特許第5920911号(P5920911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5920911情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920911
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0481 20130101AFI20160428BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20160428BHJP
   G06F 3/0484 20130101ALI20160428BHJP
【FI】
   G06F3/0481 150
   G06F3/01 510
   G06F3/0484 150
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-246220(P2011-246220)
(22)【出願日】2011年11月10日
(65)【公開番号】特開2013-105183(P2013-105183A)
(43)【公開日】2013年5月30日
【審査請求日】2014年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 好喜
(72)【発明者】
【氏名】原 雅明
(72)【発明者】
【氏名】世古 悟
(72)【発明者】
【氏名】岡 正昭
【審査官】 松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−074573(JP,A)
【文献】 特開2010−226500(JP,A)
【文献】 特開2007−096951(JP,A)
【文献】 特開平10−083460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048− 3/0489
H04N 13/00 −13/04
G06T 19/00 −19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体表示可能な三次元画像データに応じて表示対象物を立体表示する際に、観察者の融像領域の外部に位置する前記表示対象物の表示形式が、前記融像領域の内部に位置する前記表示対象物の表示形式と異なるように、前記表示対象物の表示を制御する表示制御部を備え
前記融像領域の外部に位置する領域は、前記表示対象物を立体表示する際の基準となる画像表示基準面から前記観察者側に所定距離を超えて離隔した領域、及び、前記観察者から離隔する方向に前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域であり、
前記表示制御部は、
前記観察者から離隔する方向に前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域に位置する前記表示対象物に対して、当該表示対象物の視差を、前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域と前記融像領域との境界での視差に固定するように表示制御しつつ、前記画像表示基準面から観察者側に所定距離を超えて離隔した領域に位置する前記表示対象物が表示されないように表示制御し、かつ、前記観察者により選択された注視点の位置が前記画像表示基準面内の中心に位置するように、前記表示対象物の表示位置を調整する、情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記表示対象物の拡大・縮小処理又は回転処理の少なくとも何れかを、前記注視点を基準として実施する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
立体表示可能な三次元画像データに応じて表示対象物を立体表示する際に、観察者の融像領域の外部に位置する前記表示対象物の表示形式が、前記融像領域の内部に位置する前記表示対象物の表示形式と異なるように、前記表示対象物の表示を制御すること
を含み、
前記融像領域の外部に位置する領域は、前記表示対象物を立体表示する際の基準となる画像表示基準面から前記観察者側に所定距離を超えて離隔した領域、及び、前記観察者から離隔する方向に前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域であり、
前記表示対象物の表示を制御する際には、
前記観察者から離隔する方向に前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域に位置する前記表示対象物に対して、当該表示対象物の視差を、前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域と前記融像領域との境界での視差に固定するように表示制御しつつ、前記画像表示基準面から観察者側に所定距離を超えて離隔した領域に位置する前記表示対象物が表示されないように表示制御し、かつ、前記観察者により選択された注視点の位置が前記画像表示基準面内の中心に位置するように、前記表示対象物の表示位置を調整する、情報処理方法。
【請求項4】
コンピュータに、
立体表示可能な三次元画像データに応じて表示対象物を立体表示する際に、観察者の融像領域の外部に位置する前記表示対象物の表示形式が、前記融像領域の内部に位置する前記表示対象物の表示形式と異なるように、前記表示対象物の表示を制御する表示制御機能を実現させ
前記融像領域の外部に位置する領域は、前記表示対象物を立体表示する際の基準となる画像表示基準面から前記観察者側に所定距離を超えて離隔した領域、及び、前記観察者から離隔する方向に前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域であり、
前記表示制御機能は、
前記観察者から離隔する方向に前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域に位置する前記表示対象物に対して、当該表示対象物の視差を、前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域と前記融像領域との境界での視差に固定するように表示制御しつつ、前記画像表示基準面から観察者側に所定距離を超えて離隔した領域に位置する前記表示対象物が表示されないように表示制御し、かつ、前記観察者により選択された注視点の位置が前記画像表示基準面内の中心に位置するように、前記表示対象物の表示位置を調整する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、科学技術の発達に伴い、人間の眼の輻輳機能のみを利用して擬似的に立体を認識させる、フラットパネルディスプレイを用いた立体映像表示装置が提供されるようになってきた(例えば、以下の特許文献1を参照。)。
【0003】
科学技術・医療・工業・建築・デザイン等の分野において、上記のような技術を利用し、立体データに基づいて物体の位置・角度・大きさをインタラクティブに変化させながら立体表示することは、非常に有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−128897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示したような立体映像表示装置では、人間の眼の輻輳機能のみを利用して疑似的に立体認識をさせるため、眼のピント機能(調節機能)と輻輳機能との乖離に許容範囲(融像領域)があり、観察者が立体視できる範囲が限定される。従って、例えば物体の位置や大きさや角度をインタラクティブに変化させる場合、許容範囲を超えた物体や部分が生じ、立体視表示の品質が低下してしまう可能性があった。
【0006】
そこで、本開示では、上記事情に鑑みて、立体視表示の品質を向上させることが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、立体表示可能な三次元画像データに応じて表示対象物を立体表示する際に、観察者の融像領域の外部に位置する前記表示対象物の表示形式が、前記融像領域の内部に位置する前記表示対象物の表示形式と異なるように、前記表示対象物の表示を制御する表示制御部を備える情報処理装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、立体表示可能な三次元画像データに応じて表示対象物を立体表示する際に、観察者の融像領域の外部に位置する前記表示対象物の表示形式が、前記融像領域の内部に位置する前記表示対象物の表示形式と異なるように、前記表示対象物の表示を制御することを含む情報処理方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、コンピュータに、立体表示可能な三次元画像データに応じて表示対象物を立体表示する際に、観察者の融像領域の外部に位置する前記表示対象物の表示形式が、前記融像領域の内部に位置する前記表示対象物の表示形式と異なるように、前記表示対象物の表示を制御する表示制御機能を実現させるためのプログラムが提供される。
【0010】
本開示によれば、表示対象物が立体表示される際に、観察者の融像領域の外部に位置する表示対象物の表示形式が、融像領域の内部に位置する表示対象物の表示形式と異なるように、表示対象物の表示が制御される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本開示によれば、立体視表示の品質を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】人間の立体認識機能について説明するための説明図である。
図2】本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示したブロック図である。
図3】同実施形態に係る情報処理装置の表示制御処理について説明するための説明図である。
図4】同実施形態に係る情報処理装置の表示制御処理について説明するための説明図である。
図5】同実施形態に係る情報処理装置の表示制御処理について説明するための説明図である。
図6】同実施形態に係る情報処理装置の表示制御処理について説明するための説明図である。
図7】同実施形態に係る情報処理方法の流れの一例を示した流れ図である。
図8】本開示の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
なお、説明は、以下の順序で行うものとする。
(1)人間の立体認識機能について
(2)第1の実施形態
(2−1)情報処理装置の構成について
(2−2)情報処理方法の流れについて
(3)本開示の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について
【0015】
(人間の立体認識機能について)
人間の立体認識(物体までの距離認識)は、眼のピント機能(調節機能)及び輻輳機能の両方によって実現されている。すなわち、人間が左右両眼で物体を立体的に観察する場合、注視しようとする物体の右眼像の対応点と左眼像の対応点とが一致するように、輻輳運動と呼ばれる眼球運動が行われ、これにより、注視しようとする物体は、単一の立体像として知覚されることとなる。
【0016】
ここで、図1に示したように、右眼像の対応点及び左眼像の対応点が一致した点は、注視点と呼ばれ、注視点及び両眼の光学的中心(すなわち、節点)の3点を通る円周上の点は、両眼で単一視ができる点であり、光学的な単一視界を示したVieth−Muellerの単一視円と呼ばれる。また、実際に心理物理学的に測定した単一視界(ホロプタ:horopter)は、図1に示したように、この単一視円より幾分曲率が緩いものの、単一視円にほぼ一致する。
【0017】
注視点より近くに位置する点は、網膜上で対応点より外側にずれるとともに、遠くに位置する点は内側にずれ、その距離(ズレ量)が大きくなるほど視差が大きくなる。この両眼視差が大きいと、物体は二重像として認識されることとなるが、網膜上でのずれ(binocular disparity)がわずかである場合には、立体知覚が実現する。すなわち、両眼の視差が存在する場合であっても二重像として知覚されず、感覚融像がなされる狭い領域が単一視界の前後に存在する。この領域は、パナムの融像領域と呼ばれており、この領域内では、小さな両眼視差を利用して立体知覚を生じさせることが可能となる。このパナムの融像領域の前後では両眼視差が大きく、二重像としての知覚が生じてしまうため、人間は、この知覚を打ち消すために輻輳運動及び開散運動を実施して、注視点を融像領域に持ち込んで、両眼立体視を成立させる。
【0018】
このような調節機能及び輻輳機能の寄与は、輻輳機能の方が調節機能よりも大きいことが知られている。そのため、現状のフラットパネルディスプレイを使用した立体映像表示装置では、このような特性に着目し、人間の眼の輻輳機能のみを利用して、ピント(調節)は表示面に合わせているにもかかわらず輻輳(視差)をずらすことで、観察者に対して立体知覚を与えている。
【0019】
ここで、画像表示基準面から観察者側に飛び出して位置する物体や、画像表示基準面から奥側に位置する物体は、眼のピント(調節)と輻輳の乖離が大きく、長時間見続けると目が疲れたり、人によっては頭痛を誘発したりすると言われている。
【0020】
従って、例えば物体の位置や大きさや角度をインタラクティブに変化させる場合、許容範囲を超えた物体や部分が生じ、立体視表示の品質が低下してしまう可能性があった。また、物体の位置や大きさや角度をインタラクティブに変化させる場合に、任意の位置を表示の際の原点として利用してしまうと、観察者が注視したい場所が立体視しづらいものになってしまう可能性があった。
【0021】
本発明者らは、上記のような問題点を改善し、立体視表示の品質を向上させることが可能な方法について鋭意検討を行った結果、以下で説明するような情報処理装置及び情報処理方法に想到した。
【0022】
(第1の実施形態)
<情報処理装置の構成について>
続いて、図2図6を参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置の構成について、詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示したブロック図であり、図3図6は、本実施形態に係る情報処理装置の表示制御処理について説明するための説明図である。
【0023】
本実施形態に係る情報処理装置10は、図2に示したように、ユーザ操作情報取得部101と、表示データ取得部103と、注視点特定部105と、融像領域特定部107と、表示制御部109と、記憶部111と、を主に備える。
【0024】
ユーザ操作情報取得部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入力装置等により実現される。ユーザ操作情報取得部101は、ユーザが情報処理装置10に設けられているマウス、キーボード、タッチパネル、ジェスチャー入力装置、視線入力装置等の入力装置に対して実施した操作(ユーザ操作)を特定して、当該ユーザ操作に関するユーザ操作情報を生成する。その後、ユーザ操作情報取得部101は、生成したユーザ操作情報を、後述する表示データ取得部103、注視点特定部105、表示制御部109等に出力する。これにより、これらの処理部は、ユーザが情報処理装置10に対してどのような操作を行ったのかを把握することが可能となり、ユーザ操作に対応する機能をユーザに提供することが可能となる。
【0025】
表示データ取得部103は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。表示データ取得部103は、ユーザ操作情報取得部101から出力された、ユーザにより情報処理装置10に対して行われたユーザ操作に関するユーザ操作情報に応じて、ユーザが指定した表示データを、後述する記憶部111や、情報処理装置10に挿入された各種の記録媒体や、インターネット等の各種のネットワークに接続されており情報処理装置10が通信可能な各種コンピュータ等から取得する。
【0026】
ここで、表示データ取得部103が取得する表示データは、表示対象物の3次元形状を表した情報(以下、立体情報とも称する。)を有している3次元画像データであり、当該3次元画像データを立体表示した際に、任意の視点から表示対象物の形状を立体的に観察することが可能なデータである。このような3次元画像データの例として、3DCADシステムで生成された画像データや、観察対象物の立体形状を画像データとして出力することが可能な顕微鏡により生成された顕微鏡画像データや、3Dゲームの画像データや、ある物体を立体空間で計測した際に生成された計測データ等を挙げることができる。また、本実施形態に係る表示データ取得部103が取得する表示データは、上記例に限定されるわけではない。
【0027】
表示データ取得部103は、取得した3次元画像データに関する表示データ(実体データ)を、後述する表示制御部109に出力する。また、表示データ取得部103は、取得した表示データに当該データを取得した日時に関する時刻情報を関連付けた上で、履歴情報として後述する記憶部111に格納してもよい。
【0028】
注視点特定部105は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。注視点特定部105は、ユーザ操作情報取得部101から出力されたユーザ操作情報や、情報処理装置10に設けられた未図示の撮像カメラ等によって得られたユーザ撮像画像等に応じて、立体表示されている画像データに記載された表示対象物に関して、ユーザが注目している点(換言すれば、表示対象物のうちユーザが観察対象としたい位置)を特定し、このような点を注視点として取り扱う。
【0029】
3次元画像データの観察者(情報処理装置10のユーザ)が、コントローラ、キーボード、マウス、ジェスチャー入力装置、視線入力装置等にユーザインタフェースを操作して、カーソルやポインタ等の位置指定オブジェクトの位置を確定すると、その操作結果がユーザ操作情報取得部101により取得されて、注視点特定部105へと出力される。注視点特定部105は、例えば、位置指定オブジェクトを用いてユーザにより決定された表示対象物の位置(表示対象物の3次元構造を規定する座標系における空間位置)を、ユーザが注目している注視点として特定することができる。
【0030】
また、注視点特定部105は、情報処理装置10に設けられている未図示の撮像装置等により撮像されたユーザ撮像画像等を利用して、複数の画像から対応点を検出して三角測量の原理で位置を特定する公知の方法によりユーザ位置を特定した上で、例えば、両眼の間隔や、輻輳角の大きさ等から、注視点の位置を推定してもよい。
【0031】
なお、本実施形態に係る注視点特定部105が利用する注視点の特定方法は、上記の例に限定されるわけではなく、公知の技術を用いて、注視点を特定したり推定したりすることが可能である。
【0032】
注視点特定部105は、表示されている表示対象物における注視点を特定すると、注視点の特定結果を示した情報を、後述する表示制御部109に出力する。また、注視点特定部105は、後述する融像領域特定部107が観察者の融像領域を特定する際に注視点に関する情報を利用する場合、注視点の特定結果を示した情報を融像領域特定部107に出力してもよい。
【0033】
融像領域特定部107は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。融像領域特定部107は、表示対象物の観察者(換言すれば、情報処理装置10のユーザ)の融像領域を特定し、後述する表示制御部109に出力する。
【0034】
融像領域特定部107は、例えば、予め設定され記憶部111等に格納されているユーザの融像領域に関する情報を参照して、対応するユーザの融像領域の分布の様子や融像領域の大きさ等を特定することが可能である。また、融像領域特定部107は、予め設定され記憶部111等に格納されている、一般的なユーザの融像領域に関する情報を参照して、ユーザの融像領域の分布の様子や融像領域の大きさ等を特定してもよい。更に、融像領域特定部107は、予め設定されている融像領域の初期設定値を、ユーザによりカスタマイズさせることで、ユーザ本人の融像領域を特定してもよい。
【0035】
ここで、一般的なユーザの融像領域に関する情報は、例えば、多数のユーザについて融像領域を予め測定しておき、融像領域の測定結果を公知の統計処理により解析することで得ることが可能である。また、融像領域特定部107は、上記の方法以外にも公知のあらゆる方法を利用して、ユーザの融像領域を特定することが可能である。
【0036】
融像領域特定部107は、ユーザの融像領域を特定すると、得られた特定結果を、後述する表示制御部109に出力する。
【0037】
なお、本実施形態に係る情報処理装置10が、予め登録されている一般的なユーザの融像領域に関する情報のみを利用して後述する画像表示処理を行う場合には、以上のような機能を有する融像領域特定部107を有していなくともよい。
【0038】
表示制御部109は、例えば、CPU、GPU、ROM、RAM、出力装置、通信装置等により実現される。表示制御部109は、記憶部111等に格納されている表示すべき内容に対応するデータを取得して、表示画面に表示する。また、情報処理装置10に備えられたマウス、キーボード、タッチパネル、ジェスチャー入力装置、視線入力装置等の入力装置から、カーソルやポインタ等の位置選択オブジェクトの移動を表す信号が伝送された場合には、表示制御部109は、伝送された信号にあわせて位置選択オブジェクトの移動を表示画面に表示させる。
【0039】
また、表示制御部109は、表示データ取得部103から表示データが出力された場合には、かかる表示データを利用して、表示データに対応する表示対象物を立体的に表示するための表示制御を行う。この際、表示制御部109は、ユーザ操作情報取得部101から出力されたユーザ操作情報や、注視点特定部105から出力された注視点に関する情報や、融像領域特定部107から出力された融像領域に関する情報等を利用して、表示データの表示制御を実施する。
【0040】
より詳細には、表示制御部109は、3次元画像データを利用して表示対象物を立体表示する際に、観察者の融像領域の外部に位置する表示対象物の表示形式が、融像領域の内部に位置する表示対象物の表示形式と異なるように、表示対象物の表示を制御する。以下、表示制御部109により実施される表示形式の制御処理について、図3を参照しながら具体的に説明する。
【0041】
本実施形態に係る表示制御部109は、表示対象物を立体表示する際、ユーザ(観察者)から見て奥行き方向に対応する方向を、図3に示したように、以下の3つの領域に大別して、表示制御を実施する。
【0042】
(1)表示対象物を立体表示する際の基準となる画像表示基準面(例えば、表示画面の位置)を含み、画像表示基準面からの離隔距離が所定の閾値以下である領域(領域A)
(2)観察者から離隔する方向に画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域(領域B)
(3)画像表示基準面から観察者側に所定距離を超えて離隔した領域(領域C)
【0043】
これら領域A〜領域Cのうち、領域Aが観察者の融像範囲内に含まれる領域であり、領域B及び領域Cが観察者の融像範囲外に該当する領域である。
【0044】
表示制御部109は、表示データ取得部103から出力された3次元画像データを表示する際、領域Aに含まれる表示対象物については、公知の方法により視差を付与して、領域Aに含まれる部分が立体視されるように表示制御を行う。
【0045】
また、表示制御部109は、領域Bに表示されることとなる表示対象物については、観察者にとって融像領域の外部に表示されることとなるため、領域Bに表示される表示対象物の視差を領域Aと領域Bとの境界での視差に固定し、領域B内では視差が変化しないように表示制御を行う。その結果、領域Bに表示される表示対象物は、領域Aと領域Bとの界面に射影されて表示されることとなるため、観察者は、領域Bに表示される表示対象物を二重像として認識しなくなる。
【0046】
また、表示制御部109は、領域Cに表示されることとなる表示対象物についても、観察者にとって融像領域の外部に表示されることとなるため、該当する領域に含まれる表示対象物を表示しないように表示制御を行う。これにより、本来領域Cに表示され、二重像として観察者に知覚される表示対象物が存在しなくなる。
【0047】
以上のように、表示制御部109は、3次元画像データを立体視表示する際に、観察者にとって立体視しづらい領域を立体視可能な領域内に収めたり(領域B)、表示しないようにしたりする(領域C)ことで、二重像として観察者に知覚されうる要因を取り除き、立体視表示の品質を向上させることができる。
【0048】
特に、表示制御部109が多視点裸眼立体視表示を実現する表示装置の表示制御を行う場合、かかる表示装置では、より現実的で自然な立体視表示を実現するために、右眼及び左眼のクロストークをゼロにすることは困難であり、観察者が認識する融像領域(実効的な融像領域)は狭くなると考えられる。かかる場合において、上記のような表示制御は、立体視表示の品質を向上させる上で極めて有用なものとなる。
【0049】
なお、表示制御部109は、領域B又は領域Cの少なくとも何れか一方に位置する表示対象物について、領域Aから離隔するにつれて表示対象物が消失していくように、表示制御を行ってもよい。また、表示制御部109は、領域Bに対する表示制御、又は、領域Cに対する表示制御のいずれか一方のみを行って、他方は行わないようにしてもよい。
【0050】
また、表示制御部109は、以上説明したような融像領域に基づく表示制御に加えて、以下のような表示制御を行ってもよい。
すなわち、表示制御部109は、観察者により選択された注視点が画像表示基準面内に位置するように、表示対象物の表示位置を調整してもよい。
【0051】
例えば図4に示したように、表示制御部109は、注視点特定部105から出力された注視点に関する情報に基づいて、観察者により指定された注視点が、画像表示基準面の中心に位置するように、画像表示基準面内で表示対象物を移動させてもよい。また、表示制御部109は、例えば図5に示したように、観察者により指定された注視点が、画像表示基準面内に存在していない場合には、指定された注視点を含む平面が画像表示基準面と一致するように、表示対象物を奥行き方向(換言すれば、画像表示基準面の法線方向)に沿って移動させてもよい。これにより、例えば図5に示した例では、観察者は、立体表示された表示対象物が観察者に向かって近づいてくるように、表示対象物を知覚することとなる。
【0052】
また、表示制御部109は、例えば図6に示したように、ユーザ操作に応じて表示対象物の拡大処理や縮小処理を実施する場合に、選択された注視点を、拡大/縮小処理の原点として扱うことができる。同様に、表示制御部109は、ユーザ操作に応じて表示対象物の回転処理を実施する場合にも、選択された注視点を回転処理の原点として扱ってもよい。
【0053】
表示制御部109が注視点に基づく上記のような表示制御を行うことで、観察者が注視したい部分を、観察者が疲れることなく自然な状態で立体表示させることが可能となるため、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。また、表示制御部109が注視点に基づく上記のような表示制御を行うことで、注視点を中心として観察者が疲れることなく自然な状態で観察可能な領域を最大化することができる。
【0054】
なお、本実施形態に係る表示制御部109は、情報処理装置10に設けられたディスプレイ等の表示装置だけでなく、情報処理装置10に直接接続された、又は、各種のネットワークを介して接続された各種の表示装置の表示制御を行うことも可能である。これにより、本実施形態に係る表示制御部109は、上述のような表示制御を、情報処理装置10の外部に設けられた表示装置に対して実現することが可能となる。
【0055】
以上、図3図6を参照しながら、本実施形態に係る表示制御部109が実施する表示制御処理について、詳細に説明した。
【0056】
再び図2に戻って、本実施形態に係る情報処理装置10が備える記憶部111について説明する。
記憶部111は、例えば、RAMやストレージ装置等により実現される。記憶部111には、表示画面に表示されるオブジェクトデータが格納されている。ここで言うオブジェクトデータには、例えば、アイコン、ボタン、サムネイル等のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を構成する任意のパーツ類が含まれる。また、記憶部111には、本実施形態に係る情報処理装置10の実行する各種のプログラム、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、又は、各種のデータベース等が、適宜記録されてもよい。更に、記憶部111には、情報処理装置10によって利用される各種の三次元画像データが格納されていてもよい。
【0057】
この記憶部111は、ユーザ操作情報取得部101、表示データ取得部103、注視点特定部105、融像領域特定部107、表示制御部109等の各処理部が、自由にアクセスし、データを書き込んだり読み出したりすることができる。
【0058】
以上、図2を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10の構成について、詳細に説明した。
【0059】
なお、図2に示したユーザ操作情報取得部101、表示データ取得部103、注視点特定部105、融像領域特定部107、表示制御部109及び記憶部111の機能は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【0060】
以上、本実施形態に係る情報処理装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0061】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0062】
<情報処理方法の流れについて>
続いて、図7を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10で実施される情報処理方法の流れについて、簡単に説明する。
【0063】
本実施形態に係る情報処理方法では、まず、融像領域特定部107により、観察者の融像領域に関する情報が特定され(ステップS101)、融像領域の特定結果が、表示制御部109に出力される。
【0064】
その後、観察者が表示を希望する3次元画像データをユーザ操作により特定すると、ユーザ操作情報取得部101は、対応するユーザ操作情報を取得し、表示データ取得部103へと出力する。表示データ取得部103は、ユーザ操作情報取得部101から出力されたユーザ操作情報に基づいて、表示データを取得し(ステップS103)、取得した表示データ(3次元画像データ)を表示制御部109に出力する。
【0065】
表示制御部109は、表示データ取得部103から出力された3次元画像データ、及び、融像領域特定部107から出力された融像領域に関する情報を利用して、融像領域を考慮しつつ、表示データ(3次元画像データ)に対応する表示対象物を表示する(ステップS105)。これにより、表示対象物が融像領域の内部に存在するか否かに応じて、融像領域の内部に位置している表示対象物と、融像領域の外部に位置している表示対象物とで、表示形式が異なるように表示制御が行われることとなる。
【0066】
その後、ユーザによってポインタやカーソル等の位置指定オブジェクトが操作され、注視点を特定する操作(例えば、決定ボタンを押す、マウスボタンをクリックする等)が行われると、該当するユーザ操作がユーザ操作情報取得部101によって取得され、注視点特定部105へと出力される。注視点特定部105は、ユーザによって指定された位置を注視点として特定し(ステップS107)、注視点の特定結果を表示制御部109に出力する。
【0067】
表示制御部109は、注視点特定部105から出力された注視点に関する情報に基づいて、指定された注視点を含む平面が画像表示基準面となるように表示対象物を移動させたり、注視点が画像表示基準面内の中心に位置するように表示対象物を平面内で移動させたりする(ステップS109)。
【0068】
その後、情報処理装置10は、ユーザ操作が行われたか否かの待ち受けを行う(ステップS111)。ユーザ操作が行われた場合には、表示制御部109は、ユーザ操作に応じて立体視表示における各視点画像の再計算を行うことで表示形式を変更し、注視点の位置に基づいて表示対象物を移動させたり、注視点を原点として、拡大/縮小処理を実施したりする(ステップS113)。
【0069】
その後、情報処理装置10は、立体視表示の終了操作が行われたか否かを判断する(ステップS115)。終了操作が行われていない場合には、情報処理装置10は、ステップS111に戻って、ユーザ操作の待ち受けを行う。一方、終了操作が行われた場合には、情報処理装置10は、3次元画像データの立体表示処理を終了する。
【0070】
本実施形態に係る情報処理装置10では、このような流れで観察者の融像領域に基づく立体視表示の表示制御処理が行われることにより、表示対象物が二重像として観察者に知覚されることを防止することができ、立体視表示の品質を向上させることが可能となる。
【0071】
(ハードウェア構成について)
次に、図8を参照しながら、本開示の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成について、詳細に説明する。図8は、本開示の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0072】
情報処理装置10は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、情報処理装置10は、更に、ホストバス907と、ブリッジ909と、外部バス911と、インターフェース913と、入力装置915と、出力装置917と、ストレージ装置919と、ドライブ921と、接続ポート923と、通信装置925とを備える。
【0073】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置10内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
【0074】
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0075】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、情報処理装置10の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置10のユーザは、この入力装置915を操作することにより、情報処理装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0076】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置917は、例えば、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0077】
ストレージ装置919は、情報処理装置10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0078】
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、情報処理装置10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0079】
接続ポート923は、機器を情報処理装置10に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、情報処理装置10は、外部接続機器929から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器929に直接各種のデータを提供したりする。
【0080】
通信装置925は、例えば、通信網931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0081】
以上、本開示の実施形態に係る情報処理装置10の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
立体表示可能な三次元画像データに応じて表示対象物を立体表示する際に、観察者の融像領域の外部に位置する前記表示対象物の表示形式が、前記融像領域の内部に位置する前記表示対象物の表示形式と異なるように、前記表示対象物の表示を制御する表示制御部
を備える、情報処理装置。
(2)
前記融像領域の外部に位置する領域は、前記表示対象物を立体表示する際の基準となる画像表示基準面から前記観察者側に所定距離を超えて離隔した領域、及び、前記観察者から離隔する方向に前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域である、(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記表示制御部は、前記観察者から離隔する方向に前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域に位置する前記表示対象物に対して、当該表示対象物の視差を、前記画像表示基準面から所定距離を超えて離隔した領域と前記融像領域との境界での視差に固定するように表示制御する、(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記表示制御部は、前記画像表示基準面から観察者側に所定距離を超えて離隔した領域に位置する前記表示対象物が表示されないように表示制御する、(2)又は(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記表示制御部は、前記観察者により選択された注視点が前記画像表示基準面内に位置するように、前記表示対象物の表示位置を調整する、(2)〜(4)の何れか1つに記載の情報処理装置。
(6)
前記表示制御部は、前記注視点の位置が前記画像表示基準面内の中心に位置するように、前記表示対象物の表示位置を調整する、(5)に記載の情報処理装置。
(7)
前記表示制御部は、前記注視点が前記画像表示基準面内に位置するように、前記画像表示基準面の法線方向に沿って前記表示対象物の表示位置を調整する、(5)又は(6)に記載の情報処理装置。
(8)
前記表示制御部は、前記表示対象物の拡大・縮小処理又は回転処理の少なくとも何れかを、前記注視点を基準として実施する、(5)〜(7)の何れか1つに記載の情報処理装置。
(9)
立体表示可能な三次元画像データに応じて表示対象物を立体表示する際に、観察者の融像領域の外部に位置する前記表示対象物の表示形式が、前記融像領域の内部に位置する前記表示対象物の表示形式と異なるように、前記表示対象物の表示を制御すること
を含む、情報処理方法。
(10)
コンピュータに、
立体表示可能な三次元画像データに応じて表示対象物を立体表示する際に、観察者の融像領域の外部に位置する前記表示対象物の表示形式が、前記融像領域の内部に位置する前記表示対象物の表示形式と異なるように、前記表示対象物の表示を制御する表示制御機能
を実現させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0084】
10 情報処理装置
101 ユーザ操作情報取得部
103 表示データ取得部
105 注視点特定部
107 融像領域特定部
109 表示制御部
111 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8