特許第5921188号(P5921188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5921188紫外線遮蔽効果を有するシリカ系粒子の製造方法および該方法から得られたシリカ系粒子並びに該シリカ系粒子を配合してなる化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921188
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】紫外線遮蔽効果を有するシリカ系粒子の製造方法および該方法から得られたシリカ系粒子並びに該シリカ系粒子を配合してなる化粧料
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/159 20060101AFI20160510BHJP
   C01B 33/18 20060101ALI20160510BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20160510BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20160510BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20160510BHJP
   A61Q 19/04 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   C01B33/159
   C01B33/18 C
   C01B33/18 Z
   A61K8/25
   A61Q1/00
   A61Q19/00
   A61Q19/04
【請求項の数】14
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2011-289347(P2011-289347)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-136493(P2013-136493A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】三好 康敬
(72)【発明者】
【氏名】榎本 直幸
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−067867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00−33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線遮蔽効果を有する、粒子径が100〜1000nmのシリカ系粒子の製造方法であって、
(1)粒子内に細孔径が2〜100nmの範囲にある細孔群を有し、さらにその細孔容積が0.05〜2.0ml/gの範囲にあり、しかも粒子径が100〜1000nmの範囲にある多孔質シリカ系粒子に、チタニウム、亜鉛、セリウムおよび鉄から選ばれた1種または2種以上の金属元素を含む金属含有溶液を粒子内の毛管作用により含浸させ、次いで
(2)前記(1)に記載の含浸操作で得られたシリカ系粒子を100〜800℃の温度で加熱して前記金属元素の水酸化物または酸化物を細孔内に沈着・固定化させ、さらに
(3)前記(2)に記載の加熱操作で得られたシリカ系粒子を、再び前記(1)に記載の含浸操作と前記(2)に記載の加熱操作に供して前記金属元素の水酸化物および/または酸化物を前記細孔内に沈着・固定化させる
ことを特徴とするシリカ系粒子の製造方法。
【請求項2】
前記(3)に記載の含浸操作および加熱操作を、前記金属元素の水酸化物および/または酸化物が前記細孔内に所定量、沈着・固定化するまで繰り返し行うことを特徴とする請求項1に記載のシリカ系粒子の製造方法。
【請求項3】
前記(3)に記載の含浸操作および加熱操作から得られたシリカ系粒子を、さらに900〜1100℃の温度で焼成して粒子表面に存在するシリカ成分を焼結させることにより該粒子の表面を封止することを特徴とする請求項1または2に記載のシリカ系粒子の製造方法。
【請求項4】
前記(3)に記載の含浸操作および加熱操作から得られたシリカ系粒子を、下記一般式(I)で表される有機珪素化合物および/または珪酸と混合したのち、該化合物を水熱処理して、前記シリカ系粒子の表面をシリカ成分で被覆することにより該粒子の表面を封止することを特徴とする請求項1または2に記載のシリカ系粒子の製造方法。
【化1】
〔ただし、R1、R2はアルキル基、アリール基、ビニル基、またはアクリル基であり、nは0、1、2または3を表す。〕
【請求項5】
前記多孔質シリカ系粒子が、平均粒子径が5〜300nmのシリカ系微粒子(一次粒子)を含む水分散ゾル、または該シリカ系微粒子(一次粒子)を含む水分散ゾルと酸性珪酸液との混合物を噴霧乾燥し、さらに得られた粒子群を分級してその粒子径を100〜1000nmの範囲としたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシリカ系粒子の製造方法。
【請求項6】
前記多孔質シリカ系粒子内に存在する細孔群が、請求項5に記載のシリカ系微粒子(一次粒子)の粒子間に形成される粒界ボイドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシリカ系粒子の製造方法。
【請求項7】
前記金属含有溶液が、前記金属元素の塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、オキシ硫酸塩、ペルオキソ化合物、アルコキシド化合物および/または有機金属錯体から選ばれる1種または2種以上の溶解性金属化合物を含む溶液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシリカ系粒子の製造方法。
【請求項8】
前記金属含有溶液中に含まれる金属塩の濃度が、5〜40重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシリカ系粒子の製造方法。
【請求項9】
前記含浸操作を、前記多孔質シリカ系粒子群を前記金属含有溶液中に浸漬することなく、該多孔質シリカ系粒子群に前記金属含有溶液を、該多孔質シリカ系粒子群の細孔容積に対して過不足ない量だけ散布しながら行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のシリカ系粒子の製造方法。
【請求項10】
粒子内に細孔径が2〜100nmの範囲にある細孔群を有し、さらにその細孔容積が0.05〜2.0ml/gの範囲にあり、しかも粒子径が100〜1000nmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の細孔内部に、チタニウム、亜鉛、セリウムおよび鉄から選ばれた少なくとも1種からなる金属元素の水酸化物および/または酸化物を沈着・固定化してなる、紫外線遮蔽効果を有する、粒子径が100〜1000nmのシリカ系粒子。
【請求項11】
前記シリカ系粒子が、粒子表面に存在するシリカ成分を焼結させて該粒子の表面を封止したものであることを特徴とする請求項10に記載のシリカ系粒子。
【請求項12】
前記シリカ系粒子の表面がシリカ成分で被覆されたことを特徴とする請求項10に記載のシリカ系粒子。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載のシリカ系粒子を配合してなる化粧料。
【請求項14】
前記化粧料が、サンスクリーン化粧料、メークアップ化粧料またはスキンケア化粧料であることを特徴とする請求項13に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線遮蔽効果を有するシリカ系粒子の製造方法に関するものである。さらに、本発明は、該方法から得られる紫外線遮蔽効果を有するシリカ系粒子並びに該シリカ系粒子を配合してなる化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線遮蔽剤には、ベンゾフェノン系、ケイ皮酸系、安息香酸系などの有機系紫外線遮蔽剤と、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄などの無機系紫外線遮蔽剤とがあることが知られている。
【0003】
ここで、有機系紫外線遮蔽剤は、皮膚を隠蔽することなく紫外線を効率よく遮蔽することができるが、皮膚への刺激その他で人体に悪影響を及ぼす可能性があるので、化粧料中に多量に配合することはできなかった。また、有機系紫外線遮蔽剤は、紫外線を吸収することにより分解する性質をもっているため、紫外線遮蔽効果が経時的に減少する問題があった。
【0004】
一方、無機系紫外線遮蔽剤は、それ自身の分解や皮膚への刺激などの問題は少ないが、隠蔽力が高いため、これを皮膚に塗布した際、塗布膜の透明性の低下をもたらすことがあるので、化粧料中に多量に配合することは難しかった。
【0005】
また、前記無機紫外線遮蔽剤として二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄などの金属酸化物を使用し、これを微粒子状や薄片状にすると、塗布膜の透明性の低下が抑えられることが知られている。しかしながら、微粒子状のものを使用したとしても、これらが凝集することなく均一に分散した化粧料を得るのは非常に困難であり、化粧膜の透明性の低下を抑える効果は必ずしも十分ではなかった。また、微粒子上のものが凝集することにより、紫外線遮蔽効果が十分に発揮されなかったり、あるいは皮膚上での延展性などの使用感が悪くなったりすることがある。さらには、前記無機紫外線遮蔽剤の多くは、光触媒活性を有していることが知られており、結果として該光触媒活性の作用により、化粧料において併用される美容剤などの有効成分やその他の油剤を変質・分解し、化粧料の変色や変臭をもたらすという問題があった。
【0006】
そこで、従来においては、紫外線遮蔽剤としての金属酸化物微粒子をシリカ基材などと組み合わせて使用する方法が少なからず提案されている。
たとえば、特許文献1には、平均粒径が1〜50μの球状シリカゲルの細孔部および表面に、一次粒子径が50〜200A(5〜20nm)の酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムから選ばれた少なくとも1種の金属酸化物が担持され、かつ被覆された粒子の形状も球状である金属酸化物担持シリカが開示されている。しかしながら、この金属酸化物担持シリカは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムから選ばれた少なくとも1種の金属酸化物の微粒子が分散された水性コロイドゾルを添加し、凝集させたあと、これを乾燥する方法にて製造されている。このようにして得られた前記金属酸化物担持シリカは、前記金属酸化物の微粒子が少なからず凝集した状態で前記シリカゲルの表面にも担持されている。
【0007】
また、特許文献2には、シリカゾル(シリカ粒子径:100nm以下)中にチタン、亜鉛、セリウム、鉄などの金属または金属化合物の微粒子(一次粒子径:0.01〜0.5μm)を分散させた状態で水熱処理することにより、結晶性遊離珪酸の含有量が10%未満のシリカによって該金属または金属化合物の微粒子を内包して複合されたシリカを基材とする複合化粒子、さらにはこのようにして得られた鱗片板状の複合化粒子が開示されている。しかしながら、前記金属酸化物微粒子は、その全てがシリカ基材の中に内包されるわけではなく、シリカ基材(鱗片板状シリカ基材)の表面に付着しているものが少なからず存在する。
【0008】
また、特許文献3には、一次粒子の平均粒子径が0.001〜0.3μmである粒子がその形状を保持したまま凝集してなる母粒子と、該母粒子内に分散・固定化された平均粒子径が0.001〜0.1μmの子粒子(TiO2、ZnO、CeO2などの成分から構成される)よりなる紫外線遮蔽性複合微粒子が開示されている。さらに、この特許文献3には、前記母粒子原料と前記子粒子原料とを含む混合液を噴霧乾燥(原料物質の熱分解を含む)させて前記紫外線遮蔽性複合微粒子を製造する方法が開示されている。しかしながら、このようにして得られた紫外線遮蔽性複合微粒子においても、前記子粒子原料の全てが前記母粒子の中に内包されているわけではなく、該母粒子の表面に露出しているものも少なからず存在している。また、前記子粒子原料と前記母粒子原料とでは、混合液中での安定性が異なり、結果として前記噴霧乾燥工程における濃縮安定性や凝集性なども異なるため、前記子粒子の全てが前記母粒子内に均一に分散しているとは言えなかった。そのため、前記紫外線遮蔽性複合微粒子においては、前記子粒子が前記母粒子内に均一に分散している場合に想定される紫外線遮蔽効果や粒子の透明性と同等の効果を得ることは難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−127932号公報
【特許文献2】特開平11−11927号公報
【特許文献3】特許第2631963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来技術における問題点を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明における第一の課題は、紫外線遮蔽効果を有する、粒子径が100〜1000nmのシリカ系粒子の製造方法、さらに詳しくは粒子径が100〜1000nmの多孔質シリカ系粒子の細孔内に紫外線遮蔽効果を有する金属元素の水酸化物および/または酸化物を沈着・固定化してなるシリカ系粒子の製造方法を提供することにある。また、本発明における第二の課題は、該方法から得られたシリカ系粒子であって、紫外線遮蔽効果と透明性を兼ね備え、しかも光触媒活性が低いシリカ系粒子(このシリカ系粒子においては、内部に、紫外線遮蔽効果を備えたチタニウム酸化物などが含まれるため、一部、光触媒活性を示すものがある。)を提供することにある。さらに、本発明における第三の課題は、該シリカ系粒子を配合してなる化粧料、特にサンスクリーン化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の製造方法における問題点を解決することを目的として鋭意研究を重ねた結果、粒子内に特定の細孔径を有する多孔質シリカ系粒子に、特定の金属元素を含む金属含有溶液を粒子内の毛管作用により含浸させた後、乾燥、焼成して前記粒子の細孔内に前記金属元素の水酸化物および/または酸化物を沈着・固定化させ、さらにこの操作を繰り返し行って、紫外線遮蔽効果を有するシリカ系粒子を製造すればよいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明に係るシリカ系粒子の製造方法は、紫外線遮蔽効果を有する、粒子径が100〜1000nmのシリカ系粒子の製造方法であって、
(1)粒子内に細孔径が2〜100nmの範囲にある細孔群を有し、さらにその細孔容積が0.05〜2.0ml/gの範囲にあり、しかも粒子径が100〜1000nmの範囲にある多孔質シリカ系粒子に、チタニウム、亜鉛、セリウム、および鉄から選ばれた1種または2種以上の金属元素を含む金属含有溶液を粒子内の毛管作用により含浸させ、次いで
(2)前記(1)に記載の含浸操作で得られたシリカ系粒子を100〜800℃の温度で加熱して前記金属元素の水酸化物または酸化物を細孔内に沈着・固定化させ、さらに
(3)前記(2)に記載の加熱操作で得られたシリカ系粒子を、再び前記(1)に記載の含浸操作と前記(2)に記載の加熱操作に供して前記金属元素の水酸化物および/または酸化物を前記細孔内に沈着・固定化させる
ことを特徴としている。
【0013】
前記(3)に記載の含浸操作および加熱操作(加熱乾燥操作)を、前記金属元素の水酸化物および/または酸化物が前記細孔内に所定量、沈着・固定化するまで繰り返し行うことが好ましい。
【0014】
また、前記(3)に記載の含浸操作および加熱操作(加熱焼成操作)から得られたシリカ系粒子を、さらに900〜1100の温度で焼成して粒子表面に存在するシリカ成分を焼結させることにより該粒子の表面を封止することが好ましい。
【0015】
さらに、前記(3)に記載の含浸操作および加熱操作(加熱焼成操作)から得られたシリカ系粒子を、さらに下記一般式(I)で表される有機珪素化合物および/または珪酸と混合したのち、該化合物を水熱処理して、前記シリカ系粒子の表面をシリカ成分で被覆することにより該粒子の表面を封止することが好ましい。
【0016】
【化1】
〔ただし、R1、R2はアルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基であり、nは0、1、2または3を表す。〕
【0017】
前記多孔質シリカ系粒子は、平均粒子径が5〜300nmのシリカ系微粒子(一次粒子)を含む水分散液、または該シリカ系微粒子(一次粒子)を含む水分散液と酸性珪酸液との混合物を噴霧乾燥し、さらに得られた粒子群を分級してその粒子径を100〜1000nmの範囲としたものであることが好ましい。
【0018】
また、前記多孔質シリカ系粒子内に存在する細孔群は、上記したシリカ系微粒子(一次粒子)の粒子間に形成される粒界ボイドであることが好ましい。
前記金属含有溶液は、前記金属元素の塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、オキシ硫酸塩、ペルオキソ化合物、アルコキシド化合物および/または有機金属錯体から選ばれる1種または2種以上の溶解性金属化合物を含む溶液であることが好ましい。
【0019】
また、前記金属含有溶液中に含まれる溶解性金属化合物の濃度は、酸化物換算基準で5〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
さらに、前記含浸操作を、前記多孔質シリカ系粒子群を前記金属含有溶液中に浸漬することなく、該多孔質シリカ系粒子群に前記金属含有溶液を、該多孔質シリカ系粒子群の細孔容積に対して過不足ない量だけ散布しながら行うことが好ましい。
【0020】
本発明に係るシリカ系粒子は、粒子内に細孔径が2〜100nmの範囲にある細孔群を有し、さらにその細孔容積が0.05〜2.0ml/gの範囲にあり、しかも粒子径が100〜1000nmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の細孔内部に、チタニウム、亜鉛、セリウムおよび鉄から選ばれた少なくとも1種の金属元素の水酸化物および/または酸化物を沈着・固定化してなる、紫外線遮蔽効果を有する、粒子径が100〜1000nmのシリカ系粒子であることを特徴としている。
【0021】
前記シリカ系粒子は、粒子表面に存在するシリカ成分を焼結させて該粒子の表面を封止したものであることが好ましい。
また、前記シリカ系粒子は、一般式(I)で表される有機珪素化合物および/または珪酸を水熱処理して得られるシリカ成分を粒子表面に被覆させて該粒子の表面を封止したものであることが好ましい。
【0022】
【化1】
〔ただし、R1、R2はアルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基であり、nは0、1、2または3を表す。〕
【0023】
本発明に係る化粧料は、上記したシリカ系粒子を配合してなるものであることを特徴としている。また、前記化粧料は、サンスクリーン化粧料、メークアップ化粧料またはスキンケア化粧料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の製造方法によれば、粒子径が100〜1000nmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の細孔内部に、チタニウム、亜鉛、セリウムおよび鉄から選ばれた少なくとも1種の金属元素の水酸化物および/または酸化物を沈着・固定化してなる、紫外線遮蔽効果を有する、粒子径が100〜1000nmのシリカ系粒子を容易に得ることができる。
【0025】
また、本発明方法から得られるシリカ系粒子は、前記金属元素の水酸化物および/または酸化物(以下、「金属元素化合物」という場合もある。)が、前記多孔質シリカ系粒子の細孔内部に細孔径以下のサイズで存在しており、透明性が高いものであり、これを化粧料の原料として使用した場合には、紫外線遮蔽効果のほかに、化粧膜の使用感や見た目の透明感を損なわないなどの特性を備え、たとえ前記金属元素化合物が光触媒活性を有する場合であっても、該光触媒活性により生じる可能性がある皮膚へのダメージや化粧料に配合されるその他の有機系成分の分解を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、シリカ微粒子(一次粒子)を含むシリカゾルを噴霧乾燥させて得られたシリカ系粒子(二次粒子)の断面概略図である。
図2図2は、図1に示すシリカ系粒子(二次粒子)の細孔内部に、チタニウム、亜鉛、セリウムおよび鉄から選ばれた金属元素を含む金属含有溶液を粒子内の毛管作用により含浸させたシリカ系粒子(三次粒子)の断面概略図である。
図3図3は、図2に示すシリカ系粒子(三次粒子)を100〜800℃の温度で乾燥・焼成して前記金属元素の水酸化物または酸化物を細孔内に沈着・固定化させたシリカ系粒子(三次粒子)の断面概略図である。
図4図4は、図3に示すシリカ系粒子(三次粒子)を900〜1100℃の温度で焼成して、粒子表面に存在するシリカ成分を焼結させて該粒子の表面を封止したシリカ系粒子(四次粒子)の断面概略図である。なお、前記シリカ系粒子(三次粒子)の表面を、有機珪素化合物および/または珪酸の加水分解物からなるシリカ成分で被覆して封止したシリカ系粒子(四次粒子)の場合も、図4と同様な断面概略図となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るシリカ系粒子の製造方法について具体的に説明する。なお、本発明で使用される純水は、工業用水または蒸留水を陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂で処理したイオン交換水をいう。
【0028】
[シリカ系粒子の製造方法]
本発明に係るシリカ系粒子の製造方法は、
紫外線遮蔽効果を有する、粒子径が100〜1000nmのシリカ系粒子の製造方法であって、
(1)粒子内に細孔径が2〜100nmの範囲にある細孔群を有し、さらにその細孔容積が0.05〜2.0ml/gの範囲にあり、しかも粒子径が100〜1000nmの範囲にある多孔質シリカ系粒子に、チタニウム、亜鉛、セリウムおよび鉄から選ばれた1種または2種以上の金属元素を含む金属含有溶液を粒子内の毛管作用により含浸させ、次いで
(2)前記(1)に記載の含浸操作で得られたシリカ系粒子を100〜800℃の温度で加熱して前記金属元素の水酸化物または酸化物を細孔内に沈着・固定化させ、さらに
(3)前記(2)に記載の加熱操作で得られたシリカ系粒子を、再び前記(1)に記載の含浸操作と前記(2)に記載の加熱操作に供して前記金属元素の水酸化物および/または酸化物を前記細孔内に沈着・固定化させる
ことにより行うものである。
【0029】
以下、上記の製造方法の各工程について具体的に説明するが、その前に前記多孔質シリカ系粒子の調製方法について述べておきたい。しかしながら、本発明は、ここに記載の調製方法に限定されるものではない。
【0030】
多孔質シリカ系粒子の調製
この工程では、シリカ系微粒子(一次粒子)を含む水分散液、または該シリカ系微粒子(一次粒子)を含む水分散液と酸性珪酸液との混合物の固形分濃度を必要に応じて5〜50重量%に調整した後、これをスプレイドライヤーに供して、入口温度70〜400℃、出口温度40〜60℃の条件下で噴霧乾燥する。これにより、平均粒子径が100〜5000nmのシリカ系粒子(二次粒子)を得る。
【0031】
前記シリカ系微粒子(一次粒子)を含む分散液としては、従来公知の方法で製造された市販品を利用することができる。しかし、本発明においては、平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜100nmのシリカゾルなどを使用することが望ましい。前記平均粒子径が5nm未満であると、前記シリカ系粒子(二次粒子)の細孔径が2nm未満となるため、前記シリカ系粒子(二次粒子)の細孔内に前記金属含有溶液を含浸することが困難となり、粒子表面にも金属元素化合物が沈着・固定化することとなり、また、前記平均粒子径が300nmを超えると、前記シリカ系粒子(二次粒子)の細孔径が100nmを超えてしまい、該シリカ系粒子(二次粒子)の細孔内に沈着・固定化される前記金属元素化合物のサイズが大きくなりすぎて、紫外線遮蔽効果および透明性が低下してしまうので、好ましくない。
【0032】
このようなシリカ系微粒子分散液としては、例えば、平均粒子径が5nmのシリカゾル(日揮触媒化成(株)製、Cataloid SI−550)、平均粒子径が15nmのシリカゾル(日揮触媒化成(株)製、Cataloid S−20L)、平均粒子径が160nmのシリカ系微粒子を含むスラリー(日揮触媒化成(株)製、スフェリカスラリー160)などが挙げられる。なお、前記分散液は、水分散液であることが望ましいが、場合によっては、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類を含んでいてもよい。
【0033】
なお、このシリカ系微粒子分散液としては、該分散液中に含まれるシリカ系微粒子の粒子径ができるだけ揃ったものを使用することが好ましい。これは、多孔質シリカ系粒子の内部に形成される細孔群は、粒子間の空隙(いわゆる粒界ボイド)に形成されるため、シリカ系微粒子の粒子径が揃っていれば、その細孔径も揃ったものが得られるからである。
【0034】
さらに、前記酸性珪酸水溶液としては、アルカリ金属珪酸塩、有機塩基の珪酸塩等の珪酸塩水溶液を陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリ(Naイオンの除去等)したものを使用することができる。ここで、前記珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、第4級アンモニウムシリケート等の有機塩基の珪酸塩などが挙げられる。この中でも、pHが2〜6、好ましくは2〜3の範囲にあり、珪素成分の含有量がSiO2換算基準で0.5〜10重量%、好ましくは3〜4重量%の範囲にある珪酸液の水溶液を使用することが好ましい。ここで、前記pHが2未満であると、陽イオン交換に要する処理時間が必要以上に長くなって経済的でなくなり、また前記pHが6を超えると、脱アルカリの度合いが低いため、得られる珪酸液の安定性が悪くなるので、好ましくない。さらに、前記含有量が0.5重量%未満であると、経済的に前記無機酸化物微粒子を得ることが難しくなり、また前記含有量が10重量%を超えると、珪酸液の安定性が悪くなるので、好ましくない。
【0035】
このような性状を有する珪酸液の水溶液としては、水ガラス(珪酸ナトリウム)を水で希釈した後、陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリしたものを使用することが好ましい。
【0036】
このようにして得られるシリカ系粒子(二次粒子)は、前記シリカ系微粒子(一次粒子)の集合体であるため、該シリカ微粒子同士の粒界に空隙(いわゆる、粒界ボイド)が生じる。よって、このシリカ系粒子(二次粒子)の内部にはこの粒界ボイドに基づく細孔群が多数、形成されるため、多孔質となる。また、粒子内に形成された前記細孔群は、その殆どが前記シリカ系粒子(二次粒子)の外部に通じている。すなわち、オープンポアの状態にある。
【0037】
なお、ここで、前記シリカ系粒子(二次粒子)の平均粒子径が100nm未満であったり、あるいは該平均粒子径が5000nmを超えたりすると、本発明において必要とする粒子径100〜1000nmのシリカ系粒子の含有率が低すぎて、経済的ではなくなるので、好ましくない。
【0038】
多孔質シリカ系粒子の分級
この工程では、上記で得られたシリカ系粒子(二次粒子)を従来公知の分級装置(乾式分級装置または湿式分級装置)にかけて、100nm未満の粒子径を有するシリカ系粒子と、1000nmを超える粒子径を有するシリカ系粒子を分離して、粒子径が100〜1000nmのシリカ系粒子(二次粒子)を得る。このようにして所望の粒子径に調整されたシリカ系粒子(二次粒子)は、本発明の多孔質シリカ系粒子として用いることができる。しかし、この多孔質シリカ系粒子と同等またはほぼ同等の性状を有するものが市場から入手可能な場合(たとえば、エマルジョン法から得られる多孔質シリカ系粒子などを含む)には、それを使用してもよい。
【0039】
ここで、このようにして得られたシリカ系粒子(二次粒子)を本発明の多孔質シリカ系粒子として使用する場合、その粒子径が100nm未満であると、該シリカ系粒子(二次粒子)の流動性が著しく低いため、前記含浸操作の工程において、前記金属含有溶液を均一に含浸することが困難となり、延いては粒子表面にも金属元素化合物が沈着・固定化する場合があり、また前記粒子径が1000nmを超えると、粒子径が大きすぎて単位重量当たりの粒子個数が減少するため、これを化粧料などに配合して使用する際に、皮膚への紫外線遮蔽効果や透明性が低下する場合があるので、好ましくない。ただし、前記シリカ系粒子の分級操作の結果として、粒子径が100nm未満のもの、あるいは1000nmを超えるものが、その用途によっても異なるが、分級品の中に少量含まれていてもよいことは勿論である。
【0040】
本発明シリカ系粒子の調製
次に、本発明に係るシリカ系粒子の製造方法について、上記の工程ごとに具体的に説明すれば、以下の通りである。
【0041】
工程(1)
この工程では、前記多孔質シリカ系粒子としては、粒子内に細孔径が2〜100nmの範囲にある細孔群を有し、さらにその細孔容積が0.05〜2.0ml/gの範囲にあり、しかも粒子径が100〜1000nmの範囲にあるものを使用する。
【0042】
ここで、前記粒子内に存在する細孔群の細孔径が2nm未満であると、一回の含浸操作で含浸できる前記金属含有溶液の量が少ないばかりでなく、前記粒子内に前記金属含有溶液を含浸することが困難となり、延いては粒子表面にも金属元素化合物が沈着・固定化する場合があり、また前記細孔径が100nmを超えると、前記粒子内に沈着・固定化される前記金属元素化合物の量が多くなってその固形サイズも大きくなるため、結果として紫外線遮蔽効果や透明性を低下させる場合があるので、好ましくない。
【0043】
さらに、前記細孔容積が0.05ml/g未満であると、前記粒子内に沈着・固形化できる前記金属元素化合物の量が少なすぎるため、十分な紫外線遮蔽効果が得られず、また前記細孔容積が2.0ml/gを超えると、前記多孔質シリカ系粒子の粒子強度が著しく低いため、含浸操作などで粒子が崩壊することがあるので、好ましくない。また、前記粒子径からなるものを使用する理由は、上記したとおりである。
【0044】
次に、この工程では、前記多孔質シリカ系粒子群の粉体に、チタニウム、亜鉛、セリウムおよび鉄から選ばれた1種または2種以上の金属元素を含む金属含有水溶液を散布して粒子内の毛管作用により含浸させる。この場合、前記多孔質シリカ系粒子群の粉体を掻き混ぜながら、前記金属含有溶液を粉体上に散布して、全ての粉体上に、前記金属含有溶液が降りかかるようにすることが望まれる。
【0045】
前記金属含有溶液は、前記金属元素の塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、オキシ硫酸塩、ペルオキソ化合物、アルコキシド化合物および/または有機金属錯体などの溶解性金属化合物を含む溶液であることが好ましい。このような溶解性金属化合物としては、たとえば、前記塩酸塩としては、四塩化チタン、塩化亜鉛、塩化セリウム、塩化鉄などが挙げられ、前記硝酸塩としては、硝酸亜鉛、硝酸セリウム、硝酸鉄などが挙げられ、前記硫酸塩としては、硫酸チタン、硫酸亜鉛、硫酸セリウム、硫酸鉄などが挙げられ、また前記オキシ硫酸塩としては、オキシ硫酸チタンが挙げられる。さらに、前記ペルオキソ化合物としては、ペルオキソチタン酸が挙げられ、前記アルコキシド化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラノルマルブチキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジノルマルブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコレート、テトラエトキシ亜鉛、テトラノルマルプロポキシ亜鉛、テトライソプロポキシ亜鉛、テトラノルマルブトキシ亜鉛、テトライソブトキシ亜鉛、テトラ−t−ブトキシ亜鉛、また前記有機金属化合物としては、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、テトラキス(アセチルアセトナト)チタン、ジ−2−エチルヘキソキシ・ビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシ)チタン、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンモノアンモニウム、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタン・ジアンモニウム、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、アセチルアセトナト亜鉛、酢酸セリウム、アセチルアセトナトセリウム、クエン酸鉄、酢酸鉄、乳酸鉄、アセチルアセトナト鉄などが挙げられる。これらの中でも、四塩化チタン、オキシ硫酸チタン、塩化亜鉛、塩化セリウム、塩化鉄などを使用することが好ましい。なお、前記金属含有溶液は水溶液であることが望ましいが、場合によっては、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類を含んでいてもよい。
【0046】
また、前記金属含有溶液中に含まれる前記溶解性金属化合物の濃度は、その溶解性金属化合物の種類などによっても異なるが、酸化物換算基準で5〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
【0047】
ここで、前記溶解性金属化合物の濃度が5重量%未満であると、一回の含浸操作で含浸できる前記溶解性金属化合物の量が少ないため、十分な紫外線遮蔽効果を発現する量の前記金属元素化合物を沈着・固定化するために、多くの含浸操作が必要となるので経済的ではなくなり、また前記溶解性金属化合物の濃度が40重量%を超えると、前記金属含有溶液の粘度が著しく高くなるため、前記多孔質シリカ系粒子の細孔内に前記金属含有溶液が均一に含浸されなくなることがあるので、好ましくない。
【0048】
さらに、前記金属含有溶液の散布量は、使用される多孔質シリカ系粒子の細孔径や細孔容積、さらには前記溶解性金属化合物の種類や濃度などによっても異なるが、前記多孔質シリカ系粒子の細孔内が前記金属元素化合物でほぼ満たされるであろうと推測される値を超えない値から適宜、選択することが好ましい。ただし、一回あたりの溶液散布は、前記多孔質シリカ系粒子群の細孔容積に相当する量(粒子群1gあたりの細孔容積×粒子群の重量)を目安として行い、これを繰り返して行うことが望ましい。ここで、前記細孔容積を超える量で散布すると、前記金属元素化合物が粒子外部(表面部)に沈着・固定化してしまい、また前記細孔容積を下回る量で散布すると、前記金属元素化合物の所定量が粒子内部(表面部)に沈着・固定化するまで、前記含浸操作が何回も繰り返し行う必要が生じてしまうため、好ましくない。
【0049】
また、前記金属含有溶液の散布を一度に行おうとすると、記多孔質シリカ系粒子の細孔容積を超える量の前記金属含有溶液が散布されることとなるため、前記多孔質シリカ系粒子の表面にも前記金属元素化合物が沈着・固定化されるので、好ましくない。さらに、前記多孔質シリカ系粒子群の粉体を、前記金属含有溶液中に浸して行おうとしても、前記多孔質シリカ系粒子の細孔容積を超える量の前記金属含有溶液に浸漬されることとなるため、前記多孔質シリカ系粒子の表面にも前記金属元素化合物が沈着・固定化されるので、好ましくない。
【0050】
工程(2)
この工程では、前記工程(1)に記載の含浸操作で得られたシリカ系粒子を100〜800℃の温度で加熱して前記金属元素の水酸化物および/または酸化物を細孔内に沈着・固定化させる。
【0051】
前記シリカ系粒子の加熱は、前記含浸操作を繰り返して行う場合には、100〜300℃の比較的低い温度で行い、また前記含浸操作をその時点で終了させる場合には、300〜800℃の比較的高い温度で行うことが好ましい。なお、ここで、前者の加熱操作を「加熱乾燥操作」という場合があり、また後者の加熱操作を「加熱焼成操作」という場合がある。ただし、このように二つの操作を行わずに、前記溶解性金属化合物が分解して該金属元素の水酸化物や酸化物などに変換される一定の温度で加熱処理してもよいことは勿論である。また、前記加熱乾燥操作は1〜10時間、さらに前記加熱焼成操作は1〜5時間かけて行うことが好ましい。
【0052】
ここで、前記加熱温度が100℃未満であると、前記金属含有溶液の溶媒(たとえば、水)を蒸発させることが不十分となり、またたとえ十分な蒸発が可能であっても、そのためには長時間を要するので、経済的ではない。また、前記加熱温度が800℃を超えると、前記シリカ系粒子の粒子表面に存在するシリカ成分が焼結してしまう可能性があり、結果として繰り返し行われる含浸操作を行うことができなくなるので、好ましくない。
【0053】
なお、前記の加熱乾燥時間や加熱焼成時間については、目安として記載したものであって、これらの時間に限定されるものではない。すなわち、上記の加熱温度(加熱乾燥温度および加熱焼成温度)との関係で、前記シリカ系粒子の細孔内に沈着した前記溶解性金属化合物が分解して該金属の水酸化物や酸化物などになるであろうと推測される時間から適宜、選択することが好ましい。
【0054】
工程(3)
この工程では、前記工程(2)に記載の加熱操作で得られたシリカ系粒子を、再び前記工程(1)に記載の含浸操作と前記工程(2)に記載の加熱操作に供して前記金属元素の水酸化物および/または酸化物を前記細孔内に沈着・固定化させる。
【0055】
すなわち、この工程は、前記シリカ系粒子の細孔内に前記金属元素の水酸化物および/または酸化物を所定量、沈着・固定化させるまで繰り返し行うことが好ましい。また、この繰り返し回数は、前記多孔質シリカ系粒子の細孔径や細孔容積、さらには前記溶解性金属化合物の種類や濃度などによっても異なるが、1〜10回であることが好ましい。
【0056】
シリカ系粒子の表面封止
前記工程(3)に記載の繰返操作から得られたシリカ系粒子(本発明品)が、光触媒活性を示したり、あるいは化粧料に配合する際に併用されるその他の有機系成分を変質・分解する可能性があったりする場合には、予めその粒子表面を封止しておくことが望ましい。その表面封止の方法としては、以下に示す2つの方法があるが、本発明は、これらの方法に限定されるものではない。
【0057】
表面封止法1
前記工程(3)に記載の繰返操作から得られたシリカ系粒子を、さらに900〜1100℃の温度で焼成して粒子表面に存在するシリカ成分を焼結させることにより該粒子の表面を封止する。これにより、本発明に係るシリカ系粒子を上記のような場合でも問題なく使用することができる。さらに、紫外線遮蔽効果や透明性などにおいても、前記工程(3)で得られたシリカ系粒子と比べて遜色のないものである。
【0058】
ここで、前記焼成温度が900℃未満であると、粒子表面に存在するシリカ成分の焼結が不十分となり、また前記焼成温度が1100℃を超えると、隣接して存在するシリカ系粒子同士の焼結(すなわち、粒子同士が結合する)が起こる可能性があるので、好ましくない。
【0059】
表面封止法2
前記工程(3)に記載の繰返操作から得られたシリカ系粒子を、下記一般式(I)で表される有機珪素化合物および/または珪酸と混合したのち、該化合物を50〜350℃の温度で水熱処理して、前記シリカ系粒子の表面をシリカ成分で被覆することにより該粒子の表面を封止する。
【0060】
【化1】
〔ただし、R1、R2はアルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基であり、nは0、1、2または3を表す。〕
【0061】
この場合、前記水熱処理は、オートクレーブ中で行うことが好ましい。さらに、得られた表面被覆シリカ系粒子を乾燥して900〜1100℃の温度で焼成することがより好ましい。これにより、本発明に係るシリカ系粒子を上記のような場合でも問題なく使用することができる。さらに、紫外線遮蔽効果や透明性などにおいても、前記工程(3)で得られたシリカ系粒子と比べて遜色のないものである。
【0062】
ここで、前記水熱処理温度が50℃未満であると、前記シリカ系粒子の表面封止が不十分となり、また前記水熱処理温度が350℃を超えると、高圧反応容器が必要となるばかりでなく、不必要なエネルギーを供給することとなるので、好ましくない。
【0063】
次に、本発明に係るシリカ系粒子および該シリカ系粒子を配合してなる化粧料について説明する。
【0064】
[シリカ系粒子]
本発明に係るシリカ系粒子は、粒子内に細孔径が2〜100nmの範囲にある細孔群を有し、さらにその細孔容積が0.05〜2.0ml/gの範囲にあり、しかも粒子径が100〜1000nmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の細孔内部に、チタニウム、亜鉛、セリウムおよび鉄から選ばれた少なくとも1種の金属元素の水酸化物および/または酸化物を沈着・固定化してなる、紫外線遮蔽効果を有する、粒子径が100〜1000nmのシリカ系粒子である。
【0065】
本発明で使用される多孔質シリカ系粒子の物理性状については、上記で述べたとおりである。また、前記多孔質シリカ系粒子の細孔内部に沈着・固定化された、チタニウム、亜鉛、セリウムおよび鉄から選ばれた少なくとも1種の金属元素の水酸化物および/または酸化物についても、上記したとおりであるので、ここではその説明を省略する。
【0066】
上記の物理性状を備えたシリカ系粒子は、該粒子の細孔内部に、チタニウム、亜鉛、セリウムおよび鉄から選ばれた金属元素の水酸化物および/または酸化物が該粒子の細孔径以下のサイズで沈着・固定化されているので、十分な紫外線遮蔽効果と高い透明性を兼ね備えたものである。
【0067】
さらに、前記シリカ系粒子は、粒子表面に存在するシリカ成分を焼結させて該粒子の表面を封止したものであるか、あるいは下記一般式(I)で表される有機珪素化合物および/または珪酸を水熱処理して得られるシリカ成分を粒子表面に被覆させて該粒子の表面を封止したものであることが好ましい。
【0068】
【化1】
〔ただし、R1、R2はアルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基であり、nは0、1、2または3を表す。〕
【0069】
これにより、前記シリカ系粒子が光触媒活性を示したり、あるいは化粧料に配合する際に併用されるその他の有機系成分を変質・分解する可能性があったりする場合であっても、問題なく使用することができるようになる。
【0070】
[化粧料]
本発明に係る化粧料は、前記シリカ系粒子を、以下に述べる各種化粧料成分と配合して得られるものである。
【0071】
このような本発明化粧料としては、サンスクリーン化粧料、メークアップ化粧料、スキンケア化粧料などが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
前記シリカ系粒子を化粧料に配合する場合には、予め該粒子の表面を従来公知の一般的な方法で改質してから使用することもできる。この表面改質は、例えば、シリコーン処理、アルキルシラン処理、フッ素処理、ポリアクリル酸処理、ポリオレフィン処理、アミノ酸処理、水溶性高分子処理などの方法を用いて行うことができる。
【0072】
本発明化粧料への前記シリカ系粒子の配合量は、調製すべき化粧料の種類や配合すべき化粧料成分等によっても異なるが、前記化粧料に対し1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%の範囲にあることが好ましい。ここで、前記配合量が1重量%未満であると、十分な紫外線遮蔽効果が得られず、また前記配合量が50重量%を超えると、化粧料に求められる使用感や仕上り性を得るための調整が難しくなるので、好ましくない。
【0073】
前記の各種化粧料成分としては、例えば、オリーブ油、ナタネ油、牛脂等の油脂類、ホホバ油、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等のロウ類、パラフィン、スクワラン、合成及び植物性スクワラン、α−オレフィンオリゴマー、マイクロクリスタリンワックス、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素類、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、α−ヒドロキシ酸等の脂肪酸類、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等のアルコール類、アルキルグリセリルエーテル類、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、ラウリル酸セチル、オレイン酸デシル等のエステル類、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール類、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖、トレハロース等の糖類、メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーン油、各種変性シリコーン油、環状ジメチルシリコン油等のシリコーン油、シリコーン系およびまたは他の有機化合物にて架橋させたシリコーンゲル、ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性の各種界面活性剤、パーフルオロポリエーテル等のフッ素油、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸、グアーガム、アルブミン、プルラン、カルボキシビニルポリマー、セルロース及びその誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の各種高分子、アニオン、カチオン、ノニアオン系各種界面活性剤類、動植物抽出物、アミノ酸及びペプチド類、ビタミン類、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系、サリチル酸系、安息香酸エステル系、ウロカニン酸系、ベンゾフェノン系をはじめとした紫外線防御剤、殺菌・防腐剤、酸化防止剤、変性又は未変性の粘土鉱物、酢酸ブチル、アセトン、トルエン等の溶剤、各種粒子径、粒子径分布および形状を有する酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、マイカ、タルク、セリサイト、窒化ホウ素、硫酸バリウム、パール光沢を有する雲母チタン、およびそれらの複合物、各種有機顔染料、水、香料などが挙げられる。
【0074】
ここで、前記の酸化チタンや酸化亜鉛等の無機化合物は、その表面に予めシリコン処理、フッ素処理、金属石鹸処理などを施したものを用いてもよい。
また、ポリアクリル酸メチル、ナイロン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタンなどの樹脂粒子を含んでいてもよい。
【0075】
さらに、美白効果を有する有効成分として、アルブチン、コウジ酸、ビタミンC、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、ジ−パルチミン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、その他のアスコルビン酸誘導体、プラセンタエキス、イオウ、油溶性甘草エキス、クワエキス等の植物抽出液、リノール酸、リノレイン酸、乳酸、トラネキサム酸などを含ませることができる。
【0076】
また、肌荒れ改善効果を有する有効成分として、ビタミンC、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、カフェー誘導体、リグナン、サポニン、レチノイン酸及びレチノイン酸構造類縁体、N−アセチルグルコサミン、α−ヒドロキシ酸等の抗老化効果を有する有効成分、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類、混合異性化糖、トレハロース、プルラン等の糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン・キトサン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等の生体高分子類、アミノ酸、ベタイン、セラミド、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール及びその誘導体、ε−アミノ化プロン酸、グリチルリチン酸、各種ビタミン類などを含ませることができる。
【0077】
さらに、本発明においては、医薬部外品原料規格2006(発行:株式会社薬事日報社、平成18年6月16日)や、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(発行:The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association、Thirteenth Edition 2010)等に収載されている化粧料成分を特に制限なく使用することができる。
【0078】
本発明による化粧料は、従来公知の一般的な方法で製造することができる。
このような方法で製造された化粧料は、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、クリーム状、ジェル状、ムース状、液状、クリーム状などの各種形態で使用され、さらに具体的に述べれば、石鹸、クレンジングフォーム、メーク落とし用クリーム等の洗浄用化粧料、保湿・肌荒れ防止、アクネ、角質ケア、マッサージ、しわ・たるみ対応、くすみ・くま対応、紫外線ケア、美白、抗酸化ケア用等のスキンケア化粧料、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、ムースファンデーション、プレスドパウダー、化粧下地等のベースメークアップ化粧料、アイシャドウ、アイブロー、アイライナー、マスカラ、口紅等のポイントメークアップ化粧料、育毛用、フケ防止、かゆみ防止、洗浄用、コンディショニング・整髪、パーマネント・ウエーブ用、ヘアカラー・ヘアブリーチ用等のヘアケア化粧料、洗浄用、日焼け防止、手荒れ防止、スリミング用、血行改善用、かゆみ抑制、体臭防止、制汗、体毛ケア、リペラント用、ボディパウダー等のボディーケア化粧料、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、シャワーコロン等、練香水、ボディーロ−ション、バスオイル等のフレグランス化粧料、歯磨き、マウスウォッシュ等のオーラルケア製品などが挙げられる。
次に、本発明の実施例その他で採用された測定方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
【0079】
[測定方法]
(1)シリカ系微粒子の平均粒子径
NaOH滴定法にてシリカ系微粒子の比表面積S(m2/g)を測定し、以下の式にて平均粒子径を算出する。
【0080】
【数1】
より、
【0081】
【数2】
上記の式で、Dは平均粒子径(nm)、Sは比表面積(m2/g)を表す。また、無定形シリカの真比重は2.2g/cm3とする。
【0082】
(2)多孔質シリカ系粒子(およびシリカ系粒子)の平均粒子径
多孔質シリカ系粒子の粉体を40重量%のグリセリン含有水溶液に分散させてなるスラリー液(固形分濃度0.1〜5質量%)を調製し、これを超音波発生装置(iuch社製、US-2型)にかけて5分間、分散処理を施す。次いで、前記グリセリン水溶液を加えて濃度を調節した分散液より試料を取り、これをガラスセル(長さ10mm、幅10mm、高さ45cmのサイズ)に入れて、遠心沈降式粒度分布測定装置(堀場製作所製:CAPA−700)を用いて平均粒子径を測定する。
【0083】
(3)多孔質シリカ系粒子内細孔群の細孔径
多孔質シリカ系粒子の粉体10gをルツボに取り、300℃で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却した。ガラスセルに0.15g採取し、Belsorp miniII(日本ベル(株)製)を使用して真空脱気しながら試料に窒素ガスを吸着後、脱着させ、得られた吸着等温線から、BJH法により、細孔径(ピーク値)を算出した。
【0084】
(4)多孔質シリカ系粒子の細孔容積
多孔質シリカ系粒子の粉体10gをルツボに取り、105℃の温度で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次いで、よく洗浄したセルに1g試料を取り、窒素吸着装置(日揮触媒化成社製)を用いて窒素を吸着させ、以下の式から細孔容積を算出する。
【0085】
【数3】
上記の式で、Vは圧力735mmHgにおける標準状態の吸着量(ml)、Vcは圧力735mmHgにおけるセルブランクの容量(ml)、Wは試料の重量(g)を表す。また、窒素ガスと液体窒素の密度の比を0.001567とする。
【0086】
(5)シリカ系粒子中の金属元素化合物の含有量
シリカ系粒子の粉体を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(セイコー電子製SPS−1200A)を用いて、金属元素化合物の含有量を測定する。
【0087】
(6)シリカ系粒子の比表面積
シリカ系粒子の粉体を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、105℃の温度で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、比表面積(m2/g)をBET法にて測定する。
【0088】
(7)シリカ系粒子の分光透過率
シリカ系粒子の粉体を51重量%のグリセリン含有水溶液に分散させてなるスラリー液(固形分濃度0.005質量%)を調製し、これを超音波発生装置(iuch社製、US−2型)にかけて1時間、分散処理を施す。これをガラスセル(長さ10mm、幅10mm、高さ45cmのサイズ)に入れて、分光光度計(日立製作所製:U−2000)を用いて、波長300nm(UV−B領域)、350nm(UV−A領域)および550nm(可視光領域)における透過率を測定する。
【0089】
(8)シリカ系粒子のサンセットイエロー退色率
シリカ系粒子の粉体を二酸化チタンとしての重量が0.0067gとなるよう採取し、0.02重量%のサンセットイエロー含有グリセリン溶液9.45gに加えた後、水を加えて10gとしたスラリー液(二酸化チタン濃度0.067重量%)を調製し、これを超音波発生装置(iuch社製、US−2型)にかけて1時間、分散処理を施す。これをガラスセル(長さ10mm、幅10mm、高さ45cmのサイズ)に入れて、波長365nmの紫外線を3時間照射する。紫外線照射前後の波長490nmにおける吸光度を、分光光度計(日立製作所製:U−2000)を用いて測定し、以下の式からサンセットイエロー退色率を算出する。
【0090】
【数4】
上記の式で、A0は紫外線照射前の吸光度、A1は紫外線照射後の吸光度を表す。
【0091】
(9)シリカ系粒子中の崩壊粒子の有無
シリカ系粒子の粉体に、真空蒸着装置(JEOL社製、JFC−1200)を用いて、真空度8Paで40秒間、金蒸着処理を施した試料を作成する。次いで、走査型電子顕微鏡(JEOL社製:JSM−5600)を用いて、この試料を加速電圧15kVの条件下で、20,000倍のSEM写真を撮影する。また、シリカ系粒子の調製に使用した多孔質シリカ系粒子の粉体についても上記と同様の方法でSEM写真を撮影する。シリカ系粒子のSEM写真と多孔質シリカ系粒子のSEM写真を比較して、粒子形状を維持していない崩壊した粒子の有無を確認する。
【実施例】
【0092】
以下に、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
[調製例1]
実施例1用の多孔質シリカ粒子の調製
噴霧乾燥工程
平均粒子径15nmのシリカ系微粒子を含むシリカゾル(日揮触媒化成(株)製、Cataloid S−20L、SiO2含有量20重量%)をスプレイドライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供して、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度1リットル/分の条件下で噴霧乾燥を行い、平均粒子径900nmの多孔質シリカ系粒子の噴霧乾燥粉体1Aを得た。
【0093】
分級工程
前記噴霧乾燥工程で得られた前記噴霧乾燥粉体1A240gに純水2160ccを加え、300rpmの回転速度で1時間攪拌して、固形分濃度10重量%の分散液(1)を調製した。
【0094】
次いで、得られた分散液(1)を、700ccの遠心缶4つにそれぞれ600gずつ採取し、遠心分離機(日立工機社製、CF7DII、ローター:RT3S3)を用いて、主として100nm以上の粒子径を有する粒子が沈降するように、室温にて3000rpmの回転速度(1871.5Gの遠心加速度に相当する)で97分間、遠心分離操作を行った。次に、主として100nm以下の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を静かに抜き取り、分離・除去した。さらに、得られた沈殿物(一部の沈殿液を含む)に、純水を加えて600ccとした後、1時間攪拌した。
【0095】
次いで、再度、3000rpmの回転速度(1871.5Gの遠心加速度に相当する)で97分間、遠心分離操作を行った。次に、主として100nm以下の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を静かに抜き取り、分離・除去した。さらに、沈降液(または沈殿物)に純水を加えて600ccとした後、1時間攪拌した。
【0096】
次いで、主として1000nmを超えた粒子径を有する粒子が沈降するように、室温にて1000rpmの回転速度(207.9Gの遠心加速度に相当する)で327秒間(5.5分間)、遠心分離操作を行った。次に、主として100〜1000nmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を静かに抜き取り、主として100〜1000μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈殿液(または沈殿物)を分離・除去した。これにより、主として100〜1000nmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液(2)を得た。
【0097】
次いで、得られた分散液(2)を、120℃の温度で16時間乾燥した。次に、この乾燥粉体をミキサーにかけて凝集物を解砕して、多孔質シリカ系粒子2Aを得た。
このようにして得られた多孔質シリカ系粒子2Aについて、平均粒子径、細孔径および細孔容積を上記の測定方法でそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
【0098】
[調製例2]
実施例2〜6用の多孔質シリカ系粒子の調製
表1に示す日揮触媒化成(株)製や日本アエロジル(株)製のシリカ系微粒子を含むシリカ系微粒子分散液や酸性珪酸水溶液(SiO2換算基準シリカ成分を5重量%含む)からなる噴霧用原料を用いて、調製例1に示す「実施例1用の多孔質シリカ系粒子の調製」の場合と同様に噴霧乾燥して、噴霧乾燥粉体1B〜1Fを得た。
【0099】
このようにして得られた噴霧乾燥粉体1A〜1Fについて、多孔質シリカ系粒子の調製実施例−1の場合と同様に、平均粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
次に、得られた噴霧乾燥粉体1A〜1Fを、表2に示す分級条件としたこと以外は、調製例1に示す「実施例1用の多孔質シリカ系粒子の調製」の場合と同様に分級操作を行い、多孔質シリカ系粒子2B〜2Fを得た。
【0100】
このようにして得られた多孔質シリカ系粒子2B〜2Fについて、多孔質シリカ系粒子の調製例−1の場合と同様に、平均粒子径、細孔径、および細孔容積を測定した。その結果を表2示す。
【0101】
【表1】
(注記) シリカ系微粒子A:日揮触媒化成(株)製Cataloid S−20L
シリカ系微粒子B:日揮触媒化成(株)製Cataloid SI−30
シリカ系微粒子C:日揮触媒化成(株)製スフェリカスラリー SS−160
シリカ系微粒子D:日本アエロジル(株)製AEROSIL 380
【0102】
【表2】
【0103】
[調製例3]
比較例1〜6用の多孔質シリカ系粒子の調製
表3に示す日揮触媒化成(株)製や日本アエロジル(株)製のシリカ系微粒子を含むシリカ系微粒子分散液や酸性珪酸水溶液(SiO2換算基準シリカ成分を5重量%含む)からなる噴霧用原料を用いると共に、必要に応じて一部の噴霧乾燥条件を変更して、調製例1に示す「実施例1用の多孔質シリカ系粒子の調製」の場合と同様に噴霧乾燥して、噴霧乾燥粉体1a〜1fを得た。
【0104】
このようにして得られた噴霧乾燥粉体1a〜1fについて、調製例1に示す「実施例1用の多孔質シリカ系粒子の調製」の場合と同様に、平均粒子径を測定した。その結果を表3に示す。
【0105】
次に、得られた噴霧乾燥粉体1a〜1fを、表4に示す分級条件としたこと以外は、調製例1に示す「実施例1用の多孔質シリカ系粒子の調製」の場合と同様に分級操作を行い、多孔質シリカ系粒子2aおよび2c〜2fを得た。
【0106】
このようにして得られた多孔質シリカ系粒子2a〜2fについて、多孔質シリカ系粒子の調製例−1の場合と同様に、平均粒子径、細孔径、および細孔容積を測定した。その結果を表4示す。
【0107】
【表3】
(注記) シリカ系微粒子A:日揮触媒化成(株)製Cataloid S−20L
シリカ系微粒子D:日本アエロジル(株)製AEROSIL
シリカ系微粒子E:日揮触媒化成(株)製Cataloid SI−550
シリカ系微粒子F:日揮触媒化成(株)製スフェリカスラリー SS−550
シリカ系微粒子G:380日揮触媒化成(株)製Cataloid SNL
【0108】
【表4】
【0109】
[実施例1]
工程(1)
「実施例1用の多孔質シリカ系粒子の調製」で得られた多孔質シリカ系粒子2A100.0gをミキサーに投入し、これにTiO2として10重量%の濃度に調製した四塩化チタン水溶液30.0gを加えた後、20分間攪拌して、含浸処理粉体を得た。
【0110】
工程(2)
前記工程(1)で得られた含浸処理粉体を、200℃の温度で1時間、加熱乾燥して、乾燥粉体を得た。
【0111】
工程(3)
前記工程(2)で得られた乾燥粉体103gをミキサーに投入し、これにTiO2として10重量%の濃度に調製した四塩化チタン水溶液29.2gを加え、20分間攪拌した後、200℃の温度で1時間、加熱乾燥した。
【0112】
次に、乾燥して得られた粉体105.9gをミキサーに投入し、これにTiO2として10重量%の濃度に調製した四塩化チタン水溶液28.5gを加え、20分間攪拌した後、200℃の温度で1時間、加熱乾燥した。
【0113】
次に、乾燥して得られた粉体108.8gをミキサーに投入し、これにTiO2として10重量%の濃度に調製した四塩化チタン水溶液27.8gを加え、20分間攪拌した後、200℃の温度で1時間、加熱乾燥した。
【0114】
次に、乾燥して得られた粉体111.6gをミキサーに投入し、これにTiO2として10重量%の濃度に調製した四塩化チタン水溶液27.0gを加え、20分間攪拌した後、200℃の温度で1時間、加熱乾燥した。
【0115】
次に、乾燥して得られた粉体114.3gをミキサーに投入し、これにTiO2として10重量%の濃度に調製した四塩化チタン水溶液26.3gを加え、20分間攪拌した後、200℃の温度で1時間、加熱乾燥した。
【0116】
次に、乾燥して得られた粉体116.9gをミキサーに投入し、これにTiO2として10重量%の濃度に調製した四塩化チタン水溶液25.7gを加え、20分間攪拌した後、200℃の温度で1時間、加熱乾燥した。
【0117】
次に、乾燥して得られた粉体119.5gをミキサーに投入し、これにTiO2として10重量%の濃度に調製した四塩化チタン水溶液25.0gを加え、20分間攪拌した後、200℃の温度で1時間、加熱乾燥した。
【0118】
次に、乾燥して得られた粉体122.0gをミキサーに投入し、これにTiO2として10重量%の濃度に調製した四塩化チタン水溶液24.4gを加え、20分間攪拌した後、200℃の温度で1時間、加熱乾燥した。
【0119】
次に、乾燥して得られた粉体124.4gをミキサーに投入し、これにTiO2として10重量%の濃度に調製した四塩化チタン水溶液23.7gを加え、20分間攪拌した後、200℃の温度で1時間、加熱乾燥した。
【0120】
さらに、このように含浸操作と乾燥操作を10回繰り返して得られた乾燥粉体を、700℃の温度で3時間、加熱焼成した後、ミキサーにかけて凝集物を解砕して、実施例焼成粉体3Aを得た。
【0121】
このようにして得られた実施例焼成粉体3Aについて、TiO2含有量、比表面積、分光透過率、サンセットイエロー退色率および崩壊粒子の有無を上記の測定方法でそれぞれ測定した。その結果を表5に示す。
【0122】
封止工程
前記工程(3)で得られた実施例焼成粉体3Aを1000℃の温度で3時間焼成した後、ミキサーにかけて凝集物を解砕して、実施例封止粉体4Aを得た。
このようにして得られた実施例焼成粉体4Aについて、TiO2含有量、比表面積、分光透過率、サンセットイエロー退色率および崩壊粒子の有無を上記の測定方法でそれぞれ測定した。その結果を表6に示す。
【0123】
[実施例2〜6]
実施例1で使用した多孔質シリカ系粒子2Aの代わりに、表-1に示す多孔質シリカ系粒子を用いると共に、用いた多孔質シリカ系粒子の細孔容積に応じて、四塩化チタン水溶液の使用量を変更して、実施例1における工程(1)〜(3)の操作を行い、実施例焼成粉体3B〜3Fを得た。
【0124】
このようにして得られた実施例焼成粉体3B〜3Fについて、実施例1の場合と同様に、TiO2含有量、比表面積、分光透過率、サンセットイエロー退色率および崩壊粒子の有無をそれぞれ測定した。その結果を表5に示す。
【0125】
次に、得られた実施例焼成粉体3B〜3Fについて、実施例1における封止工程の操作を行い、実施例焼成粉体4B〜4Fを得た。
このようにして得られた実施例焼成粉体4B〜4Fについて、実施例1の場合と同様に、TiO2含有量、比表面積、分光透過率、サンセットイエロー退色率および崩壊粒子の有無をそれぞれ測定した。その結果を表6に示す。
【0126】
【表5-1】
【0127】
【表5-2】
【0128】
【表6】
【0129】
[実施例7〜9]
実施例1で使用した四塩化チタン水溶液の代わりに、表-1に示す金属含有混合溶液を用いて、実施例1における工程(1)〜(3)の操作を行い、実施例焼成粉体3G〜3Iを得た。
【0130】
このようにして得られた実施例焼成粉体3G〜3Iについて、TiO2含有量、ZnO含有量、Fe23含有量、CeO2含有量、比表面積、分光透過率、サンセットイエロー退色率および崩壊粒子の有無を上記の測定方法でそれぞれ測定した。その結果を表7に示す。
【0131】
次に、得られた実施例焼成粉体3G〜3Iについて、実施例1における封止工程の操作を行い、実施例焼成粉体4G〜4Iを得た。
このようにして得られた実施例焼成粉体4G〜4Iについて、TiO2含有量、ZnO含有量、Fe23含有量、CeO2含有量、比表面積、分光透過率、サンセットイエロー退色率および崩壊粒子の有無を上記の測定方法でそれぞれ測定した。その結果を表8に示す。
【0132】
【表7】
【0133】
【表8】
【0134】
[実施例10]
純水1300g、エタノール1100gおよび29重量%のアンモニア水400gを加えた混合溶液に、実施例4における工程(3)で得られた実施例焼成粉体3D20gを分散させ、分散液の濃度を35℃に維持しながら、これに有機珪素化合物としてテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製、エチルシリケートA、SiO2濃度28重量%)14gを14分間で添加した。
【0135】
次に、この分散液をオートクレーブに入れて、180℃の温度で10時間、水熱処理した後、冷却し、さらにろ過分離した後、乾燥した。次いで、この乾燥粉体をミキサーにかけて凝集物を解砕して、実施例封止粉体4Jを得た。
【0136】
このようにして得られた実施例封止粉体4Jについて、実施例1の場合と同様に、TiO2含有量、比表面積、分光透過率およびサンセットイエロー退色率をそれぞれ測定した。その結果を表9に示す。
【0137】
【表9】
【0138】
[比較例1〜6]
実施例1で使用した多孔質シリカ系粒子2Aの代わりに、表10に示す多孔質シリカ系粒子を用いると共に、用いた多孔質シリカ系粒子の細孔容積に応じて、四塩化チタン水溶液の使用量を変更して、実施例1における工程(1)〜(3)の操作を行い、比較例焼成粉体3a〜3fを得た。
【0139】
このようにして得られた比較例焼成粉体3a〜3fについて、実施例1の場合と同様に、TiO2含有量、比表面積、分光透過率、サンセットイエロー退色率および崩壊粒子の有無をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
【0140】
なお、ここで得られた比較例焼成粉体3a〜3fは、波長300nmおよび350nmにおける透過率が高く、紫外線遮蔽効果が不十分であった。また、比較例焼成粉体3fについては、崩壊粒子の存在が確認された。
【0141】
【表10-1】
【0142】
【表10-2】
【0143】
[比較例7]
実施例1の工程(1)で得られた含浸処理粉体を、1000℃で3時間焼成して、比較例焼成粉体3gを得た。
【0144】
このようにして得られた比較例焼成粉体3gについて、実施例1の場合と同様に、TiO2含有量、比表面積、分光透過率、サンセットイエロー退色率および崩壊粒子の有無をそれぞれ測定した。その結果を表11に示す。
【0145】
なお、ここで得られた比較例焼成粉体3gは、波長300nmにおける透過率が高く、紫外線遮蔽性効果が不十分であるが、表面が封止されており、これ以上含浸操作を行うことができなかった。
【0146】
【表11】
【0147】
[比較例8]
実施例1で得られた実施例焼成粉体3Aを、1200℃で3時間焼成したところ、シリカ系粒子同士の焼結が生じて粗大なブロック状の塊となり、ミキサーを用いても解砕することができず、本発明のシリカ系粒子を得ることができなかった。
【0148】
[比較例9]
実施例1で使用した四塩化チタンの濃度を、TiO2として1重量%の濃度に変更して、実施例1における工程(1)〜(3)の操作を行い、比較例焼成粉体3hを得た。
【0149】
このようにして得られた比較例焼成粉体3hについて、実施例1の場合と同様に、TiO2含有量、比表面積、分光透過率、サンセットイエロー退色率および崩壊粒子の有無をそれぞれ測定した。その結果を表12に示す。
なお、ここで得られた比較例焼成粉体3hは、含浸操作と乾燥・焼成操作を10回行っても、TiO2含有量が低く、紫外線遮蔽効果が得られなかった。
【0150】
[比較例10]
実施例1で使用した四塩化チタンの濃度を、TiO2として42重量%の濃度に変更して、実施例1における工程(1)〜(3)の操作を行い、比較例焼成粉体3iを得た。
【0151】
このようにして得られた比較例焼成粉体3iについて、実施例1の場合と同様に、TiO2含有量、比表面積、分光透過率、サンセットイエロー退色率および崩壊粒子の有無をそれぞれ測定した。その結果を表12に示す。
【0152】
なお、ここで得られた比較例焼成粉体3iは、波長300nmおよび350nmにおける透過率が高く、紫外線遮蔽効果が不十分であった。
【0153】
【表12】
【0154】
[比較例11]
市販の二酸化チタン系微粒子粉体(テイカ(株)製MT−100SA)について、TiO2含有量、比表面積、分光透過率およびサンセットイエロー退色率を上記の測定方法でそれぞれ測定した。その結果を表13に示す。
【0155】
なお、この二酸化チタン系微粒子粉体は、波長300nmおよび350nmにおける透過率が高く、紫外線遮蔽効果が不十分であった。また、波長550nmにおける透過率が低く、透明性も低かった。これは、二酸化チタン系微粒子粉末は、分散性が著しく悪く、超音波照射処理を施しても、粒子同士の凝集が解消されていないことによるものと思われる。さらには、サンセットイエロー退色率が高く、光触媒活性が高いことが認められた。
【0156】
【表13】
【0157】
[実施例11]
実施例1で得られた実施例封止粉体4Aをハイドロゲンジメチコン(信越化学(株)製KF−9901)で表面処理(ハイドロゲンジメチコン3重量%処理品)したものを用いて、表14に示す組成(重量%)からなるサンスクリーン剤を調製した。
【0158】
なお、前記サンスクリーン剤の調製は、以下のように行った。
(a)下記成分(8)〜(11)の成分を十分に撹拌混合した。
(b)下記成分(1)〜(7)の成分をホモミキサーを用いて混合し、2000rpmの回転速度で10分間、撹拌して、これに含まれる固形分を分散させた。
(c)前記(a)で得られた混合物を、前記(b)のホモミキサーの中に入れて混合し、2000rpmの回転速度で3分間、撹拌して乳化させた。
(d)前記(c)で得られた乳化物を真空容器中に入れて脱泡した。
【0159】
得られたサンスクリーン剤は、紫外線遮蔽効果を有しており、塗布膜の透明感も高いものであった。
【0160】
【表14】
【0161】
パウダーファンデーションの調製
実施例1で得られた実施例封止粉体4Aを用いて、表15に示す組成(重量%)からなるパウダーファンデーションを調製した。
なお、前記パウダーファンデーションの調製は、以下のように行った。
(a)下記成分(1)〜(9)の成分をミキサーに入れて撹拌し、均一に混合した。
(b)下記成分(10)〜(12)の成分をミキサーに入れて撹拌し、さらに均一に混合した。
(c)前記(b)で得られた混合物を、解砕処理した後、その中から約12gを取り出し、46mm×54mm×4mmの角金皿に入れてプレス成型した。
【0162】
得られたパウダーファンデーションは、紫外線遮蔽効果を有しており、塗布膜の透明感も高いものであった。
【0163】
【表15】
【0164】
O/W型クリームの調製
実施例1で得られた実施例封止粉体4Aを用いて、表16に示す組成(重量%)からなるO/Wクリームを調製した。
なお、前記O/Wクリームの調製は、以下のように行った。
(a)下記成分(9)〜(15)の成分をホモミキサーを用いて混合し、2000rpmの回転速度で10分間撹拌して、これに含まれる固形分を分散させた。(b)下記成分(1)〜(8)の成分を80℃の温度に加熱し、ホモミキサーを用いて混合し、2000rpmの回転速度で10分間攪拌した。
(c)前記(a)で得られた混合物を、前記(b)のホモミキサーの中に入れて混合し、2000rpmの回転速度で3分間、撹拌して乳化させた。
(d)前記(c)で得られた乳化物を真空容器中に入れて脱泡した。
得られたO/Wクリームは、紫外線遮蔽効果を有しており、塗布膜の透明感も高いものであった。
【0165】
【表16】
図1
図2
図3
図4