特許第5921510号(P5921510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921510
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】残留塩素濃度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20160510BHJP
【FI】
   G01N27/46 316Z
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-203605(P2013-203605)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-68737(P2015-68737A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2015年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】598174130
【氏名又は名称】株式会社ユニフィードエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100161458
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 淳郎
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】薄井 啓
(72)【発明者】
【氏名】薄井 陸
(72)【発明者】
【氏名】西谷 眞澄
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−010485(JP,A)
【文献】 特開2004−101393(JP,A)
【文献】 特開2003−075391(JP,A)
【文献】 特開2001−141694(JP,A)
【文献】 特開2010−181294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
G01N 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に2個の電極を有する検出容器を備え、該検出容器内に被検液を通過させ、被検液に電極を浸漬して電極間の電流値を測定し、得られた測定値に基づいて被検液の残留塩素濃度を求める残留塩素濃度測定装置であって、
被検液の流入口および流出口が検出容器側面に設けられ、
正電極と負電極が、それぞれ検出容器壁から検出容器内部へ垂直に延伸する構造を有するか、または、検出容器壁から検出容器内部へ垂直に延伸するそれぞれの支持部材の先端に取り付けられ、
正電極と負電極とが互いに対向し、両電極の間に緩衝材を備えることを特徴とする残留塩素濃度測定装置。
【請求項2】
前記正電極および前記負電極が、前記正電極と前記負電極とを結ぶ軸が被検液の流入方向に対して垂直になるように、検出容器側面にそれぞれ取り付けられているか、または、検出容器側面に位置するそれぞれの支持部材の先端に取り付けられている請求項1記載の残留塩素濃度測定装置。
【請求項3】
前記正電極および前記負電極のうち、いずれか一方が検出容器上部に直接または支持部材を介して下向きに取り付けられ、他方が検出容器底部に直接または支持部材を介して上向きに取り付けられている請求項1記載の残留塩素濃度測定装置。
【請求項4】
前記緩衝材が、前記正電極と前記負電極とを結ぶ軸を回転軸として、回転可能に取り付けられている請求項1〜3のいずれか一項記載の残留塩素濃度測定装置。
【請求項5】
前記被検液の流入口と流出口とが、前記正電極と前記負電極とを結ぶ軸を挟んで互いに反対側に位置する請求項1〜4のいずれか一項記載の残留塩素濃度測定装置。
【請求項6】
前記緩衝材が、前記負電極の端部に接するように配置される請求項1〜5のいずれか一項記載の残留塩素濃度測定装置。
【請求項7】
前記検出容器が、円筒形状である請求項1〜6のいずれか一項記載の残留塩素濃度測定装置。
【請求項8】
前記緩衝材が、円盤状構造である請求項1〜7のいずれか一項記載の残留塩素濃度測定装置。
【請求項9】
前記緩衝材が、スポンジ、不織布およびブラシからなる群から選ばれるいずれかである請求項1〜8のいずれか一項記載の残留塩素濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、残留塩素濃度の測定装置に関し、詳しくは、安定した残留塩素濃度の測定を可能にする残留塩素濃度の測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水、プール水、浴場の湯水、食品工場用水などには、殺菌目的で次亜塩素酸などの殺菌剤が用いられており、これらの殺菌剤の添加濃度制御を行うために液中の残留塩素濃度測定が必要とされている。
【0003】
従来から、試料溶液中の残留塩素を測定する方法として、DPD法、オルトトリジン法など試薬を用いた比色法や、電極を用いたポーラログラフ法、ガルバニ法などが用いられている。
【0004】
中でも、被測定液中に浸漬した作用極と対極との間に電圧を印加し、両極間を流れる電流に基づき前記被測定液中の遊離残留塩素濃度を測定するようにしたポーラログラフ法、ガルバニ法による残留塩素計は、試薬を使用せずに遊離残留塩素濃度を測定することが可能であり、廃液処理も不要であることから、様々な用途に用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−078260号公報
【特許文献2】特開2002−264910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、一般家庭向け水道水の安全性確認目的など、水中の残留塩素を測定する機会が増え、小型、安価で、かつ、連続測定が可能な塩素濃度測定装置へのニーズが高まっている。そのための装置も種々提案されてきており、例えば、特許文献2には、ひとつの検水容器内に正電極および負電極を備えた電極ユニットを配設し、該電極ユニットが、負電極に対して絶縁した状態で正電極用金属線材を巻き回して構成することを特徴とする装置が開示されている。
【0007】
しかしながら、既存の残留塩素測定装置には未だコスト削減の余地があった。特許文献2に記載の測定装置も、電極ユニットの構造が比較的複雑であり、製造コストがかかるという問題があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、簡易な構造で安定した残留塩素濃度の測定を可能にする残留塩素濃度の測定装置を提供することにある。
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、同一セル内に正電極および負電極を設置し、正電極と負電極の間に緩衝材を配置することで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の残留塩素濃度測定装置は、以下の[1]〜[9]である。
[1]内部に2個の電極を有する検出容器を備え、該検出容器内に被検液を通過させ、被検液に電極を浸漬して電極間の電流値を測定し、得られた測定値に基づいて被検液の残留塩素濃度を求める残留塩素濃度測定装置であって、
被検液の流入口および流出口が検出容器側面に設けられ、
正電極と負電極が、それぞれ検出容器壁から検出容器内部へ垂直に延伸する構造を有するか、または、検出容器壁から検出容器内部へ垂直に延伸するそれぞれの支持部材の先端に取り付けられ、
正電極と負電極とが互いに対向し、両電極の間に緩衝材を備えることを特徴とする残留塩素濃度測定装置。
[2]前記正電極および前記負電極が、前記正電極と前記負電極とを結ぶ軸が被検液の流入方向に対して垂直になるように、検出容器側面にそれぞれ取り付けられているか、または、検出容器側面に位置するそれぞれの支持部材の先端に取り付けられている[1]の残留塩素濃度測定装置。
[3]前記正電極および前記負電極のうち、いずれか一方が検出容器上部に直接または支持部材を介して下向きに取り付けられ、他方が検出容器底部に直接または支持部材を介して上向きに取り付けられている[1]の残留塩素濃度測定装置。
[4]前記緩衝材が、前記正電極と前記負電極とを結ぶ軸を回転軸として、回転可能に取り付けられている[1]〜[3]のいずれかの残留塩素濃度測定装置。
[5]前記被検液の流入口と流出口とが、前記正電極と前記負電極とを結ぶ軸を挟んで互いに反対側に位置する[1]〜[4]のいずれかの残留塩素濃度測定装置。
[6]前記緩衝材が、前記負電極の端部に接するように配置される[1]〜[5]のいずれかの残留塩素濃度測定装置。
[7]前記検出容器が、円筒形状である[1]〜[6]のいずれかの残留塩素濃度測定装置。
[8]前記緩衝材が、円盤状構造である[1]〜[7]のいずれかの残留塩素濃度測定装置。
[9]前記緩衝材が、スポンジ、不織布およびブラシからなる群から選ばれるいずれかである[1]〜[8]のいずれかの残留塩素濃度測定装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、簡易な構造で安定した残留塩素濃度の測定を可能にする残留塩素濃度の測定装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の残留塩素濃度測定装置の検出容器の好適な実施形態を表す模式図である。
図2】本発明の残留塩素濃度測定装置の検出容器の好適な実施形態を表す模式的断面図である。
図3】本発明の残留塩素濃度測定装置の検出容器の好適な実施形態を表す平面図である。
図4】本発明の残留塩素濃度測定装置の検出容器の好適な実施形態を表す平面図である。
図5】本発明の残留塩素濃度測定装置の検出容器の好適な実施形態を表す模式的断面図である。
図6】本発明の残留塩素濃度測定装置の検出容器の好適な実施形態を表す平面図である。
図7】本発明における緩衝材の好適な実施形態を表す平面図である。
図8】本発明における緩衝材の好適な実施形態を表す平面図である。
図9】本発明における緩衝材の好適な実施形態を表す模式的断面図である。
図10】本発明における緩衝材の好適な実施形態を表す平面図である。
図11】本発明における緩衝材の好適な実施形態を表す模式的断面図である。
図12】本発明における緩衝材の好適な実施形態を表す平面図である。
図13】本発明における緩衝材の好適な実施形態を表す模式的断面図である。
図14】本発明における緩衝材の好適な実施形態を表す平面図である。
図15】本発明における緩衝材の好適な実施形態を表す模式的断面図である。
図16】本発明の残留塩素濃度測定装置を用いた残留塩素濃度を測定した結果を表すグラフである。
図17】本発明の残留塩素濃度測定装置を用いた残留塩素濃度を測定した結果を表すグラフである。
図18】本発明の残留塩素濃度測定装置を用いた残留塩素濃度を測定した結果を表すグラフである。
図19】比較例1の残留塩素濃度測定装置を用いた残留塩素濃度を測定した結果を表すグラフである。
図20】本発明の残留塩素濃度測定装置を用いた残留塩素濃度を測定した結果を表すグラフである。
図21】実施例で行った残留塩素濃度測定装置を用いた残留塩素濃度測定方法のフローシート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の残留塩素濃度測定装置は、内部に2個の電極を有する検出容器を備え、該検出容器内に被検液を通過させ、被検液に電極を浸漬して電極間の電流値を測定し、得られた測定値に基づいて被検液の残留塩素濃度を求める残留塩素濃度測定装置であって、被検液の流入口および流出口が検出容器側面に設けられ、正電極と負電極が、それぞれ検出容器壁から検出容器内部へ垂直に延伸する構造を有するか、または、検出容器壁から検出容器内部へ垂直に延伸するそれぞれの支持部材の先端に取り付けられ、正電極と負電極とが互いに対向し、両電極の間に緩衝材を備えることを特徴とするものである。
【0014】
なお、本発明の残留塩素濃度測定装置は、水中の遊離残留塩素のうち、次亜塩素酸(HClO)の濃度が測定可能である。
【0015】
本発明の残留塩素濃度測定装置の好適な構成のひとつを図示すると、図1図3のようになる。図1は、本発明の残留塩素濃度測定装置の検出容器部分の模式図である。図2は、図1の検出容器の断面模式図である。図3は、図1の検出容器を上方から見た平面図である。
検出容器1は中空の容器であり、図1では円筒を横向きに倒した形状を有している。検出容器1は、直方体形状、立方体形状でもよいが、好ましくは中空の円筒形状である。検出容器1の側面に、残留塩素濃度の測定対象となる被検液が流入してくる流入口4、検出容器から被検液が流出するための流出口8が形成されている。図1では図示されていないが、流入口4、流出口8はそれぞれ管路とつながれ、被検液の取水口、排出口へと接続され得る。管路、取水口、排出口の構造、構成等は特に制限されず、ポンプの位置、有無など適宜調整することができる。
【0016】
流入口4、流出口8は検出容器の中心を挟んで反対側に位置する。検出容器を横方向、すなわち円筒形状の上面または底面方向から見た場合、円筒状検出容器の中心を中点として、流入口4と流出口8とが直線上になるように位置してもよいが、流入口4と流出口8のいずれか、もしくは両方が円筒状の検出容器1の中心軸と直交する線に対して外周側にオフセットした位置に配置されていてもよい。
図2では、流入口4および流出口8が、検出容器1の中心軸と直交する線に対してオフセットした位置に互いに対向するように配置されている。図2では、流入口4、流出口8は、検出容器1の中心点を通過する直線より上側に配置されている。このように構成することで、被検液が検出容器1の内周に沿って旋回し、検出容器1の中心軸方向にも移動して流出口8へと流出する。その為、被検液が検出容器1内に滞留しがたくなり、流入口4から流入してくる新しい被検液が電極周囲にも行き渡り、リアルタイムでの残留塩素濃度の測定ができる。
【0017】
図1の検出容器を上方、すなわち円筒形状の側面方向から見た場合、流入口4と流出口8は、検出容器の中心を通る直線と同一の直線上に位置してもよく、図3のように、流入口4と流出口8のいずれか、もしくは双方が、該中心を通る直線からオフセットして位置していてもよい。図4のように、流入口4が、流出口8と対向するように配置されていることが好ましい。
【0018】
図1では、正電極3は、検出容器1の側面の壁から内部に向かって延伸する棒状の支持部材2の先端に取り付けられている。支持部材を介さず、正電極が検出容器1側面の壁から延伸する構成でもよいが、コスト面から、支持部材を備える方が好ましい。正電極は、支持部材2の内部を介して検出容器外部にある電流測定部(図示しない)と電気的に接続される。正電極3、支持部材2の形状は特に限定されないが、好ましくは断面が円の棒状である。
負電極6は、検出容器1の正電極がある側面とは反対側の側面の壁から内部に向かって延伸する棒状の支持部材7の先端に取り付けられている。支持部材を介さず、負電極が検出容器1側面の壁から延伸する構成でもよいが、コスト面から、支持部材を備える方が好ましい。負電極は、支持部材7の内部を介して検出容器外部にある電流測定部(図示しない)と電気的に接続される。負電極6、支持部材7の形状は特に限定されないが、好ましくは断面が円の棒状である。
正電極3と負電極6は、同軸上に位置することが好ましく、検出容器1の円筒形状の中心軸上に位置することがさらに好ましい。
【0019】
正電極3と負電極6との間に、緩衝材5が配置される。緩衝材5は、正電極3と負電極6とを結ぶ線を回転軸として、回転可能に取り付けられていることが好ましい。例えば、図1には示されないが、正電極3ないし支持部材2と、負電極6ないし支持部材7とを結ぶように絶縁性の素材で細長い棒状やワイヤー状の軸が設けられ、その軸が、緩衝材の中心部を貫通するように構成される。緩衝材が、中心部が中空の円盤状またはドーナツ状の形状をなし、その中空部を前記軸が貫通するような構成でもよい。また、特に軸等を設けずに、緩衝材を正電極3と負電極6との間に多少の遊びが発生するように挿入し、水流で回転するようにしてもよい。
緩衝材5は、電極表面の水垢を除去できる程度に正電極3や負電極6と接触するように位置してもよいし、近傍だが接触しない位置に配置されていてもよい。一般的に、残留塩素濃度測定装置では、銀などで構成される負電極に発生する塩化銀などの析出物、付着物を除去するために、ビーズ、ブラシ等で研磨することが行われるが、本発明においては、電極の研磨をしなくても安定した測定が可能となることが明らかになった。
【0020】
本発明の残留塩素濃度測定装置は、図5図6のように、検出容器が、正電極3および負電極6のうち、いずれか一方が検出容器上部に直接または支持部材を介して下向きに取り付けられ、他方が検出容器底部に直接または支持部材を介して上向きに取り付けられている構造であってもよい。図5は側面から見た場合の断面図であり、図6図5で示される検出容器を上方から見た平面図である。図5では、検出容器1の上部に支持部材2が下向きに設置され、支持部材2の先端に、正電極3が備えられている。一方、検出容器の底部には、支持部材7が上部に向かうように設置され、支持部材7の先端に負電極6が備えられている。緩衝材5が、正電極3と負電極6に挟まれるように配置され、好ましくは、正電極3と負電極6とを結ぶ軸を回転軸として回転可能なように設置されている。図5図6で表される検出容器は縦向きの円筒形状である。
【0021】
図1図6には示されないが、正電極3および負電極6は電流測定部に電気的に接続される。電流測定部は、正電極・負電極間に流れる拡散電流を検知するものである。電流測定部は、その測定した電流値を元に、情報処理装置に対して電流測定信号を送る。該電流測定信号に基づいて、情報処理装置が残留塩素濃度を算出する。なお、電流測定部と情報処理装置は別々に構成されていてもよく、一体として計測部として構成されていてもよい。
【0022】
情報処理装置は、正電極、負電極間に発生する電流値が、被検液中の残留塩素濃度に比例することに基づいて、電流測定部からの電流測定信号に基づいて被測定液中の残留塩素の濃度を算出するものである。具体的な構成は、CPU、内部メモリ、HDD等の外部記憶装置、などを備える。そして、該内部メモリや外部記憶装置等の所定領域に設定したプログラムに従って電流測定信号を解析し、残留塩素の検出や濃度の算出を行う。情報処理装置は、汎用のコンピュータを用いてもよく、専用品として構成されていてもよい。
【0023】
次に、各構成部について説明する。
【0024】
本発明において、正電極として用いることができる材料、電極としては、滴下水銀電極、白金、金、ガラス化炭素、導電性ダイアモンドなどが挙げられ、中でも白金が好ましい。また、白金めっきを施したチタン等でもよい。
【0025】
本発明において、負電極として用いることができる材料、電極としては、銀、鉛などが挙げられ、銀が好ましい。
【0026】
本発明において、緩衝材として用いることができる材料としては、柔らかい絶縁性材料であれば特に制限されない。好ましくは、ブラシ、スポンジ、不織布である。ブラシの素材としては、ポリアミド、ポリエステルなどのプラスチック、馬毛、豚毛などの自然素材などが挙げられる。スポンジは、内部に細かな孔が無数に空いた多孔質の柔らかい物質であり、液体にひたすと孔内の空気と置換される形で液体を吸い取り、また外部からの力で容易に放出する特性を有するものである。スポンジとしては市販のものも用いることができる。素材としてはウレタン、メラミン、ゴム等の人工素材や、カイメン、ヘチマなどの自然素材のものが挙げられる。不織布は、繊維を織らずに絡み合わせたシート状のものである。不織布を構成する繊維の太さ、長さ等は特に制限されず、公知のものを用いることができる。繊維としては、アラミド、ガラス、セルロース、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリオレフィン、レーヨン繊維等が挙げられる。
緩衝材は、好ましくは、円盤状ないしドーナツ状の形状である。例えば、図7で示されるように円環状金属製外枠10の内部に不織布9ないしスポンジを挟み込んだもの、図8図11で表されるような円環状で金属製の芯材からブラシ毛材が円環の外側および内側に伸びる構造のもの、図12図13で表されるような円環状ブラシの上下に不織布を貼り付けたもの、図14図15で表されるような円環状のブラシの外枠内にスポンジを詰め込んだもの、スポンジを円盤状にカットしたもの、等が挙げられる。図9は、図8の円環状ブラシの模式的断面図、図11図10の円環状ブラシの模式的断面図、図13は、図12で表される緩衝材の模式的断面図、図15図14で表される緩衝材の模式的断面図である。
【0027】
本発明の残留塩素濃度測定装置は、上記したような構造を有する検出容器を備えていればよく、その他の部品は特に制限されず、ケーシング、ポンプ、濃度表示装置、アラームなど残留塩素濃度測定装置において公知の部品、部材を用いることができる。
【0028】
上記した実施形態は、ガルバニ電極法を用いた残留塩素濃度測定装置を例にして説明したが、本発明はこれに限らず、2種類の電極を被検液に浸漬して残留塩素濃度を測定するものであればよく、例えば、2種類の電極間に一定電圧を印加し、両電極から得られた還元ポーラロ電流に基づいて残留塩素濃度を算出する、ポーラログラフ法を用いた残留塩素濃度測定装置であってもよい。ポーラログラフ法を用いた残留塩素濃度測定装置である場合は、上記構成の他に、電極に一定電圧を印加するための電圧印加部を備える。
【0029】
本発明の残留塩素濃度測定装置は、残留塩素濃度が低濃度である被検液の塩素濃度測定用として好ましい。好ましくは、pH調整をしない場合、被検液中の残留塩素濃度が10.0ppm以下、より好ましくは5.0ppm以下、さらに好ましくは3.0ppm以下である。残留塩素濃度が高濃度になると水溶液がアルカリ性となるが、pH調整をすることで、上記濃度より高濃度であっても測定が可能となる。
また、本発明の残留塩素濃度測定装置へと被検液を流入させる速度は、好ましくは、1〜20L/min、より好ましくは、4〜12L/minである。
【実施例】
【0030】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例、比較例により限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
図1で示される構造を有する円筒状の検出容器(内径:60mm、高さ:80mm)とそれに接続した計測部(電流測定部および情報処理装置)を備えた残留塩素濃度測定装置を用いて水中の残留塩素濃度を測定した。なお、正電極は白金製、負電極は銀製、支持部材はプラスチック製、緩衝材はブラシであった。正電極および負電極はそれぞれ棒状の支持部材の先端に取り付けられ、ブラシは、図10で表されるような円環状の芯材からブラシ毛材が円の内外に向かって伸びる形状のもの(外枠の直径が50mm)を用いた。ブラシは、特に回転軸は設けずに、正電極と負電極との間に回転可能なように挿入した。測定に用いた残留塩素濃度測定装置と、水槽、ポンプ等の設置状況の概要を示すフローシートを図21に示す。
【0032】
(校正)
図21で示される水槽にバルブ1を開けて水を10L入れ、次亜注入タンクにおいて次亜塩素酸水溶液をスポイトで1滴入れ、ポンプ1で水を循環させた後、バルブ2を開けてサンプリングを行い、DPD法(ジエチル-p-フェニレンジアミン法)にて残留塩素濃度を測定し、その数値を上記次亜塩素濃度測定装置に入力し、ゼロ点校正を行った。次に次亜注入タンクにおいて次亜塩素酸水溶液を5滴入れ、同様にDPD法にて濃度を測定して数値を入力し、スパン校正を行った。
【0033】
(測定)
校正後、水槽内の水を入れ替えた後、ポンプ1で水を循環させながら、次亜塩素酸水溶液を1滴ずつ入れその都度DPD法で濃度を測定する一方、上記次亜塩素酸濃度測定装置でも濃度を測定した。次に、次亜塩素酸濃度が1.9〜2.0ppmになった後、水槽に加水して次亜塩素酸濃度を下げながら、同様に、DPD法および上記次亜塩素酸濃度測定装置による測定を行った。なお、次亜塩素酸濃度測定装置への流量は、6L/minとした。
結果を下記表1および図16に示す。図16は表1の数値をグラフ化したものである。図16の縦軸は、次亜塩素酸濃度測定装置に表示された次亜塩素酸濃度(ppm)であり、横軸はDPD法で測定された次亜塩素酸濃度(ppm)である。点線はDPD法による測定結果と次亜塩素酸濃度測定装置とが一致する理想的な直線である。
【0034】
【表1】
【0035】
[実施例2]
緩衝材を、針金を外枠とし、その外枠の中に不織布を詰め込むようにして形成された図7で表される構造を有する不織布に変更した以外は、上記実施例1と同様にして次亜塩素酸濃度を測定した。結果を下記表2および図17に示す。図17は表2の数値をグラフ化したものである。
【0036】
【表2】
【0037】
[実施例3]
緩衝材を、図7における不織布の代わりにスポンジを外枠の中に埋め込んだものに変更した以外は、上記実施例1と同様にして次亜塩素酸濃度を測定した。結果を下記表3および図18に示す。図18は表3の数値をグラフ化したものである。
【0038】
【表3】
【0039】
[比較例1]
次亜塩素酸濃度測定装置が緩衝材を備えない以外は、上記実施例1と同様にして次亜塩素酸濃度を測定した。結果を下記表4および図19に示す。図19は表4の数値をグラフ化したものである。
【0040】
【表4】
【0041】
[実施例4]
白金からなる正電極が検出容器の中心点から20mm外周側にオフセットされた位置に配置されている以外は、上記実施例1と同様にして次亜塩素酸濃度を測定した。結果を下記表5および図20に示す。図20は表5の数値をグラフ化したものである。
【0042】
【表5】
【0043】
図16から明らかなように、本発明の残留塩素測定装置は、DPD法による実測値とのズレが非常に小さく、濃度を変化させた時の表示値の直線性も良好であった。また、図17および図18から明らかなように、緩衝材として不織布やスポンジを用いた場合、全体的としては残留塩素測定装置の表示値は、DPD法による実測値よりも小さくなる傾向があったが、濃度を変化させた時の表示値の直線性も良好であり、値の補正を行えば実用に足るものであった。
それに対して、緩衝材を備えない比較例1にかかる残留塩素濃度測定装置を用いた場合、濃度を変化させた時の表示値の直線性が悪く、特に、加水して次亜塩素酸濃度を下げていった場合に、表示値とDPD実測値とのズレが大きく、直線性も大きく損なわれていた。
また、図20から明らかなように、正電極を検出容器の中心部からオフセットした位置に設置した場合、全体的にDPD実測値よりも表示値が小さい傾向にあったが、直線性は良好であった。
【符号の説明】
【0044】
1 検出容器
2 支持部材
3 正電極
4 流入口
5 緩衝材
6 負電極
7 支持部材
8 流出口
9 不織布
10 外枠
11 ブラシ毛材
12 スポンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図8
図9
図10
図11
図13
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図7
図12
図14
図15