(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガス流通路が内部に形成された筒状のガス栓本体と、前記ガス流通路の内部にて前記ガス栓本体の内周面に着座して閉じ姿勢と開き姿勢との間で姿勢変更されるスライド弁とを備えたガス栓であって、
前記ガス栓本体に対し突出方向に付勢されて突出位置に突出移動可能であると共に、突出位置にて前記突出方向の反対方向への押圧操作を受けることで引退位置に引退移動可能な第1操作部材を備え、
前記スライド弁は、当該第1操作部材の突出位置と引退位置との間での移動に連動して、前記閉じ姿勢と前記開き姿勢との間で姿勢変更され、
中空筒形状を有し、その内部に、外部から前記押圧操作が可能な状態で前記第1操作部材を収納する第2操作部材を備え、
前記第2操作部材は、前記ガス栓本体に対し前記突出方向に付勢された突出位置に突出移動可能であると共に、当該突出位置にて前記押圧操作を受けることで引退移動可能に構成され、
引退位置に位置する前記第1操作部材と、突出位置に位置する前記第2操作部材とを係合して、前記第1操作部材を引退位置に位置保持する位置保持手段が設けられ、
前記位置保持手段は、突出位置に位置する前記第2操作部材が前記押圧操作を受けたときに、前記第1操作部材と前記第2操作部材との係合を解除して、前記第1操作部材の引退位置から突出位置への移動を許容するガス栓。
前記第2操作部材には、ロック状態において前記第2操作部材への前記押圧操作を阻止し、ロック解除状態において前記第2操作部材への前記押圧操作を許容するロック機構が設けられている請求項1〜3の何れか一項に記載のガス栓。
前記ロック機構は、その屈曲部位に設けられる枢支点にて前記ガス栓本体に枢支されるL字状部材と、当該L字状部材を枢支点周りの揺動方向の一方向へ付勢する付勢部材とから構成され、
前記L字状部材には、その枢支点を挟んだ一方側端部に、前記付勢部材の付勢力に抗して自身を前記揺動方向の他方へ揺動させる揺動操作を受ける被操作部位が設けられると共に、他方側端部に、前記被操作部位にて前記揺動操作を受けていない状態で、前記第2操作部材に係合して前記第2操作部材への前記押圧操作を阻止可能な阻止部位が設けられている請求項4に記載のガス栓。
前記ロック機構は、前記第2操作部材又は前記ガス栓本体の何れか一方に設けられたカム溝と、前記カム溝に嵌り込んだ状態で前記カム溝に沿って摺動移動するように構成された、前記第2操作部材又は前記ガス栓本体の何れか他方に設けられる接触子とから構成されている請求項4に記載のガス栓。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に示されるプッシュプッシュ式のガス栓は、上述したように、略ハート型で、複数の係止部位がある複雑な形状のガイド溝に沿ってガイドピンが周回移動するように構成されているため、ガイドピンが、複雑なガイド溝に嵌り込んで、移動しにくくなる場合があり、この場合には開栓動作及び閉栓動作ができにくくなる虞があり、必ずしも、操作性の良いものではなく、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、比較的簡易な構成により、高い操作性を実現できるプッシュプッシュ式のガス栓を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明のガス栓は、
ガス流通路が内部に形成された筒状のガス栓本体と、前記ガス流通路の内部にて前記ガス栓本体の内周面に着座して閉じ姿勢と開き姿勢との間で姿勢変更されるスライド弁とを備えたガス栓であって、その特徴構成は、
前記ガス栓本体に対し突出方向に付勢されて突出位置に突出移動可能であると共に、突出位置にて前記突出方向の反対方向への押圧操作を受けることで引退位置に引退移動可能な第1操作部材を備え、
前記スライド弁は、当該第1操作部材の突出位置と引退位置との間での移動に連動して、前記閉じ姿勢と前記開き姿勢との間で姿勢変更され、
中空筒形状を有し、その内部に、外部から前記押圧操作が可能な状態で前記第1操作部材を収納する第2操作部材を備え、
前記第2操作部材は、前記ガス栓本体に対し前記突出方向に付勢された突出位置に突出移動可能であると共に、当該突出位置にて前記押圧操作を受けることで引退移動可能に構成され、
引退位置に位置する前記第1操作部材と、突出位置に位置する前記第2操作部材とを係合して、前記第1操作部材を引退位置に位置保持する位置保持手段が設けられ、
前記位置保持手段は、突出位置に位置する前記第2操作部材が前記押圧操作を受けたときに、前記第1操作部材と前記第2操作部材との係合を解除して、前記第1操作部材の引退位置から突出位置への移動を許容する点にある。
【0006】
上記特徴構成によれば、スライド弁の開き姿勢と閉じ姿勢との間の「開栓動作」及び「閉栓動作」は、第1操作部材の押圧操作、及び第2操作部材の押圧操作の何れか一方にて実現できるので、ガス栓を操作する手が濡れている等で滑りやすい場合であっても、容易に「閉栓操作」及び「開栓動作」ができる操作性の高いガス栓を実現できる。
そして、上記特徴構成によれば、「開栓動作」及び「閉栓動作」を、それぞれ個別に外部から一方向に押圧操作可能な、第1操作部材、第2操作部材及び第1操作部材を第2操作部材との間でその引退位置に位置保持する位置保持部材という比較的簡易な構成により、シンプルで操作性の高いガス栓を実現できる。
【0007】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記第2操作部材は、前記突出方向側の端部を開口する開口部が設けられ、
当該開口部には、当該開口部の縁から中心側へ延びる鍔部が設けられ、
前記鍔部は、前記第1操作部材の前記突出方向側の端部に当接して、前記第1操作部材を突出位置に位置保持する点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、第2操作部材に前記突出方向側の端部を開口する開口部から、前記第1操作部材の押圧操作を実行できる。そして、当該開口部の縁から中心側へ延びる鍔部を設けることで、第1操作部材への押圧操作を解除した場合であっても、前記突出方向側へ付勢される第1操作部材が第2操作部材の内部から外部へ飛び出すことを防止できると共に、第1操作部材を突出位置に適切に位置保持できる。
【0009】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記鍔部と、前記第1操作部材の前記突出方向側の端部との間には、前記第2操作部材の前記開口部を閉止する蓋部材が設けられ、
前記蓋部材と前記第1操作部材の前記突出方向側の端部との間には、前記蓋部材を前記突出方向側へ付勢する付勢手段が設けられ、
前記蓋部材は、前記第1操作部材と共に前記押圧操作が可能であると共に、前記押圧操作がなされない自然状態において、前記鍔部に当接して前記開口部を閉止する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、中空円筒状の前記第2操作部材は、その蓋部材が押圧操作されていない状態では、開口部が蓋部材に閉止されることになるため、例えば、開口部から第2操作部材の内部に、塵埃等が侵入することを防止でき、当該塵埃が第1操作部材と第2操作部材との間等に噛み込まれ、操作不能になることを未然に防ぐことができる。
【0011】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記第2操作部材には、ロック状態において前記第2操作部材への前記押圧操作を阻止し、ロック解除状態において前記第2操作部材への前記押圧操作を許容するロック機構が設けられている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、ロック状態において第2操作部材への押圧操作を阻止するロック機構が設けられているから、第2操作部材を意図せず押圧操作してしまうことを防止できる。
そして、例えば、第2操作部材の押圧操作により、第2操作部材と第1操作部材との係合が解除され、第1操作部材の引退位置から突出位置への移動に伴って、スライド弁が閉じ姿勢から開き姿勢に姿勢変更するように構成されている場合にあっては、ガス流通路が誤って開放状態となることを防止でき、安全性を高めることができる。
【0013】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記ロック機構は、その屈曲部位に設けられる枢支点にて前記ガス栓本体に枢支されるL字状部材と、当該L字状部材を枢支点周りの揺動方向の一方向へ付勢する付勢部材とから構成され、
前記L字状部材には、その枢支点を挟んだ一方側端部に、前記付勢部材の付勢力に抗して自身を前記揺動方向の他方へ揺動させる揺動操作を受ける被操作部位が設けられると共に、他方側端部に、前記被操作部位にて前記揺動操作を受けていない状態で、前記第2操作部材に係合して前記第2操作部材への前記押圧操作を阻止可能な阻止部位が設けられている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、ロック機構を、L字状部材と付勢部材との比較的少ない部品点数から構成できるため、コンパクト化を図ることができる。
また、ロック機構のロック状態とロック解除状態の切り換えは、被操作部位への操作にて行うことができるため、その切り換えを容易に行うことができる。
【0015】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記ロック機構は、前記第2操作部材又は前記ガス栓本体の何れか一方に設けられたカム溝と、前記カム溝に嵌り込んだ状態で前記カム溝に沿って摺動移動するように構成された、前記第2操作部材又は前記ガス栓本体の何れか他方に設けられる接触子とから構成されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、ロック機構を、カム溝と、当該カム溝に嵌り込んだ状態でカム溝に沿って摺動移動する接触子とから成るカム機構により構成するので、従来から知られている比較的簡易な構成により、ロック機構を実現できる。
【0017】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記ガス流通路には、その内部にて前記スライド弁が前記閉じ姿勢と前記開き姿勢との間で姿勢変更自在なスライド弁収納部が設けられ、
当該スライド弁収納部に対し、ガスが流入するガス流入路とガスが流出するガス流出路とが、互いの軸心を直交させる状態で接続されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、例えば、ビルトインコンロの下方に設けられたキャビネットにガス栓を設ける構成において、キャビネットの後方から前方へ延びるガス流入路を、スライド弁収納部を介して、上方に延びるガス流出路へ接続する構成を採用でき、当該ガス流出路を良好にビルトインコンロに接続できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のガス栓100は、比較的簡易な構成で、コンパクト化を実現できながらも、操作性の高いプッシュプッシュ式のガス栓であり、
図8に示すように、例えば、ビルトインコンロ50の下方に設けられたキャビネット51に設置可能に構成されるものであり、当該ビルトインコンロ50へのガスの供給・供給遮断を行うために、所謂、元栓として設けられる。図からも判明するように、当該キャビネット51の内部には、十分に広い収納空間を確保できる。
尚、ガス栓100の詳細は後述するが、
図8に示す設置例では、美観性及び安全性の観点から、ガス栓100が、キャビネット51内に設けられた収納筐体52の内部に配置され、当該収納筐体52の前面には開閉蓋53が設けられている。
図8に示す設置例では、開閉蓋53が閉止している例を示しているが、ガス栓100を操作する場合には、当該開閉蓋53を開状態にして、操作する。当該開閉蓋53には、開口53aが設けられており、外部からその内部のガス栓100の開閉状態が視認可能に構成されている。
【0021】
<第1実施形態>
本発明のガス栓100は、
図1に示すように、都市ガスgを通流可能なガス流通路10が内部に形成されたガス栓本体11と、当該ガス流通路10の内部にてガス栓本体11の内周面に着座する閉じ姿勢(
図1(b)に示す姿勢)と開き姿勢(
図1(a)に示す姿勢)との間で姿勢変更するスライド弁12とを備えている。
ガス栓本体11の内部に形成されるガス流通路10は、その軸心(
図1で矢印Xに沿う直線)がスライド弁12の閉じ姿勢と開き姿勢との間での移動方向に沿うガス流入路10aと、その軸心(
図1で矢印Yに沿う直線)がガス流入路10aの軸心に直交する状態で交差するガス流出路10bと、当該ガス流入路10aとガス流出路10bとの接続部位で、その内部にてスライド弁12が閉じ姿勢と開き姿勢との間で姿勢変更自在なスライド弁収納部10cとから構成されている。このスライド弁12は、ガス流入路10の軸心に沿った方向に直線的に移動自在とされている。
【0022】
〔第1、第2操作部材〕
本発明のガス栓100には、外部からの押圧操作により、スライド弁12を閉じ姿勢(
図1(b)に示す姿勢)と開き姿勢(
図1(a)に示す姿勢)との間で姿勢変更させるべく、当該スライド弁12を操作する機構が設けられている。
ガス栓本体11には、スライド弁12の閉じ姿勢と開き姿勢との間での移動方向に沿う方向(
図1で矢印Xに沿う方向)で、ガス栓本体11から離間する突出方向(
図1、2で矢印Xの矢示方向)へ第1コイルバネS1により付勢されて突出位置(
図1(a)に示す位置)に突出移動可能であると共に、突出位置にて押圧操作(
図1(b)で矢印F1で示す操作)を受け付けることで引退位置(
図1(b)に示す位置)に引退移動可能な筒形状の第1操作部材14を備えている。即ち、第1コイルバネS1は、突出方向に第1操作部材14をガス栓本体11を付勢する。
当該第1操作部材14は、連結棒13によりスライド弁12に連結されており、第1操作部材14の突出位置と引退位置との間の移動に連動して、スライド弁12が閉じ姿勢と開き姿勢との間で姿勢変更するように構成されている。
尚、当該実施形態においては、第1操作部材14の突出位置に位置する場合に、スライド弁12が開き姿勢となり、第1操作部材14が引退位置に位置する場合に、スライド弁12が閉じ姿勢となる。
【0023】
上記第1操作部材14は、中空円筒状の第2操作部材15の内部に、その外周面が第2操作部材15の内周面に沿って摺動自在で、且つ外部から突出方向の反対方向(
図1、2で矢印Xの矢示方向と反対方向:図の左側へ向かう方向)へ押圧操作可能な状態で、配設されている。
当該第2操作部材15は、第1操作部材14と同じく、ガス栓本体11から離間する突出方向(
図1、2で矢印Xの矢示方向)へ第2コイルバネS2により付勢された突出位置に位置可能であると共に、突出位置にて押圧操作(
図2(b)にて矢印F1で示す操作)を受けることで引退可能に構成されている。即ち、第2コイルバネS2は、第1操作部材14を第2操作部材5内で、ガス栓本体11から突出方向に付勢する。
説明を追加すると、当該第2操作部材15は、そのガス栓本体11側の端部が、第2コイルバネS2にてガス栓本体11と連結されると共に、ガス栓本体11に設けられた環状凹入部16に嵌り込む状態で、当該環状凹入部16の内周面に沿って摺動自在に構成されている。当該構成により、第2操作部材15は、ガス栓本体11から脱離することなく、スライド弁12の閉じ姿勢と開き姿勢との間の移動方向(
図1で矢印Xに沿う方向)に沿って、移動自在となる。
【0024】
第2操作部材15の突出方向側(
図1で矢示Xの矢示側)の端部を開口する開口部15aが設けられ、当該開口部15aを介して、第2操作部材15の内部に配設されている第1操作部材14の押圧操作が実行される。
さらに、当該開口部15aには、当該開口部15aの縁からその中心側へ延びる鍔部15bが設けられている。当該鍔部15bは、突出方向側に付勢される第1操作部材14の突出方向側(
図1で矢印Xの矢示側)の端部が当接し、当該第1操作部材14を突出位置(
図1(a)に示す位置)に位置保持する。
【0025】
〔位置保持手段〕
スライド弁12を閉じ姿勢(
図1(b)に示す姿勢)に維持するには、第1操作部材14を引退位置に位置保持する必要がある。
そこで、第1操作部材14の外周面で、第2操作部材15の内周面に対して摺動する部位に、第1凹欠部14aを設けると共に、第2操作部材15の内周面で、第1操作部材14の外周面に対して摺動する部位に、第2凹欠部15cを設けている。
当該第1凹欠部14aと第2凹欠部15cは、
図1(b)に示すように、第1操作部材14が引退位置に位置すると共に、第2操作部材15が突出位置に位置する状態で、第1操作部材14の移動方向(
図1で矢印Xに沿う方向)で、対向するように設けられている。
そして、当該第2凹欠部15cに固定されると共に、第1操作部材14の移動方向(
図1で矢印Xに沿う方向)で第1凹欠部14aと第2凹欠部15cとが対向するときに、第1凹欠部14aと第2凹欠部15cとの双方に嵌り込む形態で、第1操作部材14を引退位置に位置保持する弾性材料等からなる位置保持部材18(位置保持手段の一例)が設けられている。具体的には、この位置保持部材18はOリングから構成されている。
当該位置保持部材18が第1凹欠部14aと第2凹欠部15cとの双方に嵌り込むことにより、第1操作部材14は、引退位置に位置保持されることとなり、当該第1操作部材14と連動して移動するスライド弁12も閉じ姿勢に維持される。
一方、位置保持部材18は、
図2(b)に示すように、突出位置に位置する第2操作部材15が押圧操作されたときに、第1操作部材14の第1凹欠部14aから脱離して、第1操作部材14の引退位置への位置保持を解除する。これにより、第1操作部材14は、引退位置から突出位置へと移行することとなり、スライド弁12は閉じ姿勢から開き姿勢へ姿勢変更する。
【0026】
〔ロック機構〕
第1実施形態にあっては、
図2に示すように、第2操作部材15が意図せず押圧操作され、スライド弁12が閉じ姿勢(
図2(a)に示す姿勢)から開き姿勢(
図2(c)に示す姿勢)へと姿勢変更することを防止すべく、ロック状態(
図2(a)に示す状態)において第2操作部材15への押圧操作を阻止し、ロック解除状態(
図2(b)に示す状態)において第2操作部材15への押圧操作を許容するロック機構が設けられている。
当該ロック機構は、
図1、2に示すように、その屈曲部位に設けられる枢支点20aにてガス栓本体11に枢支されるL字状部材20と、当該L字状部材20を枢支点20a周りの揺動方向の一方向(
図1、2で枢支点20a周りで時計周り方向)に付勢する第3コイルバネS3(付勢部材の一例)とから構成されている。この第3コイルバネS3は、L字状部材20をガス栓本体11の外周表面からL字状部材20の外径側に位置する揺動側端を上側に付勢し、内径側に位置するロック側端を下側に付勢する。
説明を追加すると、L字状部材20には、その枢支点20aを挟んだ一方側端部に、第3コイルバネS3の付勢力に抗して自身を揺動方向の他方向へ揺動させる揺動操作を受け付ける被操作部位20bが設けられると共に、他方側端部に、被操作部位20bにて揺動操作(
図2(b)にて矢印F2で示す操作)を受け付けている状態で、第2操作部材15に係合して第2操作部材15への押圧操作を阻止可能な阻止部位20cが設けられている。
即ち、L字状部材20の被操作部位20bが、揺動操作を受け付けている状態(ロック解除状態)では、第2操作部材15への押圧操作が可能となり、揺動操作を受け付けていない状態(ロック状態)では、第2操作部材15への押圧操作ができないように構成されている。
【0027】
〔第1操作部材への押圧操作〕
第1操作部材14への押圧操作を、
図1に基づいて説明する。
図1(a)に示す開弁状態では、第1操作部材14と第2操作部材15との双方が、突出方向(
図1(a)にて矢印Xの矢示方向)に突出する突出位置に位置する。このとき、第1操作部材14に連結されるスライド弁12は開き姿勢にあり、ガス流通路10は開放している。
【0028】
図1(a)から
図1(b)への移行過程では、第1操作部材14が押圧操作を受けることにより、第1操作部材14が突出位置から引退位置へ移動する。このとき、第1操作部材14に連結されるスライド弁12は、開き姿勢から閉じ姿勢へ姿勢変更する。
【0029】
図1(b)に示す閉弁状態では、引退位置にある第1操作部材14の第1凹欠部14aと突出位置にある第2操作部材15の第2凹欠部15cとが第1操作部材14の移動方向(
図1で矢印Xに沿う方向)において対向する状態で、その双方に位置保持部材18が嵌り込み、第1操作部材14が引退位置に位置保持される。
このとき、第1操作部材14に連結されるスライド弁12は閉じ姿勢をとり、ガス流通路10が閉止している。
【0030】
〔第2操作部材への押圧操作〕
次に、第2操作部材15への押圧操作を、
図2に基づいて説明する。尚、
図2では、ロック機構等の構成を拡大して図示しているために、スライド弁12の動きは、省略している。
図2(a)から
図2(b)への移行過程では、ロック機構であるL字状部材20の被操作部位20bが揺動操作(
図2(b)にて矢印F2で示す操作)を受け付け、ロック機構をロック解除状態に移行させているときに、第2操作部材15が押圧操作(
図2(b)にて矢印F1で示す操作)を受け、第2操作部材15が突出位置から引退位置に移動することにより、位置保持部材18が第1凹欠部14aから脱離し、第1操作部材14の引退位置での位置保持が解除される。
このとき、第1操作部材14に連結されるスライド弁12は、閉じ姿勢から開き姿勢へ姿勢変更する。
【0031】
図1(a)と同様な
図2(c)に示す開弁状態では、第1操作部材14が、第1コイルバネS1により突出方向に付勢され、第2操作部材15の突出方向側(
図2で矢印Xの矢示側)の端部に設けられた鍔部15bに当接して、突出位置に位置する。第2操作部材15は、第2コイルバネS2が自然長となり、突出位置に位置する。
このとき、第1操作部材14に連結されるスライド弁12は開き姿勢となり、ガス流通路10は開放している。
【0032】
<第2実施形態>
当該第2実施形態においては、第1実施形態に対し、第2操作部材15の開口部15aが封止可能となっている点、第1操作部材14の突出位置と引退位置に対するスライド弁12の閉じ姿勢と開き姿勢との関係が逆になっている点、及びロック機構が設けられていない点が異なり、その他の構成については、変るところがない。
そこで、以下では、これらの点について説明し、その他の構成については、第1実施形態と同様の符号を付すと共に、その説明を割愛する。
【0033】
この実施形態では、
図3、4に示すように、第2操作部材15の鍔部15bと第1操作部材14の突出方向側(
図3、4で矢印Xの矢示側)の端部との間に、第2操作部材15の開口部15aを閉止する蓋部材30が設けられている。
当該蓋部材30と、第1操作部材14の突出方向側(
図3、4で矢印Xの矢示側)の端部との間には、蓋部材30を突出方向側へ付勢する第5コイルバネS5が設けられている。これにより、蓋部材30は、外部から押圧操作を受けていない状態(
図3(a)に示す状態)において、第2操作部材15の鍔部15bに当接して、開口部15aを塞ぐ。
つまり、当該構成によれば、押圧操作により、第1操作部材14と蓋部材30とが、引退方向側(
図3、4で矢印Xの矢示と反対側)へ移動し、第1操作部材14が位置保持部材18により引退位置に位置保持された後、第5コイルバネS5にて、突出方向に付勢されて、開口部15aを閉止することとなる。
尚、蓋部材30は、透明又は半透明の材料により構成されており、操作者が、当該蓋部材30が開口部15aを閉止している場合にあっても、第1操作部材14が突出位置又は引退位置の何れにあるかを視覚的に知ることができるように構成されている。
【0034】
尚、第1操作部材14は、第1コイルバネS1により突出方向側(
図3(a)で矢印Xの矢示側)へ付勢され、スライド弁12を介して第4コイルバネS4により突出方向側へ付勢され、第5コイルバネS5により引退方向側(
図3(a)で矢印Xの矢示と反対側)へ付勢されているが、第1操作部材14が突出位置(
図3(a)に示す位置)に位置する状態で、第5コイルバネS5による引退方向側への付勢力は、第1コイルバネS1及び第4コイルバネS4の突出方向側への付勢力の合計よりも小さく設定しているため、第1操作部材14に付勢される合計の力は、突出方向側に向くこととなる。結果、第1操作部材14は、位置保持部材18にて位置保持されていないときには、蓋部材30及び第5コイルバネS5を介する状態で、第2操作部材15の鍔部15bにて突出位置に位置決めされることとなる。
【0035】
〔第1操作部材及び蓋部材への押圧操作〕
次に、第2実施形態において、第1操作部材14及び蓋部材30への押圧操作について説明する。
図3(a)に示す閉弁状態では、第1操作部材14と第2操作部材15との双方が、突出方向側(
図3(a)にて矢印Xの矢示側)に突出する突出位置に位置する。ここで、蓋部材30は、突出方向側へ付勢され、第2操作部材15の鍔部15bに当接して、開口部15aを閉止する。
このとき、第1操作部材14に連結されるスライド弁12は閉じ姿勢にあり、ガス流通路10は閉止している。
【0036】
開弁操作に伴う
図3(a)から
図3(b)への移行過程では、蓋部材30が押圧操作(
図3で矢印F1に示す操作)を受けることにより、蓋部材30と共に第5コイルバネS5及び第1操作部材14が、突出位置(
図3(a)に示す位置)から引退位置(
図3(b)に示す位置)へ移動する。
このとき、第1操作部材14に連結されるスライド弁12は、閉じ姿勢から開き姿勢へ姿勢変更する。
【0037】
図3(b)に示す開弁状態は、外部から押圧操作が完了した直後の状態であり、当該状態においては、引退位置にある第1操作部材14の第1凹欠部14aと突出位置にある第2操作部材15の第2凹欠部15cとが、第1操作部材14の移動方向(
図3で直線Xに沿う方向)で対向する状態で、その双方に位置保持部材18が嵌り込み、第1操作部材14が引退位置に位置保持される。
このとき、第1操作部材14に連結されるスライド弁12は、開き姿勢をとり、ガス流通路10が開放している。
【0038】
図3(b)に示す状態において、外部からの押圧力(
図3(b)で矢印F1にて示される力)を解除すると、蓋部材30が、突出方向側(
図3(b)で矢印Xの矢示側)に付勢され、第2操作部材15の鍔部15bに当接し、開口部15aが閉止される。
このとき、第1操作部材14に連結されるスライド弁12は、開き姿勢をとり、ガス流通路10が開放している。
【0039】
〔第2操作部材への押圧操作〕
当該第2実施形態は、第2操作部材15への押圧操作は、
図4(a)から
図4(c)に示す移行過程にて示されるが、当該移行過程は、実質的には、第1実施形態の
図2(a)から
図2(c)に示す移行過程と同一であるので、ここでは、その詳細な説明を割愛する。
【0040】
〔別実施形態〕
(1)上記第1実施形態において、ロック機構は、L字状部材20と第3コイルバネS3とから構成される例を示したが、当該ロック機構に関しては、第2操作部材15に対する意図しない押圧操作を防止する機能を有するものであれば、どのような構成のものでも採用することができる。
例えば、ロック機構は、
図5、6、7に示すように、ガス栓本体11の突出方向側(
図5で矢印Xの矢示側)の環状凹入部16に形成されるカム溝31と、第2操作部材15の引退方向側(
図5で矢印Xの矢示方向と反対側)の内周面に、その内周面から第2操作部材15の筒軸心へ向けて突出する接触子15dとが、当該接触子15dがカム溝31に嵌り込んだ状態でカム溝31に沿って摺動移動可能に構成される。
カム溝31には、その展開図が、
図7に示すように、突出方向側(
図7で矢印Xの矢示側)に、突出方向側角部31が設けられる。そして、当該突出方向側角部31から引退方向側(
図7で矢印Xの矢示と反対方向側)には、突出方向側係止部31dが設けられると共に、突出方向側角部31から引退方向側と直交する回転方向側(
図7で矢印Zの矢示と反対方向側)には、回転方向から引退方向へと徐々に傾斜する状態で延設される傾斜部31bが設けられ、当該傾斜部31bの終端には、引退位置側溝部31cが設けられる。
【0041】
そして、第2操作部材15とガス栓本体11とが、第2コイルバネS2にて連結されており、第2操作部材15には、当該第2コイルバネS2による突出方向への付勢力(
図7でfx)と、回転方向への付勢力(
図7でfy)とが働いている。
【0042】
〔第2操作部材への押圧操作〕
当該別実施形態は、第2操作部材15に対するロック機構に関するものであるので、第2操作部材15に対する押圧操作を、
図6、7に基づいて、説明する。
【0043】
図6(a)に示すように、第2操作部材15に押圧操作がなされておらず、第1操作部材14が引退位置にあり、第2操作部材15が突出位置に位置する場合、接触子15dは、
図7(a)に示すように、カム溝31の突出方向側角部31aに位置する。
図6(a)に示す状態で、第2操作部材15に押圧操作(
図6(a)で矢印F1で示す操作)が加えられる場合、接触子15dは、
図7(b)に示すように、カム溝31の突出方向側係止部31dに嵌り込むため、第2操作部材15の突出位置から引退位置への移動が防止される。
つまり、接触子15dとカム溝31とにより、スライド弁12が閉じ姿勢から開き姿勢へ姿勢変更することを防止する、ロック機能が発揮される。
【0044】
一方、
図6(a)に示す状態で、第2操作部材15に対し、第2コイルバネS2による回転方向の付勢力に抗する力で回転操作(
図6(b)にて矢印F3で示す操作)を加えながら、押圧操作(
図6(b)にて矢印F1で示す操作)を加える場合、接触子15dは、
図7(c)、(d)に示すように、カム溝31の傾斜部31bに沿って、カム溝31の引退位置側溝部31cまで移動する。
即ち、突出位置に位置する第2操作部材15に対し、回転操作を加えながらも、押圧操作を加えることで、接触子15dとカム溝31とによるロック機能を解除でき、スライド弁12の閉じ姿勢から開き姿勢への姿勢変更が許容される。
【0045】
尚、当該別実施形態においては、第2操作部材15の側に接触子15dを設け、ガス栓本体11の側にカム溝31を設ける構成を示したが、別に、第2操作部材15の側にカム溝31を設け、ガス栓本体11の側に接触子15dを設けても構わない。
【0046】
(2)上記実施形態では、ガス流入路10aと、ガス流出路10bとは、互いの軸心が直交する状態で、接続されている構成を示したが、互いの軸心は直交していなくても良く、例えば、鋭角で接続されるような構成であっても良い。