特許第5920612号(P5920612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許59206122つ以上のマイクロ構造化されたフィルムを有する光学構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920612
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】2つ以上のマイクロ構造化されたフィルムを有する光学構造
(51)【国際特許分類】
   F21V 5/02 20060101AFI20160428BHJP
   F21V 5/00 20150101ALI20160428BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20160428BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20160428BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160428BHJP
【FI】
   F21V5/02
   F21V5/00 320
   F21V5/04 650
   F21S2/00 481
   F21Y101:02
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-547093(P2015-547093)
(86)(22)【出願日】2014年10月13日
(65)【公表番号】特表2015-537360(P2015-537360A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】EP2014071827
(87)【国際公開番号】WO2015058983
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2015年6月12日
(31)【優先権主張番号】13190012.8
(32)【優先日】2013年10月24日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェルス ウィルヘルムス ペトルス アドリアヌス ヨハヌス
(72)【発明者】
【氏名】クライン マルセリヌス ペトルス カロルス ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】セプハノフ ルスラン アフメドヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】マリヌス アントニウス アドリアヌス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ゴマンス ヘンドリクス ヒュバータス ペトルス
【審査官】 米山 毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−058479(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/054446(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0141241(US,A1)
【文献】 特開2010−153256(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/079856(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0061090(US,A1)
【文献】 特表2008−503034(JP,A)
【文献】 特開2010−118240(JP,A)
【文献】 特表2011−510453(JP,A)
【文献】 特開2012−103495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 5/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)対応する光源ユニット光を提供する複数の光源ユニットの配列と、
(ii)複数の透過性の第1のフォイル領域を含む第1のフォイルと、
(iii)複数の透過性の第2のフォイル領域を含む第2のフォイルと、
を含み、
各第1のフォイル領域は、各第1のフォイル領域の中心において、前記光源ユニット光に対し屈折機能を有する光学要素と、各第1のフォイル領域において前記中心から離れた周辺領域において、前記光源ユニット光に対し全反射機能を有する光学要素とを含む複数の光学要素を含み、
各第2のフォイル領域は、複数の光学要素を含み、各第2のフォイル領域は、前記第2のフォイル領域の中心において、前記光源ユニット光に対し屈折機能を有する光学要素と、前記中心から離れた周辺領域において、前記光源ユニット光に対し全反射機能を有する光学要素とを含み、
各光源ユニットは、前記光源ユニットの下流に構成される対応する第1のフォイル領域と、前記第1のフォイル領域の下流に構成される対応する第2のフォイル領域とを有する、照明ユニット。
【請求項2】
前記第1のフォイルの各第1のフォイル領域の前記中心と、対応する光源ユニットとは、前記複数の光源ユニットからなる前記配列に対し、各自の法線ベクトル上で位置合わせされている、請求項1に記載の照明ユニット。
【請求項3】
前記第1のフォイルの前記複数の光学要素は、前記第1のフォイルの上流側に設けられ、散乱要素は、上記上流側から下流に、好適には、前記第1のフォイルの下流側に設けられる、請求項1又は2に記載の照明ユニット。
【請求項4】
前記第1のフォイルの前記複数の光学要素は、上流側に設けられ、更なるコリメート要素は、前記第1のフォイルの下流側に設けられる、請求項1又は2に記載の照明ユニット。
【請求項5】
前記光源ユニットは、平均最短距離pを有し、前記光源ユニットは、前記第1のフォイルまでの最短距離d1を有し、d1/p0.3である、請求項1乃至4の何れか一項に記載の照明ユニット。
【請求項6】
前記複数の透過性の第1のフォイル領域は、前記光源ユニット光による前記複数の透過性の第2のフォイル領域の均一照明を向上させる、請求項1乃至5の何れか一項に記載の照明ユニット。
【請求項7】
前記複数の透過性の第2のフォイル領域は、前記第1のフォイルから下流の前記光源ユニット光のコリメーションを向上させる、請求項1乃至6の何れか一項に記載の照明ユニット。
【請求項8】
前記複数の光源ユニットから下流に構成される上流の第1のフォイルと、前記上流の第1のフォイルから下流に構成される下流の第1のフォイルと、を含み、前記上流の第1のフォイルは、前記光源ユニット光をプレコリメートし、前記下流の第1のフォイルは、前記上流の第1のフォイルから下流の前記光源ユニット光を更にコリメートする、請求項1乃至7の何れか一項に記載の照明ユニット。
【請求項9】
前記第1のフォイル上の前記複数の光学要素は、前記第2のフォイルに実質的に集束されたビームを提供する集束要素である、請求項1、2、5乃至8の何れか一項に記載の照明ユニット。
【請求項10】
各第1のフォイル領域は、複数のビームを提供する、請求項1又は5に記載の照明ユニット。
【請求項11】
前記複数の透過性の第2のフォイル領域のそれぞれは、プリズム形状を有する複数の光学要素を含み、1つの第2のフォイル領域あたりプリズム形状を有する前記複数の光学要素の数は、前記複数のビームの数のn倍であり、nは、1以上の自然数である、請求項10に記載の照明ユニット。
【請求項12】
前記複数の光源ユニットからなる前記第1の配列に垂直な方向において、(i)前記複数の光源ユニットのうちの1つ以上、(ii)前記第1のフォイル、及び、(iii)前記第2のフォイルからなる群から選択される1つ以上が、移動動作において移動可能である、請求項1乃至11の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項13】
前記複数の光源ユニットからなる前記第1の配列に平行な方向において、前記第2のフォイルと、前記複数の光源ユニットのうちの1つ以上の光源ユニット及び前記第1のフォイルの組み合わせとは、位置合わせの変化のために、移動動作において相互に移動可能である、請求項1乃至12の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項14】
前記複数の光源ユニットのうちの1つ以上の光源ユニットは、少なくとも、第1の固体光源と第2の固体光源とを含み、前記第1の固体光源のサブセット及び前記第2の固体光源のサブセットは、個別に制御可能である、請求項1乃至13の何れか一項に記載の照明ユニット。
【請求項15】
複数の光源ユニットの配列の光源ユニット光からの光ビームの形状を制御するための請求項1乃至14の何れか一項に記載の照明ユニットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光源ユニットの配列を含む照明ユニットと、その用途とに関する。
【背景技術】
【0002】
単一LED及びレンズアセンブリは、当技術分野において知られている。例えば米国特許第7,588,358号に、単一LED源からの光をレンズの中心又はその周りでは発散させ、中心領域の周りの同心領域では光を収束するレンズを介して、単一LED源からの光出力パターンを生成する装置及び方法が説明されている。アセンブリは、光出力パターンにおける強度の中心ホットスポットを回避でき、また、高い見掛け上の強度の1つ以上の同心リングを作成する。
【0003】
ビーム成形は、あらゆる照明アプリケーションにおいて絶対不可欠である。ビーム成形光学要素の1つのカテゴリは、大部分の照明器具に使用されるリフレクタ及びコリメータといった古典的な要素を含む。伝統的に、このカテゴリに属する要素は嵩張る一方で、第2のカテゴリの要素は、デザインが難しく、製造に費用がかかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の一態様は、上記欠点の1つ以上を少なくとも部分的に取り除くことが好適である代替照明ユニットを提供することである。特に、本発明の一態様は、ビームを比較的大きい自由度で成形できる一方で、(光源及び光学系の必須要素の)構造が比較的薄い代替照明ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
マイクロ光学構造体及び固体光源は、このような代替照明ユニットに使用できる優れた組み合わせを提供することがわかった。驚くべきことに、マイクロ光学構造体を有するフォイルの特定の多層系が選択されると、細くも太くも選択でき、方向付けることが可能なビームが生成されることがわかった。
【0006】
したがって、本発明の第1の態様では、(i)対応する光源ユニット光を提供する複数の光源ユニットの配列と、(ii)複数の透過性の第1のフォイル領域(「第1のフォイル領域」)を含む第1のフォイルと、(iii)複数の透過性の第2のフォイル領域(「第2のフォイル領域」を含む第2のフォイルとを含み、各第1のフォイル領域は、各領域の中心において、光源ユニット光に対し屈折機能を有する光学要素と、各領域において中心から離れた周辺領域において、光源ユニット光に対し全反射機能を有する光学要素とを含む複数の光学要素を含み、各第2のフォイル領域は、複数の光学要素を含み、各第2のフォイル領域は、その中心において、光源ユニット光に対し屈折機能を有する光学要素と、中心から離れた周辺領域において、光源ユニット光に対し全反射機能を有する光学要素とを含み、各光源ユニットは、光源ユニットの下流に構成される対応する第1のフォイル領域と、第1のフォイル領域の下流に構成される対応する第2のフォイル領域とを有する、照明ユニットが提供される。
【0007】
特に、当該照明ユニットは、複数の光源ユニットの配列の光源ユニット光からの光ビームの形状を制御するように有益に使用される。例えば当該照明ユニットは、15°未満といった20°未満の半値全幅(FWHM)を有する光ビーム(即ち、(第2のフォイルの下流の)照明ユニットによって生成される光(ビーム))を提供するように使用され、更には10°未満も可能である。これに代えて(又はこれに加えて)、照明ユニットは更に、光ビームの形状及び方向のうちの1つ以上を制御するように使用される。したがって、驚くほどに多用途の照明ユニットが、本明細書において提供される。特に、均一化するために第1のフォイルを、コリメートするために第2のフォイルを選択することによって、比較的細いビーム幅が得られる。また、シフト可能な(又は移動可能な(transportable))要素と組み合わせて、集束ビームを提供するように第1のフォイルを選択することによって、ビーム形状を、細くから太くまで調整できる。
【0008】
照明ユニットは、複数の光源ユニットの配列を含む。一実施形態では、第1のフォイルの各領域の中心と、対応する光源ユニットとは、複数の光源ユニットの配列に対し、各自の法線ベクトル上で位置合わせされる。この配列は、特に2D配列であり、また、特にこの配列は、立体配列又は六角形配列といった規則的配列である。しかし、当該配列は、不規則的であってもよい。光源ユニットの配列は、特に複数の第1のフォイル領域と(複数の)第2のフォイル領域の配列(以下も参照)が、特に各光源ユニットは対応する第1のフォイル領域と(その下流に)第2のフォイル領域とを有するようにする。光源ユニットが規則的に配列される場合、隣接する光源ユニット間の最短距離(光源ユニットの中心から測定される)は、ピッチとしても示される。一実施形態では、(2つの)異なる方向において(2つの)異なるピッチがある。配列は規則的若しくは不規則的であっても、又は、それらの組み合わせであってもよく、また、ピッチは、配列全体で一定であっても、(2つの)異なる方向において異なってもよいので、本明細書では、(光源ユニットの中心点から測定される)平均最短距離が規定される。各フォイルの領域について、「ピッチ」の同様の定義が当てはまる。領域とは、特定配列に相互に位置付けられた光学要素のグループである。当該特定配列は、(平均)周期で繰り返されるので、2つの隣接する領域間の最短領域距離、即ち、領域ピッチが規定される。領域の不規則的配列については、これは、領域の平均領域ピッチがもたらされる。光源ユニットと、第1のフォイルの領域とが相互に対応するためには、光源ユニット及び領域の両方の(不)規則的配列及び平均ピッチは同一であることが好適であり、これにより、第1のフォイルの各領域の中心と、対応する光源ユニットとが、複数の光源ユニットの配列に対し、各自の法線ベクトル上で位置合わせされる。任意選択的に、この構造関係は、光源ユニット及び第2のフォイルの領域にも当てはまる。
【0009】
平均最短距離は、一般に、少なくとも1mmといったように0.5〜100mmの範囲内、特に5〜50mmの範囲内である。配列は、例えば少なくとも4、少なくとも16、少なくとも25、少なくとも49、又は、更には少なくとも100といった複数の光源ユニットを含む。しかし、これよりも大幅に大きい数も可能であることに留意されたい。
【0010】
特定の実施形態では、光源ユニットは、(LED又はレーザダイオードといった)固体光源を含む。更なる特定の実施形態では、複数の光源ユニットは、単独で制御可能な2つ以上のサブセットを含む。これに代えて又はこれに加えて、複数の光源ユニットは、異なる色を有する光源ユニット光を生成する2つ以上のサブセットを含む。上記されたように、また、以下に更に明らかにされるように、各光源ユニットは、特定の第1のフォイル領域に対処する。特定の実施形態では、光源ユニット自体が、LED又はレーザダイオードのような固体光源といった光源を1つ含む。このような実施形態では、光源ユニットは、実質的に光源から構成される。しかし、更に別の実施形態では、光源ユニットは、2つ以上の光源を含む。これらの光源も、任意選択的に、単独で制御可能である。したがって、特定の実施形態において、光源ユニットのうちの1つ以上、特に光源ユニットの総数の少なくとも80%といった複数の光源ユニットが、少なくとも、第1の固体光源と第2の固体光源とを含み、第1の固体光源のサブセット及び第2の固体光源のサブセットは、個別に制御可能である。このために、照明ユニットは更に、照明ユニット、特に、第1の固体光源のサブセット及び第2の固体光源のサブセットを制御する制御ユニットを含む。当然ながら、2つより多くのサブセットがあってもよい。したがって、照明ユニットは、それぞれ、個別に制御可能な複数(即ち、2)のサブセットを含む。更なる実施形態では、例えばそれぞれ異なる色又は異なる色温度を有する3つ以上の異なる固体光源といった3つ以上の異なる光源を含む2つ以上の光源ユニットがあってもよい。
【0011】
上記されたように、照明ユニットは、少なくとも2つのフォイルを含むが、3つ以上のフォイルが利用可能であってもよい。ここでは、本発明は、2フォイルについて主に説明され、幾つかの実施形態では、3フォイルに関連して説明される。フォイルは、特に互いと平行に、また、複数の光源の配列と平行に配置される。一般に、光源ユニットと第1のフォイルとの間(以下も参照)、また、第1のフォイルと第2のフォイルとの間には、非ゼロの距離がある。各フォイルの総厚は、光学要素を含めて、0.2〜20mm、特に0.2〜5mmの範囲内にある。フォイルは、4mm〜50mmの範囲内の断面積を有するが、より大きい断面積も可能である。また、互いに隣接して配置されるフォイルのタイルが適用されてもよい。フォイルは透過性である、即ち、光の少なくとも一部、特に、フォイルの片面(即ち、特に上流側)を照射する可視光の少なくとも一部がフォイルを通過し、下流側においてフォイルから発散する。これは、最終的には、照明ユニット光をもたらす。特に、フォイルは、ポリマー材料、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMA(ポリメタクリレート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)(プレキシグラス又はパースペクス)、CAB(酢酸酪酸セルロース)、シリコーン、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PETG(ポリエチレンテレフタレート共重合体)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)及びCOC(シクロオレフィンコポリマー)からなる群から選択される1つ以上の材料を含むか、又は、更には、特に当該材料から実質的に構成される。しかし、他の(コ)ポリマーも可能である。したがって、各フォイルのフォイル領域も、光源の光の少なくとも一部に対し透過性である。
【0012】
第1のフォイルは、光源ユニットの下流に配置され、第2のフォイルは、第1のフォイルの下流に配置される。したがって、第1のフォイルは、第2のフォイルの上流に配置されている。「上流」及び「下流」との用語は、光生成手段(ここでは、具体的には光源ユニット)からの光の伝播に対するアイテム又は特徴の配置に関連する。光生成手段からの光ビーム内の第1の位置に対し、光生成手段により近い当該光ビーム内の第2の位置は、「上流」であり、光生成手段からより遠い当該光ビーム内の第3の位置は、「下流」である。
【0013】
各フォイルは、複数のフォイル領域を含み、それぞれ、(透過性の)第1のフォイル領域と(透過性の)第2のフォイル領域として示される。光源ユニットの数は、大体、第1のフォイル領域及び第2のフォイル領域の数に一致する。いずれにせよ、原則的に、任意の第1のフォイル領域は、単一の対応する光源ユニットと、単一の対応する第2のフォイル領域とを持つ。これらの表現における「対応する」との用語は、特に光源ユニットが、実質的に、単一の(対応する)第1のフォイル領域のみを照射することを示す。例えば光源ユニットのスペクトルパワー(ワット)の少なくとも85%、特に少なくとも95%が、対応する第1のフォイル領域を照射する。光源ユニットとその対応する第1のフォイル領域とは、実質的に、単一の(対応する)第2のフォイル領域のみを照射する。例えば第1のフォイル領域から下流の光のスペクトルパワー(ワット)の少なくとも85%、特に少なくとも95%が、対応する第2のフォイル領域を照射する。なお、光源ユニットが、複数の光源を含む場合、これらのデータは、(動作中の)単一の光源に適用される。特に第1のフォイルの上流側の85%以上、更には特に90%以上が、(照明ユニットの動作中に)複数の光源ユニットによって照射される。したがって、第1のフォイルの大部分が、第1のフォイル領域を提供する。「上流側」におけるような「側」という用語の代わりに、「面」との用語が使用されてもよい。
【0014】
各フォイル領域は、複数の光学要素を含む。これらの光学要素は、特にプリズム要素、レンズ、全反射(TIR)要素、屈折要素、ファセット要素のうちの1つ以上を含む。任意選択的に、要素のサブセットが、半透明であっても散乱性であってもよい(以下も参照)。通常、光学要素の少なくともサブセット又はすべてが透明である。光学要素は、フォイルに埋め込まれていても、特に下流側、上流側、又は、下流側及び上流側の両方といったフォイル側(又は面)の一部であってもよい。ここでは、光学要素は、特にフレネル又は屈折機能を有する光学要素と、全反射機能を有する光学要素とに関連して更に説明される。各光学要素は、1つ以上のファセットを含む。
【0015】
ファセットは、フォイル(第1及び/又は第2のフォイル等)の上流側、下流側、又は、下流側及び上流側の両方において配置される。特にTIR要素は、フォイル(第1及び/又は第2のフォイル)の上流側において特に利用可能である一方で、フレネルレンズといった屈折要素は、フォイル(第1及び/又は第2のフォイル)の上流及び/又は下流側に配置される。(これらの要素の)、特にTIR要素のファセットの高さ、幅、長さ等のような寸法は、実施形態では、5mm以下、特に1.5mm未満のように2mm未満といった0.01〜5mmの範囲内、特に0.01〜1mmの範囲内である。屈折フレネルレンズの直径は、実施形態では、1〜30mmのように0.5〜40mmといった0.02〜50mmの範囲内であるが、0.1〜5mmといった5mm以下のように30mm未満も(したがって)可能である。これらのファセットの高さも、実施形態では、1.5mm未満のように2mm未満といった5mm未満であり、特に0.01〜1mmの範囲内である。ここでは、特にTIR実施形態における「ファセット」との用語は、(実質的に)平らな(小さい)面を指し、特にフレネル実施形態における「ファセット」との用語は、湾曲面を指す。したがって、湾曲は、特にフォイルの平面内にあるが、フォイル(「レンズ」)の平面に垂直でもよい。フレネルレンズは、必ずしも丸くなく、変形の円形であっても他の形状であってもよい。
【0016】
一実施形態では、第1のフォイル領域の総数の少なくとも85%、更には特に90%以上は、同一である(即ち、具体的には、第1のフォイル領域の規則的構造体又は規則的格子を形成する)。同様に、これは、第2のフォイルについても言える。即ち、一実施形態では、第2のフォイル領域の総数の少なくとも85%、更には特に90%以上は、同一である(即ち、具体的には、第1のフォイル領域の規則的構造体又は規則的格子を形成する)。更なる特定の実施形態では、光源ユニット、第1のフォイル及び第2のフォイルの各組み合わせは、形状及び光学系に関して(実質的に)同一である。
【0017】
特定の実施形態では、各第1のフォイル領域は、光源ユニット光に対し屈折機能を有する光学要素と、光源ユニット光に対し全反射(TIR)機能を有する光学要素とを含み、及び(/又は)、更に特に、各第2のフォイル領域は、光源ユニット光に対し屈折機能を有する光学要素と、光源ユニット光に対し全反射(TIR)機能を有する光学要素とを含む。特に、この構造によって、細い(コリメートされた)ビームが生成される。更に、第1のフォイルまでの距離と、光源ユニット間の相互距離とを制御することが有利であると思われる。したがって、特定の実施形態では、光源ユニットは、平均最短距離(p)を有し、また、光源ユニットは、第1のフォイルまでの最短距離(d1)を有し、d1/p0.3である。六角形配列又は立体配列といった規則的配列では、平均最短距離はピッチである。
【0018】
既に上記されたように、特に第1のフォイル領域は、光源ユニット光による第2のフォイル領域の均一照明を向上させる。第1のフォイルがなければ、第2のフォイルの照明は、実質的にスポット状であるが、第1のフォイルがあれば、より均一な照明が実現される。これは、第1のフォイルの光学要素を上流側に設け、また、散乱要素を第1のフォイルの上流側から下流に、好適には、第1のフォイルの下流側に設けることによって、更に向上される。更に別の実施形態では、第1のフォイル領域は、これに代えて又はこれに加えて、光源ユニット光のコリメーションを向上させる。
【0019】
第2のフォイルの実質的な均一な照明は、例えば、屈折及びTIR光学要素を選択することによって、具体的には、第1のフォイル領域の中心に、フレネルレンズ状の光学要素といった屈折特性を有する要素を、中心からより離れて(また、第1のフォイル領域の境界により近くに)、TIR光学要素を選択することによって実現される。このような実施形態では、第2のフォイルもコリメーションを促進する。したがって、更なる実施形態において、第2のフォイル領域は、第1のフォイルから下流の光源ユニット光のコリメーションを向上させる(即ち、特にコリメートする)。このようにして、10°未満のFWHMを有する細いビーム幅が得られる。したがって、これらの実施形態では、第2のフォイルは、コリメーション機能を有する。更に、ここでは、特に、第2のフォイル領域の中心において、屈折特性を有する要素が見出され、中心からより離れて(第1のフォイル領域の境界により近くでは)、TIR光学要素が見出される。上記されたように、これらの光学要素は、第1のフォイルの上流側に配置され、任意選択的に、散乱要素は下流側に配置される。
【0020】
上記された実施形態では、第2のフォイル(領域)の相対的均一照明が実現される。したがって、実施形態では、第1のフォイルは、特に第2のフォイルの均一照明を促進する。なお、特に固体光源ベースの光源ユニットは、不均一な照明を提供する実質的に点の光源である。幾つかの実施形態では、これは、望ましくない。
【0021】
任意選択的に、第1のコリメーションは、2つ以上のフォイルに亘って分割される。したがって、一実施形態では、照明ユニットは、複数の光源の下流に構成される上流の第1のフォイルと、上流の第1のフォイルの下流に構成される下流の第1のフォイルとを含み、上流の第1のフォイルは、光源ユニット光をプレコリメートし、下流の第1のフォイルは、上流の第1のフォイルから下流の光源ユニット光を更にコリメートする。このような実施形態では、コリメーションは、単一の第1のフォイルを用いた場合よりも高い。上流の第1のフォイル及び下流の第1のフォイルは、幅、光学要素の種類及び光学要素の位置に関して、実質的に同一である。(上流の)第1のフォイル領域の数と(下流の)第1のフォイル領域の数とは、通常、同じであり、また、更には、光源ユニットの数とも同じである(以下も参照)。
【0022】
上記された実施形態のうちの幾つかとは異なる更に別の実施形態では、各第1のフォイル領域は、複数のビーム(B)を提供する。これは、複数のビームが生成されるので、均一性は増加させないが、その一方で、特に、照明ユニットの要素が(アクチュエータによって)移動可能である場合に、ビーム特性の調整を可能にする(以下も参照)。更なる特定の実施形態では、各第1のフォイル領域は、フレネル機能を有する複数の光学要素を含む。フレネル機能を有する光学要素は、フレネルレンズであってよいが、任意選択的に、例えば(第1のフォイル)領域の(ある場合には)対称性に少なくとも部分的に対応するために、変形フレネルレンズであってもよい。したがって、実施形態では、第1のフォイルは、第2のフォイル上に合焦させる、特に複数のビームを提供する機能を有し、第2のフォイルは、幾つかのビームスポットを形成する機能を有する。更に別の実施形態では、第2のフォイル領域のそれぞれは、プリズム形状を有する複数の光学要素を含み、1つの第2のフォイル領域あたりプリズム形状を有する光学要素の数は、複数のビームが生成される実施形態における複数のビーム(B)の数のn倍であり、nは、1以上の自然数である。したがって、当該実施形態では、各ビームが、対向する光学要素のセットに対処する。例えば第1のフォイル領域は、5つのビームを生成し、第2のフォイル領域は、5つの光学要素(当該光学要素を有する副領域)、即ち、5n個の光学要素を含む。例えば各対応する副領域は、複数の(実質的に同一の)光学要素、特に、上記のプリズム光学要素を含む。プリズム形状又は要素は、互いに対しある角度下で配置された、特に(フォイルを通る平面に対し>0°及び<90°)の角度下で配置される2つの(実質的に平らな)ファセットを基本的に含む。
【0023】
第1のフォイル及び第2のフォイルに応じて、より細い又はより太いビームが生成される。特定の特徴は、照明ユニットの要素が、(照明ユニットの他のアイテムに対し)100μm〜5mmのように>100μmといったように(少し)移動され、これにより、例えばビームの幅が調整される点である。移動は、例えば並進又は回転を含む。したがって、更なる特定の実施形態では、光源ユニットの第1の配列(及び第2のフォイル)に平行又は垂直な方向において、(i)光源ユニットのうちの1つ以上、(ii)第1のフォイル、及び、(iii)第2のフォイルからなる群から選択される1つ以上が、移動動作において移動可能である。このために、照明ユニットは更に、移動動作を実行するアクチュエータを含む。このようなアクチュエータは、例えば、特に並進を誘導する圧電要素を含む。
【0024】
照明デバイスは、例えばオフィス照明システム、家庭用アプリケーションシステム、店内照明システム、自宅照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、シアター照明システム、光ファイバアプリケーションシステム、プロジェクションシステム、自己点灯式ディスプレイシステム、ピクセルディスプレイシステム、セグメント化ディスプレイシステム、警告標識システム、医用照明アプリケーションシステム、インジケータサインシステム、修飾照明システム、ポータブルシステム、自動車アプリケーション、グリーンハウス照明システム、園芸照明、又は、LCDバックライティングの一部であるか又はこれらにおいて適用される。
【0025】
本明細書における「白色光」との用語は、当業者には知られている。当該用語は、特に、約2000乃至20000K、特に2700〜20000Kの範囲の相関色温度(CCT)を有し、一般照明には、特に約2700K乃至6500Kの範囲内、バックライティング目的には、特に約7000K乃至20000Kの範囲内、また、特にBBL(黒体軌跡)から約15SDCM(カラーマッチングの標準偏差)内、特にBBLから約10SDCM内、更には特にBBLから約5SDCM内の光に関する。
【0026】
「実質的にすべての光」又は「実質的に〜からなる」といった本明細書における「実質的に」との用語は、当業者によって理解されよう。「実質的に」との用語は、「全体的に」、「完全に」、「すべて」等を有する実施形態も含む。したがって、実施形態では、実質的にとの形容詞は、除外されてもよい。必要に応じて、「実質的に」との用語は、95%以上、特に99%以上、更には100%を含む99.5%以上といった90%以上にも関連する。「含む」との用語は、「含む」との用語が、「〜からなる」を意味する実施形態も含む。「及び/又は」との用語は、特に「及び/又は」の前後に言及されたアイテムの1つ以上に関する。例えば、「アイテム1及び/又はアイテム2」との表現及び同様の表現は、アイテム1及びアイテム2の1つ以上に関する。「含む」との用語は、ある実施形態では、「〜からなる」を意味する場合もあれば、別の実施形態では、「少なくとも定義された種と、任意選択的に1つ以上の他の種とを含有する」を意味する場合もある。
【0027】
更に、以下の説明及び請求項における「第1の」、「第2の」、「第3の」等との用語は、同様の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的な順番又は経時的な順番を説明するために使用されるものではない。当然ながら、このように使用される用語は、適切な状況下では置換可能であり、本明細書において説明される本発明の実施形態は、本明細書において説明されたものとは違う順序で動作することが可能である。
【0028】
本明細書におけるデバイスは、動作時に説明される他のデバイスに共通している。当業者には明らかなように、本発明は、動作の方法又は動作時のデバイスに限定されない。
【0029】
なお、上記実施形態は、本発明を説明するものであって制限するものではなく、また、当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態をデザイン可能であることに留意されたい。請求項において、括弧内の任意の参照符号は、当該請求項を限定するものと解釈されるべきではない。「含む」との動詞とその活用形の使用は、請求項に記載される要素又はステップ以外の要素又はステップを排除するものではない。冠詞「a」又は「an」で示される要素は、当該要素が複数存在することを排除するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を含むハードウェアによって、また、適切にプログラムされたコンピュータによって実現される。幾つかの手段が列挙される装置クレームにおいて、これらの手段のうちの幾つかは、同一のハードウェアアイテムによって具現化されてもよい。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されるからといって、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0030】
本発明は更に、以下の説明に説明された及び/又は添付図面に示された特徴のうちの1つ以上を含むデバイスにも適用される。本発明は更に、以下の説明に説明された及び/又は添付図面に示された特徴のうちの1つ以上を含む方法又は処理にも関連する。
【0031】
本特許出願において説明された様々な態様は、追加の利点を提供するために組み合わされてもよい。また、幾つかの特徴は、1つ以上の分割出願のための基礎を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して、ほんの一例として説明される。図面中、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【0033】
図1a図1aは、本発明の基本的な態様を概略的に示す。
図1b図1bは、本発明の基本的な態様を概略的に示す。
図2a図2aは、本発明の一実施形態を概略的に示す。
図2b図2bは、本発明の一実施形態を概略的に示す。
図2c図2cは、本発明の一実施形態を概略的に示す。
図2d図2dは、本発明の一実施形態を概略的に示す。
図2e図2eは、本発明の一実施形態を概略的に示す。
図2f図2fは、本発明の一実施形態を概略的に示す。
図3a図3aは、本発明の一実施形態(及びその変形態様)を(概略的に)示す。
図3b図3bは、本発明の一実施形態(及びその変形態様)を(概略的に)示す。
図3c図3cは、本発明の一実施形態(及びその変形態様)を(概略的に)示す。
図3d図3dは、本発明の一実施形態(及びその変形態様)を(概略的に)示す。
図3e図3eは、本発明の一実施形態(及びその変形態様)を(概略的に)示す。
図3f図3fは、本発明の一実施形態(及びその変形態様)を(概略的に)示す。
図4a図4aは、本発明の更なる実施形態(及びその変形態様)を(概略的に)示す。
図4b図4bは、本発明の更なる実施形態(及びその変形態様)を(概略的に)示す。
図4c図4cは、本発明の更なる実施形態(及びその変形態様)を(概略的に)示す。
【0034】
図面は必ずしも縮尺通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1aは、対応する光源ユニット光101を提供する複数の光源ユニット100の(i)配列111を含む照明ユニット10の一実施形態を概略的に示す。ここでは、一例として、4つの光源ユニット100が、参照符号100A〜100Dと共に概略的に示されている。照明ユニット10は、更に、(ii)複数の透過性の第1のフォイル領域211を含む第1のフォイル210を含む。各第1のフォイル領域211は、複数の光学要素212を含む。ここでは、複数の光源ユニット100は、対応する数の第1のフォイル領域211(参照符号211A〜211Dで示される)を有する。照明ユニット10は更に、(iii)複数の透過性の第2のフォイル領域221を含む第2のフォイル220を含む。各第2のフォイル領域221は、複数の光学要素222を含む。ここでも、複数の光源ユニット100は、対応する数の第2のフォイル領域221(参照符号221A〜221Dで示される)を有する。したがって、各光源ユニット100は、当該光源ユニット100の下流に構成された対応する第1のフォイル領域211と、当該第1のフォイル領域211の下流に構成された対応する第2のフォイル領域221とを有する。これは、ここでは、セルとも示される(図1aでは4つのセル)。第1のフォイルの各領域と第2のフォイルの対応する領域とは、対応する光源ユニットと、各自の法線ベクトルN(参照符号Na〜Ndで示される)上で位置合わせされ、複数の光源ユニットの配列が形成される。
【0036】
第1のフォイルの下流の、光源ユニット100からの光は、参照符号101’で示され、第2のフォイル220から下流の光は、照明ユニット光11として示される。光源ユニット100は、(光源ユニットの中心点から測定される)平均最短距離(ここではピッチ)(Pで示される)と、第1のフォイルまでの最短距離とを有する。即ち、光源ユニットの下流の第1のフォイルまでの距離は、参照符号d1で示される。領域は、参照符号Lで示される(最大)長さ及び(最大)幅を有し、当該長さ及び幅は平均最短距離Pの範囲内にある。光源ユニットと第2のフォイル220との間の最短距離は、参照符号d2で示される。第1のフォイルと第2のフォイルとの間の距離は、参照符号d3で示される。特性寸法は、次の通りである。
【表1】
【0037】
図3a〜図3fに、第1のビーム成形実施形態の変形態様が特に説明され、図4a〜図4bに、第2のビーム成形実施形態の変形態様が特に説明される。
【0038】
図1aでは、光源ユニット、第1のフォイル領域及び第2のフォイル領域の4つの(同一の)組み合わせ(即ち、「セル」)(参照符号A、B、C、Dで示される)が概略的に示される。
【0039】
図1bは、3つのフォイルが適用される(4つ以上のフォイルが適用されてもよい)一実施形態を概略的に示す。ここでは、照明ユニット10は、複数の光源100の下流に構成される上流の第1のフォイル210Aと、上流の第1のフォイル210Aから下流に構成される下流の第1のフォイル210Bとを含む。特に上流の第1のフォイル210Aは、光源ユニット光101をプレコリメート(precollimate)し、下流の第1のフォイル210Bは、上流の第1のフォイル210Aから下流の光源ユニット光101を更にコリメートする。上流の第1のフォイル及び下流の第1のフォイルの特性寸法は、第1のフォイルについて上記された通りである。
【0040】
下流の第1のフォイル210Bの下流の光は、参照符号101’’で示される。領域は、上流の第1のフォイル210Aについては、領域210AA〜210ADで対応して示され、下流の第1のフォイル210Bについては、領域210BA〜210BDで対応して示される。光源ユニットから上流の第1のフォイル210Aまでの距離は、参照符号d1Aで示され、下流の第1のフォイル210Bまでの距離は、参照符号d1Bで示される。これらの2つのフォイル間の距離は、参照符号d4で示され、2フォイル系(図1a)のほぼd3程度である。
【0041】
(第1)のビーム成形実施形態では、最初の2つのフォイルが、可能な限り平行のビームと、均一な空間的及び角度的光分布とを実現する。ビーム成形は、新しく追加された第3のフォイルにおいて行われる。第3のフォイルは、LEDの位置、LEDの数、及び、フォイル間の距離とは無関係であることが利点である。この利点は、柔軟性と後の段階でのコンフィギュアビリティとを向上させる。しかし、この場合、光学効率は下がる。
【0042】
図1a及び図1bでは、各フォイルの下流側において、光学要素212、222が概略的に示される。しかし、光学要素は、これに代えて又は追加して、各フォイルの上流側において利用可能であってもよい。
【0043】
図2aは、六角形配列、即ち、規則的配列にある複数の光源ユニット100(ここでは、実際には固体光源)の配列111を概略的に示す。図2bは、(ボロノイ図のように)あまり規則的ではない、又は、更には非規則的配列を概略的に示す。したがって、この配列は、複数の光源ユニットの配列に適用されるが、付随する複数の透過性の第1のフォイル領域及び第2のフォイル領域にも適用される。これは、照明ユニットが、複数の単セルを含むからである。各単セルは、光源ユニットと、対応する第1のフォイル領域と、対応する第2のフォイル領域とを含む。
【0044】
例えば屈折を利用して光を方向転換するマイクロ構造体と、TIRを利用して光を方向転換するマイクロ構造体とが、光学要素として適用される。屈折要素は、通常、フォイルの主法線に対し小さい角度でフォイルに入射する光に使用され、TIR要素は、大きい角度でフォイルに入射する光に使用される。屈折要素の一例は、ファセットアレイである。図2c及び図2dは、それぞれ、ファセットアレイを2D及び3Dで示す。光学要素の頂点は、参照符号Tで示される。頂点間の距離(又はピッチ)は、参照符号TDで示される。参照符号F1及びF2は、面、即ち、ファセットを示す。参照符号γは、ファセット又はフレネルレンズ角度(フレネルレンズを想定した場合)を示す。特にTIR要素の特性寸法は、次の通りである。
【表2】
【0045】
図2eは、TIR要素を2Dで示す。図2eでは、光は、屈折によって左側の表面に入射する。次に、光は、第2の表面において、TIRによって反射する。この2Dモデルから3Dモデルを得るために、非限定的な実施形態において、2Dモデルを垂直軸の周りでスイープする。これにより、図2fにも示される回転対称の構造体が与えられる。参照符号θinは、要素への光線(矢印)の入射角を示し、参照符号θは、媒体内の屈折角を示し、参照符号θoutは、媒体から出射する際の屈折を示す。参照符号αは、参照符号F1で示されるファセットのフォイルの平面に対する角度を示し、参照符号βは、参照符号F2で示される(別の)ファセットのフォイルの平面に対する角度を示す。したがって、TIR要素は、特に少なくとも約30°程度の角度α及びβによって示される。γの値は、特に最大で55°の範囲内にあり、これは、ファセットF1のフォイルの平面に対する角度である。ファセットF2のフォイルの平面に対する角度は、TIR屈折要素の場合、特に垂直に近く、例えば>80°である。なお、フレネルレンズの場合、ファセットF1は、湾曲しており、示される角度γが、特に最大角である。
【0046】
薄い照明器具、高光学効率、制御されたビーム成形、減少されたグレア、及び、個々のLEDのぎらつきが見えることなく全角度に亘って(ほぼ)均一な外観を実現するために、本発明は、次の光学構造を使用する。LED源は、例えば図2aに示される六角形グリッド又は矩形グリッドである、ある種の2Dグリッドに位置付けられる。任意の他のレイアウトも可能である。このレイアウトは、規則的である必要はない(図2bも参照)。次に、マイクロ構造体を有する2つのプレート又はフォイルが追加される。第1のフォイル(即ち、LEDに最も近いフォイル)は、第2のフォイルにおいてほぼ均一な空間的光分布が得られるようにする。つまり、第1のフォイルは、第2のフォイルの任意の場所において、単位面積あたりにほぼ同量のルーメンが得られるようにする。第2のフォイルは、ビーム成形を実現する。当該光学構造は、図3aに示され、光ビームは、細いスポットに成形される。
【0047】
図3a〜図3fは、特定の実施形態及び変形形態の幾つかの態様を概略的に示す。
【0048】
上記2つのフォイルについてより詳細に説明する。説明されたように、第1のフォイルは、第1のビーム成形実施形態では、第2のフォイルにおいてほぼ均一な照明を実現する(図3aを参照)。均一性の度合いは、例えば、次式によって表される。
【数1】

ここで、Imax及びIminは、それぞれ、第2のフォイルにおける最大及び最小照度である。値は、0と1との間に制限される。値が大きいほど、照度はより均一である。したがって、本発明において、均一性の或る最小の度合いを求めると、当該式は、少なくともある定数Cであることを求めている。Cの可能な値は、1/10である。第2のフォイルの機能は、ビーム成形を適用することである。ビーム成形は、第2のフォイルの任意の小さい領域がほぼ同じビームを生成するように行われる。これらの領域が十分に小さい(例えば1mm)場合、ほぼ均一の角光分布が実現される。本発明(即ち、2フォイル構造及び2フォイルの機能)の上記された基本的な説明に基づいて、本発明の幾つかの態様について説明する。
【0049】
本発明の第1の態様は、LEDピッチPと第1のフォイルまでの距離dとの比である。第1のフォイルにおいて光を成形する能力は、任意の場所においてフォイルに入射する光のビーム幅に依存する。入射光のビーム幅が小さいほど、光をより正確に第2のフォイルの特定の位置に向けて方向転換できる。当然ながら、当該場所における入射光に寄与するLEDが多いほど、ビーム幅は大きくなる。したがって、小さいビーム幅を得るためには、所与の場所に入射する光の量が非常に少なくてはならないか、又は、光は単一のLEDから主に来るものでなければならない。これは、d/Pの比を十分に小さくすることによって実現される。例えば0.25未満、より好適には0.15にする。
【0050】
本発明の別の態様は、次の通りである。第1のフォイルに関して、これは、第2のフォイルについても言えることであるが、ビーム成形を行うためには、所与の場所に入射する光が、(幾つかの小さい遷移領域を除き)単一のLEDから主に来ることが重要である。このために、第1のフォイルは、第2のフォイルを均一に照らすだけでなく、当該均一照射を上記特性が満足されるように行うようにデザインされる。より正確には、n個の光源がある場合、第2のフォイルは、光源と当該光源が照射するセルとの間に1対1のマッピングがあるように、n個のセルに分割される。最も明快な分割は、光源のセットを生成器として有するボロノイ図によって提供される。光源によって照射されるセルは、当該光源のすぐ上方の第2のフォイルのセルである。図2bを参照されたい。本発明の第3の態様は、第1のフォイルにおけるマイクロ構造体のタイプである。通常、マイクロ構造体は、屈折要素とTIR要素との組み合わせ(上記も参照)である。
【0051】
本発明の一実施形態として、均一に照射される射出窓を有する薄型スポットライトを構築するために、どのように本発明が利用されるのかを説明する。9個のLEDのアレイで開始する。これらのLEDは、六角形グリッド状に位置付けられ、六角形の辺は、12.5mmである。つまり、LEDを有するPCBを、縁の長さが12.5mmである9個の等しいサイズの六角形に(実質的に)分割し、LEDを六角形の中心に位置付ける。これは、図2aに見て取れる。なお、平面の六角形分割は、LEDを生成器とみなした場合に得られるボロノイ図に対応する。
【0052】
LEDのこの配置において、2つの連続する列は、六角形の半分の相互変位量を有し、一列内のLEDのピッチは、21.65mmである。LEDからd=3mmのところに、第1のマクロ構造化されたフォイルが配置される。この場合、ピッチPとして、同じ列に置かれた2つのLEDを使用する場合は、d/P=3/21.65=0.14となる。第2のマイクロ構造化されたフォイルは、LEDから10mmのところに配置される。本発明によって説明されるように、第1のフォイルによって、第2のフォイルは均一に照射される。第2のフォイルは、可能な限り、光が平行ビームとなるように方向転換する。更に、マイクロ構造体は、次のことが成立するようにデザインされる。第1及び第2のフォイルを、PCBを分割するのと同様に、9個の六角形セルに分割する場合、フォイルにおける六角形セルは、そのすぐ下にあるLEDによって主に照射され、他のLEDからは少しだけ照射される。これは、図3bに示される。図3bは、フォイルの側面からの眺めを示す。ここでは、光源ユニット、第1のフォイル領域及び第2のフォイル領域からなる3つの(同一の)組み合わせ(又は「セル」)(参照符号A、B、Cで示される)が概略的に示される。垂直線は、六角形セル間の境界を示す。図3cは、2つのフォイルが、屈折とTIRとの組み合わせによって実現されることを示す。フォイルのそれぞれについて、各領域211、221が示され、各領域は相互に対応し、各自の光源ユニット100に対応し、また、各自の法線ベクトルN上で位置合わせされている。各法線ベクトルNは、光源ユニットと、対応する中心(即ち、第1のフォイルの対応する領域のRF1で示される屈折エリアと第2のフォイルの対応する領域のRF2で示される屈折エリア)とを通り延在する。各領域は更に、中心から離れて、各自の周辺エリア、即ち、それぞれ、TIR1及びTIR2で示される全反射エリアを含む。図3d及び図3eは、それぞれ、遠視野強度分布と、第2のフォイルの照度とを示す。図3d(スポットの遠視野分布)は、わずか7°のFWHMを有するスポットライトが得られたことを示す。矩形領域における照度均一性
【数2】

は、0.5である。図3eは、第2のフォイルの照度を示す。矩形領域における照度均一性は、0.5である。なお、図3a及び図3bでは、光源ユニット、第1のフォイル領域及び第2のフォイル領域からなる各組み合わせは、形状及び光学系に関して(実質的に)同一である。これは、図3eに示されるようなパターンにつながる。任意選択的に、(第1の)ビーム成形実施形態では、第1のフォイルの下流側に、更に、拡散器(拡散器機能を有する光学要素を含む)を含む。図3fは、図3cに示される第1のフォイル又は第2のフォイルの上流側の面の3D図を概略的に示す。これは概略図であり、配列の種類に応じて、ファセットは、変形されていても、及び/又は、領域の残りの空間が更なるファセットで埋められていてもよい。
【0053】
図4a及び図4b(及び特定の変形形態である図4c)は、不均一性がそこまで問題とならないが、ビーム成形及び/又は方向転換可能性(directionability)が関連する別の態様に関する。本実施形態は、本明細書では、第2のビーム成形実施形態として示される。第1のビーム成形実施形態は、特に、図3a、図3b及び図3dに示される。その他の図面(図4a、図4bも除く)は、一般に、両方の実施形態、即ち、第1のコリメート実施形態と第2のスポット形成実施形態とに適応される。当業者には明らかなように、光学要素(及びその形状)は、実質的に均一な照明、コリメーション又はビームスポット形成を提供するように選択される。
【0054】
現在では、各ビーム形状は、その独自のビーム成形光学系を必要とする。本発明は、単一の光学要素を使用して、様々な異なるビーム形状を形成する。本発明のこれらの実施形態に関連する特徴は、2つ以上のビーム形状デザインを、マイクロレベルにおいて、マイクロ光学系(以下、マイクロファセットと呼ぶ)の交互パターンで組み合わせる射出窓のデザインであって、隣接するマイクロファセットは、異なるビーム形状に対処する。マイクロファセットによって対処される小さいエタンデュは、射出窓上のマイクロファセットのサブセットに向けて方向転換される高度にコリメートされたビームレットを可能にする。射出窓上のマイクロファセットのサイズは、典型的なビューイング距離(例えば1メートル)から見たときに、人間の目の分解能を下回るように選択される。つまり、ユーザは、通常の動作下では、射出窓上の個々のマイクロファセットを特定することはできない。したがって、ビーム形状間の移行は、シームレスに取り扱われる。ビーム形状デザインは、射出窓を、システムの光学部の他の要素に対し横方向にずらすことによって、2つ以上の形状デザインから、選択される。
【0055】
図4aは、射出窓上の2つの異なる光学要素を介して方向転換されたコリメートビームレットを示す光線追跡シミュレーションを示す。第1の(下部)フォイルは、ビームレットを、第2の(上部)フォイル上の光学要素のサブセットに向けて方向転換する。2つのパネル(左右)は、2つの異なるビーム形状を明示する。本実施形態では、2フォイルアプローチが好適である。第1のフォイルは、第2のフォイルにおいて、ほぼ集中した照明を実現する。第2の(上部)フォイルの機能は、ビーム成形を適用することである。第2のフォイルが均一に照射される上記(第1の)ビーム成形実施形態とは対照的に、ここでは、第2のフォイルの非均一照射が行われる。第2のフォイルは、チェッカーボードといった交互パターンで照射される(図4aの光線追跡シミュレーションを参照)。第2のフォイルのより疎らな照射を適用することもできる。
【0056】
図4aは、ほんの一例として、光源ユニット100、第1のフォイル210及び第2のフォイル220の1つの組み合わせを有する小さいフォイル210を示す。しかし、これは、複数のそのような組み合わせを有する大型の構造体の一部である(例えば図1a、図1b、図2a〜図2fを参照)。したがって、これは、複数の領域と複数の光源ユニットとを伴って拡大される。ここでは、ほんの一例として、単一の光源ユニットと、その対応する第1のフォイル領域及び第2のフォイル領域とが示される。図4aの左側部及び(したがって)右側部は、したがって、図3a及び図3bにおいても示されるように、照明ユニットにおいて、特に複数の光源ユニット、第1のフォイル領域及び第2のフォイル領域からなる(2D)アレイを構成する。ここでも、実施形態において、光源ユニット、第1のフォイル領域及び第2のフォイル領域からなる各組み合わせは、形状及び光学系に関して(実質的に)同一である。例えば第2のフォイルの位置が、対応する法線ベクトルNに沿っての位置合わせに対してずらされる(図4aにおける左から右への変化を参照)と、ビーム(方向)が変化する。第1のフォイルは、一般に、第2のフォイルにおいて合焦する。
【0057】
第2のフォイルの位置合わせを第1のフォイルに対して変化させることによって、第2のフォイル上の違うファセットがアドレスされる。第1のフォイル及びLEDの組み合わせに対する第2のフォイルの横(任意選択的に垂直)変位が回転を介して生じるように、ネジ式のデザインを使用する正確な位置合わせを想到できる。このようにすると、様々な位置合わせ位置が得られる。横変位に代えて又は更にはそれに加えて、垂直変位も可能である。例えば、光源ユニット、第1のフォイル及び第2のフォイルのうちの1つ以上を、光路に沿って(即ち、第1のフォイル及び/又は第2のフォイルに垂直に)移動させてもよい。
【0058】
第2のフォイル上にあるファセットのサイズは、約0.01〜50mmの程度(例えば0.1〜5mm)(直径)にあるので、ファセット位置を切り替えるために必要な調節は最小限である。本実施形態及び関連の実施形態では、第2のフォイル上の光学要素のサイズは、通常、第1のフォイル上の光学要素のサイズよりも1.5〜100倍大きい。図面では、第2のフォイル上の光学要素のサイズは、第1のフォイル上の光学要素のサイズよりも約3倍大きい。第2のフォイルのサイズが大きいほど、第1のフォイルからの光を方向転換するためのビーム成形構造体の1つあたりにより多くの空間が利用可能であり、また、ビームスポット鮮明度がより正確となる。スポットライト又はダウンライトの射出窓は、通常、2cmの直径(の射出窓)が使用される(第1の)ビーム成形実施形態(図3a〜図3f)に示される典型的な構造を超える約数センチメートル程度である。したがって、通常は、複数のビーム形状パターンを適用するのに十分な空間がある。更なる実施形態では、位置合わせは、圧電アクチュエータを使用して、動作中に調節される。これは、隣接するファセットが0.1mmまでの近さで離間されることが可能であるので実現できる。本明細書に説明される実施形態は、例えばスポットライト又はダウンライトにおける単一の光学要素を使用するビーム成形に使用される。
【0059】
図4bは、透過領域1222A及び散乱領域1222Bを使用して、第2のフォイルでビーム成形を行う方法を概略的に示す。各ビームは、領域又は副領域を形成する透過領域1222A及び散乱領域1222Bに向けられる。並進又は回転によるシフトは、第2のフォイル、第1のフォイル又は光源ユニットのうちの1つ以上の移動によって行われる。アクチュエータ20(図4cを参照)が、これらのうちの1つ以上を移動されてもよい。例えば第2のフォイルが(マイクロ)レンズを含む実施形態において、ビーム拡がり(コリメーションの度合い)は、第1のフォイルと第2のフォイルとの間の距離を(少し)変化させるときに制御できる。
【0060】
しかし、光源ユニット100が、2つ(以上)の光源を含むことも可能である。これは、図4cでは、第1の光源110A及び第2の光源110Bとして示され、これにより、複数の光源からなるサブセットが複数形成される。制御ユニット30が、光源(のサブセット)を制御してもよい。制御ユニット30は更に、(照明ユニット要素が互いに対し移動可能である実施形態について)上記移動可能な要素のうちの1つ以上の要素の移動を制御してもよい。当業者には明らかであるように、アクチュエータ及び/又は制御ユニット30、特に制御ユニット30は、本明細書に説明されたどの実施形態でも使用されてもよい。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c-2d】
図2e-2f】
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図4a
図4b
図4c