(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1辺と、前記第1辺に対向する第2辺と、前記第1および第2辺に交差する第3辺と、前記第3辺に対向する第4辺とを有する第1半導体チップを備えた半導体装置であって、
前記第1半導体チップには、3以上の整数であるn個の第1回路と、前記n個の第1回路の発熱をそれぞれ検知するためのn個のダイオードと、複数のパッド電極とが形成されており、
前記第1半導体チップの主面において前記第1辺から前記第2辺に向かって、前記n個の第1回路が順に並んで配置されており、
前記n個の第1回路のうちの前記第1辺に最も近い第1番目の前記第1回路の発熱を検知するための第1番目の前記ダイオードは、前記第1半導体チップの主面において、前記第1番目の前記ダイオードから前記第1番目の前記第1回路に隣接する第2番目の前記第1回路までの距離よりも、前記第1番目の前記ダイオードから前記第1辺までの距離が小さくなるように配置され、
前記n個の第1回路のうちの前記第2辺に最も近い第n番目の前記第1回路の発熱を検知するための第n番目の前記ダイオードは、前記第1半導体チップの主面において、前記第n番目の前記ダイオードから前記第n番目の前記第1回路に隣接する第n−1番目の前記第1回路までの距離よりも、前記第n番目の前記ダイオードから前記第2辺までの距離が小さくなるように配置され、
第2番目から第n−1番目の前記第1回路の発熱を検知するための第2番目から第n−1番目の前記ダイオードのそれぞれは、前記第1半導体チップの主面において、発熱を検知すべき前記第1回路の両隣の前記第1回路からの距離がほぼ同じになるように配置され、
前記第1番目の前記ダイオードは、前記第1半導体チップの主面において、前記第1辺に沿って配置され、
前記第n番目の前記ダイオードは、前記第1半導体チップの主面において、前記第2辺に沿って配置され、
前記第1番目の前記ダイオードは、前記第1半導体チップの主面において、前記第1辺と前記第3辺とで形成される第1角部近傍に配置され、
前記第n番目の前記ダイオードは、前記第1半導体チップの主面において、前記第2辺と前記第3辺とで形成される第2角部近傍に配置され、
前記第2番目から第n−1番目の前記ダイオードは、前記第1半導体チップの主面において、前記第3辺に沿って配置され、
前記複数のパッド電極は、前記n個の第1回路にそれぞれ電気的に接続されたn個のソース用パッド電極を含み、
前記n個のソース用パッド電極を除く前記複数のパッド電極は、前記第1半導体チップの主面において、前記第3辺に沿って、前記n個のダイオードの間に配置されており、
前記n個の第1回路は、それぞれ、トレンチゲート型MISFETによって形成されており、
前記第1半導体チップを構成する半導体基板の主面において、前記n個の第1回路のうちの互いに隣り合う2つの前記第1回路の間に、浮遊電位の導電体が埋め込まれた第1溝が形成されている、半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0026】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0027】
また、本願においては、電界効果トランジスタをMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)または単にMOSと記載するが、ゲート絶縁膜として非酸化膜を除外するものではない。このため、以下の説明において、MOSFETをMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)と置き換えることもできる。
【0028】
(実施の形態1)
本発明の一実施の形態の半導体装置を図面を参照して説明する。
【0029】
<半導体装置(半導体パッケージ)の構造について>
図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置PKGの上面図(平面図)であり、
図2は、半導体装置PKGの下面図(平面図)であり、
図3、
図4および
図5は、半導体装置PKGの断面図であり、
図6〜
図8は、半導体装置PKGの平面透視図(上面図)である。
図6のA1−A1線の位置での半導体装置PKGの断面が
図3にほぼ対応し、
図6のA2−A2線の位置での半導体装置PKGの断面が
図4にほぼ対応し、
図6のA3−A3線の位置での半導体装置PKGの断面が
図5にほぼ対応する。また、
図6には、封止部MRを透視したときの半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。また、
図7は、
図6において、更に金属板MPL1,MPL2を透視(省略)したときの半導体装置PKGの平面透視図(上面図)である。また、
図8は、
図7において、更にボンディングワイヤBWおよび半導体チップCP1,CP2を透視(省略)したときの半導体装置PKGの平面透視図(上面図)である。
【0030】
本実施の形態の半導体装置PKGは、スイッチ用の電界効果トランジスタであるパワーMOSFET(後述のパワーMOSFETQ1,Q2に対応)が形成された半導体チップCP1と、制御用の半導体チップCP2とを1つの半導体パッケージに集約(パッケージング)して、1つの半導体装置(半導体パッケージ)PKGとしている。
【0031】
図1〜
図8に示される本実施の形態の半導体装置PKGは、半導体チップCP1,CP2と、半導体チップCP1,CP2をそれぞれ搭載するダイパッド(チップ搭載部)DP1,DP2と、導電体によって形成された複数のリードLDと、これらを封止する封止部MRとを有している。
【0032】
封止部(封止樹脂部)MRは、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを用いて封止部MRを形成することができる。エポキシ系の樹脂以外にも、低応力化を図る等の理由から、例えばフェノール系硬化剤、シリコーンゴムおよびフィラー等が添加されたビフェニール系の熱硬化性樹脂を、封止部MRの材料として用いても良い。
【0033】
封止部MRは、一方の主面である上面(表面)MRaと、上面MRaの反対側の主面である下面(裏面、底面)MRbと、上面MRaおよび下面MRbに交差する側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4と、を有している。すなわち、封止部MRの外観は、上面MRa、下面MRbおよび側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4で囲まれた薄板状とされている。封止部MRの上面MRaおよび下面MRbの平面形状は、例えば矩形状に形成されており、この矩形(平面矩形)の角に丸みを帯びさせることもできる。封止部MRの上面MRaおよび下面MRbの平面形状を矩形とした場合には、封止部MRは、その厚さと交差する平面形状(外形形状)が矩形(四角形)となる。封止部MRの側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4のうち、側面MRc1と側面MRc3とが互いに対向し、側面MRc2と側面MRc4とが互いに対向し、側面MRc1と側面MRc2,MRc4とが互いに交差し、側面MRc3と側面MRc2,MRc4とが互いに交差している。
【0034】
複数のリード(リード部)LDは、導電体で構成されており、好ましくは銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。複数のリードLDのそれぞれは、一部が封止部MR内に封止され、他の一部が封止部MRの側面から封止部MRの外部に突出している。以下では、リードLDのうちの封止部MR内に位置する部分をインナリード部と呼び、リードLDのうちの封止部MR外に位置する部分をアウタリード部と呼ぶものとする。
【0035】
なお、本実施の形態の半導体装置PKGは、各リードLDの一部(アウタリード部)が封止部MRの側面から突出した構造であり、以下ではこの構造に基づいて説明するが、この構造に限定されるものではなく、例えば、封止部MRの側面から各リードLDがほとんど突出せず、かつ封止部MRの下面MRbで各リードLDの一部が露出した構成(QFN型の構成)などを採用することもできる。
【0036】
複数のリードLDは、複数のリードLD1と複数のリードLD2とで構成されている。複数のリードLDのうちの複数のリードLD1は、封止部MRの側面MRc1側に配置されており、複数のリードLD1の各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc1から封止部MR外に突出している。一方、複数のリードLDのうちの複数のリードLD2は、封止部MRの側面MRc3側に配置されており、複数のリードLD2の各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc3から封止部MR外に突出している。各リードLD(LD1,LD2)のアウタリード部は、アウタリード部の端部近傍の下面が封止部MRの下面MRbとほぼ同一平面上に位置するように折り曲げ加工されている。リードLD(LD1,LD2)のアウタリード部は、半導体装置PKGの外部接続用端子部(外部端子)として機能する。
【0037】
図3、
図4および
図6〜
図8からも分かるように、ダイパッドDP1とダイパッドDP2とは、ダイパッドDP1の一辺とダイパッドDP2の一辺とが沿うように、互いに所定の間隔を持って分離された状態で隣接して配置されており、封止部MRの側面MRc1に近い側にダイパッドDP1が配置され、封止部MRの側面MRc3に近い側にダイパッドDP2が配置されている。ダイパッドDP1は、半導体チップCP1を搭載するチップ搭載部であり、ダイパッドDP2は、半導体チップCP2を搭載するチップ搭載部である。半導体チップCP1と半導体チップCP2とでは、半導体チップCP1の方が大きい(平面寸法(面積)が大きい)ことを反映して、ダイパッドDP1とダイパッドDP2とでは、半導体チップCP1を搭載するダイパッドDP1の方が大きい(平面寸法(面積)が大きい)。
【0038】
ダイパッドDP1およびダイパッドDP2間は、封止部MRを構成する樹脂材料で満たされており、ダイパッドDP1,DP2同士は電気的に絶縁されている。ダイパッドDP1,DP2の間にはリードLDは配置されておらず、ダイパッドDP1における封止部MRの側面MRc1側の辺(ダイパッドDP2と対向する側とは反対側の辺)に沿って複数のリードLD1が配置(配列)され、ダイパッドDP2における封止部MRの側面MRc3側の辺(ダイパッドDP1と対向する側とは反対側の辺)に沿って複数のリードLD2が配置(配列)されている。すなわち、ダイパッドDP1と封止部MRの側面MRc1との間に、封止部MRの側面MRc1に沿って、複数のリードLD1が配置(配列)され、ダイパッドDP2と封止部MRの側面MRc3との間に、封止部MRの側面MRc3に沿って、複数のリードLD2が配置(配列)されている。
【0039】
封止部MRの下面MRbでは、ダイパッドDP1,DP2の各下面(裏面)が露出されている。封止部MRの上面MRaでは、ダイパッドDP1,DP2は露出されていない。また、半導体装置PKGを製造する際に、ダイパッドDP1,DP2をリードフレーム(のフレーム枠)などに連結していたことに起因して、封止部MRの側面MRc2と側面MRc4とにおいて、ダイパッドDP1,DP2の一部が露出されている。
【0040】
ダイパッドDP1,DP2は導電体で構成されており、好ましくは銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。半導体装置PKGを構成するダイパッドDP1,DP2および複数のリードLDが同じ材料(同じ金属材料)で形成されていれば、より好ましい。これにより、ダイパッドDP1,DP2および複数のリードLDが連結されたリードフレームを作製しやすくなり、リードフレームを用いた半導体装置PKGの製造が容易になる。
【0041】
ダイパッドDP1の上面(主面)上には、半導体チップCP1が、その表面(主面、上面)を上に向け、かつ、その裏面(下面)をダイパッドDP1に向けた状態で搭載されている。ダイパッドDP2の上面(主面)上には、半導体チップCP2が、その表面(主面、上面)を上に向け、かつ、その裏面(下面)をダイパッドDP2に向けた状態で搭載されている。半導体チップCP1(の裏面)は、接着層(接合材)BD1を介してダイパッドDP1(の上面)に接着されて固定され、半導体チップCP2(の裏面)は、接着層(接合材)BD2を介してダイパッドDP2(の上面)に接着されて固定されている。半導体チップCP1,CP2は、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。
【0042】
半導体チップCP1は、その裏面(ダイパッドDP1に接着される側の主面)に裏面電極BEが形成されている。このため、半導体チップCP1を接着するための接着層BD1は導電性を有しており、この導電性の接着層BD1を介して、半導体チップCP1の裏面電極BEがダイパッドDP1に接合されて固定されるとともに、電気的に接続されている。半導体チップCP1の裏面電極BEは、半導体チップCP1内に形成されたパワーMOSFET(後述のパワーMOSFETQ1,Q2に対応)のドレインに電気的に接続されている。接着層BD1は、例えば銀(Ag)ペーストなどの導電性ペースト型の接着材、あるいは半田などからなる。
【0043】
一方、半導体チップCP2の裏面には裏面電極は形成されていない。このため、半導体チップCP2を接着するための接着層BD2は、導電性であっても絶縁性であってもよいが、接着層BD2を接着層BD1と同じ材料で形成すれば、半導体装置PKGの組立工程を簡略化することができる。
【0044】
半導体チップCP1,CP2は、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)の主面に種々の半導体素子または半導体集積回路を形成した後、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップに分離して製造したものである。半導体チップCP1,CP2は、その厚さと交差する平面形状が矩形(四角形)である。半導体チップCP1は半導体チップCP2よりも平面積が大きいが、この平面積の違いは、以下の理由からである。すなわち、半導体チップCP2は、半導体チップCP1のゲートを制御する制御回路などが形成されているが、半導体装置PKG全体の寸法を考慮して、できるだけ外形サイズを小さくしたい。これに対し、半導体チップCP1はパワーMOSFET(後述のパワーMOSFETQ1,Q2に対応)が形成されているが、このパワーMOSFETでは、トランジスタ内に生じるオン抵抗をできるだけ低減したい。オン抵抗を低減するためには、単位トランジスタセル面積あたりのチャネル幅を広げることで実現できる。このため、半導体チップCP1の外形サイズは、半導体チップCP2の外形サイズよりも大きく形成されている。
【0045】
半導体チップCP1の表面(主面、上面)には、複数のパッド電極(パッド、ボンディングパッド、端子)PDが形成されている。半導体チップCP1のパッド電極PDの種類については、後で説明する。また、半導体チップCP2の表面(主面、上面)には、複数のパッド電極(パッド、ボンディングパッド、端子)PD2が形成されている。ここで、半導体チップCP1において、互いに反対側に位置する2つの主面のうち、複数のパッド電極PDが形成されている側の主面を半導体チップCP1の表面と呼び、この表面とは反対側でかつダイパッドDP1に対向する側の主面を半導体チップCP1の裏面と呼ぶものとする。同様に、半導体チップCP2において、互いに反対側に位置する2つの主面のうち、複数のパッド電極PD2が形成されている側の主面を半導体チップCP2の表面と呼び、この表面とは反対側でかつダイパッドDP2に対向する側の主面を半導体チップCP2の裏面と呼ぶものとする。
【0046】
半導体チップCP2の表面は、2つの長辺と、それよりも短い2つの短辺とを有する矩形状の平面形状を有しており、複数のパッド電極PD2は、半導体チップCP2の表面において、2つの長辺に沿って配列されている。半導体チップCP2のこの2つの長辺のうち、一方の長辺は半導体チップCP1と対向しており、他方の長辺は、複数のリードLD2と対向している。
【0047】
半導体チップCP1の複数のパッド電極PDは、大面積の2つのパッド電極(ボンディングパッド)PDS1,PDS2を含んでおり、パッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDは、パッド電極PDS1,PDS2よりも小面積とされている。パッド電極PDS1,PDS2は、ソース用のパッド電極(ボンディングパッド)であり、半導体チップCP1内に形成されたパワーMOSFET(後述のパワーMOSFETQ1,Q2に対応)のソース(後述のソースS1,S2)に電気的に接続されている。詳細は後述するが、パッド電極PDS1は、半導体チップCP1内に形成された後述のパワーMOSFETQ1のソースに電気的に接続されているパッド電極であり、パッド電極PDS2は、半導体チップCP1内に形成された後述のパワーMOSFETQ2のソースに電気的に接続されているパッド電極である。半導体チップCP1において、パッド電極PDS1とパッド電極PDS2とは電気的に接続されていない。
【0048】
半導体チップCP1の表面は、辺SD1,SD2,SD3,SD4を有する矩形状の平面形状を有しており、半導体チップCP1の表面において、半導体チップCP2と対向する側の辺SD3に沿って、パッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDが配置されており、半導体チップCP1の辺SD4(ここで、半導体チップCP1において辺SD4は上記辺SD3に対向する辺である)は、複数のリードLD1と対向している。半導体チップCP1の表面中央側において、辺SD3,SD4に平行な方向に、パッド電極PDS1とパッド電極PDS2とが並んで配置されている。
【0049】
半導体チップCP1のパッド電極PDS1,PDS2以外の複数のパッド電極PDと半導体チップCP2の複数のパッド電極PD2との間、および複数のリードLD2(のインナリード部)と半導体チップCP2の複数のパッド電極PD2との間が、導電性接続部材である複数のボンディングワイヤBWを介して電気的に接続されている。ボンディングワイヤBWは、導電性の接続部材であるが、より特定的には導電性のワイヤであり、好ましくは金(Au)線または銅(Cu)線またはアルミニウム(Al)線などの金属細線からなる。ボンディングワイヤBWは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。
【0050】
より具体的に説明すると、半導体チップCP2の複数のパッド電極PD2のうち、半導体チップCP2の表面において半導体チップCP1と対向する側の辺SD5に沿って配置された複数のパッド電極PD2が、半導体チップCP1の複数のパッド電極PDのうちの、パッド電極PDS1,PDS2以外の複数のパッド電極PDとボンディングワイヤBWを介して電気的に接続されている。また、半導体チップCP2の複数のパッド電極PD2のうち、半導体チップCP2の表面において複数のリードLD2と対向する側の辺SD6に沿って配置された複数のパッド電極PD2が、複数のリードLD2(のインナリード部)とボンディングワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、各ボンディングワイヤBWの両端のうち、一方の端部は半導体チップCP2のパッド電極PD2に接続され、他方の端部は、半導体チップCP1のパッド電極PDまたはリードLD2のインナリード部に接続されている。なお、隣り合うリードLD2のインナリード部間と、リードLD2のインナリード部およびダイパッドDP2間とは、封止部MRを構成する材料により満たされている。
【0051】
半導体チップCP1のパッド電極PDS1は、金属板MPL1を介してリードLD1と電気的に接続され、半導体チップCP1のパッド電極PDS2は、金属板MPL2を介して他のリードLD1と電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCP1,CP2のパッド電極PD,PD2のうち、パッド電極PDS1,PDS2には、ボンディングワイヤBWは接続されずに金属板MPL1,MPL2が接続され、パッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PD,PD2にボンディングワイヤBWが接続されている。金属板MPL1,MPL2は、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。
【0052】
より具体的に説明すると
図3にも示されるように、金属板MPL1の一方の端部は、半導体チップCP1のパッド電極PDS1に導電性の接着層(接合材)BD3を介して接合されて電気的に接続され、金属板MPL1の他方の端部は、リードLD1(のインナリード部)に導電性の接着層(接合材)BD4を介して接合されて電気的に接続されている。また、
図4にも示されるように、金属板MPL2の一方の端部は、半導体チップCP1のパッド電極PDS2に導電性の接着層(接合材)BD5を介して接合されて電気的に接続され、金属板MPL2の他方の端部は、リードLD1(のインナリード部)に導電性の接着層(接合材)BD6を介して接合されて電気的に接続されている。封止部MRの側面MRc1には複数のリードLD1が配置されているが、金属板MPL1が接続されたリードLD1とは異なるリードLD1に金属板MPL2が接続されており、金属板MPL1,MPL2同士が短絡しないようになっている。
【0053】
金属板MPL1,MPL2を接合するのに用いた接着層(接合材)BD3,BD4,BD5,BD6は、導電性を有していることが必要であり、例えば銀ペーストのような導電性ペースト型接着材あるいは半田などを用いることができる。また、接着層(接合材)BD3,BD4,BD5,BD6を互いに同じ材料で形成すれば、半導体装置PKGの組立工程を簡略化することができる。
【0054】
金属板MPL1,MPL2は、例えば銅(Cu)、銅(Cu)合金、アルミニウム(Al)またはアルミニウム(Al)合金のような導電性および熱伝導性の高い金属(金属材料)によって形成されている。加工しやすい、熱伝導性が高い、および比較的安価であるという点で、金属板MPL1,MPL2が銅(Cu)または銅(Cu)合金で形成されていれば、より好ましい。金属板MPL1,MPL2の幅は、ボンディングワイヤBWの幅(直径)よりも大きい(広い)。半導体チップCP1のソース用のパッド電極PDS1,PDS2を、金属板MPL1,MPL2を通じて、リードLD1と電気的に接続しているため、半導体チップCP1のソース用のパッド電極PDS1,PDS2とリードLD1とをワイヤによって接続する場合に比べて、半導体チップCP1に形成されているパワーMOSFET(後述のパワーMOSFETQ1,Q2に対応)のオン抵抗を低減できる。このため、パッケージ抵抗を低減でき、導通損失を低減できる。また、金(Au)で形成されるワイヤに代えて、金よりも安価な金属材料で形成される金属板MPL1,MPL2を用いることにより、半導体装置PKGのコストを低減できる。
【0055】
また、
図6に示されるように、各金属板MPL1,MPL2に開口部OPを設けることもできる。この開口部OPは、半導体装置PKGの製造工程(組立工程)中に、金属板MPL1,MPL2と半導体チップCP1のパッド電極PDS1,PDS2との間を接合する接着層BD3,BD5の状態や量を開口部OPから観察したり、あるいは、各金属板MPL1,MPL2に生じる応力を緩和するために、設けられている。
【0056】
封止部MRの側面MRc1に複数のリードLD1が配置されているが、そのうちの任意の数のリードLD1のインナリード部同士を封止部MR内で一体的に連結させることもできる。
図6〜
図8の場合は、封止部MRの側面MRc1に5つのリードLD1が配置されているが、そのうち2つのリードLD1のインナリード部同士が封止部MR内で一体的に連結されて、そこに金属板MPL1が上記接着層BD4を介して接続され、他の2つのリードLD1のインナリード部同士が封止部MR内で一体的に連結されて、そこに金属板MPL2が上記接着層BD6を介して接続されている。但し、金属板MPL1が接続されたリードLD1(すなわち金属板MPL1を通じて半導体チップCP1のパッド電極PDS1に電気的に接続されたリードLD1)と金属板MPL2が接続されたリードLD1(すなわち金属板MPL2を通じて半導体チップCP1のパッド電極PDS2に電気的に接続されたリードLD1)とは連結されておらず、封止部MRを構成する樹脂材料によって分離されて電気的に絶縁されている。また、封止部MRの側面MRc1に複数のリードLD1が配置されているが、複数のリードLD1が、半導体チップCP1,CP2のいずれのパッド電極PD,PD2とも電気的に接続されていないダミーのリードLD1Dを含んでいてもよい。
図6の場合は、金属板MPL1が接続されたリードLD1と金属板MPL2が接続されたリードLD1との間に、ダミーのリードLD1Dが配置されている。なお、リードLD1のインナリード部とダイパッドDP1との間は、封止部MRを構成する材料により満たされており、互いに電気的に絶縁されている。
【0057】
ダイパッドDP1,DP2の各下面(裏面)が封止部MRの下面MRbから露出されており、半導体チップCP1,CP2の動作時に発生した熱は、主に半導体チップCP1,CP2の裏面からダイパッドDP1,DP2を通じて外部に放熱される。このため、各ダイパッドDP1,DP2は、そこに搭載される各半導体チップCP1,CP2の面積よりも大きく形成されており、これにより、放熱性を向上させることができる。また、半導体チップCP1,CP2のうち、発熱量が大きいのは半導体チップCP1であるため、半導体チップCP2を搭載するダイパッドDP2の平面積よりも半導体チップCP1を搭載するダイパッドDP1の平面積を大きくしておくことで、半導体チップCP1の発熱を効率的に放熱することができるため、放熱特性を更に向上させることができる。
【0058】
図9は、本実施の形態の半導体装置PKGの変形例を示す平面透視図(上面図)であり、上記
図8に対応するものである。上記
図8と同様、
図9においても、封止部MR、金属板MPL1,MPL2、ボンディングワイヤBWおよび半導体チップCP1,CP2を透視したときの、半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。
【0059】
図9に示される変形例の半導体装置PKGと上記
図1〜
図8の半導体装置PKGとの相違点は、以下の点である。
図9に示される変形例の半導体装置PKGでは、ダイパッドDP1,DP2、複数のリードLD1(のインナリード部)および複数のリードLD2(のインナリード部)に開口部OP1を形成している。この開口部OP1内は封止部MRを構成する材料により満たされている。開口部OP1を設けたことで、ダイパッドDP1,DP2およびリードLD1,LD2が封止部MRから抜け難くすることができる。また、半導体装置PKGを製造する際には、ダイパッドDP1,DP2および複数のリードLDが連結されたリードフレームを使用することができるが、この場合、ダイパッドDP1,DP2をリードフレームのフレーム枠に安定して連結するために、吊リードTLを追加することもできる。この吊リードTLは、封止部MR形成後に、封止部MRから突出する部分は切断されて除去されるが、封止部MR内の吊リードTLは残存する。
図9には、封止部MR内に残存する吊リードTLが示されている。
図9に示される変形例の半導体装置PKGの他の構成は、上記
図1〜
図8の半導体装置PKGと同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0060】
次に、
図10は半導体装置PKGの実装例を示す断面図である。
図10には、上記
図3に対応する断面が示されている。
【0061】
半導体装置PKGを実装するための実装基板(配線基板)PWBの上面には、複数の端子TEが形成されている。半導体装置PKGを実装基板PWBに実装するには、
図10に示されるように、半導体装置PKGの各リードLDのアウタリード部と実装基板PWBの上面の各端子TEとが、半田SLなどの導電性の接合材を介して接合されて電気的に接続される。この際、半導体装置PKGの封止部MRの下面MRbで露出するダイパッドDP1,DP2の各下面も実装基板PWBの上面の端子TEと半田SLなどの導電性の接合材を介して接合されて電気的に接続される。半導体チップCP2が搭載されたダイパッドDP2の下面は、実装基板PWBの端子TEに接続しなくともよいが、実装基板PWBの端子TEに接続した場合には、半導体チップCP2の発熱をダイパッドDP2を経由して実装基板PWBに放熱することができる。一方、上述のように、半導体チップCP1の裏面電極BEが導電性の上記接着層BD1を介してダイパッドDP1に電気的に接続されているため、実装基板PWBの複数の端子TEのうち、半導体チップCP1の裏面電極BEに接続すべき端子TE1を、半田SLなどの導電性の接合材を介して、封止部MRの下面MRbで露出するダイパッドDP1(の下面)に接続する。これにより、実装基板PWBの複数の端子TE1を、ダイパッドDP1を経由して半導体チップCP1の裏面電極BEに電気的に接続することができる。また、これに伴い、半導体チップCP1の発熱をダイパッドDP1を経由して実装基板PWBに放熱することも可能になる。
【0062】
このように、半導体装置PKGにおいて、各リードLD(LD1,LD2)のアウタリード部と、封止部MRの下面MRbで露出するダイパッドDP1とが、半導体装置PKGの外部接続用端子部(外部端子)として機能することができる。
【0063】
また、本実施の形態の半導体装置PKGを製造するには、例えば以下のような手法を用いることができる。すなわち、上記ダイパッドDP1,DP2および複数のリードLDが一体的に連結されたリードフレームを用意してから、ダイボンディング工程を行って、このリードフレームの上記ダイパッドDP1,DP2上に半導体チップCP1,CP2を接合材(この接合材が上記接着層BD1,BD2となる)を介して搭載して接合する。それから、ワイヤボンディング工程を行って、半導体チップCP1のパッド電極PDと半導体チップCP2のパッド電極PD2との間や半導体チップCP2のパッド電極PD2と上記リードLD2との間を上記ボンディングワイヤBWを介して接続する。そして、半導体チップCP1のソース用のパッド電極PDS1,PDS2と上記リードLD1との間を上記金属板MPL1,MPL2を介して接続する。その後、モールド工程を行って、上記封止部MRを形成してから、上記ダイパッドDP1,DP2およびリードLDをリードフレームから切り離し(切断し)、リードLDのアウタリード部を折り曲げ加工することで、半導体装置PKGを製造することができる。
【0064】
<半導体装置の回路構成について>
次に、半導体装置PKGの回路構成について説明する。
図11は、半導体装置PKGの使用例を示す回路ブロック図である。
図11において、点線で囲まれた部分が半導体装置PKGで構成された部分であり、一点鎖線で囲まれた部分が半導体チップCP1で構成された部分であり、二点鎖線で囲まれた部分が半導体チップCP2で構成された部分である。
【0065】
図11に示されるように、半導体装置PKGは、スイッチ用の2つのパワーMOSFET(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)Q1,Q2と、制御回路(駆動回路)DRとを有している。パワーMOSFETQ1,Q2は、制御回路DRによって制御され、制御回路DRは、パワーMOSFETQ1,Q2を駆動するためのドライバ回路(駆動回路)の機能も備えている。パワーMOSFETQ1とパワーMOSFETQ2とは、(制御回路DRによって)互いに独立に制御される。
【0066】
本実施の形態では、パワーMOSFETQ1(第1回路)とパワーMOSFETQ2(第2回路)とは、同じ半導体チップCP1に内蔵されており、制御回路DRは、他の半導体チップCP2に内蔵されている。このため、パワーMOSFETQ1(第1回路)とパワーMOSFETQ2(第2回路)とは、半導体チップCP1内に形成された回路であり、制御回路DRは、半導体チップCP2内に形成された回路である。パワーMOSFETQ1のドレインとパワーMOSFETQ2のドレインとは、半導体チップCP1の上記裏面電極BEに電気的に接続されているため、互いに電気的に接続されている。このため、半導体チップCP1の上記裏面電極BEは、パワーMOSFETQ1,Q2のドレイン用の裏面電極である。パワーMOSFETQ1,Q2のドレイン(共通のドレイン)は、半導体装置PKGの外部に配置された電源(バッテリなど)BTと接続されている。一方、パワーMOSFETQ1のソースとパワーMOSFETQ2のソースとの間は短絡されておらず、パワーMOSFETQ1のソースは、半導体装置PKGの外部に配置された負荷LA1に接続され、パワーMOSFETQ2のソースは、半導体装置PKGの外部に配置された負荷LA2に接続されている。
【0067】
パワーMOSFETQ1のゲートとパワーMOSFETQ2のゲートは、それぞれ制御回路DRに接続されている。そして、制御回路DRからパワーMOSFETQ1のゲートにオン信号(パワーMOSFETQ1をオン状態とするゲート電圧)を供給することでパワーMOSFETQ1をオン状態とすることができ、また、制御回路DRからパワーMOSFETQ2のゲートにオン信号(パワーMOSFETQ2をオン状態とするゲート電圧)を供給することでパワーMOSFETQ2をオン状態とすることができるようになっている。
【0068】
制御回路DRからパワーMOSFETQ1のゲートにオン信号を供給することでパワーMOSFETQ1がオン状態になると、電源BTの電圧がパワーMOSFETQ1から出力されて負荷LA1に供給される。制御回路DRからパワーMOSFETQ1のゲートにオフ信号を供給する(あるいはオン信号の供給を停止する)ことでパワーMOSFETQ1がオフ状態になると、電源BTから負荷LA1への電圧の供給が停止される。また、制御回路DRからパワーMOSFETQ2のゲートにオン信号を供給することでパワーMOSFETQ2がオン状態になると、電源BTの電圧がパワーMOSFETQ2から出力されて負荷LA2に供給される。制御回路DRからパワーMOSFETQ2のゲートにオフ信号を供給する(あるいはオン信号の供給を停止する)ことでパワーMOSFETQ2がオフ状態になると、電源BTから負荷LA2への電圧の供給が停止される。このような半導体チップCP1のパワーMOSFETQ1,Q2のオン/オフの制御は、半導体チップCP2の制御回路DRによって行われる。パワーMOSFETQ1とパワーMOSFETQ2とは、制御回路DRによって独立に制御されるため、パワーMOSFETQ1のオン/オフの切換と、パワーMOSFETQ2のオン/オフの切換とは、制御回路DRによって独立に制御することができる。
【0069】
このように、半導体装置PKGは、電源BTから負荷LA1への電圧の印加のオン・オフの切換と、電源BTから負荷LA2への電圧の印加のオン・オフの切換とを行う、スイッチ用の半導体装置として機能することができる。また、半導体チップCP1の各パワーMOSFETQ1,Q2はスイッチ素子(スイッチング素子)として機能することができる。また、パワーMOSFETQ1,Q2の出力が負荷LA1,LA2に供給されるため、各パワーMOSFETQ1,Q2は出力回路とみなすこともできる。また、半導体チップCP1は、2系統の出力回路(すなわちパワーMOSFETQ1とパワーMOSFETQ2)を有する半導体装置とみなすこともできる。
【0070】
また、半導体装置PKGの半導体チップCP1内には、温度検知用のダイオードDD1,DD2が設けられている。ダイオードDD1は、パワーMOSFETQ1の温度を検知するためのダイオード(回路)であり、パワーMOSFETQ1の発熱を検知するためのダイオード(回路)とみなすこともでき、パワーMOSFETQ1の温度(発熱)を検知可能とするために、半導体チップCP1においてパワーMOSFETQ1の近傍に配置されている。ダイオードDD2は、パワーMOSFETQ2の温度を検知するためのダイオード(回路)であり、パワーMOSFETQ2の発熱を検知するためのダイオード(回路)とみなすこともでき、パワーMOSFETQ2の温度(発熱)を検知可能とするために、半導体チップCP1においてパワーMOSFETQ2の近傍に配置されている。また、ダイオードDD1,DD2を温度検知回路とみなすこともできる。
【0071】
ダイオードDD1,DD2の各アノードおよび各カソードは、それぞれ制御回路DRに接続されている。ダイオードDD1,DD2は、温度によって電圧−電流特性が変化するため、各ダイオードDD1,DD2の電圧−電流特性を検知(モニタ)することで、半導体チップCP1における各ダイオードDD1,DD2の温度(半導体チップCP1における各ダイオードDD1,DD2が配置された領域の温度に対応)を検知することができる。このため、半導体チップCP1において、パワーMOSFETQ1の近傍にダイオードDD1を配置することで、パワーMOSFETQ1の温度(発熱)をダイオードDD1で検知することができ、パワーMOSFETQ2の近傍にダイオードDD2を配置することで、パワーMOSFETQ2の温度(発熱)をダイオードDD2で検知することができる。
【0072】
例えば、各ダイオードDD1,DD2に一定電流を流した状態で各ダイオードDD1,DD2の電圧(アノードおよびカソード間の電圧)を検知(モニタ)し、この電圧値から各ダイオードDD1,DD2の温度を知ることができる。つまり、各ダイオードDD1,DD2において、一定電流を流したときの電圧は、温度が高くなるほど低くなるため、この電圧を利用して各ダイオードDD1,DD2の温度を検知することができる。各ダイオードDD1,DD2への定電流の供給および各ダイオードDD1,DD2の電圧(アノードおよびカソード間の電圧)の検知は、半導体チップCP2の制御回路DRによって行われる。また、各ダイオードDD1,DD2に一定電圧を印加した状態で各ダイオードDD1,DD2の電流(アノードおよびカソード間の電流)を検知(モニタ)し、この電流値から各ダイオードDD1,DD2の温度を知ることも可能である。
【0073】
このため、パワーMOSFETQ1が過剰に発熱してダイオードDD1の温度が所定の上限温度よりも高くなった(例えばダイオードDD1に一定電流を流した状態でダイオードDD1のアノードおよびカソード間の電圧が所定の下限電圧よりも低くなった)ときには、制御回路DRがパワーMOSFETQ1のゲートにオフ信号を供給する(あるいはオン信号の供給を停止する)ことでパワーMOSFETQ1をオフ状態に切り換える。また、パワーMOSFETQ2が過剰に発熱してダイオードDD2の温度が所定の上限温度よりも高くなった(例えばダイオードDD2に一定電流を流した状態でダイオードDD2のアノードおよびカソード間の電圧が所定の下限電圧よりも低くなった)ときには、制御回路DRがパワーMOSFETQ2のゲートにオフ信号を供給する(あるいはオン信号の供給を停止する)ことでパワーMOSFETQ2をオフ状態に切り換える。これにより、パワーMOSFETQ1の過剰な発熱時には、これをダイオードDD1によって検知して、パワーMOSFETQ1を速やかにオフ状態に切り換えることができ、また、パワーMOSFETQ2の過剰な発熱時には、これをダイオードDD2によって検知して、パワーMOSFETQ2を速やかにオフ状態に切り換えることができる。
【0074】
例えば、パワーMOSFETQ1をオンにして電源BTから負荷LA1に電圧を印加している状態でもしも負荷LA1が短絡すると、パワーMOSFETQ1に大電流(通常動作時よりも大きな電流)が流れてしまい、パワーMOSFETQ1が過剰に発熱する。このパワーMOSFETQ1の過剰な発熱による温度上昇をダイオードDD1で検知することで、負荷LA1が短絡したときには、パワーMOSFETQ1を速やかにオフ状態に切り換えることができる。同様に、パワーMOSFETQ2をオンにして電源BTから負荷LA2に電圧を印加している状態でもしも負荷LA2が短絡すると、パワーMOSFETQ2に大電流(通常動作時よりも大きな電流)が流れてしまい、パワーMOSFETQ2が過剰に発熱する。このパワーMOSFETQ2の過剰な発熱による温度上昇をダイオードDD2で検知することで、負荷LA2が短絡したときには、パワーMOSFETQ2を速やかにオフ状態に切り換えることができる。
【0075】
負荷LA1,LA2としては、スイッチ用の半導体装置PKGを介して電源BTに接続することが望まれる任意の電子装置(または電子部品)を適用することができる。この際、同じ電源BTに接続することが望まれる一対の電子装置(または電子部品)を負荷LA1,LA2として用いれば、本実施の形態の半導体装置PKGは特に有用である。また、構成がほぼ同じでかつ独立に制御することが望まれる一対の電子装置(または電子部品)を負荷LA1,LA2として用いれば、本実施の形態の半導体装置PKGは特に有用である。また、車載用(自動車用)であれば、構成がほぼ同じでかつ独立に制御することが望まれる一対の電子装置(これが負荷LA1,LA2となる)が多いため、本実施の形態の半導体装置PKGは、車載用(自動車用)として用いれば、特に有用である。車載用途の場合、例えば、ライトあるいはモータなどを負荷LA1,LA2として適用することができる。この場合のモータには、例えば、パワーウインド用のモータや、ドアミラー用のモータなどを例示できる。
【0076】
また、本実施の形態の半導体装置PKGは、半導体チップCP1にダイオードDD1,DD2を内蔵させたことで、パワーMOSFETQ1,Q2の過剰発熱時にパワーMOSFETQ1,Q2を速やかにオフ状態に切り換えることができるため、車載用(自動車用)などの高い信頼性が要求される半導体装置に適用すれば、特に有用である。
【0077】
<半導体チップのレイアウトについて>
次に、半導体チップCP1のチップレイアウトについて、
図12および
図13を参照しながら説明する。
【0078】
図12および
図13は、半導体チップCP1のチップレイアウトを示す平面図(上面図)であり、半導体チップCP1の表面側(すなわちパッド電極PDが形成された側の主面)が示されている。
図12は、ガードリングGRを設けた場合、
図13はガードリングを設けなかった場合が示されている。なお、
図12および
図13は平面図であるが、理解を簡単にするために、パッド電極PDと、ダイオードDD1,DD2が形成されている領域と、ガードリングGRとにハッチングを付して示してある。また、ダイオードDD1,DD2とガードリングGRとは、実際には後述の保護膜12で覆われているが、
図12および
図13では透視して示してある。
【0079】
本実施の形態の半導体チップCP1は、上述のようにパワーMOSFETQ1,Q2が形成された半導体チップであり、
図12および
図13に示されるように、上記パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETが形成された第1MOSFET領域RG1と、上記パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETが形成された第2MOSFET領域RG2とを有している。第1MOSFET領域RG1と第2MOSFET領域RG2とは、半導体チップCP1の両側に並んで配置されており、素子分離用の絶縁膜などにより互いに電気的に分離されている。すなわち、平面的に見て、半導体チップCP1の約半分が第1MOSFET領域RG1となり、残りの約半分が第2MOSFET領域RG2となっている。
【0080】
より具体的に説明すると、平面的に見て、半導体チップCP1を半導体チップCP1の対向する二辺SD1,SD2間で均等に2つの区画(領域)に分けたときに、一方が第1MOSFET領域RG1となって、そこに上記パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されており、他方が第2MOSFET領域RG2となって、そこに上記パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている。つまり、平面的に見て、半導体チップCP1の主面における中心線CLを挟んで、片側(辺SD1側)が第1MOSFET領域RG1となり、もう片側(辺SD2側)が第2MOSFET領域RG2となっている。ここで、中心線CLは仮想線であり、
図13および後述の
図23〜
図25において二点鎖線で示されている。なお、
図12では、図面が見づらくなるのを防ぐために中心線CLの図示は省略してあるが、
図12においても、
図13と同じ位置に中心線CLが位置する。中心線CLは、辺SD3の中心と辺SD4の中心とを結んだ仮想線であるため、辺SD1,SD2に平行である。中心線CLは、辺SD1と辺SD2との間で半導体チップCP1を二等分する線でもある。第1MOSFET領域RG1と第2MOSFET領域RG2との境界は、この中心線CLにほぼ一致している。
【0081】
なお、半導体チップCP1は、矩形状の平面矩形状を有しており、この矩形を構成する4つの辺SD1,SD2,SD3,SD4を有しているが、このうち、辺SD1と辺SD2とが互いに対向し、辺SD3と辺SD4とが互いに対向し、辺SD1と辺SD3,SD4とが互いに交差し、辺SD2と辺SD3,SD4とが互いに交差している。換言すれば、辺SD3と辺SD1,SD2とが互いに交差し、辺SD4と辺SD1,SD2とが互いに交差している。辺SD1,SD2,SD3,SD4は、半導体チップCP1の主面(ここでは表面)の外周を構成するが、平面的に見ると、半導体チップCP1の各辺SD1,SD2,SD3,SD4は半導体チップCP1の各側面に対応している。
【0082】
半導体チップCP1において、パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETは、第1MOSFET領域RG1に形成され、かつ第2MOSFET領域RG2には形成されておらず、また、パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETは、第2MOSFET領域RG2に形成され、かつ第1MOSFET領域RG1には形成されていない。また、半導体チップCP1において、ダイオードDD1は第1MOSFET領域RG1に形成され、ダイオードDD2は第2MOSFET領域RG2に形成されている。
【0083】
但し、パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETは、第1MOSFET領域RG1のかなりの面積に渡って形成されているが、第1MOSFET領域RG1の全領域に形成されているのではなく、ダイオードDD1が配置されている領域と、ソース用のパッド電極PDS1以外のパッド電極PDが配置されている領域と、ガードリングGRが配置されている領域とには、縦型のパワーMOSFETは形成されていない。同様に、パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETは、第2MOSFET領域RG2のかなりの面積に渡って形成されているが、第2MOSFET領域RG2の全領域に形成されているのではなく、ダイオードDD2が配置されている領域と、ソース用のパッド電極PDS2以外のパッド電極PDが配置されている領域と、ガードリングGRが配置されている領域とには、縦型のパワーMOSFETは形成されていない。
図12および
図13において、パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q1を付した点線で囲んで模式的に示し、パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q2を付した点線で囲んで模式的に示してある。
【0084】
図12および
図13に示されるように、半導体チップCP1の表面には、複数のパッド電極PDが形成されている。各パッド電極PDは、半導体チップCP1の表面保護膜(後述する保護膜12に対応)に形成された開口部(後述する開口部13に対応)から露出した導電体膜(導電体膜パターン)により形成されている。
【0085】
半導体チップCP1の複数のパッド電極PDは、上述したように、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を有しているが、それ以外にも、ゲート用のパッド電極PDG1,PDG2と、アノード用のパッド電極PDA1,PDA2と、カソード用のパッド電極PDC1,PDC2と、センスソース用のパッド電極PDN1,PDN2と、センスケルビン用のパッド電極PDK1,PDK2とを有している。
【0086】
半導体チップCP1の表面において、ソース用のパッド電極PDS1と、ゲート用のパッド電極PDG1と、アノード用のパッド電極PDA1と、カソード用のパッド電極PDC1と、センスソース用のパッド電極PDN1と、センスケルビン用のパッド電極PDK1とは、第1MOSFET領域RG1に配置(形成)されている。また、半導体チップCP1の表面において、ソース用のパッド電極PDS2と、ゲート用のパッド電極PDG2と、アノード用のパッド電極PDA2と、カソード用のパッド電極PDC2と、センスソース用のパッド電極PDN2と、センスケルビン用のパッド電極PDK2とは、第2MOSFET領域RG2に配置(形成)されている。
【0087】
第1MOSFET領域RG1に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDS1は、第1MOSFET領域RG1に形成されたパワーMOSFET(Q1)のソースに電気的に接続されている。第1MOSFET領域RG1に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDG1は、第1MOSFET領域RG1に形成されたパワーMOSFET(Q1)のゲートに電気的に接続されている。第1MOSFET領域RG1に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDA1は、第1MOSFET領域RG1に形成されたダイオード(DD1)のアノードに電気的に接続されている。第1MOSFET領域RG1に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDC1は、第1MOSFET領域RG1に形成されたダイオード(DD1)のカソードに電気的に接続されている。
【0088】
第1MOSFET領域RG1に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDN1は、第1MOSFET領域RG1に形成されたパワーMOSFET(Q1)のソースの電圧(電位)を検知(モニタ)するためのパッド電極(センスソース用のパッド電極)であり、第1MOSFET領域RG1に形成されたパワーMOSFET(Q1)のソースに電気的に接続されている。第1MOSFET領域RG1に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDK1は、第1MOSFET領域RG1に形成されたパワーMOSFET(Q1)のソース電流を検知(モニタ)するためのパッド電極(センスケルビン用のパッド電極)であり、第1MOSFET領域RG1に形成されたパッド電極PDS1(PD)に電気的に接続されている。
【0089】
また、第2MOSFET領域RG2に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDS2は、第2MOSFET領域RG2に形成されたパワーMOSFET(Q2)のソースに電気的に接続されている。第2MOSFET領域RG2に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDG2は、第2MOSFET領域RG2に形成されたパワーMOSFET(Q2)のゲートに電気的に接続されている。第2MOSFET領域RG2に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDA2は、第2MOSFET領域RG2に形成されたダイオード(DD2)のアノードに電気的に接続されている。第2MOSFET領域RG2に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDC2は、第2MOSFET領域RG2に形成されたダイオード(DD2)のカソードに電気的に接続されている。
【0090】
第2MOSFET領域RG2に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDN2は、第2MOSFET領域RG2に形成されたパワーMOSFET(Q2)のソースの電圧(電位)を検知(モニタ)するためのパッド電極(センスソース用のパッド電極)であり、第2MOSFET領域RG2に形成されたパワーMOSFET(Q2)のソースに電気的に接続されている。第2MOSFET領域RG2に配置されたパッド電極(ボンディングパッド)PDK2は、第2MOSFET領域RG2に形成されたパワーMOSFET(Q2)のソース電流を検知(モニタ)するためのパッド電極(センスケルビン用のパッド電極)であり、第2MOSFET領域RG2に形成されたパッド電極PDS2(PD)に電気的に接続されている。
【0091】
このように、半導体チップCP1の表面に形成された複数のパッド電極PDのうち、第1MOSFET領域RG1に形成されている素子または回路に半導体チップCP1の内部配線を介して電気的に接続されているパッド電極PDは、半導体チップCP1の表面において、第1MOSFET領域RG1に配置されている。また、半導体チップCP1の表面に形成された複数のパッド電極PDのうち、第2MOSFET領域RG2に形成されている素子または回路に半導体チップCP1の内部配線を介して電気的に接続されているパッド電極PDは、半導体チップCP1の表面において、第2MOSFET領域RG2に配置されている。
【0092】
また、半導体チップCP1の裏面の全面には上記裏面電極BEが形成されており、この裏面電極BEは、第1MOSFET領域RG1に形成されたパワーMOSFET(Q1)のドレインと、第2MOSFET領域RG2に形成されたパワーMOSFET(Q2)のドレインとの両者に電気的に接続されている。
【0093】
また、
図12の場合には、半導体チップCP1の主面において、第1MOSFET領域RG1の外周と第2MOSFET領域RG2の外周とにガードリングGRが形成されている。つまり、半導体チップCP1の第1MOSFET領域RG1において、ガードリングGRに囲まれた領域内に、上記パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETと、ダイオードDD1と、第1MOSFET領域RG1に配置されるべきパッド電極PDとが配置されている。また、半導体チップCP1の第2MOSFET領域RG2において、ガードリングGRに囲まれた領域内に、上記パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETと、ダイオードDD2と、第2MOSFET領域RG2に配置されるべきパッド電極PDとが配置されている。半導体チップCP1において、ガードリングGRは、パッド電極PDを構成する導電体層(導電体膜)と同層の導電体層(導電体膜)によって形成されているが、パッド電極PDとは分離されている。ガードリングGRは、半導体チップCP1の表面保護膜(後述する保護膜12に対応)で覆われているため、半導体チップCP1の表面でガードリングGRは露出されていない。
【0094】
<半導体チップの構造について>
次に、上記パワーMOSFETQ1,Q2およびダイオードDD1,DD2が形成された半導体チップCP1の構成について、より詳細に説明する。
【0095】
図14〜
図18は、半導体チップCP1の要部断面図である。このうち、
図14には、上記第1MOSFET領域RG1の一部の断面図が示されているが、具体的には、
図14には、ゲート用のパッド電極PDG1とソース用のパッド電極PDS1との両者を横切る断面図が示されており、
図12に示されるB1−B1線での断面図が
図14にほぼ対応する。また、
図15には、上記第2MOSFET領域RG2の一部の断面図が示されているが、具体的には、
図15には、ゲート用のパッド電極PDG2とソース用のパッド電極PDS2との両者を横切る断面図が示されており、
図12に示されるB2−B2線での断面図が
図15にほぼ対応する。また、
図16は、第1MOSFET領域RG1の一部の断面図が示されているが、具体的には、
図16には、ダイオードDD1とアノード用のパッド電極PDA1とを横切る断面図が示されている。また、
図17は、第2MOSFET領域RG2の一部の断面図が示されているが、具体的には、
図17には、ダイオードDD2とアノード用のパッド電極PDA2とを横切る断面図が示されている。また、
図18は、第1MOSFET領域RG1と第2MOSFET領域RG2との境界を横切る断面図が示されており、
図12に示されるB3−B3線での断面図が
図18にほぼ対応する。
【0096】
上記パワーMOSFETQ1,Q2および上記ダイオードDD1,DD2は、半導体チップCP1を構成する半導体基板(以下、単に基板という)1の主面に形成されている。
図14〜
図18示されるように、基板1は、例えばヒ素(As)が導入されたn
+型の単結晶シリコンなどからなる基板本体(半導体基板、半導体ウエハ)1aと、基板本体1aの主面上に形成された、例えばn
−型のシリコン単結晶からなるエピタキシャル層(半導体層)1bとを有している。このため、基板1は、いわゆるエピタキシャルウエハである。このエピタキシャル層1bの主面には、例えば酸化シリコンなどからなるフィールド絶縁膜(素子分離領域)2が形成されている。フィールド絶縁膜2は、酸化シリコンなどの絶縁体で形成れており、活性領域を規定(画定)するための素子分離領域として機能することができる。
【0097】
第1MOSFET領域RG1において、このフィールド絶縁膜2とその下層のp型ウエルPWLとに囲まれた活性領域に、パワーMOSFETQ1を構成する複数の単位トランジスタセルが形成されており、パワーMOSFETQ1は、第1MOSFET領域RG1に設けられたこれら複数の単位トランジスタセルが並列に接続されることで形成されている。同様に、上記第2MOSFET領域RG2において、このフィールド絶縁膜2とその下層のp型ウエルPWLとに囲まれた活性領域に、パワーMOSFETQ2を構成する複数の単位トランジスタセルが形成されており、パワーMOSFETQ2は、第2MOSFET領域RG2に設けられたこれら複数の単位トランジスタセルが並列に接続されることで形成されている。各単位トランジスタセルは、例えばトレンチゲート構造のnチャネル型のパワーMOSFETで形成されている。
【0098】
上記基板本体1aおよびエピタキシャル層1bは、上記単位トランジスタセルのドレイン領域としての機能を有している。基板1(半導体チップCP1)の裏面には、ドレイン電極用の裏面電極(裏面ドレイン電極、ドレイン電極)BEが形成されている。この裏面電極BEは、例えば基板1の裏面から順にチタン(Ti)層、ニッケル(Ni)層および金(Au)層を積み重ねて形成されている。上記半導体装置PKGにおいては、半導体チップCP1のこの裏面電極BEは、上記接着層BD1を介して上記ダイパッドDP1に接合されて電気的に接続される。
【0099】
また、エピタキシャル層1b中に形成されたp型の半導体領域3は、上記単位トランジスタセルのチャネル形成領域としての機能を有している。さらに、そのp型の半導体領域3の上部に形成されたn
+型の半導体領域4は、上記単位トランジスタセルのソース領域としての機能を有している。従って、半導体領域4はソース用の半導体領域である。
【0100】
また、基板1には、その主面から基板1の厚さ方向に延びる溝5が形成されている。溝5は、n
+型の半導体領域4の上面からn
+型の半導体領域4およびp型の半導体領域3を貫通し、その下層のエピタキシャル層1b中で終端するように形成されている。この溝5の底面および側面には、酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜6が形成されている。また、溝5内には、上記ゲート絶縁膜6を介してゲート電極7が埋め込まれている。ゲート電極7は、例えばn型不純物(例えばリン)が導入された多結晶シリコン膜からなる。ゲート電極7は、上記単位トランジスタセルのゲート電極としての機能を有している。
【0101】
フィールド絶縁膜2上の一部にも、ゲート電極7と同一層の導電性膜からなるゲート引き出し用の配線部7aが形成されており、ゲート電極7とゲート引き出し用の配線部7aとは、一体的に形成されて互いに電気的に接続されている。なお、
図14の断面図には示されない領域において、第1MOSFET領域RG1の各ゲート電極7は第1MOSFET領域RG1のゲート引き出し用の配線部7aと一体的に接続され、また、
図15の断面図には示されない領域において、第2MOSFET領域RG2の各ゲート電極7は第2MOSFET領域RG2のゲート引き出し用の配線部7aと一体的に接続されている。ゲート引き出し用の配線部7aは、それを覆う絶縁膜8に形成されたコンタクトホール(開口部、貫通孔)9aを通じてゲート配線10Gと電気的に接続されている。
【0102】
一方、ソース配線10Sは、絶縁膜8に形成されたコンタクトホール(開口部、貫通孔)9bを通じてソース用のn
+型の半導体領域4と電気的に接続されている。また、上記ソース配線10Sは、p型の半導体領域3の上部であってn
+型の半導体領域4の隣接間に形成されたp
+型の半導体領域11に電気的に接続され、これを通じてチャネル形成用のp型の半導体領域3と電気的に接続されている。
【0103】
また、
図16および
図17に示されるように、フィールド絶縁膜(素子分離領域)2上に、ダイオード形成用の多結晶シリコン膜21が形成されている。この多結晶シリコン膜21は、n型不純物(例えばリン)が導入されたn型シリコン部分(n型シリコン領域)21aと、p型不純物(例えばホウ素)が導入されたp型シリコン部分(p型シリコン領域)21bとを有しており、n型シリコン部分21aとp型シリコン部分21bとは互いに隣接しており、p型シリコン部分21bとn型シリコン部分21aとの界面にPN接合が形成されている。多結晶シリコン膜21はゲート電極7やゲート引き出し用の配線部7aと同一層の導電性膜により形成することもできるが、多結晶シリコン膜21とゲート電極7(およびゲート引き出し用の配線部7a)とは互いに分離されており、電気的に接続されていない。
【0104】
p型シリコン部分21bとn型シリコン部分21aとの間(界面)にPN接合が形成されることにより、ダイオードDD1またはダイオードDD2が形成されている。すなわち、第1MOSFET領域RG1に形成された多結晶シリコン膜21のp型シリコン部分21bがダイオードDD1のアノードとなり、第1MOSFET領域RG1に形成されたこの多結晶シリコン膜21のn型シリコン部分21aがダイオードDD1のカソードとなっている。また、第2MOSFET領域RG2に形成された多結晶シリコン膜21のp型シリコン部分21bがダイオードDD2のアノードとなり、第2MOSFET領域RG2に形成されたこの多結晶シリコン膜21のn型シリコン部分21aがダイオードDD2のカソードとなっている。第1MOSFET領域RG1に形成された多結晶シリコン膜21(すなわちダイオードDD1を形成する多結晶シリコン膜21)と第2MOSFET領域RG2に形成された多結晶シリコン膜21(すなわちダイオードDD2を形成する多結晶シリコン膜21)とは、同一層の導電性膜(多結晶シリコン膜)によって形成されているが、互いに分離されており、電気的に接続されていない。
【0105】
半導体チップCP1を製造する際に、多結晶シリコン膜21にn型シリコン部分21aとp型シリコン部分21bとを形成するのは、フォトリソグラフィ法で形成したフォトレジストパターンをイオン注入阻止マスクとして使用したイオン注入などを用いることができる。一例を挙げて説明すると、例えば、基板1の主面全面に多結晶シリコン膜を形成した後、この多結晶シリコン膜のうち、n型不純物を導入すべき領域にn型不純物(例えばリンなど)をイオン注入し、p型不純物を導入すべき領域にp型不純物(例えばホウ素など)をイオン注入する。この際、n型不純物のイオン注入時には、p型不純物を導入すべき領域をフォトレジストパターンで覆っておき、p型不純物のイオン注入時には、n型不純物を導入すべき領域をフォトレジストパターンで覆っておく。ここで、n型不純物を導入すべき領域は、上記ゲート電極7、配線部7aおよびn型シリコン部分21aの形成予定領域を含み、p型不純物を導入すべき領域は、上記p型シリコン部分21bの形成予定領域を含んでいる。その後、前記多結晶シリコン膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることで、パターニングされた前記多結晶シリコンからなる上記ゲート電極7、配線部7aおよび多結晶シリコン膜21を形成することができる。
【0106】
アノード配線10Aは、絶縁膜8に形成されたコンタクトホール(開口部、貫通孔)9cを通じて多結晶シリコン膜21のp型シリコン部分21bと電気的に接続されている。カソード配線10Cは、絶縁膜8に形成されたコンタクトホール(開口部、貫通孔)9dを通じて多結晶シリコン膜21のn型シリコン部分21aと電気的に接続されている。
【0107】
ゲート配線10Gとソース配線10Sとアノード配線10Aとカソード配線10Cとは、コンタクトホール9a,9b,9c,9d(後述のコンタクトホール9eも)が形成された絶縁膜8上にコンタクトホール9a,9b,9c,9d(後述のコンタクトホール9eも)を埋めるように導電体膜22を形成し、この導電体膜22をパターニングすることにより形成されている。すなわち、ゲート配線10G、ソース配線10S、アノード配線10Aおよびカソード配線10Cは、パターニングされた導電体膜22により形成されている。また、パターニングされた導電体膜22を配線とみなすこともできる。導電体膜22は、金属膜からなり、好ましくはアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜からなる。このため、ゲート配線10G、ソース配線10S、アノード配線10Aおよびカソード配線10Cは、同層の導電体膜22からなるが、互いに分離されている。
【0108】
ガードリングGRも、パターニングされた導電体膜22により形成されている。すなわち、ガードリングGRは、ゲート配線10G、ソース配線10S、アノード配線10Aおよびカソード配線10Cと同層の導電体膜22からなるが、互いに分離されている。ガードリングGRは、絶縁膜8上を延在しているが、絶縁膜8に形成されたコンタクトホール(開口部、貫通孔)9eを通じて、基板1(エピタキシャル層1b)と電気的に接続されている。
【0109】
導電体膜22(ゲート配線10G、ソース配線10S、アノード配線10A、カソード配線10CおよびガードリングGRを含む)は、ポリイミド樹脂などからなる絶縁性の保護膜(絶縁膜)12により覆われている。すなわち、絶縁膜8上に、導電体膜22(ゲート配線10G、ソース配線10S、アノード配線10A、カソード配線10CおよびガードリングGRを含む)を覆うように、保護膜12が形成されている。この保護膜12は、半導体チップCP1の最上層の膜(絶縁膜)である。保護膜12には複数の開口部13が形成されており、各開口部13からは、導電体膜22の一部が露出されている。開口部13から露出する導電体膜22が、パッド電極PDとなっている。
【0110】
すなわち、第1MOSFET領域RG1において開口部13から露出するゲート配線10Gによって、上記パワーMOSFETQ1のゲート用のパッド電極PDG1が形成され、第2MOSFET領域RG2において開口部13から露出するゲート配線10Gによって、上記パワーMOSFETQ2のゲート用のパッド電極PDG2が形成されている。なお、半導体チップCP1において、第1MOSFET領域RG1におけるゲート配線10Gと第2MOSFET領域RG2におけるゲート配線10Gとは、互いに分離されており、電気的に接続されていないため、パッド電極PDG1とパッド電極PDG2との間は電気的に接続されていない。
【0111】
また、第1MOSFET領域RG1において開口部13から露出するソース配線10Sによって、上記パワーMOSFETQ1のソース用のパッド電極PDS1が形成され、第2MOSFET領域RG2において開口部13から露出するソース配線10Sによって、上記パワーMOSFETQ2のソース用のパッド電極PDS2が形成されている。なお、半導体チップCP1において、第1MOSFET領域RG1におけるソース配線10Sと第2MOSFET領域RG2におけるソース配線10Sとは、互いに分離されており、電気的に接続されていないため、パッド電極PDS1とパッド電極PDS2との間は電気的に接続されていない。
【0112】
また、第1MOSFET領域RG1において開口部13から露出するアノード配線10Aによって、上記ダイオードDD1のアノード用のパッド電極PDA1が形成され、第2MOSFET領域RG2において開口部13から露出するアノード配線10Aによって、上記ダイオードDD2のアノード用のパッド電極PDA2が形成されている。なお、半導体チップCP1において、第1MOSFET領域RG1におけるアノード配線10Aと第2MOSFET領域RG2におけるアノード配線10Aとは、互いに分離されており、電気的に接続されていないため、パッド電極PDA1とパッド電極PDA2との間は電気的に接続されていない。
【0113】
また、第1MOSFET領域RG1において開口部13から露出するカソード配線10Cによって、上記ダイオードDD1のカソード用の上記パッド電極PDC1が形成され、第2MOSFET領域RG2において開口部13から露出するカソード配線10Cによって、上記ダイオードDD1のカソード用の上記パッド電極PDC2が形成されている(パッド電極PDC1,PDC2は
図14〜
図18の断面図には示されていない)。なお、半導体チップCP1において、第1MOSFET領域RG1におけるカソード配線10Cと第2MOSFET領域RG2におけるカソード配線10Cとは、互いに分離されており、電気的に接続されていないため、パッド電極PDC1とパッド電極PDC2との間は電気的に接続されていない。
【0114】
また、センスソース用の上記パッド電極PDN1,PDN2およびセンスケルビン用の上記パッド電極PDK1,PDK2も、導電体膜22が開口部13から露出することで形成されている。
【0115】
パッド電極PD(パッド電極PDS1,PDS2,PDG1,PDG2,PDA1,PDA2,PDC1,PDC2,PDN1,PDN2,PDK1,PDK2を含む)の表面には(すなわち開口部13の底部で露出する部分の導電体膜22上には)、メッキ法などで金属層14を形成する場合もある。この金属層14は、例えば、下から順に形成された銅(Cu)膜とニッケル(Ni)膜と金(Au)膜との積層膜や、あるいは、下から順に形成されたチタン(Ti)膜とニッケル(Ni)膜と金(Au)膜との積層膜などからなる。パッド電極PDの表面に金属層14を形成したことにより、導電体膜22のアルミニウムの表面の酸化を抑制または防止することができる。
【0116】
半導体装置PKGにおいては、上記
図3〜
図6などからも分かるように、半導体チップCP1の複数のパッド電極PDのうち、パッド電極PDS1,PDS2に金属板MPL1,MPL2が接合され、パッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PD(PDG1,PDG2,PDA1,PDA2,PDC1,PDC2,PDN1,PDN2,PDK1,PDK2)には、ボンディングワイヤBWが接続される。
【0117】
このような構成の半導体チップCP1においては、上記パワーMOSFETQ1,Q2の単位トランジスタの動作電流は、ドレイン用のエピタキシャル層1bとソース用のn
+型の半導体領域4との間をゲート電極7の側面(すなわち、溝5の側面)に沿って基板1の厚さ方向に流れるようになっている。すなわち、チャネルが半導体チップCP1の厚さ方向に沿って形成される。
【0118】
このように、半導体チップCP1は、トレンチ型ゲート構造を有する縦型のMOSFET(パワーMOSFET)が形成された半導体チップであり、上記パワーMOSFETQ1,Q2は、それぞれ、トレンチゲート型MISFETによって形成されている。ここで、縦型のMOSFETとは、ソース・ドレイン間の電流が、半導体基板(基板1)の厚さ方向(半導体基板の主面に略垂直な方向)に流れるMOSFETに対応する。また、ここでは、上記パワーMOSFETQ1,Q2として、nチャネル型のパワーMOSFETを形成した場合について説明したが、n型とp型の導電型を逆にするなどして、上記パワーMOSFETQ1,Q2として、pチャネル型のパワーMOSFETを形成することもできる。
【0119】
<半導体チップにおけるダイオードの位置について>
次に、半導体チップCP1におけるダイオードDD1,DD2の位置について、より詳細に説明する。
【0120】
図19は、第1の比較例の半導体チップCP101a,CP101bのチップレイアウトを示す平面図(上面図)であり、
図20は、第2の比較例の半導体チップCP201のチップレイアウトを示す平面図(上面図)であり、いずれも上記
図13に相当するものである。なお、
図19および
図20は、平面図であるが、理解を簡単にするために、ソース用のパッド電極PDS101,PDS102と、ダイオードDD1,DD2が形成されている領域とにハッチングを付して示してある。但し、
図19および
図20では、ソース用のパッド電極PDS101,PDS102以外のパッド電極については、図示を省略している。
【0121】
図19に示される第1の比較例の半導体チップCP101a,CP101bのうち、半導体チップCP101aは、上記パワーMOSFETQ1が形成された半導体チップであり、半導体チップCP101bは、上記パワーMOSFETQ2が形成された半導体チップである。すなわち、上記パワーMOSFETQ1,Q2を1チップ化した本実施の形態とは異なり、第1の比較例では、上記パワーMOSFETQ1,Q2を2つの半導体チップCP101a,CP101bで構成しており、上記パワーMOSFETQ1が半導体チップCP101aで構成され、上記パワーMOSFETQ2が半導体チップCP101bで構成されている。そして、半導体チップCP101aには上記ダイオードDD1も内蔵され、半導体チップCP101bには上記ダイオードDD2も内蔵されている。
【0122】
なお、
図19および
図20に示されるパッド電極PDS101は、パワーMOSFETQ1のソースに電気的に接続されたパッド電極(ボンディングパッド)であり、
図19および
図20に示されるパッド電極PDS102は、パワーMOSFETQ2のソースに電気的に接続されたパッド電極(ボンディングパッド)である。また、
図19および
図20において、パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q1を付した点線で囲んで模式的に示し、パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q2を付した点線で囲んで模式的に示してある。
【0123】
しかしながら、
図19に示されるように、上記パワーMOSFETQ1,Q2を2つの半導体チップCP101a,CP101bで構成した第1の比較例の場合には、次のような課題が発生してしまう。
【0124】
すなわち、パワーMOSFETQ1,Q2を2つの半導体チップCP101a,CP101bで構成した場合には、半導体チップCP101aと半導体チップCP101bとを別々にパッケージ化することが考えられる。この場合、上記パワーMOSFETQ1,Q2をスイッチ素子として含む電子装置において、半導体チップCP101aを含んだ半導体パッケージと半導体チップCP101bを含んだ半導体パッケージとが存在することになる。これは、上記パワーMOSFETQ1,Q2をスイッチ素子として含む電子装置を構成する部品点数を増加させてコストの増大を招くとともに、この電子装置全体の寸法を大きくしてしまう。また、半導体チップCP101aと半導体チップCP101bとを1パッケージ化することも考えられる。この場合、半導体パッケージが半導体チップCP101aと半導体チップCP101bの両方を含んでいるため、半導体パッケージ自体の寸法が大きくなってしまう。これは、上記パワーMOSFETQ1,Q2をスイッチ素子として含む電子装置の寸法を大きくすることにもつながってしまう。また、上記パワーMOSFETQ1,Q2を構成するのに2つの半導体チップCP101a,CP101bを用いるため、使用する半導体チップの数が多くなり、コストの増大を招いてしまう。
【0125】
そこで、上記パワーMOSFETQ1,Q2を1チップ化することが考えられる。本実施の形態の半導体チップCP1と上記
図20に示される第2の比較例の半導体チップCCP201は、いずれも、上記パワーMOSFETQ1,Q2を1チップ化した(すなわち上記パワーMOSFETQ1,Q2を1つの半導体チップに内蔵させた)ものである。
【0126】
上記パワーMOSFETQ1,Q2を1チップ化することで、この半導体チップをパッケージ化した1つの半導体パッケージが上記パワーMOSFETQ1,Q2を含んだものとなるため、パワーMOSFETQ1,Q2をスイッチ素子とした電子装置を構成する部品点数を少なくしてコストを抑制できるとともに、この電子装置全体の寸法を小さくすることができる。また、パワーMOSFETQ1,Q2を1チップ化したことで、パワーMOSFETQ1,Q2を含んだ半導体パッケージの寸法を小さくすることができ、またコストも低減することができる。また、使用する半導体チップの数も少なくてすむため、この点でもコスト低減が可能である。
【0127】
ところで、上述したように、パワーMOSFETQ1,Q2の過剰な発熱による温度上昇を検知するためにダイオードDD1,DD2が用いられる。上記第1の比較例のように、パワーMOSFETQ1,Q2を2つの半導体チップCP101a,CP101bで構成する場合には、
図19に示されるように、パワーMOSFETQ1を形成した半導体チップCP101aにダイオードDD1も内蔵させ、パワーMOSFETQ2を形成した半導体チップCP101bにダイオードDD2も内蔵させる。これにより、半導体チップCP101aにおいて、パワーMOSFETQ1の過剰な発熱による温度上昇をダイオードDD1によって検知することができ、また、半導体チップCP101bにおいて、パワーMOSFETQ2の過剰な発熱による温度上昇をダイオードDD2によって検知することができる。
【0128】
上記第1の比較例のように、パワーMOSFETQ1,Q2を2つの半導体チップCP101a,CP101bで構成する場合には、半導体チップCP101aと半導体チップCP101bとに同じ構成の半導体チップを使用することが望ましい。なぜなら、この場合には、半導体ウエハを用いて同じ構成の複数の半導体チップを製造してから、この複数の半導体チップから任意の2つの半導体チップを選択して、一方を半導体チップCP101aとし、他方を半導体チップCP101bとすることができるため、半導体チップCP101aと半導体チップCP101bとで半導体チップを作り分ける必要が無くなり、半導体チップの製造コストを低減できるからである。このため、
図19に示されるように、半導体チップCP101aにおけるダイオードDD1の配置位置と、半導体チップCP101bにおけるダイオードDD2の配置位置とは同じとなる。
図19の場合には、半導体チップCP101aの左下の角部近傍にダイオードDD1が配置され、同様に、半導体チップCP101bの左下の角部近傍にダイオードDD2が配置されている。
図21は、
図19の第1の比較例の半導体チップCP101a,CP101bにおけるダイオードDD1,DD2の配置位置を変更したものである。上述のように、半導体チップCP101aと半導体チップCP101bとは同じ構成の半導体チップであるため、
図21の場合は、半導体チップCP101aの右下の角部近傍にダイオードDD1が配置され、同様に、半導体チップCP101bの右下の角部近傍にダイオードDD2が配置されている。
【0129】
一方、パワーMOSFETQ1,Q2を1つの半導体チップCP201に内蔵させる場合には、
図19に示される第1の比較例の2つの半導体チップCP101a,CP101bを連結して(つなげて)1つの半導体チップCP201とすることが考えられる。
図20に示される第2の比較例の半導体チップCP201は、
図19に示される第1の比較例の2つの半導体チップCP101a,CP101bを連結して(つなげて)1つの半導体チップにしたものに対応している。
【0130】
このため、
図20に示される第2の比較例の半導体チップCP201は、半導体チップCP101aに対応する第1MOSFET領域RG201と半導体チップCP101bに対応する第2MOSFET領域RG202とを有している。このため、第2の比較例の半導体チップCP201においては、第1MOSFET領域RG201に、パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETとダイオードDD1とが形成され、第2MOSFET領域RG202に、パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETとダイオードDD2とが形成された状態となっている。なお、第1MOSFET領域RG201は、本実施の形態における第1MOSFET領域RG1に相当するものであり、第2MOSFET領域RG202は、本実施の形態における第2MOSFET領域RG2に相当するものであるが、ダイオードDD1,DD2およびパッド電極PDの配置位置が、第2の比較例と本実施の形態とでは相違しており、これについては、後で詳述する。
【0131】
図19の第1の比較例の各半導体チップCP101a,CP101bでは、左下の角部近傍にダイオードDD1,DD2がそれぞれ配置されていたのに対応して、
図20の第2の比較例の半導体チップCP201においては、第1MOSFET領域RG201の左下の角部近傍にダイオードDD1が配置され、第2MOSFET領域RG202の左下の角部近傍にダイオードDD2が配置されている。しかしながら、
図20に示される第2の比較例の半導体チップCP201では、次のような課題が発生してしまう。
【0132】
図20に示される第2の比較例の半導体チップCP201においては、パワーMOSFETQ2が過剰に発熱した場合には、主として第2MOSFET領域RG202の温度が上昇するが、これは第2MOSFET領域RG202の左下に配置されたダイオードDD2で検知できるため、制御回路(上記制御回路DRに対応する回路)がパワーMOSFETQ2を速やかにオフすることができる。この際、第1MOSFET領域RG201の左下に配置されたダイオードDD1は、パワーMOSFETQ2から離れているため、パワーMOSFETQ2の過剰な温度上昇を検知せず、パワーMOSFETQ1はオフされない。
【0133】
一方、
図20に示される第2の比較例の半導体チップCP201においては、パワーMOSFETQ1が過剰に発熱した場合には、主として第1MOSFET領域RG201の温度が上昇するが、これは第1MOSFET領域RG201の左下に配置されたダイオードDD1で検知できるため、制御回路がパワーMOSFETQ1を速やかにオフすることができる。この際、第2MOSFET領域RG202の左下に配置されたダイオードDD2は、パワーMOSFETQ1にも近いため、パワーMOSFETQ1の過剰な温度上昇を、ダイオードDD1だけでなくダイオードDD2までもが検知してしまい、ダイオードDD2による検知に従って制御回路がパワーMOSFETQ2をオフしてしまう虞がある。これは、ダイオードDD2の誤作動(誤検知)である。
【0134】
また、
図22に示される第2の比較例の半導体チップCP201は、
図21に示される第1の比較例の2つの半導体チップCP101a,CP101bを連結して(つなげて)1つの半導体チップにしたものに対応している。
図21の第1の比較例の各半導体チップCP101a,CP101bでは、右下の角部近傍にダイオードDD1,DD2がそれぞれ配置されていたのに対応して、
図22の第2の比較例の半導体チップCP201においては、第1MOSFET領域RG201の右下の角部近傍にダイオードDD1が配置され、第2MOSFET領域RG202の右下の角部近傍にダイオードDD2が配置されている。
【0135】
図22に示される第2の比較例の半導体チップCP201においては、パワーMOSFETQ1が過剰に発熱した場合には、これを第1MOSFET領域RG201の右下に配置されたダイオードDD1で検知して、制御回路がパワーMOSFETQ1を速やかにオフすることができる。この際、第2MOSFET領域RG202の右下に配置されたダイオードDD2は、パワーMOSFETQ1から離れているため、パワーMOSFETQ1の過剰な温度上昇を検知せず、パワーMOSFETQ2はオフされない。
【0136】
一方、
図22に示される第2の比較例の半導体チップCP201においては、パワーMOSFETQ2が過剰に発熱した場合には、これを第2MOSFET領域RG202の右下に配置されたダイオードDD2で検知して、制御回路がパワーMOSFETQ2を速やかにオフすることができる。この際、第1MOSFET領域RG201の右下に配置されたダイオードDD1は、パワーMOSFETQ2にも近いため、パワーMOSFETQ2の過剰な温度上昇を、ダイオードDD2だけでなくダイオードDD1までもが検知してしまい、ダイオードDD1による検知に従って制御回路がパワーMOSFETQ1をオフしてしまう虞がある。これは、ダイオードDD1の誤作動(誤検知)である。
【0137】
本来、パワーMOSFETQ1とパワーMOSFETQ2とはそれぞれ独立に制御されるべきものであり、パワーMOSFETQ1が過剰に温度上昇したときには、パワーMOSFETQ1をオフする必要があるが、パワーMOSFETQ2はオフされる必要がなく、また、パワーMOSFETQ2が過剰に温度上昇したときには、パワーMOSFETQ2をオフする必要があるが、パワーMOSFETQ1はオフされる必要がない。すなわち、ダイオードDD1は、パワーMOSFETQ1の過剰な温度上昇(発熱)を敏感に検知できるが、パワーMOSFETQ2の温度上昇(発熱)には鈍感であり、一方、ダイオードDD2は、パワーMOSFETQ2の過剰な温度上昇(発熱)を敏感に検知できるが、パワーMOSFETQ1の温度上昇(発熱)には鈍感であることが要求される。このため、パワーMOSFETQ1,Q2を形成した半導体チップにおいて、ダイオードDD1,DD2の誤作動を防止することは極めて重要であり、そのためには、ダイオードDD1,DD2の配置位置を工夫することが重要であることを、本発明者は見出した。
【0138】
図23〜
図25は、本実施の形態の半導体チップCP1におけるダイオードDD1,DD2の配置位置を示す平面図であり、上記
図12および
図13や
図19〜
図22に相当するものである。なお、
図23〜
図25は、平面図であるが、理解を簡単にするために、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2と、ダイオードDD1,DD2が形成されている領域とにハッチングを付して示してある。但し、
図23〜
図25では、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDについては、図示を省略している。また、
図23〜
図25において、パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q1を付した点線で囲んで模式的に示し、パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q2を付した点線で囲んで模式的に示してある。
【0139】
本実施の形態では、1つの半導体チップCP1にパワーMOSFETQ1,Q2が形成されている。そして、この半導体チップCP1において、上記
図12および
図13や
図23〜
図25にも示されるように、パワーMOSFETQ1(に対応する縦型のパワーMOSFET)が形成された第1MOSFET領域RG1にダイオードDD1も形成(配置)され、パワーMOSFETQ2(に対応する縦型のパワーMOSFET)が形成された第2MOSFET領域RG2にダイオードDD2も形成(配置)されている。そして、第1MOSFET領域RG1に配置されたダイオードDD1が、パワーMOSFETQ2(に対応する縦型のパワーMOSFET)からはできるだけ離れて位置し、かつ、第2MOSFET領域RG2に配置されたダイオードDD2が、パワーMOSFETQ1(に対応する縦型のパワーMOSFET)からはできるだけ離れて位置するように、ダイオードDD1,DD2の位置が設計されている。すなわち、次のような観点で、ダイオードDD1,DD2の位置が設計されている。
【0140】
本実施の形態では、まず、第1の要件として、半導体チップCP1の主面(の第1MOSFET領域RG1)において、ダイオードDD1は、第2MOSFET領域RG2(より特定的には第2MOSFET領域RG2に形成されているパワーMOSFETQ2)よりも半導体チップCP1の辺SD1に近くなるように配置する。そして、半導体チップCP1の主面(の第2MOSFET領域RG2)において、ダイオードDD2は、第1MOSFET領域RG1(より特定的には第1MOSFET領域RG1に形成されているパワーMOSFETQ1)よりも半導体チップCP1の辺SD2に近くなるように配置する。
【0141】
上記第1の要件を別の観点から言うと、半導体チップCP1において、ダイオードDD1(が形成されている領域)からパワーMOSFETQ2(に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域)までの距離よりも、ダイオードDD1(が形成されている領域)から辺SD1までの距離の方が小さく(短く)なるようにする。そして、半導体チップCP1において、ダイオードDD2(が形成されている領域)からパワーMOSFETQ1(に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域)までの距離よりも、ダイオードDD2(が形成されている領域)から辺SD2までの距離の方が小さく(短く)なるようにする。
【0142】
上記第1の要件を更に別の観点から言うと、ダイオードDD1は、第1MOSFET領域RG1の中心線CL1よりも辺SD1側に位置し、かつ、ダイオードDD2は、第2MOSFET領域RG2の中心線CL2よりも辺SD2側に位置している。すなわち、ダイオードDD1は、半導体チップCP1の主面において、辺SD1と第1MOSFET領域RG1の中心線CL1との間に位置し、ダイオードDD2は、半導体チップCP1の主面において、辺SD2と第2MOSFET領域RG2の中心線CL2との間に位置している。この中心線CL1,CL2は仮想線であり、
図23〜
図25において一点鎖線で示されている。中心線CL1は、辺SD1に平行であり、中心線CL2は、辺SD2に平行である。中心線CL1は、辺SD1と中心線CLとの間で第1MOSFET領域RG1を二等分する線でもあり、また、中心線CL2は、辺SD2と中心線CLとの間で第2MOSFET領域RG2を二等分する線でもある。
【0143】
図23〜
図25のいずれの場合も、この第1の要件を満たしている。
【0144】
ここで、半導体チップCP1の辺SD1と辺SD2とは、半導体チップCP1の主面において互いに対向する辺であり、好ましくは辺SD1と辺SD2とは互いに平行である。半導体チップCP1の主面において、辺SD1と辺SD2との間(より特定的には辺SD1と辺SD2とのほぼ中央)に第1MOSFET領域RG1と第2MOSFET領域RG2との境界(この境界は中心線CLにほぼ一致している)が位置しており、辺SD1側に第1MOSFET領域RG1が位置し、辺SD2側に第2MOSFET領域RG2が位置している。従って、辺SD1は第1MOSFET領域RG1の端部を形成し、辺SD2は第2MOSFET領域RG2の端部を形成している。このため、パワーMOSFETQ1(に対応する縦型のパワーMOSFET)は、半導体チップCP1の主面において辺SD2よりも辺SD1に近くなるように配置され、パワーMOSFETQ2(に対応する縦型のパワーMOSFET)は、半導体チップCP1の主面において辺SD1よりも辺SD2に近くなるように配置されている。つまり、半導体チップCP1の主面において、パワーMOSFETQ1と辺SD2との間にパワーMOSFETQ2が配置され、パワーMOSFETQ2と辺SD1との間にパワーMOSFETQ1が配置されている。
【0145】
上記第2の比較例の半導体チップCP201のように、全く同じ構成の2つの半導体チップ(CP101a,CP101b)を連結して(つなげて)1つの半導体チップにした場合には、上記第1の要件を満たすことはできない。これは、上記
図20のように、ダイオードDD1をパワーMOSFETQ2よりも半導体チップCP201の辺SD201に近くなるように配置した場合には、ダイオードDD2は半導体チップCP201の辺SD202よりもパワーMOSFETQ1に近くなるように配置されてしまうためである。また、上記
図22のように、ダイオードDD2をパワーMOSFETQ1よりも半導体チップCP201の辺SD202に近くなるように配置した場合には、ダイオードDD1は半導体チップCP201の辺SD201よりもパワーMOSFETQ2に近くなるように配置されてしまうためである。本実施の形態とは異なり、上記
図20の半導体チップCP201のようにダイオードDD2がパワーMOSFETQ1に近い場合や、上記
図22の半導体チップCP201のようにダイオードDD1がパワーMOSFETQ2に近い場合には、上述したように、ダイオードDD1またはダイオードDD2のいずれかが誤動作してしまう可能性がある。
【0146】
それに対して、本実施の形態では、上記第1の要件を満たすことで、すなわち、半導体チップCP1の第1MOSFET領域RG1において、ダイオードDD1を、パワーMOSFETQ2よりも半導体チップCP1の辺SD1に近くなるように配置したことで、ダイオードDD1とパワーMOSFETQ2との間の距離(間隔)が大きくなる。このため、パワーMOSFETQ2の発熱による影響をダイオードDD1が受けにくくなるので、パワーMOSFETQ2による発熱によって、ダイオードDD1が誤動作してしまうのを抑制または防止することができる。また、本実施の形態では、上記第1の要件を満たすことで、すなわち、半導体チップCP1の第2MOSFET領域RG2において、ダイオードDD2を、パワーMOSFETQ1よりも半導体チップCP1の辺SD2に近くなるように配置したことで、ダイオードDD2とパワーMOSFETQ1との間の距離(間隔)が大きくなる。このため、パワーMOSFETQ1の発熱による影響をダイオードDD2が受けにくくなるので、パワーMOSFETQ1による発熱によってダイオードDD2が誤動作してしまうのを抑制または防止することができる。これにより、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0147】
図23〜
図25は、いずれも上記第1の要件を満たしているため、半導体チップCP1において、ダイオードDD1とパワーMOSFETQ2との間の距離(間隔)と、ダイオードDD2とパワーMOSFETQ1との間の距離(間隔)との両方を大きくすることができるので、ダイオードDD1,DD2の誤動作を抑制または防止することができる。
【0148】
また、ダイオードDD1,DD2の誤動作をできるだけ防止できるようにするためには、上記第1の要件を満たした上で、半導体チップCP1において、ダイオードDD1と第2MOSFET領域RG2(パワーMOSFETQ2)との間の距離をできるだけ大きくし、また、ダイオードDD2と第1MOSFET領域RG1(パワーMOSFETQ1)との間の距離をできるだけ大きくすることが望ましい。半導体チップCP1において、ダイオードDD1と第2MOSFET領域RG2(パワーMOSFETQ2)との間の距離は、ダイオードDD1を辺SD1に沿って配置したときに、ほぼ最大とすることができ、また、ダイオードDD2と第1MOSFET領域RG1(パワーMOSFETQ1)との間の距離は、ダイオードDD2を辺SD2に沿って配置したときに、ほぼ最大とすることができる。このため、本実施の形態では、
図25に示されるように、ダイオードDD1は、好ましくは、半導体チップCP1の主面において辺SD1に沿って配置し、ダイオードDD2は、好ましくは、半導体チップCP1の主面において辺SD2に沿って配置する。これにより、半導体チップCP1において、ダイオードDD1と第2MOSFET領域RG2(パワーMOSFETQ2)との間の距離と、ダイオードDD2と第1MOSFET領域RG1(パワーMOSFETQ1)との間の距離とを、最大限大きくすることができるため、ダイオードDD1,DD2の誤動作の防止効果を高めることができる。
【0149】
すなわち、
図23〜
図25は、いずれも上記第1の要件を満たしているため、ダイオードDD1,DD2の誤動作を抑制または防止する効果を得ることができるが、
図25の場合(ダイオードDD1を辺SD1に沿って配置し、かつダイオードDD2を辺SD2に沿って配置した場合)が、ダイオードDD1,DD2の誤動作の防止効果を最も高くすることができる。これにより、半導体装置の性能を更に向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を更に向上させることができる。
【0150】
<半導体チップにおけるパッド電極について>
本実施の形態では、ダイオードDD1,DD2の誤動作をできるだけ防止できるようにするために、ダイオードDD1,DD2の配置位置だけでなく、パッド電極PDの配置位置についても工夫している。
【0151】
図26〜
図28は、本実施の形態の半導体チップCP1におけるダイオードDD1,DD2およびパッド電極PDの配置位置を示す平面図である。上記
図23〜
図25では、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDの図示を省略していたが、
図26〜
図28では、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を含む全てのパッド電極PDを図示している。なお、
図26は、上記
図23において、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDを追加記載したものに対応し、
図27は、上記
図24において、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDを追加記載したものに対応し、
図28は、上記
図25において、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDを追加記載したものに対応する。
図26〜
図28は、平面図であるが、理解を簡単にするために、パッド電極PDと、ダイオードDD1,DD2が形成されている領域とにハッチングを付して示してある。また、
図26〜
図28において、パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q1を付した点線で囲んで模式的に示し、パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q2を付した点線で囲んで模式的に示してある。
【0152】
本実施の形態では、第2の要件として、半導体チップCP1の主面において、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除くパッド電極PDのうちの少なくとも1つを配置している。
【0153】
図26〜
図28のいずれの場合も、この第2の要件を満たしている。すなわち、半導体チップCP1が有するパッド電極PDでかつパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PD(
図26〜
図28の場合は12個のパッド電極PD)のうち、
図26の場合は8個のパッド電極PDをダイオードDD1,DD2間に配置し、
図27の場合は10個のパッド電極PDをダイオードDD1,DD2間に配置し、
図28の場合は12個全部のパッド電極PDをダイオードDD1,DD2間に配置している。
【0154】
ソース用のパッド電極PDS1,PDS2は、パッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDよりも大面積である。半導体チップCP1において、ソース用のパッド電極PDS1は、パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETの直上に形成され、パワーMOSFETQ1がオンするとソース用のパッド電極PDS1には大電流が流れる構成となっている。また、半導体チップCP1において、ソース用のパッド電極PDS2は、パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETの直上に形成されており、パワーMOSFETQ2がオンするとソース用のパッド電極PDS2には大電流が流れる構成となっている。このため、パッド電極PDS1,PDS2は、パワーMOSFETQ1,Q2とともに発熱源となり得る。ソース用のパッド電極PDS1,PDS2には、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDに比べて、大電流が流れることから、上記ボンディングワイヤBWではなく上記金属板MPL1,MPL2が接続されている。
【0155】
一方、半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PDのうち、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除くパッド電極PDは、フィールド絶縁膜(素子分離領域)2の直上に形成されている。また、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDは、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2に比べて流れる電流が小さいことから、発熱源とはならず、また、上記ボンディングワイヤBWが接続されている。
【0156】
上記第1の要件を満たすことで、ダイオードDD1とパワーMOSFETQ2との間の距離(間隔)と、ダイオードDD2とパワーMOSFETQ1との間の距離(間隔)とを大きくしたとしても、パワーMOSFETQ2が過剰に発熱すると、その熱はいずれはダイオードDD1まで伝わり、また、パワーMOSFETQ1が過剰に発熱すると、その熱はいずれはダイオードDD2まで伝わる。ダイオードDD1,DD2の誤動作をできるだけ防止するためには、パワーMOSFETQ2の発熱がダイオードDD1まで伝わりにくく、かつ、パワーMOSFETQ1の発熱がダイオードDD2まで伝わりにくくすることが有効である。
【0157】
このため、上記第2の要件のように、半導体チップCP1の主面において、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除くパッド電極PDのうちの少なくとも1つを、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に配置することで、パワーMOSFETQ2の発熱がダイオードDD1まで伝わりにくく、かつ、パワーMOSFETQ1の発熱がダイオードDD2まで伝わりにくくすることができる。これは、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に配置されたパッド電極PDから、そこに接続された接続部材(ここでは上記ボンディングワイヤBW)を介して、半導体チップCP1の外部に放熱されるという放熱経路が形成されるためである。
【0158】
すなわち、パッド電極PD(但しソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除く)をダイオードDD1とダイオードDD2との間に配置することで、パワーMOSFETQ2が過剰に発熱したときに、その熱がダイオードDD1に伝わるまでに、その途中にあるパッド電極PD(ダイオードDD1,DD2間に位置するパッド電極PD)から、ボンディングワイヤBWを介して半導体チップCP1の外部に放熱することができる。このため、パワーMOSFETQ2の発熱によるダイオードDD1の温度上昇を抑制することができ、ダイオードDD1の誤動作を抑制または防止できる。また、パッド電極PD(但しソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除く)をダイオードDD1とダイオードDD2との間に配置することで、パワーMOSFETQ1が過剰に発熱したときに、その熱がダイオードDD2に伝わるまでに、その途中にあるパッド電極PD(ダイオードDD1とダイオードDD2との間に位置するパッド電極PD)から、ボンディングワイヤBWを介して半導体チップCP1の外部に放熱することができる。このため、パワーMOSFETQ1の発熱によるダイオードDD2の温度上昇を抑制することができ、ダイオードDD2の誤動作を抑制または防止できる。
【0159】
また、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDの下にはフィールド絶縁膜(素子分離領域)2が配置されている。このフィールド絶縁膜(素子分離領域)2も、パワーMOSFETQ2が過剰に発熱したときのパワーMOSFETQ2からダイオードDD1への伝熱と、パワーMOSFETQ1が過剰に発熱したときのパワーMOSFETQ1からダイオードDD2への伝熱とを抑制するのに寄与する。このため、パッド電極PD(但しソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除く)をダイオードDD1,DD2間に配置することにより、そのパッド電極PDの下にフィールド絶縁膜2が延在することで、パワーMOSFETQ2の発熱によるダイオードDD1の温度上昇と、パワーMOSFETQ1の発熱によるダイオードDD2の温度上昇とを抑制することができ、ダイオードDD1,DD2の誤動作を抑制または防止できる。
【0160】
このように、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に位置するパッド電極PD(但しソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除く)は、パワーMOSFETQ2からダイオードDD1への熱伝導や、パワーMOSFETQ1からダイオードDD2への熱伝導を阻害するように作用することができる。このため、本実施の形態では、上記第2の要件のように、半導体チップCP1の主面において、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除くパッド電極PDのうちの少なくとも1つを配置することで、ダイオードDD1,DD2の誤動作の防止効果を高めることができる。これにより、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0161】
また、ダイオードDD1,DD2の誤動作をできるだけ防止できるようにするためには、上記第2の要件を満たすだけでなく、更に次のようにパッド電極PDの配置位置を設定することが好ましい。すなわち、半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PDのうち、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除く全てのパッド電極PDについて、半導体チップCP1の主面において、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に配置することが好ましい。ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDは、上述のように、半導体チップCP1における熱伝導を阻害可能である。このため、発熱源となり得るソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PD(すなわち熱伝導を阻害可能なパッド電極)を全て、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に配置することで、パワーMOSFETQ2の発熱によるダイオードDD1の温度上昇と、パワーMOSFETQ1の発熱によるダイオードDD2の温度上昇とを、的確に抑制または防止することができる。このため、ダイオードDD1,DD2の誤動作の防止効果を高めることができる。これにより、半導体装置の性能を更に向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を更に向上させることができる。
【0162】
図26〜
図28は、いずれも、パッド電極PDの配置が上記第2の要件を満たしているため、ダイオードDD1,DD2の誤動作を抑制または防止する効果を得ることができるが、
図28の場合(ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外の全てのパッド電極PDをダイオードDD1,DD2間に配置した場合)が、ダイオードDD1,DD2の誤動作の防止効果を最も高くすることができる。
【0163】
また、半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PDのうち、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除く全てのパッド電極PDを、半導体チップCP1の主面において、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に、半導体チップCP1の辺SD3に沿って配置することが、より好ましい。ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDには、上述のようにボンディングワイヤBWの一端が接続され、このボンディングワイヤBWの他端は、半導体チップCP2のパッド電極PD2に接続される。ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除くパッド電極PDを半導体チップCP1の辺SD3に沿って配置することで、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDにボンディングワイヤBWを接続しやすくなり、また、半導体チップCP1のパッド電極PD(但しソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除く)と半導体チップCP2のパッド電極PD2との間をボンディングワイヤBWによって接続しやすくなる。
【0164】
また、
図28や、上記12および
図13にも示されるように、ダイオードDD1は、半導体チップCP1の主面において辺SD1と辺SD3とで形成される角部近傍に配置され、ダイオードDD2は、半導体チップCP1の主面において辺SD2と辺SD3とで形成される角部近傍に配置されていることが好ましい。これにより、半導体チップCP1において、パワーMOSFETQ1,Q2(に対応する縦型のパワーMOSFET)が形成されている領域の面積を低減せずにダイオードDD1,DD2を配置できるとともに、ダイオードDD1とパワーMOSFETQ2との距離と、ダイオードDD2とパワーMOSFETQ1との距離との両方を大きくすることができるので、ダイオードDD1,DD2の誤動作防止効果を効率的に高めることができる。また、半導体チップCP1の主面において、辺SD1と辺SD3とで形成される角部近傍にダイオードDD1を配置し、辺SD2と辺SD3とで形成される角部近傍にダイオードDD2を配置することで、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に配置されたパッド電極PD(但しソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除く)を、辺SD3に沿った位置に配置することができる。辺SD3に沿ってパッド電極PDを配置することで得られる効果は、上述の通りである。
【0165】
また、半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PDのうち、パワーMOSFETQ1またはダイオードDD1に電気的に接続されたパッド電極PD(上記パッド電極PDG1,PDA1,PDC1,PDN1,PDK1を含む)は、半導体チップCP1の主面において第1MOSFET領域RG1に配置されている。また、半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PDのうち、パワーMOSFETQ2またはダイオードDD2に電気的に接続されたパッド電極PD(上記パッド電極PDG2,PDA2,PDC2,PDN2,PDK2を含む)は、半導体チップCP1の主面において第2MOSFET領域RG2に配置されている。別の見方をすると、半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PDのうち、パワーMOSFETQ1またはダイオードDD1に電気的に接続されたパッド電極PD(上記パッド電極PDG1,PDA1,PDC1,PDN1,PDK1を含む)は、半導体チップCP1の主面において辺SD2よりも辺SD1に近くなるように配置されている。また、半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PDのうち、パワーMOSFETQ2またはダイオードDD2に電気的に接続されたパッド電極PD(上記パッド電極PDG2,PDA2,PDC2,PDN2,PDK2を含む)は、辺SD1よりも辺SD2に近くなるように配置されている。これにより、パワーMOSFETQ1,Q2およびダイオードDD1,DD2と複数のパッド電極PDとの間を接続する配線(上記導電体膜22で形成された配線)を短くすることできるため、この配線の引き回しが容易になるとともに、配線抵抗を低減できる。
【0166】
また、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2は、半導体チップCP1の主面において、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除く複数のパッド電極PDと辺SD4との間に配置されている。別の見方をすると、半導体チップCP1の主面において、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDを辺SD3側に(すなわち辺SD4よりも辺SD3に近くなるように)配置し、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を辺SD4側に(すなわち辺SD3よりも辺SD4に近くなるように)配置している。そして、ソース用のパッド電極PDS1は、半導体チップCP1の主面において、辺SD2よりも辺SD1に近くなるように配置され、ソース用のパッド電極PDS2は、半導体チップCP1の主面において、辺SD1よりも辺SD2に近くなるように配置されている。すなわち、ソース用のパッド電極PDS2は、半導体チップCP1の主面において、ソース用のパッド電極PDS1と辺SD2との間に配置され、また、ソース用のパッド電極PDS1は、半導体チップCP1の主面において、ソース用のパッド電極PDS2と辺SD1との間に配置されている。このようにすることにより、半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PD(ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を含む)を、半導体チップCP1の主面に効率よく配置することができる。
【0167】
また、半導体チップCP1において、ソース用のパッド電極PDS1は、パワーMOSFETQ1(に対応する縦型のパワーMOSFET)の上部に形成(配置)され、ソース用のパッド電極PDS2は、パワーMOSFETQ2(に対応する縦型のパワーMOSFET)の上部に形成(配置)されている。これにより、ソース用のパッド電極PDS1をパワーMOSFETQ1(に対応する縦型のパワーMOSFET)と最短経路で接続することができ、また、ソース用のパッド電極PDS2をパワーMOSFETQ2(に対応する縦型のパワーMOSFET)と最短経路で接続することができる。このため、パワーMOSFETQ1,Q2のオン抵抗を低減することができる。
【0168】
また、半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PDのうち、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2のそれぞれは、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除くパッド電極PDのそれぞれよりも平面積が大きいことが好ましい。すなわち、ソース用の各パッド電極PDS1,PDS2の平面積は、それ以外の各パッド電極PDの平面積よりも大きいことが好ましい。これにより、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PDよりも大電流が流れるソース用のパッド電極PDS1,PDS2の面積を効率的に大きくすることができる。このため、電流損失を低減でき、またパワーMOSFETQ1,Q2のオン抵抗を効率的に低減することができる。また、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2に上記金属板MPL1,MPL2を接続しやすくなる。
【0169】
また、半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PDのうち、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に配置されたパッド電極PD(すなわちソース用のパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PD)には、ボンディングワイヤBWがそれぞれ接続されている。一方、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2には、上記金属板MPL1,MPL2がそれぞれ接続されている。
【0170】
図29は、本実施の形態の半導体装置PKGにおける半導体チップCP1と半導体チップCP2の配置位置とボンディングワイヤBWによる接続関係を示す平面図である。
図29は、上記
図7において、半導体チップCP1,CP2と、半導体チップCP1,CP2(のパッド電極PD,PD2)間を接続するボンディングワイヤBWのみを取り出して示したものにほぼ対応している。
【0171】
本実施の形態の半導体装置PKGにおいては、半導体チップCP1と半導体チップCP2との間の接続をしやすくするために、
図29や上記
図6および
図7にも示されるように、半導体チップCP1を制御するための半導体チップCP2は、半導体チップCP1の辺SD4よりも辺SD3に近くなるように配置されている。そして、半導体チップCP1の主面において辺SD3に沿って配置された複数のパッド電極PD(すなわちパッド電極PDS1,PDS2以外のパッド電極PD)と、半導体チップCP2の複数のパッド電極PD2とを、複数のボンディングワイヤBWを介して電気的に接続している。
【0172】
この場合、
図29や上記
図6および
図7に示されるように、半導体チップCP1の辺SD3に半導体チップCP2の辺SD5が対向するように、半導体チップCP1,CP2が配置されていることが、より好ましい。また、半導体チップCP2の主面において辺SD5に沿って複数のパッド電極PD2(半導体チップCP1のパッド電極PDに電気的に接続されるべきパッド電極PD2)を配置(配列)させることが、より好ましい。このようにすることで、半導体チップCP1におけるパッド電極PD(半導体チップCP2のパッド電極PD2に電気的に接続されるべきパッド電極PD)と、半導体チップCP2におけるパッド電極PD2(半導体チップCP1のパッド電極PDに電気的に接続されるべきパッド電極PD2)とを、ボンディングワイヤBWを介して容易かつ的確に接続することができる。
【0173】
また、
図29や上記
図6および
図7に示されるように、半導体チップCP2は、互いに対向する辺SD5と辺SD6とを有している。そして、半導体チップCP2が有する複数のパッド電極PD2のうち、半導体チップCP1のパッド電極PDに電気的に接続されるべきパッド電極PD2を、半導体チップCP2の主面において辺SD5に沿って配置し、リードLD2に電気的に接続されるべきパッド電極PD2を、半導体チップCP2の主面において辺SD6に沿って配置すれば、より好ましい。これにより、半導体チップCP2(のパッド電極PD2)と半導体チップCP1(のパッド電極PD)との間と、半導体チップCP2(のパッド電極PD2)とリードLD2との間とを、(ボンディングワイヤBWを介して)容易かつ的確に接続することができる。
【0174】
本実施の形態の半導体装置PKGでは、上記負荷LA1が短絡するなどして半導体チップCP1においてパワーMOSFETQ1が過剰に発熱した場合には、これをダイオードDD1が検知することで、パワーMOSFETQ1を速やかにオフすることができ、パワーMOSFETQ1の過剰な発熱を速やかに停止することができる。この際、本実施の形態では、上述のようにダイオードDD2の誤動作を防止できるため、パワーMOSFETQ2は、スイッチ素子として正常に使用することができる。また、上記負荷LA2が短絡するなどして半導体チップCP1においてパワーMOSFETQ2が過剰に発熱した場合には、これをダイオードDD2が検知することで、パワーMOSFETQ2を速やかにオフすることができ、パワーMOSFETQ2の過剰な発熱を速やかに停止することができる。この際、上述のようにダイオードDD1の誤動作を防止できるため、パワーMOSFETQ1は、スイッチ素子として正常に使用することができる。このように、独立に制御されるパワーMOSFETQ1,Q2において、オフすべきパワーMOSFETのみをオフし、オフすべきでないパワーMOSFETはオフされないようにすることができるため、独立に制御されるべきパワーMOSFETQ1,Q2を、的確に制御できるようになる。
【0175】
<シミュレーション結果>
図30および
図31は、パワーMOSFETQ1,Q2を形成した半導体チップにおける温度変化をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図30には、本実施の形態の半導体チップCP1に対応する半導体チップにおいて、パワーMOSFETQ2が過剰に発熱したときの、上記
図23示される位置C1に対応する位置での温度変化と上記
図23示される位置C2に対応する位置での温度変化とが示されている。
図31は、
図30における0〜0.1秒の間を拡大して示したグラフである。ここで、パワーMOSFETQ2の発熱の開始時点が
図30および
図31のグラフの横軸の始点(0秒)に対応し、パワーMOSFETQ2の発熱が開始した時点からの経過時間を
図30および
図31のグラフの横軸としている。また、
図30および
図31のグラフの縦軸は温度に対応し、上記
図23示される位置C1に対応する位置での温度と上記
図23示される位置C2に対応する位置での温度とが示されている。また、パワーMOSFETQ1,Q2のうち、パワーMOSFETQ2が発熱しかつパワーMOSFETQ1は発熱しない状態でシミュレーションを行っている。パワーMOSFETQ2の発熱量は、パワーMOSFETQ2をオン状態にしたときにパワーMOSFETQ2に通常流れる電流よりも過剰な電流(例えば上記負荷LA2が短絡したときに流れ得る電流)がパワーMOSFETQ2に流れた場合を仮定している。
【0176】
パワーMOSFETQ2が過剰に発熱した場合には、パワーMOSFETQ2が形成されている領域だけでなく、位置C1および位置C2においても温度が上昇する。この際、
図30および
図31のグラフに示されるように、パワーMOSFETQ2に近い位置C1では、温度が急速に上昇するが、パワーMOSFETQ2から離れている位置C2では、位置C1に比べて温度上昇が緩やかである。
図30および
図31の場合は、位置C1では、パワーMOSFETQ2の発熱が開始されてから約0.02秒後にピーク温度の約160℃に達している。位置C1での温度が、約0.02秒で約160℃に達してピークとなった後に下降に転じているが、これは、上記ダイオードDD2でパワーMOSFETQ2の過剰な発熱を検知してパワーMOSFETQ2をオフ状態に切り換えたことを反映している。このため、
図30および
図31のグラフにおいて、パワーMOSFETQ2は、横軸の0秒〜約0.02秒の間、発熱状態となっている。一方、位置C2では、位置C1に比べて温度上昇が緩やかであり、パワーMOSFETQ2の発熱が開始されてから約0.1秒後に約110℃に達してピーク温度となり、その後は温度が下降している。位置C1に比べて位置C2では、ピーク温度が低くかつピーク温度を示す時間が遅いのは、位置C1に比べて位置C2の方がパワーMOSFETQ2から離れているためである。
【0177】
このため、上記
図22の第2の比較例の半導体チップCP201のように、位置C1に相当する位置にダイオードDD1を配置した場合には、パワーMOSFETQ2の過剰な発熱時にダイオードDD1の温度が約160℃にまで達する可能性があるため、ダイオードDD1が誤動作する可能性がある。それに対して、上記
図24および
図25(本実施の形態に対応)のように位置C2に相当する位置にダイオードDD1を配置した場合には、パワーMOSFETQ2が過剰に発熱したときにも、ダイオードDD1の温度は約110℃までしか上昇しないため、ダイオードDD1の誤動作を的確に防止できる。
【0178】
例えば、ダイオードDD1の温度が170℃に達したときにパワーMOSFETQ1を強制的にオフし、ダイオードDD2の温度が170℃に達したときにパワーMOSFETQ2を強制的にオフするように設定した場合を仮定する。この場合には、位置C1に相当する位置にダイオードDD1を配置すると、ダイオードDD1の誤動作が懸念されるが、位置C2に相当する位置にダイオードDD1を配置することで、ダイオードDD1の誤動作を防止できる。
【0179】
このため、本実施の形態では、ダイオードDD1,DD2の誤動作を防止できるとともに、パワーMOSFETQ1を強制的にオフするためのダイオードDD1の検知温度と、パワーMOSFETQ2を強制的にオフするためのダイオードDD2の検知温度とを低めに設定できるため、パワーMOSFETQ1に対するダイオードDD1の感度とパワーMOSFETQ2に対するダイオードDD2の感度とを向上させることができる。従って、パワーMOSFETQ1,Q2およびダイオードDD1,DD2を有する半導体チップCP1を備えた半導体装置PKGの性能を向上させることができる。また、信頼性を向上させることができる。
【0180】
(実施の形態2)
図32は、本実施の形態の半導体チップCP1の要部断面図であり、上記実施の形態1の上記
図18に対応するものである。上記
図18と同様、
図32においても、半導体チップCP1において、第1MOSFET領域RG1と第2MOSFET領域RG2との境界を横切る断面図が示されている。
【0181】
本実施の形態が、上記実施の形態1と相違しているのは、本実施の形態の半導体チップCP1では、基板1に溝5aが設けられ、この溝5aに、ダミーのゲート絶縁膜6aを介してダミーのゲート電極7bが埋め込まれていることである。
【0182】
溝5aは、パワーMOSFETQ1,Q2用のトレンチゲート型MISFETのトレンチゲートを構成する上記溝5と同工程で形成された溝である。このため、溝5aと上記溝5とは、深さが同じである。
【0183】
ダミーのゲート絶縁膜6aは、パワーMOSFETQ1,Q2用のトレンチゲート型MISFETの上記ゲート絶縁膜6と同工程で形成された絶縁膜である。このため、ダミーのゲート絶縁膜6aと上記ゲート絶縁膜6とは、同じ絶縁材料で形成されており、例えば、上記ゲート絶縁膜6が酸化シリコン膜の場合には、ダミーのゲート絶縁膜6aも酸化シリコン膜で構成されている。また、ダミーのゲート絶縁膜6aと上記ゲート絶縁膜6とは、同工程で形成されていることを反映して、ほぼ同じ厚みを有している。
【0184】
ダミーのゲート電極7bは、パワーMOSFETQ1,Q2用のトレンチゲート型MISFETのトレンチゲートを構成する上記ゲート電極7と同工程で形成された導電体膜で形成されている。このため、ダミーのゲート電極7bと上記ゲート電極7とは、同じ材料で形成されており、例えば、上記ゲート電極7が多結晶シリコン膜の場合には、ダミーのゲート電極7bも多結晶シリコン膜で構成されている。但し、半導体チップCP1の製造工程中に、上記ゲート電極7にイオン注入で不純物が導入された場合には、そのイオン注入の際にダミーのゲート電極7bにも前記不純物が導入される場合とダミーのゲート電極7bには前記不純物が導入されない場合とがあり得る。
【0185】
ダミーのゲート電極7bおよびダミーのゲート絶縁膜6aは、トレンチゲート型MISFETを構成するゲート電極7およびゲート絶縁膜6と同工程で形成されているが、ダミーのゲート電極7bおよびダミーのゲート絶縁膜6aは、トレンチゲート型MISFETを構成していない。すなわち、ダミーのゲート電極7bは、MISFETのゲート電極としては機能せず、また、ダミーのゲート絶縁膜6aは、MISFETのゲート絶縁膜としては機能しない。このため、ダミーのゲート電極7bおよびダミーのゲート絶縁膜6aについては、「ダミー」と称している。ダミーのゲート電極7bは浮遊電位(フローティング電位)とされるため、半導体チップCP1において、ダミーのゲート電極7bには、配線(半導体チップCP1の内部配線、すなわち上記導電体膜22で形成された配線)は接続されていない。従って、ダミーのゲート電極7bは、浮遊電位の導電体(導電体部、導電体膜)とみなすこともできる。また、溝5aは、浮遊電位の導電体(すなわちダミーのゲート電極7b)が埋め込まれた溝とみなすこともできる。
【0186】
本実施の形態では、ダミーのゲート絶縁膜6aを介してダミーのゲート電極7bが埋め込まれた溝5aを基板1に設けているが、この溝5aの形成位置を次のように工夫している。
図33は、本実施の形態の半導体チップCP1のチップレイアウトを示す平面図であり、半導体チップCP1における溝5aの形成位置が太い黒線で示してある。
図33は、上記
図12において、溝5aの形成位置を追加したものに対応しており、
図33のB2−B2線での断面図が上記
図32にほぼ対応する。
【0187】
すなわち、本実施の形態では、
図32および
図33からも分かるように、半導体チップCP1を構成する基板1の主面において、パワーMOSFETQ1用のトレンチゲート型MISFETが形成された領域(
図33で符号Q1を付された点線で囲まれた領域)と、パワーMOSFETQ2用のトレンチゲート型MISFETが形成された領域(
図33で符号Q2を付された点線で囲まれた領域)との間に、溝5aを形成(配置)している。溝5aは、ダイオードDD1とダイオードDD2との間(
図33の場合はダイオードDD1とダイオードDD2との中間)にまで延在しているため、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に溝5aが形成されていると言うこともできる。また、別の見方をすると、半導体チップCP1を構成する基板1の主面において、第1MOSFET領域RG1と第2MOSFET領域RG2との境界に、溝5aが形成(配置)されている。また、半導体チップCP1にガードリングGRを設ける場合には、半導体チップCP1を構成する基板1の主面において、パワーMOSFETQ1用のトレンチゲート型MISFETが形成された領域と、パワーMOSFETQ2用のトレンチゲート型MISFETが形成された領域との間にガードリングGRが形成されているため、このガードリングGRの下方に溝5aが形成(配置)される。溝5aに埋め込まれたダミーのゲート電極7bは、浮遊電位とされるため、ガードリングGRには電気的に接続されていない。
【0188】
本実施の形態の他の構成は、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0189】
ダミーのゲート絶縁膜6aを介してダミーのゲート電極7bが埋め込まれた溝5aは、熱伝導を阻害するように作用することができる。すなわち、溝5aが形成されている領域と溝5aが形成されていない領域とを比べると、溝5aが形成されていない領域の方が、基板1の平面方向(基板1の主面に平行な方向)の熱伝導がしやすくなる。このため、ダミーのゲート絶縁膜6aを介してダミーのゲート電極7bが埋め込まれた溝5aを上述の位置に設けたことで、パワーMOSFETQ1の発熱を、溝5aが存在する分、第2MOSFET領域RG2に伝わりにくくし、かつ、パワーMOSFETQ2の発熱を、溝5aが存在する分、第1MOSFET領域RG1に伝わりにくくすることができる。このように、溝5aを設けたことで、第1MOSFET領域RG1のパワーMOSFETQ1の発熱による影響を第2MOSFET領域RG2のダイオードDD2が、より受けにくくなり、また、第2MOSFET領域RG2のパワーMOSFETQ2の発熱による影響を第1MOSFET領域RG1のダイオードDD1が、より受けにくくなるため、ダイオードDD1,DD2の誤動作を、より的確に防止できるようになる。これにより、半導体装置の性能を、より的確に向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を、より的確に向上させることができる。また、後述の実施の形態3に本実施の形態を適用することもできる。
【0190】
(実施の形態3)
図34は、本実施の形態の半導体チップCP1のチップレイアウトを示す平面図(上面図)であり、上記
図12、
図13、
図26〜
図28などに対応するものである。なお、
図34は平面図であるが、理解を簡単にするために、パッド電極PDと、ダイオードDD1,DD2,DD3,DD4が形成されている領域とにハッチングを付して示してある。また、
図34において、パワーMOSFETQ1に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q1を付した点線で囲んで模式的に示し、パワーMOSFETQ2に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q2を付した点線で囲んで模式的に示してある。また、
図34において、パワーMOSFETQ3に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q3を付した点線で囲んで模式的に示し、パワーMOSFETQ4に対応する縦型のパワーMOSFETが形成されている領域を、符号Q4を付した点線で囲んで模式的に示してある。
【0191】
上記実施の形態1では、半導体チップCP1は、2つのスイッチ素子としての2つのパワーMOSFETQ1,Q2と、それらの発熱(温度)を検知するための2つのダイオードDD1,DD2とを内蔵していた。それに対して、本実施の形態では、半導体チップCP1は、スイッチ素子としてのn個(ここでnは3以上の整数)のパワーMOSFET(
図34の場合は4つのパワーMOSFETQ1,Q2,Q3,Q4)と、それらの発熱(温度)を検知するためのn個のダイオード(
図34の場合は4つのダイオードDD1,DD2,DD3,DD4)とを内蔵している。半導体チップCP1の主面において、辺SD1から辺SD2の間に向かってn個のパワーMOSFETが順に並んで配置されている。
図34の場合は、半導体チップCP1の主面において、辺SD1と辺SD2との間に、辺SD1から辺SD2に向かって、パワーMOSFETQ1、パワーMOSFETQ3、パワーMOSFETQ4およびパワーMOSFETQ2が順に並んで配置されている。以下では、半導体チップCP1に形成されたスイッチ素子としてのパワーMOSFETの数nが4個である場合を例に挙げて説明するが、3以上であれば、4個に限定されない。
【0192】
半導体チップCP1に形成された各パワーMOSFETQ1,Q2,Q3,Q4は、互いに独立に制御されるスイッチ素子として機能し、上記半導体チップCP2によって制御される。本実施の形態においても、各パワーMOSFETQ1,Q2,Q3,Q4の構成は、上記実施の形態1の各パワーMOSFETQ1,Q2の構成とほぼ同様であり、各ダイオードDD1,DD2,DD3,DD4の構成は、上記実施の形態1の各ダイオードDD1,DD2の構成とほぼ同様である。従って、半導体チップCP1に内蔵されたパワーMOSFETQ1,Q2,Q3,Q4のぞれぞれは、上記実施の形態1のパワーMOSFETQ1,Q2と同様に、半導体チップCP1に形成された縦型のパワーMOSFET、より特定的には、半導体チップCP1に形成されたトレンチゲート型のMISFETにより形成されている。
【0193】
パワーMOSFETQ1,Q2,Q3,Q4のドレインは、半導体チップCP1の上記裏面電極BEに電気的に接続されている。上記実施の形態1と同様に、
図34に示されるパッド電極PDS1は、半導体チップCP1内に形成されたパワーMOSFETQ1のソースに電気的に接続されたパッド電極(ボンディングパッド)であり、
図34に示されるパッド電極PDS2は、半導体チップCP1内に形成されたパワーMOSFETQ2のソースに電気的に接続されたパッド電極(ボンディングパッド)である。また、
図34に示されるパッド電極PDS3は、半導体チップCP1内に形成されたパワーMOSFETQ3のソースに電気的に接続されたパッド電極(ボンディングパッド)であり、
図34に示されるパッド電極PDS4は、半導体チップCP1内に形成されたパワーMOSFETQ4のソースに電気的に接続されたパッド電極(ボンディングパッド)である。半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PDは、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2,PDS3,PDS4を含んでいるが、更に、パワーMOSFETQ1,Q2,Q3,Q4の各ゲートに電気的に接続されたパッド電極、ダイオードDD1,DD2,DD3,DD4の各アノードに電気的に接続されたパッド電極、ダイオードDD1,DD2,DD3,DD4の各カソードに電気的に接続されたパッド電極などを含んでいる。
図34では、パッド電極PDについて、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2,PDS3,PDS4以外は区別せずに同じ符号PDを付してある。本実施の形態の半導体チップCP1を上記実施の形態1と同様にパッケージ化して半導体装置PKGを構成する場合には、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2だけでなく、ソース用のPDS3,PDS4にも上記金属板MPL1,MPL2と同様の金属板が接続される。
【0194】
上記実施の形態1と同様に、本実施の形態においても、ダイオードDD1は、パワーMOSFETQ1の発熱(温度)を検知するためのダイオードであり、パワーMOSFETQ1とともに第1MOSFET領域RG1に配置され、ダイオードDD2は、パワーMOSFETQ2の発熱(温度)を検知するためのダイオードであり、パワーMOSFETQ2とともに第2MOSFET領域RG2に配置されている。ダイオードDD3は、パワーMOSFETQ3の発熱(温度)を検知するためのダイオードであり、パワーMOSFETQ3とともに第3MOSFET領域RG3に配置され、ダイオードDD4は、パワーMOSFETQ4の発熱(温度)を検知するためのダイオードであり、パワーMOSFETQ4とともに第4MOSFET領域RG4に配置されている。
【0195】
図34に示されるように、本実施の形態の半導体チップCP1は、平面的に見て、半導体チップCP1を、半導体チップCP1の対向する二辺SD1,SD2間でほぼ均等に4つの区画(領域)に分け(すなわち四等分し)、この4つの区画が、第1MOSFET領域RG1、第2MOSFET領域RG2、第3MOSFET領域RG3および第4MOSFET領域RG4となっている。半導体チップCP1の主面において、辺SD1側から辺SD側に、第1MOSFET領域RG1、第3MOSFET領域RG3、第4MOSFET領域RG4および第2MOSFET領域RG2の順に並んでいる。
図34において、二点鎖線で示された線CL3,CL4,CL5は、辺SD1と辺SD2との間で半導体チップCP1を四等分したときの仮想的な境界線(分割線)であり、辺SD1,SD2に平行である。第1MOSFET領域RG1と第3MOSFET領域RG3との境界は、線CL3にほぼ一致し、第3MOSFET領域RG3と第4MOSFET領域RG4との境界は、線CL4にほぼ一致し、第4MOSFET領域RG4と第2MOSFET領域RG2との境界は、線CL5にほぼ一致している。
【0196】
本実施の形態の半導体チップCP1における第1MOSFET領域RG1および第2MOSFET領域RG2の構成は、上記実施の形態1の半導体チップCP1における第1MOSFET領域RG1および第2MOSFET領域RG2の構成とほぼ同様であるので、ここでは、本実施の形態の半導体チップCP1における第3MOSFET領域RG3および第4MOSFET領域RG4の構成について主として説明する。
【0197】
半導体チップCP1の第3MOSFET領域RG3には、パワーMOSFETQ3およびダイオードDD3と、パワーMOSFETQ3またはダイオードDD3に電気的に接続されたパッド電極PDが配置されている。第3MOSFET領域RG3に配置されたパッド電極PDには、パワーMOSFETQ3のソースに電気的に接続されたパッド電極PDS3と、パワーMOSFETQ3のゲートに電気的に接続されたパッド電極PDと、ダイオードDD3のアノードに電気的に接続されたパッド電極PDと、ダイオードDD3のカソードに電気的に接続されたパッド電極PDとが含まれている。また、半導体チップCP1の第4MOSFET領域RG4には、パワーMOSFETQ4およびダイオードDD4と、パワーMOSFETQ4またはダイオードDD4に電気的に接続されたパッド電極PDが配置されている。第4MOSFET領域RG4に配置されたパッド電極PDには、パワーMOSFETQ4のソースに電気的に接続されたパッド電極PDS4と、パワーMOSFETQ4のゲートに電気的に接続されたパッド電極PDと、ダイオードDD4のアノードに電気的に接続されたパッド電極PDと、ダイオードDD4のカソードに電気的に接続されたパッド電極PDとが含まれている。
【0198】
ダイオードDD3の誤動作を防止するためには、ダイオードDD3は、パワーMOSFETQ3の発熱には敏感で、パワーMOSFETQ1,Q2,Q4の発熱には鈍感であることが望ましいため、パワーMOSFETQ3には近く、パワーMOSFETQ1,Q2,Q4からはできるだけ離れていることが好ましい。また、ダイオードDD4の誤動作を防止するためには、ダイオードDD4は、パワーMOSFETQ4の発熱には敏感で、パワーMOSFETQ1,Q2,Q3の発熱には鈍感であることが望ましいため、パワーMOSFETQ4には近く、パワーMOSFETQ1,Q2,Q3からはできるだけ離れていることが好ましい。
【0199】
ダイオードDD3が形成されている第3MOSFET領域RG3は、パワーMOSFETQ1が形成された第1MOSFET領域RG1とパワーMOSFETQ4が形成された第4MOSFET領域RG4とで挟まれているため、ダイオードDD3がパワーMOSFETQ1,Q4のいずれかに近いと、パワーMOSFETQ1,Q4のうちの近い方のパワーMOSFETの発熱時にダイオードDD3の誤動作が懸念される。
【0200】
ダイオードDD3の誤動作を防止するためには、パワーMOSFETQ3の発熱を検知するためのダイオードDD3は、半導体チップCP1の主面において、発熱を検知すべきパワーMOSFETQ3の両隣のパワーMOSFETQ1,Q4からの距離がほぼ同じになるように配置する。すなわち、半導体チップCP1の主面(第3MOSFET領域RG3)において、ダイオードDD3とパワーMOSFETQ1との間の距離(間隔)と、ダイオードDD3とパワーMOSFETQ4との間の距離(間隔)とがほぼ同じになるように、ダイオードDD1を配置する。つまり、半導体チップCP1の主面において、第3MOSFET領域RG3内でかつパワーMOSFETQ1,Q4から等距離の位置にダイオードDD3を配置する。これにより、ダイオードDD3が、パワーMOSFETQ1にも、パワーMOSFETQ4にも近づいていないため、ダイオードDD3の誤動作を抑制または防止することができる。
【0201】
ダイオードDD4についても、同様の観点から、ダイオードDD4の誤動作を防止するためには、パワーMOSFETQ4の発熱を検知するためのダイオードDD4は、半導体チップCP1の主面において、発熱を検知すべきパワーMOSFETQ4の両隣のパワーMOSFETQ2,Q3からの距離がほぼ同じになるように配置する。すなわち、半導体チップCP1の主面(第4MOSFET領域RG4)において、ダイオードDD4とパワーMOSFETQ3との間の距離(間隔)と、ダイオードDD4とパワーMOSFETQ2との間の距離(間隔)とがほぼ同じになるように、ダイオードDD4を配置する。つまり、半導体チップCP1の主面において、第4MOSFET領域RG4内でかつパワーMOSFETQ2,Q3から等距離の位置にダイオードDD4を配置する。これにより、ダイオードDD4が、パワーMOSFETQ3にも、パワーMOSFETQ2にも近づいていないため、ダイオードDD4の誤動作を抑制または防止することができる。
【0202】
半導体チップCP1の主面において、ダイオードDD3およびパワーMOSFETQ1間の距離と、ダイオードDD3およびパワーMOSFETQ4間の距離とがほぼ同じになり、また、ダイオードDD4およびパワーMOSFETQ3間の距離と、ダイオードDD4およびパワーMOSFETQ2間の距離とがほぼ同じになるように、ダイオードDD3,DD4を配置するためには、具体的には以下のようにすればよい。
【0203】
すなわち、
図34に示されるように、ダイオードDD3は、第3MOSFET領域RG3において、辺SD3に沿った方向の中央付近に配置し、ダイオードDD4は、第4MOSFET領域RG4において、辺SD3に沿った方向の中央付近に配置する。これを別の見方で表現すると、ダイオードDD3は、第3MOSFET領域RG3のほぼ中心線CL6上に配置し、ダイオードDD4は、第4MOSFET領域RG4のほぼ中心線CL7上に配置する。
【0204】
ここで、中心線CL6,CL7は仮想線であり、
図34において一点鎖線で示されている。中心線CL6は、辺SD1,SD2に平行であり、線CL3と線CL4との間で第3MOSFET領域RG3を二等分する線である。中心線CL7は、辺SD1,SD2に平行であり、線CL4と線CL5との間で第4MOSFET領域RG4を二等分する線である。線CL3と線CL4との間(より特定的には中央)に中心線CL6が位置し、線CL4と線CL5との間(より特定的には中央)に中心線CL7が位置している。なお、本実施の形態では、上記中心線CL1は、辺SD1と線CL3との間で第1MOSFET領域RG1を二等分する線であり、また、上記中心線CL2は、辺SD2と線CL5との間で第2MOSFET領域RG2を二等分する線である。
【0205】
本実施の形態とは異なり、ダイオードDD3の位置を、中心線CL6上の位置から第1MOSFET領域RG1側にずらした場合には、ダイオードDD3とパワーMOSFETQ1との間の距離が近づくことになり、パワーMOSFETQ1が過剰に発熱したときに、ダイオードDD3の誤動作が懸念される。一方、本実施の形態とは異なり、ダイオードDD3の位置を、中心線CL6上の位置から第4MOSFET領域RG4側にずらした場合には、ダイオードDD3とパワーMOSFETQ4との間の距離が近づくことになり、パワーMOSFETQ4が過剰に発熱したときに、ダイオードDD4の誤動作が懸念される。
【0206】
それに対して、本実施の形態では、ダイオードDD3を、第3MOSFET領域RG3において、辺SD3に沿った方向の中央付近に配置する(すなわちダイオードDD3をほぼ中心線CL6上に配置する)ことにより、ダイオードDD3とパワーMOSFETQ1との間の距離と、ダイオードDD3とパワーMOSFETQ4との間の距離とが、ほぼ同じになる。このため、ダイオードDD3が、パワーMOSFETQ1にも、パワーMOSFETQ4にも近づいていないため、ダイオードDD3の誤動作を抑制または防止することができる。同様に、ダイオードDD4を、第3MOSFET領域RG4において、辺SD3に沿った方向の中央付近に配置する(すなわちダイオードDD4をほぼ中心線CL7上に配置する)ことにより、ダイオードDD4とパワーMOSFETQ3との間の距離と、ダイオードDD4とパワーMOSFETQ2との間の距離とが、ほぼ同じになる。このため、ダイオードDD4が、パワーMOSFETQ3にも、パワーMOSFETQ2にも近づいていないため、ダイオードDD4の誤動作を抑制または防止することができる。
【0207】
また、第3MOSFET領域RG3におけるダイオードDD3の相対的な位置と、第4MOSFET領域RG4におけるダイオードDD4の相対的な位置とを同じにすれば、より好ましい。これにより、半導体チップCP1において、第3MOSFET領域RG3と第4MOSFET領域RG4とを同じ構成(構造)とすることが可能となる。第3MOSFET領域RG3と第4MOSFET領域RG4とを同じ構成とすれば、半導体チップCP1を製造しやすくなるため、半導体チップCP1の製造コストを低減できる。
【0208】
また、半導体チップCP1に形成するスイッチ用のパワーMOSFET(各パワーMOSFETQ1,Q2,Q3,Q4に対応するもの)の数nが、3つの場合には、
図34に示される本実施の形態の半導体チップCP1において、第4MOSFET領域RG4を省略して第3MOSFET領域RG3と第2MOSFET領域RG2とを直接繋いだ構成とすればよい。また、半導体チップCP1に形成するスイッチ用のパワーMOSFET(各パワーMOSFETQ1,Q2,Q3,Q4に対応するもの)の数が、5つ以上の場合には、
図34に示される本実施の形態の半導体チップCP1において、第3MOSFET領域RG3と第4MOSFET領域RG4との間に、第3MOSFET領域RG3と同様の構成のMOSFET領域を追加すればよい。
【0209】
第1MOSFET領域RG1および第2MOSFET領域RG2の構成は、上記実施の形態1の半導体チップCP1における第1MOSFET領域RG1および第2MOSFET領域RG2の構成とほぼ同様であり、ダイオードDD1,DD2の配置は、上記第1の要件を満たす必要がある。
【0210】
但し、本実施の形態では、半導体チップCP1の主面において、第1MOSFET領域RG1と第2MOSFET領域RG2とが隣接していないことに伴い、上記第1の要件は以下のようになる。
【0211】
すなわち、本実施の形態では、第1の要件として、半導体チップCP1の主面(の第1MOSFET領域RG1)において、パワーMOSFETQ1の発熱(温度)を検知するためのダイオードDD1は、第1MOSFET領域RG1(より特定的にはパワーMOSFETQ1)に隣接する第3MOSFET領域RG3(より特定的にはパワーMOSFETQ3)よりも半導体チップCP1の辺SD1に近くなるように配置する。そして、半導体チップCP1の主面(の第2MOSFET領域RG2)において、パワーMOSFETQ2の発熱(温度)を検知するためのダイオードDD2は、第2MOSFET領域RG2(より特定的にはパワーMOSFETQ2)に隣接する第4MOSFET領域RG4(より特定的にはパワーMOSFETQ4)よりも半導体チップCP1の辺SD2に近くなるように配置する。このように、上記実施の形態1の上記第1の要件でダイオードDD1の位置を説明したときの「第2MOSFET領域RG2」および「パワーMOSFETQ2」を、本実施の形態では、「第3MOSFET領域RG3」および「パワーMOSFETQ3」と読み替えればよい。同様に、上記実施の形態1の上記第1の要件でダイオードDD2の位置を説明したときの「第1MOSFET領域RG1」および「パワーMOSFETQ1」を、本実施の形態では、「第4MOSFET領域RG4」および「パワーMOSFETQ4」と読み替えればよい。本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様に、ダイオードDD1,DD2の誤動作を抑制または防止することができる。
【0212】
つまり、n個(nは3以上の整数)のパワーMOSFET(各パワーMOSFETQ1,Q2,Q3,Q4に対応するもの)とそれらの発熱を検知するためのn個のダイオードとが形成された半導体チップCP1において、半導体チップCP1の主面において、辺SD1から辺SD2に向かってn個のパワーMOSFETが順に並んで配置されている場合については、上記第1の要件は次のようになる。
【0213】
すなわち、n個のパワーMOSFETのうちの辺SD1に最も近い第1番目のパワーMOSFET(
図34の場合はパワーMOSFETQ1)の発熱を検知するための第1番目のダイオード(
図34の場合はダイオードDD1)は、半導体チップCP1の主面において、第1番目のパワーMOSFET(Q1)に隣接する第2番目のパワーMOSFET(
図34の場合はパワーMOSFETQ3)よりも辺SD1に近くなるように配置される。そして、n個のパワーMOSFETのうちの辺SD2に最も近い第n番目のパワーMOSFET(
図34の場合はパワーMOSFETQ2)の発熱を検知するための第n番目のダイオード(
図34の場合はダイオードDD2)は、半導体チップCP1の主面において、第n番目のパワーMOSFET(Q2)に隣接する第n−1番目のパワーMOSFET(
図34の場合はパワーMOSFETQ4)よりも辺SD2に近くなるように配置される。そして、第2番目から第n−1番目のパワーMOSFET(
図34の場合はパワーMOSFETQ3,Q4)の発熱を検知するための第2番目から第n−1番目のダイオード(
図34の場合はダイオードDD3,DD4)のそれぞれは、半導体チップCP1の主面において、発熱を検知すべきパワーMOSFETの両隣のパワーMOSFETからの距離がほぼ同じになるように配置される。ここで、半導体チップCP1に形成されたn個のパワーMOSFETを辺SD1から辺SD2に向かって順に、第1番目のパワーMOSFET、第2番目のパワーMOSFET、・・・、第n番目のパワーMOSFETと呼び、これらの発熱(温度)を検知するためのダイオードを、第1番目のダイオード、第2番目のダイオード、・・・、第n番目のダイオードと呼んでいる。
【0214】
これにより、n個のパワーMOSFETとそれらの発熱を検知するためのn個のダイオードとが形成された半導体チップCP1において、ダイオードの誤動作を抑制または防止することができる。このため、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0215】
また、上記実施の形態1と同様に、本実施の形態においても、
図34に示されるように、ダイオードDD1は、半導体チップCP1の主面において辺SD1に沿って配置することが好ましく、また、ダイオードDD2は、半導体チップCP1の主面において辺SD2に沿って配置することが好ましく、これにより、ダイオードDD1,DD2の誤動作の防止効果を高めることができる。
【0216】
このように、半導体チップCP1の主面におけるダイオードDD1,DD2,DD3,DD4の配置位置を工夫することで、ダイオードDD1,DD2,DD3,DD4の誤動作を防止することができる。
【0217】
また、上記実施の形態1と同様に、本実施の形態においても、
図34に示されるように、半導体チップCP1が有する複数のパッド電極PDのうち、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2,PDS3,PDS4を除くパッド電極PDは、半導体チップCP1の辺SD3に沿って配置(配列)することが好ましい。
【0218】
また、上記実施の形態1では、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2を除く全てのパッド電極PDについて、半導体チップCP1の主面において、ダイオードDD1とダイオードDD2との間に配置していた。それに対応して、本実施の形態においても、
図34にも示されるように、ソース用のパッド電極PDS1,PDS2,PDS3,PDS4を除く全てのパッド電極PDを、ダイオードDD1,DD2,DD3,DD4の間に配置することが好ましい。これにより、パワーMOSFETQ2,Q3,Q4の発熱によるダイオードDD1の温度上昇と、パワーMOSFETQ1,Q3,Q4の発熱によるダイオードDD2の温度上昇と、パワーMOSFETQ1,Q2,Q4の発熱によるダイオードDD3の温度上昇と、パワーMOSFETQ1,Q2,Q3の発熱によるダイオードDD4の温度上昇とを抑制することができる。従って、ダイオードDD1,DD2,DD3,DD4の誤動作の防止効果を高めることができる。
【0219】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。