特許第5920896号(P5920896)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5920896-分泌型コンドーム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920896
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】分泌型コンドーム
(51)【国際特許分類】
   A61F 6/04 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   A61F6/04
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-531749(P2013-531749)
(86)(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公表番号】特表2013-538646(P2013-538646A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011053600
(87)【国際公開番号】WO2012050861
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年9月18日
(31)【優先権主張番号】12/893,571
(32)【優先日】2010年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10193972.6
(32)【優先日】2010年12月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513077140
【氏名又は名称】レビー,リンダ
【氏名又は名称原語表記】LEVY,Linda
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】レビー,リンダ
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05640973(US,A)
【文献】 米国特許第07654265(US,B2)
【文献】 米国特許第05050619(US,A)
【文献】 特開平02−111360(JP,A)
【文献】 特開平07−148195(JP,A)
【文献】 特開昭62−164460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
男性用避妊器具であって、
内側を画定し男性器の細長い形状に弾性的に適合するコンドーム状シースを具え、当該コンドーム状シースは、
前記男性器を受けるための開いた近位端部と、
前記内側に液通しており、摂取可能な香料成分を含むリザーバを規定する遠位先端を有する遠位端部とを具え、
当該リザーバが選択的に閉じておりリザーバ内から前記シースの外側周囲へ液体を放出可能であり、
前記液体は香料溶液か、精液が前記リザーバ内に分泌された場合の精液のいくらかと前記香料溶液の混合体の少なくともいずれかから選択されることを特徴とする男性用避妊器具。
【請求項2】
請求項1の器具において、前記遠位先端がさらに1以上のミシン目を具え、当該ミシン目は破れた場合に、前記内側と前記シースの外側周囲との間の液通が可能となり、前記リザーバ内の液体が周囲へと放出されることを特徴とする器具。
【請求項3】
請求項1の器具において、前記遠位先端がさらに取り外し可能な部分を具え、当該取り外し可能な部分を前記遠位先端から取り外すと、前記内側と前記シースの外側周囲との間の液通が可能となるとともに前記リザーバ内の液体を周囲へ放出する開口部が前記遠位先端に現れることを特徴とする器具。
【請求項4】
請求項1の器具において、前記遠位先端がさらに、前記内側と前記シースの外側周囲との間の液通を可能にする開口部を具えることを特徴とする器具。
【請求項5】
請求項4の器具において、さらに、前記遠位端部に取り外し可能に固定され前記開口部を密閉するように覆うパッチを具え、当該パッチを前記遠位端部から取り去ると、前記遠位先端が、前記リザーバから前記開口部を通して前記シースの外側周囲へと前記液体を放出可能となることを特徴とする器具。
【請求項6】
請求項4の器具において、さらに、前記遠位端部に取り外し可能に固定され前記開口部を密閉するように覆うタブを具え、前記タブを前記遠位端部から少なくとも部分的に取り去ると、前記遠位先端が、前記リザーバから前記開口部を通して前記シースの外部環境へと前記液体を放出可能となることを特徴とする器具。
【請求項7】
請求項4の器具がさらに、
少なくとも前記コンドーム状シースの遠位端部に弾性的に適合する形状の外側部材であって、
前記シースの遠位端部の少なくとも一部を内部に受ける形状の開いた近位端部と、
前記開口部を密閉するように覆う閉じた遠位端部とを具え、前記外側部材を前記シースの遠位端部から取り去ると、前記遠位先端が前記リザーバから前記開口部を通して前記シースの外部環境へと前記液体を放出可能となることを特徴とする器具。
【請求項8】
請求項1の器具において、前記遠位先端は、前記リザーバに精液が入ることに反応して液体を放出可能となることを特徴とする器具。
【請求項9】
請求項8の器具において、前記遠位先端がさらに、開いたときに前記遠位先端に開口部を生じさせ前記リザーバから前記開口部を通って前記シースの外側周囲へと一方向に液体を放出可能となる一方通行弁を具えることを特徴とする器具。
【請求項10】
請求項9の器具において、前記一方通行弁は前記リザーバに精液が入ることにより生じる力に反応して開き得ることを特徴とする器具。
【請求項11】
男性用避妊器具において、
内側を画定し男性器の細長い形状に弾性的に適合するコンドーム状シースを具え、当該コンドーム状シースは、
前記男性器を受けるための開いた近位端部と、
選択的に閉じており、前記内側と液通するリザーバを規定し、摂取可能な香料溶液を内包する遠位先端を有する遠位端部を具え、当該遠位先端は、前記リザーバに精液が入ることに反応して、前記香料溶液と精液の混合体を放出可能となることを特徴とする器具。
【請求項12】
男性用避妊器具において、
内側を画定し男性器の細長い形状に弾性的に適合するコンドーム状シースを具え、当該コンドーム状シースは、
前記男性器を受けるための開いた近位端部と、
遠位先端を有する遠位端部とを具え、当該遠位先端は、
選択的に閉じた開口部と、
前記内側を前記開口部と液通させるとともに、摂取可能な香料溶液を内包するリザーバとを具え、
前記リザーバに精液が入ることに反応して、前記香料溶液と精液の混合体を放出可能となることを特徴とする器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は男性用の避妊具に関する。より具体的には、本発明は、男性の生殖器の上に配置するコンドーム状シースであって、当該コンドーム状シースの遠位端部の選択的に閉じた中に配置されたよい香りの調剤液を有し、この遠位端部は男性の射精時に調剤液を放出、噴出、あるいは分泌可能である。
【背景技術】
【0002】
多くのコンドームの種類がこの分野で知られている。一般に、コンドームは伝染病の可能性を低減するとともに性的パートナーとの望まない妊娠を低減させるための避妊具の一種として用いられる。長年、コンドームは利用者および性交渉相手にもたらされる快適性と感覚を考慮してその構造において進化してきた。例えば、コンドームを構成する材料は通常低アレルギー誘発性かつ非摩耗性であり、往々にして何種類かの液体組成物で潤滑されており、アレルギー反応、発疹、またはコンドームに必要な緊密性と弾性密着性により生じる他の摩擦の不具合が生じるのを防いでいる。さらに、感覚が抑制される問題が生じないように、避妊具の安全性を維持しつつコンドームの厚さを低減するよう材料が選択される。コンドームはまた、皮膚と密着するコンドームの内面および/または外面にテキスチャ素材を用いることにより、あるいはコンドームの内外面に皮膚との接触により性的作用を生じさせる自然または合成の成分を摘要することにより、実際に性的刺激を高めたり強化したりするものとして用いられる。このように、コンドームはセックスの楽しみを向上させる有用な器具として証明されてきた。
【0003】
コンドームは性感染症を伝染する可能性と、性交渉の際の望まない妊娠の可能性を下げるのに用いられるのが一般的だが、コンドームはまた、一般大衆に人気の高い安全な、従来の歴史に比べて広く大衆に受け入れられている性交渉の形となっている口−性器のセックスを行うのに用いられている。妊娠に関係しないが、口腔やその周りの唇、および顔の皮膚はすべて、セックスパートナーの生殖器と皮膚同士の直接接触があった場合に皮膚/血液または粘液の仕切りが破られたときに疾病を伝染する有意な可能性がある。したがって、いくらかは妨げがあるが、コンドームは、男性の生殖器に被せたときに、男性のパートナーの口−性器のセックスを行う際に口の組織面とペニスの皮膚面との間の重要な仕切りを提供する。
【0004】
しかしながら、身体の口の感覚を含めると、味と匂いは、口−性器のセックスを行う場合の人が快楽を体験しているかを判定するのに重要な要素である。通常コンドームは、ラテックス、ラバー、ポリウレタン、またはポリイソプレンといった自然または人工のポリマー材料でなるため、通常これらは口内に導いたときによい匂い、味、または肌触りがしない。コンドームの望ましくない匂いや味を隠す努力や、性交渉にユニークな関心材料を加えるために、コンドームの構造的強度を損なうことなくその外面に香りのよい多種の成分を加える努力がなされてきた。例えば、摂取可能または食用の香料をコンドームに用いる潤滑剤に添加する。別の例では、摩擦接触または例えば唾液に接触したり体温で溶解するように、溶解、反応、放出、または他の方法でコンドームから無くなり、反応し、あるいは他の方法で消散する香料の薄膜、コーティング、または筒状材料をコンドームの外面に追加している。
【0005】
このように、口−性器の性交渉を考慮した場合のコンドームの不快な匂いと味を低減すべく香料を用いる進歩があるが、コンドームの外側面のみが口腔に接触するため、これらの香料は、コンドームの外面に手作業または製造工程で適用されるだけである。歴史的に、コンドームはその遠位端部で封止され閉じており、体液が漏出しないようになっている。このため、コンドームに用いられる香料添加剤は、コンドームを使用しなかったり、コンドームが絶頂前に取り外される場合に、口−性器のセックスで分泌される体液の匂いや香りを低減したり隠すことに対処していない。多くの人々にとって、長い期間または男性が絶頂に達するまで口−性器のセックスをされたりしたりする際に、これらの体液と接触または摂取するのはかなりの抵抗が生じる。特に、精液の匂いや香りは、男性パートナーに口−性器のセックスを行う人にとって往々にして好ましくないと考えられる。このため、コンドーム状用具の内側に、ペニスから分泌される精液の味や匂いを改善する所定の香料成分を設けて、口−性器のセックスの悦楽や完了を妨げないようにすることは利点となる。
【0006】
上記の効果を増進するために、香料成分が射精時の精液と実質的に混ざるような時点と方法で、香料成分をコンドーム状用具から放出されるようにすることが有利である。
【0007】
したがって、上述した問題を解消する必要が存在していた。
【発明の概要】
【0008】
上記および他の目的のために、本発明によると、男性用避妊具であって、内側を画定し男性器の細長い形状に弾性的に適合するコンドーム状シースを具え、当該コンドーム状シースは、前記男性器を受けるための開いた近位端部と、前記内側に液通しており摂取可能な香料成分を含むリザーバを規定する遠位先端とを具え、当該リザーバが選択的に閉じておりリザーバ内から前記シースの外側環境へ液体を放出可能であり、前記液体は香料溶液か、精液が前記リザーバ内に分泌された場合の精液のいくらかと前記香料溶液の混合体の少なくともいずれかから選択される男性用避妊具が提供される。
【0009】
本発明の目的のために、また、男性用避妊具であって、内側を画定し男性器の細長い形状に弾性的に適合するコンドーム状シースを具え、当該コンドーム状シースは、前記男性器を受けるための開いた近位端部と、選択的に閉じており前記内側に液通しており摂取可能な香料溶液を含有するリザーバを規定する遠位先端とを具え、前記遠位先端が、精液が前記リザーバに入ることに反応して、前記香料溶液と精液の混合体を放出可能である男性用避妊具が提供される。
【0010】
本発明の目的のために、また、男性用避妊具であって、内側を画定し男性器の細長い形状に弾性的に適合するコンドーム状シースを具え、当該コンドーム状シースは、前記男性器を受けるための開いた近位端部と、遠位先端を有する遠位端部とを具え、前記遠位先端は選択的に閉じた開口部を有し、前記内側を前記開口部に連通させ摂取可能な香料溶液を含むリザーバを具え、前記開口を通して、前記リザーバ内の香料溶液と精液の混合体を放出可能である男性用避妊具が提供される。
【0011】
本発明のさらなる特徴によると、遠位先端がさらに取り外し可能な部分を具え、これを前記遠位先端から取り外すと、前記シースの前記内側と外側環境を液通させる開口部が前記遠位先端に生じて、前記リザーバ内の液体を前記内側から周囲に放出する。
【0012】
本発明のさらなる特徴によると、前記遠位先端が、前記シースの内側と外側環境を液通させる開口部を具える。
【0013】
本発明のさらなる特徴によると、前記遠位端部に取り外し可能に固定され前記開口部を密閉するように覆うパッチを具え、当該パッチを前記遠位端部から除去すると、前記遠位先端が、前記リザーバから前記開口部を通して前記シースの外部環境へと前記液体を放出可能となる。
【0014】
本発明のさらなる別の特徴によると、前記遠位端部に取り外し可能に固定され前記開口部を密閉するように覆うタブを具え、前記タブを前記遠位端部から少なくとも部分的に除去すると、前記遠位先端が、前記リザーバから前記開口部を通して前記シースの外部環境へと前記液体を放出可能となる。
【0015】
本発明のさらなる別の特徴によると、少なくとも前記コンドーム状シースの遠位端部に弾性的に適合する形状の外側部材であって、前記シースの遠位端部の少なくとも一部を内部に受ける形状の開いた近位端部と、前記開口部を密閉するように覆う閉じた遠位端部とを具え、前記外側部材を前記シースの遠位端部から取り去ると、前記遠位先端が前記リザーバから前記開口部を通して前記シースの外部環境へと前記液体を放出可能となる外側部材が提供される。
【0016】
本発明のさらなる追加の特徴によると、前記遠位先端が、前記リザーバに精液が入るのに応答して動作可能となる。
【0017】
本発明のさらなる追加の特徴によると、前記遠位先端がさらに、開いたときに前記遠位先端に開口部を生じさせ前記リザーバから前記開口部を通って前記シースの外部環境へと一方向に液体を放出可能となる一方通行弁を具える。
【0018】
本発明の付随する特徴によると、前記一方通行弁は前記リザーバに精液が入ることにより生じる力に応答して開き得る。
【0019】
本発明のさらなる利点と他の特徴は、以下の詳細な説明に記載され、この詳細な説明から理解できるか、本発明の例示的な実施例の提示により教示される。本発明のさらなる他の利点が、特にクレームに示されたいずれかの手段、方法、または組み合わせにより実現される。本発明の構成や使用方法は、しかしながら、そのさらなる目的と利点とともに、添付の図面とともに読んだ場合の特定の実施例の以下の記述から最もよく理解されるであろう。
【0020】
本発明は、本書において、男性器の上に被せるコンドーム状シースであって、当該コンドーム状シースの閉じた遠位先端配備された香料調剤溶液を有するが、これに拘わらず、詳細を図示したものに限定されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、またクレームの範囲または均等範囲内で、多様な変更や構造的変化を施すことができる。さらに、本発明の例示的な実施例の周知の要素については、本発明の適切な詳細を阻害しないように詳細な説明がなされないか省略されている。
【0021】
本発明で特徴的だと考えられる他の構造が、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施例の利点が、以下の好適な実施例の詳細な説明から明らかになり、この説明は添付の図面とともに考慮すべきである。
図1図1は、本発明の第1の実施例にかかるコンドーム状シースを横から見た斜視図であり、近位端部の点線は近位端部の伸長した外形を示す。
図2図2は、本発明の第2の実施例にかかるコンドーム状シースを横から見た斜視図であり、近位端部の点線は近位端部の伸長した外形を示す。
図3図3は、本発明の第3の実施例にかかるコンドーム状シースを横から見た斜視図であり、近位端部の点線は近位端部の伸長した外形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
要件通りに、本発明の詳細な説明が以下に開示される。しかしながら、開示の実施例は本発明の単なる例示であり、多様な形態で実施されうると解される。このため、本書に開示された特定の構造的および機能的な詳細は限定として解されてはならず、当業者が本発明を事実上様々な適切な詳細な構造で実施できるよう教示する代表例であって単に特許請求の範囲の根拠である。さらに、本書で使用される用語や文章は限定としてではなく、本発明の記載を理解できるようにするものである。明細書は、新規と見られる本発明の特徴を規定する特許請求の範囲で結論づけられるが、本発明は以下の明細書を図面とともに考慮してよりよく理解することができ、同じ参照番号が受け継がれる。図面はスケール通りではない。
【0024】
本発明の開示と説明の前に、本書で用いられる用語は特定の実施例を説明するのみの目的で用いられ、限定を意図するものではない。本書で「a」または「an」という用語は、1または1以上を規定する。「複数」の語は本書において2または2以上を規定する。「別の」の語は本書において少なくとも2またはそれ以上あることを規定する。「具える」および/または「有する」の語は本書において具えることを規定する(すなわちオープンランゲージ)。「結合」の語は本書において取り付けられていることを規定し、これは直接的である必要はなく、機械的である必要もない。
【0025】
例えば第1と第2、頂部と底部、その他の関係性を示す語は、単に1つの要素または動作を他の要素または動作と区別するために用いられ、これらの要素または動作に実際のそのような関係または順番を必ずしも伴うものではない。「具える」、「具えている」、またはこの派生語は、非排他的に具えることを意味し、一連の要素を具えるプロセス、方法、物品、または装置がこれらの要素のみを有するものではなく、このようなプロセス、方法、物品、または装置に明記されていないか内在する他の要素を含んでいてもよい。ある要素が「具える」とは、それ以上の限定を伴わず、この要素を具えるプロセス、方法、物品、または装置にさらなる同一要素が存在することを除外するものではない。
【0026】
本書に用いられる「約」または「およそ」の語は、明記がなくてもすべての数値に適用される。これらの語は通常は当業者が明記された値と同等と考える範囲の数値を意味する(すなわち、同じ機能または結果を有する)。多くの場合に、これらの用語は最も近い重要な数字に丸められた数字を含む場合がある。本書において、「長い」の語は説明される物体の長手方向に関する方向を意味すると解されるべきである。
【0027】
本発明の器具は、口−性器のセックスにおいて男性パートナーにより分泌または射出される精液(semen)または他の生殖液(seminal fluid)の匂いや味の風味を変化させるユニークな方法を提供する。本発明の目的は、男性パートナーにオーラル活動を行うパートナーにより精液または他の生殖液と接触あるいは摂取する体験を向上させ、性的活動に予期しない興味深い要素を追加することである。
【0028】
図面を詳細に参照すると、特に図1には、本発明にかかるコンドーム状シースの第1実施例が示されている。器具1は、近位端部20と先が細くなった遠位端部30とを具える長い管状部材10を具える。長い管状部材10は、性的活動中に器具1が不用意に外れないように、男性器の長い形状に弾性的に適合する。近位端部20は、男性器(図示せず)を器具1に挿入可能とする開口部25を提供し、勃起時の男性器をコンドーム状に緊密に覆うシースとして作用する。器具1の長い管状部材10は、コンドームを製造するための様々な適切な材料でなり、例えばこの分野で周知の自然または人工のラテックスなどである。図1に示す開口部25は、器具1の未使用状態から外側に拡大または伸長されており、近位端部の点線は開口部25の伸長された外形を示している。
【0029】
本実施例では、器具1の遠位端部30は、液体充填リザーバ55を形成する遠位先端35で終端している。図1に示すように、リザーバ55の内部には、所定量の調剤香料溶液60(黒い線で示す)がある。この香料溶液60は任意の、適度な粘性のある毒性のない食べられる物質でなる。香料溶液60の香りは膨大な種類の香りから選択することができ、限定しないが、任意種類の果物、スパイス、ミント、またはキャンディの香りである。香料溶液60は、遠位先端35のリザーバ55に、器具1の製造およびアセンブリの間に充填されてもよいし、代替的に器具1の使用直前に手作業で充填されてもよい。
【0030】
既存のコンドームと異なり、器具1の遠位先端35は典型的でなく、完全または恒常的に閉じていない。例えば図1に示すように、遠位先端35は、後に詳述するように、遠位先端35のリザーバ55から液体を漏出可能な小さな開口部50を具える。別の実施例では、遠位先端35はミシン目部分(図示せず)を有して形成され、ミシン目に沿って破くことができ、いくつかの場合には取り去って、選択的に小さな開口部50を生じさせる。第1の例では、遠位先端35に最初から小さな開口部50が形成されており、この小さな開口部50は選択的に遠位端部30または遠位先端35に取り外し可能に固定されたパッチまたはタブ40で密閉され、後に切り離して所望のときに器具1から香料溶液60を放出または分配することができる。パッチまたはタブ40は、遠位端部30または遠位先端35の外面を傷つけることがなく、性的活動を過度に妨げることのない、任意の適切な方法で遠位端部30または遠位先端35に取り外し可能に固定される。例えば、パッチまたはタブ40は、毒性がなく、所望の場合に食用可能な圧力感応式粘着材か、遠位端部30または遠位先端35とパッチまたはタブ40の双方の接着面に塗布される接着剤により、遠位端部30または遠位先端35に取り外し可能に固定することができる。
【0031】
使用時に、本実施例では、性交渉または口−性器のセックスの前に、コンドーム状シース器具1がコンドームのように男性器に適用され、ここで遠位先端35のリザーバ55には所定量の香料溶液60が充填されている。最初は、望むまで香料溶液60がリザーバ55から漏出しないように、選択的に小さな開口部50を密閉する構造物はその位置に留まっている。例えば、遠位先端35のミシン目は完全な状態に留まり、あるいは、使用時にパッチまたはタブ40は遠位先端35に取り外し可能に固定されている。性的活動が進むと、ミシン目が破れるかパッチまたはタブ40が破れ、若しくはそうでなくても例えば男性が絶頂に達する直前といった望ましい時点で遠位先端35から取り去られる。ミシン目が開くかパッチまたはタブ40が除去されると、小さな開口部50が形成されるか開く。小さな開口部50がこの時点で開くと、男性による絶頂時の射精が実質的に香料溶液60と混ざる。射精の力により、香りのついた2つの物質の混合体が遠位先端35から放出または分泌される。結果として、香料成分によって、他人による精液への接触は匂いと味の不快感が低減される。
【0032】
図2には、コンドーム状シース器具1の第2の実施例が示されている。図1の第1実施例と同様に、器具1は長い管状部材10を具え、これが近位端部20と先細った遠位端部30を有し、男性器の長い形状に弾性的に適合する形状を有する。近位端部20は男性器を挿入するための開口部25が構成され、器具1は図1に関して説明したように男性器を隙間無く覆うシースとして動作する。図2に示す開口部25は器具1の未使用状態から拡張または伸長され、近位端部の点線は開口部25の伸長された外形を示している。器具1の遠位端部30は、所定量の調剤香料溶液60が充填された液体充填リザーバ55を形成する遠位先端35で終端している。さらに、遠位先端35は、リザーバ55から液体を漏出可能な小さな開口部50を有する。
【0033】
しかしながら、この特定の実施例では、小さな開口部50は1またはそれ以上の破砕可能なミシン目で規定されておらず、あるいは遠位先端35に取り外し可能に固定されたパッチまたはタブで選択的に密閉されていない。むしろ、図2に示すように、小さな開口部50は内側管状部材10の上に配置された第2の長い外側管状部材140によって選択的に密閉されており、これが内側管状部材10の少なくとも遠位端部30に被さるように接触して覆っている。第2の外側管状部材140は内側管状部材10に緊密に被さる形状であり、不用意に外れないようになっている。このため、第2の外側管状部材140は、必要な弾力性を有するようにコンドーム器具に適した任意の材料でなり、例示的な実施例では、その材料は器具1と同じ材料である。さらに第2の外側管状部材140が不用意に外れないように、毒性のない、必要であれば食用の圧力感応式接着剤または接触式接着剤を内側管状部材10と外側管状部材140の接触面の間に設けて、内側管状部材10と外側管状部材140を互いに一時的に保持するようにしてもよい。
【0034】
内側管状部材10と同様に、第2の外側管状部材140も、内側管状部材10の少なくとも遠位先端30を挿入可能な開いた近位端部125を具える。第2の外側管状部材140の遠位端部145は、リザーバ155を形成する恒久的に閉じた遠位先端150で終端している。本発明の目的において、「閉じている」の語は、不浸透性の仕切りを含むがこれに限定されない。例えば、「閉じている」の語は、いくつかの実施例において、「水を通さない」という意味に規定される。リザーバ155は、第2の外側管状部材140が内側管状部材10の上に被さったときに、内側管状部材10の遠位先端35の液体で充填されたリザーバ55を受けるよう形成されている。したがって、内側管状部材10の小さな開口部50は、被さっている第2の外側管状部材140の閉じた遠位先端150により密閉される。
【0035】
上述したように、性交渉または口−性器のセックスの間の選ばれた時点で、小さな開口部50の密閉を外して液体が遠位先端35から漏出できるようにすることが望まれる。これは、第2の管状部材140を引っ張って外すか、そうでなくとも除去して、内側管状部材10を完全に露出させた状態にすることで実現する。この時点で小さな開口部50を開封すると、絶頂時の男性により放出される射精が香料溶液60と混合され、香りのある混合体全体が射精の勢いにより遠位先端35から放出または分泌される。第2の外側管状部材140を内側管状部材10から取り外す補助の一実施例として、1以上のタブ160を第2の外側管状部材140に配置して、このタブ160を第2の外側管状部材140に取り付けるかこれと一体成形する。
【0036】
図3を参照すると、コンドーム状シース器具1の第3の例示的な実施例が示されている。図1、2に示す第1および第2の実施例と同様に、器具1は長い管状部材10を具え、これが近位端部20と先細った遠位端部30を有し、男性器の長い形状に弾性的に適合する形状を有する。近位端部20は男性器を挿入するための開口部25が構成され、器具1は図1、2に関して説明したように男性器を隙間無く覆うシースとして動作する。図3に示す開口部25は器具1の未使用状態から拡張または伸長され、近位端部の点線は開口部25の伸長された外形を示している。
【0037】
器具1の遠位端部30は、所定量の調剤香料溶液60が充填された液体充填リザーバ55を形成する遠位先端35で終端している。この遠位先端35は、遠位先端35に一体化しており液体を出すが入れない一方通行弁240を解してリザーバ55から液体を漏出可能な小さな開口部50を具える。適切な一方通行弁の例は、限定しないが、チェックバルブ、フラップバルブ、および/またはスリットバルブである。
【0038】
一方通行弁240は、リザーバ55内の圧力または力の量が、一方通行弁を開かせるのに足りる特定点に到達すると開く。この特定の実施例では、一方通行弁240は、男性の射精により生じる自然の圧力に応じて開くよう構成される。このように、使用時に、男性が絶頂時に放出する射精により一方通行弁240が開き、精液と香料溶液60とが混合して、ほぼ同時に開口部50を通り器具1から出る。
【0039】
器具1の香りをさらに強くするために、香料成分を公知技術のように器具1の塗布するか組み込んでもよい。
【0040】
さらに、遠位先端35のリザーバ55内の香料溶液60の香りを視覚で示すために、器具1の外側面に人工的な着色を施して、香料成分60の特定の香りに合致するか関連するテーマを強調あるいは生成してもよい。
【0041】
上述した説明や添付の図面は本発明の原理、好適な実施例、および動作モードを説明するものである。しかしながら、本発明は上述した特定の実施例に限定されると解されてはならない。上述した実施例のさらなる変更例が当業者により考えることができ、上述した実施例は限定ではなく説明として把握されるべきである。したがって、当業者は、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲を逸脱することなく、これらの実施例に変更を施せることを理解するであろう。
図1
図2
図3