【実施例】
【0018】
次に本発明の実施例を参考例及び比較例とともに詳しく説明する。
(なお、以下に記載の「実施例7〜15」はいずれも「参考例」である。)
<参考例1>
先ずエチレンオキシド変性コハク酸メタクリレート(新中村化学社製のNKエステルSA)を水酸化ナトリウムでけん化して石鹸を調製した。この石鹸を2つに分け、一方の石鹸に塩化インジウム溶液(アジア物性社製)を混合して撹拌することによりインジウムの金属石鹸を調製した。このインジウムの金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩したインジウムの金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することによりインジウム石鹸(炭素数:10)を得た。一方、上記石鹸の他方に塩化錫溶液(アジア物性社製)を混合して撹拌することにより錫の金属石鹸を調製した。この錫の金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩した錫の金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することにより錫石鹸(炭素数:10)を得た。なお、上記エチレンオキシド変性コハク酸メタクリレートの化学式(1)をここに示す。
【0019】
【化1】
次いで
図1に示すように、20ccのガラス瓶に上記インジウム石鹸7.5gと錫石鹸0.5gとを入れて、気密であって所定のガスを給排可能なグローブボックス11内に収容された電子レンジ12のターンテーブル12a上に置いた。次に上記インジウム石鹸と錫石鹸の混合物13の入ったガラス瓶14に、直径及び深さがそれぞれ150mm及び70mmである透明な石英製坩堝16を被せるとともに、グローブボックス11内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジ12を出力1000Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶14を電子レンジ12から取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体17を得た。この粒子分散体17を
参考例1とした。なお、
図1において、符号12bはマイクロ波を発生するマグネトロンであり、符号12cはトランスであり、符号12dは空気を流通させるとともにトランス12cを冷却するファンであり、符号12eはターンテーブル12aを回転駆動するモータである。また
図1において、破線矢印はマイクロ波の流れを示し、一点鎖線矢印は空気の流れを示す。
【0020】
<実施例
1>
先ず12-ヒドロキシステアリン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとステアリン酸錫(炭素数:18)0.5gとをガラス瓶に入れ、更にフッ化アンモニウムを0.3g添加して混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力950Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を実施例
1とした。
<実施例
2>
先ずステアリン酸錫(炭素数:18)7.5gをガラス瓶に入れ、フッ化アンモニウムを0.3g添加して混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力850Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を実施例
2とした。
【0021】
<実施例3>
先ず
オレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gをガラス瓶に入れ、フッ化アンモニウムを0.3g添加して混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力850Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を実施例3とした。
<参考例2>
先ずステアリン酸錫(炭素数:18)7.5gとモンタン酸/2-アミノエタノールアンチモン錯体(炭素数:29)0.8gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力1000Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を参考例2とした。
<参考例3>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとパルミチン酸亜鉛(炭素数:16)0.7gとをガラスに入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力950Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を参考例3とした。
【0022】
<
参考例4>
先ずエチレンオキシド変性コハク酸メタクリレート(新中村化学社製のNKエステルSA)を水酸化ナトリウムでけん化して石鹸を調製した後に、この石鹸に塩化インジウム溶液(アジア物性社製)を混合して撹拌することによりインジウムの金属石鹸を調製した。このインジウムの金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩したインジウムの金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することによりインジウム石鹸(炭素数:10)を得た。一方、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亞合成社製のアロニックスM−5300)を水酸化ナトリウムでけん化して石鹸を調製した後に、この石鹸に塩化亜鉛溶液を混合して撹拌することにより亜鉛の金属石鹸を調製した。この亜鉛の金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩した亜鉛の金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することにより亜鉛石鹸(炭素数:15)を得た。なお、上記ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレートの化学式(2)をここに示す。
【0023】
【化2】
次いで上記インジウム石鹸7.5gと亜鉛石鹸0.7gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力950Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例4とした。
【0024】
<
参考例5>
先ずβ−カルボキシルエチルアクリレート(ダイセル・ユーシービー社製のβ−CEA)を水酸化ナトリウムでけん化して石鹸を調製した後に、この石鹸に塩化チタン溶液を混合して撹拌することによりチタンの金属石鹸を調製した。このチタンの金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩したチタンの金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することによりチタン石鹸を得た。なお、上記β−カルボキシルエチルアクリレートの化学式(3)をここに示す。
【0025】
【化3】
次いで上記チタン石鹸7.5gをガラス瓶に入れた。次にこのチタン石鹸(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力1200Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例5とした。
【0026】
<
参考例6>
先ずチタンカップリング剤(味の素社製のKR44、炭素数:3及び4)7.5gをガラス瓶に入れる。次にこのチタンカップリング剤(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力1200Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例6とした。なお、上記チタンカップリング剤(味の素社製のKR44)の化学式(4)をここに示す。
【0027】
【化4】
<
参考例7>
先ずチタンカップリング剤(味の素社製の9SA、炭素数:3及び18)7.5gをガラス瓶に入れた。次にこのチタンカップリング剤(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力1200Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例7とした。なお、上記チタンカップリング剤(味の素社製の9SA)の化学式(5)をここに示す。
【0028】
【化5】
<比較例1>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとステアリン酸錫(炭素数:18)0.5gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力1300Wで6分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を比較例1とした。
<比較例2>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとステアリン酸錫(炭素数:18)0.5gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力1000Wで11分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を比較例2とした。
<比較例3>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとステアリン酸錫(炭素数:18)0.5gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力750Wで4分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を比較例3とした。
【0029】
<比較例4>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとステアリン酸錫(炭素数:18)0.5gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力800Wで2分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を比較例4とした。
<比較例5>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとステアリン酸錫(炭素数:18)0.5gとをガラス瓶に入れ、更に溶媒としてメチルカルビトール(略称:MCT)を添加して混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力850Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を比較例5とした。
【0030】
<比較試験1及び評価>
実施例1〜
3、参考例1〜7及び比較例1〜5の粒子分散体をアセトンで洗浄した後、真空雰囲気中に室温で2時間保持して金属又は半金属化合物粒子からなる乾燥粉末を作製し、X線回折法(XRD法)により乾燥粉末を構成する化合物の同定を行ってその化合物のパターン(結晶構造)及び名称を特定し、また蛍光X線分光分析法(XFS法)により上記乾燥粉末の元素分析を行い、更に透過電子顕微鏡(TEM)により乾燥粉末の一次粒子の平均粒径を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1の比較例5の「MCT」はメチルカルビトールである。
【0031】
【表1】
表1から明らかなように、比較例3及び4では未反応部分が多く、比較例5では原料粉末の有機金属化合物と変わっていなかった。これに対し、実施例1、実施例2、参考例1、参考例3及び参考例4では乾燥粉末の金属又は半金属化合物粒子のパターン(結晶構造)がビックスバイト(bixbite)型構造であり、実施例1及び参考例2では乾燥粉末の金属又は半金属化合物粒子のパターン(結晶構造)がルチル(rutile)型構造であり、参考例5〜7では乾燥粉末の金属又は半金属化合物粒子のパターン(結晶構造)がアナターゼ(anataze)型構造であった。また実施例1〜3及び参考例1〜7では、乾燥粉末の金属又は半金属化合物粒子がIn、Sn、Sb等の金属又は半金属を含んでおり、金属又は半金属化合物粒子の一次粒子の平均粒径が4〜10nmと極めて微細であることが分かった。なお、比較例1及び2では乾燥粉末の金属化合物粒子のパターン(結晶構造)がビックスバイト(bixbite)型構造であり、金属化合物粒子の平均粒径がそれぞれ14nm及び11nmと比較的微細であったが、後述する比較試験2に示すように沈殿してしまい、分散液が得られなかった。
【0032】
<
参考例8>
参考例1の粒子分散体を2-イソプロポキシエタノール(溶媒、略称:isoPG)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例8とした。
<実施例
4>
実施例
1の粒子分散体をメチルカルビトール(溶媒、略称:MCT)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例
4とした。
<実施例
5>
実施例
2の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒、略称:IPA)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例
5とした。
<実施例
6>
実施例
3の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒、略称:IPA)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例
6とした。
<
参考例9>
参考例2の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒、略称:IPA)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例9とした。
【0033】
<
参考例10>
参考例3の粒子分散体をN-メチルピロリドン(溶媒、略称:NMP)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例10とした。
<
参考例11>
参考例4の粒子分散体をヘキサン(溶媒、略称:Hx)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例11とした。
<
参考例12>
参考例5の粒子分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒、略称:PGMEA)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例12とした。
<
参考例13>
参考例6の粒子分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテル(溶媒、略称:PGM)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例13とした。
<
参考例14>
参考例7の粒子分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒、略称:PGMEA)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例14とした。
【0034】
<比較例6>
比較例1の粒子分散体をメチルカルビトール(溶媒、略称:MCT)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を比較例6とした。
<比較例7>
比較例2の粒子分散体をメチルカルビトール(溶媒、略称:MCT)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を比較例7とした。
<比較例8>
比較例3の粒子分散体をメチルカルビトール(溶媒、略称:MCT)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を比較例8とした。
<比較例9>
比較例4の粒子分散体をメチルカルビトール(溶媒、略称:MCT)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を比較例9とした。
【0035】
<比較試験2及び評価>
実施例4〜6、参考例8〜14及び比較例6〜10の約30重量%に洗浄・濃縮した直後の粒子分散体の状態と、密栓したガラス瓶に入れて40℃に2週間保持した後の状態を目視にて観察した。その結果を表2に示す。表2において、「isoPG」は2-イソプロポキシエタノールの略称であり、「MCT」はメチルカルビトールの略称であり、「IPA」はイソプロパノールの略称であり、「NMP」はN-メチルピロリドンの略称であり、「Hx」はヘキサンの略称であり、「PGMEA」はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの略称であり、「PGM」はプロピレングリコールモノメチルエーテルの略称である。
【0036】
【表2】
表2から明らかなように、比較例6〜9では2週間後いずれも沈殿していたのに対し、
実施例4〜6及び参考例8〜14では2週間後も沈殿せずコロイド特有のインク状態のままであった。この結果、上記実施例
及び参考例のような簡便な方法で、特別な分散装置を使用せずに、高濃度の金属又は半金属化合物粒子の分散した粒子分散体(コロイド液)が比較的容易に製造できることが判った。
【0037】
<
参考例15>
先ずイソステアリン酸銅(炭素数:18)0.7gをガラス瓶に入れた。次にこのイソステアリン酸銅(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力1000Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例15とした。
<
参考例16>
先ずカプロン酸銀(炭素数:6)0.7gをガラス瓶に入れた。次にこのカプロン酸銀(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力850Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例16とした。
【0038】
<
参考例17>
先ずオレイン酸銀(炭素数:18)0.35gと2-エチルヘキサン酸パラジウム(炭素数:8)0.35gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力850Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例17とした。
<
参考例18>
先ず2-エチルヘキサン酸パラジウム(炭素数:8)0.7gをガラス瓶に入れた。次にこの2-エチルヘキサン酸パラジウム(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力850Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例18とした。
【0039】
<
参考例19>
先ずカプロン酸/2-エチルヘキシルアミン金錯体(炭素数:6,8)0.7gをガラス瓶にいれた。次にこのカプロン酸/2-エチルヘキシルアミン金錯体(単一物)を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら電子レンジを出力1000Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例19とした。
<
参考例20>
先ずオレイン酸/プロピレンジアミン金錯体(炭素数:18,3)0.6gとイソステアリン酸銅(炭素数:18)0.1gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力1000Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例20とした。
【0040】
<
参考例21>
先ずオレイルアミン白金錯体(炭素数:18)0.7をガラス瓶に入れた。次にこのオレイルアミン白金錯体(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力850Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例21とした。
<
参考例22>
先ずビバル酸ルテニウム(炭素数:5)0.7gをガラス瓶に入れた。次にこのビバル酸ルテニウム(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力1200Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例22とした。
【0041】
<
参考例23>
先ずステアリン酸鉄(炭素数:18)0.3gと酢酸コバルト(炭素数:2)0.1gとベヘン酸ニッケル(炭素数:22)0.3gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力1200Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例23とした。
<
参考例24>
先ずリノール酸/テトラデシルアミンロジウム錯体(炭素数:18,14)0.7gをガラス瓶に入れた。次にリノール酸/テトラデシルアミンロジウム錯体(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力1000Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例24とした。
【0042】
<
参考例25>
先ずリノレン酸/ヘキサデシルアミンレニウム錯体(炭素数:18,16)0.7gをガラス瓶に入れた。次にこのリノレン酸/ヘキサデシルアミンレニウム錯体(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力1000Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例25とした。
<
参考例26>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)0.65gとドデシルアミン錫錯体(炭素数:12)0.5gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力1000Wで9分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例26とした。
【0043】
<
参考例27>
先ず12-ヒドロキシステアリン酸インジウム(炭素数:18)0.6gとパルミチン酸亜鉛(炭素数:16)0.1gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力850Wで9分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例27とした。
<実施例
7>
先ずアクリル酸銀(炭素数:4)0.7をガラス瓶に入れた。次にこのパルミチン酸亜鉛(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力850Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を実施例
7とした。
【0044】
<実施例8>
先ず
メタクリル酸銀(炭素数:
5)0.35gとアクリル酸パラジウム(炭素数:4)とをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力850Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を実施例8とした。
<参考例28>
参考例1のインジウム石鹸(炭素数:10)0.65gと実施例1の錫石鹸(炭素数:10)0.5gとをガラス瓶に入れて混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力1100Wで9分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を参考例28とした。
【0045】
<
参考例29>
先ずエチレンオキシド変性コハク酸メタクリレート(新中村化学社製のNKエステルSA)を水酸化ナトリウムでけん化して石鹸を調製した後に、この石鹸に塩化金溶液を混合して撹拌することにより金の金属石鹸を調製した。次いでこの金の金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩した金の金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することにより金石鹸(炭素数:10)を得た。次にこの金石鹸0.7gをガラス瓶に入れた。更にこの金石鹸(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力1000Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を
参考例29とした。
<実施例
9>
先ずメタクリル酸白金(炭素数:5)0.7gをガラス瓶に入れた。次にメタクリル酸白金(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力1000Wで5分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を実施例
9とした。
【0046】
<比較例10>
先ずカプロン酸銀(炭素数:6)0.7gをガラス瓶に入れた。次にこのカプロン酸銀(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力1300Wで6分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を比較例10とした。
<比較例11>
先ずカプロン酸銀(炭素数:6)0.7gをガラス瓶に入れた。次にこのカプロン酸銀(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力1000Wで11分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を比較例11とした。
<比較例12>
先ずカプロン酸銀(炭素数:6)0.7gをガラス瓶に入れた。次にこのカプロン酸銀(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力750Wで4分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を比較例12とした。
<比較例13>
先ずカプロン酸銀(炭素数:6)0.7gをガラス瓶に入れた。次にこのカプロン酸銀(単一物)の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力800Wで2分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を比較例13とした。
【0047】
<比較例14>
先ずカプロン酸銀(炭素数:6)0.7gをガラス瓶に入れ、デカリン(溶媒)1.5gを添加して混合物を得た。次に上記混合物の入ったガラス瓶を電子レンジに入れるとともに、グローブボックス内に窒素ガスを200cc/分ずつ供給しながら、電子レンジを出力850Wで8分間作動させた。その後、上記ガラス瓶を電子レンジから取出して室温まで冷却し、コロイド状の粒子分散体を得た。この粒子分散体を比較例14とした。
<比較試験3及び評価>
実施例
7〜9、参考例15〜29及び比較例9〜14の粒子分散体をアセトンで洗浄した後、真空雰囲気中に室温で2時間保持して金属粒子からなる乾燥粉末を作製し、X線光電子スペクトル法(XPS法)により乾燥粉末を構成する化合物の同定を行ってその化合物の酸化数を求め、またフィールドエミッション透過電子顕微鏡(FE−TEM)により上記乾燥粉末の元素分析を行うとともに、乾燥粉末の一次粒子の平均粒径を求めた。その結果を表3及び表4に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
表3及び表4から明らかなように、比較例10では銀メタルの凝集塊が発生し、比較例11では酸化数がゼロであったけれども金属粒子の一次粒子の平均粒径がミクロンオーダと大きく、比較例12では反応部分が多く、更に比較例13及び14では原料粉末の有機金属化合物と変わっていなかった。これに対し、実施例
7〜9及び参考15〜29では乾燥粉末の金属粒子の酸化数がゼロであり、また実施例
7〜9及び参考15〜29では、乾燥粉末の金属粒子がIn、Sn等の金属を含み、更に金属粒子の一次粒子の平均粒径が2〜13nmと極めて微細であることが分かった。
【0050】
<
参考例30>
参考例15の粒子分散体をトルエン(溶媒、略称:TL)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例30とした。
<
参考例31>
参考例16の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒、略称:IPA)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例31とした。
<
参考例32>
参考例17の粒子分散体を2-イソプロポキシエタノール(溶媒、略称:isoPG)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例32とした。
<
参考例33>
参考例18の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒、略称:IPA)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例33とした。
<
参考例34>
参考例19の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒、略称:IPA)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例34とした。
【0051】
<
参考例35>
参考例20の粒子分散体をα−テルピネオール(溶媒、略称:TP)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例35とした。
<
参考例36>
参考例21の粒子分散体をα−テルピネオール(溶媒、略称:TP)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例36とした。
<
参考例37>
参考例22の粒子分散体を水(溶媒、略称:W)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例37とした。
<
参考例38>
参考例23の粒子分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテル(溶媒、略称:PGM)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例38とした。
<
参考例39>
参考例24の粒子分散体をヘキサン(溶媒、略称:Hx)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例39とした。
【0052】
<
参考例40>
参考例25の粒子分散体をメチルカルビトール(溶媒、略称:MCT)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例40とした。
<
参考例41>
参考例26の粒子分散体をデカリン(溶媒、略称:DC)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例41とした。
<
参考例42>
参考例27の粒子分散体をデカリン(溶媒、略称:DC)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例42とした。
<実施例
10>
実施例
7の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒、略称:IPA)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例
10とした。
<実施例
11>
実施例
8の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒、略称:IPA)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例
11とした。
【0053】
<
参考例43>
参考例28の粒子分散体をテトラデカン(溶媒、略称:TD)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例43とした。
<
参考例44>
参考例29の粒子分散体をヘキサン(溶媒、略称:Hx)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を
参考例44とした。
<実施例
12>
実施例
9の粒子分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒、略称:PGMEA)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例
12とした。
<比較例15>
比較例11の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒、略称:IPA)と混合した。この混合物を比較例15とした。
【0054】
<比較試験4及び評価>
実施例
10〜12及び参考例30〜44の粒子分散体と比較例15の混合物の、約30重量%に洗浄・濃縮した直後の粒子分散体の状態と、密栓したガラス瓶に入れて40℃に2週間保持した後の状態を目視にて観察した。その結果を表5及び表6に示す。表5及び表6において、「TL」はトルエンの略称であり、「IPA」はイソプロパノールの略称であり、「isoPG」は2-イソプロポキシエタノールの略称であり、「TP」はα−テルピネオールの略称であり、「W」は水の略称であり、「PGM」はプロピレングリコールモノメチルエーテルの略称であり、「Hx」はヘキサンの略称であり、「MCT」はメチルカルビトールの略称であり、「DC」はデカリンの略称であり、「TD」はテトラデカンの略称であり、「PGMEA」はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの略称である。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
表5及び表6から明らかなように、比較例15ではイソプロパノール(溶媒、略称:IPAに全く分散しなかったのに対し、実施例
10〜12及び参考例30〜44では2週間後も沈殿せずコロイド特有のインク状態のままであった。この結果、上記実施例のような簡便な方法で、特別な分散装置を使用せずに、高濃度の金属粒子の分散した粒子分散体(コロイド液)が比較的容易に製造できることが判った。
【0057】
<
参考例45>
先ず
参考例8の粒子分散体(濃度約30重量%のITO粒子を分散した分散液)をエタノールで、ITO粒子の含有量が4.0重量%となるように希釈し、この希釈した粒子分散体に光開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のイルガキュア500)を0.1重量%溶かして粒子分散体を調製した。次いで洗浄済みのソーダガラス板(縦100mm、横100mm、厚さ2.8mm)を40℃に保温し、このソーダガラス板をスピンコーターで150rpmの速度で回転させた状態で、上記希釈調製した粒子分散体を5cc滴下し、120秒間振り切って膜を作製した。
上記膜を上に向けたガラス板にステンレス製フォトマスク31(
図2)を載せた。このフォトマスク31は、縦×横×厚さがそれぞれ100mm×100mm×1.0mmの正方形状に形成され、幅×長さがそれぞれ20mm×50mmの長方形の窓孔31aが10mm間隔で3個形成される。次いでガラス板の上方から紫外線照射装置(160Wメタルハライドランプ:距離10cm)により250mJ/cm
2の紫外線エネルギを照射した後、フォトマスクを取除いたガラス板をホットプレートに載せて大気中で100℃に10分間保持した。次にN,N-ジメチルホルムアミド10重量%及びアセチルアセトン5重量%を相溶させたエタノール溶液で上記ガラス板をリンスすることにより、非光照射部の膜を溶かし、光照射の膜だけを残して、フォトマスクの長方形の窓孔と同一形状のパターニングされた膜を得た。更にこのガラス板を窒素ガス雰囲気中で220℃に30分間保持して膜を焼成した後に室温まで冷却した。このガラス板を
参考例45とした。
【0058】
<
参考例46>
参考例11の粒子分散体(濃度約30重量%のIZO粒子を分散した分散液)を用いたことを除いて、
参考例45と同様の方法でガラス板を作製した。このガラス板を
参考例46とした。
【0059】
<比較試験5及び評価>
参考例45及び46のガラス板の膜の厚さを走査型電子顕微鏡(SEM)にて測定した。その結果、
参考例45の膜の厚さは215nmと見積もられ、
参考例46の膜の厚さは321nmと見積もられた。またこれらの膜の表面抵抗値を四探針法にて測定したところ、
参考例45の膜は4920Ω/□の導電性を示し、
参考例46の膜は5290Ω/□の導電性を示した。更に
参考例45及び46の膜の可視光透過率を分光光度計にて測定したところ、97.5%及び96.2%と高い透明性を示した。
【0060】
<実施例
13>
先ず実施例
10の粒子分散体(濃度約30重量%のAg粒子を分散した分散液)をイソプロパノールで、Ag粒子の含有量が20重量%となるように希釈し、この希釈した粒子分散体に光開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のイルガキュア500)を0.5重量%溶かして粒子分散体を調製した。次いで洗浄済みのソーダガラス板(縦100mm、横100mm、厚さ2.8mm)を40℃に保温し、このソーダガラス板をスピンコーターで150rpmの速度で回転させた状態で、上記希釈調製した粒子分散体を5cc滴下し、120秒間振り切って膜を作製した。
上記膜を上に向けたガラス板にステンレス製フォトマスクをそれぞれ載せた。このフォトマスクは、縦×横×厚さがそれぞれ100mm×100mm×1.0mmの正方形状に形成され、幅×長さがそれぞれ20mm×50mmの長方形の窓孔が10mm間隔で3個形成される。次いでガラス板の上方から紫外線照射装置(160Wメタルハライドランプ:距離10cm)により250mJ/cm
2の紫外線エネルギを照射した後、フォトマスクを取除いたガラス板をホットプレートに載せて大気中で100℃に10分間保持した。次にN,N-ジメチルホルムアミド10重量%及びアセチルアセトン5重量%を相溶させたエタノール溶液で上記ガラス板をリンスすることにより、非光照射部の膜を溶かし、光照射の膜だけを残して、フォトマスクの長方形の窓孔と同一形状のパターニングされた膜を得た。更にこのガラス板を大気中で200℃に30分間保持して膜を焼成した後に室温まで冷却した。このガラス板を実施例
13とした。
<実施例
14>
実施例
11の粒子分散体(濃度約30重量%のAg粒子及びPd粒子を分散した分散液)を用いたことを除いて実施例
13と同様にしてガラス板を作製した。このガラス板を実施例
14とした。
【0061】
<
参考例47>
先ず
参考例43の粒子分散体(濃度約30重量%のIn粒子及びSn粒子を分散した分散液)をヘキサンで、In粒子及びSn粒子の含有量が1.0重量%となるように希釈し、この希釈した粒子分散体に光開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のイルガキュア500)を0.05重量%溶かして粒子分散体を調製した。次いで洗浄済みのアクリル板(縦100mm、横100mm、厚さ2.8mm)を40℃に保温し、このアクリル板をスピンコーターで150rpmの速度で回転させた状態で、上記希釈調製した粒子分散体を5cc滴下し、120秒間振り切って膜を作製した。
上記膜に向けたアクリル板にステンレス製フォトマスクをそれぞれ載せた。このフォトマスクは、縦×横×厚さがそれぞれ100mm×100mm×1.0mmの正方形状に形成され、幅×長さがそれぞれ20mm×50mmの長方形の窓孔が10mm間隔で3個形成される。次いでアクリル板の上方から紫外線照射装置(160Wメタルハライドランプ:距離10cm)により250mJ/cm
2の紫外線エネルギを照射した後、フォトマスクを取除いたアクリル板をホットプレートに載せて大気中で100℃に10分間保持した。次にN,N-ジメチルホルムアミド10重量%及びアセチルアセトン5重量%を相溶させたエタノール溶液で上記アクリル板をリンスすることにより、非光照射部の膜を溶かし、光照射の膜だけを残して、フォトマスクの長方形の窓孔と同一形状のパターニングされた膜を得た。更にこのアクリル板を窒素ガス雰囲気中で200℃に30分間保持し、大気中で200℃に60分間保持して、膜を焼成した後に室温まで冷却した
。このアクリル板を
参考例47とした。
【0062】
<
参考例48>
先ず
参考例44の粒子分散体(濃度約30重量%のAu粒子を分散した分散液)をヘキサンで、Au粒子の含有量が20重量%となるように希釈し、この希釈した粒子分散体に光開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のイルガキュア500)を0.5重量%溶かして粒子分散体を調製した。次いで洗浄済みのソーダガラス板(縦100mm、横100mm、厚さ2.8mm)を40℃に保温し、このソーダガラス板をスピンコーターで150rpmの速度で回転させた状態で、上記希釈調製した粒子分散体を5cc滴下し、120秒間振り切って膜を作製した。
上記膜を上に向けたガラス板にステンレス製フォトマスクをそれぞれ載せた。このフォトマスクは、縦×横×厚さがそれぞれ100mm×100mm×1.0mmの正方形状に形成され、幅×長さがそれぞれ20mm×50mmの長方形の窓孔が10mm間隔で3個形成される。次いでガラス板の上方から紫外線照射装置(160Wメタルハライドランプ:距離10cm)により250mJ/cm
2の紫外線エネルギを照射した後、フォトマスクを取除いたガラス板をホットプレートに載せて大気中で100℃に10分間保持した。次にN,N-ジメチルホルムアミド10重量%及びアセチルアセトン5重量%を相溶させたエタノール溶液で上記ガラス板をリンスすることにより、非光照射部の膜を溶かし、光照射の膜だけを残して、フォトマスクの長方形の窓孔と同一形状のパターニングされた膜を得た。更にこのガラス板を大気中で150℃に30分間保持して膜を焼成した後に室温まで冷却した。このガラス板を
参考例48とした。
【0063】
<実施例
15>
先ず実施例
12の粒子分散体(濃度約30重量%のPt粒子を分散した分散液)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで、Pt粒子の含有量が20重量%となるように希釈し、この希釈した粒子分散体に光開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のイルガキュア500)を0.5重量%溶かして粒子分散体を調製した。次いで洗浄済みのソーダガラス板(縦100mm、横100mm、厚さ2.8mm)を40℃に保温し、このソーダガラス板をスピンコーターで150rpmの速度で回転させた状態で、上記希釈調製した粒子分散体を5cc滴下し、120秒間振り切って膜を作製した。
上記膜を上に向けたガラス板にステンレス製フォトマスクをそれぞれ載せた。このフォトマスクは、縦×横×厚さがそれぞれ100mm×100mm×1.0mmの正方形状に形成され、幅×長さがそれぞれ20mm×50mmの長方形の窓孔が10mm間隔で3個形成される。次いでガラス板の上方から紫外線照射装置(160Wメタルハライドランプ:距離10cm)により250mJ/cm
2の紫外線エネルギを照射した後、フォトマスクを取除いたガラス板をホットプレートに載せて大気中で100℃に10分間保持した。次にN,N-ジメチルホルムアミド10重量%及びアセチルアセトン5重量%を相溶させたエタノール溶液で上記ガラス板をリンスすることにより、非光照射部の膜を溶かし、光照射の膜だけを残して、フォトマスクの長方形の窓孔と同一形状のパターニングされた膜を得た。更にこのガラス板を大気中で150℃に30分間保持して膜を焼成した後に室温まで冷却した。このガラス板を実施例
15とした。
【0064】
<比較試験6及び評価>
実施例
13〜15と参考例47及び48のガラス板の膜と実施例61のアクリル板の膜の厚さと可視光透過率と体積抵抗率をそれぞれ測定した。上記膜の厚さは走査型電子顕微鏡(SEM)にて測定し、透明膜の可視光透過率は分光光度計にて測定し、体積抵抗率は四探針法にて測定した。その結果を表7に示す。表7において、「IPA」はイソプロパノールの略称であり、「Hx」はヘキサンの略称であり、「PGMEA」はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの略称である。
【0065】
【表7】
表7から明らかなように、実施例
13〜15及び参考例48の膜では電極の配線として極めて有効な導電性が得られることが判った。また
参考例47の膜では透明導電膜として極めて優れた可視光透過率と導電性を有することが判った。