【実施例】
【0024】
以下、本発明に係るパーマネントウェーブ処理方法の一実施形態を図面とともに説明する。この一実施形態は、本発明を創作したことに基づいて構成した新たなパーマネントウェーブ処理装置を用いて実施した形態である。
【0025】
まず、新たなパーマネントウェーブ処理装置について説明する。
図1に示すように、パーマネントウェーブ処理装置Aは、装置本体1とフード2とオゾンユニット3と薬剤噴霧ユニット4とを含んで構成されている。下部にはキャスターが設けられ、移動自在の構成である。
【0026】
装置本体1は、ハウジング11内に、モーターとファンとから構成され、ヒーターによって加温した温風をフード2内へ排出するとともにフード2内から吸引し、再びヒーターによって加温する循環式のブロワ12と、このブロワ12が吸引した温風から、これに含まれる水分やパーマネントウェーブ処理で発生する異物等を分離する汽水分離装置13と、外気を導入してフード2内へ排出する温風に混合し、これを冷却する外気導入装置(図示省略)と、が収容されて構成されている。
【0027】
循環式のブロワ12は、ハウジング11に形成されている温風排出口(図示省略)及び吸引口12aを通じ、温風をフード2内へ排出し、フード2内から吸引する。フード2内に排出された温風は、毛髪が巻かれたロッドから、このロッドに取り付けたチューブ、及び、このチューブが取り付けられる吸引口12aを通じて吸引される。なお、温風排出口(図示省略)及び吸引口12aは、フード2内の温風の流れを考慮すると、ハウジング11上部において、吸引口12aがハウジング11上部の両側部に形成され、温風排出口がハウジング11上部の吸引口12aに挟まれた領域に形成されることが好ましい形態となる。また、温風排出口は、フード2内の温度を均一に、さらには、後述するオゾン雰囲気のオゾン濃度を均一にするため、吸引口12aに挟まれた領域の所定程度の面積(例えば、吸引口12aの5〜50倍の面積)を占有して、ハウジング11上部に形成されることが、さらに好ましい形態であるといえる。
【0028】
また、ハウジング11内には、ヒーターから温風排出口に至る管路に分岐口が設けられ、この分岐口からの管路が外気導入装置に接続されている。外気導入装置はファンを備え、このファンを駆動させることで外気を、分岐口を通じて温風に混合している。なお、外気導入装置に外気を取り入れるための外気取入口は、ハウジング11の側面に形成されている。また、ロッドには外周面に多数の空気流通孔が形成されている。チューブがロッド及び吸引口12aに接続され、ブロワ12の吸引によりチューブ内が負圧状態になると、ロッド内も負圧状態となる。
【0029】
フード2は、開閉自在となるように第1フード21と第2フード22に2つに分離されて構成されている。第1フード21と第2フード22とは、ハウジング11の上部に連結部を通じて連結されている。第1フード21は、連結部を通じて第2フードと重なる方向に回動可能である。第2フード22は、第1フード21の他側に配設され、連結部を通じて第1フード21と重なる方向に回動可能である。なお、第1フード21及び第2フード22の形状は円弧状、四角、六角形状等のような頭部を覆う形状であればどのような形状であってもよい。
【0030】
オゾンユニット3は、放電法や紫外線法等により空気中の酸素からオゾンを生成するオゾン生成装置であり、ハウジング11の上部に設けられている。オゾンユニット3には、先端が第1フード21を貫通してフード2内へ突出し、生成したオゾンをフード2内へ向けて吹き出し可能とするオゾン吹出口31が形成されている。このオゾン吹出口31は、上述した温風排出口の近傍に配置される。また、オゾン吹出口31は、その吹出口形状を
図1示すような丸形のほか、円弧形状、矩形状、扁平な楕円状等に形成可能である。吹出口形状は、吹出口31から吹き出されたオゾンが、温風排出口から排出された温風によってフード2内に拡散されることになるので、この温風に効率よく乗せることができるものを選択すればよい。
【0031】
すなわち、オゾンユニット3より発生するオゾンを、温風排出口の近傍において比較的広い面積で吹き出すことで温風に効率よく乗せて、フード2内に均一な濃度のオゾン雰囲気を形成するのである。このオゾンの拡散状態により、フード2内を1.0ppm以下の濃度のほぼ均一なオゾン雰囲気とすることができる。また、オゾンユニット3によりオゾンの供給を停止すれば、フード2内のオゾンは自己分解し、短時間で消失する。なお、フード2内におけるオゾン雰囲気は、オゾンユニット3によるオゾンの供給量を制御することで適宜、その濃度を調整することができる。
【0032】
薬剤噴霧ユニット4は、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体及びアスコルビン酸の塩からなる群から選ばれる1又は2以上の化合物を含ませた中間処理剤である薬剤を収容し、超音波等を利用して薬剤を霧化する霧化機構を備えた薬剤噴霧用ケトル41と、フード2内を移動することで、薬剤噴霧用ケトル41で霧化された薬剤を毛髪に均一に噴霧する薬剤噴霧部材42と、この薬剤噴霧部材42へ霧化された薬剤を薬剤噴霧用ケトル41から送るファン43と、薬剤噴霧部材42がフード2の内周面に沿って往復移動するための駆動力を与える薬剤噴霧口駆動用モーター44とで構成されている。
【0033】
薬剤噴霧部材42は、フード2の内部形状に対応する湾曲筒状で、その表面に複数の噴霧口が形成されている。また、薬剤噴霧部材42がフード2の内周面に沿って往復移動するのは、
図1に示すように、薬剤噴霧口駆動用モーター44がフード2の連結部に内蔵され、その回転軸にギアが取り付けられ、これに対応するギアが薬剤噴霧部材42の端部に取り付けられることにより達成される。なお、薬剤噴霧部材42に複数の関節等を備えさせることにより、フード2の内周面に沿った前後方向(
図1において左右方向)の往復移動のほか、フード2の内周面に沿った複雑な移動が可能である。
【0034】
薬剤は、酸リンスとしての中間処理剤であり、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体及びアスコルビン酸の塩からなる群から選ばれる1又は2以上の化合物を、0.13〜24重量%含んで構成される。その噴霧量は、パーマネントウェーブ処理を行おうとする毛髪量、堅い柔らかい等の毛髪の質等に応じ、適宜調整することができる。アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体及びアスコルビン酸の塩からなる群から選ばれる1又は2以上の化合物が中間処理剤そのものに含まれない場合には、その化合物の粉末等を中間処理剤に対し、0.13〜24重量%となるようにサロン内で使用直前に用事調整して毛髪に与えてから、薬剤噴霧ユニット4を動作させ、化合物を含んでいない中間処理剤を毛髪に噴霧する。
【0035】
なお、図示を省略したが、パーマネントウェーブ処理装置Aは、時間表示、温度表示、ロッドの本数表示、毛髪の量、毛髪のダメージ、オゾン噴触装置の動作表示、薬剤の噴霧表示等の表示が行われる操作表示画面及びCPUを備えた制御部を有している。制御部には、この各表示がなされるための設定ボタンが配設されている。そして、施術者の設定ボタンを通じた操作により、CPUによる情報処理が行われ、パーマネントウェーブ処理装置Aにおける各種の制御が実行される。具体的には、オゾンユニット3の例えば電流等を制御してオゾン濃度レベルを制御するオゾン制御設定ボタン、薬剤噴霧ユニット4の薬剤噴霧量を制御する薬剤噴霧量制御設定ボタン、薬剤噴霧部材42がフード2の内周面に沿って往復移動する動作を制御する薬剤噴霧口駆動用モーター設定ボタンをはじめ、被術者の毛髪を巻き付けるロッドの数を設定するロッド数設定ボタン、被術者の毛髪の量を設定する毛髪量設定ボタン、被術者の毛髪のダメージ状態を設定するダメージチェック設定ボタン等を備える。施術者は、これらの各設定ボタンを操作すれば、これに応じた施術時間や施術温度のデータが制御部に内蔵されたROMに記憶され、制御部のCPUによって情報処理が行われる。また、施術者が希望に応じて各種の設定を制御部に内蔵されたRAMに記憶させることも可能である。
【0036】
また、施術者の設定ボタン操作を通じた制御部の制御には、例えば、ヒーターへの通電をオン・オフするためのスイッチを通じたヒーターの温度制御、上述したROMによって設定された時間を演算するためのタイマを通じた時間制御、温風のオン・オフ制やその風量の調節するブロア制御等が含まれる。さらに、制御部には、これらの制御をスタートさせるためのスタートスイッチも配設されている。フード2内の温度を検出する温度センサがフード2に設けられている場合、制御部の制御にはフード2内の温度制御が含まれ、温度制御のためのスタートスイッチが制御部に配設される。制御部にはその他、異常発生時に電源をオフにする安全ボタン等が備えられることが好ましい。そして、パーマネントウェーブ処理装置Aでは、施術者による各スイッチの操作を通じて、一連のパーマネントウェーブ処理が実行される。
【0037】
以下、上述したパーマネントウェーブ処理装置Aを用いた一連のパーマネントウェーブ処理方法について説明する。なお、ここでは中間処理剤に含まれる化合物として、アスコルビン酸の塩を採用した例を取り挙げて説明する。
【0038】
まず、施術者は、被術者の毛髪にロッドを巻き付け、ロッドを巻き付けた毛髪に対して還元作用を有する公知のパーマネント第1剤を塗布し、その状態で所定時間放置し、毛髪を膨潤軟化させる。毛髪が膨潤軟化したことを確認したら、毛髪に付着しているパーマネント第1剤を洗い流し、タオルで拭く。さらに、被術者をパーマネントウェーブ処理装置Aに着座させる。このとき、第1フード21及び第2フード22を回動させて重ね、フード2を開放させておくことが便宜である。被術者を着座させたら、第1フード21及び第2フード22をそれぞれ回動させて開放しているフード2を閉じ、被術者の頭部を覆う。また、被術者の顔面側にあたる第2フード22の開口側を布で覆って温風が漏れないようにし、フード2内を密閉した状態とする。この状態で施術者は、パーマネントウェーブ処理装置Aに備わる各設定ボタンの操作を通じて本発明に係るパーマネントウェーブ処理方法を実施する。
【0039】
まず、薬剤噴霧ユニット4を可動させ、薬剤噴霧部材42をフード2内で移動させながら毛髪の全体に均一に薬剤を噴霧する。このとき、薬剤に含まれるアスコルビン酸の塩の濃度は、後述するオゾン雰囲気におけるオゾン濃度との関係から適宜決定されるが、0.05〜0.72Mが合理的であり、0.05〜0.36Mであることがコスト面から推奨される。薬剤は毛髪に定着することで、毛髪にトリートメント効果を与える。また、アスコルビン酸の塩によって微還元作用が発揮され、毛髪の分子再配列を阻害せずに乾燥/酸化工程を開始することができる。施術者は、薬剤噴霧部材42に対してロッドの背後側となる部分に巻き付いている毛髪に、薬剤が定着しているかどうかを確認し、仮に、噴霧ムラが認められるようであれば、薬剤噴霧ユニット4を部分的に可動させる又は手作業により、薬剤が毛髪全体に均一に定着するように微調整する。
【0040】
続いて、ブロア12によって加温しつつ、毛髪をその硬さや量等に対応させて制御された所定時間(例えば、3〜15分程度)をかけて湿潤維持することで、ロッドに巻き付けた毛髪における薬剤の定着をさらに進める。なお、ブロワ1は、制御された温度、制御された強さ(弱ブロワ、強ブロワ等)の温風が排出されるように制御され、フード2内は一定の温度雰囲気となる。この状態で、毛髪は所定の温度(好ましい温度は60度以下である)、かつ、時間(毛髪の固さや毛髪量等によって異なる)だけ温められるので、毛髪内の分子が再配列(高分子移動)に好適な状態に整えられる。
【0041】
なお、毛髪の加温は、ブロワ1による温風とともに、適宜の手段によりフード2内を蒸気やミストの雰囲気として加温することもできる。蒸気やミストを用いて加温することにより、湿潤状態の毛髪の水分量と温度を望ましい範囲に容易にコントロールすることができ、失敗が少なく、かつ、よりウエーブ効率の高いパーマネントウェーブ処理を進めることができる。温度制御や時間制御は、上述のとおり各種の制御手段をパーマネントウェーブ処理装置Aに内蔵させているので自動化することができる。もちろん、毛髪を湿潤維持するための制御を手動で行うことも可能である。
【0042】
その後、毛髪に巻き付けたロッドにチューブを接続し、このチューブを吸引口12aにも接続したら、ブロワ1によってロッド内を負圧にするとともに、毛髪へ向けてオゾンユニット3からオゾンをフード2内へ噴霧し、毛髪の全体をオゾン雰囲気で包み、毛髪のジスルフィド結合の再結合を進行させる。ブロワ12によって温風がハウジング上部の比較的大面積を占める領域から排出され、かつ、フード2内が密閉した状態であるので、毛髪の全体は均一な濃度のオゾンで包まれる。このとき、ロッド内を負圧にしているので、オゾンの毛髪への接触効率を高め、その酸化作用を効率的に発揮させることができる。なお、噴霧するオゾンは、フード2内に1.0ppm以下のオゾン雰囲気を形成することができるが、薬剤に含まれるアスコルビン酸等の濃度との関係で適宜、調整することができる。
【0043】
フード2内ではオゾン雰囲気により、毛髪上のアスコルビン酸の塩が酸化し、デヒドロアスコルビン酸の塩となって酸化作用を発揮し、定着したその場の毛髪のジスルフィド結合の再結合が進む。さらに、オゾン自身の酸化作用により、オゾン雰囲気に包まれている毛髪全体のジスルフィド結合の再結合が進む。毛髪のジスルフィド結合の再結合は、ブロワ12によって毛髪を乾燥させているので、DRY環境で進む。また、オゾン雰囲気に包まれている環境下で酸化が進むから、毛髪全体に均一にその作用が及ぶようになる。
【0044】
最後に、施術者は、毛髪全体が十分に乾燥できたことを確認し、ロッドを毛髪から外してその仕上がりを確認する。その後、シャンプー台で被術者にトリートメント術を行う。このトリートメント術では、仕上がりムラの一段と抑えるために、ジスルフィド結合を再結合させた毛髪に対し、酸化作用を有する公知のパーマネント第2剤を塗布し、さらに毛髪のジスルフィド結合を再結合してもよい。この施術は1〜3分という極短時間で済ませることができる。なお、このようなパーマネント第2剤の塗布は、トリートメント術の中に含まれるので、プロセスタイムは実質ゼロである。施術は、毛髪を乾燥させてスタイリングを行うことで終了する。
【0045】
以下、本発明が、上記特許文献1で提案しているパーマネントウェーブ処理方法よりも優れる点について詳述する。
【0046】
上記特許文献1に係るパーマネント処理方法では、パーマネント第2剤を行って毛髪のジスルフィド結合を再結合する前に、毛髪を加温し、乾燥させて毛髪内の分子を再配列(高分子移動)に好適な状態に整えることにより、ウエーブ効率を良くしていた。しかし、パーマネント第2剤による毛髪のジスルフィド結合の再結合は、WET環境下で進むため、施術過程と、毛髪が乾いたときとでウエーブ形状が異なるWET/DRY差の問題が発生していた。一方、本発明では毛髪を加温し、乾燥させるのでウエーブ効率が良くなる効果をそのまま得ることができ、さらに、デヒドロアスコルビン酸等とオゾンとの併用により、DRY環境下で毛髪のジスルフィド結合の再結合が進むため、WET/DRY差の問題を解消することに成功している。また、フード内を密閉毛髪の全体をオゾン雰囲気で包むため、その全体に均一に酸化作用が発現され、パーマネントウェーブの仕上がりムラを抑えることにも成功している。デヒドロアスコルビン酸の塩等の併用により、噴霧するのに必要なオゾン量(噴触させるオゾン濃度)を低く抑えることを可能としている。なお、オゾンの量を減らすことで、施術者及び被術者が曝露されるオゾンの濃度を、日本産業衛生学会が推奨する許容濃度程度に抑え、施術者及び被術者の安全性、快適性を確保し、かつ、施術の安全性、快適性を高めることができる。
【0047】
特に、特許文献1に係るパーマネント処理方法では、毛髪を加温する工程、毛髪の乾燥する工程、及び、その後のパーマネント第2剤により処理する工程において、カットイス上で同一姿勢を強いているので被術者への負担が大きかった。一方、本発明では、毛髪を加温する工程、毛髪の乾燥する工程の中で、毛髪のジスルフィド結合の再結合が進むため、実質的にパーマネント第2剤により処理する工程(施術時間)を省くことができ、被術者への負担を大幅に低減することに成功している。施術者にとっても拘束から解放されることで、サロン内の作業効率が飛躍的に向上することが期待できる。
【0048】
このほか、仕上がりムラの一段と抑えるために、ジスルフィド結合を再結合させた毛髪に対し、酸化作用を有する公知のパーマネント第2剤を塗布し、さらに毛髪のジスルフィド結合を再結合させる場合にも、シャンプー台で被術者に行うトリートメント術に含ませることができるので、プロセスタイムを実質ゼロとすることができる。すなわち、サロン内の作業効率を低下させることなく、さらに仕上がりの良いパーマネントウェーブ処理を進めることに成功している。
【0049】
以下、上述したパーマネントウェーブ処理方法について、パーマネントウェーブ処理装置Aを作動させてから行う処理に関し、
図2〜
図4に示すフローチャートに基づいて補足説明する。
【0050】
図2に示すように、パーマネントウェーブ処理装置Aでは、外部交流電源を供給するための電源スイッチをオン状態とすると、施術者が制御部における各設定ボタンを操作してプログラム設定を行うプログラム設定モードS1、毛髪へ化合物を含む中間処理剤を塗布する薬剤噴霧モードS2、薬剤(化合物)の定着と毛髪の湿潤維持等を進めるクリープモードS3(乾燥工程)、オゾンを噴触することで、酸化した化合物及びオゾンによる毛髪のジスルフィド結合の再結合を進めるガラス化モードS4(酸化工程)、毛髪を冷却するクーリングモードS5の順に処理が進められる。
【0051】
まず、プログラム設定モードS1では、施術者が制御部における各スイッチを操作してプログラム設定を行う。すなわち、ロッドの数(ステップS11)、毛髪のダメージレベル(ステップS12)、毛髪の量(ステップS13)等の各種設定を行う。そうすると、制御部では、操作された条件に対応するタイマ、温度、ブロワ出力、オゾン濃度レベル及び、薬剤噴霧部材42の動作等を含んだ薬剤噴霧量がROMより読みだされ、これらのモードが決定される(ステップS14)。また、制御部に内蔵されているCPUは、
図3に示す薬剤噴霧モードS2に移行し、施術者が薬剤噴霧のためのスタートスイッチをオンとしたか否かを監視し(ステップS21)、オンされたと判断するとプログラム設定モードS1で設定されたタイマが始動する(ステップS22)。
【0052】
ステップS22でタイマが始動すると、それと同時にパーマネントウェーブ処理装置Aは、制御された薬剤噴霧量と薬剤噴霧部材42の動作により、毛髪にミスト状の薬剤を吹き付ける(ステップS23)。なお、プログラム設定モードS1において毛髪の量、ダメージ、ロッド数によって噴霧量が設定されるため、薬剤の付着量も最適な状態となる。
【0053】
次に、CPUは、ステップS22のタイマの時間が設定された時間に達したか否かの監視を行う(ステップS24)。設定された時間に達したと判断すると、
図4に示すクリープモードS3に移行し、施術者がクリープのためのスタートスイッチをオンしたか否かを監視し(ステップS31)、オンされたと判断するとプログラム設定S1で設定されたタイマが始動する(ステップS32)。
【0054】
ステップS32でタイマが始動すると、それと同時にパーマネントウェーブ処理装置Aは、ブロワ12と外気導入装置を駆動させるので、温風排出口から温風が吹き出す(ステップS33)。CPUは、フード2内の温度が一定となるように、すなわちROMで設定された温度の温風となるようにヒーター制御を開始する(ステップS34)。また、フード2内の温度を温度センサで監視し、ROMで設定された温度に制御する(ステップS35)。続いて、CPUは、ROMで設定されたタイマの時間が設定された時間に達したか否かを判断し(ステップS36)、設定された時間に達したと判断すると、
図5に示すガラス化モードS4に移行する。
【0055】
施術者は、ロッドにチューブを接続した後に、ガラス化のためのスタートスイッチを操作することとなる。このため、ロッドにチューブを接続したことを必ず確認する必要がある。一方、CPUは、
図5に示すように、施術者がガラス化のためのスタートスイッチをオンしたか否かを監視し(ステップS41)、オンされたと判断するとプログラム設定S1で設定されたタイマが始動する(ステップS42)。また、ステップS42のタイマが始動すると、それと同時にパーマネントウェーブ処理装置Aは、再びブロア12と外気導入装置を駆動させて温風が吹き出すとともに、毛髪が巻かれているロッドを通じて温風を吸引し、ロッド内を負圧状態にする(ステップS43)。
【0056】
上記ステップS43の動作開始と同時に、パーマネントウェーブ処理装置Aは、オゾンユニット3からオゾンを放出させるので、オゾンがブロア12の温風排出口の温風に乗ってフード2内に均一に拡散される(ステップS44)。続いて、CPUは、フード2内の温度が一定となるように、ヒーターの制御を開始し(ステップS45)、かつ、フード2内の温度を温度センサで監視し、ROMで設定された温度に制御する(ステップS46)。次いで、ROMで設定されたタイマの時間が設定された時間に達したか否かを判断し(ステップS47)、設定された時間に達したと判断すると、クーリングモードS5に移行する。
【0057】
この段階ではすでに、ロッド2内が負圧状態となっているので、フード2内に供給されたオゾンは毛髪を介して吸引され、自身の酸化作用によって毛髪を酸化するとともに、毛髪に塗布された薬剤に含まれるアスコルビン酸の塩を酸化してデヒドロアスコルビン酸の塩として、このデヒドロアスコルビン酸の塩によっても毛髪を酸化し、毛髪のジスルフィド結合を再結合する。
【0058】
クーリングモードS5に移行すれば、CPUは、施術者がクーリングのためのスタートスイッチを操作したか否かを監視し(ステップS51)、オンされたと判断するとプログラム設定S1で設定されたタイマが始動する(ステップS52)。このステップS52の動作開始と同時に、パーマネントウェーブ処理装置Aは、ブロア12と外気導入装置を駆動させ(ヒーターの通電を遮断し)、冷風又は送風を毛髪が巻かれているロッド2内から吸引することで毛髪のクーリングを進める(ステップS53)。
【0059】
そして、ROMで設定されたタイマの時間が設定された時間に達したか否かを判断し(ステップS54)、設定された時間に達したと判断すると、制御部による一連の制御が終了する。施術者は、フード2を開放し、毛髪からロッドを外して作業を完了させる。
【0060】
なお、上述したパーマネントウェーブ処理方法では、薬剤を毛髪に吹き付けた後に、クリープ処理を進めるものである。したがって、ロッドにチューブが接続されていないので、薬剤が毛髪に巻き付けられたロッドから吸引されることはない。しかし、本発明では、クリープ処理の後のガラス化処理を行う直前に、薬剤を毛髪に吹き付ける処理を行うことも可能である。
【0061】
この場合、ガラス化処理時において、ロッドにチューブが接続されていることから、ガラス化処理を行う直前に薬剤を吹き付け、続けてロッド2内を負圧状態とすることで、ミスト状の薬剤がロッド内の負圧によってロッドに巻かれている毛髪全体に均一にいきわたるとともに、効率よく毛髪に定着することになる。また、ロッド内を負圧状態としているため、フード2内の温風を吸引することとなって、毛髪に温風が供給されて仕上がりが良好になる。
【0062】
また、薬剤の噴霧時からロッドにチューブを接続してロッド内を負圧状態とすることによっても、薬剤を毛髪全体に均一にいきわたせるとともに、効率よく毛髪に定着することができる。この場合も、次の工程であるクリープ処理において、ロッド内が負圧状態となるので、フード2内の温風を吸引して毛髪に温風が供給されて仕上がりが良好になる。