(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動リングは、前記光路開口を中心に所定角度で円弧運動するように前記駆動手段に連結され、前記各羽根部材と前記基板との間には、一方に第1の突起が、他方にこれと嵌合する第1の溝孔が設けられ、前記各羽根部材と前記駆動リングとの間には、一方に第2の突起が、他方にこれと嵌合する第2の溝孔が設けられ、前記第1の突起が第1の溝孔に、前記第2の突起が第2の溝孔にそれぞれ嵌合され、この第1の溝孔と第2の溝孔とは、前記駆動リングの円弧運動で前記各羽根部材が所定の開閉軌跡で前記光路開口を開閉する形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
前記複数の羽根部材の各々には、表面側に前記第1の突起が裏面側に前記第2の突起が設けられ、この第1の突起に係合する第1の溝孔が前記基板に、第2の突起に係合する第2の溝孔が前記駆動リングに形成されることを特徴とする請求項2に記載の光量調整装置。
前記第1の溝孔は前記第1の突起を移動自在にガイドするスリット状の溝孔で形成され、前記第2の溝孔は前記第2の突起を回転自在に支持する軸穴状の溝孔で形成され、前記リング状のフィルム部材は、前記基板と各羽根部材の間に配置され、前記基板の第1の溝孔に対峙しほぼ同形状の溝孔を形成、若しくは前記駆動リングと各羽根部材の間に配置され、前記駆動リングの第2の溝孔に対峙しほぼ同形状の溝孔を形成して成ることを特徴とする請求項3に記載の光量調整装置。
前記第1の溝孔は前記第1の突起を回転自在に支持する軸穴状の溝孔で形成され、前記第2の溝孔は前記第2の突起を移動自在にガイドするスリット状の溝孔で形成され、前記リング状のフィルム部材は、前記基板と各羽根部材の間に配置され、前記基板の第1の溝孔に対峙しほぼ同形状の溝孔を形成、若しくは前記駆動リングと各羽根部材の間に配置され、前記駆動リングの第2の溝孔に対峙しほぼ同形状の溝孔を形成して成ることを特徴とする請求項3に記載の光量調整装置。
前記複数の羽根部材は、6枚乃至18枚の羽根部材で構成され、前記基板又は前記駆動リングと前記羽根部材との間に配置された前記リング状のフィルム部材を弾性変形させる前記段差部は、前記羽根部材の枚数より少ない数で前記光路開口の外周に略等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光量調整装置。
前記複数の羽根部材と前記リング状のフィルム部材とは、プラスチックフィルムなどの同一材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光量調整装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように光路開口の周縁に複数の羽根を配置し、この各羽根を所定角度回動させて通過光量を大小調整する装置として特許文献1、2などで知られている。この場合その構造は、中央に光路開口を有する上下一対の基板間に、複数の羽根部材を軸支持し、この各羽根を基板間に内蔵した駆動リングで開閉する機構が採用されている。
【0009】
そしてその構造は、基板上に複数の羽根部材を互いに隣接する端部を鱗状に重ね合わせて円周方向に配列し、この各羽根部材を駆動リングで同一角度方向に回動させることによって開口径を大小調節するように構成されている。
【0010】
従って、複数の羽根部材は互いに隣接する端部同士が重ね合わされ、羽根のクローズ方向(全閉方向)では重ね合わせ面積が徐々に大きくなるように変化し、羽根のオープン方向(全開方向)では重ね合わせ面積が徐々に小さくなるように変化する。これと共に羽根の構成枚数によっては調整光量に応じて羽根の重ね合わせ枚数が変化する場合がある。
【0011】
図14及び
図15には、7枚構成の羽根構造を示し、光路開口100を有する基板101と押さえ板104間に7枚の羽根部材103を円周方向に隣設端部を重ね合わせて配列する。
図14(a)は小絞り状態の重ね合わせ平面形状を示し、同図(b)は断面構成((a)矢視方向)を示す。同図(b)に示すように羽根部材103は隣接する羽根の一部と重なり合う。
つまり7枚構成の羽根部材を鱗状に重ね合わせた場合、同図(a)に示すように例えば羽根部材103bは羽根部材103aの上重ねられ、羽根部材103cの下側に挿し入れられた状態になり、この関係は最後の重ねた7枚目の羽根部材103gにあっても、羽根部材103gは羽根部材103fの上重ねられ、最初の羽根部材103aの下側に挿し入れられた状態になる。この関係は、n枚構成の羽根部材を鱗状に重ね合わせることによって同様になる。
【0012】
そこで、駆動リングと基板(地板)との間に鱗状に重ね合わされ配置される羽根部材は、
図14(a)で示す小絞り状態において同図(b)の断面構成で示す様に、光路開口100の周縁部分では羽根部材103a、羽根部材103b、羽根部材103cの3枚が重なった状態になる。従って駆動リング102と基板101との間隔(L)は、最大の重なり枚数(n)と羽根部材の厚さ(s)と各羽根部材の開閉動作に要するクリアランス(dc)によって設定される。例えばこの間隔はL≧n・s+n・dcとなるように設定される。
ところが
図15(a)で示す絞り全開放状態において同図(b)の断面構成で示す様に、光路開口100の外周縁に羽根部材103a、羽根部材103bの2枚が重なった状態になる。このように基板101と駆動リング102との間に挟持される羽根部材は、光路開口の開口量に応じてその重なり面積と重なり枚数が変化する。このため羽根部材は駆動リングと基板(地板)との間で可也の空間を持って配設されることとなり次の問題が生ずる。
【0013】
駆動リング102と各羽根部材103とは、一方にピン状突起、他方に溝孔が互いに係合するように設けられ、駆動リングの回転で各羽根部材が開閉動する。これと同時に地板101と各羽根部材との間にも一方にピン状突起、他方に溝孔が互いに係合するように設けられている。この2つの溝孔は各羽根の開閉軌跡に沿ってこれをガイドするように形成されている。
【0014】
このような構成において基板(地板)と駆動リングとの間隔は、最大重なり枚数に応じて設定することとなり、各羽根部材は開口量に応じて重なり枚数が変化する。このため
図14(b)のように光路開口中心側の羽根部材先端部側は3枚重なりとなり、
図15(b)のように基端部側は2枚重なりの羽根部材構成となる。
【0015】
そこで
図14(a)で示す小絞り状態になった場合、3枚重なりとなる羽根部材先端部側は
図8で示す様に他の羽根部材の羽根部材先端部で押し上げられ、各羽根部材は基端部から羽根部材先端部に向かって反り上げられ、ちょうど
図15(b)の羽根部材103aのように傾かされる。また
図15(a)で示す絞り全開放状態になった場合、
図15(a)で示す様に羽根部材は駆動リングと基板(地板)との間で
図15(b)の羽根部材103aのように傾かされる。この羽根部材の傾きはピン状突起と溝孔との係合状態が変化することで、
図15(c)で示すように羽根部材の開閉位置がずれ、結果絞り口径が変化し光量斑となる問題が有る。特に小絞り状態において光量斑への影響が大きい。
【0016】
本発明は、この問題点に鑑みて羽根部材の傾きを抑制し光量斑が少なく適正な露光制御が行い得る光量調整装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を達成するため本発明は、中央に光路開口を有するリング形状の基板と駆動リングとの間に複数の羽根部材を鱗状に重ね合わせて配置し、駆動リングで各羽根部材が開閉動するようにする。このとき羽根部材と基板との間で前記複数の羽根部材と対峙する弾性部材を配置して各羽根部材を駆動リング側に押圧した状態、若しくは羽根部材と駆動リングとの間で前記複数の羽根部材と対峙する弾性部材を配置して羽根部材を基板側に押圧した状態で羽根部材を開閉動することを特徴としている。
このように構成することによって、弾性部材により各羽根部材が基板若しくは駆動リング側に寄せられることで、例えば、小絞り状態にあっては、各羽根部材が基端部から先端部に向かって反り上げられることによる各羽根部材の傾き、また絞り全開放状態にあっては、撮像装置の姿勢が変わることによる各羽根部材の傾きが抑制され、羽根部材の傾きによる絞り口径の変化を防止し、口径斑の無い適正な絞り口径に設定出来るようにしている。
【0018】
上述の弾性部材に弾性力を付与する方法は、金属・合成樹脂などの薄いプレートで弾性部材を構成し、これを基板若しくは駆動リングにも受けた段差部で湾曲させることによって羽根部材を押圧する弾性力を付与する方法か、或いは弾性部材に切り起し弾性片を設け、これを湾曲変形させて弾性力を付与する方法を採用する。
【0019】
また、上述の複数の羽根部材の表裏面に第1第2のピン状突起を一体形成し、この第1第2の突起を基板及び駆動リングに形成した第1第2の溝孔に嵌合する。このとき上記弾性部材に第3(第4)の溝孔を設けてピン状突起を嵌合する。このとき弾性部材の溝孔の径を第1(第2)の溝孔の径より小さく設定する。
これにより各羽根部材に形成されたピン状突起はその基端側で弾性部材の溝孔に運動規制され、ピン状突起の先端側はこの溝孔より広幅の第1第2の溝孔と干渉することがなく円滑な作動を確保するようにしている。
【0020】
更にその構成を詳述するに、複数の羽根部材によって光路開口の通過光量を調整する光量調整装置であって、中央部に光路開口(12)を有するリング形状の基板(11)と、光路開口(12)の周囲に配置され円周方向に鱗状に重なり合って光路開口を覆うように配置された複数の羽根部材(21)と、基板との間に複数の羽根部材を挟むように配置され、各羽根部材を開閉動する駆動リング(31)と、この駆動リングを、光路開口を中心に回動する駆動手段(M)とを備える。また、基板(11)と駆動リング(31)との間には、複数の羽根部材と対峙する弾性部材(15)が設けられ、この弾性部材(15)は、基板(11)と羽根部材(21)との間に配置され、各羽根部材(21)を駆動リング(31)側に押圧するか、若しくは駆動リング(31)と羽根部材(21)との間に配置され、各羽根部材(21)を基板(11)側に押圧する弾性力を有するように構成している。
【0021】
また、基板(11)と羽根部材(21)との間に配置される弾性部材(15)は、基板(11)とほぼ同形状を成し、基板(11)の第1の溝孔(13)とほぼ同形状の第3の溝孔を形成し、駆動リング(31)と羽根部材(21)との間に配置される弾性部材(36)は、駆動リング(31)とほぼ同形状を成し、駆動リング(31)の第2の溝孔(37)とほぼ同形状の第4の溝孔を形成している。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、中央に光路開口を有する基板に複数の羽根部材を鱗状に重ね合わせて駆動リングで所定の開閉軌跡に沿って開閉動する際に、基板と駆動リングとの間に弾性部材と各羽根部材とを対峙させた状態で設け、弾性部材により各羽根部材を対向する反対側に位置する駆動リング又は基板に押圧するように構成したものであるから以下の効果を奏する。
【0023】
互いに重なり合う複数の羽根部材は、これを開閉可能に支持する基板と駆動リングとのの間に羽根部材の重なり厚さに比べて大きなギャップが形成され、各羽根部材はこの基板と駆動リングとのギャップ間で、例えば、小絞り状態にあっては、各羽根部材が基端部から先端部に向かって反り上げられることで各羽根部材が傾こうとしても、また絞り全開放状態にあっては、撮像装置の姿勢が変わることによる各羽根部材が傾こうとしても、その各羽根部材の傾きを弾性部材が抑制することによって、開閉する各羽根部材が大きく傾くことがない。従って、羽根部材と基板及び駆動リングに形成されたピン状突起と溝孔の係合位置が傾きによる位置ずれを起こすことがないので羽根部材による絞り口径を適正値に設定可能で適正な光量調整が出来る。
【0024】
更に本発明にあって、基板及び駆動リングと羽根部材とをピン状突起と溝孔を係合して運動連結する際に、弾性部材にピン状突起と係合する第3の溝孔を設け、この第3の溝孔を基板若しくは駆動リングの第1第2の溝孔より緊密に係合するように形成する。これによって羽根部材のピン状突起の基端部近傍が弾性部材の第3の溝孔によって支えられることによって正確な運動軌跡で誤差なく光路開口の通過光量を調整することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。
図1は本発明に係わる光量調整装置Aの全体構成を示す組み立て分解図である。光量調整装置Aは
図1に示すように、第1基板組(地板組)1と、羽根組2と、駆動リング31と、第2基板組4(押さえ板組)で構成されている。
そして第1基板組1に羽根組2が組み込まれ、この羽根組2の上に駆動リング31と第2基板組4が組み込まれている。そして第1基板11と第2基板41とは互いに組み合わされてビスなどの固定手段で一体化され、このとき羽根部材21と駆動リング31が両基板間にサンドイッチ状に支持される。
【0027】
このような構成によって光路開口12は第1基板11と第2基板41に形成され、この光路開口12を複数の羽根部材21a〜21iで大小口径に開口調整する。このため第1基板11又は第2基板41に駆動モータMがマウントされ、モータMの回転で駆動リング31が所定角度回転し、その回転で複数の羽根部材21が同一量ずつ移動して光路開口12の口径を大小に調節する。
【0028】
[第1基板組の構成]
図2は
図1の組み立て分解図における第1基板組1及び羽根組2を拡大した分解説明図である。第1基板組1は、第1基板11と弾性部材15で構成されている。第1基板11(以下地板として説明する)と弾性部材15とは、中央に光路開口12を有するリング形状に形成され、地板11の上に弾性部材15が積層状に積み重ねられている。
図2に従って地板(第1基板)11、弾性部材15の順に説明する。
【0029】
地板11には中央部に光路開口12が形成され、その外形状は撮像装置(不図示)の鏡筒形状に応じた形状に構成される。この地板11は金属、合成樹脂などで光量調整装置A全体に強靭性を持たせる装置基盤に適した材質・寸法に形成されている。
【0030】
上記光路開口12の周縁には、後述する羽根部材21を支持する羽根支持面11x(平坦面若しくは突起ガイド面)が形成されている。この羽根支持面11xと後述する各羽根部材21の一方に第1のピン状突起22が、他方にこれと係合する第1の溝孔13(以下ガイド溝として説明する)が設けられている。
このピン状突起22とガイド溝13とは互いに嵌合して羽根部材21を溝孔に沿って所定の軌跡で開閉動するようになっている。各羽根部材21には後述する駆動リング31との間に、その一方に第2のピン状突起23が、他方に第2の溝孔33が形成されている。
【0031】
図2に示す装置(一実施形態)では、後述する羽根部材21の地板11と面す側に第1のピン状突起22が駆動リング31と面する側に第2のピン状突起23が一体形成されている。そして地板11に第1の溝孔(ガイド溝)13が、駆動リング31に第2の溝孔33が形成され、前者に第1のピン状突起22が、後者に第2のピン状突起23が嵌合されている。また第1の溝孔13は羽根部材21の開閉軌跡に沿ったスリット溝(以下「ガイド溝」という)で形成されている。
【0032】
「地板の構成」
図2に示す地板11は、合成樹脂のモールド成形で形成してある。この場合地板に強靭性を持たせる場合にはガラス繊維を混入し、帯電性を帯びさせる場合にはカーボン繊維などを混入する。このように合成樹脂で成形することによって複雑な形状であっても加工が容易であり、安価に製造することが出来る。
これと共に装置基板としての地板を軽量に構成することが可能である。合成樹脂としては耐熱性に富んだエポキシ樹脂、強靭性に富んだガラス繊維強化樹脂、導電性に富んだカーボン繊維混入樹脂などを用途に応じて使用する。
【0033】
このように地板11は合成樹脂のモールド成形によって製造することが薄型化、小型軽量化などから好ましい。また、耐久性、導電性などから樹脂に強化繊維、導電性繊維などを混入することによって所望の特性が得られる。
その反面、合成樹脂で基板(地板)を成形することによって加工精度が劣る問題、或いは混入繊維によって表面粗さが劣り摩擦抵抗が増大する問題がある。本発明はこれらの問題を下記のように「地板と羽根部材の間に弾性部材を介在させる」ことによって解決したことを特徴としている。
【0034】
「弾性部材の構成」
本発明に係わる一実施形態は、地板11に後述する羽根部材21を直接載置して支持することなく、この地板11と羽根部材21との間に弾性部材15を介在させることを特徴とし、以下その構成を説明する。
【0035】
弾性部材15は、
図2にその斜視構造を、
図4(b)に平面構造を示すように地板11と略々同一形状のリング形状に形成されている。このリング形状は各羽根部材21に対し均一に押圧可能な形状で、且つ加工し易いことから最良の形状であるが、このリング形状で無くとも各羽根部材21に対し均一に押圧可能な非リング形状であっても良い。
この弾性部材15は
図7(b)に断面構造を示すように地板11の羽根支持面11xと羽根部材21との間に介在し、羽根部材21が直接地板11と接触するのを避ける。図示の弾性部材15は地板11と略々同一の平面形状に形成している。
【0036】
この弾性部材15は、後述する羽根部材21との摩擦係数が小さい樹脂フィルムで形成されている。図示の弾性部材15は後述する羽根部材21と同一素材で、例えばポリエチレン樹脂フィルム(PETシート)の型抜き成形で形成されている。
そして
図4(b)にその形状を示すように地板11のガイド溝13と一致するガイド溝16が形成されている。このガイド溝16については後述する。
【0037】
従って、地板11を樹脂のモールド成形で、弾性部材15を樹脂フィルムの型抜き成形で形成する場合には、地板11の形状精度に比べ弾性部材15の形状精度を高精細に形成することが出来る。このことは成形型に溶かした樹脂を流し込むモールド成形に比べ、圧延ロールによってシート状に形成した素材を型抜き成形することによって寸法精度が得られる為である。
また弾性部材15の材質を羽根部材21と同一材質にすることによって熱変化などの温度特性は羽根部材と実質的に同一となり、羽根部材21と弾性部材15は同一素材で帯電列が同一であるから両者が摺動しても静電気を帯びることがない。
【0038】
図示の弾性部材15は地板11と略々同一形状に形成され、中央に位置する光路開口12の周縁に複数の羽根部材21の基端部21xを支持し、先端部21yは光路開口内部に臨ませるように支持する。
【0039】
[ガイド溝とカイドピンの関係]
上述の地板11に形成されたガイド溝13と弾性部材15に形成されたガイド溝16と各羽根部材21に形成されたガイドピン(第1のピン状突起)22の関係について説明する。
【0040】
地板11のガイド溝13は
図7(b)に示すように凹陥溝で構成され地板外部の光が透過されない盲穴形状に形成されている。また地板11をモールド成形で形成する関係から抜きテーパθが形成され、その溝幅の平均寸法はdgに設定されている。
【0041】
また弾性部材15のガイド溝16は、地板11の溝幅dgより狭くガイドピン22が食付くこと無くスリット溝を移動自在の溝幅dbよりの貫通孔で形成されている。この貫通孔は樹脂フィルムの型抜き成形で均一径に形成されている。
【0042】
一方、各羽根部材21a〜21iにはガイドピン22が植設され、その外径はdaに設定されている。そこで、このガイドピン22のピン外径daと地板11のガイド溝13の溝幅dgと弾性部材15のガイド溝16の溝幅dbとの関係は、da≦db<dgの関係に設定されている。
つまり弾性部材15のガイド溝16は地板11のガイド溝13より狭小幅(db<dg)でガイドピン外径daと適合する寸法(da≦db)に設定されている。
【0043】
従って同図に示すように各羽根部材21a〜21iに植設されたガイドピン22(第1の突起)の基端部は弾性部材15のガイド溝16と係合して運動規制され、ガイドピン22(第1の突起)の先端部は地板11のガイド溝13とは接触しないように成っている。
このためガイドピン(第1の突起)22はテーパθを有する地板11のガイド溝13と不安定に係合することが無く、各羽根部材21a〜21iは円滑に作動する。
【0044】
そこで、地板11、弾性部材15から成る第1基板組1は駆動リング31との間に隙間ギャップL(
図8(b)参照)を形成し、羽根部材21が移動自在に支持する。
【0045】
本発明は弾性部材15を、各羽根部材21を駆動リング31側に押圧するように弾性力を帯びさせたことを特徴としている。このため弾性部材15は弾性力を有するプラスチックフィルムで構成され、図示のものは前述したポリエチレン樹脂フィルムで形成してある。
そして
図2及び
図8(b)に示すように地板11に弾性部材15を湾曲させる段差部11zが形成してある。図示のものは地板11の羽根支持面11xに突起を形成し段差部11zを形成している。尚、この段差部11zは後述する羽根部材21の構成枚数に応じてこれと同数配置するか、図示のように羽根枚数(9枚構成)より少なく(3個所)配置するか、羽根の運動軌跡に従って配置する。また、段差部11zは図示形状に拘るものでは無く、山形形状でも良く、更に実施例の様に段差部11zを形成せずに予め弾性部材15を湾曲成形させておいても良く、結果的に弾性変形された弾性部材15に羽根部材21を押圧する弾性力を有するようにすれば良い。
【0046】
「羽根部材」
図5に羽根形状の一例を示すが、基端部21xは上述の弾性部材15を介して地板11に支持される。また羽根部材の先端部21yは光路開口12を開閉する。このとき複数の羽根部材の先端部21xは互いに鱗状に重なり合って先端部21yで円形状の光路口径12を形成する形状になっている。
【0047】
なお、前述したように各羽根部材21は、地板11と駆動リング31との一方にピン状突起、他方に軸孔で係合され、駆動リング31の回転で各羽根部材21は溝孔(ガイド溝13,16)に沿って開閉動する。例えばポリエチレン樹脂フィルム(PETシート)の型抜き成形で形成されている。
【0048】
図示の各羽根部材21a〜21iには、
図5(b)に示すように第1のピン状突起(ガイドピン)22と第2のピン状突起(作動ピン)23がアタッチメント24の表裏に植設されている。このガイドピン22は各羽根部材に地板11側に面する位置に配置され、作動ピン23はその反対面(後述する第2基板側)に配置されている。図示24zは溶着面であり、21zは溶融面を示す。
そしてガイドピン22は後述するように地板11のガイド溝13と、弾性部材15のガイド溝16に嵌合し、作動ピン23は後述する駆動リング31の第2の溝孔33に嵌合する。
【0049】
[第2基板組の構成]
図3に従って第2基板組4について説明する。第2基板組4は押さえ板41と、補強板42と、駆動リング31及び押さえ板41に固定した駆動ユニットMで構成されている。以下各構成について説明する。
【0050】
「押さえ板」
押さえ板41は
図3に示すように中央部に開口43を有するリング形状に形成され、前述の地板11と略々同一形状に形成されている。図示の押さえ板41は樹脂のモールド成形で、外周の一部に駆動ユニットMの取付座46が設けてある。この取付座46に後述する駆動ユニットMがビスなどで固定される。図示45は押さえ板41を地板11の連結突起14にビス止めする連結孔である。
【0051】
「補強板」
補強板42は、
図3に示すように金属などの比較的強靭な板材で構成され、樹脂製の押さえ板41を補強する。従って押さえ板41に十分な強度が得られるときには補強板42を省くことが可能である。この補強板42は押さえ板41と略々同一形状に形成され、中央に開口44が形成してある。
【0052】
上記押さえ板41の開口43と補強板42の開口44は、いずれも光路開口12の開口径Dより大きく設定してあり、開口43の開口径D1と開口44の開口径D2と光路開口12の開口径Dとは、D2≧D1>Dに設定されている。
【0053】
「駆動リング」
駆動リング31は
図3に示すように例えば樹脂のモールド成形で中央部に光路開口12を有するリング形状(以下「駆動リング」という)に形成されている。この駆動リング31は、補強板42を介して押さえ板41に回動自在に取り付けられている。
このため駆動リング31には光路開口12の周縁にフランジ32と係合突起34が形成してある。フランジ32は押さえ板41の開口43と補強板42の開口44に嵌合し、光路開口12の中心と一致する回転中心で回動する。また係合突起34は補強板42と摺接する面に形成され両者を円滑に摺動するのを補助している。
【0054】
駆動リング31は上述のように押さえ板41に回動自在に組み込まれ、その周縁の一部には受動歯35が形成してある。この受動歯35は押さえ板41の取付座46に取付けられた後述する駆動ユニットMの駆動歯車53と噛合する位置に設けられている。
【0055】
上記駆動リング31には、各羽根部材21a〜21iに植設された作動ピン(第2のピン状突起)23と嵌合する第2の溝孔33が光路開口12の周縁に設けられている。この第2の溝孔33は羽根部材21の枚数に応じて光路開口12の周縁に複数(図示のものは9個所)配置されている。
【0056】
このような構成において駆動リング31は、押さえ板41に回動自在に支持され、駆動ユニットMの駆動歯車53によって所定角度回転することとなる。そして駆動リング31の回転は各羽根部材21a〜21iに伝達されることとなる。
【0057】
[駆動ユニットの構成]
図11に駆動ユニットMの一実施形態を示す。同図の駆動ユニットMはマグネットロータ50と、ステータコイル51と駆動回転軸52と、駆動歯車53と、ヨーク54で構成される所謂パルスモータである。マグネットロータ50は駆動回転軸52と永久磁石56を一体化して構成され、駆動回転軸52を挟みマグネットロータ50の周囲に等間隔にコアー55にコイル58を巻回してなるステータコイル51が設けられている。永久磁石56は外周にNS極が他極着磁形成され、駆動回転軸52には駆動歯車53が取り付けられている。
【0058】
このように構成された駆動ユニットMは押さえ板41の取付座46にブラケット57をネジなどで固定する。そして駆動歯車53を駆動リング31の受動歯35に噛合する。これによって駆動リング31は、
図3時計方向と反時計方向に所定角度往復動し、絞り羽根21を開閉動する。
【0059】
[組立て状態の説明]
図1の装置は、第1基板組1の上に羽根組2、駆動リング31、次いで第2基板組4の手順で組み立てる場合を示す。
図1に示すように駆動ユニットMを押さえ板41にビスなどで固定する。そして地板11を作業台にセットし、地板上に弾性部材15を取り付ける。次いで第1基板組1の上に各羽根部材21a〜21iを重ね合わせる。
【0060】
このとき各羽根部材21のガイドピン(第1のピン状突起)22を地板11のガイド溝13内に収納する。このとき所定枚数の羽根部材21を光路開口12の外周に第1羽根21a、第2羽根21b、第3羽根21cの順に各羽根部材の隣接端を重ね合わせて鱗状に配列する。そして最後に重ね合わせる第n番目(第9羽根)の羽根部材21iを第n−1番目の羽根部材の上に重ねる際に羽根部材の先端部21yを第1羽根21aの基端部21xの下に差し込む。
このように羽根組2を組み立てることによって第1〜第nの羽根部材21a〜21iの何れの羽根部材21も円周方向の両端縁が一方は隣接する羽根部材の上側に重ねられ、他方は隣接する羽根部材の下側に重ねられ、所謂鱗状に積み重ねられることとなる。
【0061】
次に羽根組2の上に駆動リング31を取り付ける。このとき各羽根部材の作動ピン23(第2のピン状突起)を駆動リング31の溝孔33に勘合させる。次いで第2基板組4を
光路開口12を中心に回動可能に取り付ける。このとき駆動ユニットMの駆動歯車53と駆動リング31の受動歯35が噛合するように駆動リング31の係合突起34を押さえ板41の開口43に差し込み、駆動リング31を押さえ板41に回動自在に取り付ける。
【0062】
そこで地板11と押さえ板41をビス等の固定手段で固定する。これによって第1基板(地板)11、羽根組2(羽根部材21)、駆動リング31、第2基板(押さえ板)41が一体化されたユニットとして光量調整装置Aが組上げられる。
【0063】
このような羽根部材の重ね合わせで、光路開口を最大口径とすると
図7(a)に示すように地板の光路開口12の外側に各羽根部材が回動し、最小口径に絞り込むと
図8(a)に示すように鱗状に積み重ねられた各羽根部材の先端部21yは互いに支え合うことで、地板に支えられなくとも光路開口12の平面に対しほぼ平行な姿勢を保つこととなる。このとき、各羽根部材21a〜21iの先端部21yは他の先端部により地板11側に反られ、通常なら各羽根部材21a〜21iは基端部21xから先端部21yに反り上がり、その基端部21xが地板11と駆動リング31との間隔(L)の間で傾くところ、弾性部材15の弾性力で基端部21xが駆動リング31側に押圧されることで、基端部21xは地板11と駆動リング31との間隔(L)の間でほぼ平行状態に保たれる。
【0064】
[組立て状態の他の説明]
以上説明した組立て方法の他の方法について説明する。上記の組立て方法では専用の作業台を使って組み立てるのに対し、この組立て方法では組み立てのために専用の作業台は必要とせず
図1の装置を上下逆にした状態で組み立てる方法で、第2基板組4の上に駆動リング31、羽根組2、次いで第1基板組1の手順で組み立てる。
図1を使って説明すると、まず駆動ユニットMを押さえ板41にビスなどで固定し、その上に駆動リング31の係合突起34を押さえ板41の開口43に嵌め込むとともに、駆動ユニットMの駆動歯車53と駆動リング31の受動歯35が噛合するように駆動リング31の係合突起34を押さえ板41の開口43に差し込み、駆動リング31を押さえ板41に回動自在に取り付ける。そして第2基板組4体を作業台にセットし、駆動リング31上に各羽根部材21a〜21iから成る羽根組2を重ね合わせる。
【0065】
このとき光路開口12の外周に各羽根部材の作動ピン23(第2のピン状突起)を駆動リング31の溝孔33に勘合させながら、羽根部材21aを置き、次に羽根部材21aが下になるよう羽根部材21bを上に、引き続き羽根部材21c〜21iを上に順次重ね、最後の羽根部材21iの羽根部材21aに隣接する箇所を羽根部材21a下に差し入れることで鱗状に配列することによって第1〜第nの羽根部材21a〜21iの何れの羽根部材21も円周方向の両端縁が一方は隣接する羽根部材の上側に重ねられ、他方は隣接する羽根部材の下側に重ねられ、所謂鱗状に積み重ねられることとなる。
【0066】
次に羽根組2の上から各羽根部材21のガイドピン(第1のピン状突起)22が地板11のガイド溝13内に収納するように弾性部材15を取り付け、その上から同様に地板11を被せ第1基板組1を組み立てる。
【0067】
そこで地板11と押さえ板41をビス等の固定手段で固定する。これによって第1基板(地板)11、羽根組2(羽根部材21)、駆動リング31、第2基板(押さえ板)41が一体化されたユニットとして光量調整装置Aを組上げることもできる。
【0068】
[羽根部材の開閉動作]
次に、
図5及び
図6に従って羽根部材の開閉動作について説明する。
図6(a)は光路開口12の周囲に複数の羽根部材21を配置した絞り全開放状態を示し、
図6(b)はこの複数の羽根部材21の1枚の開閉動作状態を示す。
図6(a)のように光路開口12の周囲には、光路中心Oを基準に所定角度隔てた位置(図示のものは9枚の羽根部材21を角度θ=40度ずつ隔てた位置)に複数の羽根部材21が鱗状に配置されている。
【0069】
各羽根部材21は地板11に形成したガイド溝13(第1の溝孔)にガイドピン(第1のピン状突起)22が嵌合してある。これと共に各羽根部材21に形成された作動ピン23(第2のピン状突起)は、駆動リング31の溝孔(嵌合孔)33に嵌合されている。
【0070】
図6(b)に示すように駆動リング31が光路中心Oを中心に前述の駆動ユニットMによって所定角度範囲で時計方向と反時計方向に回転する。このとき
図5(c)に示すように作動ピン23は駆動リング31の回転で図示光路中心Oから半径Lの円弧軌跡x−xで図示c点からd点に同図時計方向に回転移動する。またガイドピン(第1の突起)22はガイド溝16に沿って図示y−y軌跡でa点からb点に移動する。
【0071】
この作動ピン(第2の突起)23とガイドピン(第1の突起)22の移動で羽根部材21は実線で示す絞り全開放状態から破線で示す小絞り状態に開閉動する。従って駆動ユニットMに供給する電流に応じて羽根部材21は、小絞り状態から絞り全開放状態の間で任意の開口径に開閉し、光路開口12を通過する光量を大小調整することとなる。
【0072】
[作用の説明]
次に
図7及び
図8に従って
図1に示す装置の作用について説明する。
光量調整装置Aは、地板11、弾性部材15、羽根部材21、駆動リング31、押さえ板41の順に積層状に組み上げられ、地板(第1基板)11と押さえ板(第2基板)41がビスなどの固定手段で固定されている。
この状態で弾性部材15と駆動リング31の間のギャップGaは地板11に設けた連結突起14(第2基板に設けても良い)の高さで設定される(
図7(b)参照)。この連結突起の高さ(H)は、弾性部材15の厚さをt1、駆動リング31の厚さをt2、羽根部材の厚さをt3、羽根部材の最大重なり枚数をm、羽根部材相互間の作動クリアランスをdcとすると、[H=t1+t2+t3・m+dc・m]となるように設定されている。
【0073】
このような条件のもとで、羽根部材21を
図7(a)の絞り全開状態から
図8(a)の小絞り状態へと開閉動すると、弾性部材15と駆動リング31との間で
図7(a)で示すように絞り全開状態で各羽根部材21a〜21iはそれぞれ上に3枚が重ねられ、
図8(a)で示すように小絞り状態で各羽根部材21a〜21iはそれぞれ下に3枚が差し込まれた状態となっている。
例えば
図7(a)に示すように羽根が全開状態のときには、羽根部材21aの先端部21yの上には羽根部材21bの基端部が、その上に羽根部材21cの基端部の2枚が重なっている。また
図8(a)に示すように羽根部材が小絞り状態のときには、羽根部材21aの基端部21xの下には羽根部材21bの1枚が介在するのに対し、羽根部材21aの先端部21yの下には羽根部材21bの先端部が、その下に羽根部材21cの先端部が、更にその下に羽根部材21dの先端部が差し込まれた状態となっている。従って、地板11の光路開口12の周縁近傍では羽根部材21が最低3枚程度重なった状態と成る。
【0074】
このことから、弾性部材15と駆動リング31との間のギャップGaは、羽根部材の厚さ(t3)と重なり枚数(n)の積と羽根部材相互間の作動クリアランス(dc)と重なり枚数(n)の積の総和[Ga=t3・n+dc・n]となる。
従って羽根部材の重なり枚数が少ないときにはギャップGaが小さくて良いのに、弾性部材15と駆動リング31とのギャップは最大重なり枚数で設定される。
【0075】
その結果、
図15に示すように羽根部材の全開状態或いは全開状態に接近した開口状態では羽根部材の重なり枚数に比べ大きなギャップが形成されるため羽根部材103aが傾き易い。この状態を
図15(b)に示す。これに対し、
図7(b)に示すように羽根部材21と地板11との間に介在する弾性部材15が図示のように羽根部材を駆動リング31側に押圧するため羽根部材21aの傾きは抑制される。
【0076】
また
図8(a)に示す羽根部材の小絞り状態或いは小絞り状態に接近した絞り開口状態では羽根部材21の先端部21yが他の羽根部材21の先端部21yとの重なりによって反らされ、この先端部21yの反りで基端部21xが傾こうとするのを弾性部材15が図示のように羽根部材を駆動リング31側に押圧するため羽根部材21の傾きは抑制され傾くことがない。
【0077】
なお、弾性部材15に弾性力を付与するため地板11の羽根支持面11xに段差部11zを形成する場合について説明したが、弾性部材15に切り起し弾性片を設けることによって支持面の段差を省くことが出来る。
【0078】
[弾性部材の異なる実施形態]
以上説明した弾性部材は重なり枚数が変化する羽根部材を駆動リング側に押圧するように地板と羽根部材の間に配置し、地板に設けた段差部11zで弾性力を付与する場合を示した。この形態に換えて次の実施形態を採用することも可能である。
図2、
図3に示す実施形態と同一の構成については同一の符合を付して説明を省略する。
【0079】
図10に示すように、地板11、羽根部材21、駆動リング31、押さえ板41の順に積層状に組み立てる。このとき羽根部材21と駆動リング31との間に弾性部材36を配置する。この弾性部材36は例えば次のように構成する。
【0080】
[弾性部材の構成]
弾性部材36は
図11(b)に示すように中央に光路開口12を有する樹脂フィルム(例えばポリエチレンなどの樹脂フィルム)で形成され、駆動リング31と羽根部材21の間に介在される。
これは羽根部材21と駆動リング31が直接接触するのを避け、羽根部材の円滑な開閉運動を得るためであり、同時に弾性部材36には切り起し弾性片36xが設けられこの弾性片の作用で羽根部材21を対向する地板11側に押圧している。
また、図示の弾性部材36は、羽根部材21と同一素材で構成している。これは互いに摺動する羽根部材と摺動リングを同一材質にすることによって熱変化などの温度特性は羽根部材と実質的に同一となり、羽根部材と摺動リングは同一素材で帯電列が同一であるから両者が摺動しても静電気を帯びることが少ない。
【0081】
上記弾性部材36は駆動リング31と同様なリング形状に形成されている。この弾性部材36には駆動リング31の嵌合孔33と合致する位置に係合孔37が設けてある。
この駆動リング31の嵌合孔33と弾性部材36の係合孔37とは、各羽根部材に形成した第2の突起(作動ピン)23の外径de、駆動リング31の嵌合孔33の直径dd、弾性部材36の係合孔37の直径dfとの関係を次式のように設定している。
de≦dd<df(式1)
つまり、羽根部材の作動ピン(第2の突起)23の外径deと駆動リング31の嵌合孔33の直径ddが互いに適合するように嵌合し、弾性部材36の係合孔37の直径dfは、作動ピン(第2の突起)23の外径deより十分大きく設定している。
これによって羽根部材の作動ピン(第2の突起)23は実質的に駆動リング31の嵌合孔33と嵌合し、弾性部材36の係合孔37とは係合しないこととなる。
【0082】
このように駆動リング31の嵌合孔33(直径dd)を弾性部材36の係合孔37(直径df)より小径に設定したのは次の理由による。弾性部材36は駆動リング31と羽根部材21との間に介在する。このため羽根部材21の開閉運動、或いは駆動リング31の回動運動で弾性部材36も回転運動する。
【0083】
また弾性部材36には、適宜個所(例えば120度間隔で3個所)に切り起し弾性片36xが形成してある。この弾性片36xは弾性部材の羽根部材に接する面から反対側の駆動リングに接するように湾曲した折り曲げ片で構成されている。
従って弾性部材36は切り起し弾性片36xが駆動リング31に当接して羽根部材21を地板側に押圧することとなる。その作用は
図7及び
図8に従って説明したものと同様となる。
【0084】
[撮像装置]
次に上述の光量調整装置Aを用いた撮像装置について
図13に基づいて説明する。
スチールカメラ、ビデオカメラ等のレンズ鏡筒に前述の光量調整装置を組込む。図示Bは撮影光路に配置した前レンズ、Cは後レンズであり、これ等のレンズで被写体像を結像しその結像面に撮像手段Sを配置する。撮像手段SとしてはCCDなどの固体撮像素子或いは感光フィルムなどを用いる。
そして制御はCPU制御回路、露出制御回路で実行するように構成する。図示のSW1はメイン電源スイッチであり、SW2はシャッタレリーズスイッチを示す。カメラ装置としての制御には、この他オートフォーカス回路などが用いられるが良く知られた構成であるので説明を省く。
【0085】
そこでレンズ鏡筒に組込まれた前レンズBと後レンズCとの間に絞り装置Eとシャッタ装置(不図示)を組込む。この絞り装置Eには前述の羽根部材21及び駆動ユニットMが組込まれている。
そこで制御CPUは露出量、シャッタスピードなどの撮影条件を設定し、露出制御回路に指示信号を発する。まず露光量は露出制御回路が制御CPUからの指示信号で駆動装置Mのコイルに所定方向の電流を供給する。すると羽根部材21は駆動装置Mの回転を駆動歯車53を介して作動ピン23から伝達され、最適露光量に光路開口12を絞る。
【0086】
次いで、レリーズ釦が操作されると、CCDなどの固体撮像素子の場合すでにチャージされている電荷を放出し、撮影を開始する。そこでシャッタ駆動回路は制御CPUから予め設定された露光時間の経過後、シャッタ動作開始の信号を受け駆動装置のコイルにシャッタ閉成方向の電流を供給する。このシャッタ動作の後、撮像手段SがCCD(固体撮像素子)の場合は画像処理回路に画像データが転送されメモリなどに蓄積される。