特許第5920616号(P5920616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5920616直下型LEDバックライト装置及びそれを用いた液晶表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920616
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】直下型LEDバックライト装置及びそれを用いた液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20160428BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160428BHJP
【FI】
   F21S2/00 480
   F21Y101:02
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2011-259659(P2011-259659)
(22)【出願日】2011年11月28日
(65)【公開番号】特開2013-114880(P2013-114880A)
(43)【公開日】2013年6月10日
【審査請求日】2014年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】303018827
【氏名又は名称】NLTテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 洋樹
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−173217(JP,A)
【文献】 特開2008−034361(JP,A)
【文献】 特開2005−203346(JP,A)
【文献】 特開2009−105070(JP,A)
【文献】 特開平11−052379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、
所定距離をあけて前記底壁の内面に対向して配置された光学部材群と、
前記底壁と前記光学部材群の間を前記所定距離に保持する側壁と、
前記底壁の内面に固定された、光源としての複数のLEDとを備え、
前記側壁は、その内側に、前記底壁と前記側壁と前記光学部材群から形成される空間の中央部に向かって突出した突出部を有しており、
最外部にある前記LEDの発光面の少なくとも一部は、前記突出部と重なっていて前記光学部材群の垂直方向からは見えない位置にあり、
前記側壁は、前記光学部材群を支持する支持面を有しており、その支持面が前記側壁の内面と交差して形成される交線が、前記突出部の先端よりも前記底壁に沿って外側にシフトした位置にあり、
組み合わされる液晶パネルの表示領域の最外端が、前記底壁に平行な方向において前記突出部の先端と前記交線との間に位置するように、前記突出部の先端と前記交線の位置が設定されていることを特徴とする直下型LEDバックライト装置。
【請求項2】
前記突出部の先端が、最外部にある前記LEDの発光面の中心よりも前記底壁に沿って外側にシフトした位置にある請求項1に記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項3】
前記光源が、色の異なる光を発する複数の前記LEDを組み合わせてなるクラスターの構成を持っている請求項1又は2に記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項4】
前記光源が、白色光を発する複数の前記LEDのみから構成される請求項1又は2に記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項5】
複数の前記LEDが、前記底壁の内面に一定ピッチで正方状または千鳥状に配置されている請求項1又は2に記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項6】
前記側壁の前記突出部より前記底壁に近い領域が、光吸収面を持っている請求項1〜のいずれかに記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項7】
前記側壁の前記突出部より前記底壁に近い領域が、拡散反射面または鏡面反射面を持っている請求項1〜のいずれかに記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項8】
前記側壁の前記突出部より前記底壁に近い領域が、光吸収面と、拡散反射面または鏡面反射面とを持っている請求項1〜のいずれかに記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項9】
前記突出部の断面形状が略三角形または略方形であり、前記側壁の内面が平面である請求項1〜のいずれかに記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項10】
前記突出部の断面形状が略三角形または略方形であり、前記側壁の内面が凹状の湾曲面である請求項1〜のいずれかに記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項11】
前記突出部が、最外部にある前記LEDと重なる箇所にのみ選択的に形成され、隣接する前記LEDの間には形成されていない請求項1〜10のいずれかに記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項12】
前記光源が、複数の前記LEDを第1方向に直線状に配置してなる棒状LED群を複数個、前記第1方向に対して直交する第2方向に一定ピッチで配置して構成されており、
前記突出部が、前記棒状LED群の各端に近接し且つ前記第2方向に延在する、前記側壁の二つの対向する箇所のみに設けられている請求項1〜11のいずれかに記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項13】
前記側壁は、不透明な部材により前記底壁の周縁を取り囲む枠状に設けられている請求項1〜12のいずれかに記載の直下型LEDバックライト装置。
【請求項14】
液晶パネルと、
請求項1〜13のいずれかに記載の直下型LEDバックライト装置と
を備えてなることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト装置に関し、さらに言えば、発光ダイオード(Light-Emitting Diode, 以下、LEDという)を光源として用いた直下型のバックライト装置と、そのバックライト装置を用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDの一つの用途として、白色(以下、Wともいう)のLED発光ダイオードと、赤色(以下、Rともいう)、緑色(以下、Gともいう)、青色(以下、Bともいう)の三色のLEDとを組み合わせて、あるいは、WのLED発光ダイオードとR、G、B以外の色のLEDとを組み合わせて、白色光を発光させるようにした白色LED光源が知られている。近年、LEDの高出力化が進んだことにより、この形式の白色LED光源の用途が広がっている。
【0003】
特に、高輝度が要求される照明やプロジェクタ光源、大型液晶表示装置用バックライト装置への応用が検討されている。これらの用途では、水銀フリーによる環境負荷が小さいこと、色再現性が良好であること、応答性が良好であること、輝度の可変性を有すること、寿命が長いこと等の特徴をLEDが持つことから、白色LED光源が従来の蛍光管(熱陰極管及び冷陰極管)に代わる白色光源として期待されている。
【0004】
前述した照明やプロジェクタ光源、大型液晶表示装置用バックライト装置に白色LED光源を応用する際には、現状では、要求輝度を達成して面光源とするために、点光源である発光ダイオードを多数使用する必要がある。また、面光源全体の輝度ムラ及び色度ムラを所定の範囲内に抑えることが要求される。
【0005】
ところで、LEDを使用したバックライト装置をその構造面で分けると、エッジライト型と、直下型の二つに分けられる。これら二つの方式が代表的なものである。
【0006】
エッジライト型では、拡散シートやプリズムシートを含む光学シート群の下面に隣接して導光板を設け、その導光板の一つの端面に直線状に配置されたLED群からの照射光を入射させる。このようにして、LED群からの照射光を照明すべき方向に直交させることによって、面光源を生成するのである。
【0007】
直下型では、拡散シートやプリズムシートを含む光学シート群の下面に隣接して拡散板を設け、その拡散板の直下に所定パターンを持つLED群(LEDアレイ)を配置して、その拡散板の主平面にLED群からの照射光を入射させる。このようにして、LEDからの照射光を照明すべき方向に平行にして面光源を生成する。直下方式は、輝度を上げやすい利点があるため、比較的大型のバックライト装置に好適であるとされている。
【0008】
しかし、直下型バックライト装置においてその厚さが制限された場合、すなわち、薄型構造の直下型バックライト装置では、LED群から拡散板までの光路長が短くなるため、各色のLEDからの光を面内に均一に分散させることが比較的困難であり、その結果、輝度ムラと色度ムラが生じやすいという難点がある。特に、R、G、Bの3色のLEDを使用した白色LED光源の場合、各LEDの外形サイズによって配置位置がずれ、それに伴って各色の発光のピークもずれるために、面内での色ムラが発生しやすい。
【0009】
薄型構造の直下型バックライト装置で生じる、前述のR、G、Bの3色のLEDの配置位置のずれに起因する色ムラは、当該バックライト装置の中央部(周辺部以外の部分)では生じない。これは、中央部のいずれの位置でも、その周囲のLED群から到達する光によって十分に白色に混色されるからである。当該バックライト装置の周辺部(側壁の近傍の部分)で色ムラが発生するのは、LEDアレイのうちの当該バックライト装置の側壁に沿って配置されたLED群、換言すれば、当該側壁の近傍に配置されたLED群から照射される光が、それ以外の箇所に配置されたLED群から照射される光よりも少ないため、白色に混色されず、結果として、当該側壁の近傍に配置されたLED群の発光色に偏るからである。
【0010】
この色ムラを改善する方法の一つとして、前記側壁の近傍に配置されたLED群に、それ以外の箇所に配置されたLED群とは異なる駆動電流を印加するようにし、前記側壁の近傍に配置されたLED群の輝度を、それ以外の箇所に配置されたLED群のそれより低くすることで、色均一性を向上させる技術が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−332828公報(要約、請求項1及び13、図1、3及び8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に開示された技術を図14図15を用いて説明する。図14は、特許文献1に開示された液晶表示装置の、LED群を切断する面に沿った断面図である。図15は、色均一性を向上させるために、列の端部にあるLEDの輝度を減衰させる技術を示す図である。
【0013】
図14に示すように、この従来の液晶表示装置は、LCD層130とバックライト装置132とを備えている。バックライト装置132は、下部混合チャンバ135、第1拡散器176としての拡散フィルム101、上部混合チャンバ175、第2拡散器180としての拡散フィルム102及び輝度増強フィルム182を備えている。輝度増強フィルム182は、上部混合チャンバ175の上壁を形成するアクリル板の上面に装着され、拡散フィルム102は同アクリル板の下面に装着されている。
【0014】
所定数のR、G、Bの三色のLED134は、下部混合チャンバ135内において、回路基板140上に所定レイアウトで搭載されている。LED134の各々は、側面発光レンズ142とスポット反射体166を有している。各LED134から照射された光は、下部混合チャンバ135内で混合された後、第1拡散器176としての拡散フィルム101で拡散されてから、上部混合チャンバ175に入り、さらに混合される。そして、第2拡散器180としての拡散フィルム102で再度拡散された後、バックライト装置132(上部混合チャンバ175)の上面に設けられた輝度増強フィルム182を通って、LCD層130に照射される。
【0015】
図14の構成において、バックライト装置132の下部混合チャンバ135の側壁138の近傍(周縁部)での色均一性は、各LED列の端部に配置された、いくつかのLED134の光出力を減衰させることによって向上せしめられる。バックライト装置132の特定の形態(例えば、LED134のピッチ及び配列)に依存して、LED列の端部での1〜5個のLED134の輝度を減衰させることができる。
【0016】
LED列の端部でのLED134の光を低減する様々な方法のうちの一つを、図15に示す。説明を簡単にするために、駆動装置1、駆動装置2及び駆動装置3は、LED列に沿ったLED134の異なるグループを駆動するように示されている。例えば、駆動装置2は、指定された白色点に対する望ましいR、G、Bのカラー均衡を得るために、中間部分に沿ってR、G、BのLED134に異なる電流を印加する。
【0017】
図15において、当該LED列内の最後の三つのLED134は、LED列内の他の場所の同じ色のLED134よりも低い駆動電流で駆動される。例えば、LED列の左端及び右端にあるR、G、BのLED34は、端部のGのLED134の輝度(光束)が、中間部にあるGのLED134の輝度の約半分となるようにし、その内側にある次のLED134の輝度が、同じ色の中間部のLED134の輝度の約50〜75%となるように、内側の次のLED134の輝度が同じ色の中間部にあるLED134の輝度の約60〜90%となるように、それぞれ、低減した駆動電流を供給することによって輝度を低下させる。なお、輝度レベルの特定の減衰量は、色均一性の人間の知覚に基づいており、最適の減衰は実験的に判断することができる。
【0018】
しかしながら、この従来のバックライト装置132のように、LED列の端部に配置されたLED134とその中間部に配置されたLED134とを、異なる駆動装置で駆動することは、駆動装置やその制御回路の増大によるコストアップ、占有スペースの増加(これは液晶表示装置の外形の変化につながる)等の問題を招来する。
【0019】
本発明は、図14及び図15に示した従来のバックライト装置132における上記問題を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、駆動装置やその制御回路の増大や、液晶表示装置の外形(例えば額縁の厚み)の変化なしに、表示領域の端部の色ムラを改善することができる、直下型LEDバックライト装置と、それを用いた液晶表示装置を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、駆動装置やその制御回路の増大や、液晶表示装置の外形(例えば額縁の厚み)の変化なしに、表示領域の端部の輝度ムラを改善することができる、直下型LEDバックライト装置と、それを用いた液晶表示装置を提供することにある。
【0021】
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(1) 本発明の第1の観点では、直下型LEDバックライト装置が提供される。この直下型LEDバックライト装置は、
底壁と、
所定距離をあけて前記底壁の内面に対向して配置された光学部材群と、
前記底壁と前記光学部材群の間を前記所定距離に保持する側壁と、
前記底壁の内面に固定された、光源としての複数のLEDとを備え、
前記側壁は、その内側に、前記底壁と前記側壁と前記光学部材群から形成される空間の中央部に向かって突出した突出部を有しており、
最外部にある前記LEDの発光面の少なくとも一部は、前記突出部と重なっていて前記光学部材群の垂直方向からは見えない位置にあり、
前記側壁は、前記光学部材群を支持する支持面を有しており、その支持面が前記側壁の内面と交差して形成される交線が、前記突出部の先端よりも前記底壁に沿って外側にシフトした位置にあり、
組み合わされる液晶パネルの表示領域の最外端が、前記底壁に平行な方向において前記突出部の先端と前記交線との間に位置するように、前記突出部の先端と前記交線の位置が設定されていることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第1の観点による直下型LEDバックライト装置では、前記側壁が、その内側に、前記底壁と前記側壁と前記光学部材群から形成される前記空間の中央部に向かって突出した突出部を有しており、しかも、最外部にある前記LEDの発光面の少なくとも一部が、前記突出部と重なっていて前記光学部材の垂直方向からは見えない位置にあるので、前記発光面の少なくとも一部が前記突出部と重なっている前記LEDから発する光の一部が、前記光学部材群に到達しないようにすることができる。このため、前記突出部の突出状態と、前記突出部の前記LEDから発する光が照射される面の光学特性(例えば拡散反射、鏡面反射、吸収など)を適切に設定するだけで、液晶パネルの表示領域の端部に生じる色ムラを改善することができる。
【0024】
しかも、その際に、駆動装置やその制御回路が増大することがないし、液晶表示装置の額縁の厚みの変化等、液晶表示装置の外形が変わることもない。
【0025】
このように、本発明の第1の観点による直下型LEDバックライト装置では、駆動装置やその制御回路の増大や、液晶表示装置の外形(例えば額縁の厚み)の変化なしに、表示領域の端部の色ムラを改善することができる。
【0026】
前記光源が白色光を発する前記LEDだけから構成されている場合は、駆動装置やその制御回路の増大や、液晶表示装置の外形(例えば額縁の厚み)の変化なしに、表示領域の端部の輝度ムラが改善される。
【0027】
なお、前記「突出部」は、前記側壁の内側から、前記底壁と前記側壁と前記光学部材群から形成される前記空間の中央部に向かって突出していると共に、最外部にある前記LEDの発光面の少なくとも一部と重なっている部分を少なくとも含む。その部分に近接する領域を含んでもよい。
【0028】
(2) 本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置の好ましい例では、前記突出部の先端が、最外部にある前記LEDの発光面の中心よりも前記底壁に沿って外側にシフトした位置に配置される。
【0031】
本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置のさらに他の好ましい例では、前記光源が、色の異なる光を発する複数の前記LEDを組み合わせてなるクラスターの構成を持つ。
【0032】
本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置のさらに他の好ましい例では、前記光源が、白色光を発する複数の前記LEDのみから構成される。
【0033】
本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置のさらに他の好ましい例では、複数の前記LEDが、前記底壁の内面に一定ピッチで正方状または千鳥状に配置される。
【0034】
本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置のさらに他の好ましい例では、前記側壁の前記突出部より前記底壁に近い領域が、光吸収面を持つ。
【0035】
本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置のさらに他の好ましい例では、前記側壁の前記突出部より前記底壁に近い領域が、拡散反射面または鏡面反射面を持つ。
【0036】
本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置のさらに他の好ましい例では、前記側壁の前記突出部より前記底壁に近い領域が、光吸収面と、拡散反射面または鏡面反射面とを持つ。
【0037】
本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置のさらに他の好ましい例では、前記突出部の断面形状が略三角形または略方形とされ、前記側壁の内面が平面とされる。
【0038】
本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置のさらに他の好ましい例では、前記突出部の断面形状が略三角形または略方形とされ、前記側壁の内面が凹状の湾曲面とされる。
【0039】
本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置のさらに他の好ましい例では、前記突出部が、最外部にある前記LEDと重なる箇所にのみ選択的に形成され、隣接する前記LEDの間には形成されない。
【0040】
本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置のさらに他の好ましい例では、前記光源が、色の異なる光を発する複数の前記LEDを第1方向に直線状に配置してなる棒状LED群を複数個、前記第1方向に対して直交する第2方向に一定ピッチで配置して構成され、前記突出部が、前記棒状LED群の各端に近接し且つ前記第2方向に延在する、前記側壁の二つの対向する箇所のみに設けられる。
【0041】
(3) 本発明の第2の観点では、液晶表示装置が提供される。この液晶表示装置は、
液晶パネルと、
上記(1)または(2)に記載した本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置のいずれかと
を備えてなることを特徴とするものである。
【0042】
本発明の第2の観点による液晶表示装置では、本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置を備えているので、本発明の第1の観点の直下型LEDバックライト装置と同じ効果が得られる。
【発明の効果】
【0043】
本発明の第1の観点による直下型LEDバックライト装置及び本発明の第2の観点による液晶表示装置によれば、駆動装置やその制御回路の増大、または液晶表示装置の額縁の厚み等、液晶表示装置の外形を変えずに、表示領域の端部の色ムラ(色ムラが問題にならない場合は輝度ムラ)を改善することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置に使用されたLEDアレイを、表示面(光学シート群)側から見た部分平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の、要部の詳細寸法と液晶パネルとの位置関係を示す要部断面図である。
図4A】本発明の第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置において、側壁の突出部を除いた場合の構成を示す要部断面図である。
図4B図4Aの構造を持つ直下型LEDバックライト装置において、シミュレーションにより得た光学特性を示すグラフである。
図5A】本発明の第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図である。
図5B】本発明の第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置において、シミュレーションにより得た光学特性を示すグラフである。
図6】本発明の第2実施形態に係る直下型LEDバックライト装置に使用されたLEDアレイを、表示面(光学シート群)側から見た部分平面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図である。
図8】(a)は本発明の第4実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図、(b)は本発明の第5実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図、(c)は本発明の第6実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図である。
図9】本発明の第7実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図である。
図10】本発明の第8実施形態に係る直下型LEDバックライト装置に使用されたLEDアレイを、表示面(光学シート群)側から見た部分平面図である。
図11】本発明の第9実施形態に係る直下型LEDバックライト装置に使用されたLEDアレイの、クラスターの構成例を示す説明図である。
図12】本発明の第10実施形態に係る直下型LEDバックライト装置に使用されたLEDアレイを、表示面(光学シート群)側から見た平面図である。
図13】本発明の第11実施形態に係る直下型LEDバックライト装置に使用されたLEDアレイを、表示面(光学シート群)側から見た部分平面図である。
図14】従来の直下型LEDバックライト装置を使用した液晶表示装置の断面説明図である。
図15図14の従来の直下型LEDバックライト装置の駆動方法の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0046】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の構成を図1及び図2に示す。
【0047】
本第1実施形態の直下型LEDバックライト装置は、図1に示すように、複数のLED1からなるLEDアレイと、実装基板2と、光学部材群8と、側壁6と、筐体7とを備えている。
【0048】
LEDアレイは、R、GまたはBの光を発するLED1を複数個組み合わせ、それらを実装基板2の内面に所定レイアウトで配置して構成されている。LEDアレイは、R、G及びBの三色の光を混合させることで白色光を生成する。各々のLED1は、ここでは、R、GまたはBの光をそのパッケージに対して垂直方向に発光する「トップビュー・タイプ」とされている。
【0049】
本第1実施形態で使用されるLEDアレイの具体的構成を図2に示す。図2に示すように、R、G、G、Bの光をそれぞれ発する4個のLED1が、正方形をなすように配置されて、一つのクラスター1Aを構成している。LED1の配置は、Rの光を発するLED1の両側にGの光を発する二つのLED1が並び、Bの光を発するLED1はRの光を発するLED1の一つの対角線上に置かれている。Gの光を発する二つのLED1が、もう一つの対角線上に置かれている。そして、そのクラスター1Aが複数個、一定のピッチで実装基板2上にマトリックス状に配置され、LEDアレイを構成している。クラスター1Aのピッチは、必要な輝度に応じて最適な値に設定される。
【0050】
実装基板2には、LEDアレイのほか、駆動回路や制御回路(いずれも図示せず)が搭載されている。また、実装基板2の内面には、LED1から発した光を反射するための反射面3が形成されている。反射面3は、LEDアレイが配置された領域のみが開口されて実装基板2の内面に形成されている。
【0051】
側壁6は、両端を開口した断面略矩形の筒状で、実装基板2の外周(四方)を取り囲むように筐体7に装着されている。側壁6の一端(図1では下端)の開口は、筐体7によって閉鎖されており、他端(図1では上端)の開口は、光学部材群8によって閉鎖されている。実装基板2は、筐体7の底部の内面に固定されている。筐体7は、実装基板2と側壁7の双方を取り囲むように形成された、上面を開口した箱状である。
【0052】
光学部材群8は、拡散板4と、拡散シートやプリズムシート等からなる光学シート群5から構成されている。拡散板4は、最も内側(実装基板2に最も近い位置)に配置されている。光学シート群5は、拡散板4の外側にそれと近接して配置されている。光学部材群8は、実装基板2(反射面3)に平行にそれと対向するようにして、側壁6の実装基板2とは反対側の端部(図1では上端)に固定されている。光学部材群8の各々は、こうして反射面3から所定距離に保持されている。
【0053】
実装基板2と側壁7と光学部材群8は、実装基板2上にあるLEDアレイから発せられる色の異なる光を混合して白色光とするための空間である「光混合空間」(キャビティ)を形成している。実装基板2は、この光混合空間の底部(底壁)を形成しているが、光混合空間の底壁は、筐体7の底部によって形成してもよい。光学部材群8は、この光混合空間の頂部(頂壁)を形成している。
【0054】
側壁6の内面6fは、図1に明瞭に示すように、LED1の発光面と拡散板4の内面(つまり光入射面)との間の範囲で、斜めに内側にせり出していて、側壁6の内側に突出部Pが形成されており、結果として、全体がテーパー状になっている。換言すれば、側壁6の厚さが、光学部材8の側から実装基板2の側に向かって徐々に(ここではほぼ一様に)増加しているのである。このため、側壁6の実装基板2の側の端部は、LEDアレイの最外部にある複数のLED1(以下、最外部LED1という)の発光面の一部と重なっていて、光学部材群8の側(光学部材群8に対して垂直な方向)からLEDアレイを見ると、最外部LED1の一部(外側にある部分)が見えない。つまり、最外部LED1の発光面の一部は、側壁6の後方に差し込まれて、側壁6で覆われた(隠された)形状になっている。その状態は、図2に、より明瞭に示されている。
【0055】
ここで、側壁6の突出部Pは、実装基板2(光混合空間の底壁)に沿って、光混合空間(キャビティ)の中央部に近づく方向に突出していて、最外部LED1から発する光の一部が、光学部材群8に到達するのを阻止する機能を持つ。突出部Pには、(a)最外部LED1と重なり合う部分(この部分は、最外部LED1から直接的に光学部材群8に向けて発せられた光が、光学部材群8に到達するのを阻止する機能を持つ)だけでなく、(b)最外部LED1の外側の近傍にあって、最外部LED1から斜め外側に向かって発せられた光が、光学部材群8に到達するのを阻止する機能を持つ部分も含む。
【0056】
図2の縦(上下)方向では、赤色光を発するLED1と、緑色光を発するLED1とが、最外部LED1であり、したがって、それらのLED1の発光面の外側の部分が側壁6(の突出部P)によって隠された状態にある。図2の横(左右)方向でも、赤色光を発するLED1と、緑色光を発するLED1とが、最外LED1であるから、それらのLED1の発光面の外側の部分が側壁6(の突出部P)によって隠された状態にある。
【0057】
側壁6の実装基板2の側の端部には、内面6fに連続して反射面3にほぼ平行な面6aが形成され、その面6aに連続して反射面3にほぼ直交する面6bが形成されている。面6aは、最外部LED1の「発光面」に近接していて、その発光面に沿って延在している。面6bは、最外部LED1の「側面」に近接していて、その側面に沿って実装基板2の表面の近傍まで延在している。面6aと最外部LED1の発光面との間には、微細な隙間があり、両者は接触していない。同様に、面6bと最外部LED1の側面との間にも、微細な隙間があり、両者は接触していない。
【0058】
側壁6の光学部材群8の側の端部には、反射面3(実装基板2)にほぼ平行な支持面6cが形成されている。拡散板4は、支持面6cに接触してこれに支持されている。
【0059】
側壁6の内面6fが斜めに内側にせり出しているため、側壁6の実装基板2の側の面6eとその内面6fとの交線6eは、側壁6の光学部材群8の側の面6cとその内面6fとの交線6dに対して、実装基板2に沿って内側にシフトしている。交線6eは、内面6f(突出部P)の先端を形成している、
せり出しがない従来の側壁6'の内面6f'は、図4Aに示すように、LED1の発光面と拡散板4の内面との間の範囲で、反射面3に対してほぼ直交していて、本実施形態のように内側にせり出していない。また、側壁6'の厚さは、LED1の発光面と拡散板4の内面との間の範囲で同じである。この点で、本第1実施形態の側壁6とは構成が明確に異なっている。
【0060】
液晶パネル9は、以上の構成を持つ本第1実施形態の直下型LEDバックライト装置の発光面側(光学部材群8の近傍)に、光学部材群8に平行に装着される。こうして、第1実施形態の液晶表示装置が構成される。
【0061】
次に、本第1実施形態の直下型LEDバックライト装置における、各構成要素の適切な位置関係と寸法関係について、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0062】
図2に示すように、LEDアレイを構成するクラスター1Aのピッチ(隣接するクラスター1Aの中心間の距離)は、例えば14mm(あるいはそれ以上)とするのが好ましい。
【0063】
クラスター1A内のR、GまたはBの光を発するLED1は、いずれも、順電流が100mA程度のミドルパワーで、パッケージ・サイズは3mm〜5mm程度のものを使用している。このようなLED1が四つ、約5mm間隔で近接して配置されて、クラスター1Aとしてまとめられている。
【0064】
図3に示すように、反射面3から、光学部材群8に含まれる拡散板4の内面(光入射面)までの距離は、好ましくは14mmとされる。この距離を一定に保持している側壁6は、前述のように、LED1の発光面と拡散板4の内面との間の範囲で、LEDアレイの最外部にあるLED1の発光面に接触しない高さで、実装基板2に沿って、そのLED1を覆うように内側にせり出している。LED1の発光面の高さは、実装基板2の表面(反射面3)から約1mmとされる。側壁6のせり出し部の先端、すなわち、側壁6の実装基板2の側にある面6aと内面6fとの交線6eは、LED1の発光面に接触しない高さで且つLED1の発光面に近づくように、拡散板4を支持する支持面6cからの距離が13mm未満となる位置に設定されるのが好ましい。
【0065】
側壁6のせり出した部分の先端、すなわち内面6fと面6aの交線6eは、好ましくは、実装基板2に沿って、最外部LED1の発光面の中心から0.5mmだけ側壁6の方向(外側)にシフトした位置に設定される。こうして、最外部LED1の発光面の全面が側壁6(の突出部P)によって覆われないようにするのである。
【0066】
側壁6の反射面3と平行な面6aと、その面6aに続き反射面3と直交する面6bは、光を反射しない光学特性(非反射特性)、換言すれば、光を吸収する光学特性(光吸収特性)を有する。このような光学特性を持つ面は、例えば、公知の光を吸収する遮光テープを貼り付けることにより、容易に実現することができる。側壁6のこれら二つの面6a及び6b以外の面は、いずれも、白色に着色されていて、拡散反射特性を持っている。
【0067】
液晶パネル9の表示領域の最外端の実装基板2に平行な方向の位置は、側壁6の拡散板4の側にある支持面6cと内面6fとの交線6dと、実装基板2の側にある面6aと内面6fとの交線6eとの間に来るように設定されている。液晶パネル9の表示領域の最外端をこのように配置することで、側壁6のせり出しによって側壁6の厚みが増大しても、液晶パネル9の表示領域の周囲にある額縁領域が増大することがない。このため、液晶パネル9の表示領域の周辺で、大きく輝度が低下するのを防ぐことができ、液晶表示装置の狭額縁化が可能となる。
【0068】
次に、以上の構成を持つ第1実施形態のバックライト装置の動作について説明する。
【0069】
各々のLED1は、当該バックライト装置内で所望の色度となるように調整されたR、GまたはBの色の光を出射する。LED1から出射された光は、側壁6によって一定距離(高さ)に保たれている光混合空間の内部を通って、拡散板4に入射する。その途中で側壁6の内面6fに到達した光は、内面6fで反射されてから、拡散板4に向かって送られる。拡散板4に入射した光の一部は、光学部材群8、すなわち、拡散板4と、拡散シートやプリズムシート等からなる光学シート群5とを通過して、液晶パネル9に向けて出射される。こうして当該バックライト装置から出射された光は、液晶パネル9にバックライト光として入射する。
【0070】
拡散板4に入射した光のうちの光学部材群8を通過しなかったものは、拡散板4や、光学シート群5によって反射、屈折され、光混合空間内に戻される。そして、実装基板2上の反射面3や側壁6の内面6fで反射されてから、再び拡散板4に向かって送られる。その後、光学部材群8を通過して、液晶パネル9に向けて出射される。このようにして出射された光も、液晶パネル9にバックライト光として入射する。
【0071】
実装基板2と側壁6と光学部材8から形成された光混合空間内では、側壁6のせり出した部分(突出部P)にある二つの面6a及び6bにより、最外端LED1の発光面の一部が覆い隠されている。面6aと6bはいずれも非反射特性を持つため、最外部LED1から出射される全光束の一部は、面6aと6bによって吸収される。結果として、最外部LED1から出射される光量は、最外部LED1の内側に隣接する他のLED1から出射される光量よりも少なくなるため、液晶パネル9の表示領域の端部に生じる色ムラが改善する。
【0072】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置では、側壁6が、その内側に、実装基板2(底壁)と側壁6と光学部材群8から形成される光混合空間の中央部に向かって突出した突出部Pを有しており、しかも、最外部LED1の発光面の少なくとも一部が、突出部Pと重なっていて光学部材群8の垂直方向からは見えない位置にあるので、発光面の少なくとも一部が突出部Pと重なっている最外部LED1から発する光の一部が、光学部材群8に到達しないようにすることができる。このため、突出部Pの突出状態と、突出部Pにより阻止される光の色と量を適切に調整するだけで、図14及び図15に示した従来のバックライト装置のように、駆動電流を変える等の措置を執ることなく、液晶パネル9の表示領域の端部に生じる色ムラを改善することができる。
【0073】
しかも、その際に、駆動装置やその制御回路が増大することがないし、液晶表示装置の額縁の厚みの変化等、液晶表示装置の外形が変わることもない。
【0074】
このように、本発明の第1の観点による直下型LEDバックライト装置は、駆動装置やその制御回路の増大、または液晶表示装置の額縁の厚み等、液晶表示装置の外形を変えずに、表示領域の端部の色ムラを改善することができる、という効果がある。
【0075】
本発明者は、シミュレーションにより、本発明の第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の効果を確認した。その結果について、図4及び図5を用いて説明する。
【0076】
図4Aは、側壁の内面にせり出し(突出部P)がない直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図であり、図4Bはシミュレーションにより得られた、その従来のバックライト装置の光学特性である。図5Aは、本発明の第1実施形態の直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図であり、図5Bはシミュレーションにより得られた、本第1実施形態のバックライト装置の光学特性である。
【0077】
一般に、バックライト装置では、液晶パネル9の表示領域の中央部に対応する領域では、各LEDクラスター1Aから発する光と、光混合空間(キャビティ)内を反射して到達する光が、所望の色度となるように混色される。しかし、液晶パネル9の表示領域の端部(周辺部)に対応する領域では、光混合空間(キャビティ)内を反射して到達する光が、表示領域の中央部に対応する領域の場合よりも少ないため、表示領域の端部に対応する領域での色度は、当該領域に配置されたLEDクラスター1Aに大きく依存する。R、G、Bの3色のLED1を使用している場合、各色のLED1の配置位置のずれに起因する発光ピークのずれにより、最外部LED1と、その内側に隣接する他のLED1とでは、出射光の分布が異なるため、相対輝度及び色度x値と色度y値が、大きくずれることになる。これは図4Bに明瞭に現れている。
【0078】
すなわち、図4Bに示すように、緑色の光の相対輝度(G相対輝度)と赤色の光の相対輝度(R相対輝度)は、側壁6の内面6fの位置から遠ざかるにつれて大きく変動している。光混合空間の中央部に近い位置では、G相対輝度の方がR相対輝度よりも大きいが、側壁6(の内面6f)からの距離が約6.0mmの位置では、G相対輝度とR相対輝度が一致し、その位置よりも側壁6に近い領域では逆転して、R相対輝度の方がG相対輝度よりも大きくなっている。
【0079】
色度x値と色度y値については、色度x値が色度y値よりも大きく、側壁6(の内面6f)からの距離が約6.0mmの位置より側壁6に近い領域では、その差がさらに増大している。
【0080】
その結果、側壁6の内面6aにせり出し(突出部P)がない図4Aのバックライト装置では、光混合空間の端部でのR、G、B三色の光の混色割合が、光混合空間の中央部での混色割合とは異なるため、最外部LED1の混色割合が増加し、その結果、表示領域の端部に「色ムラ」が生じる。この現象は、バックライト装置のキャビティ厚み(本実施形態では14mm)が薄くされたり、LEDクラスター1A内の各色のLED1の配置ピッチ(本実施形態では5mm)が拡大されたりすると、いっそう顕著になる。
【0081】
これに対し、本発明の第1実施形態のバックライト装置では、最外部LED1とその内側に隣接する他のLED1との間の出射光分布の相違に対して、最外部LED1から発する光の一部を、側壁6のせり出した部分(突出部P)の面6aと6bで吸収することにより、光混合空間の端部での出射光分布を最外部LED1に隣接するLED1の出射光分布に一致させることができる。その結果、各LED1からの各色の光の混色割合が、光混合空間の中央部と端部で同等となるから、液晶パネル9の表示領域の端部での色ムラが改善される。これは図5Bに明瞭に現れている。
【0082】
すなわち、図5Bに示すように、G相対輝度とR相対輝度は、図5Bに記載された全範囲にわたってほぼ一致している。また、光混合空間の中央部に近い位置からその端部まで、図5Bに記載された全範囲にわたってG相対輝度とR相対輝度がほぼ一致し、その変動も小さい。色度x値と色度y値については、図5Bに記載された全範囲にわたって、色度x値が色度y値よりも少し大きく、その差はほぼ一定している。
【0083】
その結果、本発明の第1実施形態のバックライト装置では、光混合空間の端部でのR、G、B三色の光の混色割合が、光混合空間の中央部での混色割合とほぼ一致し、したがって、表示領域の端部に「色ムラ」が生じない。これは、バックライト装置のキャビティ厚み(本実施形態では14mm)が薄くされたり、LEDクラスター1A内の各色のLED1の配置ピッチ(本実施形態では5mm)が拡大されたりしても、同じである。
【0084】
なお、前述のシミュレーションで使用したLEDアレイは、図2に示したように、R、G、G、Bの光をそれぞれ発する4個のLED1が、正方形をなすように配置されて、一つのクラスター1Aを構成し、LED1の配置は、Rの光を発するLED1の両側にGの光を発する二つのLED1が並び、Bの光を発するLED1がRの光を発するLED1の一つの対角線上に置かれている。そして、Gの光を発する二つのLED1が、もう一つの対角線上に置かれている。しかし、本発明はこの配置に限定されるものではない。
【0085】
また、本第1実施形態では、液晶パネル9の表示領域の端部は、側壁6の支持面6cの角(交線6d)と、せり出した部分の先端(交線6e)との間に配置しているが、液晶パネル9の表示領域の周囲の額縁に余裕があれば、液晶パネル9の表示領域の端部は、側壁6の支持面6cの角(交線6d)と重なる位置でもよい。要は、液晶パネル9の表示領域の端部が、支持面6cの角(交線6d)上か、それより表示領域側の任意の位置にあればよい。
【0086】
本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置は、上述した第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置に液晶パネル9を組み合わせて構成されるので、この直下型LEDバックライト装置と同じ効果が得られることが明らかである。
【0087】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係る直下型LEDバックライト装置に使用したLEDアレイの構成を示す、発光面側(光学部材群8の側)から見た部分平面図である。
【0088】
図6に示すように、第2実施形態では、LEDクラスター1Aのレイアウトが千鳥状となっており、その点で上述した第1実施形態とは異なっている。それ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じである。
【0089】
LEDクラスター1Aのレイアウトが千鳥状であるため、クラスター1A間の距離を一定にすることができる。また、クラスター1A間の距離が一定なので、当該バックライト装置全体でLED1からの各色の光がバランスよく混色され、したがって、上記第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置よりも、表示領域全体で色ムラをいっそう低減させることが可能である。
【0090】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図である。
【0091】
図7に示すように、第3実施形態では、バックライト装置の構成自体は上述した第1実施形態と同じであるが、側壁6の実装基板2の側にある面6aと面6bの光学特性が異なっている。すなわち、上述した第1実施形態では、側壁6の反射面3と平行な面6aと、その面6aに続き反射面3と直交する面6bが、いずれも非反射特性(光を吸収する特性)を持っている。これに対し、第3実施形態では、面6aは反射特性を持ち、面6bは光吸収特性を持っている。それ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じである。
【0092】
面6aと面6bの光学特性は、第3実施形態で述べたものに限定されず、それ以外の任意の組み合わせが可能である。例えば、面6aは光吸収特性を持つが、面6bは反射特性を持ってもよいし、面6aと6bの双方が反射特性を持ってもよい。
【0093】
光吸収や反射の特性自体を変えてもよい。例えば、白色に着色することで拡散反射特性を持たせてもよいし、鏡面反射特性としてもよい。
【0094】
本第3実施形態の直下型LEDバックライト装置においては、上記第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置と同じ効果に加え、面6aと面6bの光学特性を調整することで、側壁6を製造した後でも輝度分布の微調整が可能であるという効果もある。
【0095】
(第4〜6実施形態)
図8(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の第4〜第6実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図である。
【0096】
第4〜6実施形態は、上記第1実施形態における側壁6の変形例に相当する。側壁6は、その内面6fが、LEDアレイの近傍において、実装基板2に沿って光混合空間(キャビティ)の中央部に近づく方向に突出した突出部Pを含んでいて、最外部LED1の発光面の少なくとも一部が、突出部Pと重なっていて光学部材群8の側からは見えない位置にあればよいので、いろいろな形状にすることができる。
【0097】
第4実施形態の直下型LEDバックライト装置は、図8(a)に示すように、上記第1実施形態では実装基板2に対して平行であった面6aが、実装基板2に対して発光面の側に傾斜している。
【0098】
第5実施形態の直下型LEDバックライト装置は、図8(b)に示すように、上記第1実施形態では全体が実装基板2に対して傾斜していた内面6fの途中で、LEDアレイの近傍に、断面が矩形(方形)の突出部Pを形成し、その突出部Pの光学部材群8の側の部分を取り除いた構成になっている。突出部Pの断面形状や、突出部Pの光学部材群8の側の部分の形状は、任意に変更可能である。
【0099】
第6実施形態の直下型LEDバックライト装置は、図8(c)に示すように、上記第1実施形態では全体が実装基板2に対して傾斜していた内面6fが、実装基板2に対して直交しており、側壁6の面6aより光学部材群8の側にある部分全体が、同じ厚さに保たれている。表示領域の端部に対して液晶表示装置の額縁に余裕がある場合は、図8(c)のような構成も可能である。
【0100】
本第4〜6実施形態の直下型LEDバックライト装置においても、上記第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置と同じ効果が得られることは、明らかである。
【0101】
(第7実施形態)
図9は、本発明の第7実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の構成を示す要部断面図である。
【0102】
第7実施形態は、側壁6の内面6fの突出部Pを曲面により形成したものであり、図8(b)に示す第5実施形態の直下型LEDバックライト装置の側壁6の突出部Pを、二つの凹状の湾曲面から形成し、その突出部Pの先端を鋭利にしたものに相当する。
【0103】
第7実施形態の直下型LEDバックライト装置は、上記第1実施形態では実装基板2に対して平行であった面6aと、実装基板2に対して直交していた面6bとが、一つの凹状の湾曲面6gになっている。
【0104】
本第7実施形態の直下型LEDバックライト装置においても、上記第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置と同じ効果が得られるが、それに加えて、側壁6の内面6fと面6gの湾曲状態を変えることによって、側壁6で拡散反射する光の正反射成分の方向を調整し、もって輝度分布の微調整を行うことができる、という効果もある。
【0105】
(第8実施形態)
図10は、本発明の第8実施形態に係る直下型LEDバックライト装置の側壁6の構成を示す、発光面側から見た部分平面図である。
【0106】
図10に示すように、第8実施形態では、側壁6が、隣接するLEDクラスター1Aの間に切り欠き部10を有している点で上述した第1実施形態とは異なっている。それ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じである。
【0107】
隣接するLEDクラスター1Aの間の領域では、LED1から発する光が光学部材群8に到達しにくいが、側壁6に突出部Pを設けることにより、最外部LED1からの光がいっそう到達しにくくなる恐れがある。このような懸案を解消するため、第8実施形態では、隣接するLEDクラスター1Aの間において側壁6に切り欠き部10を設けたものである。切り欠き部10を設けたことにより、隣接するLEDクラスター1Aの間では側壁6が存在しないのと同等になるので、最外部LED1からの光が光学部材群8に到達しにくくなる恐れがない。
【0108】
本第8実施形態の直下型LEDバックライト装置においても、上記第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置と同じ効果が得られる。また、LEDクラスター1A間のピッチが制限されて、当該バックライト装置のキャビティ厚みに対して、輝度ムラに対する十分なマージンを取れない場合でも、色ムラの発生を抑制できる、という効果もある。
【0109】
(第9実施形態)
図11は、本発明の第9実施形態に係る直下型LEDバックライト装置に使用されるLEDクラスターの構成を示す平面図である。
【0110】
第9実施形態は、表示装置の用途に応じて、図11に示すように、LEDクラスター1A内のLED1の組み合わせを変えるものである。
【0111】
図11(a)は、R、G、G、Bの四つのLED1を組み合わせた場合であり、高輝度、広色度域が必要な用途に適合する。上記第1実施形態で使用された組み合わせである。
【0112】
図11(b)は、R、G、Bの三つのLED1を組み合わせた場合であり、低輝度、広色度域が必要な用途に適合する。
【0113】
図11(c)は、W、R、G、Bの四つのLED1を組み合わせた場合であり、高効率、低消費電力が必要な用途に適合する。
【0114】
図11(d)は、W、G、Bの三つのLED1を組み合わせた場合であり、特定の色度範囲のみの色度調整と、高効率、低消費電力が必要な用途に適合する。
【0115】
図11(e)は、W、R、Gの三つのLED1を組み合わせた場合であり、これも、特定の色度範囲のみの色度調整と、高効率、低消費電力が必要な用途に適合する。
【0116】
このように、LEDクラスター1A内のLED1の組み合わせ方によって、バックライト装置の特性が変わる。R、G、Bの3色のLEDの使用だけでなく、例えば、R、G、B3色のLEDよりも高効率なWのLEDを、R、G、B3色のLEDに組み合わせると、消費電力を抑えつつ、R、G、B3色のLEDによる白色点の可変が可能となる。また、前述したWのLEDと、R、G、Bの3色からRまたはBを除いた、W、G、B、ないしW、R、Gの3色のLEDとの組み合わせでもよい。この組み合わせでは、W、R、G、Bの4色の組み合わせよりも1色少ないため、白色点可変時のLED出力制御の制御規模を抑え、且つ使用するLEDも少なくできるため、表示装置のコストダウンに寄与する。
【0117】
これらの組み合わせでは、LEDクラスター1A内のLED1の配置は、光学的に色度のバランスが取れるように、正方形状、三角形状、菱形状等に配置される。
【0118】
本第9実施形態で述べた用途は、一例であるが、本発明は、LEDクラスター1A内のLED1の組み合わせだけに限定されるものではない。図示してはいないが、1パッケージ内に複数色のLED1(のチップ)が配置されているものを用いてもよい。
【0119】
本第9実施形態の直下型LEDバックライト装置においても、上記第1実施形態に係る直下型LEDバックライト装置と同じ効果が得られる。また、表示装置の用途に応じて最適な特性を提供することができる、という効果もある。
【0120】
(第10実施形態)
図12は、本発明の第10実施形態に係る直下型LEDバックライト装置に使用したLED光源の構成を示す、発光面側から見た部分平面図である。
【0121】
図12に示すように、第10実施形態では、LED1がクラスター1Aの形になっていなくて、R、G、Bの3色のLED1が所定の順序で、一方向に直線状に配置されたLED列1Bとなっている点で、上述した第1実施形態とは異なっている。それ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じである。
【0122】
各LED列1Bでは、R、G、Bの三色のLED1が複数個、一方向(図12では上下方向)に所定ピッチで並列されて、棒状LED群となっている。この配列の仕方は、棒状の蛍光灯の場合と同様である。反射面3上には、複数のLED列1B(棒状LED群)が、LED列1Bの延在方向に対して直交する方向(図12では左右方向)に一定ピッチで配置されている。
【0123】
本実施形態では、LED列1Bを使って棒状LED群とすることにより、側壁6の突出部Pは、LED列1Bの両端が位置する向かい合った二つの箇所(内面6f)のみに設ければ足りるから、それだけ側壁6の構造が簡単になる。このため、LED列1Bの最外部(図12では上端部と下端部)のLED1が位置する部分において、側壁6の内面6fに突出部Pを設けることにより、上記第1実施形態と同様に色ムラを改善できる。
【0124】
また、LED列1Bが、当該バックライト装置のキャビティ厚みに対して十分な狭ピッチで配置され、且つ、側壁6のLED列1Bの配置方向(図12では左右方向)と平行な部分(図12では左右両端部)に十分近く配置されている場合は、その部分にも突出部Pを形成することが可能である。こうすることで、側壁6のLED列1Bの配置方向(図12では左右方向)と平行な部分(図12では左右両端部)で発生する輝度ムラの発生を抑制することができる。
【0125】
(第11実施形態)
図13は、本発明の第11実施形態に係る直下型LEDバックライト装置に使用したLEDの構成を示す、発光面側から見た部分平面図である。
【0126】
図13に示すように、第11実施形態では、白色のLED1のみが光源として使用されている。そして、白色LED1が、上記第10実施形態と同様に、バックライト装置のキャビティ厚みに対して十分な狭ピッチで配置され、且つ、LEDアレイの最外部のLED1がバックライト装置の側壁6に近接して配置されている。側壁6の突出部Pは、上記第1実施形態と同様に、最外部のLED1の発光面の一部を覆うように形成されている。
【0127】
本実施形態では、LEDアレイ内での白色LED1間の距離が一定なので、当該バックライト装置全体でLED1からの白色の光の輝度ムラを抑制することが可能である。
【0128】
(変形例)
上述した第1〜第11の実施形態は本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0129】
例えば、側壁6の内面6fに設けた突出部Pの構造は、上記実施形態で説明したものに限定されず、任意に変更が可能である。また、LED1のレイアウトも、上記実施形態で説明したものに限定されず、任意に変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、LEDを光源として使った直下型LEDバックライト装置と、それを用いた液晶表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0131】
1 LED
1A LEDクラスター
1B LED列
2 実装基板
3 反射面
4 拡散板
5 光学シート群
6 側壁
6a 面
6b 面
6c 支持面
6d 交線
6e 交線
6f 内面
6g 面
7 筐体
8 光学部材群
9 液晶パネル
10 切り欠き部
P 突出部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15