特許第5920720号(P5920720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920720
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】亜鉛殿物の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 19/30 20060101AFI20160428BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20160428BHJP
   C22B 1/08 20060101ALI20160428BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   C22B19/30
   C22B7/00 J
   C22B1/08
   B09B3/00 304J
   B09B3/00 303E
   B09B3/00ZAB
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-168034(P2012-168034)
(22)【出願日】2012年7月30日
(65)【公開番号】特開2014-25127(P2014-25127A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】597118016
【氏名又は名称】光和精鉱株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100105256
【弁理士】
【氏名又は名称】清野 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 真彦
(72)【発明者】
【氏名】友原 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】三島 彰司
(72)【発明者】
【氏名】岡田 友彦
【審査官】 向井 佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−062131(JP,A)
【文献】 特開昭51−91803(JP,A)
【文献】 YAMAGUCHI Koichi 他2名,Thermal Treatment of Waste Tire Fly Ash with Polyvinyl Chloride: Selective Leaching of Zinc with Water,Ind Eng Chem Res,米国,2006年 2月 1日,Vol.45 No.3,Page.1211-1216
【文献】 山口浩一 他2名,廃タイヤ焼却飛灰とポリ塩化ビニルの混合熱処理を利用する資源回収プロセスの開発,名古屋市工業研究所研究報告,日本,2007年12月,No.92,Page.33-36
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 19/00
C22B 3/00
C22B 7/00
C22B 1/00
JSTplus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非鉄製錬工程で生成する亜鉛殿物と含塩素樹脂とを、70℃以上、130℃以下の温度で加熱混練し混練物を得る工程と、
得られた混練物を、130℃を超え、250℃以下の温度で加熱処理し反応残渣を得る工程と、
当該反応残渣に水分を加えてパルプを得る工程と、
得られたパルプを固液分離して、含亜鉛溶液を回収する工程とを、有することを特徴とする亜鉛殿物の処理方法。
【請求項2】
前記含塩素樹脂として塩化ビニリデン樹脂および/または塩化ビニル樹脂を用いることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛殿物の処理方法。
【請求項3】
前記亜鉛殿物と前記含塩素樹脂との混合比率を、(含塩素樹脂/亜鉛殿物)の重量比で0.8以上2.6以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の亜鉛殿物の処理方法。
【請求項4】
前記非鉄製錬工程で生成する亜鉛殿物と含塩素樹脂とを、130℃以下の温度で加熱混練し混練物を得る工程を、
非鉄製錬工程で生成する亜鉛殿物と含塩素樹脂とを室温で混練し、室温での混練物を得る工程と、
得られた室温での混練物を、70℃以上、130℃以下の温度で加熱混練し混練物を得る工程とに、分けて実施することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の亜鉛殿物の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非鉄金属製錬工程や産業廃棄物として生成する亜鉛殿物を、亜鉛回収工程へ投入可能な亜鉛回収原料へと処理する亜鉛殿物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛は重要な金属資源である。従って、非鉄金属製錬工程や産業廃棄物として生成する亜鉛殿物から亜鉛を抽出回収することが好ましい。具体的には、当該亜鉛殿物を、亜鉛精錬の工程に投入可能な亜鉛回収原料へと処理することが望まれる。一方、当該亜鉛殿物の資源化処理において、原料コストや工程コストおよび工数は、出来るだけ削減することも同時に望まれる。
【0003】
例えば、特許文献1には、塩化ビニル樹脂を含有する廃プラスチックを熱源及び塩素源とし、亜鉛殿物に含まれる鉛を塩化揮発させて、当該亜鉛殿物および廃プラスチック中の重金属を、亜鉛製錬原料と鉛製錬原料とに分離し、亜鉛・鉛製錬原料として資源化する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−9136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法は、廃プラスチックを熱源及び塩素源とし、亜鉛殿物を亜鉛・鉛製錬原料として資源化する方法であり、原料コストを削減する観点から為されたものであると考えられる。
しかしながら本発明者らの検討によると、特許文献1に記載の方法は、亜鉛を残渣に回収し、鉛を液に回収する方法である。このため、亜鉛を原料として資源化する為には、当該残渣から亜鉛を回収する工程がさらに必要となり煩雑となる。さらにキルンを用いて1000℃近く昇温する工程を有する等、工程コストや工数削減の観点からは課題を有するものであった。
【0006】
本発明は上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、非鉄製錬工程で生成する亜鉛殿物(水酸化亜鉛と他元素との混合物)と含塩素樹脂とを、亜鉛回収原料ヘと処理する方法であって、亜鉛を含亜鉛溶液として回収出来、処理温度も数百度℃(例えば、300℃)以下である亜鉛殿物の処理方法を提供することである。
【0007】
本発明者らは、上述の課題を解決するため、鋭意研究を行い、非鉄製錬工程で生成する亜鉛殿物(水酸化亜鉛と他元素との混合物)と、好ましい含塩素樹脂とを混合しながら300℃以下の温度で加熱処理した後、得られた混合物を水洗することで含亜鉛溶液を回収出来るという構成に想到した。
【0008】
当該亜鉛殿物と含塩素樹脂とを混合しながら300℃以下の温度で加熱処理する方法は、少量の亜鉛殿物を処理するには適した方法である。しかしながら、亜鉛殿物の処理量増加に伴い、より生産性に優れた処理方法が求められた。
本発明者らは当該課題を解決するため、さらに研究を行った。そして、当該方法における生産性のネックである亜鉛殿物と含塩素樹脂とを混合しながら300℃以下で加熱処理する工程を、130℃以下の温度で行う混練工程と、130℃を超える温度で行う加熱処理工程とに分離して実施する構成に想到し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、上述の課題を解決する為の第1の発明は、
非鉄製錬工程で生成する亜鉛殿物と含塩素樹脂とを、70℃以上、130℃以下の温度で加熱混練し混練物を得る工程と、
得られた混練物を、130℃を超え、250℃以下の温度で加熱処理し反応残渣を得る工程と、
当該反応残渣に水分を加えてパルプを得る工程と、
得られたパルプを固液分離して、含亜鉛溶液を回収する工程とを、有することを特徴とする亜鉛殿物の処理方法である。
【0010】
第2の発明は、
前記含塩素樹脂として塩化ビニリデン樹脂および/または塩化ビニル樹脂を用いることを特徴とする第1の発明に記載の亜鉛殿物の処理方法である。
【0011】
第3の発明は、
前記亜鉛殿物と前記含塩素樹脂との混合比率を、(含塩素樹脂/亜鉛殿物)の重量比で0.8以上2.6以下とすることを特徴とする第1または第2の発明に記載の亜鉛殿物の処理方法である。
【0012】
第4の発明は、
前記非鉄製錬工程で生成する亜鉛殿物と含塩素樹脂とを、130℃以下の温度で加熱混練し混練物を得る工程を、
非鉄製錬工程で生成する亜鉛殿物と含塩素樹脂とを室温で混練し、室温での混練物を得る工程と、
得られた室温での混練物を、70℃以上、130℃以下の温度で加熱混練し混練物を得る工程とに、分けて実施することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の亜鉛殿物の処理方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る亜鉛殿物の処理方法によれば、非鉄製錬工程で生成する亜鉛殿物と含塩素樹脂とから、300℃以下の温度による加熱処理で、亜鉛製錬原料である含亜鉛溶液を良好な生産性をもって回収可能となり、原料コスト、工程コストおよび工数の削減が出来た。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る亜鉛殿物の処理方法のフロー図である。
図2】実施例1の処理に係るフッ素、亜鉛、銅、塩素のマスバランスである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る亜鉛殿物の処理方法のフロー図である図1を参照しながら、本発明に係る亜鉛殿物の処理方法について説明する。尚、説明の便宜の為、図1には連番符号を付与した。
図1の上部において破線で囲んだ部分は非鉄製錬工程(1)を示し、下部において破線で囲んだ部分は亜鉛の回収工程(17)を示し、中間の部分が本発明に係る亜鉛殿物(2)の処理工程である。
非鉄製錬、特に亜鉛製錬においては浸出工程において含水亜鉛殿物(2)が生成する。当該含水亜鉛殿物には、水酸化亜鉛の他、銅、フッ素、等の鉱石由来の不純物、および水分が含有されている。
当該含水亜鉛殿物(2)は本発明に係る亜鉛殿物の処理工程により、含亜鉛溶液(16)となり回収工程(17)へ送られる。以下、亜鉛殿物の処理工程について、さらに説明する。
【0016】
非鉄製錬工程(1)にて生成した含水亜鉛殿物(2)へ、含塩素樹脂(3)を添加する。
当該含塩素樹脂(3)としては、塩化ビニリデン樹脂(本発明において「PVDC」と記載する場合がある。)および/または塩化ビニル樹脂(本発明において「PVC」と記載する場合がある。)が好ましい。当該PVDCやPVCは新品である必要はなく、廃棄物のグレードであっても良い。
当該含塩素樹脂(3)が塊状形態をとっている等の場合は、粉砕工程(4)を通し、顆粒状から粉状に粉砕しておくことが好ましい。
粉砕装置としては、カッターミル等が使用可能である。
【0017】
含水亜鉛殿物(2)と含塩素樹脂(3)とを、混合(5)する。
含塩素樹脂(3)と、含有する水分量を除いた亜鉛殿物(2)との混合比率は、(含塩素樹脂/亜鉛殿物)の重量比で0.8以上2.6以下とすれば良い。含塩素樹脂(3)がPVDCの場合は(含塩素樹脂/亜鉛殿物)の重量比で1.3以上2.3以下とすることが、さらに好ましい。含塩素樹脂(3)がPVCの場合も、PVDCの場合と同様である。
【0018】
亜鉛殿物の処理量を生産性良く増加させる観点から必要に応じて、含水亜鉛殿物(2)へ含塩素樹脂(3)を混合後、例えば室温での混練(5)をさらに行い、室温での混練物としておくことも好ましい工程である。
当該室温での混練物を得ておくことで、後述する加熱混練工程(6)の混練時間を短縮出来、生産性の向上に寄与することが出来る。当該室温での混練(5)に用いる混練機は、汎用機種にて対応可能である。
【0019】
含塩素樹脂(3)と含水亜鉛殿物(2)との混合物または室温での混練物を、加熱混練(6)する。加熱混練温度は70℃以上、130℃以下が好ましく、混練時間は、混練物全体が均一な外観となる迄で良い。具体例としては、混合物または室温での混練物の1gあたり3〜5分間程度であった。
加熱処理温度を70℃以上とするのは、含塩素樹脂(3)と含水亜鉛殿物(2)とを均一化された混練物とする為である。一方、加熱処理温度を130℃以下とするのは、当該工程における酸性ガス(塩化水素ガス)の発生を回避する為である。当該構成により、含塩素樹脂(3)と含水亜鉛殿物(2)との混練中に、酸性ガスが発生することを回避しながら、均一化された混練物を得ることが出来る。さらに、当該工程における混練装置として、加熱装置を有するロール加圧機、2軸加熱混練機等の高い生産性を有する汎用装置を用いることが可能となり、除害設備も不要となる。
【0020】
加熱混練(6)にて得られた含塩素樹脂(3)と含水亜鉛殿物(2)との混練物(7)を、加熱装置内に装填し130℃を超え、250℃以下、好ましくは140℃以上、200℃以下とし、20〜60分間加熱処理(8)する。加熱処理温度の下限を130℃を超え、好ましくは140℃以上とすることで、混練物(7)から余分な塩素を酸性ガス(9)として除去することが出来る。一方、加熱処理温度の上限を250℃以下、好ましくは200℃以下とすることで、加熱処理(8)の際における過剰なエネルギー消費を回避できる。
この結果、混練物(7)から酸性ガス(9)として塩化水素ガスが発生するので、適宜な方法にてこれを除去し反応残渣(11)を得る。得られた反応残渣(11)は、塊状体または粉体であって、塩化亜鉛、脱塩素化されたコポリマー、フッ化カルシウム、その他の不純物が含有されている。
加熱処理装置としては、換気可能な密閉型加熱炉やバンドドライヤー、キルンが使用可能である。
生成し、除去された塩化水素ガスは、適宜なガス処理設備を用いて無害化処理する。
【0021】
加熱処理(8)により、含塩素樹脂(3)中の塩素が、亜鉛殿物(2)中の亜鉛と選択的に反応して塩化物となる。一方、当該亜鉛殿物(2)に不純物として含有されていたフッ化カルシウムは、そのままの形で保持される。この結果、当該フッ化カルシウムが分解し、生成したフッ素が亜鉛と反応して、亜鉛のフッ化物が生成することを回避できたと考えられる。
【0022】
得られた反応残渣(11)が塊状体の場合は、粉砕工程(10)を通し粉体としておくことが好ましい。
粉砕装置としては、ハンマーミル、ボールミルが使用可能である。
【0023】
得られた反応残渣(11)に水分(12)を添加してパルプを得て水抽出(13)し、当該パルプを固液分離(14)して抽出することで、含亜鉛溶液(16)を得ることが出来る。固液分離(14)の際のパルプ濃度は20質量%で良い。水抽出(13)の際の温度は25℃程度の常温で良く、攪拌時間は4〜20分間で良い。
ここで、反応残渣に添加する水分(12)としては、水、用水、処理水等が使用可能である。
水抽出(13)後の固液分離(14)は、ろ紙による濾過を初めとして公知の方法を適用することが出来る。
また、当該パルプを非鉄製錬工程(1)へ繰り返し、亜鉛の濃縮を図ることも好ましい構成である。
【0024】
以上の工程を実施した結果、亜鉛殿物(2)に含有されていた亜鉛の殆ど(後述する実施例1においては90質量%以上)が含亜鉛溶液(16)に抽出された。一方、得られた含亜鉛溶液(16)は、後工程である亜鉛の回収工程(17)において設備保全や電解処理の障害となり得るフッ素の含有量が低く、そのまま亜鉛の回収工程(17)へ投入可能な成分を有するものであった。
【実施例】
【0025】
以下、実施例1および当該実施例1に係るマスバランスを参照しながら、本発明をより具体的に説明する。尚、当該実施例1におけるマスバランスを図2に記載した。
(実施例1)
非鉄製錬工程にて生成した含水亜鉛殿物17.4gを準備した。当該含水亜鉛殿物中のF(フッ素)は5質量%、Zn(亜鉛)は25質量%、Cu(銅)は1.5質量%、Cl(塩素)は4質量%、水分は6.96gであった。
含塩素樹脂としてPVDC14.5を準備し、カッターミルを用いて2〜4mm程度に粉砕した。当該PVDC中のClは67質量%であった。
【0026】
含水亜鉛殿物と含塩素樹脂とを混合した。含塩素樹脂と、含有する水分量を除いた亜鉛殿物との混合比率は、(含塩素樹脂/亜鉛殿物)の重量比で1.39であった。
含水亜鉛殿物と含塩素樹脂との混合物を、2軸加熱混練機を用い70℃にて加熱混練した。当該加熱混錬は、混練物全体が均一な外観となる迄、(混合物1gあたり4分間とした。)行い混練物31.9gを得た。当該混練物中のFは1.6質量%、Znは8.2質量%、Cuは0.5質量%、Clは31.8質量%であった。
得られた混練物を、加熱装置内に装填し200℃で、30分間加熱処理した。すると、当該混練物から酸性ガスとして塩化水素が2.68g発生した。当該酸性ガス中のCl分布量は、上記混練物中のCl量の26質量%であった。そして、21.1gの塊状である反応残渣が得られた。
得られた反応残渣に水を添加して、濃度20質量%のパルプを調製した。当該パルプを25℃の下、20分間撹拌して水抽出した後、ろ紙により固液分離して、115mlの含亜鉛溶液と、乾燥重量10.1gの残渣とを得た。
【0027】
得られた含亜鉛溶液を分析したところ、F濃度が336mg/l、Zn濃度が21g/l、Cu濃度が0.6g/l、Cl濃度が50g/lであることが判明した。
即ち、当該含亜鉛溶液中の、F分布量は上記混練物中のF量の7質量%であり、Zn分布量は上記混練物中のZn量の93質量%であり、Cu分布量は上記混練物中のCu量の44質量%であり、Cl分布量は上記混練物中のCl量の57質量%であることが判明した。
一方、得られた残渣を分析したところ、F濃度が4.6質量%、Zn濃度が2.1質量%、Cu濃度が0.84質量%、Cl濃度が20質量%であることが判明した。
即ち、当該残渣中の、F分布量は上記混練物中のF量の89質量%であり、Zn分布量は上記混練物中のZn量の8質量%であり、Cu分布量は上記混練物中のCu量の54質量%であり、Cl分布量は上記混練物中のCl量の20質量%であることが判明した。
【0028】
実施例1に係る含亜鉛溶液は、当初の亜鉛殿物に含有されていたZn量の93質量%が含亜鉛溶液に抽出された。一方、当初の亜鉛殿物に含有されていたF量の89質量%が残渣に残り、含亜鉛溶液に抽出されたのは7質量%に留まった。この結果、得られた含亜鉛溶液は、亜鉛量が十分に濃縮され、且つ、後工程である亜鉛回収工程において設備保全や電解処理の障害となり得るフッ素の含有量が低く、そのまま亜鉛回収工程へ投入可能な成分を有するものであった。
図1
図2