特許第5920887号(P5920887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5920887通信装置、車載装置、通信方法、通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920887
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】通信装置、車載装置、通信方法、通信システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20160428BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   G01C21/00 H
   B60R11/02 W
   B60R11/02 C
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-241256(P2012-241256)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-92374(P2014-92374A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2014年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】512282855
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズアジアパシフィックカンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】家田 幸治
(72)【発明者】
【氏名】勝田 昇
【審査官】 柳幸 憲子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−216295(JP,A)
【文献】 特開2012−208891(JP,A)
【文献】 特開2010−130670(JP,A)
【文献】 特開2012−043253(JP,A)
【文献】 特開2013−219474(JP,A)
【文献】 特開2013−205883(JP,A)
【文献】 特開2013−101435(JP,A)
【文献】 特開2014−002102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60R 16/02
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
G08G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した画像データを表示するとともに、車両が走行していると判定した場合に画像データの表示を中止する車載装置に接続可能な通信装置であって、
本通信装置内において実行中のアプリケーションであって、かつ車載装置へ画像データを出力しているアプリケーションの種別を判定する判定部と、
前記判定部における判定結果が、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションである場合、車載装置に対して、車両の走行中でも画像データを表示するための要求信号を送信し、前記判定部における判定結果が、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションでない場合、車載装置に対して、要求信号を送信しない要求部と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
車載装置からの情報を入力する入力部と、
車両が走行中である場合に、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションに対して、前記入力部において入力した情報に応じた走行規制処理を実行させる指示部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
車両に搭載可能であるとともに、通信装置に接続可能である車載装置であって、
通信装置からの画像データを入力する入力部と、
前記入力部において入力した画像データを表示させる表示部と、
車両が走行していると判定した場合に、前記表示部に対して、画像データの表示を中止させる指示部とを備え、
前記入力部は、通信装置からの画像データが、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションによる画像データである場合に、車両の走行中でも画像データの表示を要求するための要求信号を通信装置から入力し、
前記指示部は、前記入力部に要求信号が入力された場合に、画像データの表示の中止を解除し、
前記指示部は、前記入力部に要求信号が入力されない場合に、車両の走行中に、画像データの表示を中止させることを特徴とする車載装置。
【請求項4】
車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションに対して、車両が走行中である場合に走行規制処理を実行させるための情報を通信装置に出力する出力部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
入力した画像データを表示するとともに、車両が走行していると判定した場合に画像データの表示を中止する車載装置に接続可能な通信装置での通信方法であって、
本通信装置内において実行中のアプリケーションであって、かつ車載装置へ画像データを出力しているアプリケーションの種別を判定するステップと、
判定結果が、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションである場合、車載装置に対して、車両の走行中でも画像データを表示するための要求信号を送信し、判定結果が、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションでない場合、車載装置に対して、要求信号を送信しないステップと、
を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項6】
車両に搭載可能であるとともに、通信装置に接続可能である車載装置での通信方法であって、
通信装置からの画像データを入力するステップと、
入力した画像データを表示させるステップと、
車両が走行していると判定した場合に、画像データの表示を中止させるステップと、
通信装置からの画像データが、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションによる画像データである場合に、車両の走行中でも画像データの表示を要求するための要求信号を通信装置から入力するステップと、
要求信号が入力された場合に、画像データの表示の中止を解除するステップと、
要求信号が入力されない場合に、車両の走行中に、画像データの表示を中止させるステップと、
を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項7】
車両に搭載可能である車載装置と、
車載装置に接続可能である通信装置とを備え、
前記車載装置は、
前記通信装置からの画像データを入力する入力部と、
前記入力部において入力した画像データを表示させる表示部と、
車両が走行していると判定した場合に、前記表示部に対して、画像データの表示を中止させる指示部とを備え、
前記通信装置は、
本通信装置内において実行中のアプリケーションであって、かつ前記車載装置へ画像データを出力しているアプリケーションの種別を判定する判定部と、
前記判定部における判定結果が、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションである場合、前記車載装置に対して、車両の走行中でも画像データを表示するための要求信号を送信し、前記判定部における判定結果が、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションでない場合、車載装置に対して、要求信号を送信しない要求部とを備え、
前記指示部は、要求信号が入力された場合に、画像データの表示の中止を解除し、
前記指示部は、要求信号が入力されない場合に、車両の走行中に、画像データの表示を中止させることを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に画像データを伝送する通信装置、車載装置、通信方法、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、スマートホン等の通信装置には、さまざまな機能が付加されており、テレビジョン放送を受信する機能も付加されている。通信装置にテレビジョン放送機能が付加された場合、さまざまな場所でテレビジョン放送の視聴が可能になるが、車両運転中、主に走行中における運転者の視聴は好ましくない。そのため、車両の走行中に視聴を制御することが望まれる。これに対応するため、移動速度を検出するとともに、検出した移動速度が低速と高速との速度閾値を超えると映像の表示のみを停止することがなされる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−94136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信装置が、スマートホンのようにさまざまなアプリケーションを実行する場合、アプリケーションの種別に応じて表示するか否かが決定されるべきである。また、走行規制は、自動車メーカ、国によって異なるが、それらに対応した処理がなされるべきである。このように、表示するか否かは、さまざまな状況に依存する。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、状況に応じた表示を実行する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の通信装置は、入力した画像データを表示するとともに、車両が走行していると判定した場合に画像データの表示を中止する車載装置に接続可能な通信装置であって、本通信装置内において実行中のアプリケーションであって、かつ車載装置へ画像データを出力しているアプリケーションの種別を判定する判定部と、判定部における判定結果が、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションである場合、車載装置に対して、車両の走行中でも画像データを表示することを要求する要求部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、車載装置である。この装置は、車両に搭載可能であるとともに、通信装置に接続可能である車載装置であって、通信装置からの画像データを入力する入力部と、入力部において入力した画像データを表示させる表示部と、車両が走行していると判定した場合に、表示部に対して、画像データの表示を中止させる指示部とを備える。入力部は、通信装置からの画像データが、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションによる画像データである場合に、車両の走行中でも画像データの表示を要求するための要求信号を通信装置から入力し、指示部は、入力部に要求信号が入力された場合に、画像データの表示の中止を解除する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、通信方法である。この方法は、入力した画像データを表示するとともに、車両が走行していると判定した場合に画像データの表示を中止する車載装置に接続可能な通信装置での通信方法であって、本通信装置内において実行中のアプリケーションであって、かつ車載装置へ画像データを出力しているアプリケーションの種別を判定するステップと、判定結果が、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションである場合、車載装置に対して、車両の走行中でも画像データを表示することを要求するステップと、を備える。
【0009】
本発明のさらに別の態様もまた、通信方法である。この方法は、車両に搭載可能であるとともに、通信装置に接続可能である車載装置での通信方法であって、通信装置からの画像データを入力するステップと、入力した画像データを表示させるステップと、車両が走行していると判定した場合に、画像データの表示を中止させるステップと、通信装置からの画像データが、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションによる画像データである場合に、車両の走行中でも画像データの表示を要求するための要求信号を通信装置から入力するステップと、要求信号が入力された場合に、画像データの表示の中止を解除するステップと、を備える。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、通信システムである。この通信システムは、車両に搭載可能である車載装置と、車載装置に接続可能である通信装置とを備える。車載装置は、通信装置からの画像データを入力する入力部と、入力部において入力した画像データを表示させる表示部と、車両が走行していると判定した場合に、表示部に対して、画像データの表示を中止させる指示部とを備える。通信装置は、本通信装置内において実行中のアプリケーションであって、かつ車載装置へ画像データを出力しているアプリケーションの種別を判定する判定部と、判定部における判定結果が、車両の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションである場合、車載装置に対して、車両の走行中でも画像データを表示することを要求する要求部と、を備える。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、状況に応じた表示を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1に係る通信システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施例1に係る通信システムの別の構成を示す図である。
図3図2のアプリケーション情報蓄積部に記憶されたテーブルのデータ構造を示す図である。
図4図2の通信システムによる送信手順を示すシーケンス図である。
図5図2の通信装置による送信手順を示すフローチャートである。
図6図2の車載装置による表示手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施例2に係る通信システムの構成を示す図である。
図8図7の情報出力部から出力される情報のデータ構造を示す図である。
図9図8の通信システムによる送信手順を示すシーケンス図である。
図10】本発明の実施例3に係る通信システムの構成を示す図である。
図11図10の通信システムによる送信手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
本発明の実施例1を具体的に説明する前に、実施例1の概略を説明する。本実施例では、車両内に車載装置と、当該車載装置に接続可能な通信装置とによって構成される通信システムに関する。車載装置は、ディスプレイを備えており、画像を表示可能に構成される。通信装置の一例は、無線装置、特にスマートホンであり、さまざまなアプリケーションを実行する。通信装置において実行されるアプリケーションは、画像データを車載装置に出力し、車載装置は、画像データを表示する。通信装置において実行されるアプリケーションがテレビジョン放送の受信機能であれば、車両走行中の安全性を考慮して、画像データは走行中に表示されない方が望ましい。一方、通信装置において実行されるアプリケーションには、走行中であっても画像データを表示することが好ましいものもある。例えば、カーナビゲーションのアプリケーションである。
【0015】
このような状況に対応するために、車載装置は、走行中において、入力した画像データの表示を中止する。また、通信装置は、実行しているアプリケーションの種別を判定する。アプリケーションの種別が車載アプリケーションである場合、通信装置は、画像データの表示の中止を解除するための要求信号を車載装置に出力する。車載装置は、要求信号を入力すると、画像データの表示の中止を解除することによって、入力した画像データを表示する。
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、通信装置10、車載装置12を含む。通信装置10は、車両14に搭載可能である。通信装置10は、車載装置12に接続可能である。ここで、通信装置10と車載装置12は、双方向の通信回線(以下、「第1回線」という)と、車載装置12から通信装置10への片方向の通信回線(以下、「第2回線」という)とによって接続される。第1回線、第2回線は、無線であってもよく、有線であってもよい。第1回線において、通信装置10と車載装置12との間での制御信号が送信される。第2回線において、通信装置10から車載装置12への画像データが送信される。
【0017】
車載装置12は、第2回線にて、通信装置10からの画像データを入力する。画像データは、本来、通信装置10のディスプレイに表示されるべきである。車載装置12は、入力した画像データを表示させる。一方、車載装置12は、車両14が走行していると判定した場合に、画像データの表示を中止する。通信装置10は、実行中のアプリケーションの種別を判定する。ここで、実行中のアプリケーションとは、車載装置12へ画像データを出力しているアプリケーションである。
【0018】
通信装置10は、判定結果が車載アプリケーションである場合、第1回線にて、車載装置12へ要求信号を出力する。前述のごとく、車載アプリケーションとは、車両14の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションである。また、要求信号は、制御信号のひとつであり、車載装置12に対して、車両14の走行中でも画像データを表示することを要求するための信号である。車載装置12は、要求信号を入力すると、車両14が走行中であっても、入力した画像データの表示を継続させる。
【0019】
図2は、本発明の実施例1に係る通信システム100の別の構成を示す。通信装置10は、アプリケーション情報蓄積部20、監視部22、通信部24、映像音声出力部26、アプリケーション処理部28を含み、通信部24は、要求出力部30を含む。車載装置12は、走行判定部40、指示部42、通信部44、映像音声入力部46、出力切替部48、表示部50を含み、通信部44は、要求入力部52を含む。
【0020】
通信装置10は、携帯電話システムの端末装置に対応した無線装置である。ここでは、携帯電話システムに対応した通信処理の説明を省略する。アプリケーション処理部28は、さまざまなアプリケーションプログラムを実行する。アプリケーションは、複数の種別に分類されるが、ここでは、説明を明瞭にするために、車載アプリケーション、非車載アプリケーションに分類する。車載アプリケーションには、ナビゲーションのアプリケーションが含まれる。また、電子メール等のコミュニケーション用のアプリケーションであっても、車両14内においても視認を容易にするために設計されたアプリケーションも、車載アプリケーションに含まれる。視認を容易にするための設計とは、ディスプレイ上に示される文字数を通常よりも少なくすることに相当する。アプリケーション処理部28は、アプリケーションを処理することによって生成した画像データを映像音声出力部26に出力する。アプリケーションがナビゲーションである場合、画像データは、経路が示された地図画像に相当する。なお、画像データには、ディスプレイに示すための画像、画像に対応した電子データのいずれもが含まれる。
【0021】
映像音声出力部26は、アプリケーション処理部28からの画像データを映像音声入力部46へ出力する。映像音声出力部26と映像音声入力部46との間は、前述の第2回線に相当する
【0022】
監視部22は、アプリケーション処理部28において実行中のアプリケーションであって、かつ車載装置12へ画像データを出力しているアプリケーションの種別を判定する。アプリケーションの種別を判定するために、アプリケーション情報蓄積部20に記憶されたテーブルが使用される。図3は、アプリケーション情報蓄積部20に記憶されたテーブルのデータ構造を示す。このようなテーブルがアプリケーションごとに記憶されている。図示のごとく、情報欄200、内容欄202が含まれる。一例として、アプリケーション名が「A」と示され、バージョンが「B」と示される。また、アプリケーション種別は、車載アプリケーションあるいは非車載アプリケーションと示される。なお、非車載アプリケーションがさらに詳細に示されてもよい。また、車載アプリケーションのみ記載し、テーブル中にないものが非車載アプリケーションとしてもよい。その際、アプリケーション種別は、車載アプリケーションの細分化のために使用される。例えば、A社製車載アプリケーション、他社製車載アプリケーションなどである。能力には、車両情報通信に対応しているか否か、仕向け情報通信に対応しているか否かが示されている。これらについては、後述する。図2に戻る。
【0023】
監視部22は、アプリケーション情報蓄積部20に示されたテーブルを参照することによって、車載アプリケーションであると判定した場合、その旨を要求出力部30に出力する。通信部24は、通信部44と接続する。通信部24と通信部44との間は、前述の第1回線に相当し、その通信方式は、例えば、USB(Universal Serial Bus)である。なお、第1回線には、USB以外が使用されてもよい。要求出力部30は、監視部22から、車載アプリケーションである旨の通知を受けつけると、第1回線を介して、要求入力部52へ要求信号を出力する。これは、監視部22における判定結果が、車両14の走行中でも画像データを表示すべきアプリケーションである場合、車載装置12に対して、車両14の走行中でも画像データを表示することを要求することに相当する。
【0024】
映像音声入力部46は、映像音声出力部26からの画像データを入力する。映像音声入力部46は、画像データを出力切替部48へ出力する。出力切替部48は、映像音声入力部46からの画像データを入力し、画像データを表示部50へ出力する。表示部50は、出力切替部48から入力した画像データをディスプレイに表示させる。走行判定部40は、車両14に備えられた車速センサ等から車両14の速度に関する情報を入力する。走行判定部40は、速度に関する情報をもとに、車両14が走行しているか否かを判定する。具体的に説明すると、走行判定部40は、しきい値を規定しており、速度に関する情報がしきい値よりも高速である場合に、車両14が走行していると判定する。一方、走行判定部40は、そうでない場合に、車両14が走行していないと判定する。また、走行判定部40は、パーキングブレーキ状態も監視し、これに応じて走行しているか否かを判定してもよい。その際、パーキングブレーキがOffで速度がしきい値よりも高速である場合に、走行判定部40は、車両14が走行していると判定する。走行判定部40は、判定結果(以下、「走行情報」という)を指示部42に出力する。
【0025】
指示部42は、走行情報が走行を示している場合に、表示部50に対して画像データの表示を中止させるための中止信号を出力切替部48に出力する。出力切替部48は、指示部42から中止信号を入力した場合に、映像音声入力部46からの画像データを表示部50に出力しない。その結果、表示部50は、画像データをディスプレイに表示しない。通信部44は、通信部24に対応した処理を実行する。要求入力部52は、要求出力部30からの要求信号を入力する。これは、通信装置10からの画像データが、車載アプリケーションによる画像データである場合に、要求信号を通信装置10から入力することに相当する。要求入力部52は、要求信号を指示部42に出力する。指示部42は、要求入力部52からの要求信号を入力した場合に、走行情報が走行であっても、中止信号を出力切替部48に出力しない。これは、要求信号が入力された場合に、画像データの表示の中止を解除することに相当する。
【0026】
なお、走行判定部40において判定された走行情報は、通信部44、通信部24を介して、監視部22に出力される。これらの出力は、定期的になされる。監視部22は、走行情報をもとに、走行中から停止へ遷移したことを検出したり、停止から走行中へ遷移したことを検出したりする。監視部22は、遷移を検出した場合に、前述の処理を実行する。また、監視部22は、定期的に前述の処理を実行してもよい。
【0027】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0028】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図4は、通信システム100による送信手順を示すシーケンス図である。通信装置10と車載装置12とは、接続される(S10)。通信装置10は、車載装置12に能力情報を送信する(S12)。通信装置10は、車載装置12に要求情報を送信する(S14)。通信装置10は、走行中であっても、車載装置12に画像データを送信する(S16)。
【0029】
図5は、通信装置10による送信手順を示すフローチャートである。走行状態に変化がなく(S20のN)、定期時刻が経過しなければ(S22のN)、ステップ20に戻る。走行状態に変化がある場合(S20のY)、あるいは定期時刻が経過した場合(S22のY)、監視部22は、アプリケーションの種別を判定することによって、車載アプリケーションが動作中であれば(S24のY)、要求出力部30は、要求信号を送信する(S26)。車載アプリケーションが動作中でなければ(S24のN)、ステップ26はスキップされる。接続終了でなければ(S28のN)、ステップ20に戻る。接続終了であれば(S28のY)、処理が終了される。
【0030】
図6は、車載装置12による表示手順を示すフローチャートである。要求入力部52が要求信号を受信せず(S30のN)、走行中であれば(S32のY)、表示部50は表示を中止する(S34)。要求入力部52が要求信号を受信した場合(S30のY)、あるいは走行中でない場合(S32のN)、表示部50は表示する(S36)。接続終了でなければ(S38のN)、ステップ30に戻る。接続終了であれば(S38のY)、処理が終了される。
【0031】
本発明の実施例によれば、走行中に表示を中止させるので、安全運転を実行させることができる。また、車載アプリケーションであれば、走行中であっても表示を継続させるための要求信号を送信するので、車載アプリケーションの画像データを走行中に表示させることができる。また、アプリケーションの種類に応じて表示するか否かを変更するので、状況に応じた表示を実行できる。また、非車載アプリケーションであれば走行中に表示させないので、非車載アプリケーションであっても走行規制に準拠した車載装置と通信装置間の連携を実行できる。
【0032】
(実施例2)
次に実施例2を説明する。実施例2も、実施例1と同様に、車両内に車載装置と、当該車載装置に接続可能な通信装置とによって構成される通信システムに関する。また、実施例2でも、車載アプリケーションの画像データは、走行中であっても表示されるが、非車載アプリケーションの画像データは、走行中に非表示とされる。一方、実施例2は、走行中でも表示されるべき車載アプリケーションであっても、走行規制がなされていれば、車載アプリケーションに対して走行規制に応じた走行規制処理を実行する。車載アプリケーションがナビゲーションである場合、走行規制処理によって、走行中に目的地の入力ができなくなる。このような走行規制は、国、自動車メーカによって異なるので、これらに関する情報が車載装置から通信装置へ出力される。通信処理は、これらに関する情報をもとに、走行規制処理を実行する。実施例2に係る通信システム100は、図1と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0033】
図7は、本発明の実施例2に係る通信システム100の構成を示す。通信装置10は、アプリケーション情報蓄積部20、監視部22、通信部24、映像音声出力部26、アプリケーション処理部28、指示部34を含み、通信部24は、要求出力部30、情報入力部32を含む。車載装置12は、走行判定部40、指示部42、通信部44、映像音声入力部46、出力切替部48、表示部50を含み、通信部44は、要求入力部52、情報出力部54を含む。
【0034】
通信装置10と車載装置12とが接続された場合に、通信部24は、能力情報を通信部44に出力する。能力情報とは、図3に示された「能力」に相当する。ここで、「車両情報通信」は、通信装置10が車両情報を受信できるか否かを示しており、「仕向け情報通信」は、通信装置10が仕向け情報を受信できるか否かを示している。つまり、通信部24は、能力情報を出力することによって、車載装置12に対して、通信装置10が受信可能な情報を通知している。実施例2では、これらの情報を受信できるものとする。なお、これらの情報を受信できない場合の処理は実施例1のようになされる。
【0035】
情報出力部54は、車載アプリケーションに対して、車両14が走行中である場合に走行規制処理を実行させるための情報を通信装置10に出力する。ここでの情報が、仕向け情報と車両情報、あるいはそれらのうちの一方に相当する。仕向け情報とは、国、自動車メーカに応じて異なった走行規制に対応させるために、国、自動車メーカを通信装置10に知らしめるための情報である。車両情報とは、車両14の状態を示すための情報である。
【0036】
図8は、情報出力部54から出力される情報のデータ構造を示す。図示のごとく、情報欄210、内容欄212を含む。仕向け情報では、仕向け(国)、仕向け(メーカ)が示されている。仕向け(国)によって、一般、欧州、日本のいずれかが示される。仕向け(メーカ)によって、車両14の製造メーカが示されている。車両情報では、車両(SPD)、車両(PKB)が示されている。車両(SPD)によって、車両14の車速値が示されている。車両(PKB)によって、パーキングブレーキがオンであるか、オフであるかが示されている。図7に戻る。実施例2では、車両情報が出力されないものとする。
【0037】
情報入力部32は、情報出力部54からの仕向け情報を入力する。情報入力部32は、仕向け情報を指示部34に出力するとともに、走行情報も指示部34に出力する。指示部34は、仕向け情報のそれぞれに対応した走行規制処理を予め記憶する。指示部34は、情報入力部32からの仕向け情報に対応した走行規制処理を選択する。また、情報入力部32からの走行情報が走行を示している場合に、指示部34は、選択した走行規制処理の実行をアプリケーション処理部28に指示する。
【0038】
アプリケーション処理部28は、指示部34からの指示を受けつけた場合に、車載アプリケーションを実行する際に、選択された走行規制処理も実行する。走行規制処理は、前述のごとく、車載アプリケーションの一部の機能を停止させるための処理である。アプリケーション処理部28は、走行規制処理も実行した画像データを映像音声出力部26に出力する。この画像データも、表示部50に表示される。
【0039】
図9は、通信システム100による送信手順を示すシーケンス図である。通信装置10と車載装置12とは、接続される(S40)。通信装置10は、車載装置12に能力情報を送信する(S42)。車載装置12は、通信装置10に、仕向け情報を送信する(S44)とともに、走行情報を送信する(S46)。通信装置10は、車載装置12に要求情報を送信する(S48)。通信装置10は、走行中であっても、車載装置12に走行規制画像データを送信する(S50)。
【0040】
本発明の実施例によれば、車載アプリケーションに対して走行規制処理を実行するので、走行中に表示する場合であっても走行規制に準拠できる。また、仕向け情報として国を通知するので、各国の走行規制に準拠できる。また、仕向け情報としてメーカを通知するので、各メーカの走行規制に準拠できる。
【0041】
(実施例3)
次に実施例3を説明する。実施例3も、これまでと同様に、車両内に車載装置と、当該車載装置に接続可能な通信装置とによって構成される通信システムに関する。また、実施例3でも、実施例2と同様に、走行中でも表示されるべき車載アプリケーションであっても、走行規制がなされていれば、車載アプリケーションに対して走行規制に応じた走行規制処理を実行する。実施例2では、走行しているか否かが車載装置において判定されるが、実施例3では、走行しているか否かが通信装置において判定される。実施例3に係る通信システム100は、図1と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0042】
図10は、本発明の実施例3に係る通信システム100の構成を示す。通信装置10は、アプリケーション情報蓄積部20、監視部22、通信部24、映像音声出力部26、アプリケーション処理部28、指示部34、走行判定部36を含み、通信部24は、要求出力部30、情報入力部32を含む。車載装置12は、指示部42、通信部44、映像音声入力部46、出力切替部48、表示部50を含み、通信部44は、要求入力部52、情報出力部54を含む。
【0043】
情報出力部54は、車載アプリケーションに対して、車両14が走行中である場合に走行規制処理を実行させるための情報として、仕向け情報と車両情報とを通信装置10に出力する。実施例2においては、走行情報が出力されているが、実施例3においては、走行情報の代わりに車両情報が出力されている。情報入力部32は、情報出力部54からの仕向け情報と車両情報とを入力する。情報入力部32は、仕向け情報と車両情報とを指示部34に出力する。走行判定部36は、車両情報をもとに、車両14が走行しているか否かを判定する。この処理は、図2の走行判定部40と同様である。走行判定部36は、走行しているか否かの判定結果と、仕向け情報とを指示部34に出力する。
【0044】
図11は、通信システム100による送信手順を示すシーケンス図である。通信装置10と車載装置12とは、接続される(S60)。通信装置10は、車載装置12に能力情報を送信する(S62)。車載装置12は、通信装置10に、仕向け情報を送信する(S64)とともに、車両情報を送信する(S66)。通信装置10は、車載装置12に要求情報を送信する(S68)。通信装置10は、走行中であっても、車載装置12に走行規制画像データを送信する(S70)。
【0045】
本発明の実施例によれば、走行しているかを通信装置に判定させるので、構成の自由度を拡大できる。また、車載アプリケーションに対して走行規制処理を実行するので、走行中に表示する場合であっても走行規制に準拠できる。また、仕向け情報として国を通知するので、各国の走行規制に準拠できる。また、仕向け情報としてメーカを通知するので、各メーカの走行規制に準拠できる。
【0046】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0047】
本発明の実施例1から3の任意の組合せも有効である。本変形例によれば、通信装置10の能力情報に応じて、実施例1から3の構成に応じた処理を実行できる。
【0048】
本発明の実施例1から3において、監視部22は、車載アプリケーションが実行されている場合に、要求信号を送信している。しかしながらこれに限らず例えば、監視部22は、車載アプリケーション以外のアプリケーションの実行を検出した場合であっても、要求信号を送信してもよい。本変形例によれば、走行中に表示すべきアプリケーションの種別を増加できる。
【符号の説明】
【0049】
10 通信装置、 12 車載装置、 14 車両、 20 アプリケーション情報蓄積部、 22 監視部、 24 通信部、 26 映像音声出力部、 28 アプリケーション処理部、 30 要求出力部、 40 走行判定部、 42 指示部、 44 通信部、 46 映像音声入力部、 48 出力切替部、 50 表示部、 100 通信システム。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11