特許第5920989号(P5920989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5920989リチウム二次電池用負極活物質の製造方法、およびこれから製造されたリチウム二次電池用負極活物質およびリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920989
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用負極活物質の製造方法、およびこれから製造されたリチウム二次電池用負極活物質およびリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/587 20100101AFI20160510BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20160510BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20160510BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20160510BHJP
   C01B 31/04 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   H01M4/587
   H01M4/36 C
   H01M4/36 D
   H01M10/0566
   H01M10/0525
   C01B31/04 101B
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-170348(P2013-170348)
(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公開番号】特開2014-44950(P2014-44950A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2013年8月20日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0094539
(32)【優先日】2012年8月28日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0079292
(32)【優先日】2013年7月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512221164
【氏名又は名称】ケイエヌユー−インダストリー コーポレイション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】李 聖滿
(72)【発明者】
【氏名】朴 潤洙
【審査官】 福井 美穂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−084520(JP,A)
【文献】 特表2010−501970(JP,A)
【文献】 特表2009−535776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4,10
C01B 31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鱗片状天然黒鉛粒子が結球して球状に造粒化される球状化天然黒鉛粒子、炭素前駆体および溶媒を含む溶液を用意する段階と、
前記溶液を超音波処理して前記球状化天然黒鉛粒子の鱗片状天然黒鉛粒子の間の間隙を広げる段階と、
前記超音波処理された溶液を乾燥して黒鉛改質粒子を製造する段階と、
低結晶性炭素および非晶質炭素が前記球状化天然黒鉛粒子の表面と前記球状化天然黒鉛粒子の表面に形成される間隙に存在するように前記黒鉛改質粒子を熱処理する段階とを含み、
前記超音波は、10kHzないし40kHzの周波数を有することを特徴とするリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項2】
前記球状化天然黒鉛粒子の平均粒径(D50)は、3μmないし40μmであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項3】
前記溶媒は、水、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、エチレン、ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、デカン、エタノール、メタノール、イソプロパノールおよび酢酸エチルから選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項4】
前記球状化天然黒鉛粒子は、前記溶媒100重量部に対して0.1重量部ないし200重量部で含まれることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項5】
前記超音波は、50Wないし1200Wの強さおよび0.1分ないし30分の時間の間照射されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項6】
前記乾燥は、回転噴霧、ノズル噴霧および超音波噴霧から選択される少なくとも1つの噴霧乾燥(spray dry)法;回転蒸発器(rotary evaporator)を用いた乾燥法;真空乾燥法;または自然乾燥法で行われることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項7】
前記炭素前駆体は、クエン酸、ステアリン酸(stearic acid)、スクロース、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、スルホン化EPDM、デンプン、フェノール樹脂、フラン樹脂、フルフリルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルナトリウム、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、セルロース、スチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、メソフェーズピッチ、低分子量重質油、グルコース、ゼラチンおよび糖類から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理は、500℃ないし2500℃の温度で行われることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項9】
前記熱処理は、窒素、アルゴン、水素、またはこれらの混合ガスを含む雰囲気、または真空下で行われることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項10】
前記炭素前駆体は、前記球状化天然黒鉛粒子100重量部に対して0.1重量部ないし80重量部で含まれることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項11】
前記溶液は、リチウム化合物をさらに含み、
前記黒鉛改質粒子を製造する段階の後、前記黒鉛改質粒子を熱処理して黒鉛改質複合粒子を製造する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項12】
前記リチウム化合物は、LiOHまたはLiOH・(HO)を含むリチウムヒドロキシド;リチウムナイトレート(LiNO);CHCOO・LiまたはCHCOO・Li・2(HO)を含むリチウムアセテート;リチウムカーボネート(LiCO);およびリチウムフルオライド(LiF)から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項11に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項13】
前記熱処理は、150℃ないし2500℃の温度で行われることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項14】
前記リチウム化合物は、前記球状化天然黒鉛粒子100重量部に対して0.1重量部ないし50重量部で含まれることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項15】
片状天然黒鉛粒子が結球して球状に造粒化される球状化天然黒鉛粒子と、低結晶性炭素および非晶質炭素とを含む黒鉛改質粒子を含み、
前記球状化天然黒鉛粒子の表面には、10kHzないし40kHzの周波数を有する超音波処理を通じて広げられた間隙が形成され、
前記低結晶性炭素および非晶質炭素は、前記球状化天然黒鉛粒子の表面と前記球状化天然黒鉛粒子の表面に形成される間隙に存在することを特徴とするリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項16】
請求項15に記載の負極活物質を含む負極と、
正極と、
電解液と
を含むことを特徴とするリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウム二次電池用負極活物質の製造方法、そしてこれから製造された負極活物質およびリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、リチウム二次電池の負極活物質としては結晶質黒鉛材料が使用されている。結晶質黒鉛の場合、人造黒鉛および天然黒鉛に分けられる。前記人造黒鉛は、通常、炭素前駆体を、不活性雰囲気下、約2800℃以上の高温で加熱炭化して、不純物の除去および黒鉛化過程によって得られるため、製造費用が高く、最近は天然黒鉛の使用が増加している。
【0003】
鱗片状天然黒鉛粒子を負極活物質として使用する場合、粒子形状の非等方的特性によって、電極の製造時、スラリー塗布の均一性が低下し、鱗片状黒鉛粒子が圧延およびプレス圧によって集電体に沿って配向し、電池の特性が大きく低下する問題がある。したがって、現在商用化されている天然黒鉛は、鱗片状黒鉛を球状に造粒化させた球状化天然黒鉛が使用される。しかし、前記球状化天然黒鉛の場合、高率充放電特性およびサイクル寿命特性がより向上する必要性が提起されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態は、高率充放電特性およびサイクル寿命特性に優れたリチウム二次電池用負極活物質の製造方法を提供する。
【0005】
他の実施形態は、前記負極活物質の製造方法から製造されたリチウム二次電池用負極活物質を提供する。
【0006】
さらに他の実施形態は、前記負極活物質を含むリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態は、球状化天然黒鉛粒子および溶媒を含む溶液を用意する段階と、前記溶液を超音波処理する段階と、前記超音波処理された溶液を乾燥して黒鉛改質粒子を製造する段階とを含むリチウム二次電池用負極活物質の製造方法を提供する。
【0008】
前記球状化天然黒鉛粒子は、鱗片状天然黒鉛粒子を球状に造粒化して製造できる。
【0009】
前記球状化天然黒鉛粒子の平均粒径(D50)は、3μmないし40μmであるとよい。
【0010】
前記溶媒は、水、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、エチレン、ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、デカン、エタノール、メタノール、イソプロパノールおよび酢酸エチルから選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0011】
前記球状化天然黒鉛粒子は、前記溶媒100重量部に対して0.1重量部ないし200重量部で含まれるとよい。
【0012】
前記超音波は、50ないし1200Wの強さおよび0.1ないし30分の時間の間照射されるとよく、10kHzないし40kHzの周波数を有することができる。
【0013】
前記乾燥は、回転噴霧、ノズル噴霧および超音波噴霧から選択される少なくとも1つの噴霧乾燥(spray dry)法;回転蒸発器(rotary evaporator)を用いた乾燥法;真空乾燥法;または自然乾燥法で行われるとよい。
【0014】
前記溶液は、炭素前駆体をさらに含むことができ、この場合、前記黒鉛改質粒子を製造する段階の後、前記黒鉛改質粒子を熱処理して黒鉛改質複合粒子を製造する段階をさらに含むことができ、前記熱処理は、500ないし2500℃の温度で行われるとよく、窒素、アルゴン、水素、またはこれらの混合ガスを含む雰囲気、または真空下で行われるとよい。
【0015】
前記炭素前駆体は、クエン酸、ステアリン酸(stearic acid)、スクロース、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、スルホン化EPDM、デンプン、フェノール樹脂、フラン樹脂、フルフリルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルナトリウム、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、セルロース、スチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、メソフェーズピッチ、低分子量重質油、グルコース、ゼラチンおよび糖類から選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0016】
前記炭素前駆体は、前記球状化天然黒鉛粒子100重量部に対して0.1重量部ないし80重量部で含まれるとよい。
【0017】
前記溶液は、リチウム化合物をさらに含むことができ、この場合、前記黒鉛改質粒子を製造する段階の後、前記黒鉛改質粒子を熱処理して黒鉛改質複合粒子を製造する段階をさらに含むことができ、前記熱処理は、150ないし2500℃の温度で行われるとよく、前記熱処理は、窒素、アルゴン、水素、空気、酸素、またはこれらの混合ガスを含む雰囲気、または真空下で行われるとよい。
【0018】
前記リチウム化合物は、LiOHまたはLiOH・(HO)を含むリチウムヒドロキシド;リチウムナイトレート(LiNO);CHCOO・LiまたはCHCOO・Li・2(HO)を含むリチウムアセテート;リチウムカーボネート(LiCO);およびリチウムフルオライド(LiF)から選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0019】
前記リチウム化合物は、前記球状化天然黒鉛粒子100重量部に対して0.1重量部ないし50重量部で含まれるとよい。
【0020】
前記溶液は、炭素前駆体およびリチウム化合物をさらに含むことができ、この場合、前記黒鉛改質粒子を製造する段階の後、前記黒鉛改質粒子を熱処理して黒鉛改質複合粒子を製造する段階をさらに含むことができ、前記熱処理は、150ないし2500℃の温度で行われるとよく、窒素、アルゴン、水素、またはこれらの混合ガスを含む雰囲気、または真空下で行われるとよい。
【0021】
他の実施形態は、前記製造方法で製造されたリチウム二次電池用負極活物質を提供する。
【0022】
さらに他の実施形態は、前記負極活物質を含む負極と、正極と、電解液とを含むリチウム二次電池を提供する。
【0023】
その他実施形態の具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0024】
前記製造方法により製造された負極活物質を使用することによって、高率充放電特性およびサイクル寿命特性に優れたリチウム二次電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例1による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図2】実施例2による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図3】実施例3による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図4】実施例4による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図5】実施例5による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図6】実施例6による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図7A】実施例7による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真で、5,000倍率に相当する。
図7B】実施例7による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真で、20,000倍率に相当する。
図8】比較例1による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図9】比較例2による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図10】実施例1および2と比較例1による負極活物質のX線回折パターン(XRD)を示す。
図11】実施例3および7と比較例1による負極活物質のX線回折パターン(XRD)を示す。
図12】実施例4ないし6と比較例2による負極活物質のX線回折パターン(XRD)を示す。
図13】実施例1により製造された負極表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図14】実施例4により製造された負極表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図15】実施例6により製造された負極表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図16】実施例7により製造された負極表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図17】比較例1により製造された負極表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図18】比較例2により製造された負極表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図19】それぞれ実施例1、3、4および7と比較例1により製造された負極のサイクル寿命特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例として提示されるものであって、本発明がこれによって制限されるものではなく、本発明は後述する請求項の範疇によってのみ定義される。
【0027】
一実施形態にかかる負極活物質は次のように製造できる。
【0028】
球状化天然黒鉛粒子および溶媒を含む溶液を用意する段階と、前記溶液を超音波処理する段階と、前記超音波処理された溶液を乾燥して黒鉛改質粒子を製造する段階とを経て製造できる。
【0029】
前記球状化天然黒鉛粒子は、韓国公開特許第2003−0087986号および第2005−0009245号に提示された方法で形成することができるが、これに限定されるものではない。例えば、平均粒径30μm以上の鱗片状天然黒鉛を、回転式加工機を用いて繰り返し加工処理する段階を行い、前記回転式加工機の内側面と前記鱗片状天然黒鉛粉末との間の衝突による粉砕および粉末間の摩擦加工、剪断応力による粉末の剪断加工などを通じて鱗片状天然黒鉛の造粒化がなされ、最終的に球状化天然黒鉛粒子が製造できる。
【0030】
鱗片状黒鉛粒子のような天然黒鉛粒子は、非等方性によって、電極の製造時、スラリー塗布の均一性が低下し、前記天然黒鉛粒子が圧延およびプレス圧によって集電体に沿って配向し、電池の特性が低下することがある。一実施形態によれば、前記天然黒鉛粒子を球状化して使用することによって、高い等方性を得ることができる。
【0031】
前記球状化天然黒鉛粒子は、キャベツ状またはランダム状に結球して形成できる。また、前記球状化天然黒鉛粒子は、円形だけでなく、楕円形であってもよく、具体的には、3次元の天然黒鉛粒子を2次元の平面に投影して算出される指標が約0.8以上の球状であるとよい。
【0032】
前記球状化天然黒鉛粒子の平均粒径(D50)は、3μmないし40μmであるとよく、具体的には5μmないし30μmであるとよい。前記範囲内の平均粒径を有する球状化天然黒鉛粒子を負極活物質として使用した場合、超音波処理による高率充放電特性効果が増大する。
【0033】
前記球状化天然黒鉛粒子は、前記溶媒100重量部に対して0.1重量部ないし200重量部で含まれるとよく、具体的には0.1重量部ないし100重量部で含まれるとよい。前記球状化天然黒鉛粒子が前記範囲内に含まれる場合、溶液上で超音波処理効果が極大化され、粉末の表面および内部に微細空隙および間隙がよく形成され得、炭素前駆体を含む溶液の場合、含浸が容易である。
【0034】
前記溶媒は、水、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、エチレン、ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、デカン、エタノール、メタノール、イソプロパノールおよび酢酸エチルから選択される少なくとも1つを使用することができる。
【0035】
前記球状化天然黒鉛粒子を含む前記溶液を超音波処理して負極活物質を製造する場合、前記球状化天然黒鉛粒子の表面および粒子内に微細空隙を形成する。これによって、前記負極活物質は、電解液との反応性が向上し、高率充放電特性およびサイクル寿命特性に優れたリチウム二次電池を実現することができる。
【0036】
前記超音波処理は、前記球状化天然黒鉛粒子を含む、水溶液上または有機溶媒上で実施できる。
【0037】
前記超音波処理は、流体空洞化、局部加熱、そして自由ラジカル(free radical)の形成という代表的な3つの物理的現象を起こす。前記流体空洞化は、気泡(bubble)の生成および爆発による力が超音波処理粒子に伝達される現象である。一般に、バス(bath)およびホーン(horn)の形態で超音波処理することができる。バス(bath)形態の超音波処理は、ホーン(horn)形態より高い周波数を有していて、正確に定義された流体空洞化は発生しないが、均一に液状メディアを介して伝達可能である。ホーン(horn)を用いた超音波処理の場合、周波数が相対的に短く、大きい気泡が形成されるが、このような気泡がはじけて大きいエネルギーを伝達することができる。このように、気泡が粒子の表面で発生および破壊を繰り返しながら粒子に衝撃および分散を誘導することができ、前記超音波処理する場合、前記球状化天然黒鉛粒子の表面および内部に微細空隙が形成できる。このように、前記超音波処理を通じて前記球状化天然黒鉛粒子の表面および内部を改質することができる。これによって、前記球状化天然黒鉛粒子の表面および内部に微細空隙が形成された負極活物質は、電解液との反応性が向上し、高率充放電特性に優れたリチウム二次電池を実現することができる。
【0038】
前記超音波は、50ないし1200Wの強さおよび0.1ないし30分の時間の間照射されるとよく、具体的には100ないし1000Wの強さおよび1ないし10分の時間の間照射されるとよい。また、前記超音波は、10kHzないし40kHzの周波数を有することができ、具体的には15kHzないし25kHzの周波数を有することができる。前記範囲内の条件で超音波を照射する場合、十分な力が伝達されて、前記球状化天然黒鉛粒子に十分な衝撃および分散を誘導することができ、前記球状化天然黒鉛粒子の表面および内部に微細空隙を形成することができる。
【0039】
前記乾燥は、回転噴霧、ノズル噴霧および超音波噴霧から選択される少なくとも1つの噴霧乾燥(spray dry)法;回転蒸発器(rotary evaporator)を用いた乾燥法;真空乾燥法;または自然乾燥法で行われるとよい。
【0040】
前記溶液は、前記球状化天然黒鉛粒子のほか、炭素前駆体をさらに含むことができる。この場合、前記球状化天然黒鉛粒子、前記炭素前駆体および前記溶媒を含む溶液を、前述した黒鉛改質粒子を製造する方法のように、前記超音波処理後、前記乾燥して前記黒鉛改質粒子を製造した後、前記黒鉛改質粒子を熱処理して前記炭素前駆体が炭化した黒鉛改質複合粒子を製造する段階をさらに経ることができる。
【0041】
球状化天然黒鉛粒子の負極活物質を用いて電極を製造する時、圧着工程によって球状化天然黒鉛粒子の押圧現象が発生することもあるが、前記炭素前駆体および前記溶媒を含む溶液で超音波処理する場合、前記炭素前駆体が前記球状化天然黒鉛粒子の表面および粒子内の間隙に含浸され、後続の熱処理工程によって前記炭素前駆体が炭化した黒鉛改質複合粒子の場合は、粒子の押圧現象が防止され、これによって、リチウム二次電池の高率充放電特性が向上できる。
【0042】
前記炭素前駆体は、クエン酸、ステアリン酸(stearic acid)、スクロース、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、デンプン、フェノール樹脂、フラン樹脂、フルフリルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルナトリウム、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、セルロース、スチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、メソフェーズピッチ、低分子量重質油、グルコース、ゼラチンおよび糖類から選択される少なくとも1つを使用することができるが、これらの種類に限定されるものではない。
【0043】
前記超音波処理は、前記炭素前駆体が溶解した水溶液上または有機溶媒上で実施できる。
【0044】
前記超音波処理して得られた前記黒鉛改質粒子を前記熱処理する場合、前記炭素前駆体は炭化して低結晶性炭素および非晶質炭素を形成し、前記球状化天然黒鉛粒子の表面が炭素コーティングされ、また、超音波処理によって形成された前記球状化黒鉛粒子内の間隙に低結晶性炭素および非晶質炭素が存在する形態の黒鉛改質複合粒子を得ることができる。
【0045】
前記熱処理は、500ないし2500℃の温度で行われるとよく、具体的には500ないし2000℃の温度で、より具体的には900ないし1500℃の温度で行われるとよい。前記温度範囲内で熱処理を行う場合、前記炭素前駆体の炭化工程時、不純物に相当する異種元素を十分に除去することができ、これによって、不可逆容量が減少し、充放電特性が向上できる。
【0046】
前記熱処理は、窒素、アルゴン、水素、またはこれらの混合ガスを含む雰囲気、または真空下で行われるとよい。
【0047】
前記炭素前駆体は、前記球状化天然黒鉛粒子100重量部に対して0.1重量部ないし80重量部で含まれるとよく、具体的には0.5重量部ないし50重量部で含まれるとよい。前記炭素前駆体が前記範囲内に含まれる場合、前記球状化天然黒鉛粒子の表面および内部に形成される微細空隙の分布を適切に維持することができる。
【0048】
前記溶液は、前記球状化天然黒鉛粒子のほか、リチウム化合物をさらに含むことができる。この場合、前記球状化天然黒鉛粒子、前記リチウム化合物および前記溶媒を含む溶液を、前述した黒鉛改質粒子を製造する方法のように、前記超音波処理後、前記乾燥して前記黒鉛改質粒子を製造した後、前記黒鉛改質粒子を熱処理して黒鉛改質複合粒子を製造する段階をさらに経ることができる。
【0049】
前記リチウム化合物を添加する場合、前記球状化天然黒鉛粒子の不可逆反応が減少し、これと共に、リチウム二次電池の高率充放電特性が向上できる。
【0050】
前記リチウム化合物は、LiOHまたはLiOH・(HO)を含むリチウムヒドロキシド;リチウムナイトレート(LiNO);CHCOO・LiまたはCHCOO・Li・2(HO)を含むリチウムアセテート;リチウムカーボネート(LiCO);およびリチウムフルオライド(LiF)から選択される少なくとも1つを使用することができるが、これらの種類に限定されるものではない。
【0051】
前記超音波処理は、前記リチウム化合物が溶解した水溶液上または有機溶媒上で実施できる。
【0052】
前記超音波処理して得られた前記黒鉛改質粒子を前記熱処理する場合、前記リチウム化合物の分解反応が起こり、リチウム酸化物(LiO)、リチウムフルオライド(LiF)およびリチウムカーボネート(LiCO)を形成しつつ、前記球状化天然黒鉛粒子の表面および前記球状化天然黒鉛粒子内部の表面がより改質された黒鉛改質複合粒子を得ることができる。
【0053】
前記熱処理は、150ないし2500℃の温度で行われるとよく、具体的には200ないし1500℃の温度で行われるとよい。前記温度範囲内で熱処理を行う場合、前記リチウム化合物の分解反応が十分に起こり、前記球状化天然黒鉛粒子の表面がより改質されることによって、不可逆容量が減少し、充放電特性が向上できる。
【0054】
前記熱処理は、窒素、アルゴン、水素、空気、酸素、またはこれらの混合ガスを含む雰囲気、または真空下で行われるとよい。
【0055】
前記リチウム化合物は、前記球状化天然黒鉛粒子100重量部に対して0.1重量部ないし50重量部で含まれるとよく、具体的には0.3重量部ないし30重量部で含まれるとよい。前記リチウム化合物が前記範囲内に含まれる場合、前記球状化天然黒鉛粒子の微細空隙の間に前記リチウム化合物が含浸および分布し、初期充放電効率などの充放電特性が向上できる。
【0056】
前記溶液は、前記球状化天然黒鉛粒子のほか、前記炭素前駆体および前記リチウム化合物をいずれもさらに含むことができる。この場合、前記球状化天然黒鉛粒子、前記炭素前駆体、前記リチウム化合物および前記溶媒を含む溶液を、前述した黒鉛改質粒子を製造する方法のように、前記超音波処理後、前記乾燥して前記黒鉛改質粒子を製造した後、前記黒鉛改質粒子を熱処理して黒鉛改質複合粒子を製造する段階をさらに経ることができる。
【0057】
この時、前記炭素前駆体および前記リチウム化合物の種類および含有量はそれぞれ前述した通りである。
【0058】
この時の前記熱処理は、150ないし2500℃の温度で行われるとよく、窒素、アルゴン、水素、またはこれらの混合ガスを含む雰囲気、または真空下で行われるとよい。
【0059】
他の実施形態によれば、前述のような製造方法によって製造された負極活物質を提供する。
【0060】
前記負極活物質は、表面が改質された球状化天然黒鉛粒子を含むことができる。また、前記負極活物質は、前記球状化天然黒鉛粒子の表面および前記球状化天然黒鉛粒子内部の表面が低結晶性炭素および非晶質炭素でコーティングされた黒鉛改質複合粒子を含むことができる。さらに、前記負極活物質は、前記球状化天然黒鉛粒子の表面および前記球状化天然黒鉛粒子内部の表面がリチウム化合物を含む低結晶性炭素および非晶質炭素でコーティングされた黒鉛改質複合粒子を含むことができる。
【0061】
さらに他の実施形態によれば、前記負極活物質を含む負極と、正極と、電解液とを含むリチウム二次電池を提供する。
【0062】
リチウム二次電池は、使用されるセパレータおよび電解液の種類に応じて、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池およびリチウムポリマー電池に分類され、形態に応じて、円筒型、角型、コイン型、パウチ型などに分類され、サイズに応じて、バルクタイプおよび薄膜タイプに分けられる。これら電池の構造および製造方法は当該分野で広く知られているので、詳細な説明は省略する。
【0063】
前記負極は、前述した負極活物質、バインダー、および選択的に導電材を混合して負極活物質層形成用組成物を製造した後、負極集電体に塗布して製造できる。
【0064】
前記バインダーとしては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース/スチレン−ブタジエンラバー、ヒドロキシプロピレンセルロース、ジアセチレンセルロース、ポリビニルクロライド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
前記バインダーは、負極活物質層形成用組成物の総量に対して1重量%ないし30重量%で混合されるとよい。
【0066】
前記導電材としては、電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスキー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;フッ化カーボン、ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用できる。
【0067】
前記導電材は、負極活物質層形成用組成物の総量に対して0.1重量%ないし30重量%で混合されるとよい。
【0068】
前記負極集電体は、3μmないし500μmの厚さであるとよい。前記負極集電体の例としては、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面に、カーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用できる。前記負極集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。
【0069】
前記正極は、正極活物質を含み、前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができる。具体的には、コバルト、マンガン、ニッケルから選択される少なくとも1種とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上のものを使用することができる。
【0070】
前記正極も、負極と同様に、前記正極活物質、バインダー、および選択的に導電材を混合して正極活物質層形成用組成物を製造した後、この組成物をアルミニウムなどの正極集電体に塗布して製造することができる。
【0071】
前記電解液は、リチウム塩;および非水性有機溶媒、有機固体電解液、無機固体電解液などが使用される。
【0072】
前記リチウム塩は、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、CFSOLi、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、四フェニルホウ酸リチウム、イミドなどが使用できる。
【0073】
前記非水性有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどが使用できる。
【0074】
前記有機固体電解液としては、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などが使用できる。
【0075】
前記無機固体電解液としては、LiN、LiI、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiPO−LiS−SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使用できる。
【0076】
前記電解液は、充放電特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加可能である。
【0077】
また、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含むこともでき、高温保存特性を向上させるために、二酸化炭酸ガスをさらに含むこともできる。
【0078】
リチウム二次電池の種類に応じて、正極と負極との間にセパレータが存在し得る。このようなセパレータとしては、高いイオン透過度および機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用できる。前記セパレータの空隙直径は0.01μmないし10μmであり、厚さは5μmないし300μmであるとよい。
【0079】
前記セパレータは、具体的には、耐薬品性および疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維、ポリエチレンなどからなるシートや不織布などが使用できる。電解液としてポリマーなどの固体電解液が使用される場合、固体電解液が分離膜を兼ねることもできる。
【0080】
以下、本発明の好ましい実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例であって、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0081】
(負極活物質の製造)
実施例1
蒸留水およびアセトンを6:4の重量比で混合した溶媒100重量部に、平均粒径(D50)が11μmの球状化天然黒鉛粒子(カーボニックス社、SGB10L)1重量部を投入後、磁石撹拌機を用いて撹拌すると同時に、20Hzの周波数で375Wの強さおよび5分間超音波処理した後、80℃で自然乾燥して、黒鉛改質粒子を製造した。
【0082】
実施例2
蒸留水およびアセトンを6:4の重量比で混合した溶媒100重量部に、平均粒径(D50)が11μmの球状化天然黒鉛粒子(カーボニックス社、SGB10L)1重量部を投入後、磁石撹拌機を用いて撹拌すると同時に、20Hzの周波数で375Wの強さおよび10分間超音波処理した後、80℃で自然乾燥して、黒鉛改質粒子を製造した。
【0083】
実施例3
蒸留水100重量部に、リチウムアセテート0.025重量部を含む溶液を製造した。製造された溶液に、平均粒径(D50)が11μmの球状化天然黒鉛粒子(カーボニックス社、SGB10L)1重量部を投入して撹拌すると同時に、20Hzの周波数で375Wの強さおよび10分間超音波処理した後、100℃で自然乾燥して、黒鉛改質粒子を製造した。前記黒鉛改質粒子を450℃で維持時間なしに空気(air)雰囲気で熱処理した後、炉冷して、平均粒径(D50)が13μmの黒鉛改質複合粒子を製造した。
【0084】
実施例4
テトラヒドロフラン100重量部に、石油系ピッチ0.08重量部(炭化後の収率:0.05重量%)を含む溶液を製造した。製造された溶液に、平均粒径(D50)が11μmの球状化天然黒鉛粒子(カーボニックス社、SGB10L)1重量部を投入して撹拌すると同時に、20Hzの周波数で375Wの強さおよび5分間超音波処理した後、80℃で自然乾燥して、黒鉛改質粒子を製造した。前記黒鉛改質粒子を1200℃で1時間アルゴン雰囲気で熱処理した後、炉冷して、平均粒径(D50)が12.8μmの黒鉛改質複合粒子を製造した。
【0085】
実施例5
テトラヒドロフラン100重量部に、石油系ピッチ0.16重量部(炭化後の収率:0.1重量%)を含む溶液を製造した。製造された溶液に、平均粒径(D50)が11μmの球状化天然黒鉛粒子(カーボニックス社、SGB10L)1重量部を投入して撹拌すると同時に、20Hzの周波数で375Wの強さおよび5分間超音波処理した後、80℃で自然乾燥して、黒鉛改質粒子を製造した。前記黒鉛改質粒子を1200℃で1時間アルゴン雰囲気で熱処理した後、炉冷して、平均粒径(D50)が13.4μmの黒鉛改質複合粒子を製造した。
【0086】
実施例6
蒸留水100重量部に、ポリアクリル酸0.5重量部を含む溶液を製造した。製造された溶液に、平均粒径(D50)が11μmの球状化天然黒鉛粒子(カーボニックス社、SGB10L)1重量部を投入して撹拌すると同時に、20Hzの周波数で375Wの強さおよび5分間超音波処理した後、160℃で回転噴霧乾燥(spray dry)して、黒鉛改質粒子を製造した。前記黒鉛改質粒子を900℃で1時間アルゴン(Ar)雰囲気で熱処理した後、炉冷して、平均粒径(D50)が13μmの黒鉛改質複合粒子を製造した。
【0087】
実施例7
蒸留水100重量部に、ポリアクリル酸0.5重量部およびリチウムアセテート0.1重量部を含む溶液を製造した。製造された溶液に、平均粒径(D50)が11μmの球状化天然黒鉛粒子(カーボニックス社、SGB10L)を蒸留水比1重量部投入して撹拌すると同時に、20Hzの周波数で375Wの強さおよび5分間超音波処理した後、160℃で回転噴霧乾燥(spray dry)して、黒鉛改質粒子を製造した。前記黒鉛改質粒子を900℃で1時間アルゴン(Ar)雰囲気で熱処理した後、炉冷して、平均粒径(D50)が16μmの黒鉛改質複合粒子を製造した。
【0088】
比較例1
平均粒径(D50)が11μmの球状化天然黒鉛粒子(カーボニックス社、SGB10L)を負極活物質として使用した。
【0089】
比較例2
テトラヒドロフラン100重量部に、石油系ピッチ0.08重量部(炭化後の収率:0.05重量%)を含む溶液を製造した。製造された溶液に、平均粒径(D50)が11μmの球状化天然黒鉛粒子(カーボニックス社、SGB10L)1重量部を投入してから1時間撹拌した後、80℃で自然乾燥し、1200℃で1時間アルゴン雰囲気で熱処理した後、炉冷して、炭素コーティングした球状化天然黒鉛粒子を製造した。
【0090】
評価1:負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真の分析
実施例1ないし7と比較例1および2で製造された負極活物質それぞれの走査電子顕微鏡(SEM)写真を、図1ないし図9に示した。
【0091】
図1ないし図6は、それぞれ実施例1ないし6による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真であり、図7Aおよび図7Bは、実施例7による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真で、それぞれ5,000倍率および20,000倍率に相当する。また、図8および図9は、それぞれ比較例1および2による負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0092】
図1ないし図7Bを参照すれば、実施例1ないし3の負極活物質は、球状化天然黒鉛粒子の表面に微細空隙が形成されたことを確認することができる。実施例4ないし7の負極活物質は、球状化天然黒鉛粒子の表面および球状化天然黒鉛粒子内部の表面に炭素がコーティングされて、前記球状化天然黒鉛粒子の表面に微細空隙の大きさがより微細になったり、一部消滅して現れており、炭素前駆体およびリチウムアセテートを共に含む溶液で超音波処理後熱処理された実施例7の場合、粒子の表面にリチウムカーボネート粒子が存在することを確認することができる。
【0093】
また、比較例1の負極活物質は、球状化天然黒鉛粒子を超音波処理していないもので、前記球状化天然黒鉛粒子の表面を示したものであり、比較例2の負極活物質も、球状化天然黒鉛粒子を超音波処理していないもので、前記球状化天然黒鉛粒子の表面に炭素粒子がコーティングされたことを示す。
【0094】
評価2:負極活物質の粒度分布の分析
実施例1ないし7と比較例1および2で製造された負極活物質の粒度分布をレーザ回折散乱式粒度分布測定法で測定し、負極活物質の平均粒径(D50)を下記表1に示した。
【0095】
【表1】
【0096】
前記表1を参照すれば、超音波処理をした実施例1および2の場合と、リチウム化合物を含む溶液で超音波処理をした実施例3の場合、超音波処理をしていない比較例1の場合と比較して、負極活物質の平均粒径(D50)が増加することが分かる。また、炭素前駆体を含む溶液で超音波処理をした実施例4ないし6の場合と、炭素前駆体およびリチウム化合物を含む溶液で超音波処理をした実施例7の場合、超音波処理をしていない比較例2の場合と比較して、負極活物質の平均粒径(D50)が増加することが分かる。これは、超音波処理を通じて球状化天然黒鉛粒子の間隙を広げて、前記球状化天然黒鉛粒子の表面および内部に微細空隙を形成したことに起因する。
【0097】
評価3:負極活物質の比表面積の分析
実施例1ないし7と比較例1および2で製造された負極活物質の比表面積(BET surface area)をガス吸脱着法で測定し、その結果を下記表2に示した。
【0098】
【表2】
【0099】
前記表2を通して、超音波処理をした実施例1および2の場合、超音波処理をしていない比較例1の場合と比較して、負極活物質の比表面積が増加することを確認することができる。また、リチウム化合物を含む溶液で超音波処理した実施例3の場合、比較例1の場合と比較して、比表面積が増加したことを確認することができる。さらに、炭素前駆体を含む溶液で超音波処理した実施例4ないし6の場合と、炭素前駆体およびリチウム化合物を含む溶液で超音波処理をした実施例7の場合、超音波処理をしていない比較例2の場合と比較して、負極活物質の比表面積が大きく増加することを確認することができる。これは、超音波処理を通じて球状化天然黒鉛粒子の間隙を広げて、前記球状化天然黒鉛粒子の表面および内部に微細空隙を形成したことに起因する。
【0100】
評価4:負極活物質のX線回折パターンの分析
実施例1ないし7と比較例1および2で製造された負極活物質の結晶性をX線回折パターン分析器を用いて測定し、その結果を図10ないし図12に示した。
【0101】
図10は、実施例1および2と比較例1による負極活物質のX線回折パターン(XRD)を示し、図11は、実施例3および7と比較例1による負極活物質のX線回折パターン(XRD)を示し、図12は、実施例4ないし6および比較例2による負極活物質のX線回折パターン(XRD)を示す。
【0102】
図10および図12を参照すれば、球状化天然黒鉛粒子を超音波処理しても、球状化天然黒鉛粒子の結晶性がそのまま維持されることが分かる。また、図11を参照すれば、リチウム化合物を含む溶液を超音波処理後熱処理した実施例3および7の場合、リチウムカーボネートが形成されたことを確認することができる。
【0103】
(テスト用セルの製造)
実施例1ないし7と比較例1および2で製造されたそれぞれの負極活物質およびCMC/SBR(カルボキシメチルセルロース/スチレン−ブタジエンラバー)を、95:5の重量比で蒸留水で混合して、負極スラリーを製造した。前記負極スラリーを銅箔上にコーティングした後、乾燥および圧着して、それぞれの負極を製造した。
【0104】
前記それぞれの負極とリチウム金属を正極とし、負極と正極との間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレータを介在して積層させて、電極アセンブリを製造した。以降、ジエチルカーボネート(DEC)およびエチレンカーボネート(EC)の混合溶媒(DEC:EC=1:1)に、1MのLiPFを溶解させた電解液を添加して、テスト用セルを製作した。
【0105】
評価5:負極の走査電子顕微鏡(SEM)写真の分析
実施例1、4、6および7と比較例1および2により製造されたそれぞれの負極表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を、図13ないし図18に示した。
【0106】
図13ないし図16は、それぞれ実施例1、4、6および7により製造された負極表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真であり、図17および図18は、それぞれ比較例1および2により製造された負極表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0107】
炭素でコーティングされていない球状化天然黒鉛活物質を用いて電極を製造する時、圧着工程によって球状化天然黒鉛粒子の押圧現象が発生する。図13および図17を参照すれば、実施例1および比較例1により負極を製造する時、圧着工程による押圧現象の程度が類似していることが分かる。図14ないし図16図18を参照すれば、炭素前駆体を含む溶液で超音波処理した実施例4、6および7の場合、比較例2の場合と比較して、負極の製造時、圧着工程による粒子の押圧現象が類似しており、前記実施例4、6および7と比較例2の場合、前記実施例1および比較例1の場合に比べて粒子の押圧現象が改善されたことが分かる。
【0108】
評価6:リチウム二次電池の初期充放電特性の分析
前記製造されたテスト用セルを用いて、次のような方法で前記実施例1ないし7と比較例1および2による初期充放電特性を評価し、その結果を下記表3に示した。
【0109】
実施例1ないし7と比較例1および2により製造されたセルの場合、充電は70mA/g(0.2C rate)の電流密度にてCC/CVモードで行い、終止電圧は0.005Vに維持し、電流が7mA/g(10%電流密度)の時、充電を終了した。放電は70mA/gの電流密度にてCCモードで行い、終止電圧は2Vに維持した。
【0110】
下記表3において、初期効率(%)は、初期充電容量に対する初期放電容量の百分率で得られる。
【0111】
【表3】
【0112】
前記表3を通して、超音波処理して製造された負極活物質を使用した実施例1の場合、超音波処理していない比較例1の場合と初期効率は同一であることが分かり、リチウム化合物を含む溶液で超音波処理した実施例3の場合、比較例1に比べて初期効率が大きく増加することが分かる。また、炭素前駆体を含む溶液で超音波処理して製造された負極活物質を使用した実施例4ないし6の場合と、炭素前駆体およびリチウム化合物を含む溶液で超音波処理した実施例7の場合、超音波処理していない比較例2の場合と初期効率は類似していることが分かる。
【0113】
評価7:リチウム二次電池の高率充電特性の分析
前記製造されたテスト用セルを用いて、次のような方法で前記実施例1ないし7と比較例1および2による高率充電特性を評価し、その結果を下記表4に示した。
【0114】
実施例1ないし7と比較例1および2により製造されたセルの場合、充電は電流密度70mA/gないし700mA/gの範囲にてCCモードで行い、終止電圧は0.005Vに維持し、放電は70mA/gの電流密度にてCCモードで行い、終止電圧は2Vに維持した。
【0115】
【表4】
【0116】
前記表4を通して、超音波処理して製造された負極活物質を使用した実施例1ないし7の場合、超音波処理せずに製造された負極活物質を使用した比較例1および2の場合と比較して、高率充電特性に優れていることを確認することができる。
【0117】
評価8:リチウム二次電池の高率放電特性の分析
前記製造されたテスト用セルを用いて、次のような方法で前記実施例1ないし7と比較例1および2による高率放電特性を評価し、その結果を下記表5に示した。
【0118】
実施例1ないし7と比較例1および2により製造されたセルの場合、充電は電流密度70mA/gの電流密度にてCC/CVモードで行い、終止電圧は0.005Vに維持し、電流が7mA/g(10%電流密度)の時、充電を終了した。放電は70ないし3,500mA/gの範囲にてCCモードで行い、終止電圧は2Vに維持した。
【0119】
【表5】
【0120】
前記表5を通して、超音波処理して製造された負極活物質を使用した実施例1ないし7の場合、超音波処理せずに製造された負極活物質を使用した比較例1および2の場合と比較して、高率放電特性に優れていることを確認することができる。
【0121】
評価9:リチウム二次電池のサイクル寿命特性の分析
前記製造されたテスト用セルを用いて、実施例1、3、4および7と比較例1によるサイクル寿命を評価し、その結果を図19に示した。
【0122】
充電は70mA/g(0.2C)の電流密度にてCCモードで行い、終止電圧は0.005Vに維持した。放電は70mA/g(0.2C)の電流密度にてCCモードで行い、終止電圧は2Vに維持し、計50サイクルを実施した。
【0123】
図19は、それぞれ実施例1、3、4および7と比較例1により製造された負極のサイクル寿命特性を示すグラフである。
【0124】
図19を参照すれば、球状化天然黒鉛粒子を超音波処理した実施例1、3、4および7の場合、超音波処理していない比較例1の場合に比べてサイクル寿命特性に優れていることが分かる。
【0125】
これから、超音波処理を通じて球状化黒鉛粒子の表面および内部に微細空隙が形成された負極活物質を製造することができ、このような負極活物質は電解液との反応性が向上し、高率充放電特性およびサイクル寿命特性に優れたリチウム二次電池を実現することができる。
【0126】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に製造可能であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることを理解するはずである。そのため、以上記述した実施形態は、すべての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
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図10
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図16
図17
図18
図19