(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920145
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】線状光源及び面状光源
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20160428BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20160428BHJP
【FI】
F21S2/00 440
F21S2/00 230
F21S2/00 431
F21S2/00 438
F21Y101:02
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-214139(P2012-214139)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-67681(P2014-67681A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2014年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優輝
(72)【発明者】
【氏名】大森 仁
(72)【発明者】
【氏名】森村 由太
【審査官】
柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−041567(JP,A)
【文献】
特開2004−235139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って線状に配置された複数のLEDチップと、
各々の前記LEDチップを前記第1の方向に沿って挟む第1のテーパー側壁部と前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って挟む第2のテーパー側壁部により、各々の前記LEDチップを囲むように設けられ、前記第2のテーパー側壁部の高さが前記第1のテーパー側壁部の高さよりも低いリフレクタと、
を有し、
前記第1のテーパー側壁部は、各々の前記LEDチップが配置された面から上側へ向かうに従って、各々の前記LEDチップとの距離が大きくなる、一対の傾斜面よりなり、
前記第2のテーパー側壁部は、各々の前記LEDチップが配置された面から上側へ向かうに従って、各々の前記LEDチップとの距離が大きくなる、一対の傾斜面よりなる、
線状光源。
【請求項2】
前記第2のテーパー側壁部の高さは、前記LEDチップの発光層の上端の高さ以上である、
請求項1に記載の線状光源。
【請求項3】
前記第2のテーパー側壁部の高さは、前記LEDチップの上端の高さ以上である、
請求項1に記載の線状光源。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の線状光源と、
前記線状光源の光取出面を側面で塞ぐように設けられ、前記線状光源から発せられた光を取り込んで面状に発する導光板と、
前記線状光源の前記第1の方向の側面の、前記第2のテーパー側壁部と前記導光板との間の透光部を少なくとも覆う反射シートと、
を有する面状光源。
【請求項5】
前記反射シートの光反射率は前記リフレクタの光反射率よりも高い、
請求項4に記載の面状光源。
【請求項6】
前記反射シートは正反射型の反射シートである、
請求項4又は5に記載の面状光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状光源及び面状光源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の線状光源として、線状光源の長手方向に線状に配置されたLEDチップと、LEDチップの側方に発せられた光を上方に反射するリフレクタを有するものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された線状光源においては、リフレクタが線状光源の長手方向に各LEDチップを挟むように設けられ、線状光源の長手方向の側面には反射シートが設けられる。このため、LEDチップの側方に発せられる光のうち、線状光源の長手方向に発せられる光はリフレクタにより反射され、線状光源の短手方向に発せられる光は反射シートにより反射される。
【0004】
一方、特許文献2に記載された線状光源においては、リフレクタがLEDチップを取り囲むように設けられる。このため、LEDチップの側方に発せられる光のうち、線状光源の長手方向に発せられる光も、短手方向に発せられる光も、リフレクタにより反射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−235139号公報
【特許文献1】特開2010−15709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された線状光源によれば、反射シートがLEDチップの設置面に対して垂直に設けられるため、LEDチップの側方に発せられた光が反射シートに反射されてLEDチップに入射し、外部に取り出されないおそれがある。
【0007】
一方、特許文献2に記載された線状光源によれば、リフレクタはテーパーを有し、厚みがあるため、線状光源、線状光源を用いた面状光源等の薄型化の妨げとなる。また、一般に、リフレクタの光反射率は反射シートの光反射率よりも低い。
【0008】
したがって、本発明の目的の一つは、光取出効率に優れ、かつ薄型化に適した線状光源及び面状光源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様において、第1の方向に沿って線状に配置された複数のLEDチップと、各々の前記LEDチップを前記第1の方向に沿って挟む第1のテーパー側壁部と前記第1の方向
と直交する第2の方向に沿って挟む第2のテーパー側壁部により、各々の前記LEDチップを囲むように設けられ、前記第2のテーパー側壁部の高さが前記第1のテーパー側壁部の高さよりも低いリフレクタと、を有
し、前記第1のテーパー側壁部は、各々の前記LEDチップが配置された面から上側へ向かうに従って、各々の前記LEDチップとの距離が大きくなる、一対の傾斜面よりなり、前記第2のテーパー側壁部は、各々の前記LEDチップが配置された面から上側へ向かうに従って、各々の前記LEDチップとの距離が大きくなる、一対の傾斜面よりなる、
線状光源を提供する。
【0010】
上記線状光源において、前記第2のテーパー側壁部の高さは、前記LEDチップの発光層の上端の高さ以上であってもよい。
【0011】
上記線状光源において、前記第2のテーパー側壁部の高さは、前記LEDチップの上端の高さ以上であってもよい。
【0012】
また、本発明の他の態様において、請求項1〜3のいずれか1項に記載の線状光源と、前記線状光源の光取出面を側面で塞ぐように設けられ、前記線状光源から発せられた光を取り込んで面状に発する導光板と、前記線状光源の前記第1の方向の側面の、前記第2のテーパー側壁部と前記導光板との間の透光部を少なくとも覆う反射シートと、を有する面状光源を提供する。
【0013】
上記線状光源において、前記反射シートの光反射率は前記リフレクタの光反射率よりも高いことが好ましい。
【0014】
上記線状光源において、前記反射シートは正反射型の反射シートであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光取出効率に優れ、かつ薄型化に適した線状光源及び面状光源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1(a)、(b)は、実施の形態に係る面状光源の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る線状光源の斜視図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、それぞれ第1の方向、第2の方向に沿って切断したときの面状光源の垂直断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る面状光源のLEDチップから発せられる光の軌跡を模式的に表す垂直断面図である。
【
図5】
図5(a)、(b)は、比較例に係る面状光源のLEDチップから発せられる光の軌跡を模式的に表す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施の形態〕
図1(a)は、実施の形態に係る面状光源の斜視図である。面状光源1は、線状光源10と、線状光源10の光取出面を側面で塞ぐように設けられた導光板20と、導光板20の片面及び線状光源10の両面を覆う反射シート30と、を有する。
【0018】
図2は、線状光源10の斜視図である。線状光源10は、第1の方向D1に沿って線状に配置された複数のLEDチップ11と、各々のLEDチップ11を第1の方向D1に沿って挟む第1のテーパー側壁部12aと第1の方向D1に交わる第2の方向D2に沿って挟む第2のテーパー側壁部12bにより、各々のLEDチップ11を囲むように設けられ、第2のテーパー側壁部12bの高さが第1のテーパー側壁部12aの高さよりも低いリフレクタ12と、LEDチップ11を封止する封止材14と、を有する。
【0019】
図3(a)、(b)は、それぞれ第1の方向D1、第2の方向D2に沿って切断したときの面状光源1の垂直断面図である。なお、
図2、
図3には線状光源10の典型的な構成が示され、第1の方向D1は線状光源10の長軸方向と一致し、また、第2の方向D2は第1の方向D1と直交し、線状光源10の光取出方向から見たときの短軸方向と一致している。
【0020】
LEDチップ11は、例えば、フリップチップ型やフェイスアップ型のLEDチップであり、線状光源10に含まれる図示しないリードフレーム等の導電部に接続される。LEDチップ11は、図示しないが、チップ基板、チップ基板上の結晶層を有する。結晶層は、n型半導体層とp型半導体層に挟まれた発光層を有する。
【0021】
リフレクタ12は、LEDチップ11から側方に発せられた光を上方(光取出方向)に反射し、線状光源10の光取出効率を向上させる機能を有する。リフレクタ12は、例えば、二酸化チタン等の光反射粒子を含む樹脂材料からなる。この樹脂材料しては、例えば、ポリフタルアミド樹脂、LCP(Liquid Crystal Polymer)、PCT(Polycyclohexylene Dimethylene Terephalate)等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。
【0022】
LEDチップ11から水平に発せられた光をリフレクタ12の第2のテーパー側壁部12bにより反射するため、第2のテーパー側壁部12bの高さは、LEDチップ11の発光層の上端の高さ以上に設定される。また、第2のテーパー側壁部12bの高さはLEDチップ10の上端の高さ以上に設定されてもよい。この場合も、LEDチップ11から水平に発せられた光を反射することができ、また、LEDチップ10の上端は発光層の上端よりも位置の特定が容易であるため、第2のテーパー側壁部12bの高さの設定が容易である。
【0023】
封止材14は、例えば、シリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂等の樹脂材料や、ガラスからなる。また、封止材14は、蛍光体粒子を含んでもよい。例えば、LEDチップ11の発光色が青色であり、封止材14に含まれる蛍光体の発光色が黄色である場合は、線状光源10及び面状光源1の発光色は白色になる。
【0024】
導光板20は、アクリル樹脂等の透光性材料からなる矩形板であり、線状光源10から発せられた光を取り込んで面状に発する。なお、導光板20は、
図1(b)に示されるように、線状光源10から光を取り込む部分の厚さよりも面発光部分の厚さが小さい、断面形状がくさび形状の板であってもよい。
【0025】
反射シート30は、例えば、ポリエステルからなる多層膜シートである。反射シート30は、LEDチップ11からリフレクタ12の第2のテーパー側壁部12bの上方に発せられた光を反射するため、線状光源10の第1の方向D1の側面の、第2のテーパー側壁部12bと導光板20との間の透光部13を少なくとも覆う。
【0026】
反射シート30の光反射率は、リフレクタ12の光反射率よりも高い。反射シート30は、拡散反射型ではなく、正反射型の反射シートであることが好ましい。また、反射シート30は、リフレクタ12よりも光や熱に弱く、光の吸収による劣化が生じやすい。
【0027】
図4は、面状光源1のLEDチップ11から発せられる光の軌跡を模式的に表す垂直断面図である。
図4の断面は、
図3(b)の断面に対応する。
【0028】
図4に示されるように、LEDチップ11から水平に第2の方向D2に発せられた光は、リフレクタ12の第2のテーパー側壁部12bにより上方へ反射され、LEDチップ11内へ戻ることはない。また、第2のテーパー側壁部12bにより反射されるため、このような反射シート30に垂直に近い角度で向かう光が反射シート30に吸収され、反射シート30を劣化させることがない。
【0029】
また、
図4に示されるように、LEDチップ11から第2の方向D2の斜め上方に発せられた光は、反射シート30により上方に反射される。このような反射シート30への入射角が大きい光は、反射シート30へほとんど吸収されることがなく、反射シート30の劣化を引き起こさない。また、反射シート30により反射された後、LEDチップ11へ向かうこともない。一方、反射シート30の光反射率はリフレクタ12の光反射率よりも高いため、リフレクタ12で反射するよりも光取出効率が大きくなる。
【0030】
図5(a)に、比較例として、リフレクタ12が第2のテーパー側壁部12bを有さない場合の光の軌跡を模式的に表す。
図5(a)の断面は、
図4の断面に対応する。この場合、
図5(a)に示されるように、LEDチップ11から水平に第2の方向D2に発せられた光は、反射シート30により反射されてLEDチップ11内へ戻るおそれがある。また、このような光は反射シート30に垂直に近い角度で入射するため、反射シート30に吸収されやすい。一般に、反射シートはリフレクタよりも光の吸収による劣化を起こしやすく、反射率の低下を招きやすい。そのため、反射シート30に垂直に近い角度で光を入射させるのは好ましくない。
【0031】
さらに、
図5(b)に、他の比較例として、第2のテーパー側壁部12bの高さが第1のテーパー側壁部12aの高さと等しい場合の光の軌跡を模式的に表す。
図5(b)の断面は、
図4の断面に対応する。この場合、
図5(b)に示されるように、LEDチップ11から第2の方向D2の斜め上方に発せられた光は、第2のテーパー側壁部12bにより上方に反射される。しかし、第2のテーパー側壁部12bの光反射率は反射シート30の光反射率よりも低く、反射シート30で反射する場合よりも光取出効率が低くなる。また、第2のテーパー側壁部12bはテーパーを有するため、高さが増加するほど厚さも増加し、面状光源1の厚さが増す。
【0032】
(実施の形態の効果)
上記実施の形態によれば、第2のテーパー側壁部12bの高さを第1のテーパー側壁部12aの高さよりも低くすることにより、LEDチップ11から水平に第2の方向D2に発せられた光をリフレクタ12により反射し、LEDチップ11から第2の方向D2の斜め上方に発せられた光を反射シート30により反射する。このような構成により、線状光源及び線状光源を有する面状光源は、光取出効率に優れ、かつ薄型化に適する。また、反射シート30の劣化を抑えることもできる。
【0033】
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
【0034】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0035】
1 面状光源
10 線状光源
11 LEDチップ
12 リフレクタ
12a 第1のテーパー側壁部
12b 第2のテーパー側壁部
13 透光部
20 導光板
30 反射シート
D1 第1の方向
D2 第2の方向