【実施例】
【0048】
[試験例1]
(製造例1−1)
第1の化学強化ガラス(モジュール寸法:幅2000mm、高さ1000mm、厚3.0mm 表面圧縮応力:400MPa)の上に中間膜(ポリビニルブチラール樹脂(PVB))を載せ、その上にさらに第2の化学強化ガラス(モジュール寸法:幅2000mm、高さ1000mm、厚3.0mm 表面圧縮応力:400MPa)を乗せ、予備圧着、本圧着をして、厚さ3.0mmの中間膜を有する合せガラスを製造した。この合せガラスの単位面積当たりの重量は15kg/m
2であった。得られた合せガラスを、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0049】
(製造例1−2)
製造例1−1において、化学強化ガラスの代わりに、ソーダライムシリケート系フロートガラス(モジュール寸法:幅2000mm、高さ1000mm、厚5.0mm)を使用した以外は、製造例1−1と同様にして合せガラスを製造した。この合せガラスの単位面積当たりの重量は25kg/m
2で、中間層の厚みは3mmであった。そして、得られた合せガラスを、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0050】
製造例1−1、1−2の透光性防音パネルについて、以下に示す方法により耐風圧性、防音性、耐熱性を評価した。結果を表1に記す。
【0051】
・耐風圧荷重:各ガラス規格値より算出し、ガラス板を水平に置き、その上に風圧相当の荷重を載せ、ガラス板の破損の有無を確認した。
【0052】
・防音性評価:遮音試験にて、各周波数での音響透過損失を測定を行い、400Hz及び1000Hzでの音響透過損失をdB(デシベル)で評価した。評価基準は400Hzで25dB以上及び1000Hzで30dB以上であるものを○とし、それ以外のものを×とした。
【0053】
・耐熱性評価:口元の口径が直径100mmのプロパンガスタイプのバーナーを、合せガラスとバーナー口元を40cm離した距離で設置する。1分間バーナーの炎を照射し、着火しない場合は30秒単位で燃焼時間を増やし、合計2分間の照射を行う。合せガラスが燃焼しないか、着火しても20分未満で自消して道路の外側に落下しないものを○とし、それ以外のものを×とした。
【0054】
【表1】
【0055】
上記結果より、化学強化ガラスからなる合せガラスを使用した製造例1−1は、ガラス板の厚みが薄くても、耐風圧性、防音性、耐熱性に優れるものであった。
【0056】
これに対し、フロートガラス板からなる合せガラスを使用した製造例1−2は、ガラス板の厚みがあり、重量の嵩むものであった。更には、耐熱性の劣るものであった。
【0057】
[試験例2]
(製造例2−1)
第1の化学強化ガラス(モジュール寸法:幅2000mm、高さ1000mm、厚3.0mm 表面圧縮応力:392MPa)の上に中間膜(ポリビニルブチラール樹脂(PVB))を載せ、その上にさらに第2の化学強化ガラス(モジュール寸法:幅2000mm、高さ1000mm、厚3.0mm 表面圧縮応力:392MPa)を乗せ、予備圧着、本圧着をして、厚さ1.52mmの中間膜を有する合せガラスを製造した。この合せガラスの単位面積当たりの重量は15kg/m
2であった。得られた合せガラスを、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0058】
(製造例2−2)
製造例2−1と同様にして、厚さ2.29mmの中間膜を有する合せガラスを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0059】
(製造例2−3)
製造例2−1と同様にして、厚さ3.05mmの中間膜を有する合せガラスを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0060】
(製造例2−4)
製造例2−1と同様にして、厚さ3.81mmの中間膜を有する合せガラスを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0061】
(製造例2−5)
製造例2−1と同様にして、厚さ5.33mmの中間膜を有する合せガラスを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0062】
(製造例2−6)
製造例2−1と同様にして、厚さ6.86mmの中間膜を有する合せガラスを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0063】
(製造例2−7)
製造例2−2において、第1の化学強化ガラス及び第2の化学強化ガラスとして、厚3.0mm、表面圧縮応力343MPaの化学強化ガラスを使用した以外は、製造例2−2と同様にして、厚さ2.29mmの中間膜を有する合せガラスを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0064】
(製造例2−8)
製造例2−1において、第1の化学強化ガラスの厚みを4.0mmとした以外は、製造例2−1と同様にして、厚さ1.52mmの中間膜を有する合せガラスを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0065】
(製造例2−9)
製造例2−1において、第1の化学強化ガラスの厚みを5.0mmとした以外は、製造例2−1と同様にして、厚さ1.52mmの中間膜を有する合せガラスを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0066】
(製造例2−10)
製造例2−1において、中間膜として、ポリビニルブチラール樹脂の代わりにアイオノプラスト樹脂(SG)を使用した以外は、製造例2−1と同様にして、厚さ1.52mmの中間膜を有する合せガラスを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0067】
(製造例2−11)
製造例2−10と同様にして、厚さ2.41mmの中間膜を有する合せガラスを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0068】
(製造例2−12)
製造例2−10と同様にして、厚さ3.05mmの中間膜を有する合せガラスを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造し、
図1に示す金属枠で周囲を囲って、透光性防音パネルを製造した。
【0069】
各透光性防音パネルについて、以下に示す方法により衝突試験を行い、飛散した破片の最大重量、飛散した破片の最大飛散距離、飛散防止率を評価した。結果を表2,3に記す。
【0070】
・衝突性試験:路面高さ1mの位置に透光性防音パネルの下端が位置するように透光性防音パネルを配置し、第2の化学強化ガラス側であって、透光性防音パネルの中心位置に、
図7に示す300kgの鉄球(突起付き)を、加撃位置より鉛直方向95cmの高さから振り子式に加撃し、飛散した破片の最大重量(最も重い破片の重量)及び飛散した破片の最大飛散距離(最も遠くまで飛散した破片の飛散距離)を測定した。また、下記式1により飛散防止率を求めた。
{合せガラス重量(破損後)/合せガラス重量(破損前)}×100・・・(式1)
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
表2,3の製造例2−1〜2−6、2−10〜2−11に示すように、中間膜の厚みが厚くなることに伴い、破片の最大重量が重くなり、破片の最大飛散距離が長くなる傾向にあったが、中間膜の厚みを6mm以下にすることで、破片の最大重量が小さくなり、破片の最大飛散距離が短くなった。なかでも、製造例2−1〜2−3、2−10〜2−11に示すように、中間膜の厚みを1.5〜3.1mmとすることで、破片の最大重量が1g以下、破片の最大飛散距離が5m以下となり、高速自動車国道で定める安全基準を合格するものであった。
【0074】
また、製造例2−8、2−9との対比により、第1の化学強化ガラスの厚みを薄くすることで、破片の最大重量を小さくできることが分かる。なかでも、第一の化学強化ガラスの厚みを4.0mm以下にすることで、破片の最大重量が1g以下となり、高速自動車国道で定める安全基準を合格するものであった。
【0075】
また、製造例2−4と、2−7との対比より、化学強化ガラスの表面圧縮応力を大きくすることで、破片の最大重量をより軽くできた。