特許第5920416号(P5920416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920416
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】可搬式流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20060101AFI20160428BHJP
   B67D 7/22 20100101ALI20160428BHJP
   G01F 13/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   G01F1/00 Y
   B67D7/22 A
   G01F13/00 301W
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-159976(P2014-159976)
(22)【出願日】2014年8月6日
(62)【分割の表示】特願2012-225658(P2012-225658)の分割
【原出願日】2012年10月11日
(65)【公開番号】特開2014-238418(P2014-238418A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2014年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】山崎 好男
(72)【発明者】
【氏名】中西 紀之
(72)【発明者】
【氏名】田代 広一
(72)【発明者】
【氏名】池田 秀明
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−056727(JP,U)
【文献】 特開2008−215868(JP,A)
【文献】 特開平11−230803(JP,A)
【文献】 特開2007−298402(JP,A)
【文献】 実開昭62−137299(JP,U)
【文献】 特開昭62−135192(JP,A)
【文献】 特開平11−059799(JP,A)
【文献】 実公昭42−005648(JP,Y1)
【文献】 特開昭61−152595(JP,A)
【文献】 特開2010−228795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00 − 3/38
G01F 13/00 −15/18
B67D 7/00 − 7/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料配送車からの燃料油を、前記燃料配送車の荷卸口に連結された給油ホース及び給油ノズルを介して給油対象物に供給する燃料供給ユニットに用いられ、前記供給される燃料油の流量を計測する可搬式流量計であって、
第1ハウジング及び第2ハウジングからなり、流量を計測する計量部を収容するハウジングと、
該ハウジングに備えられ、計測した流量を表示する表示部を有し、前記第2ハウジングに設けられた複数の立設部に固定される基板と、該基板の下部に設けられる電池と、前記表示部の表示が視認可能な表示窓を有し、前記基板に接触することなく前記基板を覆うようにして前記第2ハウジングに装着される樹脂カバーとを含む表示器と、
前記ハウジングの流体流れの上流側及び下流側に設けられた上流側フランジ及び下流側フランジとを備え、
前記表示器は、前記表示部の表示面が前記流体流れに対して平行であり、該表示面に対して垂直な軸線周りに前記表示部の向きが変更可能に設けられ、
前記樹脂カバーは、前記第2ハウジングに対して向きが変更可能に装着され、
前記基板は、前記表示部の表示が前記樹脂カバーの表示窓から視認可能となるように、前記第2ハウジングに対して前記表示窓の向きに応じて向きが変更可能に装着され、
前記給油ホースが前記上流側フランジに接続されると共に、前記給油ノズルが前記下流側フランジに接続されることを特徴とする可搬式流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料配送車から直接車輌や家庭用タンクへ燃料油を供給する際等に用いられる可搬式流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料配送車から直接車輌等へ給油するには、燃料配送車の荷卸口に連結されるカップリングと、燃料油の流量を計測する流量計と、流量計で計測された流量の計測値を表示する表示器と、流量計の吐出口に接続された給油ホースと、給油ホースの先端に装着された給油ノズルとを備えた燃料給油ユニットが用いられる。
【0003】
例えば、本出願人は、特願2011−155807において、災害発生時等に、地下タンク内の燃料油の給油が不可能な場合や、燃料配送車が給油所へ辿り着けないような場合でも、被災地等の車輌に燃料油を供給できる燃料供給ユニットを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特願2011−155807で提案した燃料給油ユニットは、災害発生時等に有効に機能するが、流量計及び表示器が燃料配送車側に設置されているため、燃料配送車と給油する車輌に距離がある場合には、1人で給油作業を行うと、給油作業中に表示器で給油量を確認することができず、給油量を確認するためには、一旦給油作業を中止して燃料配送車まで足を運ぶ必要があり、作業効率が低下する虞があった。また、作業を2人で行うと給油作業を容易に行うことができるが、その分工数が増加する。
【0005】
そこで、本発明は、燃料配送車から給油対象物まで距離がある場合にも、給油作業中に給油量を確認することができ、1人で給油操作を円滑に行うことのできる燃料給油ユニット等を構成可能な可搬式流量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、燃料配送車からの燃料油を、前記燃料配送車の荷卸口に連結された給油ホース及び給油ノズルを介して給油対象物に供給する燃料供給ユニットに用いられ、前記供給される燃料油の流量を計測する可搬式流量計であって、第1ハウジング及び第2ハウジングからなり、流量を計測する計量部を収容するハウジングと、該ハウジングに備えられ、計測した流量を表示する表示部を有し、前記第2ハウジングに設けられた複数の立設部に固定される基板と、該基板の下部に設けられる電池と、前記表示部の表示が視認可能な表示窓を有し、前記基板に接触することなく前記基板を覆うようにして前記第2ハウジングに装着される樹脂カバーとを含む表示器と、前記ハウジングの流体流れの上流側及び下流側に設けられた上流側フランジ及び下流側フランジとを備え、前記表示器は、前記表示部の表示面が前記流体流れに対して平行であり、該表示面に対して垂直な軸線周りに前記表示部の向きが変更可能に設けられ、前記樹脂カバーは、前記第2ハウジングに対して向きが変更可能に装着され、前記基板は、前記表示部の表示が前記樹脂カバーの表示窓から視認可能となるように、前記第2ハウジングに対して前記表示窓の向きに応じて向きが変更可能に装着され、前記給油ホースが前記上流側フランジに接続されると共に、前記給油ノズルが前記下流側フランジに接続されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る可搬式流量計によれば、該可搬式流量計のフランジに燃料配送車の荷卸口に固定された給油ホースと、給油ノズルの各々を固定することで、表示器を給油ノズルの直近に位置させることができるため、手元で容易に給油量の確認をしながら1人で給油作業を円滑に行うことができる。
【0008】
また、表示部を有し、第2ハウジングに固定される基板に接触することなく、当該基板を覆うようにして樹脂カバーを第2ハウジングに装着するため、可搬式流量計の軽量化を図ると共に、落下時の衝撃を樹脂カバーで吸収して破損を防止することができる。
【0009】
さらに、表示器を、表示部の表示面が流体流れに対して平行とし、表示面に対して垂直な軸線周りに前記表示部の向きを変更可能に設け、表示部の表示が視認可能な表示窓を有する樹脂カバーを、第2ハウジングに対して向きが変更できるように装着すると共に、表示部を有する基板を、表示部の表示が樹脂カバーの表示窓から視認可能となるように、第2ハウジングに対して表示窓の向きに応じて向きが変更できるように装着することにより、操作者による給油量の確認を、より容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明に係る可搬式流量計によれば、給油対象物まで距離がある場合にも、簡単に給油量を確認しながら1人で給油作業を円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る可搬式流量計の断面図である。
図2】本発明に係る可搬式流量計の斜面図である。
図3】本発明に係る可搬式流量計の樹脂カバーを取り外した状態を示す斜面図である。
図4】本発明に係る可搬式流量計の表示器を取り外した状態を示す斜面図である。
図5】本発明に係る樹脂カバーを示す斜面図である。
図6】本発明に係る可搬式流量計の使用要領を説明するため全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1乃至図5は、本発明に係る可搬式流量計(以下「流量計」という)の一実施の形態を示し、この流量計1は、大別して、第1ハウジング3及び第2ハウジング4からなるハウジング2と、表示器5とで構成される。
【0014】
第1ハウジング3は、流入口3aと、流出口3bと、上流側フランジ3cと、下流側フランジ3dと、ロータ10を収容する収容部3eとを備える。
【0015】
第2ハウジング4は、第1ハウジング3の上面にねじ25によって固定され、第1ハウジング3の収容部3eに収容されたロータ10を回転可能に支持する支持部11と、押下している間のみ点灯し、表示を見やすくするためのバックライト釦12と、通常時にはスタート釦として使用するが、使い方によってはリセット釦や桁入力釦にもなるスタート釦13と、通常時にはモード切替釦として使用するが、使い方によっては確定釦にもなるモード切替釦14と、ロータ10の回転数を計測して得られた流量等を記憶する記憶部等を有する第1基板15等を備える。モード切替釦14により計測した流量の積算値、瞬間流量等を確認することができる。
【0016】
第1ハウジング3及び第2ハウジング4に跨がって収容されるロータ10等を備える計量部は、図示を省略するが、ロータ10の回転数を計測する回転計と、計測された回転数データから流量を演算するCPU等を備えた第1基板15等からなり、計測した流量データを表示器5の第2基板19に送信する。ここで、CPUに低消費電力タイプを採用することで電池21を小型化することができると共に、ロータ10の回転により生じたエネルギーで発電し、電池21等に蓄えて電池21の寿命を延ばすこともできる。
【0017】
表示器5は、給油量、積算量、流量、バッテリー交換時期等を表示する表示部16と、マグネットを定位置に近づけるとメンテナンスモードに入るマグネットスイッチ17と、流量計の落下による衝撃から表示器5の内部を保護する樹脂カバー18と、第2基板19と、バックライト釦12を押している間のみ点灯し、表示を見やすくするバックライト20と、電池21等で構成される。バックライト20により夜間の操作性が良好となる。
【0018】
樹脂カバー18は、図5に示すように、円筒状の基部18aの上方に有蓋円筒状の蓋部18bを備え、基部18aの下部には、突出部18cと凹部18dが形成される。
【0019】
樹脂カバー18を第2ハウジング4に装着するにあたっては、図4に示すように、第2ハウジング4に凹部4a、4bが形成され、さらに同図には現れないがもう一つの凹部が存在し、これらの凹部4a、4b等は、上面視で周壁4z上に90度毎に設けられている。そのため、樹脂カバー18の突出部18cと係合させる凹部4a、4b等を変えることで、樹脂カバー18の表示窓18y(図1及び図2参照)の向きを変更することができる。
【0020】
また、第2基板19を装着するにあたって、図4に示すように、4カ所の立設部26のねじ穴26aに、図3に示すようにねじ27を螺合させるが、立設部26のねじ穴26aは、上面視で周壁4zの中心回りに回転対称となる位置に存在すると共に、4カ所のねじ穴26aを同一ピッチで螺設しているため、第2基板19の表示部16の向きを樹脂カバー18の表示窓18yに応じて変更することができる。
【0021】
マグネットスイッチ17は、上述のように、マグネットを近づけることによりメンテナンスモードに入るが、このメンテナンスモードでは、例えば、第1基板15の記憶部に記録されているソフトウエアのバージョンを確認したり、ソフトウエアのエラーチェックを行ったり、トレーニングモードに入ったり、バッテリー交換時の積算量の再登録等を行うことができる。バッテリー交換時の積算量の再登録が可能であるため、従来バッテリー交換時等にリセットする際にメモを取る必要がなくなり、作業効率が向上する。
【0022】
また、メディアリーダーを設け、第1基板15の記憶部に記憶されているデータの外部管理をすることもできる。
【0023】
第2ハウジング4に表示器5を装着するにあたっては、ねじ22のねじ頭の下方にパッキン24を設け、板金23で押さえ込むようにしたため、流量計1が落下して衝撃を受けた場合でも、パッキン24の弾性により衝撃を吸収することができ、流量計1の破損を防止することができる。
【0024】
次に、上記構成を有する流量計1の使用方法について、図6を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、家庭用のタンク35に燃料配送車32から灯油を給油する場合を例にとって説明する。
【0025】
燃料配送車32の荷卸口32aに連結される給油ホース33と、給油ノズル34とを、図1等に示した流量計1の第1ハウジング3の上流側フランジ3c、下流側フランジ3dに各々接続する。
【0026】
給油ノズル34のノズル部をタンク35の給油口35aに挿入し、流量計1のスタート釦13を押し、給油ノズル34を操作して給油を行う。ここで、給油ホース33を延ばすことで、燃料配送車32とタンク35との間にある程度距離がある場合でも対応することができる。また、流量計1を給油ノズル34の直近に設けることにより、手元で表示器5に表示された給油量等を確認しながら給油作業を行うことができ、1人で給油操作を円滑に行うことが可能となる。
【0027】
また、上記流量計1の第1ハウジング3の上流側フランジ3c及び下流側フランジ3dの寸法を変えることで、種々のホース、ノズルのサイズに対応することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 可搬式流量計
2 ハウジング
3 第1ハウジング
3a 流入口
3b 流出口
3c 上流側フランジ
3d 下流側フランジ
3e 収容部
4 第2ハウジング
4a、4b 凹部
4z 周壁
5 表示器
10 ロータ
11 支持部
12 バックライト釦
13 スタート釦
14 モード切替釦
15 第1基板
16 表示部
17 マグネットスイッチ
18 樹脂カバー
18a 基部
18b 蓋部
18c 突出部
18d 凹部
18y 表示窓
19 第2基板
20 バックライト
21 電池
22 ねじ
23 板金
24 パッキン
25 ねじ
26 立設部
26a ねじ穴
27 ねじ
32 燃料配送車
32a 荷卸口
33 給油ホース
34 給油ノズル
35 タンク
35a 給油口
図1
図2
図3
図4
図5
図6