特許第5920504号(P5920504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 第一精工株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5920504
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-30888(P2015-30888)
(22)【出願日】2015年2月19日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆吉
(72)【発明者】
【氏名】八木 境
(72)【発明者】
【氏名】唐野 修治
(72)【発明者】
【氏名】栗田 浩幸
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−060481(JP,U)
【文献】 特開2005−209407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結対象である相手コネクタのハウジングに設けられた係止部に着脱可能に係合するシーソー式のロックアームがハウジングの外周側に設けられた電気コネクタであって、
前記ロックアームがハウジングの外周側に相手コネクタとの連結方向に沿って延びるように設けられ、前記ハウジングの外周から前記ロックアームを挟んで対向するように前記ハウジングの長手方向にわたって前記ハウジングに突設された側壁部が設けられ、
前記側壁部の内側面と前記ロックアームの下面部との間に前記ロックアームを揺動可能に支える平板状の平板部と、前記平板部に連結された脚部と、を備えた弾性支持機構を設けた電気コネクタ。
【請求項2】
前記弾性支持機構として、前記ハウジングの外周と前記ロックアームとの間にて前記側壁部同士を繋ぐように設けられた弾性変形可能な前記平板部を有するブリッジ部と、前記ロックアームと前記ブリッジ部とを連結する脚部と、を設けた請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記脚部を複数設けた請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記弾性支持機構として、前記ハウジングの外周と前記ロックアームとの間にて前記側壁部の内側面から対向方向に沿って突設された弾性変形可能な前記平板部を有する突片部と、前記ロックアームと前記突片部とを連結する脚部と、を設けた請求項1記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号を導通する電線の電気的接続手段として使用されるロック機構付きの電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
連結対象である相手コネクタのハウジングに設けられた係止部に着脱可能に係合するシーソー式のロックアームを備えた従来のコネクタとして、図17図23に示すコネクタ500がある。図17図18に示すように、従来のコネクタ500は、連結対象である相手コネクタ600のハウジング601の外周に設けられた係止部602に対し、着脱可能に係合するシーソー式のロックアーム502がハウジング501の外周に設けられている。
【0003】
図19図20に示すように、ロックアーム502は、当該ロックアーム502がシーソー式に揺動する際の支点となる一対の脚部503を介してハウジング501の外周部501aと一体的に形成されている。ロックアーム502は、ハウジング501の外周部501aから対向状に立設された一対の側壁部504の間に形成されている。脚部503は弾性的に湾曲可能であるため、ロックアーム502は脚部503を支点としてシーソー状に揺動可能である。
【0004】
従って、図18に示す状態にある、コネクタ500と相手コネクタ600とを互いに連結方向Xに移動させて連結すると、コネクタ500のロックアーム502の係止部502bが、相手コネクタ600の係止部602に当接して、これを乗り越えるように摺動した後、係止部502bが係止部602の背面側に嵌り込み、互いにロックされる。
【0005】
一方、図17に示すように、ハウジング501の背面側に位置する、ロックアーム502の操作部502aをハウジング501に向かって押圧すると、図21図22に示すように、ロックアーム502は、一対の脚部503を支点にしてシーソー状に傾斜し、操作部502aの反対に位置する係止部502bがハウジング501の外周部501aから離れる方向に移動する。操作部502aに対する押圧を解除すると、脚部503の弾性復元力により、ロックアーム502は元の状態(図17図20に示す状態)に復帰する。
【0006】
従って、図18に示すコネクタ500と相手コネクタ600とが互いに連結状態にあるとき、ロックアーム502の操作部502aをハウジング501に向かって押圧すると、図21図22に示すように、係止部502bがハウジング501の外周部501aから離れるので、コネクタ500と相手コネクタ600とは分離可能な状態となる。
【0007】
また、本発明に関連するその他のコネクタとして、例えば、特許文献1,2に示す「コネクタ」がある。
【0008】
特許文献1記載の「コネクタ」は、図17に示すコネクタ500のロックアーム502と同様、支点部42を中心にシーソー状に揺動可能なロックアーム40を備えている(特許文献1の段落0012及び図1参照。)。
【0009】
特許文献2記載の「コネクタ」も同様に、脚部35を支点としてシーソー状に揺動可能なアーム本体36などを有するロックアーム34を備えている(特許文献1の段落0020及び図3図4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3534013号公報
【特許文献2】特開2012−129077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の属する技術分野においては、近年、コネクタの低背化の要請が高まっており、このような要請に応えるため、例えば、図17図20に示すコネクタ500においては、脚部503を短縮して、ロックアーム502をハウジング501に接近させるという手法が採られることがある。
【0012】
しかしながら、脚部503を短縮すると、脚部50を支点としてロックアーム502が揺動する際に、荷重を受けて弾性変形する部分が短くなる結果、脚部503の狭い範囲に荷重が集中するので、弾性変形範囲を超えた荷重を受けた脚部503の一部が応力集中によって塑性変形し、脚部503が元の姿勢に復帰しなくなることがある。
【0013】
即ち、図23に示すように、外力を解除された後も脚部503が元の直立姿勢に戻らず、ロックアーム502が傾斜した状態のままになる現象(「ロックアームのヘタリ」と呼ばれることがある。)が発生することがある。「ロックアームのヘタリ」が発生すると、コネクタ500と相手コネクタ600(図18参照)とを連結したとき、ロックが不完全となり、コネクタ500が相手コネクタ600から不所望に分離することがある。
【0014】
このような現象は特許文献1,2記載の「コネクタ」においても同様に発生することが予測され、これらの「コネクタ」の構造においては、解決することが困難である。
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、ロックアームの良好な解除操作性を維持しつつ、電気コネクタの低背化を可能とし、ロックアームのヘタリも生じ難い電気コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の電気コネクタは、連結対象である相手コネクタのハウジングに設けられた係止部に着脱可能に係合するシーソー式のロックアームがハウジングの外周側に設けられた電気コネクタであって、
前記ロックアームがハウジングの外周側に相手コネクタとの連結方向に沿って延びるように設けられ、前記ハウジングの外周から前記ロックアームを挟んで対向するように前記ハウジングの長手方向にわたって前記ハウジングに突設された側壁部が設けられ、
前記側壁部の内側面と前記ロックアームの下面部との間に前記ロックアームを揺動可能に支える平板状の平板部と、前記平板部に連結された脚部と、を備えた弾性支持機構を設けたことを特徴とする。
【0017】
このような構成とすれば、ロックアームのシーソー揺動の際に支点となって弾性変形する部分として、前記ロックアームの下面と前記側壁部の内側面との間に設けた弾性支持機構を確保することができるので、電気コネクタを低背化した場合でも、弾性変形部分の短縮に起因する応力集中を回避することができ、ロックアームのヘタリを防止することができる。また、ロックアームのシーソー揺動の際に、弾性支持機構が弾性的に変形可能であるため、ロックアームの良好な解除操作性を維持することができ、ロックアームのヘタリ防止に有効である。
【0018】
ここで、前記弾性支持機構として、前記ハウジングの外周と前記ロックアームとの間にて前記側壁部同士を繋ぐように設けられた弾性変形可能な前記平板部を有するブリッジ部と、前記ロックアームと前記ブリッジ部とを連結する脚部と、を設けることができる。
【0019】
このような構成とすれば、低背化のために脚部を短縮した場合においても、ロックアームのシーソー揺動の際に支点となって弾性変形する部分として、脚部及びブリッジ部を確保することができるので、弾性変形部分の短縮に起因する応力集中を回避することができ、ロックアームのヘタリを防止することができる。また、ロックアームのシーソー揺動の際に、脚部が弾性的に湾曲する以上にブリッジ部が捩れるように弾性変形可能であるため、ロックアームの良好な解除操作性を維持することができ、ロックアームのヘタリ防止に有効である。
【0020】
この場合、前記脚部を複数設けることが望ましい。このような構成とすれば、ロックアーム解除操作時における、脚部並列方向のロックアームの姿勢を安定させることができるため、ロックアームの良好な解除操作性を維持することができる。
【0021】
一方、前記弾性支持機構として、前記ハウジングの外周と前記ロックアームとの間にて前記側壁部の内側面から対向方向に沿って突設された弾性変形可能な前記平板部を有する突片部と、前記ロックアームと前記突片部とを連結する脚部と、を設けることができる。
【0022】
このような構成とすれば、低背化のために脚部を短縮した場合においても、ロックアームのシーソー揺動の際に支点となって弾性変形する部分として、脚部及び突片部を確保することができるので、弾性変形部分の短縮に起因する応力集中を回避することができ、ロックアームのヘタリを防止することができる。また、ロックアームのシーソー揺動の際に、脚部が弾性的に湾曲する以上に突片部が捩れるように弾性変形可能であるため、ロックアームの良好な解除操作性を維持することができ、ロックアームのヘタリ防止にも有効である。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、ロックアームの良好な解除操作性を維持しつつ、電気コネクタの低背化を可能とし、ロックアームのヘタリも生じ難い電気コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態である電気コネクタを示す斜視図である。
図2図1に示す電気コネクタと、その連結対象である相手コネクタと、を示す斜視図である。
図3図1中の矢線A方向から見た電気コネクタの背面図である。
図4図3中のB−B線における断面図である。
図5図3の一部拡大図である。
図6図5中の矢線Cで示す部分でロックアームを切り離した状態で示す斜視図である。
図7図1に示す電気コネクタのロックアームが傾動した状態にあるときの斜視図である。
図8図7に示す電気コネクタを図3中のB−B線に相当する位置で切断した断面図である。
図9】本発明の第2実施形態である電気コネクタを示す斜視図である。
図10図9に示す電気コネクタと、その連結対象である相手コネクタと、を示す斜視図である。
図11図9中の矢線D方向から見た電気コネクタの背面図である。
図12図11中のE−E線における断面図である。
図13図11の一部拡大図である。
図14図13中の矢線Fで示す部分でロックアームを切り離した状態で示す斜視図である。
図15図9に示す電気コネクタのロックアームが傾動した状態にあるときの斜視図である。
図16図15に示す電気コネクタを図11中のE−E線に相当する位置で切断した断面図である。
図17】従来のコネクタを示す斜視図である。
図18図17に示すコネクタと、その連結対象である相手コネクタと、を示す斜視図である。
図19図17中の矢線G方向から見た背面図である。
図20図19中のH−H線における断面図である。
図21図17に示すコネクタのロックアームが傾動した状態にあるときの斜視図である。
図22図21に示すコネクタを図20中のH−H線に相当する位置で切断した断面図である。
図23図22に示すコネクタのロックアームの脚部が塑性変形したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1図8に基づいて、本発明の第1実施形態である電気コネクタ100について説明する。なお、電気コネクタ100において、相手コネクタ200と連結する側を正面側(前側)といい、その180度反対側を背面側(後側)といい、ロックアーム11が設けられている側を上側といい、その180度反対側を下側という。また、相手コネクタ200において、電気コネクタ100と連結する側を正面側(前側)といい、その180度反対側を背面側(後側)といい、係止部21が設けられている側を上側といい、その180度反対側を下側という。
【0026】
図1図6に示すように、本実施形態の電気コネクタ100は、連結対象である相手コネクタ200のハウジング20に設けられた突状の係止部21に着脱可能に係合する係止部13を有するシーソー式のロックアーム11がハウジング10の外周10a側に相手コネクタ200との連結方向Xに沿って延びるように設けられている。ハウジング10は、その外周10aからロックアーム11を挟んで対向するように突設された一対の側壁部12,12と、ハウジング10の外周10aとロックアーム11の下面部11aとの間にて側壁部12,12同士を繋ぐように設けられた弾性変形可能なブリッジ部14と、ロックアーム11の下面部11aとブリッジ部14とを連結する複数の脚部15,15と、を備えている。
【0027】
即ち、電気コネクタ100においては、ロックアーム11の下面部11aと側壁部12,12の内側面12a,12aとの間にロックアーム11を揺動可能に支える弾性支持機構として、ブリッジ部14及び複数の脚部15,15が設けられている。
【0028】
図6に示すように、ブリッジ部14は、図6中の矢線Y方向から見たときの平面視形状は横幅の広い略U字形状の平板状の部材であり、その左右両方の側部14a,14aがそれぞれ側壁部12,12の内側面12a,12aに連設されている。また、略U字形状の底部14bに相当する部分の上面(ロックアーム11と対向する面)に複数の脚部15,15が連設されている。
【0029】
後述する、図7図8に示すように、ブリッジ部14及び脚部15は弾性変形可能であるため、ロックアーム11の操作部16に押圧力を加えたり、解除したりすると、ロックアーム11はブリッジ部14及び脚部15の部分を支点としてシーソー状に揺動し、これに伴って、ロックアーム11の係止部13がハウジング10の外周10aから離れたり、元の位置に復帰したりする。また、ロックアーム11の係止部13の下面に押上力が加わったり、解除されたりしたときも、同様に、ロックアーム11はシーソー状に揺動する。
【0030】
従って、図2に示すように分離状態にある、電気コネクタ100と相手コネクタ200とを互いに連結方向Xに移動させて連結すると、電気コネクタ100のロックアーム11の係止部13が、相手コネクタ200の係止部21に当接して、これを乗り越えるように摺動した後、電気コネクタ100の係止部13が、相手コネクタ200の係止部21の背面側に嵌り込み、互いにロックされる。
【0031】
一方、図7図8に示すように、電気コネクタ100のハウジング10の背面側に位置する、ロックアーム11の操作部16をハウジング10に向かって押圧すると、ロックアーム11は、ブリッジ部14及び脚部15の部分を支点にしてシーソー状に傾斜し、操作部16の反対に位置する係止部13がハウジング10の外周10aから離れる方向に移動する。操作部16に対する押圧を解除すると、ブリッジ部14及び脚部15の弾性復元力により、ロックアーム11は元の状態(図1図4に示す状態)に復帰する。
【0032】
従って、図2に示す電気コネクタ100と相手コネクタ200とが互いに連結状態にあるとき、ロックアーム11の操作部16をハウジング10に向かって押圧すると、図7図8に示すように、ロックアーム11の係止部13がハウジング10の外周10aから離れるので、電気コネクタ100と相手コネクタ200とは分離可能な状態となる。
【0033】
図1図8に示す電気コネクタ100のような構成とすれば、低背化のために脚部15,15を短縮した場合においても、ロックアーム11のシーソー揺動の際に支点となって弾性変形する部分として、脚部15,15及びブリッジ部14を確保することができるので、弾性変形部分の短縮に起因する応力集中を回避することができ、ロックアームのヘタリを防止することができる。また、ロックアーム11がシーソー揺動する際には、脚部15,15が弾性的に湾曲する以上にブリッジ部14が捩れるように弾性変形可能であるため、ロックアーム11の良好な解除操作性を維持することができ、ロックアームのヘタリ防止にも有効である。
【0034】
次に、図9図16に基づいて、本発明の第2実施形態である電気コネクタ300について説明する。
【0035】
図9図16に示すように、本実施形態の電気コネクタ300は、連結対象である相手コネクタ400のハウジング40に設けられた突状の係止部41に着脱可能に係合する係止部33を有するシーソー式のロックアーム31がハウジング30の外周30a側に相手コネクタ400との連結方向Xに沿って延びるように設けられている。
【0036】
ハウジング30は、その外周30aからロックアーム1を挟んで対向するように突設された一対の側壁部32,32と、ハウジング30の外周30aとロックアーム1との間にて側壁部32,32の内側面32a,32aからそれぞれ対向方向に沿って突設された弾性変形可能な突片部34,34と、ロックアーム1の下面部と突片部34,34の先端部とをそれぞれ連結する脚部35,35と、を備えている。即ち、電気コネクタ300においては、ロックアーム31の下面部31aと側壁部32,32の内側面32a,32aとの間にてロックアーム31を揺動可能に支える弾性支持機構として、突片部34,34及び脚部35,35が設けられている。
【0037】
図11図13に示すように、突片部34及び脚部35は、側壁部32の内側面32aと、ロックアーム31の下面部31aと、の間において、背面視形状がL字状(若しくは逆L字状)をなすように形成されている。突片部34,34及び脚部35,35は、ロックアーム31の下面部31a側において、所定距離Zを隔てて配置されている。また、一対の側壁部32,32の正面部分は、ハウジング30の正面側に形成された架橋部37によって一体的に連結されている。
【0038】
図15図16に示すように、突片部34及び脚部35は弾性変形可能であるため、ロックアーム31の操作部36に押圧力を加えたり、解除したりすると、ロックアーム31は突片部34及び脚部35の部分を支点としてシーソー状に揺動し、これに伴って、ロックアーム31の係止部33がハウジング30の外周30aから離れたり、元の位置に復帰したりする。また、ロックアーム31の係止部33の下面に押上力が加わったり、解除されたりしたときも、同様に、ロックアーム31はシーソー状に揺動する。
【0039】
従って、図10に示すように分離状態にある、電気コネクタ300と相手コネクタ400とを互いに連結方向Xに移動させて連結すると、電気コネクタ300のロックアーム31の係止部33が、相手コネクタ400の係止部41に当接して、これを乗り越えるように摺動した後、電気コネクタ300の係止部33が、相手コネクタ400の係止部41の背面側に嵌り込み、互いにロックされる。
【0040】
一方、図15図16に示すように、電気コネクタ300のハウジング30の背面側に位置する、ロックアーム31の操作部36をハウジング30に向かって押圧すると、ロックアーム31は、突片部34及び脚部35の部分を支点にして、シーソー状に揺動し、操作部36の反対に位置する係止部33がハウジング30の外周30aから離れる方向に移動する。操作部36に対する押圧を解除すると、突片部34及び脚部15の弾性復元力により、ロックアーム31は元の状態(図9図12に示す状態)に復帰する。
【0041】
従って、図10に示す電気コネクタ300と相手コネクタ400とが互いに連結状態にあるとき、ロックアーム31の操作部36をハウジング30に向かって押圧すると、図15図16に示すように、ロックアーム31の係止部33がハウジング30の外周30aから離れるので、電気コネクタ300と相手コネクタ400とは分離可能な状態となる。
【0042】
図9図16に示す電気コネクタ300のような構成とすれば、低背化のために脚部35,35を短縮した場合においても、ロックアーム31のシーソー揺動の際に支点となって弾性変形する部分として、脚部35,35及び突片部34を確保することができるので、弾性変形部分の短縮に起因する応力集中を回避することができ、ロックアームのヘタリを防止することができる。また、ロックアーム31がシーソー揺動する際には、脚部35,35が弾性的に湾曲する以上に突片部34が捩れるように弾性変形可能であるため、ロックアーム31の良好な解除操作性を維持することができ、ロックアームのヘタリ防止にも有効である。
【0043】
なお、前述した電気コネクタ100,300は本発明を例示するものであり、本発明に係るコネクタは図1図16に示す電気コネクタ100,300に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の電気コネクタは、電気信号を導通する電線の接続手段として、自動車産業、電気電子機器産業あるいは機械産業などの分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10,20,30,40 ハウジング
10a,30a 外周
11,31 ロックアーム
11a,31a 下面部
12,32 側壁部
12a,32a 内側面
13,21,33,41 係止部
14 ブリッジ部(弾性支持機構)
14a 側部
14b 底部
15,35 脚部(弾性支持機構)
16,36 操作部
34 突片部(弾性支持機構)
37 架橋部
X 連結方向
Z 所定距離
100,300 電気コネクタ
200,400 相手コネクタ
【要約】
【課題】ロックアームの良好な解除操作性を維持しつつ、低背化を可能とし、ロックアームのヘタリも生じ難い電気コネクタを提供する。
【解決手段】電気コネクタ100は、連結対象である相手コネクタのハウジングに設けられた突状の係止部に着脱可能に係合する係止部13を有するシーソー式のロックアーム11がハウジング10の外周10a側に相手コネクタとの連結方向に沿って延びるように設けられている。ハウジング10は、その外周10aからロックアーム11を挟んで対向するように突設された一対の側壁部12,12と、ハウジング10の外周10aとロックアーム11との間にて側壁部12,12の内側面12a,12a同士を繋ぐように設けられた弾性変形可能なブリッジ部14と、ロックアーム11の下面部11aとブリッジ部14とを連結する脚部15,15と、を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図5
図13