(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920155
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】攪拌装置、及び攪拌装置の清掃方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20160428BHJP
B01F 7/16 20060101ALI20160428BHJP
B01F 15/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
B01F7/16 Z
B01F15/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-221441(P2012-221441)
(22)【出願日】2012年10月3日
(65)【公開番号】特開2014-75236(P2014-75236A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】山田 晃嵩
【審査官】
結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/018771(WO,A1)
【文献】
特開2008−100197(JP,A)
【文献】
実開昭60−155939(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00−4/62
B01F 7/00−7/32
B01F 15/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質、バインダ、及び溶媒を含む原材料を攪拌して電極用の塗膜剤を調製するための攪拌装置であって、
前記原材料を収容するタンクと、
前記タンクに収容された原材料に接触し前記原材料を攪拌する接触部を有する攪拌羽根と、
前記攪拌羽根を駆動する駆動装置と、を備え、
前記接触部の少なくとも一部には取外し可能な被膜材が設けられており、
前記被膜材は、前記溶媒に対する耐性を有するとともに、取外し可能なコーティング剤であることを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
活物質、バインダ、及び溶媒を含む原材料を攪拌して電極用の塗膜剤を調製するための攪拌装置であって、
前記原材料を収容するタンクと、
前記タンクに収容された原材料に接触し前記原材料を攪拌する接触部を有する攪拌羽根と、
前記攪拌羽根を駆動する駆動装置と、を備え、
前記接触部の少なくとも一部には取外し可能な被膜材が設けられており、
前記被膜材は、前記溶媒に対する耐性を有するとともに、前記原材料の攪拌中に前記攪拌羽根から離脱せず、且つ清掃時に取外しが可能な粘着力を有する粘着テープであることを特徴とする攪拌装置。
【請求項3】
前記接触部は、複数の面と、隣り合う面との間の境界部とを有し、
前記被膜材は、少なくとも前記境界部に設けられている請求項1または2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記被膜材は、前記接触部の全体を覆う請求項1〜3のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記被膜材は、フッ素樹脂を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の攪拌装置の清掃方法であって、
前記被膜材を除去する第1工程と、
前記接触部の少なくとも一部に新しい前記被膜材を取外し可能に設ける第2工程と、を含む攪拌装置の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活物質、バインダ、及び溶媒を含む原材料を攪拌して電極用の塗膜剤を調製するための攪拌装置、及び該攪拌装置の清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)などの車両に搭載される蓄電装置としては、リチウムイオン二次電池や、ニッケル水素二次電池などがよく知られている。これらの二次電池では、金属箔の表面に活物質を含む塗膜剤(活物質合剤)を塗布して活物質層を形成した電極を、間にセパレータを介在させた状態で積層又は捲回するなどして電極組立体を形成するとともに、該電極組立体をケースに収容している。そして、活物質を含む各種の原材料を攪拌して電極用の塗膜剤を調製するための攪拌装置としては、特許文献1のようなものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−115595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、攪拌装置の攪拌羽根(ブレード)を清掃せずに放置しておくと、該攪拌羽根に付着した塗膜剤は、吸湿などによって活物質の性能が低下したり、乾燥によって固化したりする。このような塗膜剤が付着したままの攪拌羽根を用いて、新たに塗膜剤を調製する場合には、性能の低下した活物質や、固化した塗膜剤が混入してしまう問題が生じる。
【0005】
このため、連続して塗膜剤を調製しない場合には、早期に攪拌羽根の清掃を行い、攪拌羽根に付着した塗膜剤を除去することが好ましい。しかしながら、電極用の塗膜剤は、活物質を金属箔の表面に結着させるためのバインダや、溶媒などを含む比較的高粘度のスラリ状(ペースト状)であることから、攪拌羽根に付着した塗膜剤をウエスなどで拭取ることが困難である。
【0006】
この発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、攪拌羽根の清掃を容易にできる攪拌装置、及び攪拌装置の清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、活物質、バインダ、及び溶媒を含む原材料を攪拌して電極用の塗膜剤を調製するための攪拌装置であって、前記原材料を収容するタンクと、前記タンクに収容された原材料に接触し前記原材料を攪拌する接触部を有する攪拌羽根と、前記攪拌羽根を駆動する駆動装置と、を備え、前記接触部の少なくとも一部には取外し可能な被膜材が設けられて
おり、前記被膜材は、前記溶媒に対する耐性を有するとともに、取外し可能なコーティング剤であることを要旨とする。
【0008】
これによれば、塗膜剤の原材料と接触する攪拌羽根の接触部には、少なくとも一部に取外し可能な被膜材が設けられている。このため、塗膜剤の調製後、攪拌羽根を清掃する際に、被膜材を該被膜材に付着した塗膜剤と共に取外すことにより、被膜材が設けられていた部分の塗膜剤を簡便に除去できる。このため、例えばウエスなどによって接触部に付着した塗膜剤を拭取る場合と比較して、攪拌羽根の清掃を容易にできる。
また、被膜材は溶剤に対する耐性を有することから、例えば原材料の攪拌中に被膜材が溶けたり、脱落したりすることを抑制できる。
上記課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、活物質、バインダ、及び溶媒を含む原材料を攪拌して電極用の塗膜剤を調製するための攪拌装置であって、前記原材料を収容するタンクと、前記タンクに収容された原材料に接触し前記原材料を攪拌する接触部を有する攪拌羽根と、前記攪拌羽根を駆動する駆動装置と、を備え、前記接触部の少なくとも一部には取外し可能な被膜材が設けられており、前記被膜材は、前記溶媒に対する耐性を有するとともに、前記原材料の攪拌中に前記攪拌羽根から離脱せず、且つ清掃時に取外しが可能な粘着力を有する粘着テープであることを要旨とする。
これによれば、塗膜剤の原材料と接触する攪拌羽根の接触部には、少なくとも一部に取外し可能な被膜材が設けられている。このため、塗膜剤の調製後、攪拌羽根を清掃する際に、被膜材を該被膜材に付着した塗膜剤と共に取外すことにより、被膜材が設けられていた部分の塗膜剤を簡便に除去できる。このため、例えばウエスなどによって接触部に付着した塗膜剤を拭取る場合と比較して、攪拌羽根の清掃を容易にできる。
また、これによれば、被膜材は粘着テープであることから、被膜材を設ける作業や、逆に取外す作業を容易にできる。
また、被膜材は溶剤に対する耐性を有することから、例えば原材料の攪拌中に被膜材が溶けたり、脱落したりすることを抑制できる。
【0009】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
または2に記載の攪拌装置において、前記接触部は、複数の面と、隣り合う面との間の境界部とを有し、前記被膜材は、少なくとも前記境界部に設けられている。これによれば、接触部において、隣り合う面との間の境界部に被膜材が設けられていることから、該被膜材を取外すことにより、ウエスなどによって拭取り難い境界部の清掃を容易にできる。
【0012】
請求項
4に記載の発明は、請求項1〜
3のいずれか1項に記載の攪拌装置において、前記被膜材は、前記接触部の全体を覆う。これによれば、接触部の全体が被膜材によって覆われていることから、被膜材を取外すことで接触部の全体から塗膜剤を除去できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の攪拌装置において、前記被膜材は、フッ素樹脂を含む。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の攪拌装置の清掃方法であって、前記被膜材を除去する第1工程と、前記接触部の少なくとも一部に新しい前記被膜材を取外し可能に設ける第2工程と、を含む。
【0014】
これによれば、塗膜剤の調製後、攪拌羽根の接触部に設けられた被膜材を、該被膜材に付着した塗膜剤とともに取外すことにより、被膜材が設けられている部分の塗膜剤を簡便に除去できる。このため、例えばウエスなどによって接触部に付着した塗膜剤を拭取る場合と比較して、攪拌羽根の清掃を容易にできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、攪拌羽根の清掃を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】リチウムイオン二次電池を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を
図1〜
図4にしたがって説明する。
図1に示すように、車両に搭載される蓄電装置としてのリチウムイオン二次電池(以下「二次電池」と示す)10は、金属製のケース11に電極組立体12が収容されている。本実施形態の二次電池10は、その外観が角型をなす角型電池である。ケース11内には、電解質として非水電解液13が充填されている。また、ケース11には、正極端子15及び負極端子16が外部に向かって突設されている。
【0018】
図2に示すように、電極組立体12は、電極としての正極シート18と、正極シート18とは極性が異なる電極としての負極シート19と、正極シート18と負極シート19との間を絶縁する矩形シート状のセパレータ20とを有する。そして、電極組立体12は、複数の正極シート18、及び複数の負極シート19を、間にセパレータ20を介在させた状態で交互に層状に重なるように積層された積層型の電極組立体である。
【0019】
正極シート18は、正極用の金属箔(本実施形態ではアルミニウム箔)21と、その両面に正極活物質を含む塗膜剤(活物質合剤)を塗布し、乾燥させて形成された正極活物質層22を有する。正極活物質層22が形成されていない部分の金属箔21は、非形成部としての非塗工部23を構成する。また、正極シート18の縁部18aには、正極集電タブ24が突出している。正極集電タブ24は、非塗工部23を構成する金属箔21の一部である。
【0020】
また、負極シート19は、負極用の金属箔(本実施形態では銅箔)25と、その両面に負極活物質を含む塗膜剤(活物質合剤)を塗布し、乾燥させて形成された負極活物質層26を有する。負極活物質層26が形成されていない部分の金属箔25は、非形成部としての非塗工部27を構成する。また、負極シート19の縁部19aには、負極集電タブ28が突出している。負極集電タブ28は、非塗工部27を構成する金属箔25の一部である。
【0021】
そして、
図1に示すように、電極組立体12の縁部12aには、複数の正極集電タブ24が層状に重なった正極集電タブ群24aが突設される。正極集電タブ群24aには、正極端子15が電気的に接続される。また、電極組立体12の縁部12aには、正極集電タブ群24aとは異なる部分に、複数の負極集電タブ28が層状に重なった負極集電タブ群28aが突設されている。負極集電タブ群28aには、負極端子16が電気的に接続される。
【0022】
次に、各種の原材料を攪拌し、正極シート18の金属箔21、及び負極シート19の金属箔25に塗布される塗膜剤を調製するための攪拌装置30について説明する。
図3に示すように、攪拌装置30は、塗膜剤の原材料32を収容するタンク31を有する。タンク31は、例えばステンレスなどの金属製であり、有底筒状の容器である。ここで、塗膜剤の原材料32は、活物質と、例えばアセチレンブラックなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのバインダと、N−メチルピロリドン(NMP)などの溶媒と、を含む。なお、金属箔21に塗布する塗膜剤の原材料32には、活物質として正極活物質が含まれる一方、金属箔25に塗布する塗膜剤の原材料32には、活物質として負極活物質が含まれる。
【0023】
また、攪拌装置30は、タンク31に収容(投入)された原材料32を攪拌(混練)するための攪拌羽根(ブレード)として、第1攪拌羽根33と第2攪拌羽根34とを有する。各攪拌羽根33,34は、例えばステンレスなどの金属製の角柱を矩形に繋ぎ合わせた枠状に形成されている。各攪拌羽根33,34は、複数(本実施形態では4つ)の面としての内面35と、隣り合う内面35との間の境界部としてのエッジ部(角部)35aとを有する。なお、隣り合う内面35同士は直角に交わっている。
【0024】
図3に示すように、各攪拌羽根33,34において、タンク31の底壁側に配置される先端部36とは反対側の基端部37には、それぞれ各攪拌羽根33,34の回転軸となる軸部40が設けられているとともに、該軸部40は、各攪拌羽根33,34を遊星運動させるためのロータ41に連結されている。ロータ41は、図示しない複数のギアを組み合わせて構成されており、矢印Y1で示すように、各攪拌羽根33,34をそれぞれ軸部40の軸線まわりで回転運動させると共に、矢印Y2で示すように、各攪拌羽根33,34を公転運動させる。
【0025】
また、ロータ41は、例えばステンレスなどの金属製であり、有天円筒状に形成されたフード43に収容され、固定されている。フード43は、各攪拌羽根33,34及びロータ41を内部に収容した状態で、タンク31の開口部を閉塞可能である。また、フード43には、ロータ41を介して各攪拌羽根33,34を駆動するための駆動装置としてのモータ45が固定されている。
【0026】
また、攪拌装置30は、フード43を昇降させる図示しない昇降装置を有しており、該昇降装置の駆動によって、矢印Y3に示すように、タンク31の開口部をフード43で覆った状態で、各攪拌羽根33,34の先端部36側を原材料32に没入(浸漬)させるようになっている。
【0027】
このため、
図4に示すように、各攪拌羽根33,34の先端部36側は、原材料32に没入されると共に原材料32と接触し、原材料32を攪拌する接触部47となる(図中において墨色に着色して示す)。なお、この接触部47には、エッジ部35aが含まれる。そして、各攪拌羽根33,34の表面には、接触部47の全体を含み、各攪拌羽根33,34の先端部36から基端部37の全範囲にわたって、取外し可能な被膜材としての粘着テープ48が貼り付けられている。
【0028】
この、粘着テープ48は、樹脂製フィルムの片面に粘着剤層を有する。粘着テープ48を構成する樹脂製フィルムは、例えばフッ素樹脂など、原材料32に含まれる溶媒に対して耐性(耐溶媒性)を有する。また、粘着テープ48を構成する粘着剤層は、例えばフッ素樹脂系接着剤や無機接着剤など、原材料32に含まれる溶媒に対して耐性(耐溶媒性)を有する。
【0029】
ここで、溶媒に対して耐性を有するとは、原材料32の攪拌中(接触中)において、原材料32に含まれる活物質の性能を低下させる程度に成分が溶出したり、粘着テープ48としての強度や粘着力が低下したりしないことを意味する。なお、粘着テープ48における粘着剤層の粘着力は、原材料32の攪拌中に、容易に各攪拌羽根33,34から離脱せず、且つ取外しが困難にならない程度の粘着力である。
【0030】
次に、上記のように構成した攪拌装置30の使用方法について、その作用とともに説明する。最初に、攪拌装置30を用いた二次電池10の製造方法について説明する。
図3に示すように、まず原材料32となる活物質、バインダ、導電剤、及び溶媒を秤量するとともに、タンク31に収容(投入)する。次に、矢印Y3に示すように、図示しない昇降装置を駆動し、タンク31の開口部をフード43で覆った状態で、接触部47を原材料32に没入させる。そして、モータ45を駆動することにより、各攪拌羽根33,34を回転運動、及び遊星運動させ、原材料32を十分に攪拌(混練)することにより塗膜剤が完成される。
【0031】
次に、完成した正極用の塗膜剤を金属箔21の両面に塗布するとともに、乾燥させることで正極活物質層22を形成し、正極シート18が完成される。同様に、完成した負極用の塗膜剤を金属箔25の両面に塗布するとともに、乾燥させることで負極活物質層26を形成し、負極シート19が完成される。次に、完成した正極シート18、及び負極シート19を、間にセパレータ20を介在させた状態で積層し、電極組立体12が完成される。
【0032】
続けて、電極組立体12をケース11に収容しつつ、正極集電タブ群24aと正極端子15とを電気的に接続するとともに、負極集電タブ群28aと負極端子16とを電気的に接続する。その後、ケース11に非水電解液13を充填して二次電池10が完成される。
【0033】
次に、攪拌装置30の清掃方法について説明する。
図4に示すように、各攪拌羽根33,34に設けられた粘着テープ48を剥がして取外すことにより、該粘着テープ48と共に原材料32や塗膜剤を除去する(第1工程)。本実施形態の攪拌装置30では、タンク31に収容された原材料32に各攪拌羽根33,34を没入させることで、各攪拌羽根33,34のうち接触部47の全体にわたって原材料32や完成した塗膜剤が付着する。このとき、これら原材料32や塗膜剤は、各攪拌羽根33,34の全体を覆う粘着テープ48の表面に付着する。
【0034】
攪拌装置30の清掃では、各攪拌羽根33,34に設けられた粘着テープ48を取外すことにより、該粘着テープ48と共に原材料32や塗膜剤を除去する。原材料32や塗膜剤は、活物質の他にバインダや溶媒を含むことから比較的粘度が高く、ウエスなどで容易に拭取ることができない。しかしながら、本実施形態では、接触部47を粘着テープ48で予め覆っておくことで、このような問題を好適に解決できる。
【0035】
また、本実施形態では、接触部47を含む各攪拌羽根33,34の全体に粘着テープ48を設けている。このため、例えば攪拌中に、原材料32や塗膜剤が飛散して接触部47以外の部分に付着する場合であっても、粘着テープ48と共に原材料32などを除去し、容易に清掃できる。また、粘着テープ48は、清掃作業のスペースが少なく、ウエスでの拭取りが難しいエッジ部35aにも設けられていることから、粘着テープ48を取外すことにより、エッジ部35aから原材料32などを容易に除去できる。
【0036】
そして、各攪拌羽根33,34から粘着テープ48と共に原材料32などを除去した後には、続けて接触部47を含む各攪拌羽根33,34の全体に新しい粘着テープ48を貼り付け、表面に粘着テープ48を設ける(第2工程)。ここで「新しい粘着テープ48(被膜材)」とは、各攪拌羽根33,34に設けた状態で原材料32などの攪拌に用いられておらず、被膜材として未使用な状態である粘着テープ48を意味するものとする。その他、タンク31に残留する原材料32や塗膜剤を除去して攪拌装置30の清掃が終了する。
【0037】
したがって、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)原材料32と接触する各攪拌羽根33,34の接触部47には、取外し可能な粘着テープ48が設けられている。このため、塗膜剤の調製後、各攪拌羽根33,34を清掃する際に、粘着テープ48を該粘着テープ48に付着した塗膜剤と共に取外すことにより、塗膜剤を簡便に除去できる。このため、例えばウエスなどによって、接触部47に付着した塗膜剤を拭取る場合と比較して、各攪拌羽根33,34の清掃を容易にできる。
【0038】
(2)エッジ部35aに粘着テープ48が設けられていることから、該粘着テープ48を取外すことにより、ウエスなどによって拭取り難いエッジ部35aの清掃を容易にできる。
【0039】
(3)粘着テープ48は溶剤に対する耐性を有することから、例えば原材料32の攪拌中に粘着テープ48が溶けたり、脱落したりすることを抑制できる。
(4)本実施形態では、各攪拌羽根33,34の被膜材として粘着テープ48を用いる。したがって、粘着テープ48を各攪拌羽根33,34に設ける作業や、逆に取外す作業を容易にできる。
【0040】
(5)接触部47の全体が粘着テープ48によって覆われていることから、粘着テープ48を取外すことで接触部47の全体から塗膜剤を除去できる。
(6)そして、攪拌装置30の清掃が容易になることから、該攪拌装置30(各攪拌羽根33,34)の清掃作業に要する時間を短縮できる。
【0041】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 各攪拌羽根33,34の表面には、粘着テープ48に代えて、例えばフッ素樹脂など、取外し可能なコーティング剤を塗工することにより被膜材を設けてもよい。
【0042】
○ 各攪拌羽根33,34の表面において、粘着テープ48(被膜材)を設ける範囲を変更してもよい。例えば、接触部47のみや、接触部47の一部であるエッジ部35aの周辺部にのみ粘着テープ48を設けてもよい。
【0043】
○ タンク31の内面に粘着テープ48などの取外し可能な被膜材を設けてもよい。
○ 各攪拌羽根33,34の形状を変更してもよい。
○ 攪拌羽根は1つでもよく、また3つ以上設けてもよい。
【0044】
○ 攪拌装置30は、各攪拌羽根33,34を回転運動させる構成であってもよい。
○ 正極シート18及び負極シート19は帯状の電極であってもよい。この場合、電極組立体12は、正極シート18、及び負極シート19を、間に帯状のセパレータ20を介在させた状態で捲回した捲回型の電極組立体としてもよい。
【0045】
○ 金属箔21及び金属箔25に代えて、所定の厚みを有する金属板であってもよい。
○ 正極シート18、及び負極シート19は、片面に活物質を塗布して形成されていてもよい。
【0046】
○ ニッケル水素二次電池や、電気二重層キャパシタなどの蓄電装置に具体化してもよい。
○ 車両以外に用いられる蓄電装置に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0047】
18…正極シート(電極)、19…負極シート(電極)、30…攪拌装置、31…タンク、32…原材料、33…第1攪拌羽根(攪拌羽根)、35a…エッジ部(境界部)、34…第2攪拌羽根(攪拌羽根)、45…モータ(駆動装置)、47…接触部、48…粘着テープ(被膜材)。