特許第5920937号(P5920937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920937
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】ターボコンプレッサーを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/20 20060101AFI20160428BHJP
   F02C 1/02 20060101ALI20160428BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20160428BHJP
   F02C 7/06 20060101ALI20160428BHJP
   F02C 7/143 20060101ALI20160428BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20160428BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20160428BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   F02C9/20
   F02C1/02
   F02C6/00 B
   F02C7/06 Z
   F02C7/143
   F02C7/18 Z
   F01D25/12 E
   F01D25/16 A
   F01D25/16 C
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-519120(P2013-519120)
(86)(22)【出願日】2011年7月4日
(65)【公表番号】特表2013-531175(P2013-531175A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】FI2011050631
(87)【国際公開番号】WO2012007638
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】20105800
(32)【優先日】2010年7月13日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】513009543
【氏名又は名称】タンターボ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】アラメアキ、ヤルモ
(72)【発明者】
【氏名】ライネ、キモ
(72)【発明者】
【氏名】エリックソン、ケネス
(72)【発明者】
【氏名】タンタリ、ユハ
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−119394(JP,A)
【文献】 特開2008−057440(JP,A)
【文献】 特開2006−077797(JP,A)
【文献】 特開平07−091760(JP,A)
【文献】 特開2008−286039(JP,A)
【文献】 特表2003−527515(JP,A)
【文献】 特開平03−054327(JP,A)
【文献】 特開昭56−115896(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0007878(US,A1)
【文献】 特開昭59−029796(JP,A)
【文献】 特開2008−082425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D1/00−15/12
23/00−25/36
F02C1/00−9/58
F23R3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1冷却器(3a、3b)と、
少なくとも第1ステージターボコンプレッサー(1a)と、
第2ステージターボコンプレッサー(1b)と、
アクチュエータ(10)に供給される気体の圧力を上げるために、少なくとも1つのステージターボコンプレッサー(1a、1b)を回転させる軸(5a)と、
タービン(2)と、
記タービン(2)への圧縮気体の流量を調整する制御バルブ(4)と、を備え、
前記第1ステージターボコンプレッサー(1aが、前記第1ステージターボコンプレッサーで圧縮される気体を前記第1冷却器(3a、3b)に送る気体の排出口(1c)、を有し、前記第2ステージターボコンプレッサー(1b)が、取入口(1d)を有するアクチュエータ(10)であって、
前記第1冷却器(3a)が、前記第1ステージターボコンプレッサー(1a)の前記排出口(1c)と前記第2ステージターボコンプレッサー(1b)の前記取入口(1d)との間に接続される、アクチュエータにおいて、
前記アクチュエータ(10)は、前記軸(5a)を回転させるモータ(5)をさらに有し、
前記アクチュエータ(10)が、前記タービン(2)を通じて流れる気体を用いて、前記ターボコンプレッサーのモータ(5)又は補助装置の少なくとも1つが冷却されるように、構成されている
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記タービン(2)が、前記軸(5a)に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記アクチュエータ(10)が、前記軸(5a)に接続される発電機(9)をさらに有する
ことを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記アクチュエータ(10)が、前記タービン(2)と接続する動力伝達に設けられる発電機(9)、をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記制御バルブ(4)が、前記第1冷却器(3a)から前記タービン(2)に気体を送るために、設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記アクチュエータ(10)が、気体の排出口(1c)を備えた少なくとも第1ステージターボコンプレッサー(1a)と、気体の取入口(1d)および気体の排出口(1e)を備えた第2ステージコンプレッサーと、前記第1ステージターボコンプレッサーの排出口(1c)と前記第2ステージターボコンプレッサーの取入口(1d)との間に接続される第1冷却器(3a)と、前記第2ステージターボコンプレッサーの排出口(1e)と前記アクチュエータの排出口(7)との間に接続される第2冷却器(3b)と、を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記制御バルブ(4)が、前記第2冷却器(3b)から前記タービン(2)に気体を送るために、設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記モータ(5)が、高速モータである
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記タービン(2)および/または前記モータ(5)の軸受が、空気軸受、気体軸受、または、空気または気体の軸受と磁気軸受との組み合わせの軸受で構成されている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記アクチェータ(10)が、前記タービン(2)と前記制御バルブ(4)との間に接続される冷却器(3c)をさらに有する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
少なくとも第1冷却器(3a、3b)と、
圧縮される気体を前記第1冷却器(3a、3b)に送る排出口(1c)を備えた少なくとも第1ターボコンプレッサー(1a)と、
気体の取入口(1d)を備えた第2ターボコンプレッサー(1b)と、
タービン(2)と、
前記タービン(2)への圧縮気体の流量を調整する制御バルブ(4)と、
少なくとも1つのターボコンプレッサー(1a、1b)に接続され、かつ、アクチュエータに供給される気体の圧力を上げるために回転する軸(5a)と、を有し、
前記第1ターボコンプレッサーで圧縮される気体が、前記第1冷却器(3a)を介して前記第1ターボコンプレッサー(1a)の前記排出口(1c)から前記第2ターボコンプレッサー(1b)の前記取入口(1d)まで提供される、アクチュエータ(10)を制御する方法であって、
前記軸(5a)を回転させるために、モータ(5)を使用する工程と、
前記ターボコンプレッサーの前記モータ(5)又は補助装置の少なくとも1つを冷却するために、前記タービン(2)を通じて流れる気体を使用する工程と、を有する
ことを特徴とするアクチュエータを制御する方法。
【請求項12】
少なくとも第1冷却器(3a、3b)と、
少なくとも第1ステージターボコンプレッサー(1a)と、
第2ステージターボコンプレッサー(1b)と、
アクチュエータに供給される気体の圧力を上げるために、前記少なくとも1つのステージターボコンプレッサー(1a、1b)を回転させる軸(5a)と
タービン(2)と、
前記タービンへの圧縮気体の流量を調整する制御バルブと、を備え、
前記1ステージターボコンプレッサーが、前記第1ステージターボコンプレッサー(1a)で圧縮される気体を前記第1冷却器(3a、3b)に送る気体の排出口(1c)、を有し、前記第2ステージターボコンプレッサー(1b)が、取入口(1d)を有するアクチュエータ(10)の制御システムであって、
前記制御システムが、前記軸(5a)を回転させるモータ(5)をさらに有し、
前記制御システムが、前記タービン(2)を通じて流れる気体を用いて、前記ターボコンプレッサーのモータ(5)又は補助装置の少なくとも1つを冷却するように、構成されている
ことを特徴とするアクチュエータの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、特にターボコンプレッサーを制御するシステムおよび方法に関する。また、本発明は、少なくとも1つのターボコンプレッサーと、アクチュエータに供給される気体の圧力を上げるために、前記少なくとも1つのターボコンプレッサーを回転させる軸と、を有するアクチュエータに関する。ターボコンプレッサーには、圧縮気体を少なくとも1つの冷却器に送る排出口が設けられている。本発明のアクチュエータは、ターボ車輪の刃が高速で回転し、それにより気体の圧力を上げるターボ式コンプレッサーに関する。この圧力の上昇は、1つ以上のステージ(stage)で行われる。
【背景技術】
【0002】
容積式コンプレッサーおよび動的コンプレッサーの2種類のコンプレッサーが、主に知られている。容積式コンプレッサーは、例えば、スクリューコンプレッサー、ピストンコンプレッサー、ベーンコンプレッサーなどを含む。また、容積式コンプレッサーは、静的コンプレッサーと呼ばれている。動的コンプレッサーは、遠心タイプと軸流タイプとに分けられ、それぞれ、遠心コンプレッサーと軸流コンプレッサーと呼ばれている。動的コンプレッサーでは、空気が、その後圧力に変えられる高い運動エネルギーで提供される。また、動的コンプレッサーは、ターボコンプレッサーとも呼ばれている。
【0003】
ターボコンプレッサーを制御するための公知の方法としては、ターボコンプレッサーによって生成される空気量および圧力上昇が、特に、ターボコンプレッサーの空気入口に取り付けられる案内羽根によって、動翼輪の下側に取り付けられるディフューザー羽根によって、アクチュエータの回転速度を変化させることによって、圧力側から吸い込み側へ空気の一部を再循環することによって、または、バルブを介してプロセスから外に圧縮空気を吹き出すことによって、調整される。
【0004】
燃焼機関およびそれらターボドライブ(turbo drives)に関連するターボコンプレッサーを調整する公知の方法は、この分野の技術文献で公開されている。例えば、ターボコンプレッサー製造会社の出版物、特許文献1、特許文献2などで開示されている。
【0005】
ターボコンプレッサーを制御する公知の方法において、いくつかの欠点がある。例えば、従来のターボコンプレッサーを制御する方法は、スクリューコンプレッサーの容量制御の範囲と比べると、容量制御の狭い範囲を有することである。また、従来のターボコンプレッサーを制御する方法を用いたとき、例えば、必要とされる気体が変動するので、スクリューコンプレッサーの効率と比較すると、プロセスおよびアクチュエータの総合効率が低い。
【0006】
特許文献1で開示されている制御方法は、特に、燃料機関においてターボコンプレッサーの失速を防ぎ、ターボコンプレッサーでオイルレス圧縮空気(oilless compressed air)を生成しないように、構成されている。
【0007】
また、特許文献2に開示されている発明では、タービンによって圧力を生成する方法が、1つのコンプレッサーユニットでタービンユニットを一体化することにより、行われている。1つのコンプレッサーユニットは、それ自体知られているターボチャージャー構造に対応している。他のコンプレッサーユニットは、それら自身の別々のモータユニットを有している。それらモータユニットは、増速装置を備えることができるが、備えていなくてもよい。特許文献2による方法では、余分な空気/気体、言い換えると、プロセスにおいて一時的に必要とされていない空気/気体が、1つのコンプレッサーユニットで必要とされる軸出力を提供するために、連続的にタービンに導かれる。このため、この方法では、コンプレッサーユニットの動作点、例えば、効率や回転速度を変更することなく、広い調節範囲で圧縮空気の生成を調整することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−286039号公報
【特許文献2】WO1999049222
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この特許出願に関する本発明の目的は、ターボコンプレッサーを制御する従来の方法における上述の欠点を解決することである。また、気体量を生成する方法およびその方法の制御システムの改善を提供することである。本発明の装置は、さらに広い動作速度によって達成される出力調整(output adjustment)を補うために用いられることができる。動作速度が、場合によってはゼロ出力まで下がって用いることが可能である。また、同時に、本発明の装置は、タービンホイールにおける気体膨張で生成されるエネルギーをプロセスに戻すことによって、エネルギー消費を減らすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の有利な実施形態における装置は、すでに圧縮された気体が、バルブを通じてタービンホイールに導かれ、その気体が膨張したときに、タービンホイールを用いてタービンを回転させて、気体を圧縮するために必要とされる一部のエネルギーを戻すような方法で、動作する。
【0011】
タービンホイールは、発電機、ターボホイール、または、発電機とターボホイールとの組み合わせを回転させるために、気体を圧縮する1つ以上のターボホイールと同じ軸、または、別の軸に配置することができる。
【0012】
多段ターボコンプレッサーでは、タービンホイールの気体が、さまざまなステージから供給されることができる。例えば、冷却器間の上流や下流、および、冷却器後の上流や下流から気体を供給することができる。
【0013】
また、本発明の装置は、単段式実施(single-stage implementation)および多段式実施(multistage implementation)の両方で、ターボコンプレッサーと同じハウジングに組み込むことができる。
【0014】
具体的には、本発明のアクチュエータが、主にタービンと制御バルブをさらに有する。制御バルブによって、ターボコンプレッサーで生成されるタービンへの圧縮気体の流量が、制御される。
【0015】
本発明の方法は、アクチュエータが、タービンおよび制御バルブをさらに有していることが、主に特徴である。この方法では、ターボコンプレッサーで生成されるタービンへの圧縮気体の流量が、制御バルブによって制御される。
【0016】
本発明の制御システムは、制御システムが、タービンおよび制御バルブをさらに有していることが、主に特徴である。この制御バルブによって、ターボコンプレッサーで生成されるタービンへの圧縮気体の流量が、制御される。
【0017】
本発明のアクチュエータでは、一定の回転速度で、または、アクチュエータの効率または送出し圧力が実質的に妨げられないような範囲まで回転速度を変化させることによって、調整が行われる。圧力が、プロセスにおいて増加し始めたとき、つまり、気体の必要性が減ったとき、ターボコンプレッサーで異なるステージの間に設けられたバルブ、または、異なるステージの後に設けられたバルブが、開かれる。空気の流れの一部は、ターボコンプレッサーに一体化されるタービンユニットや別のタービンユニットのようなアクチュエータに案内される。このため、タービンユニットが、ターボコンプレッサーと同じ軸に取り付けられた場合、モータで必要とされる動力が、減少する。タービンユニットが、別々の発電機軸に取り付けられている場合には、タービンユニットで回転する発電機が、プロセスに電力を回復するために、用いられることができる。
【0018】
本発明と特許文献1との最も重要な違いは、ターボコンプレッサーの動作で必要とされる軸出力を生み出す余分なプロセスの空気/気体の利用である。
【0019】
本発明による方法では、ターボコンプレッサーを通る気体量が、ほとんど一定である。この動作は、最良の効率範囲でいつも行われることができる。特許文献1で開示されている方法では、タービンを通して循環する余分な空気/気体が、コンプレッサーユニットに戻ってくる。このため、コンプレッサーを通じて流れる空気/気体の量(および、コンプレッサーの回転速度)が、プロセスが調整される際に常に変化されるので、その結果、コンプレッサーは、最適な効率範囲でほとんど動作しない。
【0020】
また、特許文献2と比較すると、本発明における方法は、特に、プロセスで一時的に必要とされていないタービンへの余分な空気/気体の運搬を調節することができる点で、有利である。したがって、ターボコンプレッサーユニットの動作点を変更する必要がなく、広い調整範囲で圧縮空気の出力を調整することが可能である。
【0021】
以下に、添付の図面を参照して更に詳細に本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】縮小図で本発明の好ましい実施形態に係る制御システムを示す。
図1B】縮小図で本発明の第2の有利な実施形態に係る装置を示す。
図1C】縮小図で本発明の第3の有利な実施形態に係る装置を示す。
図1D】縮小図で本発明の第4の有利な実施形態に係る装置を示す。
図2】本発明の有利な実施形態に係る装置における制御特性曲線を示す。
図3】本発明を適用することができるプロセスシステムを示す
図4】フローチャートで本発明の好ましい実施形態に係る方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、縮小図でアクチュエータ10を制御する本発明の有利な実施形態に係る制御システムを示す。アクチュエータ10は、例えば、モータ5と、そのモータ5の軸5aに関連して設けられるターボコンプレッサー1a、1bと、を有するターボコンプレッサーである。それらターボコンプレッサー1a、1bは、羽根車などであってもよく、その回転動作が、空気または他の気体圧力の上昇を生む。つまり、気体が、より小さな体積に圧縮される。また、ターボコンプレッサー10は、1つ以上の冷却器3a、3bを有している。冷却器3a、3bは、圧縮空気システムにおけるコンプレッサー1a、1bの間に接続されている。さらに、ターボコンプレッサー10は、タービン2と、制御バルブ4と、を有する。また、ターボコンプレッサー10には、空気または気体をターボコンプレッサー10に運ぶための取入口6と、それに応じて、ターボコンプレッサー10から外に、例えば、プロセス11に、圧縮空気を運ぶための排出口7とが、設けられている。また、タービン2は、タービン2から空気または気体を排出するための排出口8を備えることができる。
【0024】
図4のフローチャートを参照して、図1に係るシステムの動作を以下に記載する。空気または他の気体は、取入口6を通じてターボコンプレッサー10に供給される。空気または他の気体は、取入口6から第1ステージターボコンプレッサー1aに運ばれる(図4のブロック401)。また、モータ5の軸5aの回転動作は、ターボコンプレッサー1a、1bの回転を生み出す。このため、ターボコンプレッサー1a、1bの羽根車の動作は、気体の圧力および温度を上げる(ブロック402)。圧縮気体は、気体の温度を下げるために、第1ステージターボコンプレッサーの排出口1cおよび流路を通して第1冷却器3aに導かれる(ブロック403)。第1冷却器3aから、気体は、例えば、取入口1dを通じて第2ステージターボコンプレッサー1bに運ばれる(ブロック404)。第2ステージターボコンプレッサー1bの羽根車は、また、モータ軸5aに関連する。モータ軸5aの回転動作は、動翼輪の回転を生み出し、さらに気体圧力を増加させる。第2ステージターボコンプレッサー1bから、圧縮気体は、例えば、排出口1eを通じて、気体温度を下げるために第2冷却器3bに導かれる(ブロック405)。第2冷却器3bから、圧縮気体は、排出口7を通じて、例えば、プロセス11に導かれる(ブロック406)。
【0025】
プロセス11で圧力が上昇し始めている状態では、すなわち、プロセス11における気体要求が減少する状態では、制御バルブ4が、ターボプロセッサー10の気体の一部をタービン2に案内することに用いられる(ブロック407)。図1Aに示されている装置では、タービン2に流れる気体は、タービン2がモータ5における動力供給の必要性を減らす効果を有する。つまり、タービン2が、気体を圧縮するために必要とされるエネルギーの一部をモータ軸5aに戻す。タービンに導かれた気体の一部は、タービンの排出口8を通じて、例えば、大気中に送られたり、ターボコンプレッサーの取入口6に戻したりすることができる。
【0026】
プロセス11の圧力が低下し始めたとき、制御バルブ4を閉方向に調整することができる、または、全体的に閉じることができる。このため、タービン2に導かれる気体量は減少する、あるいは、タービンへの気体の供給が停止される。再度、調整の必要がある場合には、制御バルブ4を用いて上述の方法で行うことができる。このように、気体の一部をタービン2に案内することにより、モータ5の回転速度を調整することに加えて、動力制御と同時にシステムの効率を調整することができる。
【0027】
調整中、モータ軸5aの回転速度を変更することは、全く必要ない。あるいは、ターボコンプレッサー10の効率または送出し圧力が、実質的に減らされないような範囲で、モータ軸5aの回転速度が変更されるだけである。
【0028】
上述のステップは、必要に応じて、繰り返すことができる。
【0029】
図1Aに示す実施形態では、タービン2が、コンプレッサー1a、1bと同じ軸に設けられている。この軸は、有利なモータ軸5aであるが、モータ軸5aと接続する動力伝達である他の軸であってもよい。また、図1Aの配置では、発電機が、タービン2およびターボコンプレッサー1a、1bを接続する軸に結合されるような方法で、実施されることができ、特に、気体がタービン2を回転させるために利用される状況で、電力が生成される。この電力は、例えば、モータ5やプロセス11(図3)に供給されることができる。
【0030】
図1Bは、本発明の他の有利な実施形態に係る制御システムを示す。図1Aの実施形態との違いは、主に、タービン2がモータ軸5aに接続されていないことであるが、それは別の要素として実施される。したがって、タービン2は、発電機9を回転させるために設けられている。このため、気体の一部が、制御バルブ4を通じてタービン2に導かれる状態では、タービン2の回転運動は、発電機でモータ5に供給される電力を発生させる効果を有する。これは、他のエネルギー源からモータ5で必要とされる電力量を減らす。
【0031】
図1Cは、本発明の第3の有利な実施形態に係る制御システムを示す。図1Aの実施形態との違いは、主に、タービン2に供給される気体が、冷却器3cで冷却されることである。このため、タービン2から出力される気体の温度が、冷却器3cを用いていない場合よりも、低くすることができる。また、制御バルブ4の排出口とタービン2の取入口との間に冷却器を設けることにより、冷却器3bが、図1Bに示されている実施形態で実行されることができることは明らかである。
【0032】
図1Dは、本発明の第4の有利な実施形態に係る制御システムを示す。図1Bの実施形態との違いは、主に、タービン2が、発電機に接続されておらず、第1ステージターボコンプレッサー1aに接続されていることである。つまり、タービン2は、第1ステージターボコンプレッサー1aを回転させるために、設けられている。したがって、気体の一部が、制御バルブ4を通じてタービン2に導かれる状況では、タービン2の回転動作が、第1ステージターボコンプレッサー1aの動翼輪を回転させる。第1ステージターボコンプレッサー1aは、入ってくる気体の圧力を上げる。ある実施形態では、動力が、モータ5とタービン2の両方から第1ステージターボコンプレッサー1aに送られることができる。そのような組み合わせた動力送信配置は、ギアシステムなどを必要とする。ギアシステムなどによって、2つの異なる動力源から送られる動力は、制御される方法で、第1ステージターボコンプレッサー1aに送ることができる。
【0033】
上述の記載から分かるように、本発明の制御システムは、従来よりも優れ、かつ、より広い範囲で調整を達成するために、用いることができる。
【0034】
2つのステージターボコンプレッサーが、上述の実施形態で適用されたが、2つのステージ以上、例えば、3つ、4つのステージであってもよいのは明らかである。
【0035】
図2は、制御特性曲線の例を示す。横軸が体積流量であり、縦軸が圧力である。体積流量の値Xは、予測値(projected value)(100%)を示し、圧力値Yは、対応する目標圧力を示す。曲線Aは、モータの回転速度n0で、従来のターボコンプレッサーシステムの特性曲線(体積流量と圧力の比率)を示す。曲線Aは、モータの回転速度n0で、従来のターボコンプレッサーシステムの特性曲線(体積流量と圧力の比率)を示す。曲線Bは、回転速度n0よりも速い所定の最大回転速度n1で、従来のシステムの特性曲線を示す。曲線Cは、回転速度n0よりも遅い所定の最小回転速度n1で、従来のシステムの特性曲線を示す。文字Zは、本発明のシステムによって達成されることができる体積流量/圧力の比率を示す。モータ軸5aの対応する回転速度は、n-1である。従来の装置では、回転速度nの調整が、100%の予測値より低いほんの少しのパーセントだけで、体積流量を減らすために用いられることができる。本発明の方法では、ほとんど回転速度を減らすことなく、予測値の半分より低い値を達成することが可能である。有利な実施形態では、予測値の約20%の値さえも達成することができる。したがって、本発明では、優れた効率が達成される。
【0036】
ある有利な実施形態では、予想圧力値が、6〜10バール[bar]の順番にすることができるが、これより高い、例えば、13バールにしてもよい。また、予想圧力値をこれより低く、例えば、1バール以下にしてもよい。
【0037】
本発明は、とても広い動力範囲での使用に適している。ターボコンプレッサー10の電力は、例えば、100kW〜1MWの間でもよい。また、その電力を、100kWよりも低くしたり、1MWより高くしたりすることもできる。
【0038】
図3は、プロセス11のさらに他の実施形態を示す。本発明のアクチュエータを用いることができる。プロセス11は、圧縮気体が必要とされる任意の制御対象(process)である。プロセス11またはターボコンプレッサー10の排出口7には、例えば、プロセッサ11に供給される気体の圧力を測定する圧力センサ12などが設けられている。圧力センサ12で得られた測定データは、制御ユニット13に送られる。制御ユニットは、例えば、制御バルブ4を調整する必要がある場合、測定データを基準値と比較して、その比較に基づいて決定することができる。圧力が、基準値を上回った場合には、制御ユニット13は、制御バルブ4を開かなければならない情報を、制御バルブ4の制御手段4aに送る。ある実施形態では、制御ユニット13は、制御バルブ4の位置の変化をもたらす電圧などの信号を直接生成してもよい。このような場合、制御バルブの制御手段4aは、必要ではない。
【0039】
一方、圧力が、所定の限界値まで下がった場合には、制御ユニット13は、タービン2への気体の流量を減らしたり、全体的に気体の流量を抑えたりする気体の閉方向に、制御バルブ4を制御することができる。
【0040】
また、制御バルブ4は、開閉位置以外の他の位置に設けられていてもよい。状況に応じて、タービン2へ導かれる気体量が、最大値と最小値との中間ぐらいであってもよい。
【0041】
上述の実施形態では、気体が、第2ステージターボコンプレッサー1bの下流でタービン2に供給されたが、多段ターボコンプレッサーにおいて、気体が、さまざまなステージから供給されることができる。例えば、冷却器1a、1bの間の上流や下流、または、冷却器1a、1b後の上流や下流で気体を供給することができる。
【0042】
また、本発明の装置は、単段式実施および多段式実施の両方で、ターボコンプレッサーと同じハウジングに組み込むことができる。
【0043】
ある実施形態では、タービン2のユニットを通じて流れる気体のすべて、または、気体の一部が、ターボコンプレッサーのモータ5、補助装置、および/または、ターボコンプレッサー10で生成される気体を冷却するために、利用されることができる。
【0044】
本発明のある実施形態では、コンプレッサー1aおよびタービン2の調整が、高速技術を利用することによって実行される。アクチュエータの周辺速度は、一般的に100m/s以上である。例えば、高速モータをモータ5として用いることができる。
【0045】
本発明のある実施形態では、コンプレッサー1a、1bの軸受、タービン2の軸受、および/または、モータ5の軸受は、空気軸受、気体軸受、空気または気体軸受と磁気軸受との組み合わせのハイブリッド軸受などで、実行されることができる。
【0046】
本発明は、上述に記載した実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
1a、1b ターボコンプレッサー
1c、1e、7 排出口
1d、6 取入口
2 タービン
3a、3b 冷却器
4 制御バルブ
5 モータ
5a 軸
10 アクチュエータ
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4