(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィルタ手段は、前記造影X線画像の側副血行路に抑制フィルタをかける一方、前記造影X線画像の虚血血管に強調フィルタをかける請求項2に記載の医用画像処理システム。
前記画像合成手段は、前記ボリュームデータのレンダリング画像と、前記フィルタされた側副血行路及び虚血血管とを合成処理する請求項2又は3に記載の医用画像処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る医用画像処理システムについて、添付図面を参照して説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医用画像処理システムの構成の一例を示す概略図である。
【0011】
図1は、第1実施形態に係る医用画像処理システム1を示す。医用画像処理システム1は、X線画像診断装置としてのアンギオ装置10を含む。アンギオ装置10は、大きくは、保持装置11及びDF(digital fluorography)装置12によって構成される。
【0012】
保持装置11は、X線管21、X線検出装置22、Cアーム23、天板(カテーテルテーブル)25、高電圧供給装置26、駆動機構27及び造影剤自動注入装置(インジェクタ)28を設ける。なお、保持装置11は、X線管21が天板25の下方に位置するアンダーチューブタイプである場合を説明するが、X線管21が天板25の上方に位置するオーバーチューブタイプである場合であってもよい。また、X線管21のX線の出射側に、複数枚の鉛羽で構成されるX線照射野絞りや、シリコンゴム等で形成されハレーションを防止するために所定量の照射X線を減衰させる補償フィルタを設けてもよい。
【0013】
X線管21は、Cアーム23の一端に設けられ、高電圧供給回路26から高電圧電力の供給を受けて、この高電圧電力の条件に応じて被検体(患者)Pに向かってX線を曝射する。
【0014】
X線検出装置22は、Cアーム23の他端であってX線管21の出射側に設けられ、患者Pを透過したX線を検出する。X線検出装置22は、I.I.(image intensifier)−TV系であり、大きくは、I.I.22a及びTVカメラ22bを備える。なお、X線検出装置22は、FPD(flat panel detector)によって構成されていてもよい。
【0015】
I.I.22aは、患者Pを透過したX線を可視光に変換し、さらに、光−電子−光変換の過程で輝度の倍増を行なって感度のよい投影データを形成させる。TVカメラ22bは、CCD(charge coupled device)撮像素子を用いて光学的な投影データを電気信号に変換する。
【0016】
Cアーム23は、その一端にX線管21を、他端にX線検出装置22を支持することで、X線管21とX線検出装置22とを、患者Pを中心に対向配置させる。Cアーム23は、駆動機構27によって、その移動量、移動タイミング及び移動速度が制御される。
【0018】
高電圧供給装置26は、DF装置12の制御によって、X線管21に高電圧電力を供給する。
【0019】
駆動機構27は、DF装置12による制御に従って、Cアーム23を円弧動(LAO(left anterior oblique view)方向及びRAO(right anterior oblique view)方向の移動)させたり、Cアーム23を回転動(CRA(cranial view)方向及びCAU(caudal view)方向の移動)させたりする。
【0020】
また、駆動機構27は、DF装置12による制御に従ってCアーム23を患者Pの天板25の長手方向に対して平行移動させたり、Cアーム23及び天板25を一体として起倒させたりする。さらに、駆動機構27は、X線管21及びX線検出装置22を患者Pの天板25の長手方向に移動させて撮影するために、DF装置12による制御に従ってCアーム23を患者Pの天板25の長手方向に直線移動させる。加えて、駆動機構27は、DF装置12による制御に従って天板25を上下方向、左右方向及び長手方向に移動させる。
【0021】
インジェクタ28は、DF装置12による制御に従って患者Pの患部に挿入された造影剤用のカテーテル(図示しない)に対して造影剤を注入する装置である。
【0022】
一方、DF装置12は、コンピュータをベースとして構成されており、病院基幹のLAN(local area network)等のネットワークNと相互通信可能である。DF装置12は、大きくは、A/D(analog to digital)変換回路30、画像生成回路31、画像メモリ32、表示装置34、プロセッサとしてのCPU(central processing unit)35、包括メモリ36、HDD(hard disc drive)37、入力装置38、通信制御装置39、及びシステム制御装置40等のハードウェアから構成される。CPU35は、共通信号伝送路としてのバスを介して、DF装置12を構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。なお、DF装置12は、記録媒体用のドライブ(図示しない)を具備する場合もある。
【0023】
A/D変換回路30は、X線検出装置22から出力された時系列的なアナログ信号(ビデオ信号)をデジタル信号に変換する。
【0024】
画像生成回路31は、CPU35の制御によって、A/D変換回路30から出力された投影データのデジタル信号に対して対数変換処理(LOG処理)行ない、必要に応じて加算処理してフレーム単位の画像データを生成し、その画像データを画像メモリ32に記憶させる。また、画像生成回路31は、フレーム単位の画像データに対して画像処理を施し、画像処理後の画像データを画像メモリ32に記憶させる。画像処理としては、画像データに対する拡大/階調/空間ファイルタ処理や、時系列に蓄積された画像データの最小値/最大値トレース処理、及びノイズを除去するための加算処理等が挙げられる。画像生成回路31によって生成された画像データは、CPU35に出力されると共に、画像メモリ32等の記憶装置に記憶される。
【0025】
画像メモリ32は、CPU35の制御によって、画像生成回路31から出力された画像データを記憶する。
【0026】
表示装置34には、VRAM(video random access memory、図示しない)等の表示用画像メモリ、D/A(digital to analog)変換器及び表示回路が含まれる。CPU35の制御によって、表示しようとするイメージデータを展開するVRAMにイメージデータ等を展開することで画像データを表示装置34に表示させる。CPU35から出力される合成画像を静止画像として、また、動画再生として表示する。
【0027】
CPU35は、半導体で構成された電子回路が複数の端子を持つパッケージに封入されている集積回路(LSI)の構成をもつ制御装置である。CPU35は、医師及び技師等のオペレータによって入力装置38が操作等されることにより指令が入力されると、包括メモリ36に記憶しているプログラムを実行する。又は、CPU35は、HDD37に記憶しているプログラム、ネットワークNから転送され通信制御装置39で受信されてHDD37にインストールされたプログラム、又は記録媒体用のドライブ(図示しない)に装着された記録媒体から読み出されてHDD37にインストールされたプログラムを、包括メモリ36にロードして実行する。
【0028】
包括メモリ36は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)等の要素を兼ね備える構成をもつ記憶装置である。包括メモリ36は、IPL(initial program loading)、BIOS(basic input/output system)及びデータを記憶したり、CPU35のワークメモリやデータの一時的な記憶に用いたりする記憶装置である。
【0029】
HDD37は、磁性体を塗布又は蒸着した金属のディスクが着脱不能で内蔵されている構成をもつ記憶装置である。HDD37は、DF装置12にインストールされたプログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(operating system)等も含まれる)や、データを記憶する。また、OSに、ユーザに対する情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力装置38によって行なうことができるGUI(graphical user interface)を提供させることもできる。
【0030】
入力装置38としては、オペレータによって操作が可能なキーボード及びマウス等によって構成され、操作に従った入力信号がCPU35に送られる。入力装置38は、大きくは、メインコンソール及びシステムコンソールによって構成される。
【0031】
通信制御装置39は、各規格に応じた通信制御を行なう。通信制御装置39は、ネットワークNに接続することができる機能を有しており、これにより、アンギオ装置10は、通信制御装置39からネットワークN網に接続することができる。
【0032】
システム制御装置40は、図示しないCPU及びメモリを含んでいる。システム制御装置40は、CPU35からの指示に従って、保持装置11の高電圧供給装置26、駆動機構27及びインジェクタ28等の動作を制御する。
【0033】
図2は、第1実施形態に係る医用画像処理システム1のアンギオ装置10の機能を示すブロック図である。
【0034】
図1に示すCPU35がプログラムを実行することによって、アンギオ装置10は、
図2に示すように、血管造影画像取得部51、ボリュームデータ生成部52、脳血管抽出部53、第1分類部54、血管造影撮影制御部55、レイサム透視画像生成部56、位置合わせ処理部57、第2分類部58、フィルタ部59、及び画像合成部60として機能する。なお、
図2に示す各構成要素51乃至60をCPU35の機能として説明するが、その場合に限定されるものではなく、各構成要素51乃至60をハードウェアとしてアンギオ装置10に備えるものであってもよい。
【0035】
血管造影画像取得部51は、X線CT装置、MRI装置、及び造影X線画像診断装置等の医用画像診断装置によって収集された血管造影画像(造影剤を使用しない非造影MRA画像を含む)のデータを、HDD37等の記憶装置、又は、ネットワークN及び通信制御装置39を介して取得する機能を有する。血管造影画像(CT画像)の一例を
図3に示す。
【0036】
ボリュームデータ生成部52は、血管造影画像取得部51によって取得された血管造影画像を3次元画像処理するために、3次元再構築してボリュームデータを生成する機能を有する。
【0037】
脳血管抽出部53は、ボリュームデータ生成部52によって生成されたボリュームデータから脳血管のデータを抽出する機能を有する。脳血管抽出部53によって抽出された脳血管のレンダリング画像の一例を
図4に示す。
【0038】
第1分類部54は、脳血管抽出部53によって抽出された脳血管に基づいて、脳血管を、側副血行路、虚血血管、及び正常血管を分類する機能を有する。第1分類部54は、第1側副血行路抽出部54a、第1虚血血管抽出部54b、及び第1正常血管抽出部54cを有する。
【0039】
第1側副血行路抽出部54aは、脳血管抽出部53によって抽出された脳血管全体から、主動脈又は主静脈の血行路に閉塞が生じた場合等に、枝分かれや側枝により形成された迂回路によって組織への血流が確保されたり、心臓への還流が維持されたりする循環系としての側副血行路のデータを抽出する機能を有する。第1側副血行路抽出部54aによって抽出された側副血行路のレンダリング画像の一例を
図5に示す。
【0040】
第1虚血血管抽出部54bは、脳血管抽出部53によって抽出された脳血管全体と、第1側副血行路抽出部54aによって抽出された側副血行路とに基づいて、下流側で血流量が低下した血管である虚血血管のデータを抽出する機能を有する。第1虚血血管抽出部54bによって抽出された虚血血管のレンダリング画像の一例を
図6に示す。
【0041】
第1正常血管抽出部54cは、脳血管抽出部53によって抽出された脳血管全体と、第1側副血行路抽出部54aによって抽出された側副血行路と、第1虚血血管抽出部54bによって抽出された虚血血管とに基づいて、正常血管のデータを抽出する機能を有する。第1正常血管抽出部54cによって抽出された正常血管のレンダリング画像の一例を
図7に示す。
【0042】
なお、第1分類部54は、副側血行路、虚血血管、正常血管の順で抽出処理を行なうものとして説明したが、その場合に限定されるものではない。また、第1分類部54の各抽出部54a〜54cは、人体の3次元アトラス(Atlas)との比較、特徴量による推定、又はモルフォルジカルフィルタによる推定に基づいて存在確率が最も高い部位として、側副血行路、虚血血管、及び正常血管を抽出する。アトラスは、複数の画像データから、統計的、学習的に生成される対象臓器の形状データである。一般的に、アトラスには正常構造しか含まれていないため、アトラスは、側副血行路のような異常構造を対象には使用できない。
【0043】
血管造影撮影制御部55は、患者Pに造影剤用のカテーテルが挿入されると、システム制御装置40を介して高電圧供給装置26、インジェクタ28、及び駆動機構27を制御することによって、決定された撮影条件に基づく線量のX線を患者Pの頭部に照射させる血管造影撮影を実行させる機能と、画像生成回路31によって生成された造影X線画像(投影画像)を取得する機能を有する。血管造影撮影制御部55によって取得される造影X線画像の一例を
図8に示す。
【0044】
レイサム透視画像生成部56は、ボリュームデータ生成部52によって生成されたボリュームデータを透視投影(perspective)、かつ、レイサムレンダリング(raysum rendering)処理して、レイサム透視画像のデータを生成する機能を有する。
【0045】
位置合わせ処理部57は、レイサム透視画像生成部56によって生成されたレイサム透視画像と、血管造影撮影制御部55によって逐次取得された造影X線画像とを略リアルタイムに位置合わせする機能を有する。なお、位置合わせ処理部57による位置合わせは、レイサム透視画像と造影X線画像とを用いるものに限定されるものではない。例えば、位置合わせ処理部57は、データに付帯される、撮影位置及び範囲等の画像付帯情報を用いる方法がある。
【0046】
第2分類部58は、第1側副血行路抽出部54aによって抽出された、ボリュームデータの側副血行路と、第1虚血血管抽出部54bによって抽出された、ボリュームデータの虚血血管と、第1正常血管抽出部54cによって抽出された、ボリュームデータの正常血管とに基づいて、位置合わせ処理部57によって位置合わせされた造影X線画像から各血管を分類する機能を有する。第2分類部58は、第2側副血行路抽出部58a、第2側副血行路抽出部58b、及び第2正常血管抽出部58cを有する。
【0047】
第2側副血行路抽出部58aは、第1側副血行路抽出部54aによって抽出された、ボリュームデータの側副血行路に基づいて、位置合わせ処理部57によって位置合わせされた造影X線画像から側副血行路のデータを抽出する機能を有する。第2側副血行路抽出部58aによって抽出された側副血行路の画像の一例を
図9に示す。
【0048】
第2虚血血管抽出部58bは、第1虚血血管抽出部54bによって抽出された、ボリュームデータの虚血血管に基づいて、位置合わせ処理部57によって位置合わせされた造影X線画像から虚血血管のデータを抽出する機能を有する。第2虚血血管抽出部58bによって抽出された虚血血管の画像の一例を
図10に示す。
【0049】
第2正常血管抽出部58cは、第1正常血管抽出部54cによって抽出された、ボリュームデータの正常血管に基づいて、位置合わせ処理部57によって位置合わせされた造影X線画像から正常血管のデータを抽出する機能を有する。第2正常血管抽出部58cによって抽出された正常血管の画像の一例を
図11に示す。
【0050】
フィルタ部59は、抑制フィルタ部59a及び強調フィルタ部59bを有する。強調表示対象が虚血血管である場合、フィルタ部59の抑制フィルタ部59aが側副血行路を表示抑制するための処理を行ない、強調フィルタ部59bが虚血血管を強調表示するための処理を行なう。一方、図示しないが、強調表示対象が側副血行路である場合、フィルタ部59の抑制フィルタ部59aが虚血血管を表示抑制するための処理を行ない、強調フィルタ部59bが側副血行路を強調表示するための処理を行なう。
【0051】
第2側副血行路抽出部58aによって抽出された、造影X線画像の側副血行路が異常に発達した血管構造であるので、抑制フィルタ部59aは、強調表示対象が虚血血管である場合、造影X線画像の側副血行路を抑制表示するための抑制フィルタをかける機能を有する。抑制フィルタ部59aによって抑制フィルタ処理された側副血行路の画像の一例を
図12に示す。
【0052】
第2虚血血管抽出部58bによって抽出された、造影X線画像の虚血血管が正常血管構造であるので、強調フィルタ部59bは、強調表示対象が虚血血管である場合、造影X線画像の虚血血管を強調表示するための強調フィルタをかける機能を有する。強調フィルタ部59bによって強調フィルタ処理された虚血血管の画像の一例を
図13に示す。
【0053】
画像合成部60は、抑制フィルタ部59aによってフィルタ処理された側副血行路と、強調フィルタ部59bによってフィルタ処理された虚血血管と、第2正常血管抽出部58cによって抽出された正常血管とに異なる画像処理を行なって合成処理して、合成画像のデータを逐次生成する機能を有する。画像合成部60は、フィルタ処理された側副血行路及び虚血血管と、正常血管とがそれぞれ独立した表示属性(表示/非表示状態、色、及び透明度等)となるような設定した上で、合成画像のデータを逐次生成する。合成画像には、種々のパラメータの文字情報や目盛等も合成されている。画像合成部60によって生成された合成画像は、ビデオ信号として表示装置34に送られ、表示装置34を介して表示される。画像合成部60によって略リアルタイムに合成画像が動画再生にて表示されることになる。
【0054】
図13は、上段に従来技術による造影X線画像を示し、下段に第1実施形態による合成画像の一例を示す図である。
図13に示す造影X線画像及び合成画像は、左側から右側にかけて時系列で並べられている。
【0055】
図13の上段に示すように、従来技術による造影X線画像は、時間の経過と共に造影剤の流入領域が拡がっているが、副血行路、虚血血管、及び正常血管を分類していないため、副血行路、虚血血管、及び正常血管が同一の表示属性で表示される。
【0056】
一方、
図13の下段に示すように、第1実施形態の合成画像も、時間の経過と共に造影剤の流入領域が拡がっている。しかしながら、
図13の下段では、側副血行路、虚血血管、及び正常血管が異なる表示属性でそれぞれ表示される。
【0057】
第1実施形態に係る医用画像処理システム1によると、造影X線画像における脳血管を側副血行路及び虚血血管に分類し、各血管に異なる画像処理を施してフィルタ処理して、各血管を独立した表示属性にて表示することによって、血管構造を視認可能な画像としてリアルタイム再生表示できる。
【0058】
(第2実施形態)
第2実施形態は、側副血行路及び虚血血管と、ボリュームデータのレンダリング画像とを合成して表示する点が第1実施形態と異なる。
【0059】
図14は、第2実施形態に係る医用画像処理システムの構成の一例を示す概略図である。
【0060】
図14は、第2実施形態に係る医用画像処理システム1Aを示す。医用画像処理システム1Aは、X線画像診断装置としてのアンギオ装置10Aを含む。アンギオ装置10Aは、大きくは、保持装置11及びDF装置12Aによって構成される。
【0061】
DF装置12Aは、コンピュータをベースとして構成されており、病院基幹のLAN等のネットワークNと相互通信可能である。DF装置12Aは、大きくは、A/D変換回路30、画像生成回路31、画像メモリ32、表示装置34、プロセッサとしてのCPU35A、包括メモリ36、HDD37、入力装置38、通信制御装置39、及びシステム制御装置40等のハードウェアから構成される。CPU35Aは、共通信号伝送路としてのバスを介して、DF装置12Aを構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。なお、DF装置12Aは、記録媒体用のドライブ(図示しない)を具備する場合もある。
【0062】
CPU35Aの構成は、
図1を用いて説明したCPU35と同様であるので、説明を省略する。
【0063】
なお、
図14に示す第2実施形態に係る医用画像処理システム1Aにおいて、
図1に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
図15は、第2実施形態に係る医用画像処理システム1Aのアンギオ装置10Aの機能を示すブロック図である。
【0065】
図14に示すCPU35Aがプログラムを実行することによって、アンギオ装置10Aは、
図15に示すように、血管造影画像取得部51、ボリュームデータ生成部52、脳血管抽出部53、第1分類部54、血管造影撮影制御部55、レイサム透視画像生成部56、位置合わせ処理部57、第2分類部58、フィルタ部59、及び画像合成部60Aとして機能する。なお、
図15に示す各構成要素51乃至60AをCPU35Aの機能として説明するが、その場合に限定されるものではなく、各構成要素51乃至60Aをハードウェアとしてアンギオ装置10Aに備えるものであってもよい。
【0066】
なお、
図15に示す第2実施形態に係る医用画像処理システム1Aにおいて、
図2に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一機能には同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
画像合成部60Aは、ボリュームデータ生成部52によって生成されたボリュームデータに基づくレンダリング(MPRを含む)画像と、抑制フィルタ部59aによってフィルタ処理された側副血行路と、強調フィルタ部59bによってフィルタ処理された虚血血管と、第2正常血管抽出部58cによって抽出された正常血管とを合成処理して、各血管が独立した表示属性となるような設定した上で、合成画像のデータを逐次生成する機能を有する。合成画像には、種々のパラメータの文字情報や目盛等も合成されている。画像合成部60Aによって生成された合成画像は、ビデオ信号として表示装置34に送られ、表示装置34を介して表示される。画像合成部60Aによって略リアルタイムに合成画像が動画再生にて表示されることになる。
【0068】
画像合成部60Aによって生成される合成画像は、治療用のカテーテルを挿入する際のロードマップに利用することができる。
【0069】
第2実施形態に係る医用画像処理システム1Aによると、造影X線画像における脳血管を側副血行路及び虚血血管に分類し、各血管に異なる画像処理を施してフィルタ処理して、各血管を独立した表示属性にて表示することによって、アンギオ装置10Aによるカテーテル治療時に、血管構造を視認可能な画像としてリアルタイム再生表示できる。
【0070】
(第3実施形態)
第3実施形態は、透視しながら患者に治療用のカテーテルを進入させる際の構成を有する点が第1及び第2実施形態と異なる。
【0071】
図16は、第3実施形態に係る医用画像処理システムの構成の一例を示す概略図である。
【0072】
図16は、第3実施形態に係る医用画像処理システム1Bを示す。医用画像処理システム1Bは、X線画像診断装置としてのアンギオ装置10Bを含む。アンギオ装置10Bは、大きくは、保持装置11及びDF装置12Bによって構成される。
【0073】
DF装置12Bは、コンピュータをベースとして構成されており、病院基幹のLAN等のネットワークNと相互通信可能である。DF装置12Bは、大きくは、A/D変換回路30、画像生成回路31、画像メモリ32、表示装置34、プロセッサとしてのCPU35B、包括メモリ36、HDD37、入力装置38、通信制御装置39、及びシステム制御装置40等のハードウェアから構成される。CPU35Bは、共通信号伝送路としてのバスを介して、DF装置12Bを構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。なお、DF装置12Bは、記録媒体用のドライブ(図示しない)を具備する場合もある。
【0074】
CPU35Bの構成は、
図1を用いて説明したCPU35と同様であるので、説明を省略する。
【0075】
なお、
図16に示す第3実施形態に係る医用画像処理システム1Bにおいて、
図1に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
図17は、第3実施形態に係る医用画像処理システム1Bのアンギオ装置10Bの機能を示すブロック図である。
【0077】
図16に示すCPU35Bがプログラムを実行することによって、アンギオ装置10Bは、
図17に示すように、血管造影画像取得部51、ボリュームデータ生成部52、脳血管抽出部53、第1分類部54、血管造影撮影制御部55、レイサム透視画像生成部56、位置合わせ処理部57、第2分類部58、フィルタ部59、画像合成部60B、カテーテル先端位置取得部61、注目領域設定部62、透視制御部63、及び警告判断部64として機能する。なお、
図17に示す各構成要素51乃至64をCPU35Bの機能として説明するが、その場合に限定されるものではなく、各構成要素51乃至64をハードウェアとしてアンギオ装置10Bに備えるものであってもよい。
【0078】
なお、
図17に示す第3実施形態に係る医用画像処理システム1Bにおいて、
図2に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一機能には同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
画像合成部60Bは、抑制フィルタ部59aによってフィルタ処理された側副血行路と、強調フィルタ部59bによってフィルタ処理された虚血血管と、第2正常血管抽出部58cによって抽出された正常血管とを合成処理して、各血管が独立した表示属性となるような設定した上で、合成画像のデータを逐次生成する機能を有する。合成画像には、種々のパラメータの文字情報や目盛等も合成されている。画像合成部60Bによって生成された合成画像は、ビデオ信号として表示装置34に送られ、表示装置34を介して表示される。画像合成部60Bによって略リアルタイムに合成画像が動画再生にて表示されることになる。
【0080】
カテーテル先端位置取得部61は、3次元位置センサ(図示しない)等で特定した治療用のカテーテル先端の現在位置を逐次検出する機能を有する。
【0081】
注目領域設定部62は、画像合成部60Eによって生成された合成画像上に、注目領域を設定する機能を有する。例えば、注目領域設定部62は、側副血行路に治療用のカテーテルを進入させたくない場合、表示装置34を介して表示された合成画像上で術者が選択した側副血行路を注目領域として設定する。
【0082】
透視制御部63は、システム制御装置40を介して高電圧供給装置26及び駆動機構27を制御することによって、決定された透視条件に基づく比較的低い線量のX線を患者Pの頭部に照射させる透視を実行させる機能と、画像生成回路31によって生成された透視画像を取得する機能を有する。術者は、透視制御部63によって透視が行なわれている間、患者Pの患部まで治療用のカテーテルを挿入させる。
【0083】
画像合成部60Bは、前述の合成画像と、透視制御部63によって逐次取得される透視画像とを合成処理して、透視合成画像のデータを逐次生成する機能を有する。透視合成画像には、種々のパラメータの文字情報や目盛等も合成されている。画像合成部60Bによって生成された透視合成画像は、ビデオ信号として表示装置34に送られ、表示装置34を介して表示される。画像合成部60Bによって略リアルタイムに透視合成画像が動画再生にて表示されることになる。なお、前述の合成画像と、逐次の透視画像とは、合成処理されず、別々に並列に表示装置34を介して表示されてもよい。
【0084】
警告判断部64は、透視合成画像のリアルタイム動画再生中に、カテーテル先端位置取得部61によって検出された治療用のカテーテルの先端位置と、注目領域設定部62によって設定された注目領域としての側副血行路との相対的な位置関係に基づいて、警告を出力する機能を有する。例えば、警告判断部64は、透視合成画像のリアルタイム動画再生中に治療用のカテーテルを検出する場合、治療用のカテーテルの先端位置と側副血行路とが設定された距離の閾値を超えるとき、表示装置34を介して警告表示する。
【0085】
図18は、警告表示の一例を示す図である。
【0086】
図18に示すように、画像合成部60Bによるリアルタイム動画再生中に、側副血行路Aに治療用のカテーテルCが進入すると、警告判断部64が治療用のカテーテルの先端を検出し、表示装置34を介して警告を行なう。なお、警告方法は、
図18に示す場合に限られない。例えば、注目領域としての側副血行路の表示属性を変化(点滅表示等)させることで、術者に報知してもよい。
【0087】
医用画像処理システム1Bは、透視中に注目領域と治療用のカテーテル先端との距離が近くなった場合に、進行方向を変更するようにユーザに促すものである。また、注目領域設定部62は、側副血行路をコイル塞栓術で治療する場合、側副血行路を注目領域と設定した上で、画像合成部60Bは、治療用のカテーテルを注目領域に向かう方向へ誘導することもできる。
【0088】
第3実施形態に係る医用画像処理システム1Bによると、造影X線画像における脳血管を側副血行路及び虚血血管に分類し、各血管に異なる画像処理を施してフィルタ処理して、各血管を独立した表示属性にて表示することによって、アンギオ装置10Bによるカテーテル治療時に、血管構造を視認可能な画像としてリアルタイム再生表示できる。
【0089】
(第4実施形態)
第4実施形態では、画像診断用のワークステーション等の撮影後処理を目的としているため、第1〜第3実施形態とは異なり、リアルタイムに画像収集・処理する機能は存在しない。
【0090】
図19は、第4実施形態に係る医用画像処理システムの構成の一例を示す概略図である。
【0091】
図19は、第4実施形態に係る医用画像処理システム1Cを示す。医用画像処理システム1Cは、医用画像処理装置70Cを含む。医用画像処理装置70Cは、コンピュータをベースとして構成されており、ネットワークNと相互通信可能である。医用画像処理装置70Cは、大きくは、表示装置34、CPU35C、包括メモリ36、HDD37、入力装置38、及び通信制御装置39等の基本的なハードウェアから構成される。CPU35Cは、共通信号伝送路としてのバスを介して、医用画像処理装置70Cを構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。なお、医用画像処理装置70Cは、記憶媒体ドライブ(図示しない)を具備する場合もある。
【0092】
なお、
図19に示す第4実施形態に係る医用画像処理システム1Cにおいて、
図1に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0093】
図20は、第4実施形態に係る医用画像処理システム1の医用画像処理装置70Cの機能を示すブロック図である。
【0094】
図19に示すCPU35Cがプログラムを実行することによって、医用画像処理装置70Cは、
図20に示すように、血管造影画像取得部51、ボリュームデータ生成部52、脳血管抽出部53、第1分類部54、及び画像合成部60Cとして機能する。なお、
図20に示す各構成要素51乃至54,60CをCPU35Cの機能として説明するが、その場合に限定されるものではなく、各構成要素51乃至54,60Cをハードウェアとして医用画像処理装置70Cに備えるものであってもよい。
【0095】
なお、
図20に示す第4実施形態に係る医用画像処理システム1Cにおいて、
図2に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一機能には同一符号を付して説明を省略する。
【0096】
画像合成部60Cは、第1側副血行路抽出部54aによって抽出された、ボリュームデータの側副血行路と、第1虚血血管抽出部54bによって抽出された、ボリュームデータの虚血血管と、第1正常血管抽出部54cによって抽出された、ボリュームデータの正常血管とを合成処理し、各血管が独立した表示属性となるような設定した上でレンダリング処理し、合成画像のデータを生成する機能を有する。合成画像には、種々のパラメータの文字情報や目盛等も合成されている。画像合成部60Cによって生成された合成画像は、ビデオ信号として表示装置34に送られ、表示装置34を介して表示される。
【0097】
第4実施形態に係る医用画像処理システム1Cによると、造影X線画像における脳血管を側副血行路及び虚血血管に分類し、各血管を独立した表示属性にて表示することによって、血管構造を視認可能な画像として表示できる。
【0098】
(第5実施形態)
第5実施形態では、第4実施形態と同様に、画像診断用のワークステーション等の撮影後処理を目的としているため、リアルタイムに画像収集・処理する機能は存在しない。
【0099】
図21は、第5実施形態に係る医用画像処理システムの構成の一例を示す概略図である。
【0100】
図21は、第5実施形態に係る医用画像処理システム1Dを示す。医用画像処理システム1Dは、医用画像処理装置70Dを含む。医用画像処理装置70Dは、コンピュータをベースとして構成されており、ネットワークNと相互通信可能である。医用画像処理装置70Dは、大きくは、表示装置34、CPU35D、包括メモリ36、HDD37、入力装置38、及び通信制御装置39等の基本的なハードウェアから構成される。CPU35Dは、共通信号伝送路としてのバスを介して、医用画像処理装置70Dを構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。なお、医用画像処理装置70Dは、記憶媒体ドライブ(図示しない)を具備する場合もある。
【0101】
なお、
図21に示す第5実施形態に係る医用画像処理システム1Dにおいて、
図1に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0102】
図22は、第5実施形態に係る医用画像処理システム1Dの医用画像処理装置70Dの機能を示すブロック図である。
【0103】
図21に示すCPU35Dがプログラムを実行することによって、医用画像処理装置70Dは、
図22に示すように、血管造影画像取得部51、ボリュームデータ生成部52、脳血管抽出部53、第1分類部54、画像合成部60D、及び機能画像取得部81として機能する。なお、
図22に示す各構成要素51乃至54,60D,81をCPU35Dの機能として説明するが、その場合に限定されるものではなく、各構成要素51乃至54,60D,81をハードウェアとして医用画像処理装置70Dに備えるものであってもよい。
【0104】
なお、
図22に示す第5実施形態に係る医用画像処理システム1Dにおいて、
図2に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一機能には同一符号を付して説明を省略する。
【0105】
機能画像取得部81は、X線CT装置、MRI装置、及びPET(positron emission tomography)装置等の医用画像診断装置によって収集された、脳を含む機能画像、又はそれらを後処理によって解析したパフュージョン(perfusion)画像等の処理画像のデータを、HDD37等の記憶装置、又は、ネットワークN及び通信制御装置39を介して取得する機能を有する。
【0106】
画像合成部60Dは、第1側副血行路抽出部54aによって抽出された、ボリュームデータの側副血行路と、第1虚血血管抽出部54bによって抽出された、ボリュームデータの虚血血管と、第1正常血管抽出部54cによって抽出された、ボリュームデータの正常血管とを合成し、各血管が独立した表示属性となるような設定した上でレンダリング処理し、さらに、機能画像取得部81によって取得された機能画像を合成処理して、合成画像のデータを生成する機能を有する。合成画像には、種々のパラメータの文字情報や目盛等も合成されている。画像合成部60Dによって生成された合成画像は、ビデオ信号として表示装置34に送られ、表示装置34を介して表示される。画像合成部60Dによって生成された合成画像によって、機能画像と、側副血行路及び虚血血管との相対位置関係を提示することができる。
【0107】
第5実施形態に係る医用画像処理システム1Dによると、造影X線画像における脳血管を側副血行路及び虚血血管に分類し、各血管を独立した表示属性にて表示することによって、血管構造を視認可能な画像として表示できる。
【0108】
(第6実施形態)
第6実施形態では、第4及び第5実施形態と同様に、画像診断用のワークステーション等の撮影後処理を目的としているため、リアルタイムに画像収集・処理する機能は存在しない。
【0109】
図23は、第6実施形態に係る医用画像処理システムの構成の一例を示す概略図である。
【0110】
図23は、第6実施形態に係る医用画像処理システム1Eを示す。医用画像処理システム1Eは、医用画像処理装置70Eを示す。医用画像処理装置70Eは、コンピュータをベースとして構成されており、ネットワークNと相互通信可能である。医用画像処理装置70Eは、大きくは、表示装置34、CPU35E、包括メモリ36、HDD37、入力装置38、及び通信制御装置39等の基本的なハードウェアから構成される。CPU35Eは、共通信号伝送路としてのバスを介して、医用画像処理装置70Eを構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。なお、医用画像処理装置70Eは、記憶媒体ドライブ(図示しない)を具備する場合もある。
【0111】
なお、
図23に示す第6実施形態に係る医用画像処理システム1Eにおいて、
図1に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0112】
図24は、第6実施形態に係る医用画像処理システム1Eの医用画像処理装置70Eの機能を示すブロック図である。
【0113】
図23に示すCPU35Eがプログラムを実行することによって、医用画像処理装置70Eは、
図24に示すように、第1血管造影画像取得部(血管造影画像取得部)51、第1ボリュームデータ生成部(ボリュームデータ生成部)52、第1脳血管抽出部(脳血管抽出部)53、第1側副血行路抽出部54a、第1虚血血管抽出部54b、画像合成部60E、第3血管造影画像取得部82、第3ボリュームデータ生成部83、第3脳血管抽出部84、第3側副血行路抽出部85、第3虚血血管抽出部86、側副血行路評価部87、虚血血管評価部88、及び治療効果判定部89として機能する。なお、
図24に示す各構成要素51乃至54b,60E,82乃至89をCPU35Eの機能として説明するが、その場合に限定されるものではなく、各構成要素51乃至54b,60E,82乃至89をハードウェアとして医用画像処理装置70Eに備えるものであってもよい。
【0114】
なお、
図24に示す第6実施形態に係る医用画像処理システム1Eにおいて、
図2に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一機能には同一符号を付して説明を省略する。
【0115】
第1血管造影画像取得部51は、治療前のデータである血管造影画像を取得する機能を有する。
【0116】
第3血管造影画像取得部82は、治療後のデータであって、X線CT装置、MRI装置、及び造影X線画像診断装置等の医用画像診断装置によって収集された血管造影画像(造影剤を使用しない非造影MRA画像を含む)のデータを、HDD37等の記憶装置、又は、ネットワークN及び通信制御装置39を介して取得する機能を有する。
【0117】
第3ボリュームデータ生成部83は、第3血管造影画像取得部82によって取得された血管造影画像を3次元画像処理するために、3次元再構築してボリュームデータを生成する機能を有する。
【0118】
第3脳血管抽出部84は、第3ボリュームデータ生成部83によって生成されたボリュームデータから脳血管のデータを抽出する機能を有する。
【0119】
第3側副血行路抽出部85は、第3脳血管抽出部84によって抽出された脳血管全体から側副血行路を抽出する機能を有する。第3側副血行路抽出部85は、Atlasとの比較、特徴量による推定、又はモルフォルジカルフィルタによる推定に基づいて存在確率が最も高い部位として、側副血行路を抽出する。
【0120】
第3虚血血管抽出部86は、第3脳血管抽出部84によって抽出された脳血管全体と、第3側副血行路抽出部85によって抽出された側副血行路とに基づいて、虚血血管を抽出する機能を有する。
【0121】
側副血行路評価部87は、第1側副血行路抽出部54aによって抽出された側副血行路と、第3側副血行路抽出部85によって抽出された側副血行路とに基づいて、治療による回復度合を評価する機能を有する。側副血行路評価部87は、例えば、副血行路の時系列的な体積収縮率を算出して、同じ治療をした際の一般的な傾向と比較して、治療による回復度合を数値化(定量化)する。
【0122】
虚血血管評価部88は、第1虚血血管抽出部54bによって抽出された虚血血管と、第3虚血血管抽出部86によって抽出された虚血血管とに基づいて、治療による回復度合を評価する機能を有する。虚血血管評価部88は、例えば、虚血血管の時系列的な体積拡張率を算出して、治療による回復度合を数値化(定量化)する。
【0123】
治療効果判定部89は、側副血行路評価部87による側副血行路の体積収縮率と、虚血血管評価部88による虚血血管の体積拡張率とに基づいて、もやもや病の回復速度が良好か否かを判定することで、もやもや病に対する治療効果を判定する機能を有する。
【0124】
画像合成部60Eは、第1側副血行路抽出部54aによって抽出された側副血行路と、第1虚血血管抽出部54bによって抽出された虚血血管と、第3側副血行路抽出部85によって抽出された側副血行路と、第3虚血血管抽出部86によって抽出された虚血血管とを合成処理し、各血管が独立した表示属性となるような設定した上でレンダリング処理し、さらに、治療効果判定部89による治療の判定結果を合成処理して、合成画像のデータを生成する機能を有する。合成画像には、種々のパラメータの文字情報や目盛等も合成されている。画像合成部60Eによって生成された合成画像は、ビデオ信号として表示装置34に送られ、表示装置34を介して表示される。
【0125】
図25は、表示される治療の判定結果の一例を示す図である。
【0126】
図25の左側は、治療前の側副血行路及び虚血血管の合成画像を示す。
図25の右側は、治療後の側副血行路及び虚血血管と、治療の判定結果との合成画像を示す。さらに、
図25の右側に示すように、治療後の合成画像に治療前の側副血行路及び虚血血管を合成して表示してもよい。
【0127】
図25の右側に示す治療後の側副血行路の表示付近には、側副血行路評価部87によって評価された、治療による回復度合が定量表示(「体積40%減少」)される。また、
図25の右側に示す治療後の虚血血管の表示付近には、虚血血管評価部88によって評価された、治療による回復度合が定量表示(「体積20%増加」)され、虚血の回復度合を定量表示(「コントラスト平均10%増加」)する。
【0128】
第6実施形態に係る医用画像処理システム1Eによると、造影X線画像における脳血管を側副血行路及び虚血血管に分類し、各血管を独立した表示属性にて表示することによって、血管構造を視認可能な画像として表示できる。
【0129】
(第7実施形態)
第7実施形態では、第4乃至第6実施形態と同様に、画像診断用のワークステーション等の撮影後処理を目的としているため、リアルタイムに画像収集・処理する機能は存在しない。また、第7実施形態は、例えば、もやもや病に対する直接バイパス術(浅側頭動脈−中大脳動脈吻合術)に適用される。直接バイパス術は、脳の表面を走る中大脳動脈に、主に頭部の皮膚や皮下組織を栄養している浅側頭動脈を吻合する手術である。
【0130】
図26は、第7実施形態に係る医用画像処理システムの構成の一例を示す概略図である。
【0131】
図26は、第7実施形態に係る医用画像処理システム1Fを示す。医用画像処理システム1Fは、医用画像処理装置70Fを含む。医用画像処理装置70Fは、コンピュータをベースとして構成されており、ネットワークNと相互通信可能である。医用画像処理装置70Fは、大きくは、表示装置34、CPU35F、包括メモリ36、HDD37、入力装置38、及び通信制御装置39等の基本的なハードウェアから構成される。CPU35Fは、共通信号伝送路としてのバスを介して、医用画像処理装置70Fを構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。なお、医用画像処理装置70Fは、記憶媒体ドライブ(図示しない)を具備する場合もある。
【0132】
なお、
図26に示す第7実施形態に係る医用画像処理システム1Fにおいて、
図1に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0133】
図27は、第7実施形態に係る医用画像処理システム1Fの医用画像処理装置70Fの機能を示すブロック図である。
【0134】
図26に示すCPU35Fがプログラムを実行することによって、医用画像処理装置70Fは、
図27に示すように、血管造影画像取得部51、ボリュームデータ生成部52、脳血管抽出部53、第1側副血行路抽出部54a、第1虚血血管抽出部54b、画像合成部60F、接続点座標設定部90、血管分岐座標設定部91、接続距離演算部92、バイパス用血管血流量演算部93、虚血血管血流量推定部94、及びバイパス術適合判定部95として機能する。なお、
図27に示す各構成要素51乃至54b,60F,90乃至95をCPU35Fの機能として説明するが、その場合に限定されるものではなく、各構成要素51乃至54b,60F,90乃至95をハードウェアとして医用画像処理装置70Fに備えるものであってもよい。
【0135】
なお、
図27に示す第7実施形態に係る医用画像処理システム1Fにおいて、
図2に示す第1実施形態に係る医用画像処理システム1と同一機能には同一符号を付して説明を省略する。
【0136】
接続点座標設定部90は、第1虚血血管抽出部54bによって抽出された虚血血管としてみなされる中大脳動脈上にバイパス位置を接続点座標(3次元座標系)として設定する機能を有する。例えば、接続点座標設定部90は、入力装置38を用いた操作者による接続点座標の選択に基づいて、中大脳動脈上に接続点座標を設定する。
【0137】
血管分岐座標設定部91は、ボリュームデータ生成部52によって生成されたボリュームデータに基づいて、浅側頭動脈上にバイパス用の血管分岐を血管分岐座標(3次元座標系)として設定する機能を有する。例えば、血管分岐座標設定部91は、入力装置38を用いた操作者による血管分岐座標の選択に基づいて、浅側頭動脈上に血管分岐座標を設定する。
【0138】
接続距離演算部92は、接続点座標設定部90によって設定された接続点座標と、血管分岐座標設定部91によって設定された血管分岐座標とに基づいて、接続点座標と血管分岐座標との間の接続に必要な距離を算出する機能を有する。
【0139】
バイパス用血管血流量演算部93は、血管分岐座標設定部91によって設定された血管分岐座標に基づいて、バイパス用の浅側頭動脈のバイパス治療前の血流量を算出する機能を有する。バイパス用血管血流量演算部93によって算出される血流量は、撮影画像の脳血管の時系列的な信号値変化に基づいて算出される。
【0140】
虚血血管血流量推定部94は、バイパス用血管血流量演算部93によって算出されたバイパス用の浅側頭動脈の血流量と、接続点座標設定部90によって設定された接続点座標とに基づいて、虚血血管とみなされた中大脳動脈のバイパス治療前の血流量を推定する機能を有する。
【0141】
バイパス術適合判定部95は、虚血血管血流量推定部94によって推定された、虚血血管とみなされた中大脳動脈のバイパス治療前の血流量と、接続距離演算部92によって算出された接続距離とに基づいて、バイパス治療後の中大脳動脈の血流量を推定して、充分に虚血を改善できるか否かをシミュレーションする機能を有する。バイパス術適合判定部95は、閾値処理等に基づいて、選択されたバイパス用の浅側頭動脈が治療に適合するか否かの判定を行なうことになる。
【0142】
画像合成部60Fは、ボリュームデータ生成部52によって生成されたボリュームデータのレンダリング画像と、バイパス術適合判定部95による直接バイパス術の適合の判定結果とを合成処理して、合成画像のデータを生成する機能を有する。合成画像には、種々のパラメータの文字情報や目盛等も合成されている。画像合成部60Fによって生成された合成画像は、ビデオ信号として表示装置34に送られ、表示装置34を介して表示される。
【0143】
第7実施形態に係る医用画像処理システム1Fによると、造影X線画像における脳血管を側副血行路及び虚血血管に分類し、各血管を独立した表示属性にて表示することによって、血管構造を視認可能な画像として表示できる。
【0144】
また、第7実施形態に係る医用画像処理システム1Fによると、造影X線画像における脳血管を側副血行路及び虚血血管に分類することによって、直接バイパス術の適合性評価を正確に精度よく行なうことができる。
【0145】
なお、第1〜第7実施形態において、説明を分かり易くするために患者Pの脳を対象部位として説明してきた。しかし、患者Pの脳を対象部位するものに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0146】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。