特許第5920735号(P5920735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5920735コーヒー飲料、そのコーヒー液の抽出方法およびコーヒー液抽出用の抽出溶媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920735
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】コーヒー飲料、そのコーヒー液の抽出方法およびコーヒー液抽出用の抽出溶媒
(51)【国際特許分類】
   A23F 5/26 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   A23F5/26
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-543049(P2013-543049)
(86)(22)【出願日】2012年11月9日
(86)【国際出願番号】JP2012079163
(87)【国際公開番号】WO2013069781
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年11月5日
(31)【優先権主張番号】特願2011-246000(P2011-246000)
(32)【優先日】2011年11月9日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511272185
【氏名又は名称】藤居 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100188776
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉男
(72)【発明者】
【氏名】藤居 敬一
【審査官】 山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−005065(JP,A)
【文献】 特表2010−519921(JP,A)
【文献】 特開平03−180155(JP,A)
【文献】 特開2006−006176(JP,A)
【文献】 MONTILLA A. et al.,'Difructose anhydrides as quality markers of honey and coffee',Food Res Int,2006年,Vol.39,p.801-806
【文献】 RATSIMBA V. et al.,'Qualitative and quantitative evaluation of mono- and disaccharides in d-fructose, d-glucose and suc,J Chromatogr A,1999年,Vol.844,p.283-293
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/FROSTI/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.003〜1.5重量%の果糖縮合物を含有した水溶液からなることを特徴とするコーヒー液抽出用の抽出溶媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコーヒー飲料、そのコーヒー液の抽出方法およびコーヒー液抽出用の抽出溶媒に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーは、世界中で最も消費されている嗜好品の一つであり、缶、ペットボトル、紙パック等様々な形態にて販売されており、日常生活に欠かせないものである。そのため、コーヒー豆からコーヒー液を効率的に抽出する様々な研究が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、80〜100℃のミルク水を用いてコーヒー液を抽出するコーヒー飲料の製造方法が開示されている。この製造方法により、ポリフェノール類の抽出効率が向上する。また香味を保持したまま、良好なコーヒー色が得られる。
特許文献2には、pHが8.0以上のアルカリイオン水を用いてコーヒーを抽出するコーヒー飲料の製造方法が開示されている。この製造方法により、製品の香味を改善させ、抽出効率を向上させることができる。さらに特許文献3にも、炭酸水素ナトリウム水溶液によってコーヒーを抽出するコーヒー飲料の製造方法が開示されている。
そして、特許文献4には、ポリグリセリン脂肪酸エステルもしくはショ糖脂肪酸エステルが添加された30〜90℃の温水を用いてコーヒー液を抽出するコーヒー飲料の製造方法が開示されている。この製造方法により、抽出速度、抽出効率が向上させることができる。
さらに、アスコルビン酸類、炭酸カリウムまたは重曹(特許文献5)、または、キタンサンガム(特許文献6)を添加した水溶液や、水−エタノール混合物(特許文献7)を抽出溶媒として用いてコーヒー液を抽出するコーヒー飲料の製造方法が開示されている。
【0004】
一方、フルクトース二分子からなる環状の二糖からなるダイフルクトースアンハイドライド(以下、DFA)が知られている。DFAは、様々な栄養分の吸収を促進することも人および動物実験において確認されている。また、天然成分としても存在しており、その安全性も高い。そのため、例えば、コーヒー製品を含め様々な食品に添加することが知られている(特許文献8〜10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−161452号公報
【特許文献2】特開平7−184547号公報
【特許文献3】特開2000−316476号公報
【特許文献4】特開2011−139678号公報
【特許文献5】特開2008−295398号公報
【特許文献6】特開平8−154584号公報
【特許文献7】特開2003−116464号公報
【特許文献8】特開2006−6176号公報
【特許文献9】特開2006−6177号公報
【特許文献10】特開2006−296375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようにコーヒー液の抽出はその抽出条件によって、その抽出されたコーヒー液の内容は大きく変わる。
本発明新規なコーヒー飲料、そのコーヒー液の抽出方法およびコーヒー液抽出用の抽出溶媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコーヒー飲料は、コーヒー豆を果糖縮合物を含有した水溶液によって抽出したコーヒー液を含んだことを特徴としている。ここで果糖縮合物とは、複数のフルクトースを縮合させたものを言う。特に、フルクトース二分子からなる環状の二糖が好ましく、この中でもダイフルクトースアンハイドライドI〜V(DFAI〜V)およびその誘導体等が好ましい
さらに本発明のコーヒー液抽出用の抽出溶媒は、0.003〜1.5重量%の果糖縮合物を含有した水溶液からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコーヒー飲料は、果糖縮合物を含有した水溶液によってコーヒー豆を抽出しているため、苦味を含むコーヒーのうま味が強く、濃厚感があり、カフェインおよびポリフェノールの抽出量が高い。果糖縮合物は、水溶性でありながら、疎水基をもっているため、その疎水基がコーヒーの油性分と混じり、その成分を抽出しているものと考えられる。
また抽出液およびコーヒー液に果糖縮合物が存在しているため、コーヒー液自体の酸化を防止することができる。コーヒー豆急激に酸化する性質があり、特に抽出工程においては高温であることから、その酸化が促進されることが知られている。また、抽出されたコーヒー液も高温保管長期保管で酸化しやすいことが知られている。しかし、果糖縮合物を抽出水に含ませることによりコーヒー液の酸化を防止することができる。
さらに抽出液およびコーヒー液に果糖縮合物が存在しているため、コーヒー液を抽出する際に発生しやすいエグ味をマスキングすることができる。コーヒー液の抽出量を高めることを目的に高温、か長時間でコーヒーの抽出を行うと他の成分が抽出されてエグ味が検出されることが知られている。しかし、果糖縮合物の持つ疎水基と、その果糖縮合物の構造により、エグ味成分を包摂し、エグ味成分がマスキングされているものと考えられる。
そして、果糖縮合物多少の甘みはあるが、実質的に無味であるので、コーヒー飲料内に存在していてもコーヒーの味、香りを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】試料水1中の果糖縮合物を検出した分析グラフである。
図2】コーヒー飲料中の果糖縮合物を検出した分析グラフである。
図3】コーヒー液中のクロロゲン酸及びカフェインの抽出量を示すグラフである。
図4】コーヒー液中のクロロゲン酸及びカフェインの抽出量を示すグラフである。
図5】コーヒー液中のクロロゲン酸及びカフェインの抽出量を示すグラフである。
図6】コーヒー液中のクロロゲン酸及びカフェインの抽出量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
焙煎し、粉砕したコーヒー豆を準備し、ついで抽出溶媒を準備する。このコーヒー豆に、抽出溶媒を接触させて、コーヒー液を抽出する。抽出溶媒30〜100℃、好ましくは60〜100℃に加熱してもよく、常温で接触させてもよい。一般的に、抽出溶媒の温度は、90℃程度が良いとされているが、抽出溶媒の温度に影響されず、その効果を発揮する。
そのコーヒー豆の抽出方法としては、ウォータードリップ、ペーパードリップ、ネルドリップ、エスプレッソマシン等を用いた濾過法コーヒーサイフォン、バーコレータ等を用いた煮沸後濾過法トルココーヒーなどの煮沸法プランジャー、コーヒーバッグを用いた浸漬法等が挙げられ、特に限定されるものではない。
【0011】
コーヒー豆の種類は、公知のものが採用される。また、ブレンドしても良い。コーヒー豆の焙煎方法直火焙煎・熱風焙煎、遠赤外線焙煎、マイクロ波焙煎等種々の焙煎方法が用いられ、その焙煎度も特に限定されない。コーヒー豆の粉砕方法も、公知のコーヒーミルあるいはグラインダー等で粉砕され、その大きさは、細挽き、中挽き、粗挽きと特に限定されない。
【0012】
抽出溶媒は、果糖縮合物を含有した水溶液からなる。果糖縮合物の含有量は特に限定されるものではない0.003重量%以上、特に0.003〜1.5重量%とするのが好ましい。果糖縮合物の含有量が0.003重量%より少なくなると短期間でコーヒー液を抽出する場合その効果が小さい。0.015重量%より小さいとマスキング効果が若干弱い。果糖縮合物の含有量が1.5重量%より多くしても抽出量は特に変わらなくなる。溶媒である水も飲料水であればよいが、特にミネラル水が好ましい。
果糖縮合物は、複数のフルクトースを縮合させたものである。特に、フルクトース二分子からなる環状の二糖が好ましい。工業的にはイヌリン(フラクタン)をイヌリン分解酵素により発酵させた(DFAIII、DFAIV)、果糖を添加した水溶液を加熱し、果糖どうしを縮合させたもの(DFAI、DFAII、DFAV)がある。しかし、果糖縮合物は他の製造方法によって製造されてもよい。二分子のフルクトースには、誘導体が多く存在しているが、特限定されるものではない。
【0013】
このようにして製造される本発明のコーヒー飲料(コーヒー液)は、同じ量のコーヒー豆を通常の飲料水で抽出したものと比較すると、苦味を含むコーヒーのうま味が強くな濃厚感が増す。コーヒーの主成分であるカフェイン及びポリフェノールを分析すると、これらの成分が明らかに増加していた。これ果糖縮物水溶性でありながら疎水基を有する物質であるためであり、果糖縮合物の疎水基により通常の飲料水では抽出できないコーヒーのオイル分が抽出され、コーヒーのオイル分に混じっているカフェインおよびポリフェノールも抽出しているためであると考えられる。
このことからも果糖縮合物を用いてコーヒー豆を抽出したコーヒー液はカフェイン及びポリフェノール等のコーヒー成分の抽出量が明らかに増大していることがわかり、濃厚なコーヒー飲料の製造又は使用するコーヒー豆の使用量の低減を可能にすることができる。
【0014】
また本発明のコーヒー飲料は、抽出溶媒中に果糖縮合物が含有しているため、高温長時間で抽出してもエグ味を感じにくい。これは高温長時間抽出することによって生成されるエグ味成分が果糖縮合物の疎水基によって包摂され、そのエグ味成分をマスキングしエグ味成分が果糖縮合物の作用で生成されないためだと考えられる。
そのため、エグが原因で従来不可能であった高温長時間抽出が可能となり、抽出量を2倍近くまで引き上げることができ、コーヒー豆の使用量を極端に低減させることができる。
【0015】
さらに本発明のコーヒー飲料は、抽出溶媒中に果糖縮合物を含有しておりそのコーヒー液の成分に果糖縮合物を含んでいるため、果糖縮合物の酸化防止効果により酸化されにくい。このことから酸化による酸味等の風味劣化が原因でできなかった高温殺菌、高温保管が可能となり、長期に保管しても風味劣化を防止することができ、良質なコーヒー飲料の製造を可能とする。
【実施例】
【0016】
「果糖縮合物を含む水溶液の精製」
果糖水を100℃以上で加熱して煮詰め、出来上がった液体に水を加えて冷却する。その後、活性炭等で濾過して果糖縮合物が30重量%の水溶液(以下、試料水1とする)を精製した。
試料水1液体クロマトグラフィー分析した。その結果を図1に示す。
試料水1には、大きなピークが3本と、小さなピークが幾つか見られた。つまり、試料水1は、2種類のDFA及びフラクトースを主成分とし、複数の果糖縮合物(DFAIII、DFAIV以外のDFA誘導体)が含まれていることがわかった。
DFAIII含有の試料水として、ファンケル社のツイントースを用いた試料水(以下、試料水2)を精製した。
【0017】
「試験1」
前述の試料水1を用いて果糖縮合物が0.15重量%となる抽出水(以下「抽出水1」とする)を精製した。
焙煎し、粉砕したコーヒー豆(4g、6g)に100度まで熱した抽出水1をかけて熱湯抽出した。このコーヒー液を実施例1、実施例2とする。また、水100mlで抽出したコーヒー液を比較例1とする。これら実施例1、2および比較例1のコーヒー液のカフェイン量(Ca量)およびポリフェノール量(PP量)は、液体クロマトグラフィーで測定し、その味を評価した。その結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
試験1から抽出水に果糖縮合物を添加して抽出したコーヒー液(実施例2)は、果糖縮合物を添加しないで抽出したコーヒー液(比較例1)に比べて、カフェインおよびポリフェノールを多く抽出できることがわかる。実施例1のようにコーヒー豆を4gとした場合でも、比較例1と同程度のカフェインおよびポリフェノールを抽出できた。これにより果糖縮合物を添加することにより、量のコーヒー豆で濃いコーヒー液が抽出できることがわかる。さらに、比較例1は、多少の渋みおよび酸味があった。実施例1、2では、果糖縮合物によりコーヒーの酸化が防止され、コーヒーのエグ味がマスキングされていることが推測される。
【0020】
「試験2」
試験1と同様にコーヒー豆(6g)に100℃の試料水1を0.005〜5.0重量%添加した抽出水100mlを注いで抽出したコーヒー液中に含まれるカフェイン(Ca量)とポリフェノール量(PP量)を測定した結果を、その味の詳細と共に[表2]に示した。
【0021】
【表2】
【0022】
試験2から、果糖縮合物量が0.0015重量%以下の水で抽出したコーヒー液(実施例3)は、カフェインおよびポリフェノールの抽出量が比較例1と変わらなかった。つまり、果糖縮合物量を0.003重量%以上添加することによって、コーヒー液のカフェインおよびポリフェノールの抽出量が向上した。また、果糖縮合物量を0.09重量%以上添加した水で抽出したコーヒー液では、渋み・酸味が感じられなかった。
一方、果糖縮合物量が0.3重量%をピークにコーヒー液のカフェインおよびポリフェノールの抽出量が頭打ちとなった。また、果糖縮合物量が0.9重量%以上のコーヒー液は、渋みおよび酸味はないが、カラメル味が感じられるようになった。これは、試料水1を精製する際に残存した糖の影響であると考えられる。
【0023】
「試験3」
焙煎し、粉砕したコーヒー豆(6g)を、100mlの100℃に沸騰させた抽出水1に投入した。その後、その状態で10分間煮出し、ドリップした。そのコーヒー液を実施例10とする。一方、同様の方法で、試料水1を入れない水100mlで煮出したコーヒー液を比較例2とする。それらのカフェインおよびポリフェノールの抽出量を測定し、その味を評価した。その結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】
試験3から、実施例10は、渋み・酸味を伴わない濃厚な風味のあるコーヒーが得られた。一方、比較例2では、渋み・酸味が強くなった。これにより、果糖縮合物は、コーヒー液の酸化を防止し、かエグ味をマスキングしていることが推測される。また、実施例10では、カフェインおよびポリフェノールの抽出量が、試験1、2に比べて2倍近い値となった。
【0026】
「試験4」
焙煎し、粉砕したコーヒー豆(6g)に、100mlの100℃の抽出水1を注ぎ、ドリップによりコーヒー液を抽出した。 その製品の液体クロマトグラフィー分析をしたところ、少なくとも2種類のDFAの存在が確認できた(図2参照)。
【0027】
「試験5」
焙煎し、粉砕したコーヒー豆(6g)を、100mlの100℃の抽出水1に投入し、コーヒー液(実施例11)を抽出した。その後、このコーヒー液が50℃で維持されるように加熱し、コーヒー液の経時的な味の変化を見た。一方、同様の方法で、熱湯水100mlで抽出したコーヒー液(比較例3)を50℃に保ち、その経時的な味の変化を見た。さらに、熱湯水100mlで抽出したコーヒー液に0.5重量%となるように試料水1を添加し、50℃に保ち、その経時的な味の変化を見た(比較例4)。なお、コーヒー液の加熱は開放状態で行い、酸化しやすい条件で行った。
【0028】
【表4】
【0029】
試験5から果糖縮合物を添加し抽出したコーヒー液(実施例11)を長時間加熱してもその風味は劣化せず、渋味・酸味・エグ味は強くならず、抽出直後のコーヒーの風味を保っていた。一方、熱湯水で抽出したコーヒー液(比較例3)は、加熱10分後においてすでに風味は劣化し、60分後はコーヒーの風味が消失し、飲食できない状態となった。これは主に酸化が原因であると考えられる。
さらに、熱湯水で抽出したコーヒー液に試料水1を添加したもの(比較例4)も、時間と共に渋味、エグ味、酸味が強くなり、味も風化した。
【0030】
「試験6」
それぞれ飲料水に炭酸ナトリウムを加えてpH8、pH9としたアルカリ水1、アルカリ水2を精製した。それぞれのアルカリ水1、2に、試料水1を0.5重量%となるように添加し、抽出水2、抽出水3を精製した。
焙煎し、粉砕したコーヒー豆(6g)に、100℃に熱したアルカリ水1、2及び抽出水2、3をかけてコーヒー液(比較例5、6、実施例12、13)を抽出した。その結果を表5に示す。
【0031】
【表5】
【0032】
試験6から果糖縮合物を備えた抽出水を若干アルカリ性にすることにより、コーヒー本来の苦味が無くなることを防止し、苦味のある風味の良いコーヒーを抽出することができた(実施例1213)。従来、コーヒーをアルカリ性の抽出水で抽出する場合、比較例5・6からも解るように、酸性成分であるコーヒーの苦味成分が酸・アルカリ反応で中和され、呈味力を消失させられていると考えられている。しかし、果糖縮合物を含ませることにより、その酸・アルカリ中和反応を停止させているものと考えられる。また、果糖縮合物により、アルカリ臭をマスキングしているためと考えられる。
従って、コーヒーの抽出水をpH8〜9に調整し、かつ、抽出水に果糖縮合物を加えることによって、あっさりしたコーヒーであるにも関わらず、しっかりしたコーヒー本来の苦味とうま味のあるコーヒー液を得ることができた。
【0033】
「試験7」
前述の試料水2を水で薄めた抽出水(以下抽出水4)を準備する。
焙煎し、粗く粉砕したコーヒー豆(5g)を、90度の抽出水1を用いた果糖縮合物濃度0.12重量%の抽出水150ml(実施例14)及び同様のDFAIIIの溶媒(実施例15)に入れて、コーヒー液を抽出した。
さらに、焙煎し、粗く粉砕したコーヒー豆(5g)を、90度の果糖を0.5重量%添加した水150ml及び90℃の水150ml(無添加)に入れて、コーヒー液を抽出した(比較例7、8).その結果を表6及び図3〜6のグラフに示す。
【0034】
【表6】
【0035】
実施例1415のコーヒーは、それぞれに味に差はあったが、ポリフェノール及びカフェイン量が増大し、渋味及び酸味が減少した。一方、果糖を添加して抽出した比較例7は、無添加の比較例8とポリフェノール及びカフェインの抽出量は変わらなかった。つまり、ポリフェノール及びカフェインの抽出に、果糖の関与は少なく、果糖縮合物によって抽出量が増大しているものと推測される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6