特許第5920772号(P5920772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920772
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】パーツフィーダー
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   B65G47/14 102A
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-33578(P2012-33578)
(22)【出願日】2012年2月20日
(65)【公開番号】特開2013-170019(P2013-170019A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390038069
【氏名又は名称】株式会社青山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】小島 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤本 孝典
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−019950(JP,A)
【文献】 特開平09−290911(JP,A)
【文献】 実開昭61−005823(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00−47/20
B65G 47/80
B65G 29/00−29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口部を有する中空円筒体と、その内部に配置された回転柱から構成されるパーツフィーダーであって、
該回転柱は、半球状頭部と、外周面に上下方向の溝部を複数備えた溝付胴体部と、溝付胴体部の下部に形成された溝部のない底部からなり
該溝部と中空円筒体の内壁との間に形成される空間に、上部開口部から投入されて落下してくる複数の部品の表裏面を垂直に揃えて受け入れ、
該空間を通過した部品を、表裏面を垂直に維持したまま底部に排出することを特徴とするパーツフィーダー。
【請求項2】
底部は、該空間を通過して底部に排出された部品を、更に下方に排出する排出口を備えることを特徴とする請求項1記載のパーツフィーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーツフィーダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパーツフィーダーでは、周囲に螺旋構造部分を形成したボウルを周方向に振動させることにより、ボウル内に収容されているナット等の部品を、螺旋構造部分を昇らせながら整列させて連続的に送り出す構造が一般的に採用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、周囲に螺旋構造部分を形成したボウルの振動によって部品の整列と送り出しを行う従来構造では、部品が螺旋構造部分を昇っていけるように、ボウルの周径を所定以上確保して緩やかな傾斜を有する螺旋構造とする必要があり、装置サイズが大型化する問題があった。また、ボウルの振動に伴い大きな騒音が発生する問題があった。
【0004】
また、従来のパーツフィーダーでは、高精度が求められる螺旋加工等に高度な加工技術も要求され、これらの要因からコスト高になっているという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−114413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記の問題を解決し、大きな騒音を発生させることなく運転することができるコンパクトかつ低コストなパーツフィーダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明のパーツフィーダーは、上部開口部を有する中空円筒体と、その内部に配置された回転柱から構成されるパーツフィーダーであって、該回転柱は、半球状頭部と、外周面に上下方向の溝部を複数備えた溝付胴体部と、溝付胴体部の下部に形成された溝部のない底部からなり、該溝部と中空円筒体の内壁との間に形成される空間に、上部開口部から投入されて落下してくる複数の部品の表裏面を垂直に揃えて受け入れ、該空間を通過した部品を、表裏面を垂直に維持したまま底部に排出することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のパーツフィーダーにおいて、底部は、該空間を通過して底部に排出された部品を、更に下方に排出する排出口を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
従来、周囲に螺旋構造部分を形成したボウルの振動によって部品の整列と送り出しを行う構造では、部品が螺旋構造部分を昇っていけるように、ボウルの周径を所定以上確保して緩やかな傾斜を有する螺旋構造とする必要があり、装置サイズが大型化する問題があったのに対し、本発明では、パーツフィーダーの装置本体を、上部開口部を有する中空円筒体と、その内部に配置された回転柱から構成し、更に、該回転柱を、半球状頭部と、溝外周面に上下方向の溝部を複数備えた溝付胴体部と、底部から構成することにより、溝部と中空円筒体の内壁との間に形成される空間を利用して部品を整列させながら、部品の自重で落下させて連続的に送り出す機能を奏することができるため、大きく外周を確保した装置構成が不要となり、コンパクトかつ簡易な装置とすることができる。
【0010】
また、前記従来技術では、ボウルの振動に伴う大きな騒音が発生する問題があるのに対し、溝部と中空円筒体の内壁との間に形成される空間を利用して部品を整列させながら、部品の自重で落下させて連続的に送り出す本発明では、ボウルの振動が不要となり、ボウルの振動に伴う騒音を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態のパーツフィーダーの全体斜視図である。
図2】ピアスナットを裏面側からみた全体斜視図である。
図3】ピアスナットの正面図である。
図4】本実施形態のパーツフィーダーの使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
【0013】
本実施形態のパーツフィーダー1は、図1に示すように、上部開口部を有する中空円筒体2と、その内部に配置された回転柱3から構成されている。回転柱3は、更に、半球状頭部4と、溝部5を外周にわたって複数備えた溝付胴体部6と、その下部に形成された底部7から構成されている。図示されるように、この底部7には溝部がない。
【0014】
本実施形態のパーツフィーダー1は、図2図3に示すピアスナット8を整列して送り出すものである。具体的には、中空円筒体2の上部開口部から投入した複数のピアスナット8を、回転柱3を回転させながら溝部5と中空円筒体2の内壁との間に形成される空間に向けて落下させ、ピアスナット8の表面9と裏面10とが垂直方向となるように整列された状態で空間内に挿入され、空間ではピアスナット8の向きや角度を維持しつつ自重によって落下させて、最終的に、ピアスナット8を、空間受け入れ時の向きや角度を維持したまま、連続的に底部7に排出するものである。
【0015】
半球状頭部4は、上部開口部から投入されて落下してくる複数のピアスナット8が、頭頂部41に留まる事なく、速やかに表面9と裏面10とを垂直に整列して、溝部5と中空円筒体2の内壁との間に形成される空間に送りこまれるように、頭頂部41は半球形状、溝付胴体部6に隣接する下方部42は垂直に立ち上げた円柱形状に形成されている。
【0016】
溝部5は、溝部5と中空円筒体2の内壁との間に形成される空間内で、ピアスナット8の向きや角度が維持されるように、溝部5の底辺から中空円筒体2の内壁までの距離が、ピアスナット8の表面9と裏面10との距離(H)と略同一であって、溝部5の横幅(W)がピアスナット8の直径(L)と略同一となるように形成されている。
【0017】
本実施形態のパーツフィーダー1によれば、図4に示すように、上部開口部から投入されて落下してくる複数のピアスナット8が、溝部5と中空円筒体2の内壁との間に形成される空間を通過させる過程で、表面9と裏面10とが垂直方向となるように整列され、整列した状態のピアスナット8が、連続して底部7に排出されてくる。底部7では、未だピアスナット8の表裏面の向きは不統一であるが、図1に示すように、底部7には、排出されたピアスナット8を、更に下方に配置した表裏選別手段11に排出する排出口12を備えている。表裏選別手段11では、表面9と裏面10とが垂直方向となるように整列された状態で排出口12から排出されたピアスナット8を受け入れ、前面が表面9の状態のものと、前面が裏面10の状態のものとに分別することができる。なお、本実施形態の底部7は、溝部5と中空円筒体2の内壁との間に形成される空間を通過して連続的に排出されてくるピアスナット8が排出口12から排出されるまでの間、ピアスナット8を一時的に保持する保持スペース13を設けたものである。
【0018】
従来のように、周囲に螺旋構造部分を形成したボウルの振動によって部品の整列と送り出しを行う構造では、部品が螺旋構造部分を昇っていけるように、ボウルの周径を所定以上確保して緩やかな傾斜を有する螺旋構造とする必要があり、装置サイズが大型化する問題があったが、本発明によれば、溝部5と中空円筒体2の内壁との間に形成される空間を利用して部品を整列させながら、部品の自重で落下させて連続的に送り出す機能を奏することができるため、大きく外周を確保した装置構成が不要となり、コンパクトかつ簡易な装置とすることができる。
【0019】
また、従来技術では、ボウルの振動に伴う大きな騒音が発生するのに対し、本発明によれば、ボウルの振動が不要となり、ボウルの振動に伴う騒音を解消することができる。
【0020】
なお、本実施形態では、ピアスナットを整列して連続排出する例を用いて説明を行っているが、対象とする部品はピアスナットに限定されず、例えば圧入ナットやかしめナットの他、座金、キャップ、歯車、スペーサー等とすることもできる。
【符号の説明】
【0021】
1 パーツフィーダー
2 中空円筒体
3 回転柱
4 半球状頭部
41 頭頂部
42 下方部
5 溝部
6 溝付胴体部
7 底部
8 ピアスナット
9 表面
10 裏面
11 表裏選別手段
12 排出口
13 保持スペース
図1
図2
図3
図4