(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920876
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】バスバー組み付け構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20160428BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K7/06 C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-6845(P2012-6845)
(22)【出願日】2012年1月17日
(65)【公開番号】特開2013-150378(P2013-150378A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇勲
【審査官】
甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−319531(JP,A)
【文献】
特開平06−151000(JP,A)
【文献】
特開平02−111213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H05K 7/06
H01R 4/58
H02B 1/20
H01R 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバーと、該バスバーが組み付けられるハウジングと、で構成されるバスバー組み付け構造において、
前記バスバーに、帯状に延びた基部と、該基部の一端から該基部の長手方向と直交する方向に延びた長方形板状の圧入片と、前記基部の一端から延長され、前記圧入片と90度の角をなす延長部と、が同一平面上に設けられ、
前記ハウジングに、前記圧入片が圧入される圧入穴が設けられるとともに、該圧入穴の外周部に、前記基部及び前記延長部における前記圧入片近傍部分が挿入される溝が設けられ、
前記圧入片が前記圧入穴に圧入された状態で、前記基部と前記延長部とが前記溝の底面に当接する
ことを特徴とするバスバー組み付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のハウジングにバスバーを組み付けるバスバー組み付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器のハウジングにバスバーを組み付けるバスバー組み付け構造としては種々のものが提案されている(例えば特許文献1を参照。)。一従来例として、
図5〜7に示されたバスバー組み付け構造について説明する。
【0003】
図5〜7に示すように、バスバー組み付け構造201は、金属板にプレス加工等が施されて得られるバスバー202と、該バスバー202が組み付けられる合成樹脂製のハウジング203とで構成されている。
【0004】
上記バスバー202には、
図5に示すように、長方形板状の圧入片221と、電源接続部222と、図示しない電子部品に電気接続される一対の雄型端子部223と、これらを連結した基部220と、が設けられている。
【0005】
上記ハウジング203には、前記圧入片221が固定される固定部230が設けられている。この固定部230は、
図5に示すように、外形が直方体状に形成されており、圧入片221が圧入される圧入穴204と、基部220における圧入片221近傍部分が挿入される溝205と、が設けられている。
【0006】
また、
図5〜7中の矢印Yは、圧入片221の長手方向及び固定部230の高さ方向と平行な方向を表しており、矢印Xは、圧入片221の幅方向及び固定部230の幅方向と平行な方向を表しており、矢印Zは、圧入片221の厚み方向及び固定部230の厚み方向と平行な方向を表している。
【0007】
上記圧入穴204は、
図7に示すように、幅方向の寸法(矢印X方向の寸法)が圧入片221の幅方向の寸法よりも若干大きく形成されているとともに厚み方向の寸法(矢印Z方向の寸法)が圧入片221の厚み方向の寸法よりも小さく形成されている。
【0008】
上記構成のバスバー組み付け構造201においては、圧入片221が圧入穴204の矢印Z方向に対向する2面間に圧入されることにより固定部230に固定される。そして、圧入片221が固定部230に固定されることによりバスバー202がハウジング203に組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−069648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したバスバー組み付け構造201においては、以下に示す問題があった。すなわち、圧入穴204は、幅方向の寸法(矢印X方向の寸法)が圧入片221の幅方向の寸法よりも若干大きく形成されていたことから、圧入片221が圧入穴204に圧入される際、矢印Y方向に対して斜め方向に圧入されてしまう場合があり、その場合、一対の雄型端子部223のアライメント不良が生じたり、圧入片221によって圧入穴204の内面が削られ、圧入片221の保持力が低下してしまうという問題があった。さらに、バスバー組み付け構造201においては、バスバー202がハウジング203に組み付けられた状態で、基部220と固定部230との当接箇所が
図7に示すH部一箇所のみであり、このバスバー202に外力が加えられた場合、矢印J方向に傾きが生じ易いという問題があった。
【0011】
したがって、本発明は、バスバーをハウジングに圧入する際、斜め圧入を防止することができ、かつ、組み付け状態でのバスバーの位置ずれを防止することができるバスバー組み付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、バスバーと、該バスバーが組み付けられるハウジングと、で構成されるバスバー組み付け構造において、前記バスバーに、帯状に延びた基部と、該基部の一端から該基部の長手方向と直交する方向に延びた長方形板状の圧入片と、前記基部の一端から延長され、前記圧入片と90度の角をなす延長部と、が同一平面上に設けられ、前記ハウジングに、前記圧入片が圧入される圧入穴が設けられるとともに、該圧入
穴の外周部に、前記基部及び前記延長部における前記圧入片近傍部分が挿入される溝が設けられ、前記圧入片が前記圧入穴に圧入された状態で、前記基部と前記延長部とが前記溝の底面に当接する
ことを特徴とするバスバー組み付け構造である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、前記バスバーに、帯状に延びた基部と、該基部の一端から該基部の長手方向と直交する方向に延びた長方形板状の圧入片と、前記基部の一端から延長され、前記圧入片と90度の角をなす延長部と、が設けられているので、圧入片を圧入穴に押し込む際、圧入片の両側二箇所でバスバーを押すことが可能となり、バスバーの斜め圧入を防止することができる。前記圧入片が前記圧入穴に圧入された状態で、前記基部と前記延長部の二箇所が前記圧入穴の外周部に当接するので、バスバーのアライメント精度を向上させることができるとともに、バスバーに外力が加えられることによる当該バスバーの位置ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態にかかるバスバー組み付け構造の分解図である。
【
図3】
図1に示された圧入片を圧入穴に圧入した状態を示す斜視図である。
【
図5】従来のバスバー組み付け構造の分解図である。
【
図6】
図5に示された圧入片を圧入穴に圧入した状態を示す斜視図である。
【0015】
本発明の一実施の形態にかかる「バスバー組み付け構造」を
図1〜4を用いて説明する。
図1に示すように、バスバー組み付け構造1は、金属板にプレス加工等が施されて得られるバスバー2と、該バスバー2が組み付けられる合成樹脂製のハウジング3とで構成されている。
【0016】
上記バスバー2には、帯状に延びた基部20と、該基部20の一端から該基部20の長手方向と直交する方向に延びた長方形板状の圧入片21と、基部20の一端から延長され、圧入片21と90度の角をなす延長部24と、電力が入力される部分であり、基部20の他端に連なった電源接続部22と、基部20の中央に連なり、図示しない電子部品に電気接続される一対の雄型端子部23と、が設けられている。圧入片21の幅方向の両端面21aは、直線状に真っ直ぐに延びており、突起等は設けられていない。また、
図1,2におけるバスバー2の点線は、基部20と圧入片21と延長部24の境界部を示す仮想線である。
【0017】
上記ハウジング3には、前記圧入片21が固定される固定部30が設けられている。この固定部30は、外形が直方体状に形成されており、圧入片21が圧入される圧入穴4と、基部20における圧入片21近傍部分が挿入される溝5と、が設けられている。
【0018】
また、
図1〜4中の矢印Yは、圧入片21の長手方向及び固定部30の高さ方向と平行な方向を表しており、矢印Xは、圧入片21の幅方向及び固定部30の幅方向と平行な方向を表しており、矢印Zは、圧入片21の厚み方向及び固定部30の厚み方向と平行な方向を表している。
【0019】
上記圧入穴4は、
図2に示すように、固定部30の上面30aから矢印Y方向に凹状に形成されている。圧入穴4は、開口部40と、底面41と、矢印X方向に対向配置された2つの平面と、矢印Z方向に対向配置された2つの平面と、開口部40の近傍に設けられた4つのテーパ面42,42,45,45と、で構成されている。圧入穴4は、幅方向の寸法(矢印X方向の寸法)が圧入片21の幅方向の寸法よりも若干大きく形成されているとともに厚み方向の寸法(矢印Z方向の寸法)が圧入片21の厚み方向の寸法よりも小さく形成されている。
【0020】
上記溝5は、固定部30の上面30aから矢印Y方向に凹状に形成されているとともに、矢印X方向に延びている。
図2,4中に示す符号5aは、溝5の底面を表している。
【0021】
上記構成のバスバー組み付け構造1においては、
図3,4に示すように、圧入片21が、圧入穴4の矢印Z方向に対向する2面間に圧入されることにより固定部30に固定される。そして、圧入片21が固定部30に固定されることによりバスバー2がハウジング3に組み付けられる。また、圧入片21を圧入穴4に押し込む際は、
図2に矢印C,Dで示すように、圧入片21の両側二箇所でバスバー2を押すことが可能となり、バスバー2の斜め圧入を防止することができる。このように、本発明のバスバー組み付け構造1においては、圧入片21を圧入穴4に真っ直ぐ(矢印Y方向)に圧入することができるので、圧入穴4の内面が削られることを防止でき、そのために、バスバー保持力の低下を防止することができる。
【0022】
また、バスバー組み付け構造1においては、圧入片21が圧入穴4に圧入された状態で、基部20の端面20aと、延長部24の端面24aとの二箇所が溝5の底面5a、すなわち圧入穴4の外周部、に当接する。
図4中のE部は、基部20と固定部30との当接箇所を表しており、F部は、延長部24と固定部30との当接箇所を表している。このように、本発明のバスバー組み付け構造1においては、圧入片21が圧入穴4に圧入された状態で、基部20と延長部24の二箇所が圧入穴4の外周部に当接するので、バスバー2のアライメント精度(特に一対の雄型端子部23先端のアライメント精度)を向上させることができるとともに、バスバー2に外力が加えられることによる当該バスバー2の位置ずれを防止することができる。
【0023】
さらに、バスバー組み付け構造1においては、圧入片21が圧入穴4に圧入された状態で、基部20の端面20aと反対側の端面20b、及び、延長部24の端面24a以外の端面24b,24cが、ハウジング3の如何なる部分にも当接しない。このように本発明のバスバー組み付け構造1においては、延長部24の端面24bに当接する部位がハウジング3に設けられていないので、圧入片21を圧入穴4に容易に圧入することができる。
【0024】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 バスバー組み付け構造
2 バスバー
3 ハウジング
4 圧入穴
20 基部
21 圧入片
24 延長部