(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光信号の強度に応じた電気信号を生成する受光素子部のための第1の半導体積層部と、前記光信号を閉じ込めるコア層のための半導体層を含み、前記受光素子部へ前記光信号を伝搬する光導波路部のための第2の半導体積層部とを基板上に成長させる第1の成長工程と、
前記第1及び第2の半導体積層部のうち前記受光素子部及び前記光導波路部となる部分を覆う第1の部分と、前記第2の半導体積層部のうち、前記受光素子部にバイアス電力を供給するバイアス配線と基準電位配線との間に電気的に接続される容量素子部となる部分を覆う第2の部分とを有するエッチングマスクを形成し、該エッチングマスクを用いて前記第1及び第2の半導体積層部をエッチングする第1のエッチング工程と、
前記第2の半導体積層部において前記第2の部分に覆われていた部分を選択的にエッチングすることにより、前記半導体層の表面を露出させる第2のエッチング工程と、
前記第2のエッチング工程により露出した前記半導体層上に、前記バイアス配線及び前記基準電位配線のうち一方に接続される第1金属層、絶縁膜、並びに、前記バイアス配線及び前記基準電位配線のうち他方に接続される第2金属層を順に形成する容量素子部形成工程と
を備えることを特徴とする、光導波路型受光素子の製造方法。
前記第2の半導体積層部が、InGaAsPまたはAlGaInAsから成る前記半導体層と、該半導体層上に設けられたInPから成る別の半導体層とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の光導波路型受光素子の製造方法。
前記光導波路部が、InGaAsPまたはAlGaInAsから成る前記コア層と、該コア層上に設けられたInPから成るクラッド層とを含むことを特徴とする、請求項3に記載の光導波路型受光素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体基板上にフォトダイオードと光導波路とが集積されて成る光導波路型受光素子が研究されている。このような光導波路型受光素子は、例えば40Gb/s以上といった高速なビットレートを有する、多値変調方式とデジタルコヒーレント受信方式とを組み合わせた光伝送システムの受信フロントエンドとして用いられる。この光導波路型受光素子は、光吸収層を含むフォトダイオードのための半導体積層部と、コア層を含む光導波路のための半導体積層部とのバットジョイント構造を半導体基板上に形成することにより作製される。
【0005】
また、このような光導波路型受光素子では、フォトダイオードにバイアス電力を供給する配線とGND配線(基準電位配線)との間にキャパシタが設けられる場合があるが、受信フロントエンドの小型化のため、キャパシタもまた、フォトダイオード及び光導波路と並んで上記半導体基板上に形成されることが好ましい。このようなキャパシタとしては、2つの金属層の間に絶縁膜が挟み込まれたMIM(Metal insulator metal)キャパシタが好適である。
【0006】
しかしながら、光導波路型受光素子の半導体基板上にMIMキャパシタを形成する場合、次の問題がある。半導体基板上に形成されるMIMキャパシタでは、ウエハ面内において均一な耐圧分布を得るために、その下地となる面の平坦性が高いことが好ましい。しかし、例えば半導体基板の表面上にMIMキャパシタを直接形成すると、半導体基板の表面粗さの影響を受け、均一な耐圧分布を得ることが困難となる。特に、メサ状の光導波路の両側面が半絶縁性半導体によって埋め込まれた構造を備える光導波路型受光素子では、埋め込み層の成長の際にジクロロエチレンを添加すると、半導体基板上に堆積した埋め込み層の表面に多数のヒロック(Hillock)と呼ばれる突起が発生する。この多数のヒロックは、半導体基板上の埋め込み層をエッチングにより除去したとしても、半導体基板の表面に転写されてMIMキャパシタの下地面の平坦性を損なう一因となる。
【0007】
また、半導体基板の上にエピタキシャル成長した半導体層の表面は、一般的に半導体基板の表面と比較して凹凸が少なく平坦であるため、例えば半導体基板上に最初に成長される半導体バッファ層のうち、MIMキャパシタの形成予定領域をマスクで保護しておくことも考えられる。しかしながら、MIMキャパシタの形成領域は例えば100μm×300μmといった広い領域であるため、このような方法では、フォトダイオードや光導波路のための半導体積層部を成長させる際にマスク上に堆積物(デポ物)が生じ、この堆積物が残存して下地面の平坦性を損なうおそれがある。更には、堆積物の影響によりマスクを除去できなくなるおそれもある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、MIMキャパシタの下地面の平坦性を高めることができる光導波路型受光素子の製造方法および光導波路型受光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明による光導波路型受光素子の製造方法は、光信号の強度に応じた電気信号を生成する受光素子部のための第1の半導体積層部と、光信号を閉じ込めるコア層のための半導体層を含み、受光素子部へ光信号を伝搬する光導波路部のための第2の半導体積層部とを基板上に成長させる第1の成長工程と、第1及び第2の半導体積層部のうち受光素子部及び光導波路部となる部分を覆う第1の部分と、第2の半導体積層部のうち、受光素子部にバイアス電力を供給するバイアス配線と基準電位配線との間に電気的に接続される容量素子部となる部分を覆う第2の部分とを有するエッチングマスクを形成し、該エッチングマスクを用いて第1及び第2の半導体積層部をエッチングする第1のエッチング工程と、第2の半導体積層部において第2の部分に覆われていた部分を選択的にエッチングすることにより、半導体層の表面を露出させる第2のエッチング工程と、第2のエッチング工程により露出した半導体層上に、バイアス配線及び基準電位配線のうち一方に接続される第1金属層、絶縁膜、並びに、バイアス配線及び基準電位配線のうち他方に接続される第2金属層を順に形成する容量素子部形成工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
この光導波路型受光素子の製造方法では、第1のエッチング工程において、第2の部分を有するエッチングマスクを用いて第2の半導体積層部をエッチングする。これにより、第2の半導体積層部のうち、容量素子部が形成される領域に位置する部分が残存する。続いて、第2のエッチング工程において、この第2の半導体積層部の残存部分をエッチングしてコア層用の半導体層を露出させる。これにより、容量素子部の下地となる半導体層を好適に露出させることができる。その後、容量素子部形成工程において、この半導体層上に、第1金属層、絶縁膜、及び第2金属層を含むMIMキャパシタを形成する。
【0011】
このように、上述した製造方法では、半導体基板上に成長したコア層のための半導体層の上に、容量素子部を形成する。前述したように、半導体基板の上に成長した半導体の表面は、一般的に半導体基板の表面と比較して凹凸が少なく平坦である。また、通常、コア層と同組成である第2の半導体積層部の上記半導体層の組成は、第2の半導体積層部の他の層の組成と異なる。したがって、例えばコア層と他の層とのエッチングレート差を利用することで、コア層の平坦な表面を容易に露出させることができる。すなわち、上述した製造方法によれば、容量素子部(MIMキャパシタ)の下地面の平坦性を高めることができる。
【0012】
また、光導波路型受光素子の製造方法は、第2の半導体積層部が、InGaAsPまたはAlGaInAsから成る半導体層と、該半導体層上に設けられたInPから成る別の半導体層とを含むことを特徴としてもよい。これにより、InGaAsPまたはAlGaInAsとInPとのエッチングレート差を利用して、半導体層の平坦な表面を好適に露出させることができる。
【0013】
また、本発明による光導波路型受光素子は、光信号の強度に応じた電気信号を生成する受光素子部と、光信号を閉じ込めるコア層を含み、該受光素子部へ光信号を伝搬する光導波路部と、受光素子部にバイアス電力を供給するバイアス配線と基準電位配線との間に電気的に接続された容量素子部とを備え、受光素子部、光導波路部、及び容量素子部が共通の基板上に集積されており、容量素子部が、光導波路部のコア層を形成するために成長された半導体層の一部である下地層と、下地層上に形成され、バイアス配線及び基準電位配線のうち一方に接続された第1金属層と、第1金属層上に形成され、バイアス配線及び基準電位配線のうち他方に接続された第2金属層と、第1金属層と第2金属層との間に配置された絶縁膜とを有することを特徴とする。
【0014】
この光導波路型受光素子では、容量素子部が、光導波路部のコア層を形成するために成長された半導体層の一部である下地層と、下地層上に形成された第1金属層、絶縁膜、及び第2金属層を含むMIMキャパシタとを有する。前述したように、半導体基板の上に成長した半導体の表面は、一般的に半導体基板の表面と比較して凹凸が少なく平坦である。また、通常、コア層のために成長された半導体層の一部である下地層の組成は光導波路部の他の層の組成と異なるので、例えば下地層と他の層とのエッチングレート差を利用することで、下地層の平坦な表面を容易に露出させることができる。したがって、上述した光導波路型受光素子によれば、容量素子部(MIMキャパシタ)の下地面の平坦性を高めることができる。
【0015】
また、光導波路型受光素子は、光導波路部が、InGaAsPまたはAlGaInAsから成るコア層と、該コア層上に設けられたInPから成るクラッド層とを含むことを特徴としてもよい。これにより、InGaAsPまたはAlGaInAsとInPとのエッチングレート差を利用して、下地層の平坦な表面を好適に露出させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による光導波路型受光素子の製造方法および光導波路型受光素子によれば、MIMキャパシタの下地面の平坦性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明による光導波路型受光素子の製造方法および光導波路型受光素子の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る多チャネル光導波路型受光素子(以下、単に光導波路型受光素子という)を備える受光デバイスの構成を示す平面図である。また、
図2(a)は
図1に示されたI−I線に沿った断面を示しており、
図2(b)は
図1に示されたII−II線に沿った断面を示しており、
図2(c)は
図1に示されたIII−III線に沿った断面を示しており、
図2(d)は
図1に示されたIV−IV線に沿った断面を示している。
【0020】
図1に示されるように、本実施形態の受光デバイス1Aは、光導波路型受光素子10と、信号増幅部50A,50Bとを備えている。光導波路型受光素子10は、略矩形状といった平面形状を有しており、例えばInPといった化合物半導体から成る基板上に光導波路が形成されて成る。光導波路型受光素子10は、2つの入力ポート11a,11bと、光分岐部(光カプラ)12とを有している。また、光導波路型受光素子10は、基板上に形成された受光素子部13a〜13dと、容量素子部14a〜14dとを更に有している。
【0021】
光導波路型受光素子10は、所定の第1の方向Aに沿って延びる一対の端縁10a,10bを有している。2つの入力ポート11a,11bは、光導波路型受光素子10の端縁10a,10bのうち、一方の端縁10aに設けられている。2つの入力ポート11a,11bのうち一方の入力ポート11aには、QPSK方式によって変調された4つの信号成分を含む光信号Laが受光デバイス1Aの外部より入力される。また、他方の入力ポート11bには、局部発振光Lbが入力される。入力ポート11a,11bそれぞれは、光導波路部15a,15bそれぞれを介して光分岐部12と光学的に結合されている。なお、光導波路部15a,15bは、屈折率が比較的大きい材料(例えばInGaAsP)から成るコア層と、屈折率が該コア層よりも小さい材料(例えばInP)から成り該コア層を覆うクラッド層とによって好適に構成される。
【0022】
光分岐部12は、90°光ハイブリッドを構成する。すなわち、光分岐部12は、MMIカプラによって構成されており、光信号Laと局部発振光Lbとを相互に干渉させることによって、光信号Laを、QPSK方式によって変調された4つの信号成分Lc1〜Lc4それぞれに分岐する。なお、これら4つの信号成分Lc1〜Lc4のうち、信号成分Lc1及びLc2は偏波状態が互いに等しく、同相(In-phase)関係を有する。また、信号成分Lc3及びLc4の偏波状態は、互いに等しく且つ信号成分Lc1及びLc2の偏波状態とは異なっている。信号成分Lc3及びLc4は、直角位相(Quadrature)関係を有する。
【0023】
受光素子部13a〜13dは、PINフォトダイオードとしての構成を有しており、光導波路型受光素子10の端縁10bに沿って、この順で並んで配置されている。受光素子部13a〜13dそれぞれは、光導波路部15c〜15fそれぞれを介して光分岐部12の4つの出力端と光学的に結合されている。受光素子部13a〜13dのカソードには、一定のバイアス電圧が供給される。受光素子部13a〜13dそれぞれは、4つの信号成分Lc1〜Lc4それぞれを光分岐部12から受け、これら信号成分Lc1〜Lc4それぞれの光強度に応じた電気信号(光電流)を生成する。光導波路型受光素子10上には、受光素子部13a〜13dのアノードに電気的に接続された信号出力用電極パッド16a〜16dが設けられている。信号出力用電極パッド16a〜16dは、光導波路型受光素子10の端縁10bに沿って、第1の方向Aに並んで設けられている。信号出力用電極パッド16a〜16dそれぞれは、ボンディングワイヤ20a〜20dそれぞれを介して、後述する信号増幅部50A,50Bの信号入力用電極パッド51a〜51dそれぞれと電気的に接続されている。
【0024】
容量素子部14a〜14dは、半導体からなる下地層、この下地層の上に積層された第1金属層および第2金属層、および第1金属層と第2金属層との間に挟まれた絶縁層によって好適に構成される。容量素子部14a〜14dそれぞれは、光導波路型受光素子10上において光導波路部15c〜15fそれぞれに対し第1の方向Aに並んで(隣り合って)配置されており、受光素子部13a〜13dそれぞれのカソードにバイアス電圧を供給するバイアス配線と、基準電位配線(GND線)との間に電気的に接続される。すなわち、第1金属層および第2金属層のうち一方の金属層がバイアス配線に接続され、他方の金属層が基準電位配線(GND線)に接続される。
【0025】
容量素子部14a〜14dそれぞれは、上記一方の金属層に接続されたバイアス電圧側電極パッド17a〜17dそれぞれと、上記他方の金属層に接続された基準電位側電極パッド18a〜18dそれぞれとを有している。基準電位側電極パッド18a〜18dは、第1の方向Aと交差する第2の方向Bにおいて、バイアス電圧側電極パッド17a〜17dと光導波路型受光素子10の端縁10bとの間に配置されている。そして、基準電位側電極パッド18a〜18dは端縁10bに向けて延びており、バイアス電圧側電極パッド17a〜17dは端縁10bから離れる向きに延びている。
【0026】
バイアス電圧側電極パッド17a〜17dそれぞれには、ボンディングワイヤ20i〜20mそれぞれの一端が接続されている。ボンディングワイヤ20i〜20mそれぞれの他端は、図示しないバイアス電圧源と電気的に接続されている。ボンディングワイヤ20i〜20mは、受光素子部13a〜13dそれぞれにバイアス電圧を供給する配線の一部を構成する。
【0027】
基準電位側電極パッド18a〜18dそれぞれには、ボンディングワイヤ20e〜20hそれぞれの一端が接続されている。ボンディングワイヤ20e〜20hは、ボンディングワイヤ20a〜20dに沿って設けられており、ボンディングワイヤ20e〜20hそれぞれの他端は、信号増幅部50A,50Bの基準電位用電極パッド52a、52c、52d及び52fそれぞれに接続されている。
【0028】
信号増幅部50A及び50Bは、受光素子部13a〜13dから出力された電気信号(光電流)を増幅する増幅器(プリアンプ)である。信号増幅部50Aは、2つの信号入力用電極パッド51a及び51bを有しており、信号入力用電極パッド51a及び51bに入力された電気信号の差動増幅を行って一つの電圧信号を生成する。また、信号増幅部50Bは、2つの信号入力用電極パッド51c及び51dを有しており、信号入力用電極パッド51c及び51dに入力された電気信号の差動増幅を行って一つの電圧信号を生成する。信号入力用電極パッド51a〜51dは、光導波路型受光素子10の端縁10bに沿って、第1の方向Aにこの順で並んで配置されている。前述したように、信号入力用電極パッド51a〜51dそれぞれは、ボンディングワイヤ20a〜20dそれぞれを介して信号出力用電極パッド16a〜16dそれぞれと電気的に接続されている。
【0029】
また、信号増幅部50Aは、3つの基準電位用電極パッド52a〜52cを更に有している。基準電位用電極パッド52a〜52cは、光導波路型受光素子10の端縁10bに沿って、第1の方向Aにこの順で並んで配置されている。上述した信号入力用電極パッド51aは基準電位用電極パッド52a及び52bの間に配置されており、信号入力用電極パッド51bは基準電位用電極パッド52b及び52cの間に配置されている。同様に、信号増幅部50Bは、3つの基準電位用電極パッド52d〜52fを更に有している。基準電位用電極パッド52d〜52fは、光導波路型受光素子10の端縁10bに沿って、第1の方向Aにこの順で並んで配置されている。上述した信号入力用電極パッド51cは基準電位用電極パッド52d及び52eの間に配置されており、信号入力用電極パッド51dは基準電位用電極パッド52e及び52fの間に配置されている。前述したように、信号増幅部50A,50Bの基準電位用電極パッド52a、52c、52d及び52fそれぞれは、ボンディングワイヤ20e〜20hそれぞれを介して基準電位側電極パッド18a〜18dそれぞれと電気的に接続されている。
【0030】
ここで、
図2(a)〜
図2(d)を参照して、受光素子部13a〜13d、容量素子部14a〜14d、及び光導波路部15a〜15fの断面構造について詳細に説明する。
図2(a)〜
図2(d)に示されるように、受光素子部13a〜13d、容量素子部14a〜14d、及び光導波路部15a〜15fは、共通の基板21上に集積されている。基板21は、例えば半絶縁性のInPからなる半導体基板である。
【0031】
まず、光導波路部15a〜15fの断面構造について説明する。
図2(b)には、光導波路部15fの光導波方向に垂直な断面の構造が含まれている。また、
図2(c)には、光導波路部15fの光導波方向に沿った断面構造が含まれている。なお、他の光導波路部15a〜15eは、光導波路部15fと同様の断面構造を有している。
【0032】
図2(b)及び
図2(c)を参照すると、光導波路部15fは、基板21上に設けられたバッファ層22と、バッファ層22上に設けられた光導波コア層23と、光導波コア層23上に設けられたクラッド層24とを含んで構成されている。バッファ層22は、基板21と同じ半導体材料、例えば半絶縁性のInPからなる。光導波コア層23は、屈折率がバッファ層22よりも大きく且つバッファ層22と格子整合できる材料(例えばInGaAsP)からなる。一例では、光導波コア層23のInGaAsPのバンドギャップ波長は1.05μmである。クラッド層24は、屈折率が光導波コア層23よりも小さく且つ光導波コア層23と格子整合できる材料(例えばアンドープInP)からなる。バッファ層22の一部、光導波コア層23、及びクラッド層24は、所定の光導波方向に延びるメサ構造を構成している。バッファ層22及びクラッド層24とコア層23との屈折率差、並びにこのメサ構造によって、光導波コア層23内に光信号が閉じ込められ、光信号を受光素子部13dへ伝搬することができる。なお、このメサ構造の側面及び上面は、2層の絶縁膜26,27に覆われることによって保護されている。絶縁膜26,27は、例えば絶縁性シリコン化合物(SiN、SiON、またはSiO
2)から成る。
【0033】
次に、受光素子部13a〜13dの断面構造について説明する。
図2(a)には、受光素子部13dの光導波方向に垂直な断面の構造が含まれている。また、
図2(c)には、受光素子部13dの光導波方向に沿った断面構造が含まれている。なお、他の受光素子部13a〜13cは受光素子部13dと同様の断面構造を有している。
【0034】
図2(a)及び
図2(c)を参照すると、受光素子部13dは、基板21上に順に積層された、エッチングストップ層31、n型バッファ層32、n型ヘテロ障壁緩和層33、光吸収層34、ヘテロ障壁緩和層35、p型クラッド層36、p型ヘテロ障壁緩和層37、及びp型コンタクト層38を有している。エッチングストップ層31は、例えばアンドープInGaAsPからなり、そのバンドギャップ波長は例えば1.15μmである。n型バッファ層32は、例えばSiドープInPからなる。n型ヘテロ障壁緩和層33は、例えばSiドープInGaAsPからなり、そのバンドギャップ波長は例えば1.4μmである。光吸収層34は、例えばアンドープInGaAsからなる。ヘテロ障壁緩和層35は、例えば2層のアンドープまたはZnドープInGaAsPからなり、2層それぞれのバンドギャップ波長は例えば1.3μm及び1.1μmである。p型クラッド層36は、例えばZnドープInPからなる。p型ヘテロ障壁緩和層37は、例えば2層のZnドープInGaAsPからなり、2層それぞれのバンドギャップ波長は例えば1.1μm及び1.3μmである。p型コンタクト層38は、例えばZnドープInGaAsからなる。
【0035】
図2(a)に示されるように、n型バッファ層32の一部、n型ヘテロ障壁緩和層33、光吸収層34、ヘテロ障壁緩和層35、p型クラッド層36、p型ヘテロ障壁緩和層37、及びp型コンタクト層38は、所定の光導波方向(本実施形態では第2の方向B)に延びるメサ構造を構成しており、このメサ構造は、一対の側面を有している。そして、光導波方向におけるn型ヘテロ障壁緩和層33、光吸収層34、及びヘテロ障壁緩和層35の一端は、前述した光導波路部15fの光導波コア層23と接することにより、光導波コア層23と光学的に結合されている。また、このメサ構造の一対の側面は、例えばFeドープInPといった半絶縁性材料からなる埋込領域41によって埋め込まれている。
【0036】
受光素子部13dは、2層の絶縁膜26,27を更に有している。絶縁膜26,27は、前述した光導波路部15a〜15fと共通のものであり、メサ構造の上面から埋込領域41上にかけて設けられて、これらを覆って保護している。また、絶縁膜26,27は、メサ構造の上面に開口を有しており、該開口により絶縁膜26,27から露出したp型コンタクト層38の上には、p型オーミック電極39が設けられている。p型オーミック電極39は、例えばAuZn若しくはPtとコンタクト層38との合金からなる。そして、p型オーミック電極39上には、配線42が設けられている。
図2(c)に示されるように、配線42は、光導波方向(第2の方向B)に延びており、p型オーミック電極39と信号出力用電極パッド16dとを電気的に接続する。配線42は例えばTiW/Au若しくはTi/Pt/Auといった積層構造を有しており、信号出力用電極パッド16dは例えばAuメッキによって形成される。
【0037】
また、
図2(a)に示されるように、絶縁膜26は、受光素子部13dのメサ構造から離れたn型バッファ層32の上にも、別の開口を有している。該開口により絶縁膜26から露出したn型バッファ層32の上には、カソードとしてのn型オーミック電極43が設けられている。n型オーミック電極43は、例えばAuGe若しくはAuGeNiとn型バッファ層32との合金からなる。そして、n型オーミック電極43上にはバイアス配線48が設けられており、該バイアス配線48は、後述する容量素子部14dの下部金属層まで延びている。
【0038】
次に、容量素子部14a〜14dの断面構造について説明する。
図2(b)には、光導波路部15fの光導波方向に垂直な、容量素子部14dの断面の構造が含まれている。また、
図2(d)には、光導波路部15fの光導波方向に沿った、容量素子部14dの断面構造が含まれている。なお、他の容量素子部14a〜14cは容量素子部14dと同様の断面構造を有している。
【0039】
図2(b)及び
図2(d)を参照すると、容量素子部14dは、基板21上に順に積層された、半導体層28、下地層49、絶縁膜26、下部金属層(第1金属層)44、絶縁膜27、及び上部金属層(第2金属層)45を有している。半導体層28及び下地層49それぞれは、光導波路部15a〜15fのバッファ層22及びコア層23それぞれを形成するために成長された半導体層の一部である。すなわち、半導体層28は、バッファ層22と同じ材料、例えば半絶縁性InPからなる。また、下地層49は、コア層23と同じ材料、例えばInGaAsPからなる。
【0040】
下部金属層44は下地層49上に形成されており、上部金属層45は下部金属層44上に形成されている。また、絶縁膜26は下地層49と下部金属層44との間に配置されており、絶縁膜27は下部金属層44と上部金属層45との間に配置されている。下部金属層44及び上部金属層45は、例えばTiW/Au若しくはTi/Pt/Auといった金属積層構造を有している。絶縁膜26,27は、受光素子部13a〜13d及び光導波路部15a〜15fと共通のものであり、例えば絶縁性シリコン化合物(SiN、SiON、またはSiO
2)から成る。このように、容量素子部14dは、絶縁膜27が下部金属層44及び上部金属層45に挟まれた構成を備えており、いわゆるMIMキャパシタ構造を有している。また、このMIMキャパシタ構造の周囲は、受光素子部13dと共通の埋込領域41によって囲まれている。
【0041】
上部金属層45に覆われていない下部金属層44の部分上では、絶縁膜27に開口が形成されている。該開口から露出した下部金属層44上には、バイアス配線46が設けられている。バイアス配線46は、光導波方向(第2の方向B)において光導波路型受光素子10の端縁10bから遠ざかる向きに延びており、下部金属層44とバイアス電圧側電極パッド17dとを電気的に接続する。また、上部金属層45上には基準電位配線47が設けられている。基準電位配線47は、光導波方向(第2の方向B)において光導波路型受光素子10の端縁10bに近づく向きに延びており、上部金属層45と基準電位側電極パッド18dとを電気的に接続する。なお、配線46及び47は例えばTiW/Au若しくはTi/Pt/Auといった積層構造を有しており、バイアス電圧側電極パッド17d及び基準電位側電極パッド18dは例えばAuメッキによって形成される。
【0042】
以上の構成を備える光導波路型受光素子10を製造する方法について説明する。
図3〜
図17は、光導波路型受光素子10の各製造工程を示す図であって、受光素子部13d、容量素子部14d、及び光導波路部15fを含む領域を拡大して示している。なお、
図3〜
図7、
図9、及び
図11は、製造途中の光導波路型受光素子を示す斜視図である。また、
図8、
図10、及び
図12は、それぞれ
図7、
図9、及び
図11に示される光導波路型受光素子の断面図であって、
図8、
図10、及び
図12の(a)〜(d)は、それぞれ
図7、
図9、及び
図11のV−V線、VI−VI線、VII−VII線、及びVIII−VIII線に沿った各断面を示している。また、
図13〜
図17の(a)〜(d)は、
図8、
図10、及び
図12の(a)〜(d)に相当する断面を示している。
【0043】
先ず、
図3に示されるように、受光素子部13a〜13dのための第1の半導体積層部60と、光導波路部15a〜15fのための第2の半導体積層部70とを基板21上に成長させる(第1の成長工程)。具体的には、まず、エッチングストップ層31、n型バッファ層32、及びn型ヘテロ障壁緩和層33のための半導体層61〜63を成長させ、その上に、受光素子部13a〜13dの形成領域を含むパターンを有するマスクを形成し、該マスクを用いて半導体層61〜63をエッチングする。次に、マスクに覆われていない基板21上の領域に、バッファ層22のための半導体層71を選択的に成長させる。マスクを除去したのち、光吸収層34、ヘテロ障壁緩和層35、p型クラッド層36、p型ヘテロ障壁緩和層37、及びp型コンタクト層38のための半導体層64〜68を基板21上の全面に成長させる。そして、上記マスクと同様のパターンを有するマスクを半導体層68上に形成し、このマスクを用いて、半導体層64〜68をエッチングする。その後、マスクに覆われていない基板21上の領域に、コア層23及びクラッド層24のための半導体層72,73を選択的に成長させる。以上の工程により、受光素子部13a〜13dのための半導体層61〜68を含む第1の半導体積層部60と、光導波路部15a〜15fのための半導体層71〜73を含む第2の半導体積層部70とが好適に形成される。
【0044】
続いて、
図4に示されるように、第1の半導体積層部60上および第2の半導体積層部70上に、エッチングマスクM1を形成する。このエッチングマスクM1は、シリコン化合物(SiN、SiON、またはSiO
2)から成り、第1の部分M1aと、第2の部分M1bとを有する。第1の部分M1aは、第1及び第2の半導体積層部60,70のうち受光素子部13a〜13d及び光導波路部15a〜15fとなる部分を覆い、受光素子部13a〜13d及び光導波路部15a〜15fの平面形状と略同一の平面形状を有する。光導波方向と直交する方向における第1の部分M1aの幅は、例えば2μmである。第2の部分M1bは、第2の半導体積層部70のうち容量素子部14a〜14dとなる部分を覆い、容量素子部14a〜14dの平面形状と略同一の平面形状を有する。そして、
図5に示されるように、このエッチングマスクM1を用いて、第1及び第2の半導体積層部60,70に対しドライエッチングを行う(第1のエッチング工程)。このエッチングは、半導体層62及び半導体層71の途中で停止されるとよい。
【0045】
このエッチングによって、受光素子部13a〜13dのメサ構造が形成されるとともに、エッチングストップ層31、n型バッファ層32、n型ヘテロ障壁緩和層33、光吸収層34、ヘテロ障壁緩和層35、p型クラッド層36、p型ヘテロ障壁緩和層37、及びp型コンタクト層38が形成される。また、このエッチングによって、光導波路部15a〜15fのメサ構造が形成されるとともに、バッファ層22、コア層23及びクラッド層24が形成される。更に、このエッチングによって、容量素子部14a〜14dの半導体層28、下地層49、及び半導体層62からなるテラス状の構造物が形成される。すなわち、半導体層28、下地層49、及び半導体層62それぞれは、光導波路部15a〜15fのバッファ層22、コア層23、及びクラッド層24それぞれのために形成された、第2の半導体積層部70の半導体層71〜73それぞれの一部である。
【0046】
続いて、
図6に示されるように、エッチングマスクM1のうち第1の部分M1aを残して第2の部分M1bを除去する。そして、
図7及び
図8に示されるように、光導波路部15a〜15fを覆うマスクM2を形成する。マスクM2は、シリコン化合物(SiN、SiON、またはSiO
2)から成り、光導波路部15a〜15fのメサ構造の両側面上および上面上に形成される。また、マスクM2は、n型バッファ層32の露出表面の一部の領域上にも形成される。その結果、受光素子部13a〜13dおよびその周辺の光導波路部15a〜15fのメサ構造は、マスクM2から露出する。更に、半導体層28、下地層49、半導体層62並びにその周辺領域も、マスクM2から露出する。そして、このマスクM2から露出している部分の表面に対し、ダメージ除去のためのウェットエッチングを行う。
【0047】
続いて、
図9及び
図10に示されるように、マスクM1及びM2から露出した部分上に、例えばFeドープInPといった半絶縁性材料からなる埋込領域41を成長させる。この工程において、埋込領域41は、受光素子部13a〜13dのメサ構造の側面を埋め込むように成長する。更に、埋込領域41は、半導体層28、下地層49、及び半導体層62の各側面、及び半導体層62の上面を埋め込むように成長する。
【0048】
続いて、
図11及び
図12に示されるように、マスクM1及びM2を除去したのち、半導体層62(すなわち、第2の半導体積層部70においてマスクM1の第2の部分M1bに覆われていた部分)及び埋込領域41に対してエッチングを行うことにより、下地層49の表面を露出させる(第2のエッチング工程)。このエッチングは、半導体層62上にのみ開口を有するマスク(不図示)を用いて行われ、また、埋込領域41及び半導体層62に対するエッチングレートが下地層49に対するエッチングレートよりも十分に速いエッチング条件で行われる。したがって、下地層49がエッチング停止層として機能し、埋込領域41及び半導体層62を選択的にエッチングすることができる。なお、第1の方向A(
図1を参照)における下地層49の露出面の幅は例えば100μmであり、第2の方向B(
図1を参照)における下地層49の露出面の幅は例えば300μmである。
【0049】
続いて、
図13に示されるように、受光素子部13a〜13d及び光導波路部15a〜15fと容量素子部14a〜14dとを互いに電気的に分離するため、並びに、後述する信号出力用電極パッド16a〜16d、バイアス電圧側電極パッド17a〜17d、及び基準電位側電極パッド18a〜18dを形成するための領域を確保するために、受光素子部13a〜13d、光導波路部15a〜15f、及び容量素子部14a〜14dの周囲の埋込領域41及びバッファ層22をエッチングして基板21を露出させる。そして、
図14に示されるように、基板21上の全面に絶縁膜26を形成したのち、埋込領域41から露出しているn型バッファ層32上の絶縁膜26に開口を形成する。その後、該開口部分にn型オーミック電極43を形成する。
【0050】
続いて、
図15に示されるように、第2のエッチング工程により露出した下地層49上に、容量素子部14a〜14dの下部金属層44を形成する。同時に、下部金属層44とn型オーミック電極43とを接続するバイアス配線48を形成する。その後、下部金属層44を含む基板21上の全面に絶縁膜27を形成する。
【0051】
続いて、
図16に示されるように、絶縁膜26及び27のうち受光素子部13a〜13dのメサ構造上に形成された部分をエッチングすることにより開口を形成してp型コンタクト層38を露出させ、この露出したp型コンタクト層38上にp型オーミック電極39を形成する。また、下部金属層44上に上部金属層45を形成する。
【0052】
続いて、
図17に示されるように、絶縁膜27のうち下部金属層44上に形成された部分の一部に開口を形成して下部金属層44を露出させ、この下部金属層44の露出部分上から第2の方向B(
図1を参照)に延びるバイアス配線46を形成する。同時に、上部金属層45上からバイアス配線46とは逆向きに延びる基準電位配線47を形成する。同時に、p型オーミック電極39上から基準電位配線47と同じ向きに延びる配線42を形成する。その後、バイアス配線46上にはバイアス電圧側電極パッド17a〜17dを、基準電位配線47上には基準電位側電極パッド18a〜18dを、配線42上には信号出力用電極パッド16a〜16dを、それぞれ形成する。以上の工程を経て、
図1及び
図2に示された光導波路型受光素子10が完成する。
【0053】
以上に説明した本実施形態の光導波路型受光素子10の製造方法では、第1のエッチング工程において、第2の部分M1bを有するエッチングマスクM1を用いて第2の半導体積層部70をエッチングする。これにより、第2の半導体積層部70のうち、容量素子部14a〜14dが形成される領域に位置する部分が残存する(
図6)。続いて、第2のエッチング工程において、この第2の半導体積層部70の残存部分をエッチングしてコア層23用の半導体層72(下地層49)を露出させる。これにより、容量素子部14a〜14dの下地となる半導体層72(下地層49)を好適に露出させることができる。その後、容量素子部形成工程において、この下地層49上に、下部金属層44、絶縁膜26、及び上部金属層45を含むMIMキャパシタを形成する。
【0054】
このように、本実施形態の製造方法では、基板21上に成長したコア層23のための半導体層72(下地層49)の上に、MIMキャパシタを形成する。一般的に、半導体基板の上に成長した半導体層の表面は、半導体基板の表面と比較して凹凸が少なく平坦である。また、通常、コア層23の組成は、光導波路部15a〜15fの他の層(n型バッファ層22及びクラッド層24)の組成と異なる。したがって、例えばコア層23と同じ組成の下地層49と、クラッド層24と同じ組成の半導体層62とのエッチングレート差を利用することで、下地層49の平坦な表面を容易に露出させることができる。このように、本実施形態の製造方法および光導波路型受光素子10によれば、容量素子部14a〜14d(MIMキャパシタ)の下地面の平坦性を高めることができるので、ウエハ面内における容量素子部14a〜14dの耐圧分布を均一に近づけることができる。なお、本発明者の知見によれば、下地面の表面粗さがサブミクロン程度以上となるような凹凸は、MIMキャパシタの耐圧性の不良を増大させる。本実施形態の製造方法および光導波路型受光素子10によれば、下地面の表面粗さを数nm以下に抑えることができ、高い耐圧性を実現することができる。そして、本実施形態によれば、小型且つ量産性に優れた光導波路型受光素子10を提供することができる。
【0055】
また、容量素子部14a〜14dの下地となる半導体層72(下地層49)は、容量素子部14a〜14dの為に成長されたものではなく、光導波路部15a〜15fのコア層23のために成長されたものである。したがって、本実施形態の製造方法によれば、容量素子部14a〜14dの下地としての半導体層を別途形成することなく平坦な下地面を得ることができるので、工程数の増加を抑えることができる。
【0056】
また、本実施形態のように、第2のエッチング工程ののち、受光素子部13a〜13d及び光導波路部15a〜15fと容量素子部14a〜14dとを互いに電気的に分離するため、並びに、信号出力用電極パッド16a〜16d、バイアス電圧側電極パッド17a〜17d、及び基準電位側電極パッド18a〜18dを形成するための領域を確保するために、受光素子部13a〜13d、光導波路部15a〜15f、及び容量素子部14a〜14dの周囲の埋込領域41及びバッファ層22をエッチングして基板21を露出させることが好ましい。これにより、光導波路型受光素子10の寄生容量を抑制することができ、高周波応答特性を向上させることができる。
【0057】
なお、本実施形態による方法の他に、MIMキャパシタの下地面の平坦性を高めるため、例えばコア層23とは別のエッチング停止層を形成しておき、該エッチング停止層を露出させて下地層とすることも考えられる。しかしながら、例えば第1の半導体積層部60にこのようなエッチング停止層を形成すると、第2の半導体積層部70を再成長してバットジョイント構造を形成する際(
図1を参照)、MIMキャパシタの形成予定領域上に大面積の選択成長用マスクを形成する必要があるが、該選択成長用マスクの近傍において第2の半導体積層部70の成長レートがその他の領域の成長レートと異なってしまうという問題がある。また、例えば第2の半導体積層部70にこのようなエッチング停止層を形成すると、バッファ層22及びクラッド層24よりも屈折率が小さい層がコア層23の他に存在することとなるので、光伝搬特性が損なわれるという問題がある。本実施形態の製造方法および光導波路型受光素子10によれば、これらの問題を回避しつつ、MIMキャパシタの下地面の平坦性を高めることができる。
【0058】
本発明による光導波路型受光素子の製造方法および光導波路型受光素子は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態ではコア層23(半導体層72及び下地層49も同様)の構成材料としてInGaAsPを例示したが、コア層の構成材料はこれに限られるものではなく、例えばAlGaInAsといった他の半導体材料によって構成されてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、基板21と光吸収層34との間の各半導体層をn型とし、光吸収層34上の各半導体層をp型としているが、基板21と光吸収層34との間の各半導体層をp型とし、光吸収層34上の各半導体層をn型としてもよい。
【0060】
また、本発明による光導波路型受光素子の製造方法では、上述した実施形態における光導波路部、受光素子部、及び容量素子部に加えて、例えばヘテロ接合バイポーラトランジスタといった電子デバイスや、容量素子部とは別のキャパシタ、及び抵抗を同一基板上に形成してもよい。これにより、例えば光電変換回路を一枚の基板上に集積することができる。
また、上述した実施形態では、下部金属層44にバイアス配線46及び48が接続され、上部金属層45に基準電位配線47が接続されているが、下部金属層44に基準電位配線47が接続され、上部金属層45にバイアス配線46及び48が接続されてもよい。