特許第5920547号(P5920547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横浜ゴム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5920547-タイヤ用ゴム組成物 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920547
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】タイヤ用ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20160428BHJP
   C08L 25/16 20060101ALI20160428BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20160428BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   C08L9/00
   C08L25/16
   C08K3/04
   B60C1/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-551574(P2015-551574)
(86)(22)【出願日】2014年12月5日
(86)【国際出願番号】JP2014082222
(87)【国際公開番号】WO2015083818
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2015年8月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-253119(P2013-253119)
(32)【優先日】2013年12月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】串田 直樹
【審査官】 赤澤 高之
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00− 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム100重量部に、窒素吸着比表面積が182〜400m2/gのカーボンブラックを90〜180重量部、芳香族系共重合体を1〜100重量部配合すると共に、前記芳香族系共重合体が下記一般式(I)で表されるα−メチルスチレン誘導体およびインデンの共重合体であることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
【化1】
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
【請求項2】
前記芳香族系共重合体の軟化点が、100〜150℃であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳しくは、高速走行時のグリップ性能の持続性および耐摩耗性を確保しながら、ドライグリップ性能を従来レベル以上に向上するようにしたタイヤ用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤのグリップ性能は、タイヤ温度の影響が大きく、低温状態では十分なグリップ性能が得られないことが知られている。特に、サーキット走行向けの競技用タイヤでは、トレッドを構成するゴム組成物が、極めて優れたドライグリップ性能を有することが要求されている。このため、タイヤトレッド用ゴム組成物に粒径の小さいカーボンブラックを多量に配合したり、ガラス転移温度が高いスチレンブタジエンゴムを配合したりしている。しかし、上述したゴム組成物は、高温状態になるとモジュラスやゴム強度が低下しやすくなる。このため、高速走行が長時間になると耐摩耗性が低下しトレッド表面の摩耗状態が悪化したり、熱ダレ現象によりドライグリップ性能が徐々に低下し、場合によってはブローアウトを起こしたりすることがあった。
【0003】
特許文献1は、タイヤ用ゴム組成物として軟化点が140℃以上の芳香族ビニル化合物の単独重合体樹脂および/または共重合体樹脂を配合することにより、タイヤの初期グリップ性能と走行安定性の両方を改良することを提案している。しかしながら、需要者が競技用タイヤに求める要求性能はより高いものになり、グリップ性能の持続性および耐摩耗性を確保しながら、ドライグリップ性能を従来レベル以上に向上することができるタイヤ用ゴム組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開2008−169295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高速走行時のグリップ性能の持続性および耐摩耗性を確保しながら、ドライグリップ性能を従来レベル以上に向上するようにしたタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に、窒素吸着比表面積が182〜400m2/gのカーボンブラックを90〜180重量部、芳香族系共重合体を1〜100重量部配合すると共に、前記芳香族系共重合体が下記一般式(I)で表されるα−メチルスチレン誘導体およびインデンの共重合体であることを特徴とする。
【化1】
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
【発明の効果】
【0007】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し、特定のα−メチルスチレン誘導体およびインデンの共重合体1〜100重量部と、窒素吸着比表面積が182〜400m2/gのカーボンブラックを90〜180重量部を配合したことにより、グリップ性能の持続性および耐摩耗性を従来レベル以上に維持しながら、ドライグリップ性能を向上することができる。
【0008】
前記芳香族系共重合体の軟化点としては、好ましくは100〜150℃であるとよく走行初期から後半までドライグリップ性能が両立可能となる。
【0009】
上述したゴム組成物をトレッド部に使用した空気入りタイヤは、高速走行時のグリップ性能の持続性および耐摩耗性を従来レベル以上に維持しながら、ドライグリップ性能を向上することができ、特に競技用タイヤに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明のタイヤ用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤの実施形態の一例を示すタイヤ子午線方向の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、タイヤ用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤの実施形態の一例を示し、この空気入りタイヤは、トレッド部1、サイドウォール部2、およびビード部3からなる。
【0012】
図1において、空気入りタイヤには、左右のビード部3間にタイヤ径方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に所定の間隔で配列してゴム層に埋設した2層のカーカス層4が延設され、その両端部がビード部3に埋設したビードコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ軸方向内側から外側に折り返されている。カーカス層4の内側にはインナーライナー層7が配置されている。トレッド部1のカーカス層4の外周側には、タイヤ周方向に傾斜して延在する補強コードをタイヤ軸方向に所定の間隔で配列してゴム層に埋設した2層のベルト層8が配設されている。この2層のベルト層8の補強コードは層間でタイヤ周方向に対する傾斜方向を互いに逆向きにして交差している。ベルト層8の外周側には、ベルトカバー層9が配置されている。このベルトカバー層9の外周側に、トレッド部1がトレッドゴム層12により形成される。トレッドゴム層12は、本願のタイヤ用ゴム組成物により構成することが好ましい。各サイドウォール部2のカーカス層4の外側にはサイドゴム層13が配置され、各ビード部3のカーカス層4の折り返し部外側にはリムクッションゴム層14が設けられている。なお、競技用タイヤは、図1に例示した空気入りタイヤの実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、ゴム成分は、ジエン系ゴムであり、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−α−オレフィンゴム、クロロプレンゴム等を例示することができる。なかでもスチレンブタジエンゴムが好ましい。
【0014】
スチレンブタジエンゴムとしては、スチレン量が好ましくは25〜50重量%、より好ましくは30〜45重量%であるとよい。スチレン量をこのような範囲内にすることにより、優れたドライグリップ性能を発現することができる。本明細書において、スチレン量は赤外分光分析(ハンプトン法)により測定するものとする。
【0015】
スチレンブタジエンゴムのビニル量としては、好ましくは10〜75重量%、より好ましくは15〜70重量%であるとよい。ビニル量をこのような範囲内にすることにより、優れたドライグリップ性能を発現することができる。本明細書において、ビニル単量は赤外分光分析(ハンプトン法)により測定するものとする。
【0016】
スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量としては、好ましくは500000〜2000000、より好ましくは750000〜1800000であるとよい。重量平均分子量をこのような範囲内にすることにより、優れたドライグリップ性能と持続性を発現することができる。本明細書において、スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算により測定するものとする。
【0017】
好適なスチレンブタジエンゴムとしては、ガラス転移温度(Tg)が好ましくは−45℃〜−5℃、より好ましくは−40〜−10℃であるとよい。ガラス転移温度(Tg)をこのような範囲内にすることにより、優れたドライグリップ性能と持続性を発現することができる。ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。また、スチレンブタジエンゴムが油展品であるときは、油展成分(オイル)を含まない状態におけるスチレンブタジエンゴムのガラス転移温度とする。
【0018】
このようなスチレンブタジエンゴムの含有量は、ジエン系ゴム100重量%中、好ましくは20〜100重量%、より好ましくは35〜100重量%であるとよい。スチレンブタジエンゴムの含有量をこのような範囲内にすることにより、優れたドライグリップ性能と持続性を発現することができる。
【0019】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、下記一般式(I)で表されるα−メチルスチレン誘導体およびインデンの共重合体からなる芳香族系共重合体を配合する。
【化2】
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
【0020】
上記一般式(I)において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピルであり、好ましくはメチルである。上記α−メチルスチレン誘導体とインデンの共重合体は、通常用いられる方法により共重合することができる。また市販された芳香族系共重合体のなかから適宜選択して使用することができる。
【0021】
上記一般式(I)で表されるα−メチルスチレン誘導体およびインデンの共重合体からなる芳香族系共重合体を配合することにより、このゴム組成物を使用した空気入りタイヤのドライグリップ性能を大幅に向上させながら、その持続性および耐摩耗性を低下させないようにすることができる。従来の粘着性付与樹脂を配合したゴム組成物では、ドライグリップ性能を改良することができても、高速走行に伴い高温になったタイヤではグリップ性能が早期に低下したり耐摩耗性が悪化したりして、その耐久性に問題があった。これらの課題に対し、粘着性付与樹脂の代わりに上述した芳香族系共重合体を配合することにより、グリップ性能の持続性および耐摩耗性を維持しながらドライグリップ性能を向上させることができる。
【0022】
本発明において、α−メチルスチレン誘導体およびインデンの共重合体の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し1〜100重量部、好ましくは10〜60重量部である。α−メチルスチレン誘導体およびインデンの共重合体の配合量を1重量部以上にすることにより、優れたドライグリップ性能と持続性を発現することができる。またα−メチルスチレン誘導体およびインデンの共重合体の配合量を100重量部以下にすることにより優れたドライグリップ性能と持続性を発現することができる。
【0023】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述した芳香族系共重合体と後述するカーボンブラックを共に配合することにより、グリップ性能の持続性および耐摩耗性を従来レベル以上に維持しながら、ドライグリップ性能を向上するものである。芳香族系共重合体の軟化点としては、好ましくは100〜150℃、より好ましくは120〜145℃であるとよい。芳香族系共重合体の軟化点を100℃以上にすることにより優れたドライグリップ性能を発現することができる。また芳香族系共重合体の軟化点を150℃以下にすることにより走行初期グリップ性能が向上する。芳香族系共重合体の軟化点はJIS K6220−1(環球法)に準拠し測定したものとする。
【0024】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し窒素吸着比表面積が182〜400m2/gのカーボンブラックを90〜180重量部配合する。
【0025】
本発明のゴム組成物に使用するカーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積(N2SA)が182〜400m2/g、好ましくは250〜390m2/g、である。カーボンブラックのN2SAを1822/g以上にすることにより、グリップ性能を確保することができる。またカーボンブラックのN2SAを400m2/g以下にすることにより、耐摩耗性を維持することができる。カーボンブラックのN2SAはJIS K6217−2に準拠して求めるものとする。
【0026】
カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し90〜180重量部、好ましくは90〜160重量部、より好ましくは90〜140重量部である。カーボンブラックの配合量を90重量部以上にすることにより、ドライグリップ性能を確保することができる。またカーボンブラックの配合量を180重量部以下にすることによりグリップ性能の持続性および耐摩耗性を維持することができる。
【0027】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、本発明の課題を達成するのを損なわない範囲で、カーボンブラック以外の他の充填剤を配合することができる。他の充填剤としては、例えばシリカ、クレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等が例示される。なお、ドライグリップ性能を向上するため、タイヤ用ゴム組成物は好ましくはカーボンブッラク以外の他の充填剤を含有しないのがよい。
【0028】
タイヤ用ゴム組成物には、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種配合剤を配合することができる。このような配合剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの配合剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。タイヤ用ゴム組成物は、公知のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
【0029】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、空気入りタイヤ、とくにサーキットのドライ走行向けの競技用空気入りタイヤに好適に使用することができる。このゴム組成物をトレッド部に使用した空気入りタイヤは、高速走行時に高温状態におけるグリップ性能および耐摩耗性を確保しながら、ドライグリップ性能を従来レベル以上に維持、向上することができる。
【0030】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
表3に示す配合剤を共通配合とし、表1,2に示す配合からなる13種類のタイヤ用ゴム組成物(実施例1〜5、比較例1〜8)を、硫黄及び加硫促進剤を除く成分を、1.8Lの密閉型ミキサーで160℃、5分間混練し放出したマスターバッチに、硫黄及び加硫促進剤を加えてオープンロールで混練することにより調製した。なお表1,2において、油展オイルを含むSBRについて、括弧内に各ゴム成分の正味の配合量を記載した。また表3に記載した共通配合剤の添加量は、表1,2に記載したジエン系ゴム100重量部(正味のゴム量100重量部)に対する重量部で表わした。
【0032】
得られた13種類のタイヤ用ゴム組成物を所定形状の金型中で、160℃、20分間プレス加硫して試験片を作製し、下記に示す方法で高温状態でのtanδ(100℃)、300%モジュラス(100℃)及び引張り破断強度(100℃)を評価した。
【0033】
ドライグリップ性能(100℃のtanδ)
得られた試験片を使用しドライグリップ性能の指標として、損失正接tanδ(100℃)を評価した。tanδは、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hz、温度100℃の条件下で測定した。得られた結果は比較例1の値を100とする指数として、表1,2の「tanδ(100℃)」の欄に示した。tanδ(100℃)の指数が大きいほど、空気入りタイヤにしたときドライグリップ性能が優れることを意味する。
【0034】
300%モジュラス及び引張り破断強度(100℃)
得られた試験片から、JIS K6251に準拠してJIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、温度100℃で500mm/分の引張り速度で試験を行い、300%モジュラス(300%変形応力)及び引張り破断強度を測定した。得られた結果は、比較例1の値をそれぞれ100とする指数として、表1,2の「高温モジュラス」及び「高温破断強度」の欄に示した。
【0035】
高温モジュラス(100℃での300%モジュラス)の指数が大きいほど、高温状態での剛性が大きく、空気入りタイヤにして長時間高速走行をしたときグリップ性能の持続性が優れることを意味する。また高温破断強度(100℃での引張り破断強度)の指数が大きいほど、高温状態での引張り破断強度が大きく、空気入りタイヤにして長時間高速走行をしたとき高温状態での耐摩耗性が優れることを意味する。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
なお、表1,2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・S−SBR1:溶液重合スチレンブタジエンゴム、スチレン量が37重量%、ビニル量が42重量%、Mwが126万、Tgが−27℃、ジエン系ゴム100重量部に対しオイル分37.5重量部を含む油展品、旭化成ケミカルズ社製タフデンE581
・S−SBR2:溶液重合スチレンブタジエンゴム、スチレン量が36重量%、ビニル量が65重量%、Mwが160万、Tgが−13℃、ジエン系ゴム100重量部に対しオイル分37.5重量部を含む油展品、旭化成ケミカルズ社製タフデンE680
・S−SBR3:溶液重合スチレンブタジエンゴム、スチレン量が48重量%、ビニル量が52重量%、Mwが150万、Tgが−7℃、ジエン系ゴム100重量部に対しオイル分37.5重量部を含む油展品、日本ゼオン社製Nipol NS462
・CB1:カーボンブラック、コロンビアンカーボン社製CD2019、N2SA=340m2/g
・CB2:カーボンブラック、東海カーボン社製シーストKHA、N2SA=77m2/g
・CB3:カーボンブラック、三菱化学社製ダイアブラック UX10、N2SA=182m2/g
・共重合体1:芳香族変性テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製YSレジンTO125、軟化点=125℃
・共重合体2:テルペンフェノール共重合体、ヤスハラケミカル社製YSポリスターT145、軟化点=145℃
・共重合体3:4−メチル−αメチル−スチレン/インデン共重合体、三井化学社製FMR0150、軟化点=145℃
・オイル:昭和シェル石油社製エキストラクト 4号S
【0039】
【表3】
【0040】
表3において使用した原材料の種類を下記に示す。
・亜鉛華:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸YR
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G
【0041】
表1,2から明らかなように実施例1〜5のタイヤ用ゴム組成物は、高温状態における300%モジュラス、引張り破断強度及びtanδ(100℃)が高いことが確認され、空気入りタイヤにしたとき優れたドライグリップ性能を有し、そのグリップ性能を長く持続させ、かつ耐摩耗性に優れる。
【0042】
比較例2のゴム組成物は、本発明の芳香族系共重合体の代わりに芳香族変性テルペン樹脂(共重合体1)を配合したので、100℃の300%モジュラス、引張り破断強度が低下し、タイヤにしたとき高速走行により高温になるとグリップ性能の持続性および耐摩耗性が悪化する。
【0043】
比較例3のゴム組成物は、本発明の芳香族系共重合体の代わりにテルペンフェノール共重合体(共重合体2)を配合したので、100℃の300%モジュラス、引張り破断強度が低下することにより、高速走行により高温になった空気入りタイヤのグリップ性能の持続性および耐摩耗性が悪化する。
【0044】
比較例4のゴム組成物は、カーボンブラック(CB2)のN2SAが1822/g未満であるので、100℃のtanδが低下し、タイヤにしたときドライグリップ性能が悪化する。
【0045】
比較例5のゴム組成物は、カーボンブラックの配合量が90重量部未満であるので、100℃のtanδが低下し、タイヤにしたときドライグリップ性能が悪化する。
【0046】
比較例6のゴム組成物は、カーボンブラックの配合量が180重量部を超えるので、100℃の300%モジュラス、引張り破断強度が低下することにより、高速走行により高温になった空気入りタイヤのグリップ性能の持続性および耐摩耗性が悪化する。
【符号の説明】
【0047】
1 トレッド部
12 トレッドゴム層
図1