(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5920680
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
B66B 23/22 20060101AFI20160428BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
B66B23/22 Z
B66B31/00 C
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-9638(P2015-9638)
(22)【出願日】2015年1月21日
【審査請求日】2015年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】岡野 真
【審査官】
藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−169175(JP,A)
【文献】
特開2014−129156(JP,A)
【文献】
特開2005−170674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結された複数の踏段と、
複数の踏段の左右両側に左右一対のデッキと、
左右一対の前記デッキから立設された左右一対の欄干と、
左右一対の前記デッキの乗降口における左右一対の前記欄干にそれぞれ設けられた左右一対のカメラと、
を有し、
前記欄干に撮影用孔が聞口し、前記カメラのレンズ部分が嵌め込まれ、
左右一対の前記カメラの撮影方向が、相対向する前記欄干と前記踏段の方向であり、
前記カメラの撮影角度が水平方向より下向きである、
乗客コンベア。
【請求項2】
前記乗降口と前記乗降口の間にある前記欄干にさらに左右一対のカメラが少なくとも一組設けられている、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
左右一対の前記カメラの撮影方向が、360°である、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記欄干がガラス製である、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記欄干が金属製である、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記カメラは、動画像を撮影し、前記動画像の各フレーム画像から前記乗客を検出する、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
前記カメラは、静止画像を所定時間毎に撮影し、前記静止画像から前記乗客を検出する、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項8】
前記乗客コンベアが、エスカレータ、又は、動く歩道である、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアにおいては、乗り込む乗客の有無、人数などを監視するために、乗客コンベアが配置されている天井にカメラを設置したものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−83207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなカメラを建屋の天井に設置するためには、建屋に対する建築側での工事が必要となり、カメラを容易に取り付けることができないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、上記問題点に鑑み、乗客コンベアを設置するときに監視用のカメラも取り付けることができる乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、無端状に連結された複数の踏段と、複数の踏段の左右両側に左右一対のデッキと、左右一対の前記デッキから立設された左右一対の欄干と、左右一対の前記デッキの乗降口における左右一対の前記欄干にそれぞれ設けられた左右一対のカメラと、を有
し、前記欄干に撮影用孔が聞口し、前記カメラのレンズ部分が嵌め込まれ、 左右一対の前記カメラの撮影方向が、相対向する前記欄干と前記踏段の方向であり、前記カメラの撮影角度が水平方向より下向きである、乗客コンベアである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施形態のエスカレータの乗降口付近の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態のエスカレータ10を
図1〜
図3に基づいて説明する。
【0009】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の構造について、
図1と
図2に基づいて説明する。
図1はエスカレータ10を側面から見た説明図、
図2は上階側の乗降口付近の平面図である。
【0010】
エスカレータ10のトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて支持されている。トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、駆動装置18が設けられている。この駆動装置18は、誘導電動機(インダクションモータ)よりなるモータ20と、このモータ20により動作する駆動チェーン22を有し、この駆動チェーン22により駆動スプロケット24が回転する。上階側の機械室14内部には、制御ボックス50が設けられている。
【0011】
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内部には、従動スプロケット26が設けられ、駆動スプロケット24と従動スプロケット26との間に左右一対の無端の踏段チェーン28,28が掛け渡され、左右一対の踏段チェーン28,28には複数の踏段(「ステップ」とも呼ぶ)30が等間隔で取り付けられ、踏段30の車輪301が案内レールを走行し、車輪302が案内レール25、27を走行する。
【0012】
トラス12の上部における踏段30の走行路の左右両側部には、左右一対のデッキ66,66が設けられている。左右一対のデッキ66,66の上面から左右一対の欄干36,36が立設されている。欄干36は、透明なガラス板より構成されている。手摺りベルト38が、踏段30と同期して欄干36の上部にある手摺りレール68を移動する。デッキ66の上階側の正面下部には、上階側の正面スカートガード40が設けられ、デッキ66の下開側の正面下部には、下階側の正面スカートガード42が設けられ、正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入り口であるインレット部46,48が突出している。デッキ66の内側面下部には、スカートガード44が設けられている。スカートガード44の内側面には、操作盤52,56、スピーカ54,58が上下階にそれぞれ設けられている。
【0013】
上階側の機械室14の天井面の乗降口には上階側の乗降板32が設けられ、乗降板32の先端にはコム33が設けられ、下階側の機械室16の天井面の乗降口には下階側の乗降板34が設けられ、乗降板34の先端にはコム35が設けられている。
【0014】
図1と
図2に示すように、上階の乗降口と下階の乗降口にはそれぞれ左右一対の監視用のカメラ60が取り付けられている。
図2に示すように、カメラ60は、動画像を撮影するものであり、ガラス板の欄干36の外側に取り付けられ、このカメラ60のレンズ部601に対応する欄干36には撮影用孔が設けられ、レンズ部601が嵌め込まれている。このレンズ部601の撮影範囲は水平方向よりも下向きであり、相対向する欄干36の上端部から踏段30の中央部まで撮影できる。
【0015】
また、上階側と下階側の中間部分にある左右一対の欄干36にも左右一対のカメラ62,62が取り付けられている。この取り付け構造は、乗降口におけるカメラ60と同様である。
【0016】
(2)エスカレータ10の電気的構成
次に、エスカレータ10の電気的構成について
図3のブロック図に基づいて説明する。上階側の機械室14に設けられた制御部50には、モータ20、操作盤52、操作盤56、スピーカ54、スピーカ58、安全装置64、4台のカメラ60、2台のカメラ62が接続されている。4台のカメラ60と2台のカメラ62は、撮影した動画像のフレーム画像のデータを、制御部50に出力する。
【0017】
安全装置64としては、スカートガード44に設けられたスカートガード挟まれ検出装置、インレット部46,48に設けられたインレット挟まれ検出装置、案内レール25に設けられた踏段浮き上がり検出装置、非常停止ボタンなどである。スカートガード挟まれ検出装置とは、スカートガード44と踏段30の間に異物(例えば、服や荷物)が挟まれたことを検出する装置であり、インレット挟まれ検出装置とは、手摺りベルト38が引き込まれるインレット部46又はインレット部48に異物(例えば、乗客の手や荷物)が同時に引き込まれたときに検出する装置である。
【0018】
(3)制御部50の機能
次に、制御部50の機能について説明する。制御部50は、カメラ60,62から入力した動画像の各フレーム画像を解析して、乗降口からエスカレータ10の踏段30に乗り込む乗客を検出する。制御部50の検出方法としては、例えば乗客が存在しない状態の初期画像と、撮影したフレーム画像とを比較し、フレーム画像中に変更領域があれば乗客が検出されたと判断する。
【0019】
制御部50は、乗客を検出した場合には、エスカレータ10のモータ20を駆動させて踏段30を一定の方向に移動させ、乗客を所定時間検出しない場合にはモータ20を停止させて、踏段30の走行を停止させる。これにより、省エネルギーを図ることができる。
【0020】
また、検出された乗客から踏段30に乗っている乗客の数を求め、制御部50はその乗客の数に対応したトルクをモータ20が発生するようにインバータ装置によって制御してもよい。
【0021】
(4)効果
本実施形態のエスカレータ10であると、カメラ60,62は欄干36の外側に取り付けるだけであるため、従来のように建屋1を工事して、天井面にカメラを取り付ける必要がなく、エスカレータ10と同時に取り付けることができる。
【0022】
また、カメラ60,62は欄干36の外側に取り付けられているため、乗降口から乗り込む乗客や、踏段30上を移動している乗客の邪魔にならない。
【0023】
また、カメラ60,62は、欄干36の外側に取り付けられているため意匠的にも邪魔にならず、乗客の動線を妨げない。
【0024】
また、踏段30を左右両側から撮影しているため、大人に隠れた子供も確実に撮影でき、乗客として検出できる。
【0025】
(5)変更例
上記各実施形態では、カメラ62の撮影方向が予め決められていたが、これに代えて360°(全周囲)撮影可能なカメラを用いてもよい。
【0026】
また、上記実施形態では、ガラス製の欄干36で説明したが、これに代えて金属製の欄干36内部にカメラ60,62を設けてもよい。この場合にも、レンズ部が露出できるように、欄干36に撮影用孔を設けておく。
【0027】
また、上記実施形態では、左右一対のカメラ62,62は動画像を撮影したが、静止画像を所定時間毎に撮影し、各静止画像から乗客を検出してもよい。
【0028】
また、上記実施形態では、乗降口と乗降口の間にある欄干36に左右一対のカメラ62,62を一組設けたが、これに限らず複数組を所定間隔毎に設けてもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、エスカレータ10の踏段30に適応して説明したが、これに代えて動く歩道のステップ(踏段)に適応してもよい。
【0030】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
10・・・エスカレータ、30・・・踏段、32・・・乗降板、34・・・乗降板、36・・・欄干、50・・・制御部、60・・・カメラ、62・・・カメラ、66・・・デッキ
【要約】
【課題】乗客コンベアを設置するときに監視用のカメラも同時に取り付けることができる乗客コンベアを提供する。
【解決手段】左右一対のデッキ66の乗降口に左右一対の欄干36,36にそれぞれ設けられた左右一対のカメラ60,60を有する。
【選択図】
図2