、高弾性率を有するポリアミド系繊維として、特許文献1には、ジアミン成分中にシス−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとトランス−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの混合物を70モル%以上含むジアミンと、ジカルボン酸成分中に炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸とを重縮合して得られるポリアミド樹脂を含む樹脂から得た延伸ポリアミド繊維が開示されている。特許文献2には、ジアミン成分としてメタキシリレンジアミン、ジカルボン酸成分としてアジピン酸をそれぞれ70モル%以上含むモノマーを重合して得たポリアミドを含む延伸ポリアミド繊維が開示されている。
また、特許文献3には、所定の重量比率のナイロンMXD6ポリマー(メタキシレンジアミンとアジピン酸との重合反応から得られる結晶性のポリアミド)とナイロン6ポリマーからなり、破断強度が一定値以上である高収縮性繊維が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−315419号公報
【特許文献2】特開平9−241924号公報
【特許文献3】特開2011−26762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載のポリアミド系繊維は柔軟性が十分でないため、これらの繊維を織布等の布に加工した場合、ごわついた感触になることがある。そこで、ポリアミド系繊維の柔軟性をさらに向上させることが望まれていた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、高強度、高弾性率を有し、柔軟性にも優れたポリエーテルポリアミド繊維を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のポリエーテルポリアミド繊維及び該繊維からなる製品を提供する。
<1>ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来し、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリエーテルポリアミド(A)を含有する、ポリエーテルポリアミド繊維。
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、x+zは1〜30、yは1〜50を表し、R1はプロピレン基を表す。)
<2>上記<1>に記載のポリエーテルポリアミド繊維からなる編物、織物、不織布及びステープル。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、高強度、高弾性率を有し、柔軟性にも優れる。本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、上記のように強度と柔軟性のバランスがよいため、インナー、下着、裏地等の中衣用や、シャツ・ブラウス、スポーツウェア、スラックス等の外衣用、さらにはシーツ、布団カバー等の寝装用など、きわめて広い分野に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[ポリエーテルポリアミド繊維]
本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来し、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリエーテルポリアミド(A)を含有するものである。
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、x+zは1〜30、yは1〜50を表し、R1はプロピレン基を表す。)
【0014】
<ポリエーテルポリアミド(A)>
ポリエーテルポリアミド(A)は、ジアミン構成単位が上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来し、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。該ポリエーテルポリアミド(A)を用いることで、柔軟性、引張破断伸び等の機械的特性に優れるポリエーテルポリアミド繊維とすることができる。
【0015】
(ジアミン構成単位)
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジアミン構成単位は、上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来する。
【0016】
〔ポリエーテルジアミン化合物(a−1)〕
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジアミン構成単位は、上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)に由来する構成単位を含む。上記一般式(1)における(x+z)は1〜30であり、好ましくは2〜25、より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜15である。また、yは1〜50であり、好ましくは1〜40、より好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。x、y、zの値が上記範囲より大きい場合、溶融重合の反応途中に生成するキシリレンジアミンとジカルボン酸とからなるオリゴマーやポリマーとの相溶性が低くなり、重合反応が進行しづらくなる。
また、上記一般式(1)におけるR1はいずれもプロピレン基を表す。−OR1−で表されるオキシプロピレン基の構造は、−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−、−OCH2CH(CH3)−のいずれであってもよい。
【0017】
ポリエーテルジアミン化合物(a−1)の重量平均分子量は、好ましくは204〜5000、より好ましくは250〜4000、更に好ましくは300〜3000、より更に好ましくは400〜2000、より更に好ましくは500〜1800である。ポリエーテルジアミン化合物の平均分子量が上記範囲内であれば、柔軟性を発現するポリマーを得ることができる。
【0018】
〔キシリレンジアミン(a−2)〕
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジアミン構成単位は、キシリレンジアミン(a−2)に由来する構成単位を含む。キシリレンジアミン(a−2)としては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物であることが好ましく、メタキシリレンジアミン、又はメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物であることがより好ましい。
キシリレンジアミン(a−2)がメタキシリレンジアミンに由来する場合、得られるポリエーテルポリアミドは、柔軟性、結晶性、溶融成形性、成形加工性、強靭性に優れたものとなる。
キシリレンジアミン(a−2)が、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物に由来する場合、得られるポリエーテルポリアミドは柔軟性、結晶性、溶融成形性、成形加工性、強靭性に優れ、さらに高耐熱性、高弾性率を示す。
【0019】
キシリレンジアミン(a−2)として、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物を用いる場合には、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンの総量に対するパラキシリレンジアミンの割合は、好ましくは90モル%以下であり、より好ましくは1〜80モル%、更に好ましくは5〜70モル%である。パラキシリレンジアミンの割合が上記範囲であれば、得られるポリエーテルポリアミドの融点が、該ポリエーテルポリアミドの分解温度に近接せず、好ましい。
【0020】
ジアミン構成単位中のキシリレンジアミン(a−2)に由来する構成単位の割合、すなわち、ジアミン構成単位を構成するポリエーテルジアミン化合物(a−1)とキシリレンジアミン(a−2)との総量に対する、キシリレンジアミン(a−2)の割合は、好ましくは50〜99.8モル%、より好ましくは50〜99.5モル%、更に好ましくは50〜99モル%である。ジアミン構成単位中のキシリレンジアミン(a−2)に由来する構成単位の割合が上記範囲内であれば、得られるポリエーテルポリアミドは溶融成形性に優れ、さらに強度、弾性率等の機械的物性が優れたものとなる。
【0021】
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジアミン構成単位は、上述したように、前記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来するが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジアミン化合物に由来する構成単位を含んでもよい。
ポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)以外のジアミン構成単位を構成しうるジアミン化合物としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
(ジカルボン酸構成単位)
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジカルボン酸構成単位は、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できるが、これらの中でも結晶性、高弾性の観点からアジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく使用される。これらのジカルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0023】
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジカルボン酸構成単位は、上述したように、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジカルボン酸に由来する構成単位を含んでもよい。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸構成単位を構成しうるジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
ジカルボン酸成分として、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とイソフタル酸との混合物を使用する場合、ポリエーテルポリアミド(A)の耐熱性及び成形加工性を向上させることができる。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とイソフタル酸とのモル比(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸/イソフタル酸)は、50/50〜99/1が好ましく、70/30〜95/5がより好ましい。
【0024】
(ポリエーテルポリアミド(A)の物性)
ポリエーテルポリアミド(A)は、キシリレンジアミン(a−2)と炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とから形成される高結晶性のポリアミドブロックをハードセグメントとし、ポリエーテルジアミン化合物(a−1)由来のポリエーテルブロックをソフトセグメントとすることで、溶融成形性及び成形加工性に優れる。さらに得られたポリエーテルポリアミドは強靭性、柔軟性、結晶性、耐熱性等に優れる。
【0025】
ポリエーテルポリアミド(A)の相対粘度は、成形性及び他の樹脂との溶融混合性の観点から、好ましくは1.1〜3.0の範囲、より好ましくは1.1〜2.9の範囲、更に好ましくは1.1〜2.8の範囲である。当該相対粘度は実施例に記載の方法により測定される。
【0026】
ポリエーテルポリアミド(A)の融点は、耐熱性の観点から、好ましくは170〜270℃の範囲、より好ましくは175〜270℃の範囲、更に好ましくは180〜270℃の範囲である。当該融点は実施例に記載の方法により測定される。
【0027】
ポリエーテルポリアミド(A)の引張破断伸び率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性の観点から、好ましくは50%以上、より好ましくは100%以上、更に好ましくは200%以上、更に好ましくは250%以上、更に好ましくは300%以上である。当該引張破断伸び率は実施例に記載の方法により測定される。
【0028】
ポリエーテルポリアミド(A)の引張弾性率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性及び機械的強度の観点から、好ましくは200MPa以上、より好ましくは300MPa以上、更に好ましくは400MPa以上、更に好ましくは500MPa以上、更に好ましくは1000MPa以上である。当該引張弾性率は実施例に記載の方法により測定される。
【0029】
(ポリエーテルポリアミド(A)の製造)
ポリエーテルポリアミド(A)の製造は、特に限定されるものではなく、任意の方法、重合条件により行うことができる。例えば、ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)等のジアミン)とジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸)とからなる塩を水の存在下に加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法によりポリエーテルポリアミド(A)を製造することができる。また、ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)等のジアミン)を溶融状態のジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸)に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によってもポリエーテルポリアミド(A)を製造することができる。この場合、反応系を均一な液状態で保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
この際、ジアミン成分のうち、ポリエーテルジアミン化合物(a−1)については、ジカルボン酸成分とともに予め反応槽内に仕込んでおいてもよい。ポリエーテルジアミン化合物(a−1)を予め反応槽内に仕込んでおくことで、ポリエーテルジアミン化合物(a−1)の熱劣化を抑制することができる。その場合もまた、反応系を均一な液状態で保つために、ポリエーテルジアミン化合物(a−1)以外のジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
【0030】
ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)等のジアミン)と、ジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸)とのモル比(ジアミン成分/ジカルボン酸成分)は、好ましくは0.9〜1.1の範囲、より好ましくは0.93〜1.07の範囲、更に好ましくは0.95〜1.05の範囲、更に好ましくは0.97〜1.02の範囲である。モル比が上記範囲内であれば、高分子量化が進行しやすくなる。
【0031】
重合温度は、好ましくは150〜300℃、より好ましくは160〜280℃、更に好ましくは170〜270℃である。重合温度が上記温度範囲内であれば、重合反応が速やかに進行する。また、モノマーや重合途中のオリゴマー、ポリマー等の熱分解が起こりにくいため、得られるポリエーテルポリアミドの性状が良好なものとなる。
【0032】
重合時間は、ジアミン成分を滴下し始めてから通常1〜5時間である。重合時間を上記範囲内とすることにより、ポリエーテルポリアミド(A)の分子量を十分に上げることができ、さらに得られたポリエーテルポリアミドの着色を抑えることができる。
【0033】
ポリエーテルポリアミド(A)は、リン原子含有化合物を添加して溶融重縮合(溶融重合)法により製造されることが好ましい。溶融重縮合法としては、常圧で溶融させたジカルボン酸成分中にジアミン成分を滴下し、縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法が好ましい。
【0034】
ポリエーテルポリアミド(A)の重縮合系内には、その特性が阻害されない範囲で、リン原子含有化合物を添加できる。添加できるリン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等が挙げられ、これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩がアミド化反応を促進する効果が高く、かつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。重縮合系内に添加するリン原子含有化合物の添加量は、良好な外観及び成形加工性の観点から、ポリエーテルポリアミド(A)中のリン原子濃度換算で、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは5〜1000ppm、更に好ましくは10〜1000ppmである。
【0035】
また、ポリエーテルポリアミド(A)の重縮合系内には、リン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中のポリマーの着色を防止するためにはリン原子含有化合物を十分な量存在させる必要があるが、場合によってはポリマーのゲル化を招くおそれがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物を共存させることが好ましい。アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。重縮合系内にアルカリ金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数をリン原子含有化合物のモル数で除した値が0.5〜1となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.55〜0.95であり、更に好ましくは0.6〜0.9である。上記範囲内であると、リン原子含有化合物のアミド化反応促進を適度に抑制する効果があり、反応を抑制しすぎることにより重縮合反応速度が低下し、ポリマーの熱履歴が増加してポリマーのゲル化が増大することを避けることができる。
【0036】
ポリエーテルポリアミド(A)の硫黄原子濃度は、好ましくは1〜200ppm、より好ましくは10〜150ppm、更に好ましくは20〜100ppmである。上記の範囲であると、製造時にポリエーテルポリアミドの黄色度(YI値)の増加を抑えることができるばかりでなく、ポリエーテルポリアミドを溶融成形する際のYI値の増加を抑えることができ、得られるポリエーテルポリアミド繊維のYI値を低くすることができる。
【0037】
さらに、ジカルボン酸としてセバシン酸を使用する場合には、その硫黄原子濃度が1〜500ppmであることが好ましく、より好ましくは1〜200ppm、更に好ましくは10〜150ppm、特に好ましくは20〜100ppmである。上記の範囲であると、ポリエーテルポリアミドを重合する際、及び溶融成形する際のYI値の増加を抑えることができ、得られるポリエーテルポリアミド繊維のYI値を低くすることができる。
【0038】
同様に、ジカルボン酸としてセバシン酸を使用する場合には、そのナトリウム原子濃度が1〜500ppmであることが好ましく、より好ましくは10〜300ppm、更に好ましくは20〜200ppmである。上記の範囲であると、ポリエーテルポリアミドを合成する際の反応性がよく、適切な分子量範囲にコントロールしやすく、さらに、前述のアミド化反応速度調整の目的で配合するアルカリ金属化合物の使用量を少なくすることができる。また、ポリエーテルポリアミドを溶融成形する際に粘度増加を抑制することができ、成形性が良好になると共に成形加工時にコゲの発生を抑制できることから、得られるポリエーテルポリアミド繊維の品質が向上する傾向にある。
【0039】
このようなセバシン酸は、植物由来のものであることが好ましい。植物由来のセバシン酸は、不純物として硫黄化合物やナトリウム化合物を含有することから、植物由来のセバシン酸に由来する単位を構成単位とするポリエーテルポリアミドは、酸化防止剤を添加しなくてもYI値が低く、また、得られるポリエーテルポリアミド繊維のYI値も低い。また、植物由来のセバシン酸は、不純物を過度に精製することなく使用することが好ましい。過度に精製する必要がないので、コスト的にも優位である。
【0040】
植物由来の場合のセバシン酸の純度は、99〜100質量%が好ましく、99.5〜100質量%がより好ましく、99.6〜100質量%が更に好ましい。この範囲であると、得られるポリエーテルポリアミドの品質が良好になり、重合に影響を及ぼさないため好ましい。
【0041】
例えば、セバシン酸に含まれる他のジカルボン酸(1,10−デカメチレンジカルボン酸等)は、0〜1質量%が好ましく、0〜0.7質量%がより好ましく、0〜0.6質量%が更に好ましい。この範囲であると、得られるポリエーテルポリアミドの品質が良好になり、重合に影響を及ぼさないため好ましい。
また、セバシン酸に含まれるモノカルボン酸(オクタン酸、ノナン酸、ウンデカン酸等)は、0〜1質量%が好ましく、0〜0.5質量%がより好ましく、0〜0.4質量%が更に好ましい。この範囲であると、得られるポリエーテルポリアミドの品質が良好になり、重合に影響を及ぼさないため好ましい。
【0042】
セバシン酸の色相(APHA)は、100以下が好ましく、75以下がより好ましく、50以下が更に好ましい。この範囲であると、得られるポリエーテルポリアミドのYI値が低いため、好ましい。なお、APHAは、日本油化学会(Japan Oil Chemist’s Society)の基準油脂分析試験法(Standard Methods for the Analysis of Fats,Oils and Related Materials)により測定することができる。
【0043】
溶融重縮合で得られたポリエーテルポリアミド(A)は、一旦取り出され、ペレット化された後、乾燥して使用される。また更に重合度を高めるために固相重合してもよい。乾燥乃至固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置及びナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。
【0044】
本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、少なくとも上記ポリエーテルポリアミド(A)を含有していればよく、ポリエーテルポリアミド(A)をそのまま繊維形状にしたものでもよい。本発明のポリエーテルポリアミド繊維中のポリエーテルポリアミド(A)の含有量は、好ましくは1〜100質量%、より好ましくは10〜100質量%、更に好ましくは50〜100質量%、より更に好ましくは実質100質量%である。
また、本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、ポリエーテルポリアミド(A)を含有し、さらに分子鎖延長剤(B)を配合した組成物からなる繊維、又は、ポリエーテルポリアミド(A)と、該ポリエーテルポリアミド(A)以外の熱可塑性樹脂(C)とが複合されてなる複合繊維でもよい。以下、分子鎖延長剤(B)、及び熱可塑性樹脂(C)について説明する。
【0045】
<分子鎖延長剤(B)>
本発明に用いられる分子鎖延長剤(B)は、ポリエーテルポリアミド(A)と反応してその分子鎖を延ばすことができる化合物であり、カルボジイミド化合物及び分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記ポリエーテルポリアミド(A)に分子鎖延長剤(B)を配合すると、溶融混練時に分子鎖延長剤(B)の一部又は全部が前記ポリエーテルポリアミド(A)と反応して、耐熱老化性が高く、低分子量でも伸び率が高いポリエーテルポリアミド繊維を得ることができる。
【0046】
(カルボジイミド化合物)
本発明で分子鎖延長剤(B)として用いられるカルボジイミド化合物は、分子内に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物である。
本発明に用いられるカルボジイミド化合物としては、芳香族、脂肪族のカルボジイミド化合物が挙げられる。これらの中では、耐熱老化性及び伸び率の向上効果の発現の度合い、押出時の溶融混練性、及び得られるフィルムの透明性の点から、脂肪族カルボジイミド化合物を用いることが好ましく、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有する脂肪族ポリカルボジイミド化合物を用いることがより好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートより製造されるポリカルボジイミドを用いることが更に好ましい。4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートより製造されるポリカルボジイミドとしては、日清紡ホールディングス株式会社製「カルボジライトLA−1」等が挙げられる。
【0047】
上記カルボジイミド化合物に含まれる、分子内に1個のカルボジイミド基を有するモノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を例示することができ、これらの中では、特に工業的に入手が容易な点から、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが好適である。
【0048】
上記カルボジイミド化合物に含まれる、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には従来のポリカルボジイミドの製造方法により製造したものを用いることができる。例えば、カルボジイミド化触媒の存在下、各種有機ジイソシアネートを約70℃以上の温度で不活性溶媒中、もしくは溶媒を使用することなく、脱炭酸縮合反応させることによって合成する方法等を挙げることができる。
【0049】
上記ポリカルボジイミド化合物の合成原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等の各種有機ジイソシアネートやこれらの混合物を使用することができる。有機ジイソシアネートとしては、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等を例示することができる。これらのうち、得られるポリカルボジイミドの押出時の溶融混練性の点から、脂肪族ジイソシアネートが好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートがより好ましい。
【0050】
上記ポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するために、モノイソシアネート等の末端封止剤を使用することができる。モノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。
【0051】
なお、末端封止剤としては、上記のモノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネートと反応し得る活性水素化合物であればよい。このような活性水素化合物としては、脂肪族、芳香族の化合物の中で、−OH基を持つメタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の2級アミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級アミン、コハク酸、安息香酸、ジクロヘキサンカルボン酸等のカルボン酸、エチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等のチオール類やエポキシ基を有する化合物等を例示することができる。
【0052】
カルボジイミド化触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド及びこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等、チタン酸テトラブチル等の金属触媒等を使用することができ、これらの内では、反応性の面から3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好適である。
【0053】
本発明に用いられるカルボジイミド化合物の数平均分子量(Mn)は、ポリエーテルポリアミド(A)への分散性の観点から、好ましくは100〜40,000の範囲、より好ましくは100〜30,000の範囲である。数平均分子量(Mn)が40,000以下であれば、ポリエーテルポリアミド(A)への分散性が良好であり、本発明の効果が十分に得られる。
【0054】
(分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物)
本発明で分子鎖延長剤(B)として用いられる、分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物(以下、単に「エポキシ基含有化合物」ともいう)は、エポキシ基を2個以上含有する化合物であれば特に制限されず、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれも用いることができる。
エポキシ基含有化合物がポリマーである場合には、その重量平均分子量は、耐熱老化性及び伸び率の向上効果に優れ、ゲル化しにくく、取り扱い性に優れるという観点から、2,000〜1,000,000であるのが好ましく、3,000〜500,000であるのがより好ましく、4,000〜250,000であるのがさらに好ましい。
上記エポキシ基含有化合物としては、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、エポキシ基含有ポリスチレン、エポキシ化植物油、ポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0055】
なかでも、耐熱老化性及び伸び率の向上効果に優れ、ゲル化しにくいという観点から、エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、ポリグリシジルエーテルが好ましい。また、耐久性、耐熱老化性及び伸び率の向上効果に優れ、ゲル化しにくいという観点から、エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーがより好ましい。エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、特に常温で固体のものが好ましい。
【0056】
エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーについて以下に説明する。分子鎖延長剤(B)としてのエポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、主鎖が(メタ)アクリル系ポリマーであり、分子内にエポキシ基を2個以上含有するポリマーであれば特に制限されない。なお、本発明において、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルのうちの一方又は両方を意味する。
【0057】
主鎖としての(メタ)アクリル系ポリマーは、ホモポリマー及びコポリマーのうちのいずれであってもよい。エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体等が挙げられる。
【0058】
エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、なかでも、耐熱老化性及び伸び率の向上効果に優れ、ゲル化しにくく、取り扱い性に優れるという観点から、メタクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体が好ましい。
【0059】
エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、耐熱老化性及び伸び率の向上効果に優れ、ゲル化しにくく、取り扱い性に優れるという観点から、3,000〜300,000であるのが好ましく、4,000〜250,000であるのがより好ましい。
【0060】
ポリグリシジルエーテルについて以下に説明する。本発明に用いられるエポキシ基含有化合物としてのポリグリシジルエーテルは、分子内に2個以上のグリシジルオキシ基を有する化合物であれば特に制限されない。
ポリグリシジルエーテルとしては、例えば、グリセリン・エピクロルヒドリン−0〜1モル付加物のポリグリシジルエーテル、エチレングリコール−エピクロルヒドリン−0〜2モル付加物のポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール−ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール−ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン−ポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0061】
本発明に用いられるエポキシ基含有化合物のエポキシ当量は、耐熱老化性及び伸び率の向上効果に優れ、ゲル化しにくいという観点から、170〜3300g/当量であるのが好ましく、200〜2000g/当量であるのがより好ましい。
【0062】
本発明に用いられるエポキシ基含有化合物として、市販品を使用することができる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの市販品としては、例えば、Joncryl ADR−4368(アクリル系ポリマー、粉体、重量平均分子量6,800、エポキシ当量285g/当量、BASF社製)、マープルーフG−0150M(アクリル系ポリマー、粉体、重量平均分子量8,000〜10,000、エポキシ当量310g/当量、日油株式会社製)、マープルーフG−2050M(アクリル系ポリマー、粉体、重量平均分子量200,000〜250,000、エポキシ当量340g/当量、日油株式会社製)が挙げられる。
エポキシ基含有ポリスチレンの市販品としては、例えば、マープルーフG−1010S(スチレン系ポリマー、粉体、重量平均分子量100,000、エポキシ当量1,700g/当量、日油株式会社製)が挙げられる。
エポキシ化植物油の市販品としては、例えば、エポキシ化大豆油であるニューサイザー510R(日油株式会社製)等が挙げられる。
【0063】
本発明のポリエーテルポリアミド繊維において、分子鎖延長剤(B)は、それぞれ単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
分子鎖延長剤(B)の配合量は、耐熱老化性及び伸び率の向上効果に優れ、ゲル化しにくいという観点から、ポリエーテルポリアミド(A)100質量部に対して、0.01〜15質量部であるのが好ましく、0.05〜5質量部であるのがより好ましく、0.05〜2質量部であるのが更に好ましい。
上記配合量が0.01質量部以上であれば、ポリエーテルポリアミド繊維の耐熱老化性及び伸び率の改善効果を十分に発揮することができ、配合量を15質量部以下とすることにより、製造時に急激な増粘が生じることを避けることができる。
【0064】
<熱可塑性樹脂(C)>
また、本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、ポリエーテルポリアミド(A)と、該ポリエーテルポリアミド(A)以外の熱可塑性樹脂(C)(以下、単に「熱可塑性樹脂(C)ともいう」)とが複合されてなる複合繊維でもよい。ポリエーテルポリアミド(A)を熱可塑性樹脂(C)と複合させることで、ポリエーテルポリアミド(A)単独ではなしえなかった物性や風合いを繊維に付与することができ、あるいはコイル状捲縮糸などを作ることができる。また、融点の異なる樹脂を組み合わせた複合繊維を、融点の低い方の樹脂の融点以上の温度に加熱することで、一方の樹脂のみを溶融させ、繊維同士を融着させて布状に加工すること等が可能になる。
【0065】
熱可塑性樹脂(C)としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びアクリル樹脂等が挙げられる。ポリエーテルポリアミド(A)との接着性の観点からは、ポリアミド樹脂が好ましく、風合いの変化の観点からは、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びアクリル樹脂が好ましい。
【0066】
ポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ナイロン6T(Tは、テレフタル酸成分単位を表す。以下において同じ))、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ナイロン6I(Iは、イソフタル酸成分単位を表す。以下において同じ))、ポリヘキサメチレンテレフタルイソフタルアミド(ナイロン6TI)、ポリヘプタメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6(MXDは、m−キシリレンジアミン成分単位を表す。以下において同じ))、ポリメタキシリレンセバカミド(ナイロンMXD10)、ポリパラキシリレンセバカミド(ナイロンPXD10(PXDは、p−キシリレンジアミン成分単位を表す。))、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとアジピン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂(ナイロン1,3−/1,4−BAC6(BACは、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン成分単位を表す。))及びこれらの共重合アミド等を使用することができる。
【0067】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4’−ビフェニルジカルボキシレート共重合樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂等がある。より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂が挙げられる。
【0068】
ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン又はα−オレフィンとのランダム若しくはブロック共重合体等のポリプロピレン;これらの2種以上の混合物等が挙げられる。ポリエチレンの多くは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である。またポリオレフィン樹脂には、少量のアクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体によって変性された変性ポリオレフィン樹脂が含まれる。変性は、通常、共重合又はグラフト変性によって行われる。
【0069】
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体などの(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
【0070】
ポリエーテルポリアミド(A)に上記熱可塑性樹脂(C)を複合させる場合には、熱可塑性樹脂(C)の使用量は、複合繊維に要求される物性に応じて決定すればよい。例えば、ポリエーテルポリアミド(A)の物性を重視する場合は、ポリエーテルポリアミド繊維中の熱可塑性樹脂(C)が好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%となるように複合させることができる。一方、熱可塑性樹脂(C)の物性を重視する場合は、ポリエーテルポリアミド繊維中の熱可塑性樹脂(C)が好ましくは50〜99質量%、より好ましくは55〜95質量%、更に好ましくは60〜90質量%となるように複合させることができる。
【0071】
<その他の成分>
本発明のポリエーテルポリアミド繊維には、その特性が阻害されない範囲で、艶消剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤を、必要に応じて配合することができる。
また、ポリエーテルポリアミド繊維の特性が阻害されない範囲で、前述の熱可塑性樹脂(C)と同様のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂をポリエーテルポリアミド(A)に配合したものを、本発明のポリエーテルポリアミド繊維に用いることもできる。これにより、強靭性、柔軟性、引張破断伸び等に優れた繊維を得ることができる。
【0072】
<ポリエーテルポリアミド繊維の製造方法>
本発明のポリエーテルポリアミド繊維の製造方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、前記ポリエーテルポリアミド(A)に、必要に応じて分子鎖延長剤(B)、熱可塑性樹脂(C)、並びにその他の成分を配合し、これを単軸もしくは二軸押出機を用いて溶融混練して組成物を調製し、次いで紡糸口金を通して紡出し、紡糸口金面の下方に位置する冷媒浴中または空気中に引き取って未延伸糸を得た後、延伸する方法が挙げられる。
単軸もしくは二軸押出機としては、通常用いられる種々の押出機を任意に使用することができ、真空ベントやオープンベントで低分子量成分や水分を除去しつつ押出することもできる。未延伸糸延伸は、未延伸糸を同時工程でそのまま加熱して複数の延伸倍率でステップを変えて行ってもよく、別工程で加熱後、複数の延伸倍率で行ってもよい。延伸倍率を変えて複数の工程で延伸することで繊維の強度を上げることができるため好ましい。その際の延伸倍率は、延伸工程を経るごとに減少することが好ましく、例えば第一工程で2〜8倍程度、第二工程で1.3〜1.8倍程度、第三工程で1.2倍程度、第四工程で1.1倍程度とすることができる。
【0073】
分子鎖延長剤(B)や熱可塑性樹脂(C)を用いる場合には、これらの配合方法は特に限定されず、反応槽内で溶融状態のポリエーテルポリアミド(A)に分子鎖延長剤(B)、熱可塑性樹脂(C)を配合する手法や、ポリエーテルポリアミド(A)に対し分子鎖延長剤(B)、熱可塑性樹脂(C)をドライブレンドし、溶融混練する手法等が挙げられる。または、分子鎖延長剤(B)のマスターバッチを押出時にドライブレンドする方法等が挙げられる。
【0074】
上記溶融混練温度は、ポリエーテルポリアミド(A)の融点以上〜融点より50℃高い温度範囲に設定することが好ましく、該(A)成分の融点より10〜30℃高い温度範囲に設定することがより好ましい。溶融混練温度をポリエーテルポリアミド(A)の融点以上とすることで、該(A)成分の固化を抑制することができ、融点より50℃高い温度以下とすることで、該(A)成分の熱劣化を抑制することができる。
【0075】
本発明においては、モノフィラメントを作製する場合のドラフト率(紡糸機の紡糸口金断面積ADと、紡糸機から押し出された後冷却槽中で冷却して得られた未延伸糸の断面積AMとの比AD/AM)は、1.0〜3.0であることが好ましい。ドラフト率を1.0以上とすることにより延伸糸の作製が可能となる。また、ドラフト率を3.0以下とすることにより押出、冷却条件が未延伸糸に与える影響が少なくなる。
また本発明において、上記紡糸機から押し出された後冷却槽中で冷却して得られた未延伸糸の断面積AMは次式によって規定される。
AM(cm2)=G/(L×ρ)
ここで、G(g)は密度ρ(g/cm3)の未延伸糸の長さL(cm)の重量を表す。
【0076】
また、本発明においては、モノフィラメントを作成する場合には、紡糸機の溶融組成物吐出口と冷却用冷媒浴面との間に、糸が急冷されるのを防止するため空気層を介することが好ましい。この間に実質的に空気層を存在させることにより、溶融樹脂が冷媒と接触した際の冷媒の沸騰による糸揺れ、もしくは糸が急冷されるために起こる真空泡の発生等の問題を回避することができる。このような点から、上記空気層の厚さ、すなわち紡糸機の溶融組成物吐出口と冷却用冷媒浴面との間の距離(以下、「エアギャップ」という)は、実用的には、10〜150mm、好ましくは10〜110mmである。エアギャップを10mm以上とすることにより、上記糸揺れまたは真空泡の発生等の問題を回避でき、空気層を上記110mm以下とすることにより溶融組成物のドローダウン等を回避できる。
【0077】
<ポリエーテルポリアミド繊維の形状>
上記のようにして得られる本発明のポリエーテルポリアミド繊維の繊度(dtex)は、特に限定されず、紡糸可能な範囲で適宜選択することができる。また、本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、1本のフィラメントからなるモノフィラメント、又は2本以上のフィラメントからなるマルチフィラメントのいずれでもよい。
ポリエーテルポリアミド繊維がモノフィラメントである場合には、50〜12,000dtexの繊度を有することが好ましく、該繊度は、より好ましくは100〜10,000dtexである。
本発明のポリエーテルポリアミド繊維がマルチフィラメントである場合には、1〜10,000dtexの繊度を有することが好ましく、該繊度は、より好ましくは10〜5,000dtex、更に好ましくは20〜2,000dtexである。フィラメント数には特に制限はなく、好ましくは2〜500本、より好ましくは4〜300本、更に好ましくは8〜200本、より更に好ましくは12〜150本である。
また、本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、好ましくは0.001〜1dtex、より好ましくは0.005〜0.15dtexの繊度を有するマイクロファイバーであってもよい。本発明のポリエーテルポリアミド繊維がマイクロファイバーであると速乾性を発現するため、衣類等に用いた場合に着用快適性に優れる。
上記ポリエーテルポリアミド繊維の繊度は、具体的にはJIS L0101により規定され、実施例に記載の方法により測定される。
【0078】
また、本発明のポリエーテルポリアミド繊維の断面形状は特に限定されず、真円状でも異形断面形状でもよいが、風合い等の観点からは、表面積を増やせる、異形断面形状を有するものであることが好ましい。異形断面形状としては、X形、三角形、星形、五角形等の多角形が挙げられる。
【0079】
<ポリエーテルポリアミド繊維の物性>
本発明のポリエーテルポリアミド繊維の引張強度(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性及び機械的強度の観点から、好ましくは1cN/dtex以上、より好ましくは2cN/dtex以上、更に好ましくは3cN/dtex以上、より更に好ましくは5cN/dtex以上である。
また、本発明のポリエーテルポリアミド繊維をフィルム形状とした場合の引張弾性率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性及び機械的強度の観点から、好ましくは100MPa以上、より好ましくは200MPa以上、更に好ましくは300MPa以上、更に好ましくは500MPa以上である。当該引張弾性率は、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
【0080】
本発明のポリエーテルポリアミド繊維をフィルム形状とした場合の引張破断伸び率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性の観点から、好ましくは100%以上、より好ましくは200%以上、更に好ましくは300%以上、更に好ましくは400%以上である。当該引張破断伸び率は、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
【0081】
また、本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、23℃、80%RHに保持した際の飽和吸湿率が、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%未満であり、低い方がよい。飽和吸湿率が低いほど、水分の吸収量が少なく、ポリエーテルポリアミド繊維の物性が安定したものとなる。
【0082】
[ポリエーテルポリアミド繊維からなる製品]
本発明はまた、本発明のポリエーテルポリアミド繊維からなる編物、織物、不織布及びステープルを提供する。本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、強度と柔軟性のバランスがよいため、インナー、下着、裏地等の中衣用や、シャツ・ブラウス、スポーツウェア、スラックス等の外衣用、さらにはシーツ、布団カバー等の寝装用など、きわめて広い分野に用いることが可能である。
【実施例】
【0083】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、本実施例において各種測定は以下の方法により行った。
【0084】
1)相対粘度(ηr)
試料0.2gを精秤し、96%硫酸20mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から下式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
【0085】
2)数平均分子量(Mn)
まず試料をフェノール/エタノール混合溶媒、及びベンジルアルコール溶媒にそれぞれ溶解させ、カルボキシル末端基濃度とアミノ末端基濃度を塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液の中和滴定により求めた。数平均分子量は、アミノ末端基濃度及びカルボキシル末端基濃度の定量値から次式により求めた。
数平均分子量=2×1,000,000/([NH2]+[COOH])
[NH2]:アミノ末端基濃度(μeq/g)
[COOH]:カルボキシル末端基濃度(μeq/g)
【0086】
3)示差走査熱量測定(ガラス転移温度、結晶化温度及び融点)
示差走査熱量の測定はJIS K7121、K7122に準じて行った。示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)を用い、各試料をDSC測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、急冷する前処理を行った後に測定を行った。測定条件は、昇温速度10℃/分で、300℃で5分保持した後、降温速度−5℃/分で100℃まで測定を行い、ガラス転移温度Tg、結晶化温度Tch及び融点Tmを求めた。
【0087】
4)引張試験(引張弾性率及び引張破断伸び率)
引張弾性率及び引張破断伸び率の測定はJIS K7161に準じて行った。測定用試料(ポリエーテルポリアミド繊維又はポリアミド繊維を構成する材料)を厚さ100μmのフィルムに加工し、10mm×100mmに切り出して試験片とした。引張試験機((株)東洋精機製作所製、ストログラフ)を用いて、測定温度23℃、湿度50%RH、チャック間距離50mm、引張速度50mm/分の条件で引張試験を実施し、引張弾性率及び引張破断伸び率を求めた。
【0088】
5)繊度
得られた繊維の、長さ100mの質量(g)を測定し、これを長さ1kmあたりの繊維の質量A(g/km)に換算して、下記式から繊度(dtex)を求めた。なお、n=3の平均値を本実施例及び比較例の繊度の値とした。
繊度(dtex)=10×A(g/km)
【0089】
6)硫黄原子濃度
各例で用いたセバシン酸をプレス機で錠剤成形し、蛍光X線分析(XRF)を実施した。蛍光X線分析装置((株)リガク製、商品名:ZSX Primus)を用い、管球はRh管球(4kw)を使用した。分析窓用フィルムはポリプロピレンフィルムを使用し、真空雰囲気下で、照射領域30mmφでEZスキャンを実施した。
【0090】
7)光学物性評価(YI)
YI値の測定はJIS K7105に準じて行った。ポリエーテルポリアミド又はポリアミドからなるペレットを作製し、これを測定用試料とした。測定装置は、曇価測定装置(日本電色工業(株)製、型式:COH−300A)を使用した。
【0091】
製造例1(ポリエーテルポリアミドA−1の製造)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸584.60g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6832g及び酢酸ナトリウム0.4759gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)490.32gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542。米国HUNTSMAN社のカタログによると、前記一般式(1)におけるx+zの概数は6.0、yの概数は9.0、概略重量平均分子量は1000である。)400.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドA−1を得た。ηr=1.38、[COOH]=110.17μeq/g、[NH2]=59.57μeq/g、Mn=11783、Tg=71.7℃、Tch=108.3℃、Tm=232.8℃。
【0092】
製造例2(ポリエーテルポリアミドA−2の製造)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸555.37g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6490g及び酢酸ナトリウム0.4521gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。270℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)326.06gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)139.74g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)380.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドA−2を得た。ηr=1.36、[COOH]=64.82μeq/g、[NH2]=100.70μeq/g、Mn=12083、Tg=79.3℃、Tch=107.1℃、Tm=251.4℃。
【0093】
製造例3(ポリエーテルポリアミドA−3の製造)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸667.4g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6587g及び酢酸ナトリウム0.4588gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)404.51gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)330.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドA−3を得た。ηr=1.29、[COOH]=100.8μeq/g、[NH2]=38.4μeq/g、Mn=14368、Tg=29.2℃、Tch=58.0℃、Tm=185.0℃。
【0094】
製造例4(ポリエーテルポリアミドA−4の製造)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸667.43g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6587g及び酢酸ナトリウム0.4588gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)283.16gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)121.35g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)330.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドA−4を得た。ηr=1.31、[COOH]=81.62μeq/g、[NH2]=68.95μeq/g、Mn=13283、Tg=12.9℃、Tch=69.5℃、Tm=204.5℃。
【0095】
比較製造例1(ポリアミド1の製造)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸584.5g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6210g及び酢酸ナトリウム0.4325gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)544.80gを滴下し約2時間重合を行い、ポリアミド1を得た。ηr=2.10、[COOH]=104.30μeq/g、[NH2]=24.58μeq/g、Mn=15500、Tg=86.1℃、Tch=153.0℃、Tm=239.8℃。
【0096】
比較製造例2(ポリアミド2の製造)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸730.8g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6322g及び酢酸ナトリウム0.4404gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。275℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)476.70gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)204.30g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))の混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリアミド2を得た:ηr=2.07、[COOH]=55.70μeq/g、[NH2]=64.58μeq/g、Mn=16623、Tg=89.0℃、Tch=135.0℃、Tm=257.0℃。
【0097】
比較製造例3(ポリアミド3の製造)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸(硫黄原子濃度0ppm)809.0g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6210g及び酢酸ナトリウム0.4325gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)544.80gを滴下し約2時間重合を行い、ポリアミド3を得た:ηr=1.80、[COOH]=88.5μeq/g、[NH2]=26.7μeq/g、Mn=17300、Tg=61.2℃、Tch=114.1℃、Tm=191.5℃。
【0098】
比較製造例4(ポリアミド4の製造)
セバシン酸の硫黄原子濃度を70ppmのものを使用した以外は比較製造例3と同様に重合を行い、ポリアミド4を得た。ηr=1.80、[COOH]=88.5μeq/g、[NH2]=26.7μeq/g、Mn=17300、Tg=61.2℃、Tch=114.1℃、Tm=191.5℃。
【0099】
比較製造例5(ポリアミド5の製造)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸829.2g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6365g及び酢酸ナトリウム0.4434gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)390.89gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)167.53g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))の混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリアミド5を得た。ηr=2.20、[COOH]=81.8μeq/g、[NH2]=26.9μeq/g、Mn=18400、Tg=65.9℃、Tch=100.1℃、Tm=213.8℃。
【0100】
実施例1
製造例1にて得られたポリエーテルポリアミドA−1 100質量部に対して、0.02質量部のモンタン酸ナトリウム塩(クラリアントジャパン株式会社製、商品名:ホスタモントNaV101)を添加した材料を単軸押出機を用いて溶融した。該組成物を紡糸温度を255℃として紡糸口金を通して紡出し、ドラフト率2.6、エアギャップ10mmの条件で温度80℃の水浴中に引き取り、一旦巻き取ることなく連続して延伸した。延伸は延伸2段、熱固定1段で実施し、延伸手段として第1段延伸域に温度145℃の乾熱空気浴を、第2段延伸域に温度185℃の乾熱空気浴を、熱固定域に200℃の乾熱空気浴を用い、延伸条件としては第一工程(第1段)の延伸倍率を5.0倍、第二工程(第2段)の延伸倍率を1.4倍、弛緩率を10%、製造速度は77m/minとし、繊度1500dtexのモノフィラメントを得た。
ポリエーテルポリアミドA−1及び得られたポリエーテルポリアミド繊維を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0101】
実施例2
製造例2にて得られたポリエーテルポリアミドA−2 100質量部に対して、分子鎖延長剤として脂肪族ポリカルボジイミド化合物(B1)(日清紡ホールディングス(株)製、商品名:カルボジライトLA−1)0.2質量部を配合した組成物を単軸押出機を用いて溶融した。該組成物を紡糸温度を280℃として紡糸口金を通して紡出し、温度20℃の空気中に引き取り、一旦巻き取ることなく連続して延伸した。延伸は延伸3段、熱固定1段で実施し、延伸手段として第1〜3段の延伸域にそれぞれ温度65℃の乾熱空気浴を、熱固定域に温度200℃の乾熱空気浴を用い、繊度200dtex、フィラメント数34本のマルチフィラメントを得た。
ポリエーテルポリアミド組成物及び得られたポリエーテルポリアミド繊維を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0102】
実施例3
製造例2にて得られたポリエーテルポリアミドA−2の代わりに、製造例3にて得られたポリエーテルポリアミドA−3を用い、ポリエーテルポリアミドA−3 100質量部に対して、分子鎖延長剤としてエポキシ基含有化合物(B2)(エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー:BASF社製、商品名:Joncryl ADR−4368、重量平均分子量6,800、エポキシ当量285g/当量)0.2質量部を配合した組成物を単軸押出機を用いて溶融し、紡糸温度を210℃とした以外は実施例2と同様にマルチフィラメントを製造した。
ポリエーテルポリアミド組成物及び得られたポリエーテルポリアミド繊維を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0103】
実施例4
製造例2にて得られたポリエーテルポリアミドA−2の代わりに、製造例4にて得られたポリエーテルポリアミドA−4を用い、紡糸温度を230℃とした以外は実施例2と同様にマルチフィラメントを製造した。
ポリエーテルポリアミド組成物及び得られたポリエーテルポリアミド繊維を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0104】
実施例5
実施例3において、分子鎖延長剤を用いなかったこと以外は、実施例3と同様にマルチフィラメントを製造した。
ポリエーテルポリアミドA−3及び得られたポリエーテルポリアミド繊維を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0105】
実施例6
実施例4において、分子鎖延長剤を用いなかったこと以外は、実施例4と同様にマルチフィラメントを製造した。
ポリエーテルポリアミドA−4及び得られたポリエーテルポリアミド繊維を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0106】
実施例7
製造例2にて得られたポリエーテルポリアミドA−2を単軸押出機を用いて溶融し、また、別の単軸押出機にて、熱可塑性樹脂(C)としてポリエステルを用いて溶融した。溶融したポリエーテルポリアミドA−2及びポリエステルを270℃の紡糸口金で合流させて押出したのち、温度20℃の空気中に引き取り、一旦巻き取ることなく連続して延伸した。延伸は延伸3段、熱固定1段で実施し、延伸手段として第1〜3段の延伸域にそれぞれ温度65℃の乾熱空気浴を、熱固定域に温度200℃の乾熱空気浴を用い、繊度200dtex、フィラメント数34本のマルチフィラメントを得た。得られたフィラメントは独特の風合いを有していた。
【0107】
比較例1
製造例1にて得られたポリエーテルポリアミドA−1の代わりに、比較製造例1で得られたポリアミド1を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でポリアミド繊維を製造した。
ポリアミド1及び得られたポリアミド繊維を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0108】
比較例2
実施例2において、製造例2にて得られたポリエーテルポリアミドA−2の代わりに、比較製造例2で得られたポリアミド2を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法でポリアミド繊維を製造した。
ポリアミド組成物及び得られたポリアミド繊維を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0109】
比較例3
実施例3において、製造例3にて得られたポリエーテルポリアミドA−3の代わりに、比較製造例3で得られたポリアミド3を用いたこと以外は、実施例3と同様の方法でポリアミド繊維を製造した。
ポリアミド組成物及び得られたポリアミド繊維を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0110】
比較例4
実施例5において、製造例3にて得られたポリエーテルポリアミドA−3の代わりに、比較製造例4で得られたポリアミド4を用いたこと以外は、実施例5と同様の方法でポリアミド繊維を製造した。
ポリアミド4及び得られたポリアミド繊維を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0111】
比較例5
実施例6において、製造例4にて得られたポリエーテルポリアミドA−4の代わりに、比較製造例5で得られたポリアミド5を用いたこと以外は、実施例6と同様の方法でポリアミド繊維を製造した。
ポリアミド5及び得られたポリアミド繊維を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
表1の結果より、本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、高強度、高弾性率を有し、柔軟性にも優れる材料であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明のポリエーテルポリアミド繊維は、高強度、高弾性率を有し、柔軟性にも優れる。そのため、強度と柔軟性のバランスがよく、インナー、下着、裏地等の中衣用や、シャツ・ブラウス、スポーツウェア、スラックス等の外衣用、さらにはシーツ、布団カバー等の寝装用など、きわめて広い分野に用いることが可能である。