(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
正極電極と、負極電極と、セパレータとを備えるとともに、前記正極電極と前記負極電極とが前記セパレータを介して積層されてなる電極組立体を備えた蓄電装置であって、
前記正極電極、前記負極電極、及び前記セパレータは、それらが積層されたときに重なる位置に孔を2つずつ有し、
前記孔は、前記正極電極が積層されたときに前記正極電極における対向した2辺に近接し、かつ、前記正極電極が積層されたときに前記正極電極の対角線上にある角部に近接する位置にあることを特徴とする蓄電装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の電極組立体においては積層ずれが生じるおそれがあった。積層ずれの検査方法として、例えば画像処理を行って確認する方法が挙げられるが、こうした方法は、積層した2枚の層の画像確認をもって積層ずれの有無を確認するものであり、積層後の電極組立体の積層ずれの確認を行うことができない。また、他の積層ずれの検査方法として、積層した電極組立体にX線を透過させて確認する方法が挙げられる。こうしたX線による検査方法では、積層後の電極組立体の積層ずれの確認を行うことはできる。しかしながら、X線による検査方法では、電極組立体の各層の濃淡によって積層ずれの有無を確認するため、どの層が正規の位置からずれているのかを確認するためには電極組立体全体を多角的に確認する必要がある。このため、検査にある程度の時間を要し、電極組立体の生産効率が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、生産効率の低下を抑制することのできる蓄電装置、及び積層ずれの検査を効率的に行うことにより、蓄電装置の生産効率の低下を抑制することのできる積層ずれ検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、正極電極、前記正極電極を挟む第1セパレータと第2セパレータ、及び負極電極が積層されてなる電極組立体を備えた蓄電装置において、前記第1セパレータは、前記正極電極の一方の面を覆い、且つ一部が前記正極電極の少なくとも一部の辺からはみ出した第1はみ出し部を有し、前記第2セパレータは、前記正極電極の他方の面を覆い、且つ一部が前記第1はみ出し部と同じ方向にはみ出した第2はみ出し部を有し、前記第1はみ出し部と前記第2はみ出し部と
が接合され
た接合部を有し、前記負極電極は、前記正極電極の一方の面を覆い、且つ一部が前記第1はみ出し部及び前記第2はみ出し部と同じ方向にはみ出す形状であり、前記第1セパレータ、前記第2セパレータ、及び前記負極電極は、それらが積層されたときに重なる位置に孔を2つずつ有し、前記孔は、前記正極電極が積層されたときに前記正極電極における対向した2辺に近接し、かつ、前記正極電極が積層されたときに前記正極電極の対角線上にある角部に近接する位置にあ
り、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータは、前記接合部に前記孔を有することをその要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、第1セパレータ、第2セパレータ、及び負極電極が2つずつ有する孔に対して光の投射等を行うことにより、孔が貫通状態にあるか否かに応じて、支障のない程度に積層ずれが小さい状態で電極組立体の積層が行えているか否かを容易に判断することができる。したがって、生産効率の低下を抑制することができる。
【0008】
また、上記構成のように、積層されたときに第1セパレータ、第2セパレータ、及び負極電極の重なる位置
に2つずつある孔によれば、積層ずれが積層された各層が幅方向や対角線方向にずれることによる直線的なずれであっても、各層が回転方向にずれることによる回転ずれであっても、積層ずれが生じているか否かの判断を好適に行うことができる。
上記構成によれば、孔を正極電極が積層されたときに正極電極における対向した2辺に近接する位置にあるものとすることにより、孔の位置を容易に設定することができる。
積層されたときの各層において、孔が重なる位置にある状態から、積層された各層が回転方向にずれることによる回転ずれが生じて異なる位置にある状態となるような場合には、2つの孔の間の距離が長いほど各層の間での孔のずれ量は大きくなる。
上記構成によれば、孔を、正極電極が積層されたときに正極電極の対角線上にある角部に近接する位置にあるものとすることにより、2つの孔の間の距離を長くすることができるため、積層ずれの判断をより容易に行うことができる。
【0010】
上記構成によれば、第1セパレータ及び第2セパレータは接合部に孔を有するため、第1セパレータ及び第2セパレータの孔を第1セパレータ、第2セパレータ、及び負極電極が積層されたときに重なる位置とすることを容易に行うことができる。
【0011】
請求項
2に記載の発明は、正極電極と、負極電極と、セパレータとを備えるとともに、前記正極電極と前記負極電極とが前記セパレータを介して積層されてなる電極組立体を備えた蓄電装置であって、前記正極電極、前記負極電極、及び前記セパレータは、それらが積層されたときに重なる位置に孔を2つずつ有し、前記孔は、前記正極電極が積層されたときに前記正極電極における対向した2辺に近接し、かつ、前記正極電極が積層されたときに前記正極電極の対角線上にある角部に近接する位置にあることをその要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、正極電極、負極電極、及びセパレータが2つずつ有する孔に対して光の投射等を行うことにより、孔が貫通状態にあるか否かに応じて、支障のない程度に積層ずれが小さい状態で電極組立体の積層が行えているか否かを容易に判断することができる。したがって、生産効率の低下を抑制することができる。
【0013】
また、上記構成のように、積層されたときに正極電極、負極電極、およびセパレータの重なる位置に少なくとも2つずつある孔によれば、積層ずれが積層された各層が幅方向や対角線方向にずれることによる直線的なずれであっても、各層が回転方向にずれることによる回転ずれであっても、積層ずれが生じているか否かの判断を好適に行うことができる。
上記構成によれば、孔を正極電極が積層されたときに正極電極における対向した2辺に近接する位置にあるものとすることにより、孔の位置を容易に設定することができる。
積層されたときの各層において、孔が重なる位置にある状態から、積層された各層が回転方向にずれることによる回転ずれが生じて異なる位置にある状態となるような場合には、2つの孔の間の距離が長いほど各層の間での孔のずれ量は大きくなる。
上記構成によれば、孔を、正極電極が積層されたときに正極電極の対角線上にある角部に近接する位置にあるものとすることにより、2つの孔の間の距離を長くすることができるため、積層ずれの判断をより容易に行うことができる。
【0014】
請求項
3に記載の発明は、請求項
2に記載の蓄電装置において、前記正極電極は、活物質が塗工されている塗工部と前記活物質が塗工されていない未塗工部を有し、前記正極電極は、前記未塗工部に前記孔を有することをその要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、正極電極は、未塗工部に孔を有するため、孔の形成に伴って正極電極における電気容量の減少を抑制することができる。また、積層された状態で貫通する孔を介して正極電極と負極電極との短絡が生じることを抑制することができる。
【0025】
請求項
5に記載の発明は、正極電極と負極電極とがセパレータを介して積層されてなる電極組立体における前記正極電極、前記負極電極、及びセパレータの積層ずれ検査方法であって、
前記正極電極、前記負極電極
、及び前記セパレータは、それらが積層されたときに重なる位置に孔を2つずつ有し、前記孔は、前記正極電極が積層されたときに前記正極電極における対向した2辺に近接し、かつ、前記正極電極が積層されたときに前記正極電極の対角線上にある角部に近接する位置にあり、前記負極電極及び前記セパレータの少なくとも一方が積層されたときに前記孔がいずれも貫通状態にあることを積層ずれが生じていないとする判断の要件として、積層ずれの検査を行うことをその要旨とする。
【0026】
上記構成によれば、孔が
いずれも貫通状態にあることを積層ずれが生じていないとする判断の要件として、支障のない程度に積層ずれが小さい状態で正極電極、負極電極、及びセパレータの積層が行えているか否かを容易に判断することができる。したがって、積層ずれの検査を効率的に行うことにより、蓄電装置の生産効率の低下を抑制することができる。
【0027】
尚、上記構成においては、積層された各層の孔が全て貫通状態にあることをもって積層ずれが生じていないと判断するものと、積層された各層の孔が貫通状態にあって、且つその貫通する領域が所定の大きさ以上であることをもって積層ずれが生じていないと判断するものとを含む。
【0028】
請求項
6に記載の発明は、請求項
5に記載の積層ずれ検査方法において、前記正極電極、前記負極電極、及び前記セパレータのうち所定枚数以上が積層された状態で積層ずれの検査を行うことをその要旨とする。
【0029】
正極電極、負極電極、及びセパレータの積層された枚数に係わらず、積層ずれは孔の貫通状態に反映される。したがって、上記構成のように、積層された枚数が所定枚数以上であれば、積層ずれの検査を行うことができる。尚、負極電極等、所定枚数として1枚の積層がなされた状態での積層ずれの検査は、次のように行うことができる。すなわち、例えば負極電極の孔と電極組立体の積層方向における同位置に孔等の目印を備えた検査板を設け、この検査板に負極電極を1枚積層したときに、負極電極の孔と検査板の目印との位置関係を確認することにより積層ずれの検査を行うことができる。
【0030】
請求項
7に記載の発明は、請求項
5又は
6に記載の積層ずれ検査方法において、前記孔の貫通列に光を投射するとともに、前記孔の貫通列を透過した光を受光することにより前記電極組立体の積層ずれの検査を行うことをその要旨とする。
【0031】
上記構成によれば、積層ずれの検査を光の投射といった容易な方法で行うことができる。尚、正極電極、負極電極、及びセパレータといった各層の積層ずれが小さい状態で積層されたときに、その積層体の積層方向では孔が重なることにより、これら孔が貫通した列状をなす。上記構成では、こうして積層体の各層において列状に貫通した状態の孔を貫通列と称する。
【0032】
請求項
8に記載の発明は、請求項
7に記載の積層ずれ検査方法において、前記正極電極、前記負極電極、及び前記セパレータの積層中に前記孔の貫通列への光の投射を行うことにより、前記電極組立体の積層ずれの検査を行うことをその要旨とする。
【0033】
上記構成によれば、積層に係る時間内で併せて積層ずれの検査を行うことができるため、積層ずれの検査をより効率的に行うことができ、蓄電装置の生産効率の低下をより抑制することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、生産効率の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第1の実施形態)
以下、本発明を産業車両や乗用車両等の車両に搭載される二次電池に具体化した第1の実施形態について
図1〜
図9にしたがって説明する。
【0037】
図1に示すように、二次電池10は、電極組立体11と、電極組立体11を収容するアルミニウム製のケース20とから構成されている。ケース20は、電極組立体11を挿入可能な開口部21aが形成された有底矩形箱状をなすケース本体21と、ケース本体21の開口部21aを閉鎖する矩形板状の蓋22とから構成されている。ケース20の内部には電解液が注入されている。蓋22は、2つの貫通孔22aを有し、この貫通孔22aを貫通するように正極端子23a及び負極端子23bがそれぞれ設けられている。
【0038】
図2に示すように、電極組立体11は、袋状をなすとともにその内部にシート状の正極電極12を収納した電極収納セパレータ30と、シート状の負極電極13とを複数枚積層して構成されている。すなわち、本実施形態の電極組立体11は、正極電極12を収納した電極収納セパレータ30と負極電極13とが積み重ねられてなる積層型の電極組立体である。
【0039】
正極電極12は、正極金属箔121と、正極金属箔121の表裏両面に活物質が塗工されている正極塗工部12aとを有している。また、正極金属箔121における活物質が塗工されていない部位によって正極未塗工部12bが構成されている。正極電極12の1辺である辺122aの一部からは、正極未塗工部12bからなる正極タブ12cが突出している。負極電極13は、負極金属箔131と、負極金属箔131の表裏両面に活物質が塗工されている負極塗工部13aとを有している。また、負極金属箔131における活物質が塗工されていない部位によって負極未塗工部13bが構成されている。負極電極13の外縁131aを構成する1つの辺131bの一部からは、負極未塗工部13bからなる負極タブ13cが突出している。正極タブ12c及び負極タブ13cの配設位置は、正極電極12と負極電極13とが積層されたときに、積層方向に互いに重ならない位置とされている。そして、各正極電極12は、各正極タブ12cが重なるようにして一定方向に積層されるとともに、各負極電極13は、各負極タブ13cが重なるようにして一定方向に積層される。尚、正極金属箔121はアルミニウム箔であるとともに、負極金属箔131は銅箔である。
【0040】
図3に示すように、負極電極13は、正極電極12の表面12e及び裏面12fのいずれか一方の面を覆うように大きい。そして、負極電極13は、正極電極12と積層されたときに、その外縁131aが正極電極12の4つの辺122a,122b,122c,122dからそれぞれはみ出す形状をなすはみ出し部132を有している。
【0041】
図1に示すように、電極組立体11には、各正極タブ12cを集めてなる正極タブ群12dが形成されている。正極タブ群12dには矩形板状をなす正極導電部材19aが接合されている。また、電極組立体11には、各負極タブ13cを集めてなる負極タブ群13dが形成されている。負極タブ群13dには矩形板状をなす負極導電部材19bが接合されている。正極タブ群12d及び負極タブ群13dは、電極組立体11の一方側から延びている。
【0042】
正極導電部材19aは正極端子23aと連結されるとともに、負極導電部材19bは負極端子23bと連結される。これにより、正極タブ群12dと正極端子23aとが正極導電部材19aを介して電気的に接続されるとともに、負極タブ群13dと負極端子23bとが負極導電部材19bを介して電気的に接続される。さらに、電極組立体11がケース本体21内に収容された状態において、蓋22とケース本体21とが接合されて、ケース本体21の開口部21aが蓋22により塞がれて密閉されることで二次電池10が構成される。尚、電極組立体11とケース20の内面との間は、図示しない絶縁シートにより絶縁が確保されている。
【0043】
次に、電極収納セパレータ30について説明する。
図2に示すように、電極収納セパレータ30は、シート状の第1セパレータ31とシート状の第2セパレータ32とから構成されている。第1セパレータ31及び第2セパレータ32は、多孔質の層からなり、同程度の大きさをなしている。また、第1セパレータ31は正極電極12の表面12eと対向するように配置されている一方、第2セパレータ32は正極電極12の裏面12fと対向するように配置されている。そして、第1セパレータ31と第2セパレータ32との間には正極電極12が挟み込まれるようにして配置されている。
【0044】
図4に示すように、第1セパレータ31は、正極電極12の表面12eを覆うように大きい。そして、第1セパレータ31は、第2セパレータ32とで正極電極12を挟んだ状態で、その外縁231aが正極電極12の4つの辺122a,122b,122c,122dからそれぞれはみ出した第1はみ出し部331を有している。また、第2セパレータ32は、正極電極12の裏面12fを覆うように大きい。そして、第2セパレータ32は、第1セパレータ31とで正極電極12を挟んだ状態で、その外縁232aが正極電極12の4つの辺122a,122b,122c,122dからそれぞれはみ出した第2はみ出し部332を有している。また、これら第1セパレータ31及び第2セパレータ32は負極電極13と同程度の大きさをなしている。第1セパレータ31及び第2セパレータ32は、外縁231a,232aのうちで正極タブ12cと対向する部分を除いた部分において、第1セパレータ31と第2セパレータ32とが接合される接合部40を有している。接合部40は第1はみ出し部331及び第2はみ出し部332の外縁(外縁231a,232a)に設けられるものである。そして、この接合部40によって、第1はみ出し部331及び第2はみ出し部332の外縁が接合されている。また、接合部40は、正極電極12の4つの辺122a,122b,122c,122dにそれぞれ沿うように、所定の間隔をおいて複数箇所で溶着されることによりなるものである。そして、この接合部40によって第1はみ出し部331及び第2はみ出し部332の外縁が接合されることにより、第1セパレータ31と第2セパレータ32が接合される。
【0045】
第1セパレータ31は、接合部40に第1孔331a及び第2孔331bを有している。第1セパレータ31が第2セパレータ32とで正極電極12を挟んだ状態において、第1孔331aは正極電極12の辺122aに近接する位置にあるとともに、第2孔331bは正極電極12の辺122cに近接する位置にある。これら辺122aと辺122cは、正極電極12において互いに対向する辺である。さらに、第1孔331aは正極電極12の角部122eに近接する位置にあるとともに、第2孔331bは正極電極12の角部122fに近接する位置にある。これら角部122e,122fは、正極電極12の対角線上にある角部である。
【0046】
第2セパレータ32は、接合部40に第1孔332a及び第2孔332bを有している。第2セパレータ32が第1セパレータ31とで正極電極12を挟んだ状態において、第1孔332aは正極電極12の辺122aに近接する位置にあるとともに、第2孔332bは正極電極12の辺122cに近接する位置にある。これら辺122aと辺122cは、正極電極12において互いに対向する辺である。さらに、第1孔332aは正極電極12の角部122eに近接する位置にあるとともに、第2孔332bは正極電極12の角部122fに近接する位置にある。
【0047】
第1セパレータ31の第1孔331aと第2セパレータ32の第1孔332aは、第1セパレータ31と第2セパレータ32とで正極電極12を挟んだ状態において、第1セパレータ31と第2セパレータ32との間で重なる位置にそれぞれ形成されている。そして、第1孔331aと第1孔332aは、電極収納セパレータ30が積層されたときに、電極収納セパレータ30間で重なる位置にそれぞれ形成されている。また、同じく第1セパレータ31の第2孔331bと第2セパレータ32の第2孔332bは、第1セパレータ31と第2セパレータ32とで正極電極12を挟んだ状態において、第1セパレータ31と第2セパレータ32との間で重なる位置にそれぞれ形成されている。そして、第2孔331bと第2孔332bは、電極収納セパレータ30が積層されたときに、電極収納セパレータ30間で重なる位置にそれぞれ形成されている。尚、正極電極12は、第1セパレータ31及び第2セパレータ32によって挟まれた状態において、第1はみ出し部331及び第2はみ出し部332と重ならない位置に設けられる。そして、この第1はみ出し部331及び第2はみ出し部332の外縁に接合部40が設けられている。このため、接合部40に位置する第1孔331a,332aや第2孔331b,332bは、正極電極12が第1セパレータ31及び第2セパレータ32によって挟まれた状態において、正極電極12と重ならないようになっている。
【0048】
図3に示すように、負極電極13は、その外縁131aに近接した位置に第1孔132a及び第2孔132bを有している。負極電極13が正極電極12と積層されたときに、第1孔132aは正極電極12の辺122aに近接する位置にあるとともに、第2孔132bは正極電極12の辺122cに近接する位置にある。さらに、第1孔132aは正極電極12の角部122eに近接する位置にあるとともに、第2孔132bは正極電極12の角部122fに近接する位置にある。尚、正極電極12は、負極電極13と積層されたときに、負極電極13のはみ出し部132と重ならない位置に設けられる。そして、このはみ出し部132の外縁(外縁131a)に第1孔132a及び第2孔132bが設けられている。このため、第1孔132aや第2孔132bは、正極電極12と負極電極13とが積層されたときに、正極電極12と重ならないようになっている。
【0049】
負極電極13、第1セパレータ31、及び第2セパレータ32は、それらが積層されたときに重なる位置に第1孔132a,331a,332aを有する。また、負極電極13、第1セパレータ31、及び第2セパレータ32は、それらが積層されたときに重なる位置に第2孔132b,331b,332bを有する。第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bは、全て同径の孔をなす。尚、第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bは、多孔質の第1セパレータ31及び第2セパレータ32が有する孔よりも大きい直径をなしている。また、第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bの全てが円形をなしている。
【0050】
次に、本実施形態の積層ずれ検査方法について、
図5〜
図9にしたがって説明する。本実施形態では、負極電極13や電極収納セパレータ30が積層されてなる積層体の積層中に、各層における第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bへの投射が行われることにより、積層ずれの検査が行われている。積層ずれの検査は、負極電極13及び電極収納セパレータ30の少なくとも一方が積層されたときに第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bが貫通状態にあることを積層ずれが生じていないとする判断の要件としている。尚、積層体の積層作業は、負極電極13や電極収納セパレータ30が順次積層体の最上層をなすように積層されることにより行われる。また、負極電極13及び電極収納セパレータ30といった各層の積層ずれが小さい状態で積層されたときに、その積層体の積層方向では第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bが重なることとなる。これにより、これら第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bは、貫通した列状をなす。以下では、こうして積層体の各層において列状に貫通した状態の第1孔132a,331a,332aや第2孔132b,331b,332bを貫通列と称する。
【0051】
図5(a)に示すように、電極収納セパレータ30が積層されると、この電極収納セパレータ30が積層体における最上層となるとともに、電極収納セパレータ30の1つ下の層が負極電極13となる。尚、以下の
図5〜
図8の説明においては、積層体の最上層となる電極収納セパレータ30と、この電極収納セパレータ30の1つ下の層である負極電極13とを、それぞれ単に電極収納セパレータ30と負極電極13と称する。
【0052】
ここで、負極電極13以下に積層される各層は、すべて支障のない程度に積層ずれが小さい状態となっている。これは、負極電極13以下に積層される各層においても、1つの層が積層される度に、その積層された層とそれ以下に積層された積層体との間での積層ずれが検査されていることによる。そして、積層ずれが大きい場合には、最上層の層の積層位置が修正されることにより、積層ずれを支障のない程度に小さい状態とした上で、積層作業が進められる。
【0053】
図5(b)に示すように、電極収納セパレータ30が積層された状態で、生じている積層ずれが支障のない程度に小さい状態となっているか否かが検査される。この検査は、電極収納セパレータ30の第1孔331a,332aと負極電極13以下の層における第1孔132a,331a,332aとの貫通状態と、電極収納セパレータ30の第2孔331b,332bと負極電極13以下の層における第2孔132b,331b,332bとの貫通状態をそれぞれ検査することにより行われる。第1孔132a,331a,332aの貫通状態と、第2孔132b,331b,332bの貫通状態は、これら第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bに光をそれぞれ投射することにより検査が行われる。具体的には、負極電極13の第1孔132aと第2孔132b等、最下層に積層されている層の2つの孔を介して、積層体を貫通してなる第1孔132a,331a,332aの貫通列及び第2孔132b,331b,332bの貫通列に対して、積層体の積層方向へと光が投射される。そして、第1孔132a,331a,332aの貫通列及び第2孔132b,331b,332bの貫通列を透過した光が最上層側において2箇所で受光されることにより、電極組立体11における第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bのいずれも貫通状態にあるとして判断される。ここで、第1孔132a,331a,332aが貫通状態にある場合は、第1孔132a,331a,332aが位置する負極電極13及び電極収納セパレータ30の角部を挟む2辺が、積層体の各層全てでほぼ揃った状態にある。また、第2孔132b,331b,332bが貫通状態にある場合は、第2孔132b,331b,332bが位置する負極電極13及び電極収納セパレータ30の角部を挟む2辺が、積層体の各層全てでほぼ揃った状態にある。そして、これら第1孔132a,331a,332aが全て貫通状態にあり、且つ第2孔132b,331b,332bが全て貫通状態にあることをもって、電極収納セパレータ30の積層によって生じた積層ずれが支障のない程度に小さいものであると判断される。
【0054】
図7(a)に示すように、本実施形態においては、第1孔132a,331a,332aの全てがずれなく貫通状態にある等、積層体に積層された負極電極13及び電極収納セパレータ30の全てに積層ずれが生じていないときに、積層ずれが支障のない程度に小さいものであると判断される。また、
図7(b)に示すように、本実施形態においては、第1孔132a,331a,332aにずれが生じているものの、光を透過させる程度の貫通状態にある等、積層体に積層された負極電極13及び電極収納セパレータ30に小さい積層ずれが生じているときにも、積層ずれが支障のない程度に小さいものであると判断される。
【0055】
一方、
図6(a)に示すように、
図5(a)に例示した場合と同じく電極収納セパレータ30が積層されて、生じている積層ずれが大きいと判断される場合について、
図6(b)にしたがって以下に説明する。尚、
図6(b)に示した例では、積層された電極収納セパレータ30に対角線方向にずれることによる直線的なずれが生じている。
【0056】
図6(b)に示すように、負極電極13の第1孔132aまでは、その負極電極13以下の層における第1孔132a,331a,332aの貫通列を介して光が投射されている。しかしながら、電極収納セパレータ30の面によって、負極電極13の第1孔132aは塞がれている。このため、積層体の最上層側においては、各層の第1孔132a,331a,332aの貫通列を透過した光は受光されない。一方、負極電極13の第2孔132bは、電極収納セパレータ30の面によって塞がれていない。このため、電極収納セパレータ30の第2孔331b,332bには光が透過しないものの、各層の第2孔132b,331b,332bの貫通列を介して透過した光は受光される。そして、積層体の最上層側においては、1箇所でのみ光が受光されることとなるため、積層体における第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bのいずれか一方が貫通状態にないとして判断される。そして、電極収納セパレータ30の積層によって生じた積層ずれが大きいと判断される。こうした判断を受けて、電極収納セパレータ30の積層位置が修正される。そして、積層ずれを支障のない程度に小さい状態とした上で、積層作業が進められる。
【0057】
図8に示すように、本実施形態においては、第1孔132a,331a,332aの全てがその孔の直径以上にずれて貫通状態にない等、積層体に積層された負極電極13及び電極収納セパレータ30の少なくとも一方に大きい積層ずれが生じているときに、積層ずれが大きいものであると判断される。
【0058】
図9に示すように、第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bの直径は、値(X+α)に設定されている。この値Xは、積層ずれの許容値の2倍の値となっている。すなわち、積層ずれの許容値は、値(X/2)と表すことができる。例えば、この積層ずれの許容値(X/2)を0.5mmとすると、値Xとして1mmが設定される。また、値αは次のように設定された値である。すなわち、第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bの直径を値Xに設定すると、積層ずれが許容値(X/2)未満であったときには、積層体全体の孔132a,132b,331a,331b,332a,332bが貫通状態にはなる。しかしながら、その貫通する領域が小さいと、積層体全体の孔132a,132b,331a,331b,332a,332bの貫通列に光を透過させることができないことがある。そして、こうして積層体全体の孔132a,132b,331a,331b,332a,332bの貫通列に光が透過されないことにより、電極組立体11に生じている積層ずれが許容できない程度のものであるとして誤って判断されるおそれがある。本実施形態では、上記のように第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bの直径を値(X+α)とすることで、許容値(X/2)に近い積層ずれが生じたとしても、積層体全体の孔132a,132b,331a,331b,332a,332bの貫通列に光を透過させることができる。上記の値αは、第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bの直径を値(X+α)に設定したときに、許容値(X/2)に近い積層ずれが生じたとしても、積層体全体の孔132a,132b,331a,331b,332a,332bを貫通する領域がこれらの層を光が透過可能な程度の大きさとなる値である。
【0059】
また、はみ出し部132は、第1孔132a及び第2孔132bが形成可能な程度の大きさをなしている。すなわち、例えば、負極電極13の外縁131aが正極電極12の4つの辺122a,122b,122c,122dからそれぞれ3mm程度はみ出す形状をなす。また、第1はみ出し部331及び第2はみ出し部332は、第1孔331a,332a及び第2孔331b,332bが形成可能な程度の大きさをなしている。すなわち、例えば、第1セパレータ31は、第2セパレータ32とで正極電極12を挟んだ状態で、その外縁231aが正極電極12の4つの辺122a,122b,122c,122dからそれぞれ3mm程度はみ出した形状をなす。また、第2セパレータ32は、第1セパレータ31とで正極電極12を挟んだ状態で、その外縁232aが正極電極12の4つの辺122a,122b,122c,122dからそれぞれ3mm程度はみ出した形状をなす。
【0060】
また、
図6(b)には、電極収納セパレータ30に積層ずれが生じる場合を例示していたが、既に積層されている負極電極13や電極収納セパレータ30に積層ずれが生じることもあり得る。積層体の積層方向の途中で大きく積層ずれが生じている場合にも、最上層で光を受光できないこととなるため、同様に積層ずれの検査を行うことが可能である。
【0061】
そして、電極収納セパレータ30は、接合部40によって第1セパレータ31と第2セパレータ32が接合されてなり、その内部に正極電極12が収納されている。すなわち、正極電極12は、電極収納セパレータ30における第1孔331a,332aや第2孔331b,332bの形成箇所には至らない状態で配設されている。したがって、電極収納セパレータ30の積層ずれが検査されることによって、自ずと正極電極12の積層ずれが検査されることとなる。
【0062】
次に、本実施形態の作用について説明する。
第1セパレータ31、第2セパレータ32、及び負極電極13が有する第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bといった2つの孔の貫通列に対して光の投射を行うことにより、第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bがその貫通列に光が透過する程度に貫通した状態にあるか否かに応じて、支障のない程度に積層ずれが小さい状態で積層が行えているか否かを容易に判断することができる。
【0063】
また、積層されたときに第1セパレータ31、第2セパレータ32、及び負極電極13の重なる位置に第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bといった2つずつの孔が位置することにより、積層ずれが積層された各層が幅方向にずれることによる直線的なずれであっても、各層が回転方向にずれることによる回転ずれであっても、積層ずれが生じているか否かの判断を好適に行うことができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば以下の効果が得られるようになる。
(1)第1セパレータ31、第2セパレータ32、及び負極電極13が有する第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bといった2つの孔の貫通列に対して光の投射を行うことにより、第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bがその貫通列に光が透過する程度に貫通した状態にあるか否かに応じて、支障のない程度に積層ずれが小さい状態で積層が行えているか否かを容易に判断することができる。したがって、生産効率の低下を抑制することができる。
【0065】
また、積層されたときに第1セパレータ31、第2セパレータ32、及び負極電極13の重なる位置に第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bといった2つずつの孔が位置することにより、積層ずれが積層された各層が幅方向にずれることによる直線的なずれであっても、各層が回転方向にずれることによる回転ずれであっても、積層ずれが生じているか否かの判断を好適に行うことができる。
【0066】
(2)本実施形態によれば、第1セパレータ31及び第2セパレータ32は接合部40に第1孔331a,332a及び第2孔331b,332bを有するため、第1セパレータ31及び第2セパレータ32の第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bを第1セパレータ31、第2セパレータ32、及び負極電極13が積層されたときに重なる位置とすることを容易に行うことができる。
【0067】
(3)本実施形態によれば、第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bを、正極電極12が積層されたときに正極電極12における対向した辺122a,122cに近接する位置にあるものとすることにより、第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bの位置を容易に設定することができる。
【0068】
(4)本実施形態によれば、第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bを、正極電極12が積層されたときに正極電極12の対角線上にある角部122e,122fに近接する位置にあるものとすることにより、第1孔132a,331a,332aと第2孔132b,331b,332bの間の距離を長くすることができるため、積層ずれの判断をより容易に行うことができる。
【0069】
(5)正極電極12、負極電極13、及びセパレータ31.32の積層された枚数に係わらず、積層ずれは第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bの貫通状態に反映される。したがって、本実施形態のように、積層された枚数が複数枚以上であれば、積層ずれの検査を行うことができる。
【0070】
(6)本実施形態によれば、積層中に第1孔132a,331a,332a及び第2孔132b,331b,332bの貫通列への光の投射を行うことにより、積層に係る時間内で併せて積層ずれの検査を行うことができる。したがって、積層ずれの検査をより効率的に行うことができ、二次電池10の生産効率の低下をより抑制することができる。
【0071】
(第2の実施形態)
以下、本発明を車両(例えば産業車両や乗用車両)に搭載される二次電池に具体化した第2の実施形態を
図10にしたがって説明する。尚、以下に説明する実施形態では、既に説明した実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0072】
図10に示すように、本実施形態における電極組立体11は、正極電極12と負極電極13とがシート状のセパレータ33を介して積層されてなる。正極電極12は、辺122aに沿って設けられる正極未塗工部12bに第1孔123c及び第2孔123dを有している。第1孔123cは、正極電極12の辺122bに近接する位置、より詳細には正極電極12の角部122eに近接する位置にある。第2孔123dは、正極電極12の辺122dに近接する位置、より詳細には角部122gに近接する位置にある。
【0073】
負極電極13は、その外縁131aに近接した位置に第1孔132c及び第2孔132dを有している。また、セパレータ33は、その外縁233aに近接した位置に第1孔333c及び第2孔333dを有している。これら負極電極13の第1孔132c及びセパレータ33の第1孔333cは、負極電極13やセパレータ33が正極電極12と積層されたときに、正極電極12の辺122bに近接する位置、より詳細には正極電極12の角部122eに近接する位置にある。負極電極13の第2孔132d及びセパレータ33の第2孔333dは、正極電極12の辺122dに近接する位置、より詳細には角部122gに近接する位置にある。そして、正極電極12、負極電極13、セパレータ33は、それらが積層されたときに、第1孔123c,132c,333c及び第2孔123d,132d,333dがそれぞれ重なる位置に第1孔123c,132c,333c及び第2孔123d,132d,333dをそれぞれ有する。
【0074】
尚、本実施形態においても、負極電極13及びセパレータ33は、正極電極12の表面12e及び裏面12fのいずれか一方の面を覆うように大きい。このため、負極電極13の第1孔132c及び第2孔132dは、負極塗工部13aと負極未塗工部13bとの境界部分よりも内側に位置している。そして、セパレータ33の第1孔333c及び第2孔333dも、負極電極13の第1孔132c及び第2孔132dと重なるようにセパレータ33の外縁233aの内側に位置している。これにより、第1孔123c,132c,333c及び第2孔123d,132d,333dがそれぞれ重なる位置とされている。
【0075】
そして、積層体の第1孔123c,132c,333cの貫通列及び第2孔123d,132d,333dの貫通列に対して、第1の実施形態と同様に光の投射が行われることにより、積層ずれの検査を行うことができる。
【0076】
また、本実施形態の正極電極12は、第1の実施形態のように袋状の電極収納セパレータの内部に収納されるものではない。このため、正極電極12に生じた積層ずれが大きいときには、セパレータ33により正極電極12の第1孔123c及び第2孔123dの少なくとも一方が塞がれることとなる。したがって、第1孔123c,132c,333cの貫通列及び第2孔123d,132d,333dの貫通列に対して、光の投射が行われることにより、負極電極13及びセパレータ33の積層ずれと併せて、正極電極12の積層ずれも検査されることとなる。
【0077】
次に、本実施形態の作用について説明する。
正極電極12、負極電極13、及びセパレータ33が有する第1孔123c,132c,333c及び第2孔123d,132d,333dといった2つの孔の貫通列に対して光の投射を行うことにより、第1孔123c,132c,333c及び第2孔123d,132d,333dがその貫通列に光が透過する程度に貫通した状態にあるか否かに応じて、支障のない程度に積層ずれが小さい状態で積層が行えているか否かを容易に判断することができる。
【0078】
また、積層されたときに正極電極12、負極電極13、及びセパレータ33の重なる位置に第1孔123c,132c,333c及び第2孔123d,132d,333dといった2つずつの孔が位置することにより、積層ずれが積層された各層が幅方向にずれることによる直線的なずれであっても、各層が回転方向にずれることによる回転ずれであっても、積層ずれが生じているか否かの判断を好適に行うことができる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)、(3)、(5)、(6)と同様の効果に加えて、以下の効果が得られるようになる。
(7)正極電極12は、正極未塗工部12bに第1孔123c及び第2孔123dを有するため、第1孔123c及び第2孔123dの形成に伴って正極電極12における電気容量の減少を抑制することができる。また、積層された状態で貫通する第1孔123c,132c,333c及び第2孔123d,132d,333dを介して正極電極12と負極電極13との短絡が生じることを抑制することができる。
【0080】
(第3の実施形態)
以下、本発明を車両(例えば産業車両や乗用車両)に搭載される二次電池に具体化した第3の実施形態を
図11にしたがって説明する。
【0081】
図11に示すように、本実施形態における電極組立体11は、正極電極12と負極電極13とがシート状のセパレータ33を介して積層されてなる。また、本実施形態においても、負極電極13及びセパレータ33は、正極電極12の表面12e及び裏面12fのいずれか一方の面を覆うように大きい。そして、本実施形態では、セパレータ33と負極電極13の大きさは異なり、セパレータ33は負極電極13よりも大きい。
【0082】
負極電極13は、その外縁131aに近接した位置に第1孔132e、第2孔132f、及び第3孔132gを有している。また、セパレータ33は、その外縁233aに近接した位置に第1孔333e、第2孔333f、及び第3孔333gを有している。
【0083】
負極電極13の第1孔132e及び第2孔132fと、セパレータ33の第1孔333e及び第2孔333fは、負極電極13やセパレータ33が正極電極12と積層されたときに、正極電極12の辺122aにそれぞれ近接する位置にある。さらに、負極電極13の第1孔132e及び第2孔132fと、セパレータ33の第1孔333e及び第2孔333fは、負極電極13やセパレータ33が正極電極12と積層されたときに、正極電極12の正極タブ12cを挟む2箇所にある。また、負極電極13の第3孔132g及びセパレータ33の第3孔333gは、負極電極13やセパレータ33が正極電極12と積層されたときに、正極電極12の辺122cにそれぞれ近接する位置にある。
【0084】
このように位置することにより、負極電極13の第1孔132e及び第3孔132gと、セパレータ33の第1孔333e及び第3孔333gは、正極電極12における対向し合う1対の辺122a,122cにそれぞれ近接する位置となっている。また、負極電極13の第1孔132e及び第2孔132fと、セパレータ33の第1孔333e及び第2孔333fは、正極電極12の正極タブ12cにおける対向し合う1対の辺12g,12hにそれぞれ近接する位置となっている。したがって、負極電極13及びセパレータ33において、第1孔132e,333e、第2孔132f,333f、及び第3孔132g,333gの位置は、正極電極12の対向し合う2対の辺12g,12h,122a,122cに近接する位置となっている。そして、負極電極13及びセパレータ33は、それらが積層されたときに重なる位置に第1孔132e,333e、第2孔132f,333f、及び第3孔132g,333gを有している。
【0085】
そして、第1孔132e,333eの貫通列、第2孔132f,333fの貫通列、及び第3孔132g,333gの貫通列に対して、第1の実施形態や第2の実施形態と同様に光の投射が行われることにより、積層ずれの検査を行うことができる。
【0086】
また、本実施形態の正極電極12は、第1の実施形態のように袋状の電極収納セパレータの内部に収納されるものではなく、また、第2の実施形態のように孔を有するものではない。このため、正極電極12に生じた積層ずれが大きいときには、正極電極12によりセパレータ33の第1孔333e、第2孔333f、及び第3孔333gの少なくとも1つが塞がれることとなる。したがって、第1孔132e,333eの貫通列、第2孔132f,333fの貫通列、及び第3孔132g,333gの貫通列に対して、光の投射が行われることにより、負極電極13及びセパレータ33の積層ずれと併せて、正極電極12の積層ずれも検査されることとなる。
【0087】
尚、負極電極13において、第3孔132gは、負極電極13が正極電極12と積層したときに、正極電極12の辺122cに近接する位置であって、正極タブ12cと対向する位置にある。そして、負極電極13において、第1孔132eと第3孔132gとの間の距離と、第2孔132fと第3孔132gとの間の距離は、等距離に設定されている。また、負極電極13と同じく、セパレータ33においても、第1孔333eと第3孔333gとの間の距離と、第2孔333fと第3孔333gとの間の距離は、等距離に設定されている。
【0088】
次に、本実施形態の作用について説明する。
負極電極13及びセパレータ33が有する第1孔132e,333e、第2孔132f,333f、及び第3孔132g,333gといった3つの孔の貫通列に対して光の投射を行うことにより、第1孔132e,333e、第2孔132f,333f、及び第3孔132g,333gがその貫通列に光が透過する程度に貫通した状態にあるか否かに応じて、支障のない程度に積層ずれが小さい状態で積層が行えているか否かを容易に判断することができる。
【0089】
また、積層されたときに負極電極13及びセパレータ33の重なる位置に第1孔132e,333e、第2孔132f,333f、及び第3孔132g,333gといった3つずつの孔が位置することにより、積層ずれが積層された各層が幅方向にずれることによる直線的なずれであっても、各層が回転方向にずれることによる回転ずれであっても、積層ずれが生じているか否かの判断を好適に行うことができる。
【0090】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)、(3)、(5)、(6)と同様の効果に加えて、以下の効果が得られるようになる。
(8)第1孔132e,333eと第2孔132f,333fとは、正極タブ12cを挟む2箇所にそれぞれあるとともに、第3孔132g,333gは、正極電極12における正極タブ12cが設けられた辺122aと対向する辺122cに近接する位置にある。こうした第1孔132e,333e、第2孔132f,333f、及び第3孔132g,333gによれば、支障のない程度に積層ずれが小さい状態で積層が行えていることをより容易に判断することができる。
【0091】
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
○ 第1セパレータ31の第1はみ出し部331及び第2セパレータ32の第2はみ出し部332は、第1の実施形態のはみ出し程度に限定しない。ただし、第1はみ出し部331及び第2はみ出し部332のはみ出し程度に収まるように、負極電極13の孔132a,132b、第1セパレータ31の孔331a,331b、及び第2セパレータ32の孔332a,332bの大きさをそれぞれ設定する必要がある。
【0092】
○ 第1の実施形態において、第1セパレータ31及び第2セパレータ32の一部が正極電極12の一部の辺からはみ出す形状をなすものとしてもよい。
○ 第1の実施形態において、負極電極13、第1セパレータ31、及び第2セパレータ32は大きさが異なるものであってもよい。ただし、負極電極13、第1セパレータ31、及び第2セパレータ32は、正極電極12と積層された状態で、はみ出し部132、第1はみ出し部331、及び第2はみ出し部332の少なくとも一部が、正極電極12の辺122a,122b,122c,122dからはみ出す方向が互いに同じ方向となっている必要がある。
【0093】
○ 負極電極13のはみ出し部132は、第1実施形態のはみ出し程度に限定しない。ただし、はみ出し部132のはみ出し程度に収まるように、負極電極13の孔132a,132b、第1セパレータ31の孔331a,331b、及び第2セパレータ32の孔332a,332bの大きさをそれぞれ設定する必要がある。
【0094】
○ 第1の実施形態において、負極電極13の一部が第1セパレータ31の第1はみ出し部331及び第2セパレータ32の第2はみ出し部332と同じ方向にはみ出した形状をなすものとしてもよい。
【0095】
○ 第1の実施形態において、接合部40は第1セパレータ31及び第2セパレータ32の各外縁231a,232aの全体に設けるものでなくてもよい。すなわち、正極電極12を第1セパレータ31及び第2セパレータ32の内部に収納できれば、例えば第1セパレータ31及び第2セパレータ32の対向する辺に部分的に接合部40を設けるようにしてもよい。
【0096】
○ 第1の実施形態において、第1セパレータ31及び第2セパレータ32の接合部40の設けられていない領域に孔331a,331b,332a,332bを設けるようにしてもよい。また、接合部40を第1セパレータ31及び第2セパレータ32の各外縁231a,232aの全体に設けない形態においては、第1セパレータ31及び第2セパレータ32の各外縁231a,232aのうち、接合部40が設けられていない領域に孔331a,331b,332a,332bを設けるようにしてもよい。
【0097】
○ 第1セパレータ31と第2セパレータ32とは、接合部40における溶着により接合されるものとしていた。第1セパレータ31と第2セパレータ32との接合は、粘着テープや接着剤、縫合、ステープラ等、溶着以外の接合をもって行ってもよい。
【0098】
○ 第1の実施形態において、負極電極13、第1セパレータ31、及び第2セパレータ32の全ての孔331a,331b,332a,332bを、正極電極12の辺122aに近接する位置にあるものとする等、正極電極12の4つの辺122a,122b,122c,122dのいずれかに近接する位置にあるものとしてもよい。要するに、全ての孔331a,331b,332a,332bが、負極電極13のはみ出し部132、第1セパレータ31の第1はみ出し部331、及び第2セパレータ32の第2はみ出し部332に設けられてさえあれば、その位置は自由に設定可能である。
【0099】
○ 第1の実施形態において、第1セパレータ31及び第2セパレータ32が負極電極13よりも大きいものとしてもよい。但し、負極電極13の大きさは、はみ出し部132を有する程度の大きさである必要がある。
【0100】
○ 第1の実施形態において、正極電極12も孔を有するものとしてもよい。但し、正極電極12の孔は、正極未塗工部12bに位置することが望ましい。
○ 第2の実施形態において、正極電極12、負極電極13、及びセパレータ33の全ての孔123c,123d,132c,132d,333c,333dが、正極電極12の辺122aに近接する位置にあるものとしていたが、これ以外の位置にあるものとしてもよい。但し、正極電極12、負極電極13、及びセパレータ33を積層したときに、孔123c,123d,132c,132d,333c,333dの位置が正極電極12における正極未塗工部12bに対応する位置となっている必要がある。
【0101】
○ 第2の実施形態において、負極電極13及びセパレータ33は、正極電極12の表面12e及び裏面12fのいずれか一方の面を覆うように大きいもの限らず、例えば正極電極12の大きさと同程度の大きさであってもよい。
【0102】
○ 第1の実施形態及び第2の実施形態において、積層体の各層が孔を3つ以上ずつ有するものとしてもよい。ただし、孔の数が多いほど孔の形成工数が増加するため、工数増加を抑える点では各層に形成される孔の数を2つとするのが望ましい。
【0103】
○ 第2の実施形態において、セパレータ33が負極電極13よりも大きいものとしてもよい。
○ 第3の実施形態において、負極電極13の孔132e,132f,132gや、セパレータ33の孔333e,333f,333gは、
図11に例示した形態に限定しない。例えば、負極電極13及びセパレータ33は4つずつ孔を有し、正極電極12の4つの辺122a,122b,122c,122dに各孔が近接して位置するものとしてもよい。こうした形態でも、正極電極12の対向し合う2対の辺122a,122b,122c,122dに近接する位置にあるものとすることができる。また、負極電極13及びセパレータ33の孔をこれ以外の位置関係にあるものとしてもよい。但し、負極電極13及びセパレータ33の全ての孔が、負極電極13の外縁131a及びセパレータ33の外縁233aのうち、
図3に示した負極電極13のはみ出し部132や、
図4に示した第1セパレータ31の第1はみ出し部331及び第2セパレータ32の第2はみ出し部332に相当する領域に、負極電極13及びセパレータ33の孔が設けられてさえあれば、その位置は自由に設定可能である。
【0104】
○ 第3の実施形態において、積層体の各層が孔を4つ以上ずつ有するものとしてもよい。ただし、孔の数が多いほど孔の形成工数が増加するため、工数増加を抑える点では各層に形成される孔の数を3つとするのが望ましい。
【0105】
○ 第3の実施形態において、セパレータ33と負極電極13が同程度の大きさをなしているものとしてもよい。
○ 上記実施形態において、積層体の各層に形成された孔の直径(X+α)は、1mm等の大きさに限定されるものではなく、許容される積層ずれの程度に応じて自由に設定可能である。
【0106】
○ 上記実施形態において、積層体の各層に形成された孔の形は円形に限定されず、矩形等、その他の形をなすものでもよい。ただし、孔の加工性の面では、円形を採用するのが望ましい。
【0107】
○ 上記実施形態では、
図5及び
図6に示したように、複数枚が積層されたときに、積層ずれの検査を行う場合を例示した。積層ずれの検査は、負極電極13等、1枚の積層がなされた状態でも次のように行うことができる。すなわち、例えば負極電極13の孔と電極組立体11の積層方向における同位置に孔等の目印を備えた検査板を設け、この検査板に負極電極13を1枚積層したときに、負極電極13の孔と検査板の目印との位置関係を確認することにより積層ずれの検査を行うことができる。
【0108】
○ 上記実施形態において、積層ずれの検査は、積層作業と別途行うようにしてもよい。例えば、所定枚数(もしくは所定枚数以上)が積層される毎に、積層作業を中断して積層ずれの検査を行うようにしてもよい。また、電極組立体11の積層が完了した状態で、積層ずれの検査を行うようにしてもよい。
【0109】
○ 上記実施形態において、針等の部材を積層体の各層の孔に直接通すことにより積層ずれの検査を行う方法等、光の投射以外の検査方法を採用することも可能である。尚、採用する検査方法に応じて、各層の孔の直径の値(X+α)等、孔の大きさを最適な大きさに設定する必要がある。
【0110】
○ 上記実施形態において、孔にかえて切り欠きを各層に形成するようにして、切り欠きに対して上記形態の積層ずれ検査方法を採用することも可能である。
○ 上記実施形態では、正極電極12は表裏両面に活物質が塗工される正極塗工部12aを有するとしたが、正極電極12の片面のみに正極塗工部12aを有していてもよい。このとき、正極塗工部12aが負極塗工部13aと対向するように、正極電極12を積層する必要がある。
【0111】
○ 上記実施形態では、負極電極13は表裏両面に活物質が塗工される負極塗工部13aを有するとしたが、負極電極13の片面のみに負極塗工部13aを有していてもよい。このとき、負極塗工部13aが正極塗工部12aと対向するように、負極電極13を積層する必要がある。
【0112】
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限らず、他の二次電池であってもよい。要するに、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。
【0113】
○ 本発明を、電気二重層コンデンサ等の蓄電装置に具体化してもよい。