(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記管理区間生成手段は、前記通常区間における前記管理区間の数と、前記高速区間における前記管理区間の数との合計値が所定の上限値以下となるように、前記管理区間を生成する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の区間情報生成システム。
前記管理区間生成手段は、前記通常区間において前記管理区間を生成し、前記上限値から前記通常区間における前記管理区間の数を減算した残区間数を取得し、前記高速区間における前記管理区間の数が前記残区間数以下となるように前記高速区間における前記管理区間を生成する、
請求項4に記載の区間情報生成システム。
前記管理区間生成手段は、前記走行予定経路の長さが閾値以下である場合、前記走行予定経路全体において同一の前記分割条件で前記走行予定経路を分割した複数の前記管理区間を生成する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の区間情報生成システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)経路情報生成処理:
(3)他の実施形態:
【0019】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる区間情報生成システムとしてのナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、車両に備えられている。ナビゲーション装置10は、制御部20と記録媒体30とを備えている。制御部20は、CPUとRAMとROM等を備え、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行する。記録媒体30は、地図情報30aと経路情報30bとを記録する。
【0020】
地図情報30aは、道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータと、ノード同士を接続するリンクについての情報を示すリンクデータと、ノード同士を接続する道路の形状を示す形状補間点データとを含んでいる。ノードは交差点に対応し、リンクは交差点間を接続する道路に対応する。リンクデータは、リンクごとにリンクの長さを示す情報と、リンクごとに道路種別を示す情報とを含んでいる。本実施形態において、道路種別によって一般道路と高速道路とが区別される。
【0021】
経路情報30bは、走行予定経路を分割した複数の管理区間Kのそれぞれについて生成された区間情報によって構成されている。区間情報は、管理区間Kを構成する構成リンクLと、管理区間Kにおける平均推定車速Sと、管理区間Kの長さYとを示す情報である。ここで、走行予定経路とは、車両の現在地から目的地までの経路であり、現在地から目的地までを接続する複数の構成リンクLの集合である。構成リンクLとは、地図情報30aのリンクデータに規定されたリンクのうち、走行予定経路の一部を構成するリンクである。
【0022】
図2Aは、走行予定経路Rの全体を示す模式図である。同図に示すように、走行予定経路Rは現在地から目的地までの経路である。
図2B,2Cは、走行予定経路Rの一部を詳細に示す模式図である。同図に示すように、走行予定経路Rは、複数の構成リンクLによって構成されている。管理区間Kは、走行予定経路Rを後述する分割条件に基づいて分割した区間である。管理区間Kは、走行予定経路R上において連続する複数の構成リンクLで構成される。ただし、管理区間Kは、走行予定経路R上の単数の構成リンクLによって構成されてもよい。平均推定車速Sは、管理区間Kを構成する各構成リンクLにおける推定車速の平均値である。本実施形態において、推定車速は、外部のサーバから取得された交通情報に基づいて構成リンクLごとに特定される。外部のサーバは、リンクごとに収集したプローブ情報に基づいて、各リンクを車両が走行した場合の平均的な車速を推定車速として特定し、当該推定車速をリンクごとに示す交通情報を車両に送信する。管理区間Kの長さYは、管理区間Kを構成する構成リンクLの長さの和である。
【0023】
車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44と通信I/F部45と動力ECU46と動力部47とを備える。
GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の位置を算出するための信号を制御部20に出力する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を制御部20に出力する。ジャイロセンサ43は、車両に作用する角加速度に対応した信号を制御部20に出力する。
【0024】
制御部20は、車速センサ42およびジャイロセンサ43から出力された信号に基づく自立航法情報と地図情報30aとに基づいて車両の現在地が存在し得る比較対象道路を複数設定し、GPS受信部41にて取得されたGPS信号の誤差円に基づいて比較対象道路を絞り込む。そして、制御部20は、絞り込まれた比較対象道路のうち、自立航法軌跡と形状が最も一致する道路を車両が走行している道路である走行道路として特定するマップマッチング処理を行い、当該マップマッチング処理によって特定された走行道路上で車両の現在地を特定する。
ユーザI/F部44は、制御部20から出力された映像信号や音声信号に基づいて各種案内を出力する出力装置(ディスプレイ,スピーカ等)と、ユーザから目的地の指定等の各種操作を受け付ける入力装置(操作ボタン、タッチセンサ等)とを含む。
通信I/F部45は、外部のサーバから上述の交通情報を受信するための通信回路を備える。通信I/F部45が受信した交通情報は制御部20に出力される。
【0025】
動力ECU46は、動力部47を制御するコンピュータである。本実施形態の動力部47は、動力源としてモータ47aとエンジン47bとを備える。また、動力部47は、モータ47aに電力を供給するバッテリ47cを備える。バッテリ47cは充電可能な電池であり、動力ECU46はバッテリ47cに充電されている残電力量を取得する。本実施形態の車両において、モータ47aとエンジン47bとから駆動輪に供給される動力比が可変であり、動力ECU46はモータ47aの残電力量等に基づいて動力比を変化させる。
【0026】
制御部20はナビゲーションプログラム21を実行する。ナビゲーションプログラム21は、走行予定経路取得部21aと管理区間生成部21bと経路情報生成部21cと送信部21dとを含む。
走行予定経路取得部21aは、車両の走行予定経路を取得する機能を制御部20に実行させるモジュールである。走行予定経路取得部21aの機能により制御部20は、地図情報30aに基づいて、公知の経路探索手法によって出発地から目的地までを接続する経路を探索する。走行予定経路Rは、出発地から目的地までを接続する経路のうち、車両の現在地よりも目的地側の部分である。従って、
図2Aに示すように、走行予定経路Rは、現在地から目的地までを接続する経路となる。なお、走行予定経路Rを特定する情報として、走行予定経路Rを構成する構成リンクLを示す情報(不図示)が記録媒体30に記録される。
【0027】
管理区間生成部21bは、走行予定経路Rに通常区間Oと当該通常区間Oよりも車速が大きくなる高速区間Hとが含まれる場合に、通常区間Oと高速区間Hのそれぞれにおいて、互いに異なる分割条件で走行予定経路Rを分割した複数の管理区間Kを生成する機能を制御部20に実行させるモジュールである。高速区間Hとは、通常区間Oよりも車速が大きくなる区間であり、通常区間Oよりも車速が大きくなる道路種別の区間である。本実施形態において、道路種別として高速道路が対応付けられている構成リンクLが連続しているひとまとまりの区間が高速区間Hであり、道路種別として一般道路が対応付けられている走行予定経路Rの構成リンクLが連続しているひとまとまり区間が通常区間Oである。
【0028】
図2Aの例では、走行予定経路Rに2個の通常区間O
1,O
2と1個の高速区間Hが含まれている。経路探索は一般道路上において行われ、目的地も一般道路上に存在する場合が多いため、遠方の目的地に向けて走行する際の初期段階において、走行予定経路Rは2個の通常区間O
1,O
2と1個の高速区間Hで構成される場合が多い。むろん、通常区間Oと高速区間Hの数は特に限定されず、高速区間Hが2以上存在してもよい。
【0029】
また、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、高速区間Hにおいて、通常区間O
1,O
2よりも走行予定経路Rが分割されにくくなる分割条件を適用する。具体的に、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、走行予定経路R上において連続し、かつ、車両の走行状態としての推定車速Vの変化量が基準値T未満となる区間ごとに管理区間Kを生成する。すなわち、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、走行予定経路R上において連続している2個の構成リンクLの推定車速Vの差dVを算出し、当該差dVの絶対値が基準値T以上となる場合に、当該2個の構成リンクLの境界(ノード)にて管理区間Kを分割する。これにより、推定車速Vの変化量が基準値T未満となるひとまとまりの区間を管理区間Kとして生成できる。本実施形態における管理区間Kの分割条件とは、車両の走行状態としての推定車速Vの差dVが基準値T以上となることである。
【0030】
また、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、高速区間Hについての基準値T
Hを、通常区間O
1,O
2についての基準値T
Oよりも大きく設定する。
すなわち、制御部20は、通常区間O
1,O
2において連続する2個の構成リンクLの推定車速Vの差dVが基準値T
O以上であれば当該2個の構成リンクLの境界にて管理区間Kを分割するが(
図2B)、高速区間Hにおいて連続する2個の構成リンクLの推定車速Vの差dVが基準値T
O以上であっても基準値T
H(>T
O)以上でなければ当該2個の構成リンクLの境界にて管理区間Kを分割しない(
図2C)。
【0031】
さらに、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oと、高速区間Hにおける管理区間Kの数N
Hとの合計値(N
O+N
H)が所定の上限値N
MAX以下となるように、管理区間Kを生成する。具体的に、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、通常区間O
1,O
2において管理区間Kを生成し、上限値N
MAXから通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oを減算した残区間数(N
MAX−N
O)を取得し、高速区間Hにおける管理区間Kの数N
Hが残区間数(N
MAX−N
O)以下となるように高速区間Hにおける管理区間Kを生成する。なお、通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oとは、通常区間O
1における管理区間Kの数と、通常区間O
2における管理区間Kの数との合計値である。
【0032】
まず、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oが上限値N
MAX未満となるように、通常区間O
1,O
2において管理区間Kを生成する。管理区間生成部21bの機能により制御部20は、通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oが上限値N
MAX以上となった場合、通常区間O
1,O
2についての基準値T
Oを上方修正し、再度、通常区間O
1,O
2において管理区間Kを生成する。基準値T
Oが大きくなるほど通常区間O
1,O
2において管理区間Kが分割されにくくなるため、通常区間O
1,O
2についての基準値T
Oを上方修正することにより、通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oを抑制できる。制御部20は、通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oが上限値N
MAX未満となるまで、通常区間O
1,O
2についての基準値T
Oを上方修正する処理を繰り返す。
【0033】
通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oが上限値N
MAX未満になると、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、上限値N
MAXから通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
O(N
MAX未満)を減算することにより、残区間数(N
MAX−N
O)≧1を算出する。そして、制御部20は、高速区間Hにおいて管理区間Kを生成する。ここで、高速区間Hにおける管理区間Kの数N
Hが残区間数(N
MAX−N
O)よりも大きくなった場合、制御部20は、高速区間Hについての基準値T
Hを上方修正し、再度、高速区間Hにおける管理区間Kを生成する。制御部20は、高速区間Hにおける管理区間Kの数N
Hが残区間数(N
MAX−N
O)以下となるまで、高速区間Hについての基準値T
Hを上方修正する処理を繰り返す。以上により、通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oと、高速区間Hにおける管理区間Kの数N
Hとの合計値(N
O+N
H)が所定の上限値N
MAX以下となるように、管理区間Kが生成できる。
【0034】
以上説明したように、通常区間O
1,O
2についての基準値T
Oと高速区間Hについての基準値T
Hとは上方修正されるが、制御部20は、基準値T
Oと基準値T
Hの初期値としてT
H>T
Oを満足する値を設定する。基準値T
Oと基準値T
Hの初期値(例えばT
O=5km/時,T
H=15km/時)は、予め記録媒体30に記録されている。また、上限値N
MAXも、予め記録媒体30に記録されている。
【0035】
経路情報生成部21cは、管理区間Kごとの区間情報を含む経路情報30bを生成する機能を制御部20に実行させるモジュールである。上述したように区間情報は、管理区間Kごとに当該管理区間Kについて、管理区間Kを構成する構成リンクLと、管理区間Kにおける平均推定車速Sと、管理区間Kの長さYとを示す情報である。経路情報生成部21cの機能により制御部20は、管理区間Kを構成する各構成リンクLの長さの和を管理区間Kの長さYとして算出するとともに、管理区間Kを構成する各構成リンクLにおける推定車速Vの平均値を平均推定車速Sとして算出する。制御部20は、各管理区間Kについて構成リンクLと平均推定車速Sと長さYとを示す区間情報を生成し、記録媒体30における経路情報30bに記録する。ここで、経路情報30bは上限値N
MAX以下の個数の区間情報から構成されるため、経路情報30bのデータ量は上限値N
MAXに依存する。
【0036】
送信部21dは、経路情報30bを車両に送信する機能を制御部20に実行させるモジュールである。送信部21dの機能により制御部20は、経路情報30bが記録媒体30上に生成されると、当該経路情報30bを車両の動力ECU46に送信する。本実施形態において、経路情報30bを送信するための所要期間が所定期間(例えば10秒)以下となるように、制御部20と動力ECU46との間の通信速度に基づいて管理区間Kの数Nの上限値N
MAXが設定されている。なお、経路情報30bを記録媒体30上に生成してから当該経路情報30bを動力ECU46に送信しなくてもよく、制御部20は、管理区間Kごとに区間情報が生成されるごとに区間情報を動力ECU46に順次送信してもよい。
【0037】
動力ECU46は、経路情報30bに基づいて走行予定経路Rにおける動力比計画情報を生成する。動力比計画情報とは、走行予定経路Rを構成する管理区間Kごとに設定するモータ47aとエンジン47bとの動力比を指定する情報である。動力ECU46は、図示しないROMに平均推定車速Sごとに理想的な動力比を対応付けたテーブルを参照することにより、管理区間Kごとに平均推定車速Sに対応する動力比を指定した動力比計画情報を生成する。理想的な動力比とは、例えばバッテリ47cにおける電力消費量と、エンジン47bにおける燃料消費量とを加味したエネルギー消費量が総合的に抑制できる動力比であり、公知の手法に基づいて設定できる。なお、高速の車速帯(例えば60km/時以上)においてモータ47aの動力を使用した場合、バッテリ47cにおける電力消費量が著しく大きくなる。そのため、動力ECU46は、平均推定車速Sが高速の車速帯となる管理区間Kについては、エンジン47bが駆動輪に供給する動力比を100%に指定する。すなわち、高速の車速帯において平均推定車速Sに応じて動力比を細かく変化させても、エネルギー消費量を抑制する効果が発揮されない。
【0038】
動力ECU46は、管理区間Kの長さYと平均推定車速Sと動力比とに基づいて、各管理区間Kにおける電力消費量を予測し、目的地に到達する前にバッテリ47cにおける残電力量が0とならないように、各管理区間Kにおけるモータ47aの動力比を下方修正する。また、管理区間Kごとに道路勾配を示す経路情報30bが生成されてもよく、動力ECU46は、道路勾配に基づいて電力消費量を正確に予測してもよい。
【0039】
以上説明した本実施形態の構成において、走行予定経路Rを構成する通常区間O
1,O
2と高速区間Hのそれぞれにおいて異なる分割条件で管理区間Kを生成するため、通常区間O
1,O
2と高速区間Hのそれぞれにおいて適正な数(≦N
MAX)の管理区間Kを生成できる。すなわち、走行予定経路R全体を同一の分割条件で分割しないことにより、通常区間O
1,O
2または高速区間Hにおいて過剰に管理区間Kが生成されることを防止でき、管理区間Kの数Nを抑制できる。従って、経路情報30bのデータ量を抑制できる。経路情報30bのデータ量を抑制できれば、経路情報30bのデータ量を動力ECU46に転送するための所要期間を短縮できる。
【0040】
また、高速区間Hにおいて、通常区間O
1,O
2よりも走行予定経路Rが分割されにくくなる分割条件を適用するため、高速区間Hにおける管理区間Kの数N
Hを抑制でき、走行予定経路R全体における管理区間Kの数Nを抑制できる。本実施形態では、経路情報30bに基づいて、高速の車速帯よりも低速の車速帯においてエネルギー消費量の抑制効果が発揮される運転支援(動力比の制御)を行うため、高速区間Hにおいて、通常区間O
1,O
2よりも走行予定経路Rが分割されにくくなる分割条件を適用できる。
【0041】
管理区間生成部21bの機能により制御部20は、高速区間Hについての基準値T
Hを、通常区間O
1,O
2についての基準値T
Oよりも大きく設定することにより、推定車速Vの変化量が基準値T
H未満となるひとまとまりの区間を長くすることができ、高速区間Hにおける管理区間Kの数N
Hを抑制できる。さらに、走行予定経路R全体における管理区間Kの数Nを上限値N
MAX以下に抑制するため、経路情報30bのデータ量を抑制できる。また、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、上限値N
MAXから通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oを減算した残区間数(N
MAX−N
O)以下となるように、高速区間Hにおける管理区間Kを生成するため、通常区間O
1,O
2において管理区間Kを優先して生成しつつ、走行予定経路R全体における管理区間Kの数Nを上限値N
MAX以下に抑制できる。
【0042】
(2)経路情報生成処理:
次に、経路情報生成処理の一例について詳細に説明する。
図3は、経路情報生成処理のフローチャートである。まず、走行予定経路取得部21aの機能により制御部20は、公知の経路探索手法によって出発地から目的地までを接続する経路を探索する(ステップS100)。次に、制御部20は、車両の現在地と交通情報とを取得する(ステップS105)。制御部20は、車両が走行している道路である走行道路上において車両の現在地を特定し、通信I/F部45を介して外部のサーバからリンクごとに推定車速Vを示す交通情報を取得する。
【0043】
次に、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、走行予定経路Rの長さX
Rが閾値X
T以下であるか否かを判定する(ステップS110)。
図2Aに示すように、走行予定経路Rは現在地から目的地までの経路である。制御部20は、走行予定経路Rを構成するすべての構成リンクLの長さを合計することにより、走行予定経路Rの長さX
Rを取得する。閾値X
T(例えば200km)は、記録媒体30に記録されている。
【0044】
走行予定経路Rの長さX
Rが閾値X
T以下であると判定した場合(ステップS110:Y)、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、推定車速Vの差dVが基準値T
O以上の2個の構成リンクLの境界(ノード)で走行予定経路R全体を分割した管理区間Kを生成する(ステップS115)。すなわち、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、走行予定経路R全体において同一の基準値T
Oを適用することにより、走行予定経路R全体において同一の分割条件で走行予定経路Rを分割した複数の管理区間Kを生成する。ここでは、高速区間Hについての基準値T
Hではなく、通常区間O
1,O
2についての基準値T
Oの初期値を適用する。これにより、制御部20は、推定車速Vの変化量が基準値T
O未満となるひとまとまりの管理区間Kを細かく生成できる。走行予定経路Rの長さX
Rが閾値X
T以下であるため、管理区間Kの個数が過剰になることなく管理区間Kを細かく生成できる。本実施形態では、長さX
Rが閾値X
T以下である複数の走行予定経路Rのそれぞれについて基準値T
Oの初期値を適用して管理区間Kを生成した場合の管理区間Kの個数を調査し、当該管理区間Kの個数の最大値が上限値N
MAX以下となるように閾値X
Tが設定されている。従って、ステップS115にて生成される管理区間Kの個数は上限値N
MAX以下となる。
【0045】
次に、経路情報生成部21cの機能により制御部20は、管理区間Kごとに平均推定車速Sを示す区間情報を含む経路情報30bを生成する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、管理区間Kを構成する構成リンクLの長さの和を管理区間Kの長さYとして算出するとともに、管理区間Kを構成する構成リンクLにおける推定車速Vの平均値を平均推定車速Sとして算出する。そして、制御部20は、各管理区間Kについて構成リンクLと平均推定車速Sと長さYとを示す区間情報を生成し、記録媒体30における経路情報30bに記録する。
【0046】
次に、送信部21dの機能により制御部20は、経路情報30bを車両の動力ECU46に送信する(ステップS125)。上述のように、経路情報30bを送信するための所要期間が所定期間(例えば10秒)以下となるように上限値N
MAXが設定されているため、経路情報30bを送信するための所要期間が問題となることはない。経路情報30bを車両の動力ECU46に送信することにより、動力ECU46は、経路情報30bに基づいて、モータ47aとエンジン47bとの動力比の制御を実施できるようになる。
【0047】
次に、走行予定経路取得部21aの機能により制御部20は、ユーザI/F部44にてリルートまたは目的地変更の操作が受け付けられたか否かを判定する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、目的地までの経路を再探索する必要があるか否かを判定する。
【0048】
リルートまたは目的地変更の操作が受け付けられたと判定した場合(ステップS130:Y)、走行予定経路取得部21aの機能により制御部20は、ステップS100に戻り経路探索を再度実行する。一方、リルートまたは目的地変更の操作が受け付けられたと判定しなかった場合(ステップS130:N)、走行予定経路取得部21aの機能により制御部20は、経路情報30bの送信から所定の更新期間が経過したか否かを判定する(ステップS135)。更新期間(例えば10分)は、記録媒体30に記録されている。なお、ステップS130において、制御部20は、経路情報30bの送信から所定距離走行したか否かを判定してもよい。
【0049】
経路情報30bの送信から更新期間が経過したと判定した場合(ステップS135:Y)、走行予定経路取得部21aの機能により制御部20は、ステップS105に戻る。更新期間が経過する間に車両の現在地が目的地に接近しているため、走行予定経路Rが短くなる。従って、短くなった走行予定経路Rに対してステップS110以降を再度実行することができる。一方、経路情報30bの送信から更新期間が経過したと判定しなかった場合(ステップS135:N)、走行予定経路取得部21aの機能により制御部20は、車両が目的地に到達したか否かを判定する(ステップS140)。すなわち、制御部20は、現在地と目的地とが所定距離(例えば100m)以内であるか否かを判定する。車両が目的地に到達したと判定した場合(ステップS140:Y)、走行予定経路取得部21aの機能により制御部20は、経路情報生成処理を終了させる。一方、車両が目的地に到達したと判定しなかった場合(ステップS140:N)、走行予定経路取得部21aの機能により制御部20は、ステップS130に戻る。
【0050】
次に、
図2Aのように走行予定経路Rの長さX
Rが閾値X
Tよりも大きい場合の処理について説明する。走行予定経路Rの長さX
Rが閾値X
T以下であると判定しなかった場合(ステップS110:N)、管理区間生成部21bの機能により制御部20は、高速区間Hと通常区間O
1,O
2とを取得する(ステップS145)。道路種別として高速道路が対応付けられている構成リンクLが連続しているひとまとまりの区間が高速区間Hであり、道路種別として一般道路が対応付けられている走行予定経路Rの構成リンクLが連続しているひとまとまり区間が通常区間O
1,O
2である。
【0051】
管理区間生成部21bの機能より制御部20は、通常区間O
1,O
2の長さX
Oが閾値X
Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS150)。
図2Dに示すように、通常区間O
1,O
2の長さX
Oとは、通常区間O
1の長さX
O1と通常区間O
2の長さX
O2との合計値である。すなわち、通常区間O
1,O
2の長さX
Oとは、走行予定経路Rの長さX
Rから高速区間Hの長さX
Hを除いた長さである。
【0052】
通常区間O
1,O
2の長さX
Oが閾値X
Tよりも大きいと判定しなかった場合(ステップS150:N)、管理区間生成部21bの機能より制御部20は、通常区間O
1,O
2において推定車速Vの差dVが基準値T
O以上の2個の構成リンクLの境界で走行予定経路Rを分割した管理区間Kを生成する(ステップS155)。ここでは、通常区間O
1,O
2についての基準値T
Oを適用する。これにより、制御部20は、通常区間O
1,O
2において、推定車速Vの変化量が基準値T
O未満となるひとまとまりの管理区間Kを細かく生成できる。なお、最初にステップS155を実行する段階で、制御部20は、通常区間O
1,O
2についての基準値T
Oを初期値(<高速区間Hについての基準値T
Hの初期値)にリセットしておく。これにより、通常区間O
1,O
2においては、高速区間Hよりも管理区間Kが分割されやすくすることができる。
【0053】
次に、管理区間生成部21bの機能より制御部20は、通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oが管理区間Kの数Nの上限値N
MAX未満であるか否かを判定する(ステップS160)。通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oとは、通常区間O
1における管理区間Kの数と、通常区間O
2における管理区間Kの数N
Oとの合計値である。通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oが上限値N
MAX未満であると判定しなかった場合(ステップS160:N)、管理区間生成部21bの機能より制御部20は、通常区間O
1,O
2についての基準値T
Oを上方修正する(ステップS165)。例えば、制御部20は、基準値T
Oに補正値を加算することにより、基準値T
Oを上方修正する。補正値は、一定の値であってもよいし、上方修正前の基準値T
Oに所定の比率を乗じた値であってもよい。基準値T
Oを上方修正すると、制御部20は、ステップS155に戻る。すなわち、制御部20は、上方修正した基準値T
Oによって、再度、通常区間O
1,O
2において管理区間Kを生成する。以上のように、通常区間O
1,O
2における管理区間Kの生成と、基準値T
Oの上方修正とを繰り返して実行することにより、通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oを上限値N
MAX未満とすることができる。なお、所定回数上方修正を行っても通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oを上限値N
MAX未満とならない場合や、最初にステップS160を実行してから所定のタイムアウト判定期間が経過しても通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oを上限値N
MAX未満とならない場合には、経路情報30bを生成する処理を中止してもよい。
【0054】
通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oが上限値N
MAX未満であると判定した場合(ステップS160:Y)、管理区間生成部21bの機能より制御部20は、高速区間Hにおいて推定車速Vの差dVが基準値T
H以上の2個の構成リンクLの境界で走行予定経路Rを分割した管理区間Kを生成する(ステップS170)。ここでは、高速区間Hについての基準値T
Hを適用する。なお、最初にスプS170を実行する段階で、制御部20は、高速区間Hについての基準値T
Hを初期値(>通常区間Oについての基準値T
Oの初期値)にリセットしておく。これにより、制御部20は、高速区間Hにおいて走行予定経路Rが分割されにくくすることができ、高速区間Hにおける管理区間Kの数を抑制できる。
【0055】
次に、管理区間生成部21bの機能より制御部20は、高速区間Hにおける管理区間の数N
Hが残区間数(N
MAX−N
O)以下であるか否かを判定する(ステップS175)。残区間数(N
MAX−N
O)は、管理区間Kの数Nの上限値N
MAXから通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
O(N
MAX未満)を減算した値であり、1以上の値である。高速区間Hにおける管理区間の数N
Hが残区間数(N
MAX−N
O)以下であると判定しなかった場合(ステップS175:N)、管理区間生成部21bの機能より制御部20は、高速区間Hについての基準値T
Hを上方修正する(ステップS180)。例えば、制御部20は、基準値T
Hに補正値を加算することにより、基準値T
Hを上方修正する。基準値T
Hを上方修正すると、制御部20は、ステップS170に戻る。すなわち、制御部20は、上方修正した基準値T
Hによって、再度、高速区間Hにおいて管理区間Kを生成する。以上のように、高速区間Hにおける管理区間Kの生成と、基準値T
Hの上方修正とを繰り返して実行することにより、高速区間Hにおける管理区間の数N
Hを残区間数(N
MAX−N
O)以下とすることができ、通常区間O
1,O
2における管理区間Kの数N
Oと高速区間Hにおける管理区間Kの数N
Hとの合計値(N
O+N
H)を上限値N
MAX以下とすることができる。
【0056】
以上説明した処理によって、走行予定経路R全体における管理区間Kの数Nが上限値N
MAX以下となるように管理区間Kを生成できる。管理区間Kを生成すると、残りの処理(ステップS120〜S140)を上述と同様に実行する。上述のように走行予定経路R全体における管理区間Kの数Nが上限値N
MAX以下となるため、経路情報30bを動力ECU46に送信する所要期間を抑制できる。また、通常区間O
1,O
2においては高速区間Hよりも管理区間Kが分割されやすくなっているため、動力ECU46は、経路情報30bに基づいて、通常区間O
1,O
2においてモータ47aとエンジン47bとの動力比の制御を細かく実施できる。
【0057】
ところで、
図2Dに示すように、通常区間O
1,O
2の長さX
Oが閾値X
Tよりも大きいと判定した場合(ステップS150:Y)、管理区間生成部21bの機能より制御部20は、走行予定経路Rの一部を走行予定経路Rと見なす。具体的に、
図2Dの最上段に示すように、制御部20は、走行予定経路Rから高速区間Hを除いた通常区間O
1,O
2のみの経路において、現在地からの距離が閾値X
Tとなる地点Pを特定する。地点Pは、現在地からの距離が閾値X
Tとなる地点から最も近いノードであってもよい。そして、
図2Dの最下段に示すように、制御部20は、高速区間Hも含めた走行予定経路R全体のうち現在地から地点Pまでの部分(見なし走行予定経路R')を走行予定経路Rと見なす。そして、制御部20は、見なし走行予定経路R'について、ステップS160以降の処理を上述と同様に実行する。
【0058】
これにより、管理区間生成部21bの機能より制御部20は、通常区間O
1,O
2の長さX
Oが閾値X
Tよりも大きい場合、走行予定経路Rのうちの一部の区間において管理区間Kを生成することができる。ここで、通常区間O
1,O
2の長さX
Oさが閾値X
Tよりも大きくなった場合には、通常区間O
1,O
2だけでも管理区間Kの数が過剰となり得る。このような場合、高速区間Hにおける管理区間Kの数N
Hを抑制したとしても、走行予定経路R全体における管理区間Kの数Nが過剰となる。これに対して、走行予定経路R全体ではなく走行予定経路Rの一部である見なし走行予定経路R'についてのみ管理区間Kを生成することにより、管理区間Kの数Nを抑制できる。見なし走行予定経路R'は、走行予定経路Rのうち目的地側の一部が欠損した経路となるが、更新期間が経過した場合に(ステップS135:Y)、再度、経路情報30bを生成するため、目的地まで動力比を制御することができる。
【0059】
(3)他の実施形態:
前記実施形態において、高速区間Hは、道路種別として高速道路が対応付けられた区間であったが、道路種別として高速道路以外の有料道路が対応付けられた区間であってもよい。また、高速区間Hは、通常区間Oよりも実際に車両が走行した際の車速が統計的に大きい区間であってもよい。さらに、高速区間Hは、通常区間Oよりも法定の最高速度が大きい区間であってもよい。
【0060】
管理区間生成部21bの機能より制御部20は、互いに異なる分割条件で走行予定経路Rを分割すればよく、分割条件は種々考えられる。例えば、高速区間Hと通常区間Oのそれぞれにおいて一定の分割距離ごとに走行予定経路Rを分割してもよく、高速区間Hにおける分割距離を通常区間Oにおける分割距離よりも長く設定してもよい。また、経路情報30bに基づいて、低速の車速帯よりも高速の車速帯において効果が発揮される運転支援を行う場合、通常区間Oにおいて、高速区間Hよりも走行予定経路Rが分割されにくくなる分割条件を適用してもよい。経路情報生成部21cの機能により制御部20は、管理区間Kごとの区間情報を含む経路情報30bを生成すればよく、区間情報は管理区間Kの特徴を示すいかなる情報(例えば、勾配情報等の道路形状を示す情報)であってもよい。
【0061】
管理区間生成部21bの機能より制御部20は、推定車速V以外の車両の走行状態の変化量が基準値以上となる2個の構成リンクLの境界にて管理区間Kを分割してもよい。例えば、制御部20は、燃費や単位距離の走行に要するエネルギー等の変化量が基準値以上となる2個の構成リンクLの境界にて管理区間Kを分割してもよい。また、制御部20は、渋滞状況等の走行環境の状態の変化量が基準値以上となる2個の構成リンクLの境界にて管理区間Kを分割してもよい。