特許第5920992号(P5920992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920992
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】包装用袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/08 20060101AFI20160510BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   B65D33/08
   B65D33/00 C
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-240563(P2013-240563)
(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公開番号】特開2015-101342(P2015-101342A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2014年7月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 配布日 平成25年 9月20日 場所 沖縄県浦添市城間2008−1サンエーマチナトシティ デリシャスハピネス マチナトシティ店
(73)【特許権者】
【識別番号】512196493
【氏名又は名称】株式会社KKI
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克彦
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−226040(JP,A)
【文献】 特開2008−290764(JP,A)
【文献】 特開平11−292158(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3163674(JP,U)
【文献】 特開2012−091871(JP,A)
【文献】 特表2002−513368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D30/00−33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1端に開口部、他端に第1接合部を具備し、シートを合掌状に接合した第2接合部を有する背貼り部を具備する合掌袋であって、
前記背貼り部が手提げ部を有し、
前記第2接合部が前記第1接合部よりも易剥離性であり、
前記背貼り部が、その外端側からみて、手提げ部、第2接合部、シート同士が接合していない非接合部の順で構成されることを特徴とする合掌袋。
【請求項2】
前記合掌袋が、背貼り部を有する上面部と、該上面部と折り重なった下面部を有する請求項1に記載の合掌袋。
【請求項3】
前記合掌袋が1辺に開口部、対辺に第1接合部を具備する矩形状である請求項1又は2に記載の合掌袋。
【請求項4】
前記手提げ部が貫通部を有する請求項1〜3のいずれかに記載の合掌袋。
【請求項5】
前記貫通部が第1接合部よりも開口部に近い側に配置される請求項1〜4のいずれかに記載の合掌袋。
【請求項6】
開口部を有する端若しくは辺の中点と、第1接合部を有する端若しくは辺の中点を結ぶ線で、背貼り部が山側となるよう山折り可能な請求項1〜5のいずれかに記載の合掌袋。
【請求項7】
前記合掌袋が合成樹脂製である請求項1〜6のいずれかに記載の合掌袋。
【請求項8】
前記合掌袋が食品包装用袋である請求項1〜7のいずれかに記載の合掌袋。
【請求項9】
1端に開口部、他端に第1接合部を具備し、シートを合掌状に接合した第2接合部を有する背貼り部を具備し、前記背貼り部が手提げ部を有し、
前記第2接合部が前記第1接合部よりも易剥離性であり、
前記背貼り部が、その外端側からみて、手提げ部、第2接合部、シート同士が接合していない非接合部の順で構成される食品包装用合掌袋の使用方法であって、
レジにて、品物を前記開口部から前記食品包装用合掌袋に入れることを特徴とする使用方法。
【請求項10】
さらに、品物が入った前記食品包装用合掌袋の前記開口部をテープ又はシーラーでシールする請求項9に記載の使用方法。
【請求項11】
使用前の前記食品包装用合掌袋が、前記開口部を有する端若しくは辺の中点と前記第1接合部を有する端若しくは辺の中点を結ぶ線で前記背貼り部が山側となるよう山折りされている請求項9又は10に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の包装用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
惣菜、寿司、洋菓子などの食品を出し入れするための開口部を上部に有する盤状物用手提げ袋が、スーパーマーケットやコンビニアンスストアで汎用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、手提げ部を有する盤状物用手提げ袋が具体的に開示されており、意匠公報1及び2には、手提げ部を有し、てんぷら等の惣菜を載せたトレーを入れるための包装用袋が具体的に開示されている。
【0004】
また、野菜、菓子類、冷凍食品等の食品を密閉するための袋として、背貼り部を具備する矩形状の合掌袋が広く知られている。例えば、特許文献2には、背貼り部を具備する矩形状であって、電子レンジで加熱可能な合掌袋が具体的に開示され、当該袋は背貼り部から開口可能であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−292089号公報
【特許文献2】特開2005−112428号公報
【特許文献3】意匠登録第1345421号公報
【特許文献4】意匠登録第1345368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、3及び4に開示される袋においては、手提げ部と開口部とが共通しており、食品の出し入れの際には、使用者が手提げ部を大きく開口する必要があった。そのため、これらの袋は、必ずしも食品等の取り出しが容易とはいえなかった。
【0007】
また、特許文献2に開示される背貼り部を具備する矩形状の合掌袋は、密閉を前提としており、手提げ袋としての用途は想定されていない。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、食品等の取り出しが容易な手提げ袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が鋭意検討を行ったところ、思いがけず、手提げ部と開口部を共通させない袋を想起した。さらに、本発明者は、手提げ部と開口部を共通させない袋を、背貼り部を具備する合掌袋で実現させること、かつ、当該合掌袋においては背貼り部に手提げ部を具備させることを想起し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明の合掌袋は、1端に開口部、他端に第1接合部を具備し、シートを合掌状に接合した第2接合部を有する背貼り部を具備する合掌袋であって、前記背貼り部が手提げ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の合掌袋は、手提げ部と開口部が共通しておらず、それぞれ独立しているので、使用者は手提げ部を操作することなく、開口部から食品等を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の合掌袋の斜視図である。
図2】実施例1の合掌袋に食品を入れた場合の斜視図である。
図3】実施例1の合掌袋の収納時の表面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の合掌袋は、1端に開口部、他端に第1接合部を具備し、シートを合掌状に接合した第2接合部を有する背貼り部を具備する合掌袋であって、前記背貼り部が手提げ部を有することを特徴とする。
【0014】
合掌袋とは、合成樹脂製等のシートを筒状にし、筒状の内面同士を重ねて接合して製造した袋である。筒状の内面同士を重ねて接合する様子が、人が合掌している様子に似ていることから、合掌袋と呼ばれている。筒状の内面同士を重ねて接合した箇所は、一般に背貼り部と呼ばれている。合成樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン材料を挙げることができる。上記のポリオレフィン材料を単独若しくは複数用いて、単層若しくは多層のシートとすればよい。シートには、適宜、公知の添加剤を配合しても良い。また、シートとしては、紙製、布製のものを採用してもよく、合成樹脂、紙又は布製の材料を複数用いた多層シートを採用してもよい。なお、本発明の合掌袋が合成樹脂製の場合、本明細書で用いられる「接合」との文言を「融着」と読み替えることができる。
【0015】
開口部は合掌袋の1端に存在する。開口部の大きさに特に制限は無いが、食品の出し入れの容易さから、1端すべてにわたり開口しているものが好ましい。
【0016】
第1接合部は、開口部側とは逆の端に存在する。第1接合部の大きさに特に制限は無いが、食品の落下防止の観点から、端すべてにわたり存在するのが好ましい。
【0017】
なお、開口部及び第1接合部に関し、端に具備するとは、開口部及び第1接合部が端の最端部に存在するもののみでなく、最端部の近傍に存在するものを包含する。
【0018】
合掌袋の形状には特に限定が無いが、合掌袋は背貼り部を有する上面部と該上面部と折り重なった下面部を有するもの、すなわち袋として使用する前には平面状態にできるものが良く、また、矩形状のものが好ましい。
【0019】
合掌袋が矩形の場合、本発明の合掌袋は1辺に開口部、対辺に第1接合部を具備するものとなる。なお、開口部及び第1接合部に関し、対辺に具備するとは、開口部及び第1接合部が対辺上に存在するもののみでなく、対辺の近傍に、対辺と平行に開口部及び第1接合部が存在するものを包含する。
【0020】
本発明の合掌袋は、背貼り部が少なくとも手提げ部及び第2接合部を有する。
【0021】
背貼り部は、第1接合部との交差方向に存在することになるが、特に直交方向に存在するのが好ましい。背貼り部は、開口部を有する端若しくは辺の中点と第1接合部を有する端若しくは辺の中点を結ぶ線上又はその付近に存在するのがより好ましい。背貼り部における、上記交差方向の長さに特に制限は無いが、開口部を有する端若しくは辺の中点と第1接合部を有する端若しくは辺の中点を結ぶ線分の長さに対して、50%以上の長さが好ましく、70%以上の長さがより好ましく、90%以上の長さがさらに好ましく、100%の長さが特に好ましい。
【0022】
手提げ部は、使用者の指や手を通す貫通部を有する箇所である。貫通部は、1つでも良いし、複数個存在しても良い。貫通部の形状は、円形又は楕円形が好ましく、長軸の方向が背貼り部の長さ方向と一致する楕円形がより好ましい。貫通部の形状において、最も長い径の長さは1〜10cmが好ましく、2〜9cmがより好ましい。貫通部の形状において、最も短い径の長さは1〜5cmが好ましく、1.5〜3cmがより好ましい。貫通部は手提げ部のいずれの位置に配置されても良いが、使用時に合掌袋の内部に包装される物品の落下を防止する観点から、第1接合部よりも開口部に近い側に配置されるのが好ましい。貫通部の中心は、開口部側の端部と第1接合部側の端部の距離を200等分した場合に、開口部側の端部から80〜100分割分の位置に存在するのが好ましく、85〜95分割分の位置に存在するのがより好ましい。貫通部の存在により、使用者は、食品等を入れた本発明の合掌袋を、容易に持ち運びすることができる。手提げ部を構成するシートは、互いに接合していても良いし、接合していなくても良い。手提げ部を構成するシートが接合していない非接合手提げ部を有する合掌袋の場合、使用者は2つの非接合手提げ部を互いに遠ざける方向に開くことにより、第2接合部を容易く剥離することができる。
【0023】
第2接合部は、筒状にした合成樹脂製等のシートの内面同士を重ねて接合した箇所である。第2接合部の長さ方向(第1接合部との交差方向)の長さに特に制限は無いが、開口部を有する端若しくは辺の中点と第1接合部を有する端若しくは辺の中点を結ぶ線分の長さに対して、50%以上の長さが好ましく、70%以上の長さがより好ましく、90%以上の長さがさらに好ましく、100%の長さが特に好ましい。
【0024】
第2接合部は、シートを剥離可能な程度で接合するのが好ましい。使用者は、食品等を入れた本発明の合掌袋の第2接合部のシートを、開口部側から剥離することにより、袋の開口面積をより大きくすることができるため、食品とシートとの接触を恐れることなく食品を取り出すことができる。また、使用者は、食品等を入れた本発明の合掌袋の第2接合部のシートをすべて剥離することにより、開口部から食品を取り出すことなく、たやすく食品を食する準備をすることができるし、その際には、本発明の合掌袋をランチョンマットなどとして利用することもできる。第2接合部は第1接合部よりも易剥離性であるのが好ましい。第2接合部を第1接合部よりも易剥離性とするためには、製造時に第2接合部の接合温度を第1接合部の接合温度よりも低くする、及び/又は、製造時に第2接合部の接合時間を第1接合部の接合時間よりも短くすることで達成できる。第2接合部の面積を第1接合部よりも小さくすることでも第2接合部を第1接合部よりも易剥離性とすることができる。
【0025】
背貼り部における手提げ部及び第2接合部は、背貼り部の外端側からみて、手提げ部、第2接合部の順に配置されるのが好ましい。また、背貼り部は、その外端側からみて、手提げ部、第2接合部、シート同士が接合していない非接合部の順で構成されるのが好ましい。非接合部の存在に因り、合掌袋の開口部にあらかじめ隙間が生じ易く、使用者は合掌袋の開口部を簡単に開口できる。さらに、非接合部の存在に因り、袋内にてんぷら等の惣菜を載せたトレーを入れた場合、袋の底面の面積よりも、底面以外の面積の方が大きくなり、惣菜と袋の接触を抑制することができる。
【0026】
本発明の合掌袋は、種々の物品を包装することができるが、食品包装用袋とするのが好ましい。例えば、従来、パン等の食品店においては、顧客が所望の複数の品物(パン)をトレーに載せてレジに進み、そして、レジにて、レジ係が複数の品物(パン)を一品ずつ袋詰めし、さらに、レジ係が袋詰めした複数の品物を別の包装用袋に入れて顧客に手渡すのが一般的であった。ここで、本発明の合掌袋を包装用袋として採用すれば、レジ係は複数の品物を載せたトレーをそのままトレーごと開口部から包装用袋に入れることで品物の包装が完了し、そして、顧客に手渡すことができる。つまり、本発明の合掌袋を採用することにより、食品店側からみればレジ係の作業時間を短縮することができ、顧客側からみればレジでの待ち時間を短縮することができる。必要に応じ、レジ係又は顧客は、品物が入った本発明の合掌袋の開口部をテープやシーラーなどでシールすることにより、品物の合掌袋からの脱落を好適に防止することができる。なお、本発明の合掌袋を包装用袋として採用し、上述した使用方法とする場合には、上記トレーは顧客が持ち帰ることになるので、当該トレーは紙製若しくは樹脂製などの廉価なものとするのが好ましい。
【0027】
本発明の合掌袋は、使用前(収納時)には、開口部を有する端若しくは辺の中点と第1接合部を有する端若しくは辺の中点を結ぶ線で背貼り部が山側となるよう山折りすることができる。このような形状とすることにより、収納スペースを省くことができる。また、合掌袋の収納時であっても手提げ部を利用して収納することができるし、合掌袋を取り出す時にも手提げ部を掴んで作業することができる。
【0028】
本発明の合掌袋は、通常の合掌袋を製造する方法を本発明の趣旨に沿うよう適宜改良した方法で製造すればよい。
【0029】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲は実施例に限定されない。
【0030】
(実施例1)
図1に本発明の実施例1の合掌袋10の斜視図を示す。
【0031】
合成樹脂製の合掌袋10は、1辺に開口部1、対辺に第1接合部2、前記第1接合部2の交差方向に背貼り部3を具備する矩形状のものである。開口部1は1辺すべてにわたり開口している。第1接合部2は1辺すべてにわたり接合している。開口部1の長さは25cmであり、第1接合部2の長さは40cmである。そして、開口部1の長さと第1接合部2の長さの比は5:8である。第1接合部2の幅は0.9cmである。
【0032】
合掌袋10は、合掌袋10の平面上の第1接合部2の直行方向に、背貼り部3を具備する。背貼り部3は、開口部1を有する辺の中点11と第1接合部2を有する辺の中点12を結ぶ線分上に、垂直に配置されている。背貼り部3は、その外端側からみて、手提げ部4、第2接合部5、非接合部7の順で構成され、これらは平行に配置されている。手提げ部4、第2接合部5、非接合部7の幅は、それぞれ3.5cm、0.9cm、0.6cmである。
【0033】
手提げ部4は長径8cm短径2cmの楕円形状の貫通部6を有する。貫通部6の中心は、開口部1側の端部から18cm、第1接合部2側の端部から22cmの点にある。手提げ部4のフィルムは、第1接合部2側の端部で接合しているが、それ以外の大部分は接合していない。
【0034】
第2接合部5は第1接合部2よりも剥離しやすくなっている。第2接合部5は、子供であっても剥離できる程度でフィルムを接合している。具体的には、製造時に第2接合部の接合温度を第1接合部の接合温度よりも低くし、かつ、第2接合部の接合時間を第1接合部の接合時間よりも短くしている。
【0035】
図2に実施例1の合掌袋10に食品を載せたトレーを入れた場合の斜視図を示す。使用者は、食品を載せたトレーを合掌袋10の開口部1からたやすく取り出すことができる。また、第2接合部5のフィルムを開口部1側の端部からすべて剥離して食品を開放し、開口部1から食品を載せたトレーを取り出すことなく、たやすく食品を食する準備をすることができるし、その際には、本発明の合掌袋10をランチョンマットなどとして再利用することもできる。
【0036】
図3に実施例1の合掌袋10の使用前(収納時)の表面図を示す。これは、合掌袋10の開口部1を有する辺の中点11と第1接合部2を有する辺の中点12を結ぶ線で背貼り部3が山側となるよう(開口部の中点11と第1接合部の中点12を結ぶ線分が山折り部13となるよう)山折りしたものである。このような形状とすることにより、合掌袋10の収納スペースを省くことができる。その際には、手提げ部4を利用して収納することができるし、合掌袋10を取り出す時にも手提げ部4を掴んで作業することができる。
【符号の説明】
【0037】
10は合掌袋、1は開口部、2は第1接合部、3は背貼り部、4は手提げ部、5は第2接合部、6は貫通部、7は非接合部、11は開口部の中点、12は第1接合部の中点、13は山折り部を示す。
図1
図2
図3