特許第5920650号(P5920650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920650
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/30 20060101AFI20160428BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20160428BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20160428BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20160428BHJP
【FI】
   H01M2/30 B
   H01M2/04 A
   H01M2/08 A
   H01G11/78
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-279840(P2011-279840)
(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2012-151098(P2012-151098A)
(43)【公開日】2012年8月9日
【審査請求日】2014年11月27日
(31)【優先権主張番号】特願2010-293138(P2010-293138)
(32)【優先日】2010年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2010-293140(P2010-293140)
(32)【優先日】2010年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(72)【発明者】
【氏名】岡本 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】長縄 伸之
(72)【発明者】
【氏名】吉竹 伸介
(72)【発明者】
【氏名】中村 純
(72)【発明者】
【氏名】▲堤▼ 雅和
【審査官】 山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−097764(JP,A)
【文献】 特開平07−032490(JP,A)
【文献】 特開2010−040533(JP,A)
【文献】 特開2003−092103(JP,A)
【文献】 特開平11−195561(JP,A)
【文献】 特開2008−251213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/04−08
H01M 2/20−30
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電要素と、
該発電要素を収容するケースと、
該ケースの外面に配置される端子回り止め部材であって、該ケースの外面に対向する接合面を有する端子回り止め部材と、
端子回り止め部材に支持され、前記発電要素と電気的に接続される外部端子とを備え、
前記ケースは、該ケースの外面の所定領域に、前記端子回り止め部材の前記接合面の少なくとも一部を受け入れ可能な非円形状の凹部を有し、
前記端子回り止め部材の前記ケースの凹部に嵌入される部位は、該凹部と対応する形状を有し、
前記端子回り止め部材は、無機繊維を含む合成樹脂部材であり、少なくとも前記接合面に前記無機繊維が露出した状態で、前記ケースの外面に接着される
蓄電素子。
【請求項2】
前記ケースの外面に配置される封止部材であって、該ケースの外面に対向する接合面を有する封止部材と、
該封止部材に支持される補助端子であって、前記ケースの内外を貫通し、前記発電要素と電気的に接続されると共に、前記外部端子と電気的に接続される補助端子とをさらに備える
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記端子回り止め部材は、前記封止部材よりも硬度が高い材料を用いて形成される
請求項2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記ケースは、該ケースの外面の所定領域に、前記封止部材の前記接合面の少なくとも一部を受け入れ可能な非円形状の凹部を有する
請求項2又は請求項に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記端子回り止め部材と前記封止部材とは、近接して配置され、
前記封止部材用の凹部の面積は、前記端子回り止め部材用の凹部の面積よりも大きい
請求項に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記端子回り止め部材は、周回状の外壁部と、該外壁部内の凹部とを備え、
前記外部端子は、前記端子回り止め部材の前記凹部内に挿入される大きさに形成された頭部と、
該頭部の一面から突出する軸部とを備え、
前記端子回り止め部材の前記外壁部は、前記端子回り止め部材の前記凹部が前記外部端子の前記頭部を全体的ないし略全体的に収容する高さに形成される
請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の蓄電素子。
【請求項7】
前記外部端子は、頭部と、該頭部の一面から突出する軸部とを備え、
該軸部は、雄ネジ部を有する
請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の蓄電素子。
【請求項8】
前記端子回り止め部材は、接着剤によって前記ケースの外面に接着される
請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の蓄電素子。
【請求項9】
前記端子回り止め部材は、エポキシ樹脂系の接着剤によって前記ケースの外面に接着される
請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の蓄電素子。
【請求項10】
前記端子回り止め部材は、導電性の物質を含む
請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部端子を備える蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両(自動車、自動二輪車等)や各種機器(携帯端末、ノート型パソコン等)の動力源として、電池(リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等)やキャパシタ(電気二重層キャパシタ等)といった放充電可能な蓄電素子が採用されている。例えば、電池は、発電要素と、該発電要素を収容するケース本体及び該ケース本体の開口部を塞ぐ蓋板からなるケースとを備える。そして、外部端子が蓋板の外面に配置され、集電体が発電要素に接続され、該集電体がケース内に配置され、外部端子と集電体とが直接又は間接に接続される。これにより、外部端子と発電要素とが電気的に接続される。
【0003】
外部端子と集電体とを接続する方法は、大きく分けて二種類ある。一つは、外部端子と集電体とが直接的に接続される方法である。もう一つは、外部端子と集電体とが補助端子及び接続導体を介して間接的に接続される方法である。
【0004】
前者の方法では、胴部、該胴部の下面から突出するかしめ部、及び該胴部の上面から突出する雄ネジ部で構成される外部端子が用いられる。そして、封止部材を介して蓋板の外面に外部端子が配置され、該外部端子のかしめ部がケース内の集電体の貫通孔に挿通され、該貫通孔から下方に突出するかしめ部の先端部分が下方からかしめる。これにより、外部端子と集電体とが直接的に接続される(特許文献1)。
【0005】
後者の方法では、胴部、該胴部の下面から突出する第一かしめ部、及び該胴部の上面から突出する第二かしめ部で構成される補助端子と、頭部、該頭部の上面から突出する雄ネジ部で構成される外部端子と、補助端子の第二かしめ部、外部端子の雄ネジ部がそれぞれ挿通される貫通孔を有する接続導体とが用いられる。そして、封止部材を介して蓋板の外面に補助端子が配置され、該補助端子の第一かしめ部がケース内の集電体の貫通孔に挿通され、該貫通孔から下方に突出する第一かしめ部の先端部分が下方からかしめる。また、封止部材を介して蓋板の外面に外部端子が配置され、補助端子の第二かしめ部と外部端子の雄ネジ部とが接続導体の挿通孔に挿通され、該貫通孔から上方に突出する第二かしめ部の先端部分が上方からかしめる。これにより、外部端子と集電体とが補助端子及び接続導体を介して間接的に接続される(特許文献2)。
【0006】
そして、何れの方法であっても、外部機器のリード線の圧着端子が外部端子の雄ネジ部に嵌められ、該雄ネジ部にナットが締め付けられる。これにより、リード線の圧着端子が発電要素と電気的に接続される。これにより、外部機器が電池と電気的に接続される。
【0007】
後者の方法によれば、外部端子と補助端子とが分離されているため、ナットが締め付けられる際に外部端子に加わる回転トルクが補助端子に伝達されることはない。そのため、補助端子が回転することにより、補助端子の、集電体の接続部とのかしめが緩み、接続が損なわれる、という問題は生じない。その点、後者の方法は、前者の方法よりも優れている。
【0008】
しかしながら、後者の方法であっても、ナットが締め付けられる際に外部端子に加わる回転トルクが封止部材に直接加わる。そのため、封止部材による封止が損なわれる、という懸念がある。この点を解決するために、封止部材とは別に端子回り止め部材が設けられ、外部端子がこの端子回り止め部材を介して蓋板の外面に配置される、という構造が提案されている(特許文献3)。
【0009】
ところで、上記特許文献1に記載された封止部材(特許文献1では「上パッキン板6」)や上記特許文献2に記載された封止部材(特許文献2では「絶縁封止材7」)だけでなく、上記特許文献3に記載された端子回り止め部材(特許文献3では「回り止め部材10」)も、ナットが締め付けられる際に外部端子の回り止めを行うため、外部端子から回転トルクを受けることになる。従って、これら封止部材や端子回り止め部材(何れも樹脂製であるため、総称して「樹脂部材」という)は、蓋板の外面に強固に固定されて、外部端子からの回転トルクに打ち勝てるようにする必要がある。
【0010】
この点、特許文献3では、蓋板の外面における端子回り止め部材の固着位置の金属面が微細な凹凸面となるように加工され、これを囲むように金型が配置され、溶融した樹脂が流し込み固化されて、端子回り止め部材が成形される方法や、端子回り止め部材が蓋板の外面に直接射出成形される方法が開示される(段落0036参照)。
【0011】
しかしながら、これらの方法は、作業工程が複雑で、コストがかかる。また、この種の問題は、キャパシタ(電気二重層キャパシタ等)についても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−357833号公報
【特許文献2】特開2003−346774号公報
【特許文献3】特開2010−97764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、簡潔にして低コスト化を図ることができる、樹脂部材の新規斬新な固着構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る蓄電素子は、
発電要素と、
該発電要素を収容するケースと、
該ケースの外面に配置される端子回り止め部材であって、該ケースの外面に対向する接合面を有する端子回り止め部材と、
端子回り止め部材に支持され、前記発電要素と電気的に接続される外部端子とを備え、
前記ケースは、該ケースの外面の所定領域に、前記端子回り止め部材の前記接合面の少なくとも一部を受け入れ可能な非円形状の凹部を有し、
前記端子回り止め部材の前記ケースの凹部に嵌入される部位は、該凹部と対応する形状を有し、
前記端子回り止め部材は、無機繊維を含む合成樹脂部材であり、少なくとも前記接合面に前記無機繊維が露出した状態で、前記ケースの外面に接着される。
【0015】
そのうち、第一態様に係る蓄電素子として、
ケースの外面に配置される封止部材であって、該ケースの外面に対向する接合面を有する封止部材と、
該封止部材に支持される補助端子であって、ケースの内外を貫通し、発電要素と電気的に接続されると共に、外部端子と電気的に接続される補助端子とをさらに備える。
【0018】
かかる構成によれば、端子回り止め材は、外部端子の回り止めを行うため、外部端子から回転トルクを受けることになる。しかしながら、端子回り止め部材は、少なくともケースとの接合面に無機繊維が露出した状態で、ケースの外面に接着される。これにより、端子回り止め部材は、ケースとの接着強度が向上し、蓋板の外面に強固に固定され、外部端子からの回転トルクに打ち勝つことができる。その結果、端子回り止め部材が外部端子と供回りするのを防止することができる
かかる構成によれば、端子回り止め部材は、外部端子の回り止めを行うため、外部端子から回転トルクを受けることになる。しかしながら、端子回り止め部材の接合面の少なくとも一部とケースの凹部とが凹凸嵌合することにより、端子回り止め部材は、外部端子からの回転トルクによって外部端子と供回りすることなく、確実に回り止めされる。そして、かかる効果は、端子回り止め部材が、少なくともケースとの接合面に無機繊維が露出した状態で、ケースの外面に接着することと併せると、さらに顕著となる。また、ケースの外面に凹部が形成されることにより、ケースの機械的強度を高めることができる。
【0019】
尚、樹脂部材とは別に封止部材が設けられる場合(第一態様に係る蓄電素子の場合)、端子回り止め部材は、封止部材よりも硬度が高い材料を用いて形成される、のが好ましい。
【0020】
封止部材と端子回り止め部材とが分離されていれば、外部端子に加わる回転トルクが補助端子や封止部材に伝達されることはない。従って、補助端子と集電体との接続強度の低下や封止部材の封止効果の低下といった事態は生じない。そして、封止部材と端子回り止め部材とが分離されていれば、封止部材には、封止部材として適切な硬度の材質を選択し、端子回り止め部材には、外部端子からの回転トルクに耐えるのに適切な硬度の材質を選択することが可能となる。通常、封止部材が弾性変形して導電性部材(ケース、補助端子)の表面と密着することにより、封止効果が高まる。そのため、封止部材には、ある程度の柔軟性が要求される。一方、端子回り止め部材の柔軟性が強いと、外部端子からの回転トルクによって、外部端子との嵌合部が摩耗、欠損しやすくなり、それが進行すれば、外部端子の回り止め機能が機能しなくなる。そのため、端子回り止め部材には、外部端子からの回転トルクに耐えるだけの剛性が要求される。そこで、端子回り止め部材には、封止部材より硬度が高い合成樹脂材料やセラミック材料などの材料が用いられる。これにより、封止部材には、高い封止効果を、端子回り止め部材には、摩耗、欠損しにくい剛性を、それぞれ独立的に付与することができる。
【0022】
また、本発明に係る蓄電素子の他態様として、ケースは、該ケースの外面の所定領域に、封止部材の接合面の少なくとも一部を受け入れ可能な非円形状の凹部を有する、ようにすることができる。
【0023】
かかる構成によれば、封止部材は、外部端子の回り止めを行うため、外部端子から回転トルクを受けることになる。しかしながら、封止部材の接合面の少なくとも一部とケースの凹部とが凹凸嵌合することにより、封止部材は、外部端子からの回転トルクによって外部端子と供回りすることなく、確実に回り止めされる。そして、かかる効果は、封止部材が、少なくともケースとの接合面に無機繊維が露出した状態で、ケースの外面に接着することと併せると、さらに顕著となる。また、ケースの外面に凹部が形成されることにより、ケースの機械的強度を高めることができる。
【0024】
尚、封止部材と絶縁部材とが分離されている場合(第一態様に係る蓄電素子の場合)、上述のとおり、外部端子に加わる回転トルクが補助端子や封止部材に伝達されることはない。そのため、封止部材に対する回り止め対策として、ケースの外面に凹部を形成する積極的な理由はない。しかしながら、ケースの外面に凹部が形成されることにより、ケースの当該所定領域における断面モーメントが上がる。そのため、ケースの機械的強度を高めることができる。
【0025】
この場合、端子回り止め部材と封止部材とは、近接配置され、封止部材用の凹部の面積は、端子回り止め部材用の凹部の面積よりも大きい、ようにすることができる。
【0026】
例えば、封止部材用の凹部が、封止部材の対向面全面を受け入れ可能な大きさに形成され、また、端子回り止め部材用の凹部が、端子回り止め部材の対向面全面を受け入れ可能な大きさに形成されると、両凹部が接近し、相互に影響を与えるおそれがある。しかしながら、一方が小さく形成されることにより、両凹部を離間させることができる。しかも、端子回り止め部材用の凹部ではなく、封止部材用の凹部が大きく形成されることにより、封止部材用の凹部の平坦性及び機械的強度が向上する。そのため、封止部材の封止効果及び耐久性を向上させることが可能となる。
【0027】
また、本発明に係る蓄電素子の別の態様として、
端子回り止め部材は、周回状の外壁部と、該外壁部内の凹部とを備え、
外部端子は、端子回り止め部材の凹部内に挿入される大きさに形成された頭部と、該頭部の一面から突出する軸部とを備え、
端子回り止め部材の外壁部は、端子回り止め部材の凹部が外部端子の頭部を全体的ないし略全体的に収容する高さに形成される、
ようにすることができる。
【0028】
かかる構成によれば、蓄電素子が、結露などで発生する水滴や導電性雰囲気(静電気やダスト)に晒された場合であっても、端子回り止め部材の外壁部がカバー(あるいは遮断壁)となる。これにより、ケースと外部端子との間の短絡を好適に防止することができるようになる。
【0029】
また、本発明に係る蓄電素子のさらなる別の態様として、外部端子は、頭部と、該頭部の一面から突出する軸部とを備え、該軸部は、雄ネジ部を有する、ようにすることができる。
【0030】
かかる構成によれば、例えば、外部機器のリード線の圧着端子が外部端子の軸部に嵌められ、該軸部にナットが締め付けられて、外部機器と外部端子とが電気的に接続される。従って、外部端子は、ナットが締め付けられる際、回転トルクを受けることになる。また、これに伴い、端子回り止め部材は、外部端子から回転トルクを受けることになる。しかしながら、上述のとおり、端子回り止め部材は、蓋板の外面に強固に固定されているため、外部端子と供回りすることはない。
【0031】
また、本発明に係る蓄電素子の別の態様として、端子回り止め部材は、接着剤によってケースの外面に接着される、ようにすることができる。
また、端子回り止め部材は、エポキシ樹脂系の接着剤によってケースの外面に接着されてもよい。
また、端子回り止め部材は、導電性の物質を含んでもよい。
【発明の効果】
【0032】
以上の如く、樹脂部材が、少なくともケースとの接合面に無機繊維が露出した状態で、ケースの外面に接着される本発明によれば、簡潔にして低コスト化を図ることができる、樹脂部材の新規斬新な固着構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る電池の斜視図を示す。
図2】同電池の側面図を示す。
図3図1のA−A線断面図を示す。
図4図1のB−B線断面図を示す。
図5】同電池の端子部の拡大断面図を示す。
図6】同端子部の上方から見た分解斜視図を示す。
図7】同端子部の下方から見た分解斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態である電池について、図面を参酌しつつ説明する。本実施形態に係る電池は、非水電解質二次電池、より詳しくは、リチウムイオン二次電池である。本実施形態に係る電池は、図1図4に示す如く、ケース本体2と、該ケース本体2の開口部を塞いで密閉する蓋板3とで構成されるケース1を備えている。また、蓋板3には、ケース1内に収納された発電要素4と電気的に接続された端子構造9が設けられている。
【0035】
ケース1のケース本体2及び蓋板3は、アルミニウム合金や鋼等の金属部材である。ケース本体2は、長円筒形状にされた巻回型の発電要素4を収納すべく、幅方向に偏平な有底角筒体である。蓋板3は、ケース本体2の開口部に対応した長方形状の板材である。蓋板3は、ケース本体2の開口部に嵌め込まれてレーザ溶接等により密閉固定されている。
【0036】
発電要素4は、帯状の正極シート5と帯状の負極シート6とを、その間に帯状のセパレータ7を挟んだ状態で、左右の異なる方向にずらし、左右方向の回転軸を中心に上下に長円となる長円筒形状に巻回したものである。発電要素4は、絶縁性シートで形成した絶縁カバー(図示しない)で全体が覆われ、ケース1と絶縁された状態で、該ケース1内に収納されている。正極シート5は、アルミニウム箔の表面に正極活物質を担持させたものである。負極シート6は、銅箔の表面に負極活物質を担持させたものである。正極シート5及び負極シート6は、それぞれ左右のずれ方向の端縁部に、活物質の未塗工部を有している。これにより、発電要素4の左右の端部では、アルミニウム箔や銅箔が露出し、これら電極の金属箔が巻回された巻き束状のままはみ出している。
【0037】
また、発電要素4の左右の端部にはみ出した金属箔には、それぞれ集電体8が電気的に接続されている。集電体8は、上下に長尺な導電性金属部材である。より詳しくは、正極の集電体8は、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いて形成され、負極の集電体8は、銅又は銅合金を用いて形成されている。集電体8の上部は、水平に折り曲げられて接続部8aとされる。該接続部8aより下方の部分は、前後に二股に分けられて下方に突出している。そして、この二股に分けられた部分は、発電要素4の端部と共に、図示しない挟持板に挟まれて、超音波溶接等により接続固定されている。
【0038】
端子構造9は、正極の端子構造9と負極の端子構造9とを備えている。各端子構造9は、図5図7に詳細に示されるように、蓋板3の左右の端部に形成されたそれぞれの貫通孔3aを内外で挟むようにして配置された樹脂プレート10及び外部ガスケット11と、該樹脂プレート10及び外部ガスケット11を介して貫通孔3aに挿通され、集電体8の接続部8aと電気的に接続されるリベット12と、外部ガスケット11に近接して配置された端子回り止め部材13と、該端子回り止め部材13を介して蓋板3の外面に配置された端子ボルト14と、該端子ボルト14とリベット12とを電気的に接続する接続板15とを備えている。これにより、ケース1内の発電要素4と端子ボルト14とが電気的に接続される。
【0039】
尚、樹脂プレート10、外部ガスケット11及び端子回り止め部材13は、樹脂製であるので、樹脂部材に相当する。また、樹脂プレート10、外部ガスケット11及び端子回り止め部材13は、絶縁機能を有するので、絶縁部材に相当する。特に、外部ガスケット11は(場合によれば、樹脂プレート10も)、封止機能も有するので、封止部材にも相当する。リベット12は、補助端子に相当する。端子ボルト14は、外部端子に相当する。接続板15は、接続導体に相当する。
【0040】
樹脂プレート10は、少なくとも絶縁性を備えた合成樹脂部材である。より詳しくは、樹脂プレート10には、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が用いられる。但し、材質はこれに限定されるものではなく、適宜選択可能である。樹脂プレート10は、長方形状である。樹脂プレート10の下面には、集電体8の接続部8aを受け入れ可能な凹部10aが形成されている。樹脂プレート10は、その凹部10aが集電体8の接続部8aを受け入れた状態で、該接続部8aに形成された貫通孔8bと一致する貫通孔10bを有している。
【0041】
外部ガスケット11は、絶縁性と封止性を備えた合成樹脂部材である。より詳しくは、外部ガスケット11には、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が用いられる。但し、材質はこれに限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0042】
外部ガスケット11は、リベット12の胴部12aより一回り大きい矩形状である。外部ガスケット11は、外周部を除いて上面を窪ませることにより、外周に、周回状の外壁部11aを備えている。外部ガスケット11は、外壁部11a内に、リベット12の胴部12aを受け入れ可能な凹部11bを備えている。外部ガスケット11は、その凹部11bがリベット12の胴部12aを受け入れた状態で、該リベット12の第一かしめ部12bを挿通可能な貫通孔11cを有している。外部ガスケット11の下面には、蓋板3の貫通孔3aを挿通して樹脂プレート10の貫通孔10bに挿入される環状凸部11dが形成されている。
【0043】
尚、樹脂プレート10は、蓋板3の下面(内面)に配置される結果、ケース1内に配置される。外部ガスケット11は、蓋板3の上面(外面)に配置される結果、ケース1の外面に配置される。蓋板3の上面のうち、外部ガスケット11が配置される領域には、外部ガスケット11の下部(ブリッジ部)を受け入れ可能な非円形状の凹部(第一凹部)3bが形成されている。そこで、外部ガスケット11の下部(蓋板3との接合面)が第一凹部3bに挿入されることにより、外部ガスケット11は、その軸回りにおける回転が規制された状態となる。尚、本実施形態において、第一凹部3bは、矩形状である外部ガスケット11の下部形状に対応して矩形状に形成されている。また、第一凹部3bは、例えばコイニング加工により形成される。
【0044】
リベット12は、導電性金属部材である。より詳しくは、正極のリベット12は、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いて形成され、負極のリベット12は、銅又は銅合金を用いて形成されている。リベット12の胴部12aの下面から第一かしめ部12bが下方に突出している。リベット12の胴部12aの上面から第二かしめ部12cが上方に突出している。尚、本実施形態において、第一かしめ部12bは中空(筒状)であり、第二かしめ部12cは中実(柱状)である。より詳しくは、第一かしめ部12bは円筒状であり、第二かしめ部12cは円柱状である。但し、形状はこれに限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0045】
ここで、蓋板3の貫通孔3a、集電体8の接続部8aの貫通孔8b、樹脂プレート10の貫通孔10b、外部ガスケット11の貫通孔11c及び環状凸部11d、リベット12の第一かしめ部12bの寸法関係を説明しておく。図5に詳細に示されるように、蓋板3の貫通孔3aの内径と、樹脂プレート10の貫通孔10bの内径とは、同一ないし略同一である。また、蓋板3の貫通孔3aの内径や、樹脂プレート10の貫通孔10bの内径と、外部ガスケット11の環状凸部11dの外径とは、同一ないし略同一である。また、外部ガスケット11の環状凸部11dの長さと、蓋板3及び樹脂プレート10の厚みの合計とは、同一ないし略同一である。また、外部ガスケット11の環状凸部11dの内径と、集電体8の接続部8aの貫通孔8bとは、同一ないし略同一である。また、外部ガスケット11の環状凸部11dの内径や、集電体8の接続部8aの貫通孔8bと、リベット12の第一かしめ部12bの外径とは、同一ないし略同一である。また、リベット12の第一かしめ部12bの長さと、蓋板3、集電体8の接続部8a、樹脂プレート10及び外部ガスケット11の厚みの合計とは、同一ないし略同一である。
【0046】
従って、リベット12の胴部12aが外部ガスケット11の凹部11bに挿入され、リベット12の第一かしめ部12bが該凹部11bの底面の貫通孔11cを通って集電体8の接続部8aの貫通孔8bに挿通され、該接続部8aの貫通孔8bから下方に突出する第一かしめ部12bの先端部分が下方からかしめられる。これにより、リベット12は、集電体8の接続部8aと電気的に接続され且つ蓋板3から絶縁された状態で、蓋板3に取り付けられる。
【0047】
端子回り止め部材13は、樹脂プレート10や外部ガスケット11と同様、絶縁性を備えた合成樹脂部材である。但し、端子回り止め部材13には、樹脂プレート10や外部ガスケット11よりも硬度を高くするために、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂にガラス繊維をフィラーとして均一に混合した強化樹脂材料が用いられる。あるいは、ポリフェニレンサルファイド樹脂の代わりに、4Fパーフル オロ アルキルビニルエーテル(PFA)樹脂が用いられる。また、ガラス繊維以外の無機繊維であってもよい。但し、材質はこれらに限定されるものではなく、適宜選択可能である。但し、端子回り止め部材13は、絶縁性を備えていなくてもよい。ケース1の材質としてアルミニウムやアルミニウム合金が用いられる場合、正極の端子回り止め部材13を非絶縁性とすることで、正極の電位とケース1の電位とを一致させるようにしてもよい。これにより、ケース1の腐食を抑制することができる。また、ケース1の材質として鉄やステンレス鋼が用いられる場合、負極の端子回り止め部材13を非絶縁性とすることで、負極の電位とケース1の電位とを一致させるようにしてもよい。正極又は負極の電位とケース1の電気とを一致させる方法としては、例えば、端子回り止め部材13にフィラーの他に導電性の物質(例えばカーボン)を混合し、半導体化させる方法が挙げられる。
【0048】
端子回り止め部材13は、端子ボルト14の頭部14aより一回り大きい矩形状である。端子回り止め部材13は、外周部を除いて上面を窪ませることにより、外周に、周回状の外壁部13aを備えている。端子回り止め部材13は、外壁部13a内に、端子ボルト14の頭部14aを受け入れ可能な凹部13bを備えている。端子回り止め部材13は、凹部13b内に、非円形状の嵌合凸部13cを備えている。そして、凹部13bが端子ボルト14の頭部14aを受け入れた状態で、嵌合凸部13cは、端子ボルト14の頭部14aに形成された非円形状の嵌合凹部(嵌合凹溝)14cに嵌入する。従って、凹部13b内の嵌合凸部13c(即ち、凹部13b内において、外壁部11aの上端面よりも低い位置にある嵌合凸部13c)が端子ボルト14の頭部14aの嵌合凹部14c内に嵌入することにより、端子回り止め部材13は、端子ボルト14をその軸回りにおける回転を規制した状態で受け入れる。尚、本実施形態において、端子ボルト14の嵌合凹部14cは、頭部14aを一端から他端にかけて切り欠いた矩形状である。そして、端子回り止め部材13の嵌合凸部13cは、矩形状である嵌合凹部14cに対応して矩形状に形成されている。
【0049】
端子回り止め部材13の下面には、非円形状の凸部13dが形成されている。本実施形態において、凸部13dは、矩形状の凸面(隆起面)である。そして、蓋板3の上面のうち、端子回り止め部材13が配置される領域には、端子回り止め部材13の凸部13dを受け入れ可能な非円形状の凹部(第二凹部)3cが形成されている。そこで、端子回り止め部材13の凸部13dが第二凹部3cに挿入されることにより、外部ガスケット11と同様、端子回り止め部材13は、その軸回りにおける回転が規制された状態となる。尚、本実施形態において、第二凹部3cは、矩形状である凸部13dに対応して矩形状に形成されている。また、第二凹部3cは、例えばコイニング加工により形成される。
【0050】
端子回り止め部材13が蓋板3の上面に配置されるに際しては、端子回り止め部材13の下面(凸部13dの表面を含む)が適切な手段で処理されることにより、端子回り止め部材13の下面にガラス繊維が露出するようにする。適切な手段としては、端子回り止め部材13の下面を機械的に削り取ることが好ましい。例えば、やすり等で端子回り止め部材13の下面の表面を削ることにより、ガラス繊維が露出する。次いで、端子回り止め部材13の下面の凸部13dが蓋板3の上面の第二凹部3cに嵌入して、端子回り止め部材13が蓋板3の上面に固定される。この蓋板3に対する端子回り止め部材13の固定方法は、特に限定されないが、例えば、蓋板3の上面(特に、第二凹部3c)及び端子回り止め部材13の下面の少なくとも何れか一方に、適切な接着手段(接着フィルム、液状接着剤、固体状接着剤等)が供給され、該接着手段を介して蓋板3に対して端子回り止め部材13が固定されるようにしてもよい。接着剤としては、一般的な接着剤を用いることができる。但し、エポキシ樹脂系の接着剤が好ましい。エポキシ樹脂は、端子回り止め部材13に用いられる合成樹脂との接着性に劣るが、無機繊維との接着性が良好である。従って、端子回り止め部材13の下面にガラス繊維が露出することにより、端子回り止め部材13が蓋板3に強固に接着される。
【0051】
端子ボルト14は、外部機器と電気的に接続するためのものである。端子ボルト14は、鉄やステンレス鋼、クロムモリブデン鋼等の鋼、その他の強度の高い導電性金属部材である。端子ボルト14は、上述の如く、端子回り止め部材13の凹部13b内に挿入される大きさに形成された頭部14aと、該頭部14aの上面から突出し、外周に雄ネジが刻設された軸部14bとを備えている。上述の如く、頭部14aの下面には、非円形状の嵌合凹部(嵌合凹溝)14cが形成されている。従って、端子ボルト14は、凹部13b内の嵌合凸部13cが該嵌合凹部14c内に嵌入することにより、蓋板3から絶縁され且つ軸部14bの軸回りにおける回転が規制された状態で、端子回り止め部材13に支持されている。
【0052】
接続板15は、銅合金等からなる長方形状の導電性金属部材である。接続板15の表面には、防錆等の他、滑りを良くするためにニッケルメッキが施されている。接続板15の一端部には、第一貫通孔15aが形成され、他端部には、第二貫通孔15bが形成されている。第一貫通孔15aには、リベット12の第二かしめ部12cが挿通される。第二貫通孔15bには、端子ボルト14の軸部14bが挿通される。そして、リベット12の第二かしめ部12cのうち、接続板15の第一貫通孔15aから上方に突出する先端部分が上方からかしめられる。これにより、リベット12と接続板15とが一体化される。
【0053】
尚、端子ボルト14は、その軸部14bが接続板15の第二貫通孔15bに挿通されるだけである。しかしながら、例えば図示しない外部機器のリード線の圧着端子が端子ボルト14の軸部14bに嵌められ、端子ボルト14の軸部14bにナットが締め付けられると、端子ボルト14は僅かに持ち上がり、頭部14aの上面が接続板15の下面に圧接する。これにより、端子ボルト14の頭部14bとナットとの間でリード線の圧着端子が接続板15と共に挟持される。これにより、圧着端子と端子ボルト14と接続板15とが電気的に確実に接続される。従って、リード線の圧着端子は、端子回り止め部材13、外部ガスケット11及び樹脂プレート10によって蓋板3から絶縁された、端子ボルト14、接続板15、リベット12及び集電体8を介して、発電要素4と電気的に接続される。これにより、外部機器と電池とが電気的に接続される。
【0054】
しかも、端子ボルト14の頭部14aの嵌合凹部14cが蓋板3の上面に固定された端子回り止め部材13の凹部13b内の嵌合凸部13cと嵌合することにより、ナットが端子ボルト14の軸部14bに締め付けられることによって供回りしようとする端子ボルト14は、確実に回り止めされる。尚、この際、端子ボルト14の頭部14aの嵌合凹部14cと端子回り止め部材13の凹部13b内の嵌合凸部13cとの間に多少の隙間が生じるものであっても、端子ボルト14がある程度の角度だけ空転するだけであるので、特に支障はない。
【0055】
また、このとき、端子回り止め部材13は、端子ボルト14の回り止めを行うため、端子ボルト14から回転トルクを受けることになる。しかしながら、端子回り止め部材13の下面は、ガラス繊維が露出した状態となって蓋板3の上面に密着されている。これにより、端子回り止め部材13は、蓋板3との摩擦抵抗が向上した状態で固定される。従って、端子回り止め部材13は、端子ボルト14からの回転トルクによって端子ボルト14と供回りすることなく、確実に回り止めされる。そして、この効果は、蓋板3の上面の第二凹部3cと端子回り止め部材13の下面の凸部13dとが凹凸嵌合することによってさらに顕著となっている。また、上述の如く、蓋板3の上面(特に、第二凹部3c)及び端子回り止め部材13の下面の少なくとも何れか一方に接着手段(接着剤等)が供給され、端子回り止め部材13が接着手段によって蓋板3に固定されているため、回り止めがより確実になる。
【0056】
尚、端子ボルト14の軸部14b(雄ネジ部)の周長が短い場合、即ち、端子ボルト14の軸部14bが小径である場合、端子回り止め部材13の材質として、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)などの合成樹脂が単独で用いられるのであれば、端子ボルト14からの回転トルクに耐えられないことがある。しかしながら、ガラス繊維等の無機繊維が合成樹脂に混合されることにより、端子回り止め部材13の強度が向上する。また、それのみならず、コスト削減にもなり得る。
【0057】
また、端子回り止め部材13は、蓋板3上で外部ガスケット11とは分離されているため、リベット12の封止を行う外部ガスケット11に回転トルクが伝達されることはない。従って、外部ガスケット11に不用意な力が加わることはなく、外部ガスケット11による封止(具体的には、外部ガスケット11の下面と蓋板3の上面(第一凹部3bの上面)との間の封止、外部ガスケット11の環状凸部11dの外周面と蓋板3の貫通孔3aの内周面及び樹脂プレート10の貫通孔10bの内周面との間の封止、外部ガスケット11の環状凸部11dの内周面とリベット12の第一かしめ部12bの外周面との間の封止)が損なわれるということはない。
【0058】
また、端子ボルト14の軸部14bに加わる回転トルクは、端子ボルト14とは分離されたリベット12に伝達されることはない。従って、リベット12が回転することにより、リベット12の、集電体8の接続部8aとのかしめが緩み、接続が損なわれる、という問題は生じない。しかも、樹脂プレート10や外部ガスケット11に不用意な力が加わることはなく、樹脂プレート10や外部ガスケット11による封止(具体的には、樹脂プレート10の上面と蓋板3の下面との間の封止、外部ガスケット11の下面と蓋板3の上面(第一凹部3bの上面)との間の封止、外部ガスケット11の環状凸部11dの外周面と蓋板3の貫通孔3aの内周面及び樹脂プレート10の貫通孔10bの内周面との間の封止、外部ガスケット11の環状凸部11dの内周面とリベット12の第一かしめ部12bの外周面との間の封止)が損なわれるということもない。
【0059】
そして、外部ガスケット11と端子回り止め部材13が分離して設けられることにより、外部ガスケット11には、封止部材として適切な硬度の材質を選択し、端子回り止め部材13には、端子ボルト14からの回転トルクに耐えるのに適切な硬度の材質を選択することができるようになる。より詳しくは、外部ガスケット11が弾性変形して導電性部材(蓋板3、集電体8、リベット12)の表面と密着することにより、封止効果が高まるため、外部ガスケット11には、ある程度の柔軟性が要求される。端子回り止め部材13の柔軟性が強いと、端子ボルト14からの回転トルクによって、嵌合凸部13cが摩耗、欠損しやすくなり、それが進行すれば、端子ボルト14の回り止め機能が機能しなくなる。そのため端子回り止め部材13には、端子ボルト14からの回転トルクに耐えるだけの剛性が要求される。
【0060】
ところで、本実施形態のリベット12では、第一かしめ部12bや第二かしめ部12cをかしめることにより生じるリベット12の全体的な塑性変形が抑制されるよう、胴部12aの軸長方向の寸法が従来のものよりも長くなっている。その結果、蓋板3の上面からの接続板15の高さ位置は、従来の端子構造に比べて必然的に高くなる。また、本実施形態の端子回り止め部材13の嵌合凸部13cは、端子回り止め部材13が端子ボルト14を回り止めするにあたり、端子ボルト14から回転トルクを直接受ける部分である。従って、端子回り止め部材13の嵌合凸部13cは、その回転トルクに耐えるだけの強度を有するために、高さ方向の厚みを十分なものにする必要がある。その結果、端子ボルト14の頭部14aの高さ位置は高くなり、これに伴い、やはり、蓋板3の上面からの接続板15の高さ位置は、従来の端子構造に比べて必然的に高くなる。そのため、本実施形態において、外部ガスケット11の外壁部11aは高く、蓋板3の上面から該外壁部11aの上端面までの沿面距離が長くなっている(好ましくは、蓋板3の幅寸法に対する沿面距離の比が0.15〜0.3)。また、端子回り止め部材13の外壁部13aは高く、蓋板3の上面から該外壁部13aの上端面までの沿面距離が長くなっている(好ましくは、蓋板3の幅寸法に対する沿面距離の比が0.15〜0.3)。
【0061】
より詳しくは、外部ガスケット11の外壁部11aは、リベット12の胴部12aを全体的ないし略全体的に収容し、且つ、外壁部11aの上端面が接続板15の下面に当接ないし僅かな間隔を有して離間するように、形成されている。また、端子回り止め部材13の外壁部13aは、端子ボルト14の頭部14aを全体的ないし略全体的に収容し、且つ、外壁部13aの上端面が接続板15の下面に当接ないし僅かな間隔を有して離間するように、形成されている。
【0062】
かかる構成により、電池が、結露などで発生する水滴や導電性雰囲気(静電気やダスト)に晒された場合であっても、外部ガスケット11の外壁部11aや端子回り止め部材13の外壁部13aがカバー(あるいは遮断壁)となる。これにより、蓋板3とリベット12との間の短絡や蓋板3と端子ボルト14との間の短絡が好適に防止される。
【0063】
尚、本発明に係る蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態において、端子回り止め部材13の材質として、合成樹脂材料にガラス繊維をフィラーとして均一に混合した樹脂材料が用いられる例を説明した。しかしながら、かかる樹脂材料は、外部ガスケット11にも適用可能である。そして、上記特許文献1に記載された電池(外部端子と集電体とが直接的に接続される構造の電池)や上記特許文献2に記載された電池(外部端子と集電体とが補助端子及び接続導体を介して間接的に接続される構造の電池)の封止部材にも、かかる樹脂材料を適用可能である。但し、合成樹脂材料(ベース材料)にガラス繊維をフィラーとして均一に混合した樹脂材料は、ガラス繊維を入れないベース材料だけのものに比べて硬度が上がり、柔軟性が低下して封止効果が低下する。従って、ガラス繊維を入れることによる硬度アップを見越して、ベース材料を予め硬度の低いものを選定するのが好ましい。尚、上記特許文献1に記載された電池によれば、補助端子と外部端子とが一体化した形態となっている。従って、部品点数及び製造工程数を削減することができる。
【0065】
また、上記実施形態において、外部ガスケット11の下面全面が蓋板3の上面の第一凹部3bに嵌入される例を示した。しかしながら、外部ガスケット11の下面に凸部が設けられ、蓋板3の第一凹部が該凸部を受け入れ可能な大きさとされ、端子回り止め部材13と同様、外部ガスケット11の凸部が該第一凹部に嵌入されるようにしてもよい。
【0066】
逆に、上記実施形態において、端子回り止め部材13の下面に凸部13dが設けられ、蓋板3の上面には、該凸部13dを受け入れ可能な大きさの第二凹部3cが設けられ、端子回り止め部材13の凸部13dが蓋板3の第二凹部3cに嵌入される例を示した。しかしながら、凸部13dが設けられず、蓋板3の第二凹部が端子回り止め部材13の下面全面を受け入れ可能な大きさとされ、外部ガスケット11と同様、端子回り止め部材13の下面全面が該第二凹部に嵌入されるようにしてもよい。
【0067】
あるいは、蓋板3に第一凹部3bが設けられないために、外部ガスケット11が蓋板3の上面平坦面に配置されるようにしたり、あるいは、蓋板3に第二凹部3cが設けられないために、端子回り止め部材13が蓋板3の上面平坦面に配置されるするようにしてもよい。
【0068】
但し、蓋板3の断面モーメントが上がり、その結果、蓋板3の機械的強度が高められる点で、蓋板3に第一凹部3b及び第二凹部3cが設けられるようにするのが好ましい。また、この場合、第一凹部3b及び第二凹部3cのうち、何れか一方が小さくされることにより、第一凹部3bと第二凹部3cとの距離が離間する。これにより、第一凹部3bと第二凹部3cとが相互に影響を与えないようにすることができる。上記実施形態において、外部ガスケット11用の第一凹部3bが端子回り止め部材13用の第二凹部3cよりも大きい例を示した。これは、第一凹部3bの面積が広くなるにつれ、蓋板3の平坦性及び機械的強度が向上し、その結果、封止効果及び耐久性が向上するためである。
【0069】
尚、外部ガスケット11であれ、端子回り止め部材13であれ、凸部は、一つでなく、複数であってもよい。また、外部ガスケット11及び端子回り止め部材13は、矩形状ではなく、例えば、円形状、六角形状、八角形状であってもよい。
【0070】
また、上記実施形態において、正極の集電体8及び正極のリベット12は、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いて形成され、負極の集電体8及び負極のリベット12は、銅又は銅合金を用いて形成される例を示した。しかしながら、電池の種類に応じた導電性金属材料であれば、これらの材料は任意である。また、上記実施形態において、端子ボルト14と接続板15の材料についても例示した。しかしながら、強度や導電性等の特性が適合する導電性金属材料であれば、これらの材料も任意である。
【0071】
また、上記実施形態において、端子ボルト14の頭部14aの上面から軸部(雄ネジ部)14bが突出する例を示した。しかしながら、この雄ネジの代わりに、円筒形や多角形の筒状等の適宜形状の軸部が突出し、該軸部の上端面に、ねじ穴が穿設されているようにしてもよい。
【0072】
また、発電要素は、上記実施形態の如く、長円筒形状の巻回型のものには限定されず、他の形状のものでもよく、積層型のものであってもよい。
【0073】
また、上記実施形態において、ケース1がアルミニウム合金や鋼等を用いて形成される例を示した。しかしながら、ケース1(ケース本体2及び蓋板3)の材質は任意である。従って、金属以外のものが用いられるし、例えば絶縁性材質が用いられ得る。また、ケース1(ケース本体2及び蓋板3)の形状や構造も上記実施形態に限定されず、任意である。
【0074】
また、上記実施形態において、端子構造9が蓋板3に設けられる例を示した。しかしながら、端子構造9は、ケース本体2に設けられてもよい。
【0075】
また、上記実施形態において、リチウムイオン二次電池について説明した。しかしながら、電池の種類や大きさ(容量)は任意である。
【0076】
また、本発明は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではない。本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタにも適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…ケース、2…ケース本体、3…蓋板、3a…貫通孔、3b…第一凹部(凹部)、3c…第二凹部(凹部)、4…発電要素、5…正極シート、6…負極シート、7…セパレータ、8…集電体、8a…接続部、8b…貫通孔、9…端子構造、10…樹脂プレート(樹脂部材)、10a…凹部、10b…貫通孔、11…外部ガスケット(封止部材)、11a…外壁部、11b…凹部、11c…貫通孔、11d…環状凸部、12…リベット(補助端子)、12a…胴部、12b…第一かしめ部、12c…第二かしめ部、13…端子回り止め部材(樹脂部材)、13a…外壁部、13b…凹部、13c…嵌合凸部、13d…凸部、14…端子ボルト(外部端子)、14a…頭部、14b…軸部、14c…嵌合凹部、15…接続板(接続導体)、15a…第一貫通孔、15b…第二貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7