(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
2個の文字またはシンボル間にないダッシュ(「−」)は、置換基に対するかまたは2個の原子間の結合点を示すために使用される。例えば、−CONH
2は炭素原子を介して別の部分に結合される。
【0025】
「活性化エチレン性不飽和モノイソシア
ネート」は、マイケル付加に対して活性化されるように、すなわち二重結合がマイケルアクセプターであるように、二重結合が電子不足であるエチレン性不飽和基およびモノイソシア
ネート基を含む化合物を指す。
【0026】
「アルデヒド」は、式CH(O)Rの化合物を指す(式中、Rは、本明細書中で定義されるとおり、水素または、アルキル基などの炭化水素基である)。ある一定の実施形態において、アルデヒドは、C
1−10アルデヒド、C
1−6アルデヒド、C
1−4アルデヒド、C
1−3アルデヒドであり、ある一定の実施形態において、C
1−2アルデヒドである。ある一定の実施形態において、アルデヒドはホルムアルデヒドである。アルデヒドのある一定の実施形態において、Rは、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから選択される。
【0027】
「アルカンジイル」は、例えば、1から18個の炭素原子(C
1−18)、1から14個の炭素原子(C
1−14)、1から6個の炭素原子(C
1−6)、1から4個の炭素原子(C
1−4)または1から3個の炭化水素原子(C
1−3)を有する、分枝状または直鎖状の非環式飽和炭化水素基のジラジカルを指す。ある一定の実施形態において、アルカンジイルは、C
2−14アルカンジイル、C
2−10アルカンジイル、C
2−8アルカンジイル、C
2−6アルカンジイル、C
2−4アルカンジイルであり、ある一定の実施形態において、C
2−3アルカンジイルである。アルカンジイル基の例としては、メタン−ジイル(−CH
2−)、エタン−1,2−ジイル(−CH
2CH
2−)、プロパン−1,3−ジイルおよびイソプロパン−1,2−ジイル(例えば、−CH
2CH
2CH
2−および−CH(CH
3)CH
2−)、ブタン−1,4−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ペンタン−1,5−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘキサン−1,6−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘプタン−1,7−ジイル、オクタン−1,8−ジイル、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイル、ドデカン−1,12−ジイルなどが挙げられる。
【0028】
「アルカンジチオール」という用語は、2個の水素原子がチオール基、−SHで置き換えられているアルカン基を指す。ある一定の実施形態において、アルカンジチオールは、C
2−12アルカンジチオール、C
2−10アルカンジチオール、C
2−8アルカンジチオール、C
2−6アルカンジチオールであり、ある一定の実施形態において、C
2−3アルカンジチオールである。
【0029】
「アルカンアレーン」は、1以上のアリールおよび/またはアレーンジイル基ならびに1以上のアルキルおよび/またはアルカンジイル基を有する炭化水素基を指し、アリール、アレーンジイル、アルキルおよびアルカンジイルは本明細書中で定義される。ある一定の実施形態において、各アリールおよび/またはアレーンジイル基は、C
6−12、C
6−10であり、ある一定の実施形態において、フェニルまたはベンゼンジイルである。ある一定の実施形態において、各アルキルおよび/またはアルカンジイル基は、C
1−6、C
1−4、C
1−3であり、ある一定の実施形態において、メチル、メタンジイル、エチルまたはエタン−1,2−ジイルである。ある一定の実施形態において、アルカンアレーン基は、C
4−18アルカンアレーン、C
4−16アルカンアレーン、C
4−12アルカンアレーン、C
4−8アルカンアレーン、C
6−12アルカンアレーン、C
6−10アルカンアレーンであり、ある一定の実施形態において、C
6−9アルカンアレーンである。アルカンアレーン基の例としてはジフェニルメタンが挙げられる。
【0030】
「アルカンアレーンジイル」は、アルカンアレーン基のジラジカルを指す。ある一定の実施形態において、アルカンアレーンジイル基は、C
4−18アルカンアレーンジイル、C
4−16アルカンアレーンジイル、C
4−12アルカンアレーンジイル、C
4−8アルカンアレーンジイル、C
6−12アルカンアレーンジイル、C
6−10アルカンアレーンジイルであり、ある一定の実施形態において、C
6−9アルカンアレーンジイルである。アルカンアレーンジイル基の例としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイルが挙げられる。
【0031】
「アルカンシクロアルカン」は、1以上のシクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基ならびに1以上のアルキルおよび/またはアルカンジイル基を有する飽和炭化水素基を指し、シクロアルキル、シクロアルカンジイル、アルキルおよびアルカンジイルは本明細書中で定義される。ある一定の実施形態において、各シクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基は、C
3−6、C
5−6であり、ある一定の実施形態において、シクロへキシルまたはシクロヘキサンジイルである。ある一定の実施形態において、各アルキルおよび/またはアルカンジイル基は、C
1−6、C
1−4、C
1−3であり、ある一定の実施形態において、メチル、メタンジイル、エチルまたはエタン−1,2−ジイルである。ある一定の実施形態において、アルカンシクロアルカン基は、C
4−18アルカンシクロアルカン、C
4−16アルカンシクロアルカン、C
4−12アルカンシクロアルカン、C
4−8アルカンシクロアルカン、C
6−12アルカンシクロアルカン、C
6−10アルカンシクロアルカンであり、ある一定の実施形態において、C
6−9アルカンシクロアルカンである。アルカンシクロアルカン基の例としては、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサンおよびシクロヘキシルメタンが挙げられる。
【0032】
「アルカンシクロアルカンジイル」は、アルカンシクロアルカン基のジラジカルを指す。ある一定の実施形態において、アルカンシクロアルカンジイル基は、C
4−18アルカンシクロアルカンジイル、C
4−16アルカンシクロアルカンジイル、C
4−12アルカンシクロアルカンジイル、C
4−8アルカンシクロアルカンジイル、C
6−12アルカンシクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイルであり、ある一定の実施形態において、C
6−9アルカンシクロアルカンジイルである。アルカンシクロアルカンジイル基の例としては、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン−1,5−ジイルおよびシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイルが挙げられる。
【0033】
「アルコキシ」は、Rが本明細書中で定義されるとおりのアルキルである−OR基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。ある一定の実施形態において、アルコキシ基は、C
1−8アルコキシ、C
1−6アルコキシ、C
1−4アルコキシであり、ある一定の実施形態において、C
1−3アルコキシである。
【0034】
「アルキル」は、例えば、1から20個の炭素原子、1から10個の炭素原子、1から6個の炭素原子、1から4個の炭素原子または1から3個の炭素原子を有する、分枝状または直鎖状の非環式飽和炭化水素基のモノラジカルを指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどが挙げられる。ある一定の実施形態において、アルキル基は、C
2−6アルキル、C
2−4アルキルであり、ある一定の実施形態において、C
2−3アルキルである。
【0035】
「アミノアルキル」は、アルキル基の水素原子のうち1個が、アミノ基、−NH
2で置き換えられている、本明細書中で定義されるとおりのアルキル基を指す。ある一定の実施形態において、アミノアルキル基は、C
1−10アミノアルキル、C
1−6アミノアルキル、C
1−4アミノアルキル、C
1−3アミノアルキルであり、ある一定の実施形態において、C
1−2アミノアルキルである。
【0036】
「アレーンジイル」は、ジラジカル単環式または多環式芳香族基を指す。アレーンジイル基の例としては、ベンゼン−ジイルおよびナフタレン−ジイルが挙げられる。ある一定の実施形態において、アレーンジイル基は、C
6−12アレーンジイル、C
6−10アレーンジイル、C
6−9アレーンジイルであり、ある一定の実施形態において、ベンゼン−ジイルである。
【0037】
「アリール」は、親芳香環系の1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することにより得られる一価芳香族炭化水素ラジカルを指す。アリールは、5−および6員炭素環式芳香環、例えばベンゼン;少なくとも1個の環が炭素環および芳香環である二環式環系、例えばナフタレン、インダンおよびテトラリン;および少なくとも1個の環が炭素環および芳香環である三環式環系、例えばフルオレンを包含する。アリールは、少なくとも1個の炭素環式芳香環、シクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環に縮合された少なくとも1個の炭素環式芳香環を有する複数の環系を包含する。例えば、アリールは、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含有する5から7員のヘテロシクロアルキル環に縮合された5−および6員炭素環式芳香環を含む。1個の環のみが炭素環式芳香環である、このような縮合二環式環系の場合、結合点は炭素環式芳香環またはヘテロシクロアルキル環にあり得る。アリール基の例としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなど由来の基が挙げられるが、これらに限定されない。ある一定の実施形態において、アリール基は6から20個の炭素原子を有し得、ある一定の実施形態において6から12個の炭素原子を有し得る。しかし、アリールは、本明細書中で個別に定義されるヘテロアリールを何ら包含しないか、またはこれらと重複しない。ゆえに、1以上の炭素環式芳香環がヘテロシクロアルキル芳香環と縮合されている多重環系は、本明細書中で定義されるとおり、ヘテロアリールであり、アリールではない。ある一定の実施形態において、アリール基はフェニルである。
【0038】
「アリールアルキル」は、水素原子のうち1個がアリール基で置き換えられているアルキル基を指す。アリールアルキル基のある一定の実施形態において、アルキル基の末端炭素原子上の水素原子は、アリール基で置き換えられている。アリールアルキルのある一定の実施形態において、アリール基は、C
6−12アリール基であり、ある一定の実施形態において、C
6−10アリール基であり、ある一定の実施形態において、フェニルまたはナフチル基である。ある一定の実施形態において、アリールアルキル基のアルカンジイル部は、例えば、C
1−10アルカンジイル、C
1−6アルカンジイル、C
1−4アルカンジイル、C
1−3アルカンジイル、プロパン−1,3−ジイル、エタン−1,2−ジイルまたはメタン−ジイルであり得る。ある一定の実施形態において、アリールアルキル基は、C
7−18アリールアルキル、C
7−16アリールアルキル、C
7−12アリールアルキル、C
7−10アリールアルキルまたはC
7−9アリールアルキルである。例えば、C
7−9アリールアルキルは、フェニル基に結合されたC
1−3アルキル基を含み得る。
【0039】
「シクロアルカンジイル」は、ジラジカル飽和単環式または多環式炭化水素基を指す。ある一定の実施形態において、シクロアルカンジイル基は、C
3−12シクロアルカンジイル、C
3−8シクロアルカンジイル、C
3−6シクロアルカンジイルであり、ある一定の実施形態においてC
5−6シクロアルカンジイルである。シクロアルカンジイル基の例としては、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイルおよびシクロヘキサン−1,2−ジイルが挙げられる。
【0040】
「シクロアルキル」は、飽和単環式または多環式炭化水素モノラジカル基を指す。ある一定の実施形態において、シクロアルキル基は、C
3−12シクロアルキル、C
3−8シクロアルキル、C
3−6シクロアルキルであり、ある一定の実施形態において、C
5−6シクロアルキルである。
【0041】
「シクロアルキルアルキル」は、水素原子のうち1個がシクロアルキル基で置き換えられているアルキル基を指す。シクロアルキルアルキル基のある一定の実施形態において、アルキル基の末端炭素原子上の水素原子は、シクロアルキル基で置き換えられている。シクロアルキルアルキルのある一定の実施形態において、シクロアルキル基はC
3−6シクロアルキル基であり、ある一定の実施形態において、C
5−6シクロアルキル基であり、ある一定の実施形態において、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロへキシル基である。ある一定の実施形態において、シクロアルキルアルキル基のアルカンジイル部は、例えば、C
1−10アルカンジイル、C
1−6アルカンジイル、C
1−4アルカンジイル、C
1−3アルカンジイル、プロパン−1,3−ジイル、エタン−1,2−ジイルまたはメタン−ジイルであり得る。ある一定の実施形態において、シクロアルキルアルキル基は、C
4−16シクロアルキルアルキル、C
4−12シクロアルキルアルキル、C
4−10シクロアルキルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキルまたはC
6−9シクロアルキルアルキルである。例えば、C
6−9シクロアルキルアルキルは、シクロペンチルまたはシクロへキシル基に結合されたC
1−3アルキル基を含む。
【0042】
「シクロアルキルアルカンジイル」は、シクロアルキルアルカン基のジラジカルを指す。ある一定の実施形態において、シクロアルキルアルカンジイル基は、C
4−16シクロアルキルアルカンジイル、C
4−12シクロアルキルアルカンジイル、C
4−10シクロアルキルアルカンジイル、C
6−12シクロアルキルアルカンジイルまたはC
6−9シクロアルキルアルカンジイルである。例えば、C
6−9シクロアルキルアルカンジイルは、シクロペンチルまたはシクロへキシル基に結合されたC
1−3アルキル基を含む。
【0043】
「シクロアルキルアルカン」基は、水素原子のうち1個がシクロアルカン基で置き換えられている、分枝状または直鎖状の非環式飽和炭化水素基を指す。シクロアルキルアルカン基のある一定の実施形態において、直鎖アルカン基の末端炭素原子上の水素原子がシクロアルキル基で置き換えられている。ある一定の実施形態において、シクロアルキル基は、C
3−6シクロアルキル基であり、ある一定の実施形態において、C
5−6シクロアルキル基であり、ある一定の実施形態において、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロへキシル基である。シクロアルキルアルカン基のアルカン部は、例えば、C
1−10アルカン、C
1−6アルカン、C
1−4アルカン、C
1−3アルカン、プロパン、エタンまたはメタンであり得る。ある一定の実施形態において、シクロアルキルアルカン基は、C
4−16シクロアルキルアルカン、C
4−12シクロアルキルアルカン、C
4−10シクロアルキルアルカン、C
6−12シクロアルキルアルカンまたはC
6−9シクロアルキルアルカンである。例えば、C
6−9シクロアルキルアルカンは、シクロペンチルまたはシクロへキシル基に結合されたC
1−3アルキル基を含む。
【0044】
「ジイソシア
ネート由来の基」は、親ジイソシア
ネートの末端イソシア
ネート基の一方または両方がウレタン(−O−C(O)−NR−)、チオウレタン(−S−C(O)−NR−)または尿素(−NR−C(O)−NR−)結合(式中、Rは、水素または炭化水素基である)を形成する基を指す。ジイソシア
ネート由来の基としては、脂肪族ジイソシア
ネート由来の基および芳香族ジイソシア
ネート由来の基が挙げられる。ある一定の実施形態において、ジイソシア
ネート由来の基は脂肪族ジイソシア
ネート由来の基であり、ある一定の実施形態において、ジイソシア
ネート由来の基は芳香族ジイソシア
ネート由来の基である。例えば、2,6−ジイソシアナトトルエン由来の化合物は、構造:
【0045】
【化7】
(式中、各Rは、−O−、−S−または−NR−基に対する結合である)を有する。
【0046】
脂肪族ジイソシア
ネートの例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシア
ネート、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、メチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノ
エート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,2,4−トリメチルヘキサン1,6−ジイソシア
ネート、2,4,4−トリメチルヘキサン1,6−ジイソシア
ネート、2,5(6)−ビス(イソシアナトメチル)シクロ[2.2.1.]ヘプタン、1,3,3−トリメチル−1−(イソシアナトメチル)−5−イソシアナトシクロヘキサン、1,8−ジイソシアナト−2,4−ジメチルオクタン、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンジメチルジイソシア
ネートおよび1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)および4,4−メチレンジシクロヘキシルジイソシア
ネート(H
12MDI)が挙げられる。芳香族ジイソシア
ネートの例としては、1,3−フェニレンジイソシア
ネート、1,4−フェニレンジイソシア
ネート、2,6−トルエンジイソシア
ネート(2,6−TDI)、2,4−トルエンジイソシア
ネート(2,4−TDI)、2,4−TDIおよび2,6−TDIのブレンド物、1,5−ジイソシアナトナフタレン、ジフェニルオキシド4,4’−ジイソシア
ネート、4,4’−メチレンジフェニルジイソシア
ネート(4,4−MDI)、2,4’−メチレンジフェニルジイソシア
ネート(2,4−MDI)、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタン(2,2−MDI)、ジフェニルメタンジイソシア
ネート(MDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンイソシア
ネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシア
ネート、1−[(2,4−ジイソシアナトフェニル)メチル]−3−イソシアナト−2−メチルベンゼンおよび2,4,6−トリイソプロピル−m−フェニレンジイソシア
ネートが挙げられる。
【0047】
ジイソシア
ネートが選択され得る脂環式ジイソシア
ネートの例としては、イソホロンジイソシア
ネート(IPDI)、シクロヘキサンジイソシア
ネート、メチルシクロヘキサンジイソシア
ネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタンおよび2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタンが挙げられる。
【0048】
イソシア
ネート基が芳香環と直接結合されていない芳香族ジイソシア
ネートの例としては、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、α、α、α’,α’−テトラメチルキシレンジイソシア
ネート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタ
レートおよび2,5−ジ(イソシアナトメチル)フランが挙げられるが、これらに限定されない。芳香環に直接結合されているイソシア
ネート基を有する芳香族ジイソシア
ネートとしては、フェニレンジイソシア
ネート、エチルフェニレンジイソシア
ネート、イソプロピルフェニレンジイソシア
ネート、ジメチルフェニレンジイソシア
ネート、ジエチルフェニレンジイソシア
ネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシア
ネート、ナフタレンジイソシア
ネート、メチルナフタレンジイソシア
ネート、ビフェニルジイソシア
ネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ビス(3−メチル−4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシ−ビフェニル−4,4’−ジイソシア
ネート、ジフェニルエーテルジイソシア
ネート、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)エチレングリコール、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)−1,3−プロピレングリコール、ベンゾフェノンジイソシア
ネート、カルバゾールジイソシア
ネート、エチルカルバゾールジイソシア
ネート、ジクロロカルバゾールジイソシア
ネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、p−フェニレンジイソシア
ネート、2,4−トルエンジイソシア
ネートおよび2,6−トルエンジイソシア
ネートが挙げられる。
【0049】
「エチレン性不飽和モノイソシア
ネート由来の基」は、親エチレン性不飽和モノイソシア
ネートのイソシア
ネート基がウレタン、チオウレタンまたは尿素結合を形成し、エチレン性不飽和基が別の部分に結合されているかまたは別の部分に結合されていない基を指す。ある一定の実施形態において、エチレン性不飽和イソシア
ネート由来の基は、親エチレン性不飽和モノイソシア
ネートのイソシア
ネート基がウレタン、チオウレタンまたは尿素結合を形成し、エチレン性不飽和基が別の部分に結合されていない基を指す。例えば、エチレン性不飽和モノイソシア
ネート2−イソシアナトエチルメタクリ
レート由来の基は、構造:
【0050】
【化8】
(式中、カルボニルは、−O−、−S−または−NR−と結合して、それぞれウレタン、チオウレタンまたは尿素基を形成する)を有し得る。ある一定の実施形態において、エチレン性不飽和イソシア
ネート由来の基は、親エチレン性不飽和モノイソシア
ネートのイソシア
ネート基がウレタン、チオウレタンまたは尿素結合を形成し、エチレン性不飽和基が別の部分に結合されている基を指す。このような実施形態において、エチレン性不飽和モノイソシア
ネート2−イソシアナトエチルメタクリ
レート由来の基は、構造:
【0051】
【化9】
(式中、カルボニルは、−O−、−S−または−NR−と結合して、ウレタン、チオウレタンまたは尿素基を形成し、元のビニル基が別の部分に結合されている)を有する。
【0052】
「ヘテロアルカンアレーン」は、1以上の炭素原子がN、O、SまたはPなどのヘテロ原子で置き換えられているアルカンアレーン基を指す。ヘテロアルカンアレーンのある一定の実施形態において、ヘテロ原子はNおよびOから選択される。
【0053】
「ヘテロアルカンアレーンジイル」は、1以上の炭素原子がN、O、SまたはPなどのヘテロ原子で置き換えられているアルカンアレーンジイル基を指す。ヘテロアルカンアレーンジイルのある一定の実施形態において、ヘテロ原子はNおよびOから選択される。
【0054】
「ヘテロアルカンシクロアルカン」は、1以上の炭素原子がN、O、SまたはPなどのヘテロ原子で置き換えられているアルカンシクロアルカン基を指す。ヘテロアルカンシクロアルカンのある一定の実施形態において、ヘテロ原子はNおよびOから選択される。
【0055】
「ヘテロアルカンシクロアルカンジイル」は、1以上の炭素原子がN、O、SまたはPなどのヘテロ原子で置き換えられているアルカンシクロアルカンジイル基を指す。ヘテロアルカンシクロアルカンジイルのある一定の実施形態において、ヘテロ原子はNおよびOから選択される。
【0056】
「ヘテロアルカンジイル」は、1以上の炭素原子がN、O、SまたはPなどのヘテロ原子で置き換えられているアルカンジイル基を指す。ヘテロアルカンジイルのある一定の実施形態において、ヘテロ原子はNおよびOから選択される。
【0057】
「ヘテロシクロアルカンジイル」は、1以上の炭素原子がN、O、SまたはPなどのヘテロ原子で置き換えられているシクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルのある一定の実施形態において、ヘテロ原子はNおよびOから選択される。
【0058】
「ヘテロアルキル」は、1以上の炭素原子がN、O、SまたはPなどのヘテロ原子で置き換えられているアルキル基を指す。ヘテロアルキルのある一定の実施形態において、ヘテロ原子はNおよびOから選択される。
【0059】
「ヘテロアレーンジイル」は、1以上の炭素原子がN、O、SまたはPなどのヘテロ原子で置き換えられているアレーンジイル基を指す。ヘテロアレーンジイルのある一定の実施形態において、ヘテロ原子はNおよびOから選択される。
【0060】
「ヘテロアリール」は、親ヘテロ芳香環系の1個の原子から1個の水素原子を除去することにより得られる一価ヘテロ芳香族ラジカルを指す。ヘテロアリールは、芳香族または非芳香族であり得る少なくとも1個の他の環に縮合されている少なくとも1個のヘテロ芳香環を有する多重環系を包含する。ヘテロアリールは、N、O、SおよびPから選択される、1以上の、例えば1から4個の、またはある一定の実施形態においては1から3個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である、5から7員芳香族単環式環;およびN、O、SおよびPから選択される、1以上の、例えば1から4個の、またはある一定の実施形態においては1から3個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素であり、少なくとも1個のヘテロ原子が芳香環に存在する、二環式ヘテロシクロアルキル環を包含する。例えば、ヘテロアリールは、5から7員シクロアルキル環と縮合されている5から7員ヘテロ芳香環を含む。1個の環のみが1以上のヘテロ原子を含有するこのような縮合二環式ヘテロアリール環系の場合、結合点はヘテロ芳香環またはシクロアルキル環にあり得る。ヘテロアリール基中のN、O、SおよびP原子の総数が1を超えるある一定の実施形態において、ヘテロ原子は互いに隣り合わない。ある一定の実施形態において、ヘテロアリール基中のN、O、SおよびP原子の総数は、2を超えない。ある一定の実施形態において、芳香族ヘテロ環中のN、O、SおよびP原子の総数は、1を超えない。ヘテロアリールは、本明細書中で定義されるとおりのアリールを包含しないかまたはこれと重複しない。ヘテロアリール基の例としては、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、α−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなど由来の基が挙げられるが、これらに限定されない。ある一定の実施形態において、ヘテロアリール基は、C
5−20ヘテロアリール、C
5−12ヘテロアリール、C
5−10ヘテロアリールであり、ある一定の実施形態においてC
5−6ヘテロアリールである。ある一定の実施形態において、ヘテロアリール基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾールまたはピラジン由来である。
【0061】
「ケトン」は、式CO(R)
2(式中、各Rは炭化水素基である)の化合物を指す。ケトンのある一定の実施形態において、各Rは、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキルおよび置換C
6−12シクロアルキルアルキルから独立に選択される。ケトンのある一定の実施形態において、各Rは、メチル、エチルおよびプロピルから独立に選択される。ある一定の実施形態において、ケトンは、プロパン−2−オン、ブタン−2−オン、ペンタン−2−オンおよびペンタン−3−オンから選択される。ケトンのある一定の実施形態において、各Rは、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択される。
【0062】
「フェニルアルキル」は、水素原子のうち1個がフェニル基で置き換えられているアルキル基を指す。フェニルアルキルのある一定の実施形態において、アルキル基の末端炭素原子の水素原子の1個がフェニル基で置き換えられている。ある一定の実施形態において、フェニルアルキル基は、C
7−12フェニルアルキル、C
7−10フェニルアルキル、C
7−9フェニルアルキルであり、ある一定の実施形態においてベンジルである。
【0063】
「置換(substituted)」とは、1以上の水素原子がそれぞれ独立に同じまたは異なる置換基で置き換えられている基を指す。ある一定の実施形態において、置換基は、ハロゲン、−S(O)
2OH、−S(O)
2、−SH、−SR(式中、RはC
1−6アルキルである)、−COOH、−NO
2、−NR
2(式中、各Rは、水素およびC
1−3アルキルから独立に選択される)、−CN、=O、C
1−6アルキル、C
1−3アルキル、−CF
3、−OH、フェニル、C
2−6ヘテロアルキル、C
5−6ヘテロアリール、C
1−6アルコキシおよび−COR(式中、RはC
1−6アルキルである)から選択される。ある一定の実施形態において、置換基は、−OH、−NH
2およびC
1−3アルキルから選択される。
【0064】
以下の詳細な説明の目的のため、明らかにそうではないと示されない限り、本開示により提供される実施形態は、様々な代替的変形および工程順序を想定し得ると理解されたい。さらに、実施例以外、または別段の指示がない場合は、本明細書および特許請求の範囲において使用される、例えば成分量を表す数は全て、全ての場合において「約」という語で修飾されるものとして理解されたい。従って、そうでないことが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲で挙げられる数値パラメータは、得ようとする所望の特性によって変化し得る近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするものではないが、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数値を考慮し、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0065】
本発明の幅広い範囲を示す数の範囲およびパラメータは近似値であるものの、具体的な実施例で示される数値は、可能な限り正確に報告する。しかし、何れの数値も、それらの個々の試験測定値で見られる標準偏差の結果必然的に生じる特定の誤差を本質的に含有する。
【0066】
また、本明細書中で列挙される何れの数の範囲も、その中に包含される全ての下位範囲を含むものとすることを理解されたい。例えば、「1から10」の範囲は、挙げられる約1という最小値と挙げられる約10という最大値との間の(これらを含む)全ての下位範囲を含むものとし、すなわち、約1以上の最小値および約10以下の最大値を有する。
【0067】
ここで、ポリマー、組成物および方法のある一定の実施形態を参照する。開示される実施形態は、特許請求の範囲を限定するものではない。それどころか、特許請求の範囲は、全ての代替物、変更および同等物を包含するものとする。
【0068】
多官能性硫黄含有ポリマー
示されるように、本開示により提供されるある一定の実施形態は、多官能性硫黄含有ポリマーに関する。硫黄含有ポリマーとしては、ポリチオエーテル、ポリジスルフィドならびに、チオエーテル基およびジスルフィド基の両方を含有するポリマーが挙げられる。ポリチオエーテルは一般的に、少なくとも2個のチオエーテル基、例えば2個の−C−S−C−基を含有するポリマーを指す。ポリジスルフィドは、少なくとも2個のジスルフィド基、例えば2個の−C−S−S−C−基を含有するポリマーを指す。少なくとも2個のチオエーテル基および/またはジスルフィド基に加えて、本開示により提供される硫黄含有ポリマーは、少なくとも2個のホルマール基、アセタール基および/またはケタール基、例えば、少なくとも2個の−O−CR
2−O−基(式中、各Rは、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択される)を含む。本明細書中で使用される場合、「ポリマー」は、オリゴマー、ホモポリマーおよびコポリマーを指す。別段の断りがない限り、分子量は、例えば当技術分野で認識される方式のポリスチレン標準物質を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより決定した場合の、「Mn」として示されるポリマー性材料に対する数平均分子量である。
【0069】
ある一定の実施形態において、本開示により提供される硫黄含有ポリマーは、(a)硫黄含有ジオールと、(b)ポリオール1分子あたり少なくとも3個のヒドロキシル基を含有するポリオールと、(c)アルデヒド、ケトンおよびそれらの組み合わせから選択される反応物質と、を含む反応物質の反応生成物を含む。この反応物質は、1以上のタイプの硫黄含有ジオール、1以上のタイプのポリオール、ならびに/または1以上のタイプのアルデヒドおよび/もしくはケトンを含み得る。
【0070】
この反応のある一定の実施形態において、硫黄含有ジオールは、構造:
【0071】
【化10】
(式中、pは1および2から選択され;各R
1はC
2−6アルカンジイルから独立に選択される)を含む。硫黄含有ジオールのある一定の実施形態において、pは1であり、ある一定の実施形態においてpは2である。硫黄含有ジオールのある一定の実施形態において、各R
1は同じであり、ある一定の実施形態において、各R
1は異なる。ある一定の実施形態において、各R
1は、C
2−5アルカンジイル、C
2−4アルカンジイル、C
2−3アルカンジイルから選択され、ある一定の実施形態において、各R
1は、エタン−1,2−ジイルである。この反応のある一定の実施形態において、硫黄含有ジオールは、2,2’−チオジエタノール、3,3’−チオビス(プロパン−1−オール)、4,4’−チオビス(ブタン−1−オール)および前述のものの何れかの組み合わせから選択される硫黄含有ジオールを含む。この反応のある一定の実施形態において、硫黄含有ジオールは、2,2’−チオジエタノールを含む。
【0072】
この反応のある一定の実施形態において、硫黄含有ジオールは1つのタイプの硫黄含有ジオールを含み、ある一定の実施形態において硫黄含有ジオールの混合物を含む。硫黄含有ジオールの混合物は、5モル%から95モル%の1以上のチオエーテル(pは1である)および95モル%から5モル%の1以上のジスルフィド(pは2である)を含み得る。ある一定の実施形態において、硫黄含有ジオールの混合物は、50モル%の1以上のチオエーテルおよび50モル%の1以上のジスルフィドを含む。ある一定の実施形態において、硫黄含有ジオールの混合物は、0モル%から30モル%の1以上のジスルフィドおよび100モル%から70モル%の1以上のチオエーテルを含む。
【0073】
ある一定の実施形態において、ポリオールは、ポリオール1分子あたり少なくとも3個のヒドロキシル基を含有する。例えば、ポリオールは、ポリオール1分子あたり3から10個のヒドロキシル基、ポリオール1分子あたり3から8個のヒドロキシル基、ポリオール1分子あたり3から6個のヒドロキシル基を含有し得、ある一定の実施形態において、ポリオール1分子あたり3から4個のヒドロキシル基を含有し得る。ある一定の実施形態において、ポリオールは、ポリオール1分子あたり4個のヒドロキシル基を含有し、ある一定の実施形態において、ポリオールは、ポリオール1分子あたり3個のヒドロキシル基を含有する。ポリオールは、1つのタイプのポリオールであり得るか、または、1分子あたり同じまたは異なる数のヒドロキシル基を有する異なるポリオールの混合物であり得る。
【0074】
ある一定の実施形態において、ポリオールは、式(1)のトリオール:
【0075】
【化11】
(式中、各R
2は、独立にC
1−6アルカンジイルである)を含み;ある一定の実施形態において、ポリオールは、式(2)のトリオール:
【0076】
【化12】
(式中、各R
2は、独立にC
1−6アルカンジイルである)を含む。式(1)および式(2)のポリオールのある一定の実施形態において、各R
2は、C
1−4アルカンジイルから独立に選択され得、ある一定の実施形態において、C
1−3アルカンジイルから選択され得る。ある一定の実施形態において、各R
2は同じであり得、ある一定の実施形態において、各R
2は異なり得る。式(1)および式(2)のポリオールのある一定の実施形態において、各R
2は、メタンジイル、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルから選択され、ある一定の実施形態において、ブタン−1,4−ジイルである。
【0077】
この反応のある一定の実施形態において、反応物質(c)はアルデヒドである。反応物質(c)がアルデヒドである、ある一定の実施形態において、アルデヒドは、C
1−6アルデヒド、C
1−4アルデヒド、C
1−3アルデヒドを含み、ある一定の実施形態において、C
1−2アルデヒドを含む。ある一定の実施形態において、アルデヒドは、アルキルを含み、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒドおよびブチルアルデヒドから選択される。ある一定の実施形態において、アルデヒドはホルムアルデヒドである。
【0078】
この反応のある一定の実施形態において、反応物質(c)はケトンである。反応物質(c)がケトンである、ある一定の実施形態において、このケトンは、式C(O)R
2(式中、各Rは、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択される)を有する。ケトンのある一定の実施形態において、各Rは、メチル、エチルおよびプロピルから独立に選択される。ある一定の実施形態において、ケトンは、プロパン−2−オン、ブタン−2−オン、ペンタン−2−オン、ペンタン−3−オンおよび3−メチルブタン−2−オンから選択される。
【0079】
ある一定の実施形態において、式(I)の硫黄含有ポリマーは、2,2’−チオジエタノールおよびホルムアルデヒドを含む反応物質の反応生成物であり、本明細書中でチオジグリコールポリチオエーテルまたはチオジグリコールポリホルマールと呼ばれる。
【0080】
本開示により提供される硫黄含有ポリマーを生成させるために使用される1以上のポリオールが同じ数のヒドロキシル基を有する実施形態において、硫黄含有ポリマーは、ポリオールの場合とおよそ同等であるヒドロキシル官能価を有する。例えば、ヒドロキシル官能価が3であるポリオールまたは混合物中の各ポリオールのヒドロキシル官能価が3であるポリオール混合物を使用して硫黄含有ポリマーを調製する場合、硫黄含有ポリマーのヒドロキシル官能価は3である。ある一定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、3、4、5の平均ヒドロキシル官能価、ある一定の実施形態においては6の平均ヒドロキシル官能価を有し得る。
【0081】
異なるヒドロキシル官能価を有するポリオールを使用して多官能性硫黄含有ポリマーを調製する場合、多官能性硫黄含有ポリマーは、様々な官能価を示し得る。例えば、本開示により提供される多官能性硫黄含有ポリマーは、3から12、3から9、3から6、3から4の平均ヒドロキシル官能価、ある一定の実施形態においては3.1から3.5の平均ヒドロキシル官能価を有し得る。ある一定の実施形態において、3から4の平均ヒドロキシル官能価を有する硫黄含有ポリマーは、3というヒドロキシル官能価を有する1以上のポリオールと、4というヒドロキシル官能価を有する1以上のポリオールの組み合わせを反応させることによって調製され得る。
【0082】
ある一定の実施形態において、式(I)の硫黄含有ポリマーのヒドロキシル数は、10から100、20から80、20から60、20から50であり、ある一定の実施形態において20から40である。ヒドロキシル数は、硫黄含有ポリマーのヒドロキシル含量であり、例えばヒドロキシル基をアセチル化し、得られた酸を水酸化カリウムに対して滴定することにより決定され得る。ヒドロキシル数は、1gの硫黄含有ポリマーからの酸を中和するミリグラム単位の水酸化カリウムの重量である。
【0083】
ある一定の実施形態において、本開示により提供される硫黄含有ポリマーの数平均分子量は、200から6,000ダルトン、500から5,000ダルトン、1,000から4,000ダルトン、1,500から3,500ダルトンであり、ある一定の実施形態において、2,000ダルトンから3,000ダルトンである。
【0084】
ある一定の実施形態において、本開示により提供される硫黄含有ポリマーは、2,2’−チオジエタノールと、ホルムアルデヒドと、式(1)のトリオールと、を含む反応物質の反応生成物である。ある一定の実施形態において、本開示により提供される硫黄含有ポリマーは、2,2’−チオジエタノールと、ホルムアルデヒドと、式(2)のトリオールと、を含む反応物質の反応生成物である。
【0085】
式(I)の硫黄含有ポリマーを調製するために使用される反応は、酸性触媒、例えば硫酸、スルホン酸またはそれらの組み合わせなどの存在下で行われ得る。ある一定の実施形態において、スルホン酸が使用され得る。スルホン酸の例としては、アルキルスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、tert−ブタンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸およびシクロへキシルスルホン酸など;アルケンスルホン酸、例えばα−オレフィンスルホン酸、二量体化α−オレフィンスルホン酸および2−ヘキセンスルホン酸など;芳香族スルホン酸、例えばパラ−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸など;およびポリマー支持スルホン酸、例えばDow Chemicalから市販されているAMBERLYST
(商標)スルホン酸触媒などが挙げられる。
【0086】
ある一定の実施形態において、多官能性硫黄含有ポリマーは、式(I)の構造:
【0087】
【化13】
(式中、各nは1から50から選択される整数であり;mは3から6から選択される整数であり;各pは1および2から独立に選択され;各R
1は、C
2−6アルカンジイルから独立に選択され;各R
3は、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択され;Zはm価の親ポリオールZ(OH)
mのコアを表す)を有する。各R
1は同じであり得るかまたは異なり得、各R
2は同じであり得るかまたは異なり得る。
【0088】
式(I)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
1はC
2−6アルカンジイル、C
2−4アルカンジイル、C
2−3アルカンジイルから独立に選択され、ある一定の実施形態において、エタン−1,2−ジイルである。式(I)の化合物のある一定の実施形態において、各R
1はエタン−1,2−ジイルである。
【0089】
式(I)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
3は、水素、C
1−6アルキル、C
1−4アルキル、C
1−3アルキルおよびC
1−2アルキルから独立に選択される。式(I)の化合物のある一定の実施形態において、各R
3はメチルであり、ある一定の実施形態においてエチルである。式(I)の化合物のある一定の実施形態において、各R
3は水素であり、ある一定の実施形態において、各R
3は、水素、メチルおよびエチルから選択される。式(I)の化合物のある一定の実施形態において、各R
1はエタン−1,2−ジイルであり、各R
3は水素である。
【0090】
式(I)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
1は同じであり、C
2−3アルカンジイル、例えばエタン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,3−ジイルなどから選択され;各R
3は同じであり、水素およびC
1−3アルキル、例えばメチル、エチルおよびプロピルなどから選択される。式(I)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
3は水素であり、ある一定の実施形態において、各R
3はメチルである。式(I)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
1はエタン−1,2−ジイルであり、各R
3は水素である。式(I)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
1は同じであり、エタン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,3−ジイルから選択され;各R
3は水素、メチルおよびエチルから独立に選択される。
【0091】
式(I)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、nは1から50から選択される整数、2から40から選択される整数、4から30から選択される整数であり、ある一定の実施形態において、7から30から選択される整数である。
【0092】
式(I)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各pは同じであり、1であり、ある一定の実施形態において、各pは同じであり、2である。
【0093】
式(I)の化合物のある一定の実施形態において、mは1であり、mは2であり、mは3であり、mは4であり、mは5であり、ある一定の実施形態において、mは6である。
【0094】
式(I)の化合物のある一定の実施形態において、mは3であり、親ポリオールZ(OH)
mは式(1)のトリオール:
【0095】
【化14】
(式中、各R
2は、独立にC
1−6アルカンジイルである)であり、ある一定の実施形態において、式(2)のトリオール:
【0096】
【化15】
(式中、各R
2は、独立にC
1−6アルカンジイルである)である。従って、Zは、それぞれ構造:
【0097】
【化16】
(式中、各R
2は、独立にC
1−4アルカンジイルであり、各
【0098】
【化17】
は、式(I)の外側括弧内の基に対する結合を表す)を有する。
【0099】
ある一定の実施形態において、式(I)の硫黄含有ポリマーのヒドロキシル数は、10から100、20から80、20から60、20から50であり、ある一定の実施形態において20から40である。
【0100】
ある一定の実施形態において、式(I)の硫黄含有ポリマーの数平均分子量は、200から6,000ダルトン、500から5,000ダルトン、1,000から4,000ダルトン、1,500から3,500ダルトンであり、ある一定の実施形態において、2,000ダルトンから3,000ダルトンである。
【0101】
末端修飾硫黄含有ポリマー
式(I)のヒドロキシルが末端にある多官能性硫黄含有ポリマーは、末端ヒドロキシル基が、ビニルが末端にある基、エポキシが末端にある基、アミンが末端にある基、シリルが末端にある基、チオールが末端にある基およびイソシア
ネートが末端にある基から選択される基で置き換えられるように誘導体化され得る。
【0102】
ある一定の実施形態において、末端修飾硫黄含有ポリマーは、(a)式(I)の硫黄含有ポリマー:
【0103】
【化18】
(式中、各nは1から50から選択される整数であり;mは3から6から選択される整数であり;各pは1および2から独立に選択され;各R
1は、C
2−6アルカンジイルから独立に選択され;各R
3は、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択され;Zはm価の親ポリオールZ(OH)
mのコアを表す)と;(b)ビニル基、シリル基、エポキシ基およびイソシア
ネート基から選択される末端基と、式(I)のポリマーの末端ヒドロキシル基と反応性がある基とを含む化合物と、を含む反応物質の反応生成物を含む。
【0104】
ある一定の実施形態において、末端修飾硫黄含有ポリマーは、(a)式(I)の硫黄含有ポリマー:
【0105】
【化19】
(式中、各nは1から50から選択される整数であり;mは3から6から選択される整数であり;各pは1および2から独立に選択され;各R
1は、C
2−6アルカンジイルから独立に選択され;各R
3は、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択され;Zはm価の親ポリオールZ(OH)
mのコアを表す)と;(b)ビニル基、シリル基およびエポキシ基から選択される末端基と、式(I)のポリマーの末端ヒドロキシル基と反応性がある基とを含む化合物と、を含む反応物質の反応生成物を含む。
【0106】
ある一定の実施形態において、末端修飾硫黄含有ポリマーは、(a)式(I)の硫黄含有ポリマー:
【0107】
【化20】
(式中、各nは1から50から選択される整数であり;mは3から6から選択される整数であり;各pは1および2から独立に選択され;各R
1は、C
2−6アルカンジイルから独立に選択され;各R
3は、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択され;Zはm価の親ポリオールZ(OH)
mのコアを表す)と;(b)ビニル基、シリル基およびエポキシ基から選択される末端基と、式(I)のポリマーの末端ヒドロキシル基と反応性がある基とを含む化合物と、を含む反応物質の反応生成物を含む。
【0108】
末端修飾硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、末端基はビニル基であり、末端ビニル基を含む化合物は、エチレン性不飽和モノイソシア
ネートおよびエチレン性不飽和アルコールから選択される。
【0109】
エチレン性不飽和モノイソシア
ネートとしては、エチレン性不飽和芳香族モノイソシア
ネートおよびエチレン性不飽和脂肪族モノイソシア
ネートが挙げられる。エチレン性不飽和モノイソシア
ネートの例としては、ビニルイソシア
ネート、アリルイソシア
ネート、3−イソシアナト−2−メチル−2−プロペン、メタクリロイルイソシア
ネート、イソシアナトエチルメタクリ
レート、ビニル−ベンジルイソシア
ネート、3−イソシアナト−1−ブテン、3−イソシアナト−3−メチル−1−ブテン、4−イソシアナト−2−メチル−1−ブテン、4−イソシアナト−3,3−ジメチル−1−ブテン、4−イソシアナト−4−メチル−1−ペンテンおよび5−イソシアナト−1−ペンテン、2−イソシアナトエチルメタクリ
レートおよびジメチル−メタ−イソプロペニルベンジルイソシア
ネート(TMI)が挙げられる。ある一定の実施形態において、エチレン性不飽和モノイソシア
ネートは、ビニルイソシア
ネート、アリルイソシア
ネートおよびメタクリロイル(methyacryloyl)イソシア
ネートから選択される。ある一定の実施形態において、エチレン性不飽和脂肪族モノイソシア
ネートは、C
2−10アルケニルイソシア
ネート、C
2−8アルケニルイソシア
ネート、C
2−6アルケニルイソシア
ネートから選択され、ある一定の実施形態において、C
2−3アルケニルイソシア
ネートから選択される。
【0110】
エチレン性不飽和アルコールの例としては、例えば、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールエタンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1−ビニルシクロブタノール、2−ビニルシクロブタノール、3−ビニルシクロブタノール、ビニルフェノール、2−アリルフェノール、4−アリルフェノール、4−アリル−2−メトキシフェノール、4−アリル−2,6−ジメトキシフェノール、4−(2−プロペニル)−1,2−ベンゼンジオールおよび4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−3−ブテン−2−オンが挙げられる。ある一定の実施形態において、エチレン性不飽和アルコールは、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、2−アリルフェノールおよび4−アリルフェノールから選択される。
【0111】
ある一定の実施形態において、ビニル基を含む化合物は、エチレン性不飽和モノイソシア
ネートであり、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシア
ネート(CAS 2094−99−7)および2−イソシアナトエチルメタクリ
レートから選択される。
【0112】
末端修飾硫黄含有ポリマーを生成させるための反応のある一定の実施形態において、末端基はシリル基であり、末端シリル基を含む化合物は、イソシアナトアルキルアルコキシシランである。適切なイソシアナトアルキルアルコキシシランの例としては、例えば、イソシアナトプロピルメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジイソプロポキシシラン、イソシアナトネオヘキシルトリメトキシシラン、イソシアナトネオヘキシルジメトキシシラン、イソシアナトネオヘキシルジエトキシシラン、イソシアナトネオヘキシルトリエトキシシラン、イソシアナトネオヘキシルトリイソプロポキシシラン、イソシアナトネオヘキシルジイソプロポキシシラン、イソシアナトイソアミルトリメトキシシラン、イソシアナトイソアミルジメトキシシラン、イソシアナトイソアミルメチルシラン、イソシアナトイソアミルメチルジエトキシシラン、イソシアナトイソアミルトリエトキシシラン、イソシアナトイソアミルトリイソプロポキシシランおよびイソシアナトイソアミルメチルジイソプロポキシシランが挙げられる。ある一定の実施形態において、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランは、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランである。
【0113】
末端修飾硫黄含有ポリマーを生成させるための反応のある一定の実施形態において、末端基はエポキシ基であり、末端エポキシ基を含む化合物は、C
1−6エポキシアルカノール、C
1−6エポキシハロアルカンおよびそれらの組み合わせから選択される。適切なC
1−6アルカノールエポキシドの例としては、オキシラン−2−オール、オキシラン−2−イルメタノールおよび2−(オキシラン−2−イル)エタノールが挙げられる。適切なC
1−6エポキシハロアルカンの例としては、例えば、2−(クロロメチル)オキシランおよび2−(2−クロロエチル)オキシランが挙げられる。
【0114】
ある一定の実施形態において、末端修飾硫黄含有ポリマーは、(a)および(b)を含み、(a)が(i)および(ii)を含む反応物質の反応生成物を含み、(i)が式(I)の硫黄含有ポリマー(式中、各nは1から50から選択される整数であり;mは3から6から選択される整数であり;各pは1および2から独立に選択され;各R
1は、C
2−6アルカンジイルから独立に選択され;各R
3は、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択され;Zはm価の親ポリオールZ(OH)
mのコアを表す)を含み;(ii)が、ジイソシア
ネート、エチレン性不飽和モノイソシア
ネートおよびトシ
レートから選択される第一の化合物を含み;(b)が、ビニル基、シリル基およびエポキシ基から選択される末端基と、イソシア
ネート基と反応性がある基、エチレン性不飽和基と反応性がある基およびトシ
レートと反応性がある基から選択される基とを含む第二の化合物を含む、反応物質の反応生成物を含む。
【0115】
ある一定の実施形態において、アミンが末端にある硫黄含有ポリマーは、(a)および(b)を含み、(a)が(i)および(ii)を含む反応物質の反応生成物を含み、(i)が式(I)の硫黄含有ポリマー:
【0116】
【化21】
(式中、各nは1から50から選択される整数であり;mは3から6から選択される整数であり;各pは1および2から独立に選択され;各R
1は、C
2−6アルカンジイルから独立に選択され;各R
3は、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択され;Zはm価の親ポリオールZ(OH)
mのコアを表す)を含み;(ii)が、ジイソシア
ネート、エチレン性不飽和モノイソシア
ネートおよびトシ
レートから選択される第一の化合物を含み;(b)が、アミン基と、イソシア
ネート基、エチレン性不飽和基およびトシ
レートと反応性がある基から選択される基とを含む第二の化合物を含む、反応物質の反応生成物を含む。
【0117】
ある一定の実施形態において、第一の化合物は、ジイソシア
ネートであり、例えば、1,3−フェニレンジイソシア
ネート、1,4−フェニレンジイソシア
ネート、2,6−トルエンジイソシア
ネート(2,6−TDI)、2,4−トルエンジイソシア
ネート(2,4−TDI)、2,4−TDIおよび2,6−TDIのブレンド物、1,5−ジイソシアナトナフタレン、ジフェニルオキシド4,4’−ジイソシア
ネート、4,4’−メチレンジフェニルジイソシア
ネート(4,4−MDI)、2,4’−メチレンジフェニルジイソシア
ネート(2,4−MDI)、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタン(2,2−MDI)、ジフェニルメタンジイソシア
ネート(MDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンイソシア
ネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシア
ネート、1−[(2,4−ジイソシアナトフェニル)メチル]−3−イソシアナト−2−メチルベンゼン、2,4,6−トリイソプロピル−m−フェニレンジイソシア
ネート、4,4−メチレンジシクロヘキシルジイソシア
ネート(H
12MDI)および前述のものの何れかの組み合わせから選択される。
【0118】
末端修飾硫黄含有ポリマーを生成させるための反応のある一定の実施形態において、第一の化合物は、エチレン性不飽和モノイソシア
ネート、例えば2−イソシアナトエチルメタクリ
レートなどである。他のエチレン性不飽和モノイソシア
ネートの例は本明細書中で開示される。
【0119】
ある一定の実施形態において、第一の化合物は、トシ
レート、例えばスルホニルクロリド、例えば、p−トルエンスルホニルクロリドなどである。
【0120】
末端修飾硫黄含有ポリマーを生成させるための反応のある一定の実施形態において、末端アミン基を含む第二の化合物は、アニリン、アミノアルキル置換アニリン、アミノアルキルおよび硫黄含有ジアミンから選択される。ある一定の実施形態において、アミノアルキル置換アニリンは、4−(アミノメチル)アニリンおよび4−(アミノエチル)アニリンから選択される。ある一定の実施形態において、アミノアルキルは、エタンアミン、プロパン−1−アミンおよびブタン−1−アミンから選択される。適切な硫黄含有ジアミンとしては例えばETHACURE
(登録商標)300が挙げられる。
【0121】
末端修飾硫黄含有ポリマーを生成させるための反応のある一定の実施形態において、第二の化合物はアルキル−アミノベンゾ
エートである。適切なアルキルアミノベンゾ
エートの例としては、例えば、メチル4−アミノベンゾ
エート、エチル4−アミノベンゾ
エート、メチル3−アミノベンゾ
エート、エチル3−アミノベンゾ
エート、メチル2−アミノベンゾ
エートおよびエチル3−アミノベンゾ
エートが挙げられる。ある一定の実施形態において、アルキル−アミノベンゾ
エートはエチル4−アミノベンゾ
エートである。
【0122】
ある一定の実施形態において、チオールが末端にある硫黄含有ポリマーは、(a)および(b)を含み、(a)が(i)および(ii)を含む反応物質の反応生成物を含み、(i)が式(I)の硫黄含有ポリマー:
【0123】
【化22】
(式中、各nは1から50から選択される整数であり;mは3から6から選択される整数であり;各pは1および2から独立に選択され;各R
1は、C
2−6アルカンジイルから独立に選択され;各R
3は、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択され;Zはm価の親ポリオールZ(OH)
mのコアを表す)を含み;(ii)が、ジイソシア
ネート、チオ尿素、エチレン性不飽和モノイソシア
ネートおよびトシ
レートから選択される第一の化合物を含み;(b)が、(ii)がジイソシア
ネートを含む場合、メルカプトアルカノールを;(ii)がチオ尿素を含む場合、金属ヒドロスルフィドを;(ii)がエチレン性不飽和モノイソシア
ネートを含む場合、ジチオールを;(ii)がトシ
レートを含む場合、金属ヒドロスルフィドを含む、反応物質の反応生成物を含む。
【0124】
ある一定の実施形態において、第一の化合物は、本明細書中に記載のものの何れかを含む、ジイソシア
ネートである。
【0125】
ある一定の実施形態において、第一の化合物は、本明細書中に記載のものの何れかを含む、エチレン性不飽和モノイソシア
ネートである。
【0126】
ある一定の実施形態において、第一の化合物は、本明細書中に記載のものの何れかを含むトシ
レート、例えばp−トルエンスルホニルクロリドなどである。
【0127】
ある一定の実施形態において、第二の化合物は、メルカプトアルカノール、例えば、C
2−6メルカプトアルカノールなど、例えば2−メルカプトエタン−1−オール、3−メルカプトプロパン−1−オール、4−メルカプトブタン−1−オール、5−メルカプトペンタン−1−オールおよび6−メルカプトへキサン−1−オールなどである。適切なジチオールの例としては、例えば、C
2−10アルカンジチオール、例えばエタン−1,2−ジチオール、プロパン−1,3−ジチオール、ブタン−1,4−ジチオール、ペンタン−1,5−ジチオールおよびヘキサン−1,6−ジチオールなどが挙げられる。
【0128】
ある一定の実施形態において、第二の化合物は、金属ヒドロスルフィド、例えばナトリウムヒドロスルフィドなどである。
【0129】
末端修飾硫黄含有ポリマーを生成させるための反応のある一定の実施形態において、末端チオール基を含む化合物は、ジチオールおよびアルキル(ビス)オキシジアルカンチオールから選択される。ある一定の実施形態において、第二の化合物は、例えば、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル−置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル−置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル−置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタンおよび1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタンを含む、ジチオールである。ジチオールは、C
1−4アルキル、C
1−4アルコキシおよびヒドロキシルから選択される1以上のペンダント基を有し得る。
【0130】
ある一定の実施形態において、ジチオールは、アルキル(ビス)オキシジアルカンチオールである。アルキル(ビス)オキシジアルカンチオールは、一般式HS−R−O−R−O−R−HS、(式中、各Rは、アルカンジイル、例えば、C
2−6アルカンジイル、C
2−4アルカンジイルまたはエタン−1,2−ジイルなどである)を有し得る。適切なジチオールとしては、アルキル(ビス)オキシアルカンジチオール、例えば1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン(DMDO)またはジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)などが挙げられる。ある一定の実施形態において、ジチオールは、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)、ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)および1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタンから選択される。
【0131】
適切なジチオールの他の例としては、式HS−R−SHの化合物(式中Rは、例えば、ヒドロキシル基、C
1−6アルキル基、例えばメチルまたはエチル基などであり得る1以上のペンダント基を有するC
2−6アルカンジイル;C
1−6アルコキシ、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイル、−[−(CH
2)
s−X−]
q−(CH
2)
r−または−[−(CH
2)
s−X−]
q−(CH
2)
r−(式中、少なくとも1個の−CH
2−単位がメチル基で置換され、各sは、2から6から選択される整数から独立に選択され、各qは、1から5から選択される整数から独立に選択され、各rは、2から10から選択される整数から独立に選択される)が挙げられる。ジチオールは、炭素骨格において、1以上のヘテロ原子置換基を含み得、例えば、Xは、ヘテロ原子、例えばO、Sもしくは他の二価ヘテロ原子ラジカルなど、二級もしくは三級アミン基、例えば−NR−など(式中、Rは、水素またはメチルである)または別の置換三価ヘテロ原子であるジチオールである。ある一定の実施形態において、XはOまたはSであり、ある一定の実施形態において、pおよびrは同じであり、ある一定の実施形態においてpおよびrの両方が2である。ある一定の実施形態において、Xは結合である。適切なジチオールの他の例は、例えばその全体において参照により組み込まれる米国特許第6,172,179号で開示される。
【0132】
上記末端修飾硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、末端修飾硫黄含有ポリマーの数平均分子量は、200から6,000ダルトン、500から5,000ダルトン、1,000から5,000ダルトン、1,500から4,000ダルトンであり、ある一定の実施形態において、2,000から3,600ダルトンである。
【0133】
本開示により提供されるある一定の末端修飾硫黄含有ポリマーは、式(II)の構造:
【0134】
【化23】
(式中、各nは1から50から選択される整数であり;mは3から6から選択される整数であり;pは1および2から独立に選択され;各R
1は、C
2−6アルカンジイルから独立に選択され;各R
3は、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択され;各R
5は−OR
5’であり、式中、R
5’は、ビニルが末端にある基、シリルが末端にある基、アミンが末端にある基、エポキシが末端にある基、チオールが末端にある基およびイソシア
ネートが末端にある基から選択され;Zはm価の親ポリオールZ(OH)
mのコアを表す)を有する。
【0135】
本開示により提供されるある一定の末端修飾硫黄含有ポリマーは、式(II)の構造:
【0136】
【化24】
(式中、各nは1から50から選択される整数であり;mは3から6から選択される整数であり;pは1および2から独立に選択され;各R
1は、C
2−6アルカンジイルから独立に選択され;各R
3は、水素、C
1−6アルキル、C
7−12フェニルアルキル、置換C
7−12フェニルアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、置換C
6−12シクロアルキルアルキル、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリールおよび置換C
6−12アリールから独立に選択され;各R
5は−OR
5’であり、式中、R
5’は、ビニルが末端にある基、シリルが末端にある基、アミンが末端にある基、エポキシが末端にある基およびチオールが末端にある基から選択され;Zはm価の親ポリオールZ(OH)
mのコアを表す)を有する。
【0137】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
1は、C
2−6アルカンジイル、C
2−4アルカンジイル、C
2−3アルカンジイルから独立に選択され、ある一定の実施形態において、エタン−1,2−ジイルである。式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
1はエタン−1,2−ジイルである。
【0138】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
3は、水素、C
1−6アルキル、C
1−4アルキル、C
1−3アルキルから独立に選択され、ある一定の実施形態において、C
1−2アルキルである。式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
3は水素であり、ある一定の実施形態においてメチルであり、ある一定の実施形態においてエチルである。
【0139】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
1は同じであり、C
2−3アルカンジイル、例えばエタン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,3−ジイルなどから選択され;各R
3は同じであり、水素およびC
1−3アルキル、例えばメチル、エチルおよびプロピルなどから選択される。式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
1はエタン−1,2−ジイルである。式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
3は水素である。式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
1はエタン−1,2−ジイルであり、各R
3は水素である。
【0140】
式(II)の化合物のある一定の実施形態において、mは1であり、mは2であり、mは3であり、mは4であり、mは5であり、ある一定の実施形態において、mは6である。
【0141】
mが3である式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、親ポリオールZ(OH)
mは、式(1)のトリオール:
【0142】
【化25】
(式中、各R
2は、独立にC
1−6アルカンジイルである)であり、ある一定の実施形態において、式(2)のトリオール:
【0143】
【化26】
(式中、各R
2は、独立にC
1−6アルカンジイルである)である。従って、これらの実施形態において、Zは、それぞれ構造:
【0144】
【化27】
(式中、各R
2は、独立にC
1−6アルカンジイルである)を有する。
【0145】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各nは1から50から選択される整数、2から40から選択される整数、4から30から選択される整数であり、ある一定の実施形態において、7から30から選択される整数である。
【0146】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各pは同じであり、1であり、ある一定の実施形態において、各pは同じであり、2である。
【0147】
ある一定の実施形態において、式(II)の硫黄含有ポリマーの数平均分子量は、200から6,000ダルトン、500から5,000ダルトン、1,000から5,000ダルトン、1,500から4,000ダルトンであり、ある一定の実施形態において、2,000ダルトンから3,600ダルトンである。
【0148】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
5は同じである。
【0149】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
5は、式(a)、式(b)、式(c)、式(d)および式(e)のビニルが末端にある基:
【0151】
【化29】
(式中、各R
6は、エチレン性不飽和モノイソシア
ネート由来の部分であり;各R
7は、C
2−6アルカンジイルおよびC
2−6ヘテロアルカンジイルから選択され;各R
8は、水素、C
1−6アルキルおよびフェニルから選択され;各R
9は、C
2−6アルカンジイル、C
2−6ヘテロアルカンジイル、C
6−12アレーンジイル、置換C
6−12アレーンジイル、C
6−12ヘテロアレーンジイル、置換C
6−12ヘテロアレーンジイル、C
3−12シクロアルカンジイル、置換C
3−12シクロアルカンジイル、C
3−12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C
3−12ヘテロシクロアルカンジイル、C
7−18アルカンアレーンジイル、置換C
7−18ヘテロアルカンアレーンジイル、C
4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C
4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択される)から選択される。
【0152】
ある一定の実施形態において、各R
6は、エチレン性不飽和脂肪族モノイソシア
ネート、エチレン性不飽和脂環式モノイソシア
ネート由来であり、ある一定の実施形態において、エチレン性不飽和芳香族モノイソシア
ネート由来である。
【0153】
式(b)および式(d)のある一定の実施形態において、各R
7は、C
2−4アルカンジイル、C
2−3アルカンジイルから選択され、ある一定の実施形態において、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,1−ジイルから選択される。式(b)および式(d)のある一定の実施形態において、各R
7は、エタン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,3−ジイルから選択される。
【0154】
式(b)、式(c)、式(d)および式(e)のある一定の実施形態において、各R
8は、水素、メチル、エチル、イソプロピルおよびn−プロピルから選択される。
【0155】
式(e)のある一定の実施形態において、各R
9は、C
2−6アルカンジイル、C
6−12アレーンジイル、置換C
6−12アレーンジイル、C
3−12シクロアルカンジイル、置換C
3−12シクロアルカンジイル、C
7−18アルカンアレーンジイル、置換C
7−18アルカンアレーンジイル、C
4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C
4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択される。式(e)のある一定の実施形態において、各R
9は同じであり、メタン−ジイル、エタン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,2−ジイルから選択される。式(e)のある一定の実施形態において、各R
9は、C
2−5アルカンジイル、C
2−4アルカンジイル、C
2−3アルカンジイルであり、ある一定の実施形態において、エタン−1,2−ジイルである。
【0156】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
5は、式(f)および式(g)のシリルが末端にある基:
【0157】
【化30】
(式中、各R
6は、エチレン性不飽和モノイソシア
ネート由来であり;各R
10は、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、C
5−6シクロアルキル、C
6−12シクロアルキルアルキル、フェニルおよびC
7−12フェニルアルキルから独立に選択され;少なくとも1個のR
10が、C
1−6アルコキシであり;各R
11は、C
1−6アルカンジイルである)から選択される。
【0158】
式(g)のある一定の実施形態において、各R
11は、メタン−ジイル、エタン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,2−ジイルから選択される。式(f)および式(g)のある一定の実施形態において、各R
10は同じであり、メトキシ、エトキシおよびプロポキシから選択される。式(f)および式(g)のある一定の実施形態において、シリル末端基は、トリアルコキシシランであり、ある一定の実施形態において、ジアルコキシシランであり、ある一定の実施形態において、モノアルコキシシランである。
【0159】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
5は、式(h)、式(i)、式(j)、式(k)、式(l)および式(m)のアミンが末端にある基:
【0160】
【化31】
(式中、各R
6は、ジイソシア
ネート由来の基およびエチレン性不飽和モノイソシア
ネート由来の基から選択され;各R
7は、結合およびC
2−6アルカンジイルから選択され;各R
9は、C
2−6アルカンジイル、C
2−6ヘテロアルカンジイル、C
6−12アレーンジイル、置換C
6−12アレーンジイル、C
6−12ヘテロアレーンジイル、置換C
6−12ヘテロアレーンジイル、C
3−12シクロアルカンジイル、置換C
3−12シクロアルカンジイル、C
3−12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C
3−12ヘテロシクロアルカンジイル、C
7−18アルカンアレーンジイル、置換C
7−18ヘテロアルカンアレーンジイル、C
4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C
4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択され;各R
12は、水素、C
1−6アルキル、C
6−12アリール、置換C
6−12アリール、C
3−12シクロアルキル、置換C
3−12シクロアルキル、C
7−18アリールアルキル、置換C
7−18アリールアルキル、C
4−18アルキルシクロアルキルおよび置換C
4−18アルキルシクロアルキルから選択される)から選択される。
【0161】
式(h)のある一定の実施形態において、各R
6は、ジイソシア
ネート由来の基であり、ある一定の実施形態においてこの基は、TDI、ISONATE
(商標)143L(ポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシア
ネート)、DESMODUR
(登録商標)N3400(1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン,1,3−ビス(6−イソシアナトヘキシル)−)、DESMODUR
(登録商標)(I)(イソホロンジイソシア
ネート、IPDI)またはDESMODUR
(登録商標)W(H
12MDI)由来である。
【0162】
式(h)のある一定の実施形態において、各R
6は、エチレン性不飽和モノイソシア
ネート由来の基であり、ある一定の実施形態において、2−イソシアナトエチルメタクリ
レートから選択される。
【0163】
式(j)、式(k)、式(l)および式(m)のある一定の実施形態において、各R
7は、C
2−4アルカンジイル、C
2−3アルカンジイルから選択され、ある一定の実施形態において、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,1−ジイルから選択される。式(j)、式(k)、式(l)および式(m)のある一定の実施形態において、各R
7は、エタン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,3−ジイルから選択される。
【0164】
式(k)および式(l)のある一定の実施形態において、各R
9は、C
2−6アルカンジイル、C
6−12アレーンジイル、置換C
6−12アレーンジイル、C
3−12シクロアルカンジイル、置換C
3−12シクロアルカンジイル、C
7−18アルカンアレーンジイル、置換C
7−18アルカンアレーンジイル、C
4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C
4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択される。
【0165】
式(h)、式(i)、式(j)、式(k)、式(l)および式(m)のある一定の実施形態において、各R
12は、C
1−6アルキル、フェニルおよびアミノ置換フェニルから選択される。式(h)、式(i)、式(j)、式(k)、式(l)および式(m)のある一定の実施形態において、各R
12は、フェニル、メチル、エチル、プロピル、メチル−フェニル、エチル−フェニル、プロピル−フェニル、ベンジル、フェネチル、−(CH
2)−アニリンおよびアミノフェニルから選択される。
【0166】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
5は、式(n)のエポキシが末端にある基:
【0167】
【化32】
(式中、各R
11は、独立にC
1−6アルカンジイルである)から選択される。
【0168】
式(n)のある一定の実施形態において、各R
11は、メタンジイル、エタン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,3−ジイルから選択される。ある一定の実施形態において、各R
11は同じであり、メタンジイル、エタン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,3−ジイルから選択される。
【0169】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
5は、式(o)、式(p)、式(q)、式(r)、式(s)、式(t)、式(u)および式(v)のチオールが末端にある基:
【0170】
【化33】
(式中、各R
6は、ジイソシア
ネート由来部分およびエチレン性不飽和モノイソシア
ネート由来部分から選択され;各R
7は、C
2−14アルカンジイルおよびC
2−14ヘテロアルカンジイルから選択され;各R
9は、C
2−6アルカンジイル、C
2−6ヘテロアルカンジイル、C
6−12アレーンジイル、置換C
6−12アレーンジイル、C
6−12ヘテロアレーンジイル、置換C
6−12ヘテロアレーンジイル、C
3−12シクロアルカンジイル、置換C
3−12シクロアルカンジイル、C
3−12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C
3−12ヘテロシクロアルカンジイル、C
7−18アルカンアレーンジイル、置換C
7−18ヘテロアルカンアレーンジイル、C
4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C
4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択される)から選択される。
【0171】
式(o)のある一定の実施形態において、各R
6は、ジイソシア
ネート由来の基であり、ある一定の実施形態においてこの基は、TDI、ISONATE
(商標)143L(ポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシア
ネート)、DESMODUR
(登録商標)N3400(1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン,1,3−ビス(6−イソシアナトヘキシル)−)、DESMODUR
(登録商標)I(イソホロンジイソシア
ネート、IPDI)またはDESMODUR
(登録商標)W(H
12MDI)由来である。
【0172】
式(o)のある一定の実施形態において、各R
6は、エチレン性不飽和モノイソシア
ネート由来の基であり、ある一定の実施形態において、2−イソシアナトエチルメタクリ
レートである。
【0173】
式(o)、式(p)、式(q)式(s)、式(t)、式(u)および式(v)のある一定の実施形態において、各R
7は、C
2−6アルカンジイルから選択される。式(o)、式(p)、式(q)、式(s)、式(t)、式(u)および式(v)のある一定の実施形態において、各R
7は、−CH
2−S−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−、−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−および−(CH
2)
2−S−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−から選択される。
【0174】
式(t)および式(u)のある一定の実施形態において、各R
9は、C
2−6アルカンジイル、C
6−12アレーンジイル、置換C
6−12アレーンジイル、C
3−12シクロアルカンジイル、置換C
3−12シクロアルカンジイル、C
7−18アルカンアレーンジイル、置換C
7−18アルカンアレーンジイル、C
4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C
4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択される。
【0175】
式(II)の硫黄含有ポリマーのある一定の実施形態において、各R
5は、式(w)および式(x)のイソシア
ネートが末端にある基:
【0176】
【化34】
(式中、各R
9は、C
2−6アルカンジイル、C
2−6ヘテロアルカンジイル、C
6−12アレーンジイル、置換C
6−12アレーンジイル、C
6−12ヘテロアレーンジイル、置換C
6−12ヘテロアレーンジイル、C
3−12シクロアルカンジイル、置換C
3−12シクロアルカンジイル、C
3−12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C
3−12ヘテロシクロアルカンジイル、C
7−18アルカンアレーンジイル、置換C
7−18ヘテロアルカンアレーンジイル、C
4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C
4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択され、各R
12は、ジイソシア
ネート由来の基である)から選択される。
【0177】
式(w)のある一定の実施形態において、各R
9は、C
2−6アルカンジイル、C
6−12アレーンジイル、置換C
6−12アレーンジイル、C
3−12シクロアルカンジイル、置換C
3−12シクロアルカンジイル、C
7−18アルカンアレーンジイル、置換C
7−18アルカンアレーンジイル、C
4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C
4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択される。
【0178】
式(x)のある一定の実施形態において、各R
12は、ジイソシア
ネート由来の基であり、ある一定の実施形態において、TDI、ISONATE
(商標)143L(ポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシア
ネート)、DESMODUR
(登録商標)N3400(1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン,1,3−ビス(6−イソシアナトヘキシル)−)、DESMODUR
(登録商標)I(イソホロンジイソシア
ネート、IPDI)またはDESMODUR
(登録商標)W(H
12MDI)由来である。
【0179】
硫黄含有ポリマーの合成
本明細書中の実施例に記載のものを含め、当業者にとって公知の多くの方法によって、本開示により提供される多官能性硫黄含有ポリマーおよびその前駆体を調製し得る。例えば、式(I)の多官能性硫黄含有ポリマーを得るために、AMBERLYST
(商標)15などのスルホン酸の存在下で、硫黄含有ジオール、ポリオール1分子あたり少なくとも3個のヒドロキシル基を含有するポリオールおよびアルデヒドを有機溶媒中で反応させて、対応する式(I)の多官能性硫黄含有ポリマーを提供し得る。
【0180】
末端修飾多官能性硫黄含有ポリマー誘導体の合成
本明細書中の実施例に記載のものを含め、当業者にとって公知の多くの方法によって、本開示により提供される末端修飾多官能性硫黄含有ポリマーおよびその前駆体を調製し得る。例えば式(II)の末端修飾多官能性硫黄含有ポリマーを得るために、適切な末端基および式(I)のポリマーの末端ヒドロキシル基と反応性がある基を有する化合物と、式(I)の多官能性硫黄含有ポリマーを反応させ得る。
【0181】
例えば、式(II)のビニルが末端にある硫黄含有ポリマーを得るために、ジラウリン酸ジブチルスズおよび塩化ベンジルの存在下で76℃にて、末端ビニル基およびイソシア
ネート基を含有する化合物、例えばエチレン性不飽和モノイソシア
ネート、例えばTMI、2−イソシアナトエチルまたはアリルイソシア
ネートなど、と式(I)の硫黄含有ポリマーを反応させ得る。さらなる例として、トルエンなどの有機溶媒中、AMBERLYST
(商標)15などのスルホン酸(例えば4.7meq/g H
+)の存在下で、アルカン−オール、例えば3−ブテン−1−オールなどおよびアルデヒド、例えばホルムアルデヒドなどと、式(I)の硫黄含有ポリマーを反応させて、ビニルが末端にある式(II)の硫黄含有ポリマーを提供し得る。
【0182】
例えば、76℃の温度でジラウリン酸ジブチルスズの存在下で、イソシアナトアルキルトリアルコキシシラン、例えば3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランまたは3−イソシアナトプロピルエトキシシランなどと式(I)の硫黄含有ポリマーを反応させて、対応するシリルが末端にある式(II)の硫黄含有ポリマーを提供することによって、シリルが末端にある式(II)の硫黄含有ポリマーを調製し得る。
【0183】
例えば、エピクロロヒドリンなどのモノエポキシド存在下で式(I)の硫黄含有ポリマーを反応させて、対応するエポキシが末端にある式(II)の硫黄含有ポリマーを提供することによって、エポキシが末端にある式(II)の硫黄含有ポリマーを調製し得る。
【0184】
例えば、有機溶媒中で、場合によっては1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)などの触媒存在下で、アニリン、アミノ置換アニリン、例えば4−(アミノメチル)アニリンなど、またはアルキルアミン、例えばn−ブチルアミンなどとビニルが末端にある硫黄含有ポリマー式(II))を反応させて、対応する式(III)のアミンが末端にある硫黄含有ポリマーを提供することによって、式(III)のアミンが末端にある硫黄含有ポリマーを調製し得る。あるいは、ジアミン、例えば4−(アミノメチル)アニリンなどとイソシア
ネートが末端にある式(II)の硫黄含有ポリマーを反応させて、対応する式(III)のアミンが末端にある硫黄含有ポリマーを提供することによって、式(III)のアミンが末端にある硫黄含有ポリマーが得られ得る。式(III)のアミンが末端にある硫黄含有ポリマーはまた、高温にてBu
2SnOまたはNaOMeの存在下でアミノ置換ベンゾ
エート、例えばエチル−4−アミノベンゾ
エートなどと式(I)の硫黄含有ポリマーを反応させて、対応する式(III)のアミンが末端にある硫黄含有ポリマーを提供することによっても得られ得る。式(III)のアミンが末端にある硫黄含有ポリマーはまた、有機溶媒中で高温にてアミン含有化合物、例えばアニリンなどと式(III)の硫黄含有ポリマーのトシル−エステルを反応させて、対応する式(III)のアミンが末端にある硫黄含有ポリマーを提供することによっても調製され得る。
【0185】
ジチオール、例えばDMDOなどと、本明細書中で開示されるような式(IV)のビニルが末端にある硫黄含有ポリマー、例えば2−イソシアナトエチルメタクリ
レート付加物またはアリルイソシア
ネート付加物などを反応させることによって、式(IV)のチオールが末端にある硫黄含有ポリマーを調製し得る。式(IV)のチオールが末端にある硫黄含有ポリマーはまた、水中、MeN(Bu)
3+Cl
−存在下で式(I)の硫黄含有ポリマーのトシル−エステルをNaSHと反応させて、対応する式(IV)のチオールが末端にある硫黄含有ポリマーを提供することによっても調製し得る。あるいは、MeN(Bu)
3+Cl
−の存在下で式(I)の硫黄含有ポリマーのトシル−エステルをチオ尿素と水中で反応させて、チオ尿素付加物のトシ
レート塩を提供し得、次いでこれを高温にて塩基存在下で反応させて、対応する式(IV)のチオールが末端にある硫黄含有ポリマーを提供し得る。あるいは、式(IV)のチオールが末端にある硫黄含有ポリマーを得るために、75℃から80℃でジラウリン酸ジブチルスズの存在下で、式(I)の硫黄含有ポリマーを最初にTDIなどのジイソシア
ネートと反応させ、式(IV)の対応するイソシア
ネートが末端にある硫黄含有ポリマーを提供し得る。次いで、メルカプトアルカノール、例えば2−メルカプトエタノールまたは3−メルカプトプロパノールなどと式(IV)のイソシア
ネートが末端にある硫黄含有ポリマーを反応させて、対応する式(IV)のチオールが末端にある硫黄含有ポリマーを提供し得る。
【0186】
例えば、70℃から80℃の温度で、場合によってはジラウリン酸ジブチルスズなどの触媒存在下で、ジイソシア
ネート、例えばTDI、ISONATE
(商標)143L(ポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシア
ネート)、DESMODUR
(登録商標)N3400(1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン,1,3−ビス(6−イソシアナトヘキシル)−)、DESMODUR
(登録商標)I(イソホロンジイソシア
ネート、IPDI)またはDESMODUR
(登録商標)W(H
12MDI)などと式(I)の硫黄含有ポリマーを反応させることによって、イソシア
ネートが末端にある式(II)の硫黄含有ポリマーを調製し得る。イソシア
ネートが末端にある硫黄含有ポリマーは、他の末端修飾硫黄含有ポリマー、例えば本開示により提供されるある一定のアミンが末端にある、およびチオールが末端にある硫黄含有ポリマーなどの合成において、中間体として使用され得る。
【0187】
末端修飾多官能性硫黄含有ポリマーの特性
ある一定の実施形態において、本開示により提供される末端修飾多官能性硫黄含有ポリマーは室温で液体である。さらに、ある一定の実施形態において、硫黄含有ポリマーの粘度は、Brookfield CAP2000粘度計を用いてASTM D−2849§79−90に従い測定して、温度25℃、圧力760mmHgにて、100%固体で500ポイズ以下、例えば10から300ポイズなどであり、一部の場合において、100から200ポイズである。ある一定の実施形態において、本開示により提供される硫黄含有ポリマーのT
g(ガラス転移温度)は−40℃以下であり、ある一定の実施形態において−50℃以下である。
【0188】
用途
本開示により提供される多官能性硫黄含有ポリマーは、1以上の本開示により提供される硫黄含有ポリマーを含むシーラント、コーティングおよび/または電気ポッティング(electrical potting)組成物などの組成物中で使用され得る。シーラント組成物とは、湿気および温度などの運用条件に耐え、水、燃料および他の液体および気体などの物質の透過を少なくとも一部、阻止することができるフィルムを生成することが可能な組成物を指す。ある一定の実施形態において、本開示により提供されるシーラント組成物は、例えば、航空宇宙用のシーラントとして、および燃料タンクに対するライニングとして有用である。
【0189】
ある一定の実施形態において、組成物は、ヒドロキシルが末端にある式(I)の硫黄含有ポリマーまたは、(a)硫黄含有ジオールと(b)ポリオール1分子あたり少なくとも3個のヒドロキシル基を含有するポリオールと(c)アルデヒド、ケトンおよびそれらの組み合わせから選択される反応物質との反応により生成される硫黄含有ポリマーと;ヒドロキシル基と反応性がある基を有する化合物と;硬化剤と、を含む。ある一定の実施形態において、ヒドロキシル基と反応性がある基は、イソシア
ネート、アルコールおよびチオールから選択される。
【0190】
ある一定の実施形態において、組成物は、式(II)の末端修飾硫黄含有ポリマーまたは本明細書中で開示される反応の何れか1つの反応生成物である末端修飾硫黄含有ポリマーと、この末端修飾硫黄含有ポリマーと反応性がある少なくとも1つの硬化剤と、を含む。
【0191】
ある一定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、式(II)の硫黄含有ポリマーまたは本明細書中で開示されるような反応の反応生成物に加えて、1以上のさらなる硫黄含有ポリマーを含む。硫黄含有ポリマーは、ポリマー性チオール、ポリチオール、チオエーテル、硫黄含有ポリマー、ポリホルマールおよびポリスルフィドを含め、繰り返し単位中に少なくとも1個の硫黄原子を有する何らかのポリマーであり得る。「チオール」は、例えばチオグリセロールの場合と同様に、本明細書中で使用される場合、唯一の官能基としてか、またはヒドロキシル基などの他の官能基と組み合わせるかの何れかで、チオールまたはメルカプタン基、すなわち−SH基を含む化合物を指す。ポリチオールは、ジチオールまたはより高級の官能基ポリチオールなど、複数の−SH基を有するこのような化合物を指す。このようなチオール基は通常、末端および/またはペンダントであり、それらが、他の官能基と反応性がある活性水素を有するようになっている。本明細書中で使用される場合、「ポリスルフィド」という用語は、硫黄−硫黄結合(−S−S−)を含む何らかの化合物を指す。ポリチオールは、末端および/またはペンダント硫黄(−SH)ならびに非反応性硫黄原子(−S−または−S−S−)の両方を含み得る。従って、ポリチオールという用語は、一般に、硫黄含有ポリマーおよびポリスルフィドを包含する。本開示により提供される組成物で有用なさらなる硫黄含有ポリマーの例としては、例えば米国特許第6,172,179号、同第6,509,418号および同第7,009,032号で開示されるものが挙げられる。
【0192】
ある一定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、構造:
−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−[−R
2−O−]
t−(CH
2)
2−S−R
1−]
u−
(式中、R
1は、C
2−6アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10シクロアルキルアルカンジイル、−[(−CH
2−)
s−X−]
q−(−CH
2−)
r−および−[(−CH
2−)
s−X−]
q−(−CH
2−)
r−(式中、少なくとも1個の−CH
2−単位がメチル基で置換される)から選択され;R
2は、C
2−6アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10シクロアルキルアルカンジイルおよび−[(−CH
2−)
s−X−]
q−(−CH
2−)
r−から選択され;Xは、O、Sおよび−NR−(式中、Rは、水素およびメチルから選択される)から選択され;tは、0から10の整数から選択され;uは、1から60の整数から選択され;sは、2から6の整数から選択され;qは、1から5から選択される整数であり、rは、2から10から選択される整数である)を有するポリチオエーテルを含む。このようなポリチオエーテルは、その全体において参照により組み込まれる米国特許第6,172,179号に記載されている。1以上のさらなる硫黄含有ポリマーは、例えば3から6個の末端基を有する、二官能性または多官能性、またはそれらの混合物であり得る。
【0193】
ある一定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、10wt%から90wt%の本開示により提供される硫黄含有ポリマー、20wt%から80wt%、30wt%から70wt%、ある一定の実施形態においては40wt%から60wt%の本開示により提供される硫黄含有ポリマーを含む(wt%は組成物の全不揮発性成分の総重量(すなわち乾燥重量)に対するものである)。ある一定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、10wt%から90wt%の本開示により提供される硫黄含有ポリマー、20wt%から90wt%、30wt%から90wt%、40wt%から90wt%、50wt%から90wt%、60wt%から90wt%、70wt%から90wt%、ある一定の実施形態においては80wt%から90wt%の本開示により提供される硫黄含有ポリマーを含む(wt%は組成物の全不揮発性成分の総重量(すなわち乾燥重量)に対するものである)。
【0194】
本開示により提供される組成物中で適切な硬化剤としては、式(II)の硫黄含有ポリマーの末端基と反応性があるかまたは本明細書中で開示される反応により提供されるような化合物、例えば、ヒドロキシル基、ビニル基、エポキシ基、チオール基、アミン基またはイソシア
ネート基と反応性がある化合物など、が挙げられる。
【0195】
ヒドロキシル基と反応性がある適切な硬化剤の例としては、ジイソシア
ネートおよびポリイソシア
ネートが挙げられ、これらの例は本明細書中で開示される。
【0196】
ビニル基と反応性がある適切な硬化剤の例としては、ジチオールおよびポリチオールが挙げられ、これらの例は本明細書中で開示される。
【0197】
本開示により提供されるシリルが末端にある硫黄含有ポリマーは、水の存在下で加水分解し、縮合を介して自己重合を誘導する。シリルが末端にある硫黄含有ポリマーに対する硬化剤は大気水分であり得るので、シリルが末端にある硫黄含有ポリマーを含有する硬化性組成物に対して硬化剤を含める必要がないことが理解できる。従って、シリルが末端にある硫黄含有ポリマーおよびシリル基に対する硬化剤を含む組成物は、大気水分に注意する。シリルが末端にある硫黄含有ポリマーを含む組成物は、触媒をさらに含み得る。シリルが末端にある硫黄含有ポリマーとの使用のための触媒としては、有機チタン化合物、例えばテトライソプロポキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ジ(イソプロポキシ)ビス(エチルアセトアセテート)チタンおよびジ(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトアセテート)チタン;有機スズ化合物、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズビスアセチルアセトアセテートおよびオクチル酸スズ;ジカルボン酸金属塩、例えばジオクチル酸鉛など;有機ジルコニウム化合物、例えばジルコニウムテトラアセチルアセト
ネートなど;および有機アルミニウム化合物、例えばアルミニウムトリアセチルアセト
ネートなどが挙げられる。具体例としては、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセト
ネート)チタン、ジイソプロポキシビス(アセチルアセト
ネート)チタンおよびジブトキシビス(メチルアセトアセト
ネート)チタンが挙げられる。
【0198】
エポキシ基と反応性がある適切な硬化剤の例としては、アミン、例えばジエチレントリアミン(DTA)、トリエチレンテトラミン(TTA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ジプロペンジアミン(DPDA)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、N−アミノエチルピペラジン(N−AEP)、イソホロンジアミン(IPDA)、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)およびジアミノジフェニルスルホン(DDS);芳香族アミン;ケトイミン;ポリアミン;ポリアミド;フェノール樹脂;無水物、例えば無水フタル酸、無水トリメット酸、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリット酸、グリセロールトリストリメリット酸、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物など;ポリメルカプタン;ポリスルフィド;紫外線硬化剤、例えばジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート;および当業者にとって公知のその他の硬化剤が挙げられる。
【0199】
チオール基と反応性がある適切な硬化剤の例としてはジエポキシドが挙げられる。
【0200】
アミン基と反応性がある適切な硬化剤の例としては、イソシア
ネート、ジイソシア
ネートおよびポリマー性ポリイソシア
ネートが挙げられ、この非限定例としては、ウレタン結合(−NH−C(O)−O−)、チオウレタン結合(−NH−C(O)−S−)、チオカルバマート結合(−NH−C(S)−O−)、ジチオウレタン結合(−NH−C(S)−S−)および前述のものの何れかの組み合わせから選択される骨格結合を有するポリイソシア
ネートが挙げられる。
【0201】
イソシア
ネート基と反応性がある適切な硬化剤の例としては、本明細書中で開示されるものを含め、ジアミン、ポリアミン、ポリチオールおよびポリオールが挙げられる。
【0202】
本開示により提供される組成物は、化学量論量の90%から150%、95%から125%を含有し得、ある一定の実施形態において、化学量論量の95%から105%を含有し得、この化学量論量は、イソシア
ネート基と反応性がある基の数に対する反応性イソシア
ネート基の数の比率である。例えば、反応前に同数のイソシア
ネート基およびアミン基を含有する組成物は、イソシア
ネート基およびアミン基の化学量論量を有する。
【0203】
本開示により提供される組成物は、1以上の異なるタイプの充填剤を含有し得る。適切な充填剤としては、無機充填剤、例えばカーボンブラックおよび炭酸カルシウム(CaCO
3)など、および軽量充填剤を含め、当技術分野で一般的に公知であるものが挙げられる。適切な軽量充填剤としては、例えば米国特許第6,525,168号に記載のものが挙げられる。ある一定の実施形態において、組成物は、組成物の総乾燥重量に対して、5wt%から60wt%の充填剤または充填剤の組み合わせ、10wt%から50wt%、ある一定の実施形態において20wt%から40wt%の充填剤または充填剤の組み合わせを含む。
【0204】
理解され得るとおり、組成物中で使用される硫黄含有ポリマー、硬化剤および充填剤ならびに何らかの添加剤は、互いに相溶性となるように選択され得る。
【0205】
本開示により提供される組成物は、1以上の着色剤、揺変剤(thixotropic
agent)、硬化促進剤、硬化遅延剤、接着促進剤、溶媒、マスキング剤または前述のものの何れかの組み合わせを含み得る。
【0206】
本明細書中で使用される場合、「着色剤」という用語は、組成物に色彩および/またはその他の不透明性および/またはその他の視覚効果を付与する何らかの物質を意味する。着色剤は、離散粒子、分散物、溶液および/またはフレークなどの、何らかの適切な形態のものであり得る。単一の着色剤、または2種類以上の着色剤の混合物を組成物中で使用し得る。
【0207】
着色剤の例としては、顔料、染料および色付け剤(tint)、例えば、塗料工業で使用される、および/またはDry Color Manufacturers Association(DCMA)で列挙されるものならびに特殊効果組成物が挙げられる。着色剤は、例えば、不溶性であるが使用条件下で湿潤性である微粉化固形粉末を含み得る。着色剤は、有機性または無機性であり得、凝集性であり得るかまたは非凝集性であり得る。着色剤は、アクリル粉砕ビヒクルなどの粉砕ビヒクル(grind vehicle)の使用によって、組成物に組み込まれ得る。
【0208】
顔料および/または顔料組成物の例としては、カルバゾールジオキサジン粗製顔料、アゾ、モノアゾ、ジアゾ、ナフトールAS、塩タイプ(フレーク)、ベンゾイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインディゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アントアントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、二酸化チタン、カーボンブラックおよび前述のものの何れかの組み合わせが挙げられる。
【0209】
染料の例としては、溶剤型および/または水性のもの、例えばフタログリーンまたはブルー、酸化鉄、バナジウム酸ビスマス、アントラキノン、ペリレンおよびキナクリドンなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0210】
色付け剤(tint)の例としては、Degussa Inc.から市販されているAQUA−CHEM896、Eastman Chemical Inc.のAccurate Dispersions divisionから市販されているCHARISMA
COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTSなどの、水性または水混和性の担体中で分散された顔料が挙げられる。
【0211】
上述のように、着色剤は、例えばナノ粒子分散物を含む、分散物の形態であり得る。ナノ粒子分散物は、所望の可視色および/または不透明性および/または視覚効果を生じる、1以上の高分散ナノ粒子着色剤および/または着色剤粒子を含み得る。ナノ粒子分散物は、150nm未満、例えば70nm未満または30nm未満などの粒径を有する顔料または染料などの着色剤を含み得る。ナノ粒子は、0.5mm未満の粒径を有する粉砕媒体を用いてストックの有機または無機顔料を粉砕することにより作製され得る。ナノ粒子分散物およびそれらの作製方法の例は、米国特許第6,875,800号で開示される。ナノ粒子分散物は、結晶化、沈殿、気相凝縮および/または化学的摩耗(すなわち部分溶解)によっても作製され得る。コーティング中のナノ粒子の再凝集を最小限に抑えるために、樹脂コーティングされたナノ粒子の分散物が使用され得る。本明細書中で使用される場合、「樹脂コーティングされたナノ粒子の分散物」は、ナノ粒子およびこのナノ粒子上の樹脂コーティングを含む、分散された目立たない「複合微粒子」が分散されている連続相を指す。樹脂コーティングされたナノ粒子を含有する分散物の例およびそれらを作製するための方法は、米国特許第7438,972号で開示される。
【0212】
本開示により提供される組成物中で使用され得る特殊効果組成物の例としては、反射、真珠光沢、金属光沢、リン光、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、ゴニオクロミズム(goniochromism)および/または色彩変化などの1以上の外観に対する効果を生じる、顔料および/または組成物が挙げられる。さらなる特殊効果組成物は、不透明性または質感などのその他の知覚可能な特性を与え得る。ある一定の実施形態において、特殊効果組成物は、コーティングが異なる角度で見られた場合に組成物の色が変化するような、色のシフトを生じさせ得る。色彩効果組成物の例は、米国特許第6,894,086号で開示される。さらなる色彩効果組成物としては、透明コーティングされた雲母および/または合成雲母、コーティングされたシリカ、コーティングされたアルミナ、透明液晶顔料、液晶コーティングおよび/または、物質の表面と空気との間の屈折率の差によるのではなく、物質内の屈折率の差により干渉が生じる何らかの組成物が挙げられ得る。
【0213】
一般に、着色剤は、組成物の総乾燥重量に対する重量%で、組成物の1wt%から65wt%、2wt%から50wt%、例えば3wt%から40wt%または5wt%から35wt%などを構成し得る。
【0214】
チキソトロープ剤(thixotrope)、例えばシリカは、組成物の総乾燥重量に対して0.1wt%から5wt%の量で使用され得る。
【0215】
アミンなどの当技術分野で公知の硬化触媒は、組成物の総重量に対して0.1から5重量%の量で存在し得る。適切な触媒の例としては、1,4−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO
(登録商標)、Air Products,Chemical
Additives Divisionより市販)およびDMP−30
(登録商標)(2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを含む硬化促進組成物)が挙げられる。
【0216】
硬化遅延剤、例えばステアリン酸などは、組成物の総乾燥重量に対して、組成物の0.1wt%から5wt%の量で使用され得る。接着促進剤は、組成物の総乾燥重量に対して、組成物の0.1wt%から15wt%の量で存在し得る。接着促進剤の例としては、フェノール樹脂(phenolics)、例えばOccidental Chemicalsから入手可能なMETHYLONフェノール樹脂などおよび有機シラン、例えばエポキシ、メルカプトまたはアミノ官能性シランなど、例えばMomentive Performance Materialsから入手可能なSILQUEST
(登録商標)A−187およびSILQUEST
(登録商標)A−1100などが挙げられる。マツ香料または他の芳香などのマスキング剤は、組成物の何らかの低レベルの臭いを隠すことにおいて有用であり得、組成物の総乾燥重量に対して、0.1wt%から1wt%の量で存在し得る。
【0217】
ある一定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、航空宇宙用シーラントにおいて通常有用であるものよりもガラス遷移温度T
gが高い硫黄含有ポリマーの使用を促進し得る可塑剤を含み得る。例えば、可塑剤を使用することにより、組成物のT
gを効果的に低下させ、それによって、硫黄含有ポリマーのみの場合のT
gを基にして予想されるものよりも、硬化重合性組成物の低温可撓性を向上させ得る。本組成物のある一定の実施形態において適切な可塑剤としては、例えばフタ
レートエステル、塩素化パラフィンおよび水素化テルフェニルが挙げられる。可塑剤または可塑剤の組み合わせは、組成物の1wt%から40wt%または組成物の1wt%から10wt%を構成し得る。ある一定の実施形態において、組成物は、組成物の非乾燥重量に対して、例えば0wt%から15wt%、0wt%から10wt%または0wt%から5wt%の量で1以上の有機溶媒、例えばイソプロピルアルコールなどを含み得る。
【0218】
ある一定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、何らかの溶媒、例えば有機溶媒または水性溶媒、すなわち水などを実質的に含まないかまたは、一部の例では、完全に含まない。言い換えると、ある一定の実施形態において、本開示により提供される組成物は実質的に100%固体である。
【0219】
ある一定の実施形態において、シーラント組成物などの組成物はマルチパック組成物、例えば2パック組成物などとして提供され得、この場合、1個のパッケージは、1以上の本開示により提供される硫黄含有ポリマーを含み、第二のパッケージは、1以上の硫黄含有ポリマーのための1以上の硬化剤を含む。添加剤および/または他の材料が、所望または必要に応じてパッケージの何れかに添加され得る。この2個のパッケージは使用前に組み合わせられ得、混合され得る。ある一定の実施形態において、混合した硫黄含有ポリマーおよび硬化剤のポットライフは、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間であり、ある一定の実施形態において2時間を超える。ここで、ポットライフとは、その組成物が、混合後、シーラントとしての使用に引き続き適している時間を指す。
【0220】
本開示により提供される組成物は、様々な基材の何れかに対して適用され得る。組成物が適用され得る基材の例としては、陽極酸化され得るか、下塗りされ得るか、有機物質で被覆され得るかまたはクロメート被覆され得る、チタン、ステンレス鋼およびアルミニウム;エポキシ;ウレタン;グラファイト;ガラス繊維複合材料;KEVLAR
(登録商標);アクリル(acrylics);およびポリカーボネートが挙げられる。
【0221】
本開示により提供される組成物は、当業者にとって公知の何らかの適切な被覆プロセスによって、基材の表面上または下層全体に直接適用され得る。
【0222】
ある一定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、耐燃料油性である。本明細書中で使用される場合、「耐燃料油性」という用語は、基材に適用され、硬化させられた場合、ASTM D792(American Society for Testing and Materials)またはAMS 3269(Aerospace
Material Specification)に記載されるものと同様の方法に従い、ジェット基準液(Jet Reference Fluid)(JRF)タイプI中で140°F(60℃)および周囲圧力で1週間にわたり浸漬した後、%体積膨潤度が40%を超えない、一部の例では25%を超えない、一部の例では20%を超えない、また他の場合では10%を超えないシーラントなどの硬化生成物を組成物が提供し得ることを意味する。ジェット基準液(Jet Reference Fluid)JRFタイプIは、耐燃料油性の測定のために使用される場合、次の組成を有する(SAE(Society of Automotive Engineers)から入手可能なAMS 2629、1989年7月1日発行、§3.1.1など参照):トルエン:28±1体積%;シクロヘキサン(テクニカルグレード):34±1体積%;イソオクタン:38±1体積%;および三級ジブチルジスルフィド:1±0.005体積%。
【0223】
ある一定の実施形態において、組成物は、AMS3279、§3.3.17.1、試験手順AS5127/1、§7.7に記載の手順に従い測定した場合に、少なくとも400psiの引張強度および少なくとも100%の伸びを示す、硬化生成物、例えばシーラントなどを提供する。
【0224】
ある一定の実施形態において、組成物は、SAE AS5127/1 段落7.8に記載の手順に従い測定した場合に、200psiより大きいラップせん断強度および一部の例では少なくとも400psiのラップせん断強度を示す、硬化生成物、例えばシーラントなどを提供する。
【0225】
ある一定の実施形態において、本開示により提供される硫黄含有ポリマーを含む硬化シーラントは、AMS3277で規定されるような航空宇宙用シーラントに対する要件に合致するかまたはそれを上回る。
【0226】
さらに、本開示により提供される組成物を利用して開口部を密封するための方法が提供される。これらの方法は、例えば、開口部を密封するために本開示により提供される組成物を表面に適用することと、この組成物を硬化させることと、を含む。ある一定の実施形態において、周囲条件下で組成物が硬化され得るが、この場合、周囲条件とは、20℃から25℃の温度および大気湿度を指す。ある一定の実施形態において、0℃から100℃の温度および0%RHから100%RHの湿度を包含する条件下で組成物が硬化され得る。ある一定の実施形態において、組成物が、少なくとも30℃、少なくとも40℃などのより高い温度で、ある一定の実施形態において、少なくとも50℃で硬化され得る。ある一定の実施形態において、室温、例えば25℃で組成物が硬化され得る。ある一定の実施形態において、紫外線などの化学線への曝露のときに組成物が硬化され得る。同様に理解され得るとおり、本方法は、航空宇宙ビークルの開口部を密封するために使用され得る。
【実施例】
【0227】
ある種の硫黄含有ポリマーの、合成、特性および用途を記載する次の実施例を参照することによって、本開示により提供される実施形態をさらに説明する。当業者にとって当然のことながら、本開示の範囲から逸脱することなく、多くの変更が、材料および方法の両方に対して行われ得る。
【0228】
(実施例1)
三官能性硫黄含有ポリマーの合成
チオジグリコール(1,215.81g)、パラホルムアルデヒド(純度95%)(300.63g)AMBERLYST
(商標)15(212.80g、Dow Chemical Company)、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(13.14g、Aldrich)およびトルエン(500mL)を3リットルの4口丸底フラスコに入れた。加熱マントル、熱電対、温度制御装置ならびに、還流冷却器、滴下漏斗および窒素陽圧用のインレットを取り付けたディーン・スタークアダプターをフラスコに装備した。この時間中、回収した水をディーン・スタークアダプターから一定時間ごとに除去した。窒素下で撹拌を開始し、このバッチを120℃に加熱し、120℃で約10時間維持した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、フリット上に直径9.0cmのWhatman GF/Aろ紙を入れた粗フリット(coarse−fritted)ブフナー漏斗(容積600mL)を通して吸引ろ過した。フラスコおよびろ過ケーキを500mLトルエンで洗浄した。ろ液を得た。次に、2−L丸底フラスコを用いて真空下でろ液を揮散させた(ロータリーエバポレーター、5トル最終真空圧、90℃水浴)。黄色の粘性のあるポリマー(993.53g)を得た。得られたポリホルマールポリマーは、ヒドロキシル数が25.3であり、粘度が214ポイズであった。
【0229】
(実施例2)
三官能性硫黄含有ポリマーの合成
チオジグリコール(1.209.67g)、パラホルムアルデヒド(純度95%)(300.48g)、AMBERLYST
(商標)15(26.18g、Dow Chemical Company)、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(20.9g、Aldrich)およびトルエン(500mL)を3リットルの4口丸底フラスコに入れた。加熱マントル、熱電対、温度制御装置ならびに、還流冷却器、滴下漏斗および窒素陽圧用のインレットを取り付けたディーン・スタークアダプターをフラスコに装備した。この時間中、回収した水をディーン・スタークアダプターから一定時間ごとに除去した。窒素下で撹拌を開始し、このバッチを120℃に加熱し、120℃で約10時間維持した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、フリット上に直径9.0cmのWhatman GF/Aろ紙を入れた粗フリット(coarse−fritted)ブフナー漏斗(容積600mL)を通して吸引ろ過した。フラスコおよびろ過ケーキを500mLトルエンで洗浄した。ろ液を得た。次に、2−L丸底フラスコを用いて真空下でろ液を揮散させた(ロータリーエバポレーター、5トル最終真空圧、90℃水浴)。黄色の粘性のあるポリマー(953.33g)を得た。得られたポリホルマールポリマーは、ヒドロキシル数が22.8であり、粘度が377ポイズであった。
【0230】
(実施例3)
三官能性硫黄含有ポリマーの合成
チオジグリコール(1,197.45g)、パラホルムアルデヒド(純度95%)(300.83g)、AMBERLYST
(商標)15(213.06g、Dow Chemical Company)、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(52.58g、Aldrich)およびトルエン(500mL)を3リットルの4口丸底フラスコに入れた。加熱マントル、熱電対、温度制御装置ならびに、還流冷却器、滴下漏斗および窒素陽圧用のインレットを取り付けたディーン・スタークアダプターをフラスコに装備した。この時間中、回収した水をディーン・スタークアダプターから一定時間ごとに除去した。窒素下で撹拌を開始し、このバッチを120℃に加熱し、120℃で約10時間維持した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、フリット上に直径9.0cmのWhatman GF/Aろ紙を入れた粗フリット(coarse−fritted)ブフナー漏斗(容積600mL)を通して吸引ろ過した。フラスコおよびろ過ケーキを500mLトルエンで洗浄した。ろ液を得た。次に、2−L丸底フラスコを用いて真空下でろ液を揮散させた(ロータリーエバポレーター、5トル最終真空圧、90℃水浴)。黄色の粘性のあるポリマー(1,039.64g)を得た。得られたポリホルマールポリマーは、ヒドロキシル数が23.2であり、粘度が942ポイズであった。
【0231】
(実施例4)
アクリ
レートが末端にある硫黄含有ポリマー
実施例1の硫黄含有ポリマー(222.40g)を500mLの4口丸底フラスコに入れた。マントル、熱電対、温度制御装置、窒素陽圧用のインレットおよび機械式スターラー(PTFEパドルおよび軸受)をフラスコに取り付けた。およそ200rpmでポリマーを撹拌し、76.6℃(170°F)に加熱し、続いてイソシアナトエチルメタクリ
レート(15.68g)およびメチルエチルケトン中に溶解させたジラウリン酸ジブチルスズの0.05%溶液(2.51g)を添加した。反応混合物を76.6℃で5時間維持し、次いで室温まで冷却した。得られたアクリ
レートが末端にあるポリマー(222.08g)の粘度は299ポイズであった。
【0232】
(実施例5)
アクリ
レートが末端にある硫黄含有ポリマー
実施例2の硫黄含有ポリマー(247.26g)を500mLの4口丸底フラスコに入れた。マントル、熱電対、温度制御装置、窒素陽圧用のインレットおよび機械式スターラー(PTFEパドルおよび軸受)をフラスコに取り付けた。およそ200rpmでポリマーを撹拌し、76.6℃(170°F)に加熱し、続いてイソシアナトエチルメタクリ
レート(15.61g)およびメチルエチルケトン中に溶解させたジラウリン酸ジブチルスズの0.05%溶液(2.66g)を添加した。反応混合物を76.6℃で5時間維持し、次いで室温まで冷却した。得られたアクリ
レートが末端にあるポリマー(242.14g)の粘度は439ポイズであった。
【0233】
(実施例6)
アクリ
レートが末端にある硫黄含有ポリマー
実施例3の硫黄含有ポリマー(243.71g)を500mLの4口丸底フラスコに入れた。マントル、熱電対、温度制御装置、窒素陽圧用のインレットおよび機械式スターラー(PTFEパドルおよび軸受)をフラスコに取り付けた。およそ200rpmでポリマーを撹拌し、76.6℃(170°F)に加熱し、続いてイソシアナトエチルメタクリ
レート(15.58g)およびメチルエチルケトン中に溶解させたジラウリン酸ジブチルスズの0.05%溶液(2.74g)を添加した。反応混合物を76.6℃で5時間維持し、次いで室温まで冷却した。得られたアクリ
レートが末端にあるポリマー(226.09g)の粘度は1,026ポイズであった。
【0234】
(実施例7)
TMIが末端にある硫黄含有ポリマー
実施例1での硫黄含有ポリマー(222.6g)を500mLの4口丸底フラスコに入れた。マントル、熱電対、温度制御装置、窒素陽圧用のインレットおよび機械式スターラー(PTFEパドルおよび軸受)をフラスコに取り付けた。およそ200rpmでポリマーを撹拌し、76.6℃(170°F)に加熱し、次いで3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシア
ネート(TMI)(20.25g、Cytec Industries)およびメチルエチルケトン中に溶解させたジラウリン酸ジブチルスズの0.05%溶液(2.47g)を添加した。反応混合物を76.6℃で6時間維持し、次いで室温まで冷却した。得られたTMIが末端にあるポリマー(217.32g)の粘度は378ポイズであった。
【0235】
(実施例8)
TMIが末端にある硫黄含有ポリマー
実施例3での硫黄含有ポリマー(243.70g)を500mLの4口丸底フラスコに入れた。マントル、熱電対、温度制御装置、窒素陽圧用のインレットおよび機械式スターラー(PTFEパドルおよび軸受)をフラスコに取り付けた。およそ200rpmでポリマーを撹拌し、76.6℃(170°F)に加熱し、次いで3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシア
ネート(20.18g、Cytec Industries)およびメチルエチルケトン中に溶解させたジラウリン酸ジブチルスズの0.05%溶液(2.62g)を添加した。反応混合物を76.6℃で6時間維持し、次いで室温まで冷却した。得られたTMIが末端にあるポリマー(230.42g)の粘度は1.261ポイズであった。
【0236】
(実施例9)
アクリ
レートが末端にある硫黄含有ポリマーの硬化
蓋を備えた100gプラスチック容器中で硬化反応を行った。実施例4のアクリ
レートが末端にある硫黄含有ポリマー(40.8g)およびIRGACURE
(登録商標)2022(0.2g、0.5重量%)を容器中で手動で混合した。次にこの容器をスピードミキサー(DAC 600 FVZ)に入れ、2,300rpmで1分間混合した。(Valspar Mold Release 225で前処理した)円形(直径5インチ)の金属蓋上にポリマーを注ぎ、紫外線(UV)照射下に30秒間置き、その時間の後、ポリマーが完全に硬化した。Super Six硬化ユニット(Fusion Systems Inc.)を使用してUV照射を行った。硬化ユニットに300W H−電球を取り付けたが、これは200nmから450nmの範囲のUV波長を生じさせた。UVパワーパック(EIT,Inc.,Sterling,VA)を用いて測定して3.103J/cm
2UVエネルギーとなる総線量をポリマー組成物に適用した。1/2インチ厚の硬化ポリマーディスクを得た。デュロメータを用いてポリマーの硬度を測定したところ、53ショアAであった。ASTM D2240に従い、硬度を測定した。
【0237】
(実施例10)
アクリ
レートが末端にある硫黄含有ポリマーの硬化
蓋を備えた100gプラスチック容器中で硬化反応を行った。実施例5のアクリ
レートが末端にある硫黄含有ポリマー(40.8g)およびIRGACURE
(登録商標)2022(0.2g、0.5重量%)を容器中で手動で混合した。次にこの容器をスピードミキサー(DAC 600 FVZ)に入れ、2,300rpmで1分間混合した。(Valspar Mold Release 225で前処理した)円形(直径5インチ)の金属蓋上にポリマーを注ぎ、紫外線(UV)照射下に30秒間置き、その時間の後、ポリマーが完全に硬化した。Super Six硬化ユニット(Fusion Systems Inc.)を使用してUV照射を行った。硬化ユニットに300W H−電球を取り付けたが、これは200nmから450nmの範囲のUV波長を生じさせた。UVパワーパック(EIT,Inc.,Sterling,VA)を用いて測定して3.103J/cm
2UVエネルギーとなる総線量をポリマー組成物に適用した。1/2インチの硬化ポリマーを得た。デュロメータを用いてポリマーの硬度を測定したところ、51ショアAであった。ASTM D2240に従い、硬度を測定した。
【0238】
(実施例11)
アクリ
レートが末端にある硫黄含有ポリマーの硬化
蓋を備えた100gプラスチック容器中で硬化反応を行った。実施例6のアクリ
レートが末端にある硫黄含有ポリマー(40.8g)およびIRGACURE
(登録商標)2022(0.2g、0.5重量%)を容器中で手動で混合した。次にこの容器をスピードミキサー(DAC 600 FVZ)に入れ、2,300rpmで1分間混合した。(Valspar Mold Release 225で前処理した)円形(直径5インチ)の金属蓋上にポリマーを注ぎ、紫外線(UV)照射下に30秒間置き、その時間の後、ポリマーが完全に硬化した。Super Six硬化ユニット(Fusion Systems Inc.)を使用してUV照射を行った。硬化ユニットに300W H−電球を取り付けたが、これは200nmから450nmの範囲のUV波長を生じさせた。UVパワーパック(EIT,Inc.,Sterling,VA)を用いて測定して3.103J/cm
2UVエネルギーとなる総線量をポリマー組成物に適用した。1/2インチ厚の硬化ポリマーディスクを得た。デュロメータを用いてポリマーの硬度を測定したところ、54ショアAであった。ASTM D2240に従い、硬度を測定した。
【0239】
(実施例12)
TMIが末端にある硫黄含有ポリマーの硬化
蓋を備えた100gプラスチック容器中で硬化反応を行った。実施例7に記載のTMIが末端にある硫黄含有ポリマー(40.8g)およびIRGACURE
(登録商標)2022(0.2g、0.5重量%)を容器中で手動で混合した。次にこの容器をスピードミキサー(DAC 600 FVZ)に入れ、2,300rpmで1分間混合した。(Valspar Mold Release 225で前処理した)円形(直径5インチ)の金属蓋上にポリマーを注ぎ、UV光下に60秒間置いた。Super Six硬化ユニット(Fusion Systems Inc.)を使用してUV照射を行った。硬化ユニットに300W H−電球を取り付けたが、これは200nmから450nmの範囲のUV波長を生じさせた。UVパワーパック(EIT,Inc.,Sterling,VA)を用いて測定して3.103J/cm
2UVエネルギーとなる総線量をポリマー組成物に適用した。1mm厚の硬化ポリマーディスクを得た。
【0240】
(実施例13)
TMIが末端にある硫黄含有ポリマーの硬化
蓋を備えた100gプラスチック容器中で硬化反応を行った。実施例8に記載のTMIが末端にある硫黄含有ポリマー(40.8g)およびIRGACURE
(登録商標)2022(0.2g、0.5重量%)を容器中で手動で混合した。次にこの容器をスピードミキサー(DAC 600 FVZ)に入れ、2,300rpmで1分間混合した。(Valspar Mold Release 225で前処理した)円形(直径5インチ)の金属蓋上にポリマーを注ぎ、UV光下に60秒間置いた。Super Six硬化ユニット(Fusion Systems Inc.)を使用してUV照射を行った。硬化ユニットに300W H−電球を取り付けたが、これは200nmから450nmの範囲のUV波長を生じさせた。UVパワーパック(EIT,Inc.,Sterling,VA)を用いて測定して3.103J/cm
2UVエネルギーとなる総線量をポリマー組成物に適用した。1mm厚の硬化ポリマーディスクを得た。
【0241】
最後に、本明細書中で開示される実施形態を実施する代替的な方法があることに留意されたい。従って、本実施形態は、例示とみなされるべきものであり、限定するものではない。さらに、特許請求の範囲は、本明細書中で与えられる詳細に限定されるべきものではなく、その完全な範囲およびその同等物が認められる。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
(a)硫黄含有ジオールと;
(b)ポリオール1分子あたり少なくとも3個のヒドロキシル基を含有するポリオールと;
(c)アルデヒド、ケトンおよびそれらの組み合わせから選択される反応物質と、
を含む反応物質の反応生成物を含む、硫黄含有ポリマー。
(項2)
前記硫黄含有ジオールが、構造:
【化35】
(式中、pは、1および2から選択され;
各R1は独立にC2−6アルカンジイルである)
を含む、上記項1に記載の硫黄含有ポリマー。
(項3)
前記ポリオールが、1分子あたり3から6個のヒドロキシル基を含む、上記項1に記載の硫黄含有ポリマー。
(項4)
式(I)の構造:
【化36D】
(式中、各nは1から50から選択される整数であり;
mは3から6から選択される整数であり;
各pは1および2から独立に選択され;
各R1は、独立にC2−6アルカンジイルであり;
各R3は、水素、C1−6アルキル、C7−12フェニルアルキル、置換C7−12フェニルアルキル、C6−12シクロアルキルアルキル、置換C6−12シクロアルキルアルキル、C3−12シクロアルキル、置換C3−12シクロアルキル、C6−12アリールおよび置換C6−12アリールから独立に選択され;
Zは、m価の親ポリオールZ(OH)mのコアを表す)
を有する硫黄含有ポリマー。
(項5)
(a)式(I)の硫黄含有ポリマー;
【化37】
(式中、各nは1から50から選択される整数であり;
mは3から6から選択される整数であり;
各pは1および2から独立に選択され;
各R1は、独立にC2−6アルカンジイルであり;
各R3は、水素、C1−6アルキル、C7−12フェニルアルキル、置換C7−12フェニルアルキル、C6−12シクロアルキルアルキル、置換C6−12シクロアルキルアルキル、C3−12シクロアルキル、置換C3−12シクロアルキル、C6−12アリールおよび置換C6−12アリールから独立に選択され;
Zは、m価の親ポリオールZ(OH)mのコアを表す)と;
(b)ビニル基と、式(I)のポリマーのヒドロキシル基と反応性がある基とを含む化合物;
シリル基と、式(I)のポリマーのヒドロキシル基と反応性がある基とを含む化合物;
エポキシ基と、式(I)のポリマーのヒドロキシル基と反応性がある基とを含む化合物;
イソシアネート基と、式(I)のポリマーのヒドロキシル基と反応性がある基とを含む化合物;
アミン基と、イソシアネート基と反応性がある基、エチレン性不飽和基と反応性がある基およびトシレートと反応性がある基から選択される基とを含む化合物;および
メルカプトアルカノール、金属ヒドロスルフィドおよびジチオールから選択される化合物、
から選択される化合物と
を含む反応物質の反応生成物を含む、末端修飾硫黄含有ポリマー。
(項6)
(b)が、アミン基と、イソシアネート基と反応性がある基、エチレン性不飽和基と反応性がある基およびトシレートと反応性がある基から選択される基と、を含む化合物であり;
前記反応物質が、(c)ジイソシアネート、活性化エチレン性不飽和モノイソシアネートおよびトシレートから選択される化合物をさらに含む、
上記項5に記載の末端修飾硫黄含有ポリマー。
(項7)
(b)が、メルカプトアルカノール、金属ヒドロスルフィドおよびジチオールから選択され;
前記反応物質が、(c)ジイソシアネート、チオ尿素、エチレン性不飽和モノイソシアネートおよびトシレートから選択される化合物をさらに含む、
上記項5に記載の末端修飾硫黄含有ポリマー。
(項8)
(b)が、ビニル基、シリル基、エポキシ基およびイソシアネート基から選択される末端基と;イソシアネート基、エチレン性不飽和基およびトシレートと反応性がある基から選択される末端基と、を含む第二の化合物を含み;
前記反応物質が、(c)ジイソシアネート、エチレン性不飽和モノイソシアネートおよびトシレートから選択される化合物をさらに含む、
上記項5に記載の末端修飾硫黄含有ポリマー。
(項9)
式(II)の末端修飾硫黄含有ポリマー:
【化38】
(式中、
各nは1から50から選択される整数であり;
mは3から6から選択される整数であり;
各pは1および2から独立に選択され;
各R1は、C2−6アルカンジイルから独立に選択され;
各R3は、水素、C1−6アルキル、C7−12フェニルアルキル、置換C7−12フェニルアルキル、C6−12シクロアルキルアルキル、置換C6−12シクロアルキルアルキル、C3−12シクロアルキル、置換C3−12シクロアルキル、C6−12アリールおよび置換C6−12アリールから独立に選択され;
各R5は−OR5’であり、式中、R5’は、ビニルが末端にある基、シリルが末端にある基、アミンが末端にある基、エポキシが末端にある基、チオールが末端にある基およびイソシアネートが末端にある基から独立に選択され;
Zは、m価の親ポリオールZ(OH)mのコアを表す)。
(項10)
各R5が、式(a)、式(b)、式(c)、式(d)および式(e)のビニルが末端にある基:
【化39】
【化40】
(式中、
各R6は、エチレン性不飽和モノイソシアネート由来の部分であり;
各R7は、C2−6アルカンジイルおよびC2−6ヘテロアルカンジイルから選択され;
各R8は、水素、C1−6アルキルおよびフェニルから選択され;
各R9は、C2−6アルカンジイル、C2−6ヘテロアルカンジイル、C6−12アレーンジイル、置換C6−12アレーンジイル、C6−12ヘテロアレーンジイル、置換C6−12ヘテロアレーンジイル、C3−12シクロアルカンジイル、置換C3−12シクロアルカンジイル、C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、C7−18アルカンアレーンジイル、置換C7−18ヘテロアルカンアレーンジイル、C4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択される)から選択される、上記項9に記載の末端修飾硫黄含有ポリマー。
(項11)
各R5が、式(f)および式(g)のシリルが末端にある基:
【化41】
(式中、
各R6は、エチレン性不飽和モノイソシアネート由来であり;
各R10は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C5−6シクロアルキル、C6−12シクロアルキルアルキル、フェニルおよびC7−12フェニルアルキルから独立に選択され;少なくとも1個のR10が、C1−6アルコキシであり;
各R11は、C1−6アルカンジイルである)から選択される、上記項9に記載の末端修飾硫黄含有ポリマー。
(項12)
各R5が、式(h)、式(i)、式(j)、式(k)、式(l)および式(m)のアミンが末端にある基:
【化42】
(式中、
各R6は、ジイソシアネート由来の基およびエチレン性不飽和モノイソシアネート由来の基から選択され;
各R7は、結合およびC2−6アルカンジイルから選択され;
各R9は、C2−6アルカンジイル、C2−6ヘテロアルカンジイル、C6−12アレーンジイル、置換C6−12アレーンジイル、C6−12ヘテロアレーンジイル、置換C6−12ヘテロアレーンジイル、C3−12シクロアルカンジイル、置換C3−12シクロアルカンジイル、C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、C7−18アルカンアレーンジイル、置換C7−18ヘテロアルカンアレーンジイル、C4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択され;
各R12は、水素、C1−6アルカンジイル、C6−12アレーンジイル、置換C6−12アレーンジイル、C3−12シクロアルカンジイル、置換C3−12シクロアルカンジイル、C7−18アルカンアレーンジイル、置換C7−18アルカンアレーンジイル、C4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択される)から選択される、
上記項9に記載の末端修飾硫黄含有ポリマー。
(項13)
各R5が、式(n)のエポキシが末端にある基:
【化43】
(式中、
各R11は独立にC1−6アルカンジイルである)から選択される、上記項9に記載の末端修飾硫黄含有ポリマー。
(項14)
各R5が、式(o)、式(p)、式(q)、式(r)、式(s)、式(t)、式(u)および式(v)のチオールが末端にある基:
【化44】
【化45】
(式中、
各R6は、ジイソシアネート由来の部分およびエチレン性不飽和モノイソシアネート由来の部分から選択され;
各R7は、C2−14アルカンジイルおよびC2−14ヘテロアルカンジイルから選択され;
各R9は、C2−6アルカンジイル、C2−6ヘテロアルカンジイル、C6−12アレーンジイル、置換C6−12アレーンジイル、C6−12ヘテロアレーンジイル、置換C6−12ヘテロアレーンジイル、C3−12シクロアルカンジイル、置換C3−12シクロアルカンジイル、C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、C7−18アルカンアレーンジイル、置換C7−18ヘテロアルカンアレーンジイル、C4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択される)から選択される、上記項9に記載の末端修飾硫黄含有ポリマー。
(項15)
各R5が、式(w)および式(x)のイソシアネートが末端にある基:
【化46】
(式中、
各R9は、C2−6アルカンジイル、C2−6ヘテロアルカンジイル、C6−12アレーンジイル、置換C6−12アレーンジイル、C6−12ヘテロアレーンジイル、置換C6−12ヘテロアレーンジイル、C3−12シクロアルカンジイル、置換C3−12シクロアルカンジイル、C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、C7−18アルカンアレーンジイル、置換C7−18ヘテロアルカンアレーンジイル、C4−18アルカンシクロアルカンジイルおよび置換C4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択され;
各R12は、ジイソシアネート由来の基である)から選択される、上記項9に記載の末端修飾硫黄含有ポリマー。
(項16)
上記項5に記載の末端修飾硫黄含有ポリマーと;上記項5に記載の末端修飾硫黄含有ポリマーと反応性がある硬化剤と、を含む、組成物。
(項17)
上記項16に記載の組成物を含むシーラントで密封される開口部。
(項18)
上記項9に記載の末端修飾硫黄含有ポリマーと;上記項9に記載の末端修飾硫黄含有ポリマーと反応性がある硬化剤と、を含む組成物。
(項19)
上記項18に記載の組成物を含むシーラントで密封される開口部。