(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る内視鏡システム1の構成を模式的に示す図である。
この内視鏡システム1は、体腔9の内部の画像を表示して観察するためのシステムであり、
図1に示すように、光源装置2と、ライトガイド3と、内視鏡装置4と、コントロールユニット5と、表示装置6とを備えている。
【0017】
光源装置2は、体腔9の内部の観察箇所Cの撮影用の照明光Kを出射する装置であり、当該照明光Kを出射する出射口部2Aを備えている。この出射口部2Aにはライトガイド3の一端側の端面3Aが接続され、この端面3Aから照明光Kがライトガイド3に入射される。
ライトガイド3は、一端側の端面3Aに入射した照明光Kを、全反射によって内部を伝搬させながら他端側の端面3Bに導光する導光部材である。このライトガイド3には、例えば複数の光ファイバの素線を束ねて成るバンドルファイバが用いられている。ライトガイド3の端面3Bには内視鏡装置4が連結され、ライトガイド3を通じて光源装置2の照明光Kが内視鏡装置4に導入される。
【0018】
内視鏡装置4は、体腔9の内部に導入され、当該体腔9の内部の観察箇所Cに照明光Kを当てながら撮像するものであり、ライトガイド3から導入された照明光Kを観察箇所Cに照射する照射部4Aと、観察箇所Cを撮影する撮影カメラ4Bとを備えている。撮影カメラ4Bは、CCD等のイメージセンサを備え、観察箇所Cを撮影した撮影信号D1をコントロールユニット5に信号ケーブル7を通じて出力する。
【0019】
コントロールユニット5は、撮影信号D1を信号処理し、観察箇所Cの観察画像を画面表示するための表示信号D2を生成する画像信号処理部8を備え、この表示信号D2が表示装置6に出力される。画像信号処理部8が行う信号処理には、従前の内視鏡システムと同様に、ホワイトバランス調整処理が含まれている。すなわち、画像信号処理部8は、所定のホワイトバランスパラメータを使用して撮影信号D1のゲイン調整(色調調整)を行うことで、観察画像が所定のホワイトバランスで表示されるようにしている。
表示装置6は、各種画像を表示する例えば液晶ディスプレイ装置であり、表示信号D2に基づいて観察箇所Cの観察画像Gを画面表示する。
【0020】
図2は、観察画像Gを説明するための模式図である。
この内視鏡システム1では、観察画像Gとして、
図2に示すように、白色光観察画像G1、蛍光観察画像G2、及び白色蛍光同時観察画像G3が表示装置6に表示される。
白色光観察画像G1は、白色光K1を照明光Kとして、患部の観察箇所Cに照射しながら撮影カメラ4Bで撮影して得られる画像である。
【0021】
蛍光観察画像G2は、患部の観察箇所Cに予め投与されたインドシアニングリーン(ICG)等の蛍光物質を励起する励起光K2を照明光Kとして照射しながら撮影カメラ4Bで撮影して得られる画像である。この蛍光物質は、患部の病変部に残留する性質を有しており、蛍光物質の蛍光の撮影によって患部の観察箇所Cに含まれる病変部が浮彫に映し出される。
なお、蛍光観察画像G2は、あくまでも例示であり、蛍光物質によって浮彫に映し出される対象物は異なる。例えば蛍光物質が血液成分に作用する物質である場合には、蛍光によって患部ではなく血管が浮彫に映し出される。また、蛍光観察画像G2の背景の明るさはゼロではなく、実際には、励起光K2の波長帯域と、この励起光K2が観察箇所Cに反射した反射光の波長帯域とに対する撮影カメラ4Bの分光感度特性に応じて決まる明るさで映し出される。
【0022】
白色蛍光同時観察画像G3は、白色光K1、及び励起光K2を同一光軸に合成した光を照明光Kとして、患部の観察箇所Cに照射しながら撮影カメラ4Bで撮影して得られる画像である。この白色蛍光同時観察画像G3では、白色光K1の照射によって映し出される白色光観察画像G1と、励起光K2の照射によって映し出される蛍光観察画像G2とを重ね合わせた態様の画像が得られる。
この白色蛍光同時観察画像G3により、患部と病変部を対比しながら同時観察が可能になる。
このとき、白色光K1、及び励起光K2が同一光軸に合成した光が照明光Kとして照射されているため、これら白色光K1、及び励起光K2を同一の観察箇所Cに互いに異なる方向から照射して照明する構成に比べ、体腔9の内部で撮影カメラ4Bの位置を変えても観察画像Gにホワイトバランスの変化や色むらを生じさせることがない。
【0023】
この内視鏡システム1では、これらの観察画像Gを撮像可能にするために、光源装置2が上記白色光K1、及び励起光K2の両方、又は一方を選択して照明光Kとして出射可能に構成されている。
【0024】
図3は、光源装置2の構成を模式的に示す図である。
光源装置2は、同図に示すように、光源部10と、操作部12と、光源制御部14とを備えている。
光源部10は、照明光Kを放射するものであり、白色光観察用光源20と、蛍光観察用光源21と、合成光学系22とを備えている。
白色光観察用光源20は、上記白色光K1を放射する白色光源ユニット24を備え、この白色光源ユニット24は調光可能であり、かつ、色温度可変に構成されている。
具体的には、白色光源ユニット24は、白色光K1Aを出射する白色光源部24Aと、白色光K1の色温度を調整するために可視光波長域の補助光K1Bを出射する補助光源部24Bと、これら白色光K1A、及び補助光K1Bを同一光軸上に合成して白色光K1として出射する合成光学素子24Cとを備えている。
【0025】
これら白色光源部24A、及び補助光源部24Bは、調光可能な光源であり、この光源には、例えば半導体光源が用いられており、この白色光源部24Aでは、白色LED24A1が用いられている。白色LED24A1は、黄色蛍光体を分散させた蛍光体樹脂によって青色LEDが封止され、この青色LEDの発光色と黄色蛍光体の蛍光色とを混色して白色光K1Aを放射する。
補助光源部24Bは、可視光波長域の光として、光三原色の各色の波長の光を放射する光源であり、赤色を放射する赤色LED24B1、緑色を放射する緑色LED24B2、及び青色を放射する青色LED24B3を備え、これら各色の光を補助光K1Bとして放射する。
【0026】
これら白色光源部24Aの白色LED24A1と、補助光源部24Bの赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3との各々の出力光量(放射強度)は、それぞれのLEDに印加する駆動電流の制御により個別に調整可能に構成されている。
補助光源部24Bが放射する三原色の各色の光の出力光量が個別に調整可能であるため、各色の出力光量の比率(放射強度混合比)を変えることで、xy色度図における広い範囲に亘って補助光K1Bの色度を可変できる。
また、白色光源ユニット24の白色光K1は、この補助光源部24Bの補助光K1Bに、白色LED24A1の白色光K1Aを更に同一光軸上に合成して得られているため、白色光源ユニット24の白色光K1は、白色LED24A1も含めて各光の出力光量の比率(放射強度混合比)を変えることで、xy色度図において補助光K1Bよりも更に広い範囲に亘って色度を可変できる。
【0027】
合成光学素子24Cは、白色光K1A、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の各光を同一光軸へ合成して出射する光学素子である。
具体的には、この白色光源ユニット24は、
図4に示すように、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3を発光面26Aに備えるLEDチップ26により実現されている。発光面26Aには、これら赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3が当該発光面26Aの中心Oの周りに近接配置されている。この発光面26Aは、合成光学素子24Cたる砲弾型のレンズ27によって覆われており、発光面26Aの白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3から放射された各々の光がレンズ27によって同一の光軸に合成されて放射される。
【0028】
なお、白色光源ユニット24は、上記LEDチップ26を用いた構成に限らない。例えばダイクロイックミラー等の合成光学素子24Cに、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の各々の放射光を通して同一の光軸上に合成して出力する構成でも良い。
【0029】
このように、白色光源ユニット24にあっては、白色光源部24Aの白色光K1Aと、補助光源部24Bの補助光K1Bとが同一光軸に合成されて白色光K1として出射されるため、これら白色光K1A、及び補助光K1Bを同一の観察箇所Cに互いに異なる方向から照射して照明する構成に比べ、体腔9の内部で撮影カメラ4Bの位置を変えても観察画像Gにホワイトバランスの変化や色むらを生じさせることがない。
【0030】
図3に戻り、蛍光観察用光源21は、上記励起光K2を放射するものである。ここで、この内視鏡システム1では、赤外光によって励起される、例えばインドシアニングリーン(ICG)が蛍光物質に用いられている。このため、蛍光観察用光源21は、赤外光を放射する赤外光源ユニット25を備え、この赤外光源ユニット25の赤外光を励起光K2として放射する。この赤外光源ユニット25には、赤外光を放射する赤外LEDが用いられる。
【0031】
合成光学系22は、白色光観察用光源20の白色光K1と、蛍光観察用光源21の励起光K2とを同一光軸に合成し、照明光Kとして出射口部2Aから出射する光学系であり、1又は複数の光学素子を備えている。例えば、この合成光学系22は、光学素子としてダイクロイックミラー22Aを備えている。このダイクロイックミラー22Aは、白色光K1を透過し、励起光K2を白色光K1と同軸に反射し、これらを合成して照明光Kとして出射する。
【0032】
操作部12は、内視鏡観察をするユーザの操作を受け付け、係る操作が光源制御部14に入力される。この操作部12は、例えば操作子やタッチパネルなどの適宜の部材を用いることができる。
光源装置2が操作部12から受け付ける操作には、蛍光観察用光源21の点灯/消灯の切替操作、白色光観察用光源20の白色光K1の調光操作(いわゆる、光量調整操作)、及び白色光K1の色温度調整操作がある。調光操作は、1%〜100%の間で調光量を指定可能になっており、また色温度調整操作は、黒体放射軌跡上の1500(K)〜15000(K)の間で色温度を指定可能になっている。
係る操作が受け付け可能になっていることで、ユーザは、蛍光観察用光源21を消灯させて白色光観察画像G1のみの観察が可能になり、また蛍光観察用光源21を点灯させて白色光観察画像G1、及び蛍光観察画像G2の重ね合わせた白色蛍光同時観察画像G3による観察が可能になる。
さらに、ユーザは、白色光観察用光源20を1%に調光(すなわち、ほぼ消灯)することで蛍光観察画像G2のみの観察が可能になり、また、白色光観察用光源20を適宜に調光することで、白色蛍光同時観察画像G3における患部と病変部の対比を調整できる。
【0033】
光源制御部14は、上記操作部12の操作に基づき、蛍光観察用光源21の点灯/消灯(すなわち点滅)を制御し、また白色光観察用光源20を調光制御するものであり、白色光源ユニット制御部30と、赤外光源ユニット制御部31とを備えている。
【0034】
白色光源ユニット制御部30は、白色光源ユニット24の白色光源部24A、及び補助光源部24Bを調光制御する調光部32を備え、また赤外光源ユニット制御部31は、赤外光源ユニット25の点滅を制御する点滅部33を備えている。
なお、赤外光源ユニット25が調光可能な光源である場合、この赤外光源ユニット25を調光する回路を赤外光源ユニット制御部31に設けることもできる。
【0035】
ここで、白色光源ユニット制御部30は、白色光観察用光源20の白色光K1の調光量、並びに、蛍光観察用光源21の点灯/消灯の切替に基づき、照明光Kの色温度を一定に維持するように、白色光源ユニット24の白色光源部24Aと補助光源部24Bの各光の出力光量の比率を変える機能を備えている。
【0036】
詳述すると、白色光源ユニット24の白色光K1の光量を一定に維持した状態において、蛍光観察用光源21の点灯/消灯が切り替えられると、照明光Kの色温度が変わり白色光観察画像G1のホワイトバランスが変化してしまうことがある。
【0037】
図5は、この光源装置2が出射する照明光Kのスペクトル分布を示す図である。
この光源装置2では、
図5に示すように、白色光K1の主光源たる白色LED24A1の白色光K1Aの波長帯域ΔE1と、赤外光源ユニット25の励起光K2の波長帯域ΔE2とは、可視光の波長帯域内(例えば約380nm〜約780nmの波長範囲内)で一部の波長帯域ΔE3(図示例では700nm以下の所定範囲)で重複している。この重複によって、白色光K1Aの波長帯域ΔE1の放射強度が補われる。しかしながら、赤外光源ユニット25の励起光K2の有無によって、波長帯域ΔE3の放射強度に変化が生じることから、当該波長帯域ΔE3を含む白色LED24A1の白色光K1Aの色温度が変化したように観測される。
この結果、白色光K1を出射させながら励起光K2の点灯/消灯を切り替えると、白色光K1と励起光K2を合成して成る照明光Kの色温度が変化し、この照明光Kが照明している観察箇所Cの撮影像にホワイトバランスの変化を生じさせてしまうこととなる。
【0038】
また、この内視鏡システム1では、白色光K1を調光しても、観察箇所Cの撮影像のホワイトバランスが変化する。
詳述すると、体腔9の内部等の閉鎖空間内にあっては、赤外光源ユニット25を点灯、又は消灯し、かつ、補助光源部24Bを消灯した状態において、白色LED24A1を調光すると、この閉鎖空間内の色温度が変化し、結果として、観察箇所Cの撮影像のホワイトバランスが変化する。
【0039】
図6は、体腔9の内部を模した閉鎖空間内の色温度の変化を示す色度図である。
この色度図は、内視鏡システム1の内視鏡装置4を閉鎖空間内に配置し、赤外光源ユニット25を点灯、かつ補助光源部24Bを消灯した状態において、白色LED24A1を15%〜100%の間で調光したときの閉鎖空間内の色温度Fの変化を示すものである。
この図に示すように、白色LED24A1を15%〜100%の間で調光したときに、閉鎖空間内の色温度Fが大きく変動することが分かり、この変動に伴い、当該閉鎖空間内を撮影した撮影像のホワイトバランスも変化することとなる。
【0040】
内視鏡観察においては、患部の状態を観察するために観察箇所Cの色彩が非常に重要であり、励起光K2の点滅操作や、白色光K1Aの調光操作が行われるごとに観察像のホワイトバランスが変化することは好ましくない。また、このホワイトバランスの変化を打ち消すための処理をコントロールユニット5の画像信号処理部8が行う構成とすると、この画像信号処理部8の処理が非常に煩雑になる。
【0041】
そこで、この光源装置2では、上述のとおり、白色光源ユニット24に、白色光源部24Aの他に、可視光波長域の光として光三原色の各色の光を出力光量可変に出力する補助光源部24Bを設け、励起光K2の点灯/消灯が切替えられるときには、白色光源ユニット制御部30の調光部32が励起光K2の点灯/消灯の切替前後で照明光Kの色温度が一定に維持されるように白色光源部24A、及び補助光源部24Bの各光の出力光量の比率を変えている。
また、白色光K1の調光操作が行われた場合には、白色光源ユニット制御部30の調光部32が調光前後で閉鎖空間内の色温度が一定に維持されるように白色光源部24A、及び補助光源部24Bの各光の出力光量の比率を変えている。
【0042】
さらに、この光源装置2では、上記白色光源部24Aの白色光K1Aと、補助光源部24Bの光の三原色の各色の光の出力光量の比率を調光部32が制御することで、白色光K1の色温度を、黒体放射軌跡上を移動するように1500(K)〜15000(K)の間で調整できるようにも構成されている。
【0043】
図7は、係る調光部32の機能的構成を示すブロック図である。
調光部32は、白色光源ユニット24の白色光源部24A、及び補助光源部24Bの出力光量の比率を決定する出力光量比率決定部40と、駆動部41とを備えている。
出力光量比率決定部40は、励起光K2の点灯/消灯の切替操作、及び、白色光K1の調光操作に対し、操作前後で照明光Kの色温度が一定に維持されるように、白色光源部24A、及び補助光源部24Bの各光の出力光量(放射強度)の比率を決定する。
また出力光量比率決定部40は、操作部12が照明光Kの色温度の指示操作を受け付けた場合に、この指示された色温度の照明光Kが出射されるように、白色光源部24A、及び補助光源部24Bの各光の出力光量(放射強度)の比率を決定する。
具体的には、出力光量比率決定部40は、色温度維持用参照テーブル42と、色温度可変用参照テーブル43とを記憶した記憶部44を備え、これら色温度維持用参照テーブル42、及び色温度可変用参照テーブル43を参照して出力光量の比率を決定している。
【0044】
図8は、色温度維持用参照テーブル42を模式的に示す図である。
同図に示すように、色温度維持用参照テーブル42には、白色光K1の調光量(%)ごとに、白色LED24A1の調光後の出力光量と、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の各々の出力光量との比率(すなわち、白色光K1A、及び補助光K1Bの各色の光の放射光量比率)が規定されており、また、この比率が励起光K2の有無(点灯/消灯)ごとに規定されている。
【0045】
白色光K1の調光量(%)ごとに規定された出力光量比率は、励起光K2の点灯/消灯を切り替えずに白色光K1の調光量を可変したときに、白色光K1の調光量にかかわらず、体腔9を模した閉鎖空間内の色温度が所定値に維持される値を規定するものである。
また励起光K2の有無(点灯/消灯)ごとに規定された出力光量比率は、白色光K1の調光量を固定したときに、励起光K2の有無にかかわらず、照明光Kの色温度が所定値に維持される値を規定するものである。
これらの値は、予め実験によって求められた値が用いられる。
【0046】
この色温度維持用参照テーブル42では、出力光量比率の値が直接的に規定されているのではなく、当該出力光量比率が得られる各LEDの駆動電流が規定されている。さらに、各LEDの駆動電流は、駆動電流調整比率(図示例ではLED駆動電流バランス調整値(%))によって規定されている。駆動電流調整比率は、LEDの100%調光時(最大出力時)の駆動電流を基準にして、当該LEDに流す駆動電流を割合表示したものである。
【0047】
励起光K2の点灯/消灯の切替操作が行われた場合、及び、白色光K1の調光操作が行われた場合、出力光量比率決定部40は、この色温度維持用参照テーブル42を参照し、励起光K2の点灯/消灯の切替、及び白色光K1の調光量に対応する駆動電流調整比率を出力光量比率として決定する。
そして、出力光量比率決定部40は、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の各々の駆動電流調整比率を駆動指令値D5として駆動部41に出力する。
【0048】
図9は、色温度可変用参照テーブル43を模式的に示す図である。
同図に示すように、色温度可変用参照テーブル43には、1500(K)〜1500(K)の範囲の黒体放射軌跡の色温度(K)ごとに、その色温度(K)の白色光K1が得られる白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の出力光量比率が規定されている。この色温度可変用参照テーブル43においても、色温度維持用参照テーブル42と同様に、それぞれの出力光量比率が駆動電流調整比率(図示例ではLED駆動電流バランス調整値(%))によって規定されている。これらの値は、色温度維持用参照テーブル42と同じように、予め実験によって求められた値が用いられている。
この光源装置2では、励起光K2を消灯した状態においてのみ照明光K(すなわち、白色光K1)の色温度が調整されるようになっており、このため、色温度可変用参照テーブル43では、赤外光源ユニット25の赤外LEDに印加する駆動電流が「ゼロ」とされている。
【0049】
白色光K1の色温度の調整操作が行われた場合、出力光量比率決定部40は、この色温度可変用参照テーブル43を参照し、指示された白色光K1の色温度に対応する駆動電流調整比率を出力光量比率として決定する。
そして、出力光量比率決定部40は、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の各々の駆動電流調整比率を駆動指令値D5として駆動部41に出力する。
【0050】
なお、色温度維持用参照テーブル42、及び色温度可変用参照テーブル43において、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の出力光量比率の規定の仕方は、この実施形態に限定されるものではない。
例えば、それぞれのLEDの出力光量の値を直接指定しても良く、また、出力光量に代えて、当該出力光量を間接的に示す上記の駆動電流のような他の物理量を用いて指定することもできる。
また出力光量の比率を実験値に基づいて数式化し、当該数式に基づいて、出力光量の比率を指定することもできる。
【0051】
前掲
図7に戻り、駆動部41は、駆動指令値D5に基づいて、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3に駆動電流Ikを流して点灯駆動するものであり、これら白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3ごとに、それぞれ同一構成の駆動回路46を備えている。
それぞれの駆動回路46は、対応するLEDを定電流制御し、また、調光量が指示された場合には、当該調光量に基づいてLEDを駆動する。具体的には、駆動回路46は、対応するLEDに駆動電流Ikを印加する駆動電流印加回路50と、指令値出力回路51と、駆動電流センサ54と、電流比較器55と、光量センサ56と、光量比較器57とを備えている。
【0052】
指令値出力回路51は、駆動指令値D5に基づき、対応するLEDの駆動電流指令値Ic、又は出力光量指令値Pcを生成し、電流比較器55、又は光量比較器57に出力する。
【0053】
駆動電流指令値Icは、対応するLEDを定電流制御によって点灯駆動する場合に出力される。出力光量比率決定部40が色温度維持用参照テーブル42、又は色温度可変用参照テーブル43に基づいて、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の各々の駆動電流調整比率を決定した場合には、上述の通り、この駆動電流調整比率が駆動指令値D5として指令値出力回路51に入力される。
指令値出力回路51は、駆動指令値D5によって駆動電流調整比率が示されている場合には、当該駆動電流調整比率に応じた駆動電流指令値Icを生成し、これにより、対応するLEDが定電流制御される。
【0054】
一方、出力光量指令値Pcは、対応するLEDの出力光量を指定して調光制御する場合に出力される。
すなわち、この光源装置2では、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の各々の出力光量を個別にユーザが指示して調光操作可能になされている。係る操作が行われた場合には、出力光量比率決定部40は、色温度維持用参照テーブル42、又は色温度可変用参照テーブル43を参照することなく、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の各々の調光量を駆動指令値D5として指令値出力回路51に入力する。
指令値出力回路51は、駆動指令値D5によって調光量が示されている場合には、当該調光量に応じた出力光量指令値Pcを生成し、これにより、対応するLEDの出力光量が調整される。
【0055】
駆動電流センサ54は、対応するLEDに印加されている駆動電流Ikを検出し、電流比較器55に出力する電流検出デバイスである。電流比較器55は、駆動電流指令値Icと、駆動電流Ikの検出値とを比較し、偏差を打ち消すように、駆動電流印加回路50によって印加される駆動電流Ikを制御する。これにより、駆動電流Ikが駆動電流指令値Icに維持され、駆動指令値D5で指示された通りにLEDが点灯駆動される。この結果、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の各々の出力光量比率が正確に調整されることとなる。
【0056】
光量センサ56は、対応するLEDの出力光量を検出し、光量比較器57に出力する光センサデバイスである。光量比較器57は、出力光量指令値Pcと、出力光量の検出値とを比較し、偏差を打ち消すように、駆動電流印加回路50によって印加される駆動電流Ikを制御する。これにより、出力光量が出力光量指令値Pcに維持され、駆動指令値D5で指示された通りにLEDが調光制御される。
【0057】
図10は、光源装置2の動作を示すフローチャートである。
内視鏡観察時にユーザが操作部12を操作すると、係る操作が光源制御部14に入力される(ステップS1)。係る操作には、上述の通り、蛍光観察用光源21が出射する励起光K2の消灯/点灯切替操作、白色光観察用光源20が出射する白色光K1の調光操作、及び、当該白色光K1の色温度調整操作がある。
【0058】
操作部12に対して成された操作が、これらのいずれかの操作に該当する場合、光源制御部14が備える白色光源ユニット制御部30が白色光源ユニット24を制御して、ホワイトバランスの維持、又は、白色光K1の色温度調整を行う。
すなわち、白色光源ユニット制御部30では、調光部32の出力光量比率決定部40が、ステップS1で入力された操作に応じて色温度維持用参照テーブル42、又は色温度可変用参照テーブル43を読み込んで参照する(ステップS2)。具体的には、励起光K2の消灯/点灯切替操作、及び白色光K1の調光操作が入力された場合には、色温度維持用参照テーブル42が参照され、白色光K1の色温度調整操作が入力された場合には、色温度可変用参照テーブル43が参照される。
【0059】
次いで、出力光量比率決定部40は、色温度維持用参照テーブル42、又は色温度可変用参照テーブル43に基づき、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3の出力光量比率を決定し(ステップS3)、当該出力光量比率を得るための各LEDの駆動電流調整値を駆動指令値D5として駆動部41に出力する(ステップS4)。
具体的には、励起光K2の消灯/点灯切替操作、及び白色光K1の調光操作が入力された場合には、ホワイトバランスを維持する出力光量比率が決定され、また白色光K1の色温度調整操作が入力された場合には、ユーザ操作によって指示された色温度に調整する出力光量比率が決定される。
上述の通り、色温度維持用参照テーブル42、又は色温度可変用参照テーブル43では、各LED間の出力光量比率が、各LEDの駆動電流Ikの駆動電流調整値によって規定されていることから、駆動電流調整値の出力(ステップS4)によって出力光量比率の決定(ステップS3)が兼ねられている。
【0060】
そして、駆動部41では、各駆動回路46が駆動指令値D5に基づいて、対応するLEDを定電流制御する(ステップS5)。
この定電流制御により、出力光量比率決定部40が決定した出力光量比率で、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3が点灯する。
これにより、励起光K2の消灯/点灯切替操作、及び白色光K1の調光操作が入力された場合には、ホワイトバランスを維持したまま、励起光K2の消灯/点灯が切り替えられ、また白色光K1が調光される。
さらに、白色光K1の色温度調整操作が入力された場合には、ユーザ操作によって指定された色温度が正確に得られるように、白色LED24A1、赤色LED24B1、緑色LED24B2、及び青色LED24B3が点灯することとなる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、光源装置2は、蛍光観察用光源21の励起光K2の点灯/消灯が切り替えられるときに、切替前の照明光Kの色温度が切替後にも維持されるように白色光源部24Aの白色光K1A、及び補助光源部24Bの補助光K1Bに含まる各色の光の出力光量比率を変える構成とした。
これにより、観察箇所Cの撮影時にユーザが蛍光観察用光源21の励起光K2の点灯/消灯を切り替えても、撮影像たる観察画像Gにおけるホワイトバランスの変化が抑えられる。
【0062】
また本実施形態によれば、白色光K1の調光操作に応じて当該白色光K1を調光するとき、照明光Kによって照らされる閉鎖空間内の色温度を調光前後で維持するように、白色光源部24Aの白色光K1A、及び補助光源部24Bの補助光K1Bの各色の光の出力光量比率を変える構成とした。
これにより、閉鎖空間内を白色光K1を照明光Kとして照明しながら撮影した場合、白色光K1を調光したときでも、閉鎖空間内の色温度が一定に維持され、観察画像Gにおけるホワイトバランスの変化が抑えられる。
【0063】
また本実施形態によれば、白色光K1の色温度調整操作によって指定された色温度となるように、白色光源部24Aの白色光K1A、及び補助光源部24Bの補助光K1Bの各色の出力光量比率を変える構成とした。
これにより、ユーザが所望の色温度に調整して観察箇所Cを撮影観察することができる。
【0064】
また特に、本実施形態によれば、補助光源部24Bの補助光K1Bと白色光源部24Aの白色光K1Aとを同一の光軸に合成する合成光学素子24Cを備える構成とした。
これにより、これら白色光K1A、及び補助光K1Bを同一の観察箇所Cに互いに異なる方向から照射して照明する構成に比べ、撮影カメラ4Bの位置を変えても観察画像Gに生じるホワイトバランスの変化や色むらを生じさせることがない。
【0065】
また本実施形態によれば、補助光源部24Bは、光三原色の各色の波長の光を放射する構成とした。
この構成により、xy色度座標における広い範囲に亘って補助光K1Bの色度を可変できるので、一定に維持する照明光Kの色温度の選択幅が拡げられ、また白色光K1の色温度を黒体放射軌跡上に沿うように正確、かつ広い範囲で調整できるようになる。
【0066】
また本実施形態によれば、白色光源部24A、及び補助光源部24Bは、駆動電流Ikに応じて出力光量が可変するLEDを含んで構成され、光源制御部14は、上記の出力光量比率が得られる駆動電流Ikの値を規定したデータ(色温度維持用参照テーブル42、色温度可変用参照テーブル43)を予め備える構成とした。
これにより、色温度の維持、及び調整に要する白色光源部24A、及び補助光源部24Bの駆動電流Ikの指示が正確、かつ速やかに行われるようになる。
【0067】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0068】
上述した実施形態において、白色光源部24Aの白色LED24A1として、黄色蛍光体を分散させた蛍光体樹脂によって青色LEDが封止され、この青色LEDの発光色と黄色蛍光体の蛍光色とを混色して白色光K1Aを放射するLEDを例示した。しかしながら、白色光源部24Aには、白色光を放射するLEDであれば、任意のLEDを用いることができる。
【0069】
上述した実施形態において、蛍光観察用光源21が赤外波長域の励起光K2を放射する構成を例示したが、蛍光観察用光源21が放射する光は、白色光源部24Aの白色LED24A1の波長帯域と可視光の波長帯域内で一部が重複する光であれば任意の波長の光を用いることができ、また、この光の使用目的も蛍光物質の励起に限定されるものではなく任意である。
【0070】
上述した実施形態において、白色光源部24Aの白色光K1、及び補助光源部24Bの補助光K1Bの各光の出力光量比率を変えることで、照明光Kの色温度の維持、及び、白色光K1の色温度調整を行う構成としたが、この出力光量比率に、蛍光観察用光源21の励起光K2を含めても良い。
【0071】
上述した実施形態において、光源装置2が備える各光源に、半導体光源の一例であるLEDを用いる構成を例示したが、これに限らず、例えば有機EL、LD等の他の半導体光源を用いても良い。
【0072】
また上述した実施形態において、光源装置2の照明光Kで観察箇所Cを照明し、撮影カメラ4Bで撮影し、撮影像を表示装置6に画面表示して観察する撮影観察システムとして、内視鏡システム1を例示した。
しかしながら、これに限らず、顕微鏡観察に用いることもできる。
【0073】
また、上述した実施形態の光源装置2は、黒体放射軌跡に則した正確な色温度の照明光Kを出射できるため、印刷物の色度検査のために当該印刷物を照明する光源に用いることができる。
【解決手段】白色光K1Aを放射する白色光源部24Aと、可視光の波長帯域内で白色光K1Aの波長帯域ΔE1と一部が重複する波長帯域ΔE2の励起光K2を放射する赤外光源ユニット25と、を備え、白色光K1Aと励起光K2とを同一の光軸に合成して撮影用の照明光Kを出射するとともに、励起光K2の点灯、及び消灯を切替可能に構成された光源装置2であって、可視光の波長帯域内の互いに異なる波長の光を放射する補助光源部24Bと、励起光K2の点灯、及び消灯が切替えられるときに、当該切替の前の照明光Kの色温度が維持されるように白色光源部24Aの白色光K1A、及び補助光源部24Bの補助光K1Bの各光の出力光量比率を変える光源制御部14と、を備える構成とした。