(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸線方向に延びる中心電極と、前記軸線方向に延びる軸孔を有し前記軸孔に前記中心電極が配置される絶縁体と、前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、 前記主体金具と電気的に接続し前記中心電極との間でギャップを形成する接地電極と、を有するスパークプラグの製造方法であって、
前記主体金具と前記絶縁体と前記中心電極とを組み付けた組立体を形成する組み付け工程と、
前記組立体の前記主体金具と前記中心電極との間に電圧を印加する印加工程と、
前記電圧の印加中に、前記組立体の先端部に向けた光センサから出力される出力値を用いて、前記絶縁体を貫通する放電と、前記絶縁体を貫通せずに前記絶縁体の表面を通る放電と、のいずれが生じたのかを判定する判定工程と、
前記判定工程によって、前記絶縁体を貫通する放電が生じていないと判定された場合に、前記接地電極と前記中心電極との間の前記ギャップを形成する工程と、
を備える、製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
A.実施形態:
A−1.スパークプラグの構成:
図1は、実施形態の製造方法によって製造されるスパークプラグの一例の断面図である。図示されたラインCLは、スパークプラグ100の中心軸を示している。図示された断面は、中心軸CLを含む断面である。以下、中心軸CLのことを「軸線CL」とも呼び、中心軸CLと平行な方向を「軸線方向」とも呼ぶ。中心軸CLを中心とする円の径方向を、単に「径方向」とも呼び、中心軸CLを中心とする円の円周方向を「周方向」とも呼ぶ。中心軸CLと平行な方向のうち、
図1における下方向を先端方向D1と呼び、上方向を後端方向D2とも呼ぶ。先端方向D1は、後述する端子金具40から電極20、30に向かう方向である。また、
図1における先端方向D1側をスパークプラグ100の先端側と呼び、
図1における後端方向D2側をスパークプラグ100の後端側と呼ぶ。
【0026】
スパークプラグ100は、絶縁体10(以下「絶縁碍子10」とも呼ぶ)と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50と、導電性の第1シール部60と、抵抗体70と、被覆部290と、導電性の第2シール部80と、先端側パッキン8と、タルク9と、第1後端側パッキン6と、第2後端側パッキン7と、を備えている。
【0027】
絶縁体10は、中心軸CLに沿って延びて絶縁体10を貫通する貫通孔12(以下「軸孔12」とも呼ぶ)を有する略円筒状の部材である。絶縁体10は、アルミナを焼成して形成されている(他の絶縁材料も採用可能である)。絶縁体10は、先端側から後端方向D2に向かって順番に並ぶ、脚部13と、第1縮外径部15と、先端側胴部17と、鍔部19と、第2縮外径部11と、後端側胴部18と、を有している。第1縮外径部15の外径は、後端側から先端側に向かって、徐々に小さくなる。絶縁体10の第1縮外径部15の近傍(
図1の例では、先端側胴部17)には、後端側から先端側に向かって内径が徐々に小さくなる縮内径部16が形成されている。第2縮外径部11の外径は、先端側から後端側に向かって、徐々に小さくなる。
【0028】
絶縁体10の軸孔12の先端側には、中心軸CLに沿って延びる棒状の中心電極20が挿入されている。中心電極20は、先端側から後端方向D2に向かって順番に並ぶ、脚部25と、鍔部24と、頭部23と、を有している。脚部25の先端側の部分は、絶縁体10の先端側で、軸孔12の外に露出している。中心電極20の他の部分は、軸孔12内に配置されている。鍔部24の先端方向D1側の面は、絶縁体10の縮内径部16によって、支持されている。また、中心電極20は、電極母材21と、電極母材21の内部に埋設された芯材22と、を有している。電極母材21は、例えば、ニッケルを主成分として含む合金であるインコネル(「INCONEL」は、登録商標)を用いて形成されている。芯材22は、電極母材21よりも熱伝導率が高い材料(例えば、銅を含む合金)で形成されている。
【0029】
絶縁体10の軸孔12の後端側には、端子金具40が挿入されている。端子金具40は、導電材料(例えば、低炭素鋼等の金属)を用いて形成されている。端子金具40は、後端側から先端方向D1に向かって順番で並ぶ、キャップ装着部41と、鍔部42と、脚部43と、を有している。キャップ装着部41は、絶縁体10の後端側で、軸孔12の外に露出している。脚部43は、絶縁体10の軸孔12に挿入されている。
【0030】
絶縁体10の軸孔12内において、端子金具40と中心電極20との間には、電気的なノイズを抑制するための、円柱状の抵抗体70が配置されている。抵抗体70と中心電極20との間は、導電性の第1シール部60が配置され、抵抗体70と端子金具40との間には、導電性の第2シール部80が配置されている。中心電極20と端子金具40とは、抵抗体70とシール部60、80とを介して、電気的に接続される。シール部60、80を用いることによって、積層される部材20、60、70、80、40間の接触抵抗が安定し、中心電極20と端子金具40との間の電気抵抗値を安定させることができる。なお、抵抗体70は、例えば、主成分であるガラス粒子(例えば、B
2O
3−SiO
2系のガラス)と、セラミック粒子(例えば、TiO
2)と、導電性材料(例えば、Mg)と、を用いて形成されている。シール部60、80は、例えば、抵抗体70と同様のガラス粒子と、金属粒子(例えば、Cu)と、を用いて形成されている。
【0031】
主体金具50は、中心軸CLに沿って延びて主体金具50を貫通する貫通孔59を有する略円筒状の部材である。主体金具50は、低炭素鋼材を用いて形成されている(他の導電材料(例えば、金属材料)も採用可能である)。主体金具50の貫通孔59には、絶縁体10が挿入されている。主体金具50は、絶縁体10の外周に固定されている。主体金具50の先端側では、絶縁体10の先端(本実施形態では、脚部13の先端側の部分)が、貫通孔59の外に露出している。主体金具50の後端側では、絶縁体10の後端(本実施形態では、後端側胴部18の後端側の部分)が、貫通孔59の外に露出している。
【0032】
主体金具50は、先端側から後端側に向かって順番に並ぶ、胴部55と、座部54と、変形部58と、工具係合部51と、加締部53と、を有している。座部54は、鍔状の部分である。胴部55の外周面には、内燃機関(例えば、ガソリンエンジン)の取付孔に螺合するためのネジ部52が形成されている。座部54とネジ部52との間には、金属板を折り曲げて形成された環状のガスケット5が嵌め込まれている。
【0033】
主体金具50は、変形部58よりも先端方向D1側に配置された、縮内径部56を有している。縮内径部56の内径は、後端側から先端側に向かって、徐々に小さくなる。主体金具50の縮内径部56と、絶縁体10の第1縮外径部15と、の間には、先端側パッキン8が挟まれている。先端側パッキン8は、鉄製のOリングである(他の材料(例えば、銅等の金属材料)も採用可能である)。
【0034】
工具係合部51の形状は、スパークプラグレンチが係合する形状(例えば、六角柱)である。工具係合部51の後端側には、加締部53が設けられている。加締部53は、絶縁体10の第2縮外径部11よりも後端側に配置され、主体金具50の後端(すなわち、後端方向D2側の端)を形成する。加締部53は、径方向の内側に向かって屈曲されている。
【0035】
主体金具50の後端側では、主体金具50の内周面と、絶縁体10の外周面と、の間に、環状の空間SPが形成されている。本実施形態では、この空間SPは、主体金具50の加締部53および工具係合部51と、絶縁体10の第2縮外径部11および後端側胴部18と、に囲まれた空間である。この空間SP内の後端側には、第1後端側パッキン6が配置されている。この空間SP内の先端側には、第2後端側パッキン7が配置されている。本実施形態では、これらの後端側パッキン6、7は、鉄製のCリングである(他の材料も採用可能である)。空間SP内における2つの後端側パッキン6、7の間には、タルク(滑石)9の粉末が充填されている。
【0036】
スパークプラグ100の製造時には、加締部53が内側に折り曲がるように加締められる。そして、加締部53が先端方向D1側に押圧される。これにより、変形部58が変形し、パッキン6、7とタルク9とを介して、絶縁体10が、主体金具50内で、先端側に向けて押圧される。先端側パッキン8は、第1縮外径部15と縮内径部56との間で押圧され、そして、主体金具50と絶縁体10との間をシールする。以上により、内燃機関の燃焼室内のガスが、主体金具50と絶縁体10との間を通って外に漏れることが、抑制される。また、主体金具50が、絶縁体10に、固定される。
【0037】
接地電極30は、主体金具50の先端(すなわち、先端方向D1側の端)に接合されている。本実施形態では、接地電極30は、棒状の電極である。接地電極30は、主体金具50から先端方向D1に向かって延び、中心軸CLに向かって曲がって、先端部31に至る。先端部31は、中心電極20の先端面20s1(先端方向D1側の表面20s1)との間でギャップgを形成する。また、接地電極30は、主体金具50に、電気的に導通するように、接合されている(例えば、レーザ溶接)。接地電極30は、接地電極30の表面を形成する母材35と、母材35内に埋設された芯部36と、を有している。母材35は、例えば、インコネルを用いて形成されている。芯部36は、母材35よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅)を用いて形成されている。
【0038】
また、スパークプラグ100の先端部では、主体金具50(ここでは、胴部55)と絶縁体10(ここでは、脚部13)との間に、中心軸CLを中心とし、先端方向D1に向けて開口する環状の空間Sfが形成されている。
【0039】
A−2.スパークプラグの製造方法:
図2は、実施形態の製造方法の一例を示すフローチャートである。最初のステップS100では、組立体が形成される。組立体は、
図1に示す完成したスパークプラグ100の接地電極30を屈曲する前の状態のものである。組立体を形成する方法としては、公知の種々の方法を採用可能である。例えば、以下に説明する方法を採用可能である。
【0040】
まず、絶縁体10と中心電極20と接地電極30と端子金具40と主体金具50とを製造する。接地電極30としては、この段階では、曲げる前の直線状の部材が製造される。これらの部材10、20、30、40、50の製造方法としては、公知の種々の方法を採用可能であり、詳細な説明を省略する。なお、製造する代わりに、購入することによって、少なくとも一部の部材を準備してもよい。
【0041】
次に、軸孔12内の縮内径部16によって支持される位置(
図1)に、中心電極20を配置する。そして、第1シール部60の材料粉末と、抵抗体70の材料粉末と、第2シール部80の材料粉末とを、この順番に、軸孔12内に充填する。そして、絶縁体10を、各材料粉末に含まれるガラス成分の軟化点よりも高い所定温度まで加熱し、所定温度に加熱した状態で、軸孔12の後端方向D2側の開口から、端子金具40を軸孔12に挿入する。この結果、各材料粉末が圧縮および焼結されて、第1シール部60と、抵抗体70と、第2シール部80とのそれぞれが形成される。
【0042】
次に、絶縁体10に主体金具50を固定する。固定方法としては、
図1で説明した方法を採用可能である。次に、主体金具50の先端に、屈曲前の直線状の接地電極30を固定する。固定方法としては、例えば、溶接を採用可能である。なお、主体金具50に接地電極30を固定した後に、絶縁体10に主体金具50を固定してもよい。以上により、組立体が形成される。
【0043】
図2のステップS110からS140では、絶縁体10の絶縁性能(耐電圧性能)が、検査装置によって、検査される。この検査では、中心電極20と主体金具50との間に電圧を印加する場合に、絶縁体10の絶縁が破壊されずに維持されるか否かが、検査される。
図3は、検査装置900の概略図である。検査装置900は、組立体100xが装着される試験台200と、光センサ300と、組立体100xに電圧を印加する電源装置400と、データ処理を実行する処理装置500と、を有している。電源装置400は、放電用の電圧を出力する電圧印加回路410と、出力される電圧の時間微分値を取得する微分回路420と、を有している。処理装置500は、アナログ信号をデジタルデータに変換するADコンバータ510と、データ処理を実行するデータ処理部520と、を有している。データ処理部520は、例えば、CPUと記憶装置とを有するコンピュータである。
【0044】
図中では、試験台200の概略断面図が示されている。図中の中心軸CLと方向D1、D2とは、試験台200に装着された組立体100xの向きに合わせて、示されている。試験台200の断面は、中心軸CLを含む断面である。
【0045】
試験台200は、容器210と、窓部材220と、窓枠230と、を有している。容器210には、組立体100xを取り付けるための取付孔212と、取付孔212に取り付けられた組立体100xの先端部を収容する収容室214と、収容室214の先端方向D1側に配置された開口216と、が形成されている。開口216は、窓部材220によって塞がれている。窓部材220は、光を通す材料(ここでは、ガラス)を用いて形成されている。窓部材220の先端方向D1側には、窓枠230が配置されている。窓枠230は、窓部材220の縁を全周に亘って支持するループ状の部材である。窓部材220は、容器210と窓枠230とに挟まれた状態で、容器210に固定されている。窓部材220の先端方向D1側からは、窓部材220を通じて、組立体100xの先端部を観察することが可能である。
【0046】
窓部材220の先端方向D1側には、光センサ300が配置されている。光センサ300は、光の強度(すなわち、明るさ)に応じた出力値を出力するセンサである。本実施形態では、光センサ300は、フォトダイオードであり、光の強度に応じた電流を出力する。光センサ300は、窓部材220の先端方向D1側の中心軸CL上に、配置されている。光センサ300の受光面(図示省略)は、中心軸CL上から、後端方向D2側を、すなわち、組立体100xの先端部を、向いている。
【0047】
電源装置400の電圧印加回路410には、高圧ケーブル431、432が接続されており、これらの高圧ケーブル431、432は、組立体100xの端子金具40と主体金具50とに、それぞれ、接続される。電圧印加回路410は、高圧ケーブル431、432を通じて、端子金具40と主体金具50との間に電圧を印加する。端子金具40は中心電極20に電気的に接続されているので、中心電極20と主体金具50との間に、電圧が印加される。中心電極20と主体金具50との間に電圧が印加されると、主体金具50と絶縁体10とに挟まれた空間Sfで、放電が生じる場合がある。
【0048】
図4、
図5は、組立体100xの先端部で生じ得る放電の経路を示す概略断面図である。図中には、組立体100xの先端部の断面(具体的には、中心軸CLを含む断面)が示されている。太線で示された経路Pt1、Pt2は、放電の経路の例を示している。
【0049】
図4は、第1放電経路Pt1を示している。第1放電経路Pt1は、主体金具50の内周面50iから絶縁体10の表面10oに至り、絶縁体10の表面10o上を先端方向D1に向かって進み、絶縁体10の先端面101上を通って、中心電極20に至る経路である。この第1放電経路Pt1は、沿面放電の経路の例である。
【0050】
図示するように、主体金具50の内周面50iと、絶縁体10の表面10oとの間の空間Sfは、先端側パッキン8でシールされた部分よりも先端方向D1側に形成されている。そして、先端側パッキン8の近傍では、主体金具50の内周面50iと絶縁体10の表面10oとの間の距離が、空間Sf内の他の部分よりも、小さい。従って、
図4の第1放電経路Pt1のように、主体金具50の内周面50iのうちの先端側パッキン8の先端方向D1側の部分から、絶縁体10の表面10oを通って、中心電極20に至る放電経路を通る放電が生じ得る。
【0051】
また、
図4の例では、主体金具50は、縮内径部56の先端方向D1側に、内径が先端方向D1に向かって大きくなる拡内径部57を有している。拡内径部57よりも先端方向D1側では、内径は、おおよそ一定である。拡内径部57と縮内径部56との間では、内径は、おおよそ一定である。縮内径部56と拡内径部57とは、径方向の内側に向かって突出する突出部を形成する。例えば、
図4の例では、拡内径部57の後端方向D2側の端が、突出部567を形成する。このような突出部を有する導電体に電圧が印加されると、突出部を通る放電が生じ易い。
図4の第1放電経路Pt1は、この突出部567を通る経路である。
【0052】
なお、組立体100xの接地電極30xの状態は、曲げられる前の直線状態である。接地電極30xと中心電極20との間の距離は、絶縁体10の表面10oと中心電極20との間の距離よりも、遠い。従って、接地電極30xと中心電極20との間の放電は、主体金具50と中心電極20との間の放電よりも、生じ難い。また、
図4のような沿面放電は、絶縁体10の絶縁性能が良好である場合であっても、生じ得る。
【0053】
図5は、第2放電経路Pt2を示している。
図5の例では、絶縁体10の脚部13の途中に、表面10oと軸孔12とを連通する意図しない貫通孔131が形成されている。この意図しない貫通孔131は、放電によって形成された孔である。中心電極20と主体金具50との間に電圧が印加されると、このような貫通孔131を形成し、そして、形成した貫通孔131を通る放電、すなわち、絶縁体10を貫通する放電が生じ得る。図中の第2放電経路Pt2は、主体金具50の内周面50iから絶縁体10の表面10o上を通って貫通孔131に至り、貫通孔131よりも先端方向D1側を通らずに、貫通孔131を通って、軸孔12内の中心電極20に至る。この第2放電経路Pt2は、貫通放電の経路の例である。検査のための電圧印加によって貫通放電が生じることは、絶縁体10の絶縁が破壊され易いこと、すなわち、絶縁体10の絶縁性能が低いことを示している。
【0054】
貫通放電の放電経路Pt2(
図5)のうちの絶縁体10の外部に露出する部分の長さは、沿面放電の放電経路Pt1(
図4)のうちの絶縁体10の外部に露出する部分の長さよりも、短い。従って、貫通放電が生じた場合には、沿面放電が生じた場合と比べて、放電が暗く見える。後述するように、
図2の手順では、放電時の明るさの違いを利用して、貫通放電が生じたか否か、すなわち、絶縁体10の絶縁性能が、検査される。
【0055】
図2のステップS110では、まず、組立体100xが試験台200(
図3)に装着される。そして、容器210の収容室214内は、図示しないガス流路を通じて二酸化炭素ガスが供給されることによって、3MPaに加圧される。この結果、収容室214内では、放電が生じ難くなる。この状態で、電源装置400の電圧印加回路410は、組立体100xの端子金具40と主体金具50との間に、電圧を印加する。電圧が印加された場合であっても、放電が生じない場合がある。また、
図4に示すような沿面放電が生じる場合がある。また、
図5で説明したような貫通放電が生じる場合がある。
【0056】
次のステップS120では、処理装置500は、電圧を印加した時の光センサ300からの出力値を取得する。具体的には、ADコンバータ510は、光センサ300からのアナログの出力信号(ここでは、電流値)を、デジタルデータに変換する。そして、データ処理部520は、変換されたデジタルデータを取得する。デジタルデータは、光センサ300から出力される出力値、すなわち、光センサ300によって測定された光の強度を表している。放電が生じなかった場合には、暗い強度を示すデジタルデータが取得される。沿面放電(
図4)が生じた場合には、明るい強度を示すデジタルデータが取得される。貫通放電(
図5)が生じた場合には、それらの間の強度を示すデジタルデータが取得される。なお、データ処理部520は、電圧印加が開始してから終了するまでの期間(以下「電圧印加期間」と呼ぶ)内の最も明るい強度を示す出力値を、放電の明るさを示す出力値として、取得する。
【0057】
次のステップS125では、処理装置500のデータ処理部520は、電源装置400から判別信号を取得する。電源装置400の微分回路420は、電圧印加回路410によって出力される電圧の微分値の絶対値を取得する(以下「絶対微分値」と呼ぶ)。そして、微分回路420は、電圧印加期間中に絶対微分値が所定の微分閾値を超えたか否かを示す信号を、判別信号として、処理装置500に供給する。放電が生じなかった場合には、電圧は緩やかに変化するので、絶対微分値は、微分閾値以下である。放電が生じた場合には、放電が生じた時に電圧が急激に変化するので、絶対微分値は、微分閾値を超える。このように、電圧印加期間中に絶対微分値が微分閾値を超えることは、放電が生じたことを示し、電圧印加期間中に絶対微分値が微分閾値以下であることは、放電が生じなかったことを示している。
【0058】
次のステップS130では、処理装置500のデータ処理部520は、判別信号に応じて、放電が生じた否かを判定する。放電が生じていない場合(すなわち、絶対微分値が閾値以下である場合)、絶縁碍子10の絶縁性能が良好であると推定される。この場合、次のステップS150で、接地電極30が中心電極20に向かって曲げられ、そして、ギャップgが形成される。そして、スパークプラグ100が完成し、
図2の処理が終了する。
【0059】
判別信号が、放電が生じたことを示す場合(S130:Yes)、次のステップS140で、処理装置500のデータ処理部520は、ステップS120で取得した出力値が、光の強度が所定の明るさ閾値以下であることを示すか否かを、判定する。本実施形態では、光センサ300の出力値(ここでは、電流値)は、光の強度と正の相関を有する。従って、データ処理部520は、出力値が、所定の出力閾値以下である場合に、出力値が、光の強度が明るさ閾値以下であることを示している、と判定する。出力閾値は、明るさ閾値に対応する閾値である。
【0060】
光の強度が明るさ閾値を超えていると判定された場合(S140:No)、放電は、沿面放電(
図4)であり、絶縁体10の絶縁性能が良好であると推定される。この場合、次のステップS150で、接地電極30が中心電極20に向かって曲げられ、そして、ギャップgが形成される。そして、スパークプラグ100が完成し、
図2の処理が終了する。
【0061】
光の強度が明るさ閾値以下であると判定された場合(S140:Yes)、貫通放電(
図5)が生じており、絶縁体10の絶縁性能が低いと推定される。この場合、組立体100xは、スパークプラグ100の製造用の部材として採用されず(S160)、
図2の処理が終了する。
【0062】
このように、
図2の製造方法では、組立体100xの主体金具50と中心電極20との間の電圧の印加中に組立体100xの先端に向けた光センサ300から出力される出力値を用いて、絶縁体10を貫通する貫通放電が生じたか否かが判定される。従って、沿面放電が生じた場合に、貫通放電が生じたと誤って判定されることを抑制できる。この結果、貫通放電が生じた否かの判定の精度を向上できる。
【0063】
また、貫通放電が生じていないと判定された場合(S140:No)、接地電極30xを曲げることによって、接地電極30と中心電極20との間のギャップgが形成される(S150)。従って、適切にスパークプラグ100を製造できる。また、貫通放電が生じたと判定された場合(S140:Yes)、組立体100xは、スパークプラグ100の部材として採用されないので(S160)、不具合を有するスパークプラグ100が製造される可能性を低減できる。例えば、貫通放電が生じ易いスパークプラグ100が製造されることを、抑制できる。
【0064】
また、貫通放電が生じたと判定されるための条件は、光センサ300からの出力値が、光の強度(すなわち、明るさ)が所定の明るさ閾値以下であることを示すことを含んでいる(S140)。従って、適切な判定を実現できる。
【0065】
B.第1評価試験:
図6は、組立体100xのサンプルを用いた第1評価試験の結果を示すグラフである。横軸は、組立体100xのサンプルの種類を示し、縦軸は、光の強度を示している。光の強度は、光センサ300からの出力値を示している。
図6では、出力値が、所定値に対する比率で、示されている。出力値の取得は、
図3の検査装置900を用いて、以下の条件下で行った。
1)収容室214内に二酸化炭素を充填し、3MPaに加圧した。
2)出力値としては、電圧印加期間内の最も明るい強度を示す出力値を採用した。
3)光センサ300の受光面の面積は、主体金具50の内周面50iに囲まれた領域の面積(中心軸CLと垂直な面の面積)とおおよそ同じ40mm
2であった。
【0066】
判別信号に応じて放電が生じたと判定された複数のサンプルのそれぞれについて、絶縁体10の脚部13の意図しない貫通孔の有無を、液体浸透探傷検査によって確認した。そして、意図しない貫通孔が検出されなかった100個のサンプルを、試験で貫通孔が形成されなかった組立体(以下「孔無組立体」と呼ぶ)の100個のサンプルとして取得した。意図しない貫通孔が検出された100個のサンプルを、試験で貫通孔が形成された組立体(以下「孔有組立体」と呼ぶ)の100個のサンプルとして取得した。
図6のグラフは、このようにして得られた2種類のサンプルのそれぞれの光の強度(出力値)の平均値と最大値と最小値とを示している。
【0067】
図示するように、孔無組立体の光の強度は、孔有組立体の光の強度と比べて、明るかった。これは、
図4、
図5で説明したように、孔無組立体では、沿面放電が生じ、孔有組立体では、貫通放電が生じたからである。
【0068】
また、
図6に示すように、孔無組立体の光の強度の分布の幅(最大値−最小値)は、孔有組立体の光の強度の分布の幅(最大値−最小値)と比べて、小さい。この理由は、以下のように推定される。すなわち、沿面放電の放電経路は、サンプルに依らず、
図4の第1放電経路Pt1とおおよそ同じである。従って、複数のサンプルの間の光の強度のバラツキが比較的小さい。一方、貫通放電が生じる場合、貫通孔131の位置(特に、先端方向D1の位置)は、サンプル毎に異なる。従って、放電経路Pt2(
図5)のうちの絶縁体10の外部に露出する部分の長さも、サンプル毎に異なる。この結果、複数のサンプルの間の光の強度のバラツキが比較的大きい。
【0069】
また、
図6の例では、孔無組立体のサンプルの光の強度の最小値VLは、孔有組立体のサンプルの光の強度の最大値VHよりも、大きい。従って、出力閾値(
図2:S140)として、最大値VHより大きく、かつ、最小値VLよりも小さい値を採用することによって、貫通放電が生じたか否かを、高い精度で判定できる。
図6の例では、出力閾値としては、例えば、孔無組立体の出力値の平均値の0.5倍の値を採用可能である。
【0070】
なお、出力値(すなわち、光の強度)の分布は、スパークプラグ100の構成と、光センサ300の分光感度特性と、に応じて変化し得る。例えば、孔無組立体のサンプルの光の強度の最小値VLが、孔有組立体のサンプルの光の強度の最大値VHよりも、小さい場合があり得る。このような場合、明るさ閾値(すなわち、出力閾値)としては、種々の値を採用可能である。一般に、明るさ閾値が小さいほど、沿面放電が、貫通放電であると誤って判定される可能性を低減できる。例えば、明るさ閾値を
図6の最小値VLに決定すれば、孔無組立体が廃棄される可能性を低減できる。また、一般に、明るさ閾値が大きいほど、貫通放電が、沿面放電であると誤って判定される可能性を低減できる。例えば、明るさ閾値を最大値VHに決定すれば、孔有組立体を用いてスパークプラグ100が製造される可能性を低減できる。
【0071】
C.第2評価試験:
図7は、組立体100xのサンプルを用いた第2評価試験の結果を示すグラフである。横軸は、後述するカバー長LA(単位はmm)を示し、縦軸は、貫通放電の検出率(単位は%)を示している。第2評価試験では、測定波長範囲(以下「測定波長帯」とも呼ぶ)が異なる4種類の光センサを用いて、カバー長LAと検出率との関係を試験した。
【0072】
カバー長LAは、
図4に示すように、絶縁体10の先端側胴部17と第1縮外径部15との境界部157から、主体金具50の先端50fまでの、中心軸CLと平行な長さである。第2評価試験では、カバー長LAとして、4、5、6、8、10、12、13、14、15、16、17(単位はmm)が、試験された。これらのカバー長LAは、主体金具50の胴部55の長さを変更することによって、実現された。
図4の右部に示すように、先端側胴部17と第1縮外径部15との接続部分は面取りされている。この場合、中心軸CLを含む断面上において、第1縮外径部15の表面のうちの直線部分15Lと、先端側胴部17の表面のうちの直線部分17Lとを、延長して得られる交点が、境界部157として採用される。なお、絶縁体10の構成は、各カバー長LAに、共通である。また、いずれのカバー長LAのサンプルにおいても、絶縁体10の先端面101は、主体金具50の先端50fよりも先端方向D1側に、位置していた。
【0073】
貫通放電の検出率は、以下のように、算出された。第1評価試験と同様に、判別信号が放電の発生を示す複数のサンプルの中から、探傷検査によって孔無組立体の100個のサンプルを取得した。そして、孔無組立体のサンプルの出力値の平均値の0.5倍の値を、出力閾値として採用した。次に、判別信号が放電の発生を示す複数のサンプルのそれぞれの出力値と出力閾値とを
図2のステップS140と同様に比較することによって、貫通放電が生じたか否かを、出力値に基づいて判定した。そして、出力値に基づいて貫通放電が生じたと判定された100個のサンプルを取得した。これら100個のサンプルの探傷検査を行い、孔有組立体の数を数えた。100個のサンプルに対する孔有組立体の数の割合を、貫通放電の検出率として算出した。出力閾値の決定と検出率の算出とは、波長範囲とカバー長LAとの組合せ毎に、行われた。
【0074】
光センサとしては、測定波長範囲が互いに異なる4種類のフォトダイオードが用いられた。4つの測定波長範囲は、以下の通りである。
第1波長範囲:190nm以上、かつ、1000nm以下
第2波長範囲:320nm以上、かつ、1000nm以下
第3波長範囲:190nm以上、かつ、680nm以下
第4波長範囲:300nm以上、かつ、680nm以下
なお、測定波長範囲は、光の強度を測定可能な波長の範囲を示している。
【0075】
図7に示すように、検出率は、カバー長LAが長いほど高くなる傾向がある。この理由は、以下のように推定される。すなわち、
図4に示すように、沿面放電は、絶縁体10の先端面101を通る。従って、空間Sfの外からは、カバー長LAに拘わらずに、放電を見ることができる。この結果、沿面放電が生じた場合には、カバー長LAに拘わらず、明るい強度が測定される。一方、
図5に示すように、貫通放電は、空間Sfの奥部分(すなわち、後端方向D2側の部分)で生じ得る。従って、空間Sfの外からは、カバー長LAが長いほど、放電が見えにくい。この結果、貫通放電が生じた場合には、カバー長LAが長いほど、測定される光の強度が暗くなる。以上により、カバー長LAが長いほど、沿面放電による光の強度と、貫通放電による光の強度と、の間の差が大きくなる。この結果、カバー長LAが長いほど検出率が高くなる、と推定される。
【0076】
また、
図7に示すように、第2波長範囲(320nm以上の範囲)を用いる場合には、他の波長範囲(190nm以上の範囲、および、300nm以上の範囲)を用いる場合と比べて、カバー長LAの広い範囲に亘って、検出率が良好であった。従って、カバー長LAの広い範囲で良好な検出率を実現するためには、測定波長範囲として、320nm以上の波長範囲を採用することが好ましい。
【0077】
測定波長範囲の上限値については、以下の通りである。良好な検出率を実現した第2波長範囲の上限は、1000nmである。従って、測定波長範囲として、1000nm以下の範囲を採用することが好ましい。また、第1波長範囲と第3波長範囲との間では、波長範囲の下限が同じであり、かつ、波長範囲の上限が異なっている。しかし、
図7に示すように、第1波長範囲と第3波長範囲との間では、カバー長LAに拘わらず、検出率は、おおよそ同じである。すなわち、波長範囲の上限が1000nmと680nmとの間で変化した場合であっても、検出率の変化は小さいと推定される。従って、測定波長範囲として680nm以下の範囲を採用する場合にも、第2波長範囲と同様に、カバー長LAの広い範囲で良好な検出率を実現できると推定される。例えば、測定波長範囲は、320nm以上、かつ、1000nm以下であってよい。また、測定波長範囲は、320nm以上、かつ、680nm以下であってもよい。
【0078】
また、
図7に示すように、第2波長範囲を用いる場合に良好な検出率(ここでは、70%以上)が得られるカバー長LAは、5、6、8、10、12、13、14、15、16、17(単位はmm)であった。これらの値のうちの任意の値を、カバー長LAの好ましい範囲(下限以上、かつ、上限以下)の下限として採用可能である。また、これらの値のうちの下限以上の任意の値を、カバー長LAの好ましい範囲の上限として採用可能である。
【0079】
なお、
図7に示すように、第2波長範囲以外の波長範囲が用いられる場合、13mm以下のカバー長LAで、検出率が70%未満であった。このように、カバー長LAが13mm以下である小型のスパークプラグを用いる場合には、測定波長範囲を上記の好ましい範囲に決定することによって、良好な検出率を実現可能である。この場合、カバー長LAの好ましい範囲として、例えば、5mm以上、かつ、13mm以下を採用可能である。
【0080】
以上説明した測定波長範囲の好ましい範囲と、カバー長LAの好ましい範囲とは、
図2の製造方法に、適用可能である。
【0081】
D.第3評価試験:
図8は、組立体100xのサンプルを用いた第3評価試験の結果を示すグラフである。横軸は、光センサ300の配置構成を表す符号FA〜FKを示し、縦軸は、貫通放電の検出率(単位は%)を示している。第3評価試験では、1個以上の光センサ300のそれぞれの配置と検出率との関係を試験した。なお、サンプルのカバー長LAは、11mmであった。光センサの測定波長範囲は、320nm以上、かつ、1000nm以下であった。絶縁体10のうちの主体金具50の先端50fよりも先端方向D1側に突出する部分の中心軸CLと平行な長さは、3mmであった。
【0082】
図9は、11個の配置構成FA〜FKのそれぞれの、光センサ300の数と、光センサ300の配置と、光センサ300の出力値を用いる判定条件と、を示す表である。表に示す6つの位置P1〜P6は、組立体100xに対する光センサ300の相対位置を示している。
【0083】
図10、
図11は、相対位置P1〜P6の説明図である。
図10は、中心軸CLから離れた位置から中心軸CLを向いて見た組立体100xの先端部分の概略を示している。図中では、接地電極30xの図示が省略されている。
図11は、後端方向D2を向いて見た組立体100xの先端部の概略を示している。図中には、主体金具50の先端50fと、接地電極30xとが示されており、他の要素の図示は、省略されている。
【0084】
第1位置P1は、
図3で説明した光センサ300の位置であり、組立体100xの先端方向D1側における中心軸CL上の位置である。以下、第1位置P1を「正面位置P1」とも呼び、第1位置P1の光センサ300を、「正面センサ301」とも呼ぶ。正面センサ301の受光面(図示省略)は、中心軸CL上から、組立体100xの先端部を(具体的には、後端方向D2方向を)、向いている。
【0085】
第2位置P2〜第6位置P6は、中心軸CLから離れた位置であり、具体的には、組立体100xの先端部から、中心軸CLと垂直な方向に向かって、移動した位置である。以下、中心軸CLから離れた位置P2〜P6を「側方位置P2〜P6」とも呼び、側方位置の光センサ300を「側方センサ302」とも呼ぶ。側方センサ302の受光面(図示せず)は、中心軸CLとは交差しておらず、中心軸CLから離れた位置から、組立体100xの先端部を、向いている。なお、第3評価試験では、側方センサ302が、絶縁体10の表面10oのうちの主体金具50の先端50fよりも先端方向D1側に突出した部分を観察できるように、側方位置P2〜P6は、絶縁体10の当該突出部分から径方向の外側に移動した位置である。そして、側方センサ302の受光面は、中心軸CLに向かう中心軸CLと垂直な方向を、向いている。
【0086】
図11に示すように、第5位置P5は、中心軸CLから見て接地電極30xが配置されている方向の位置である。中心軸CLから見て、第5位置P5は、接地電極30xの後ろである。第5位置P5から組立体100xを観察すると、絶縁体10の一部が接地電極30xの後ろに隠れる。第3位置P3は、中心軸CLから見て、第5位置P5とは反対側の位置である。第2位置P2は、中心軸CLから見て、第5位置P5に向かう方向と垂直な方向の位置である。第4位置P4は、中心軸CLから見て、第2位置P2とは反対側の位置である。第6位置P6は、中心軸CLから見て、第2位置P2と第5位置P5との間の位置である。
【0087】
中心軸CLから第2位置P2へ向かう方向と、中心軸CLから第6位置P6へ向かう方向と、の間の鋭角Ag26は、30度である。また、中心軸CLから第3位置P3へ向かう方向と、中心軸CLから第6位置P6へ向かう方向と、の間の鋭角Ag36は、120度である。以下、中心軸CLから2つの側方位置へ向かう方向の間の鋭角を、「センサ間角度」と呼ぶ。
【0088】
図9では、これらの相対位置P1〜P6を用いて、各配置構成FA〜FKの光センサ300の配置が表されている。例えば、第1配置構成FAは、第1位置P1で構成され、第5配置構成FEは、2個の位置P2、P4で構成され、第11配置構成FKは、3個の位置P1、P2、P4で構成されている。
【0089】
判定条件は、貫通放電が生じたと判定するための条件である。第1条件J1は、センサ数が「1」である配置構成FA〜FDに適用される。第2条件J2は、センサ数が「2」である配置構成FE〜FJに適用される。第3条件J3は、センサ数が「3」である配置構成FKに適用される。各条件J1、J2、J3は、以下の通りである。
第1条件J1:出力値が、沿面放電の発生時の出力値の50%以下である。
第2条件J2:2個のセンサのそれぞれの出力値が、沿面放電の発生時の出力値の50%以下である。
第3条件J3:3個のセンサのそれぞれの出力値が、沿面放電の発生時の出力値の50%以下である。
【0090】
各条件J1、J2、J3では、沿面放電の発生時の出力値の50%の出力値が、出力閾値として用いられる。そして、全ての光センサ300のそれぞれの出力値が出力閾値以下である場合に、すなわち、全ての光センサ300の光の強度が明るさ閾値以下である場合に、貫通放電が生じたと判定される。少なくとも1つの光センサ300の出力値が出力閾値を超える場合には、沿面放電が生じたと判定される。なお、これらの条件J1、J2、J3は、いずれも、
図2のステップS140の判定条件として、採用可能である。
【0091】
出力閾値は、以下のように、決定した。まず、正面位置P1に加えて、側方位置P2〜P6からも組立体100xの先端部を観察可能な試験台を準備した(図示省略)。試験台の各位置P1〜P6には、光センサ300を固定した。そして、組立体100xを試験台に装着し、組立体100xの先端部を収容する収容室内を、二酸化炭素ガスを用いて加圧した。また、組立体100xの端子金具40と主体金具50とには、電源装置400(
図3)からの高圧ケーブル431、432を接続した。電源装置400によって印加される電圧と、収容室内の圧力とを、常時に沿面放電が生じるように、調整した。この際、圧力が低いほど、沿面放電が生じ易い。そして、沿面放電が生じた複数のサンプルの中から、探傷検査によって孔無組立体の100個のサンプルを取得した。そして、孔無組立体のサンプルの出力値の平均値の0.5倍の値を、出力閾値として採用した。出力閾値は、光センサ300毎に決定した。
【0092】
貫通放電の検出率は、以下のように、算出された。組立体100xを試験台に装着し、電圧と収容室内の圧力(すなわち、二酸化炭素ガスの圧力)を、常時に沿面放電が生じた条件に合わせて、調整した。続いて、圧力を増大させた。これにより、沿面放電が抑制される。この状態で組立体100xの中心電極20と主体金具50との間に電圧が印加される。そして、第1評価試験と同様に、各光センサ300の出力値を取得し、判別信号が放電の発生を示す場合に、上記の条件J1〜J3に従って、貫通放電が生じたか否かを、出力値に基づいて判定した。そして、出力値に基づいて貫通放電が生じたと判定された100個のサンプルを取得した。これら100個のサンプルの探傷検査を行い、孔有組立体の数を数えた。100個のサンプルに対する孔有組立体の数の割合を、貫通放電の検出率として算出した。
【0093】
図8に示すように、センサ数が「1」である場合、正面位置P1で構成された第1配置構成FAの検出率が、側方センサを用いる配置構成FB〜FDの検出率よりも、良好であった。この理由は、以下のように推定される。側方センサ302から見て絶縁体10の後ろで沿面放電が生じた場合、側方センサ302は、放電によって生じる光を受けることが難しい。さらに、第5位置P5では、側方センサ302から見て接地電極30xに隠れる部分で沿面放電が生じた場合に、十分な光を受けることが難しい。従って、沿面放電が生じた場合であっても、側方センサ302の出力値は、暗い強度を示す場合がある。この結果、検出率が、比較的低くなる。一方、正面センサは、絶縁体10の表面10oのうちの中心軸CLを囲む全周から、光を受けることができる。従って、沿面放電が生じた場合には、正面センサからは、明るい強度を示す出力値を取得可能である。この結果、検出率が、比較的高くなる。
【0094】
センサ数が「2」である配置構成FE〜FJに関しては、3つの配置構成FE、FI、FJの検出率は、他の配置構成FF、FG、FHの検出率よりも、良好であった。以下、この理由について、説明する。
【0095】
第5位置P5を含む第6配置構成FFの検出率が良好ではない理由は、第5位置P5の側方センサ302の視野が、接地電極30xに遮られているからだと推定される。また、正面センサ301を含む第10配置構成FJの検出率が良好である理由は、正面センサ301が、絶縁体10の表面10oのうち中心軸CLを囲む全周から、光を受けることができるからだと推定される。
【0096】
2つの側方センサ302を有する配置構成FE〜FIについては、以下の通りである。これらの配置構成FE〜FIのそれぞれのセンサ間角度は、以下の通りである(第6配置構成FFを除く)。
第5配置構成FE: 180度 、第7配置構成FG: 90度
第8配置構成FH: 30度 、第9配置構成FI: 120度
ここで、センサ間角度が120度以上である配置構成FE、FIの検出率は、センサ間角度が120度未満の配置構成FG、FHの検出率よりも、良好であった。この理由は、センサ間角度が120度以上である場合には、センサ間角度が120度未満である場合と比べて、絶縁体10の表面10oのうちの死角、すなわち、2つの側方センサ302から見えない領域が、小さいからだと推定される。
【0097】
センサ数が「3」である第11配置構成FKの検出率は、試験された配置構成FA〜FKの検出率のうち、最も良好であった。この理由は、第11配置構成FKが、絶縁体10の表面10oうち中心軸CLを囲む全周を観察可能な正面位置P1と、センサ間角度が180度である2つの側方位置P2、P4と、を含んでいるからだと推定される。
【0098】
以上のように、良好な検出率を実現するためには、以下の構成1〜構成3のうちの少なくとも1つを採用することが好ましい。
構成1:組立体100xの中心軸CL上から、組立体100xの先端部に向けた正面センサ301と、中心軸CLから離れた位置から組立体100xの先端部に向けた側方センサ302と、を含む複数の光センサを用いる。
構成2:組立体100xの中心軸CLから離れた位置から組立体100xの先端部に向けた第1側方センサと第2側方センサとを含む複数の光センサを用いる。そして、第1側方センサと第2側方センサとのセンサ間角度は、120度以上である。
構成3:組立体100xの中心軸CLから離れた位置から組立体100xの先端部に向けた側方センサを用いる。そして、側方センサは、中心軸CLから見て、接地電極30xが配置されている方向とは異なる方向に、配置されている。
【0099】
これらの構成1〜構成3は、いずれも、組立体100xに対する光センサ300の相対的な位置関係を、光センサ300の視野を考慮して、定めるものである。従って、これらの構成1〜構成3のうちの少なくとも1つを採用すれば、スパークプラグ100の構成と検査装置900の構成とに拘わらず(例えば、カバー長LAと光センサ300の測定波長範囲とに拘わらず)、検出率を向上できる、と推定される。
【0100】
なお、
図9に示す配置構成FA〜FKから任意に選択された配置構成を、
図2の製造方法に適用可能である。この場合、
図2のステップS140には、上述の条件J1〜J3のうちの配置構成に対応付けられた条件を、適用可能である。なお、誤判定の可能性を低減するためには、
図8に示す検出率が高い配置構成を採用することが好ましい。例えば、検出率が70%以上である配置構成FE、FI、FJ、FKを採用することが好ましい。
【0101】
E.第4評価試験:
図12は、組立体100xのサンプルを用いた第4評価試験の結果を示すグラフである。横軸は、後述する意図しない貫通孔131(
図5)の位置LC(単位はmm)を示し、縦軸は、沿面放電の検出率(単位は%)を示している。第4評価試験では、意図しない貫通孔131の位置と検出率との関係を試験した。試験に利用した検査装置(例えば、試験台)と光センサ300と組立体100xとのそれぞれの構成は、第3評価試験で用いた構成と同じである。
【0102】
貫通孔131の位置LCは、
図5に示すように、絶縁体10の先端側胴部17と第1縮外径部15との境界部157から、絶縁体10の表面10o上の貫通孔131の位置までの、中心軸CLと平行な長さを示している。以下、貫通孔131の位置LCを「孔位置LC」とも呼ぶ。貫通放電によって形成される貫通孔131の孔位置LCは、組立体100xの先端部を収容する収容室内の圧力に応じて変化する。具体的には、圧力が高いほど、放電が生じ難い、すなわち、放電経路の距離が短くなる。従って、圧力が高いほど、孔位置LCは、境界部157に近くなる。第4評価試験では、圧力を7段階に調整することによって、1、2、4、6、8、10、12(単位はmm)の7つの孔位置LCの試験が行われた(詳細は後述)。
【0103】
第4評価試験で用いられた組立体100x(
図4)のカバー長LAは、11mmであり、脚長LBは、14mmであった。脚長LBは、境界部157から、絶縁体10の先端までの、中心軸CLと平行な長さである。以上により、13mmの孔位置LCは、主体金具50の先端50fに対応する位置である。孔位置LCが13mmよりも大きい場合、貫通孔131は、主体金具50の先端50fよりも先端方向D1側に配置され、孔位置LCが13mmよりも小さい場合、貫通孔131は、主体金具50の先端50fよりも後端方向D2側に配置されている。
【0104】
また、
図12に示すように、第4評価試験では、光センサ300の配置として、
図9で説明した第1配置構成FAと第5配置構成FEとが試験された。また、出力閾値の決定方法は、第3評価試験の方法と同じである。沿面放電の検出率の算出方法は、以下の通りである。第3評価試験と同様に、試験台に組立体100xを装着し、電圧を印加した。そして、各光センサ300の出力値を取得し、判別信号が放電の発生を示す場合に、上記の条件J1〜J3に従って、貫通放電が生じたか否かを、出力値に基づいて判定した。そして、貫通放電が生じたと出力値に基づいて判定されるまで、放電を繰り返した。このような放電の繰り返しを、100個のサンプルについて、行った。これら100個のサンプルの探傷検査を行い、各サンプル毎に意図しない孔の数を数えた。繰り返された各放電の判定結果が正しければ、孔の数は、1個である。しかし、貫通放電が生じたにも拘わらず、出力値に基づいて貫通放電が生じていないと誤って判定された場合には、孔の数が、誤判定に伴って、増加し得る。すなわち、2以上の孔の数は、1回以上の誤判定が生じたことを示している。ここで、100個のサンプルに対する孔の数が1個のサンプルの数の割合、すなわち、誤判定が生じなかったと推定されるサンプルの割合を、検出率として算出した。なお、検出率の算出は、7つの孔位置LCのそれぞれに対して、すなわち、7つの圧力のそれぞれに対して、行った。
図12のグラフの横軸は、圧力から想定される孔位置LCである。各圧力で実際に生じた孔の孔位置LCの測定値の小数点以下を四捨五入した値は、圧力から想定される孔位置LCと、同じであった。
【0105】
図12に示すように、孔位置LCが後端方向D2側にある場合には、先端方向D1側にある場合と比べて、検出率が良好であった。この理由は、以下のように推定される。孔位置LCが後端方向D2側にある場合には、先端方向D1側にある場合と比べて、貫通放電が生じた場合の光の強度が暗くなり易い。従って、貫通放電と沿面放電との間の光の強度の差が大きくなり易い。以上により、孔位置LCが後端方向D2側にある場合には、良好な検出率が実現される、と推定される。
【0106】
また、孔位置LCが、主体金具50の先端50fよりも後端方向D2側である場合、第5配置構成FEは、第1配置構成FAと比べて、良好な検出率を実現できた。この理由は、以下のように推定される。すなわち、側方センサ302から見ると、貫通放電は主体金具50に隠れているので、側方センサ302は、貫通放電によって生じる光を受けることが困難である。一方、沿面放電は、主体金具50の先端50fよりも先端方向D1側を通るので、側方センサ302は、沿面放電によって生じる光を受けることができる。従って、貫通放電と沿面放電との間の明るさの差が、比較的大きい。この結果、側方センサ302を用いる第5配置構成FEは、良好な検出率を実現できる。特に、第5配置構成FEのセンサ間角度は180度であるので、絶縁体10の表面10oのうちの死角が小さい。従って、良好な検出率を容易に実現できる。一方、正面センサ301は、貫通放電によって生じる光と、沿面放電によって生じる光との、両方を受けることが可能である。従って、貫通放電と沿面放電との間の明るさの差が、比較的小さい。この結果、側方センサ302を用いずに正面センサ301を用いる第1配置構成FAの検出率は、第5配置構成FEの検出率と比べて、低くなり得る。
【0107】
なお、一般的には、互いに異なる位置に配置された光センサの総数が多いほど、検出率を向上できると推定される。
【0108】
F.正面センサ301の配置:
正面センサ301の位置としては、正面センサ301の受光面が中心軸CLと交差する範囲内で、種々の位置を採用可能である。ここで、貫通放電が生じたか否かの判定の精度を向上するためには、絶縁体10の表面10oのうち中心軸CLを囲む全周が視野に含まれる位置を採用することが好ましい。また、更に好ましい位置について、
図13、
図14を参照して説明する。
【0109】
図13は、中心軸CL上の位置から見た組立体100xの先端部の概略を示している。図中には、絶縁碍子10と中心電極20と主体金具50とが示されており、接地電極30xの図示は省略されている。図示するように、絶縁碍子10と中心電極20と主体金具50とは、中心軸CLを中心とする同心円状に、観察される。図中には、太線で輪郭109、509が示されている。輪郭109は、絶縁体10の観察される部分の外周側の輪郭である(以下「絶縁輪郭109」と呼ぶ)。輪郭509は、主体金具50の先端50fの内周側の輪郭である(以下「金具輪郭509」と呼ぶ)。
【0110】
図5には、断面上の輪郭109、509の位置が示されている。図示するように、絶縁輪郭109は、空間Sfの後端方向D2側の端の近傍の位置に対応する(ここでは、主体金具50の拡内径部57の後端方向D2側の端の近傍の位置)。金具輪郭509は、先端50fの径方向内側の端に対応する。
図13に示すように、絶縁輪郭109と金具輪郭509とは、中心軸CLを囲む全周に亘って、互いに離れて見えている。絶縁輪郭109と金具輪郭509との間には、空間Sfが形成されている。すなわち、中心軸CL上の位置からは、空間Sfを、中心軸CLを囲む全周に亘って、観察可能である。また、中心軸CL上の位置からは、絶縁体10の表面10oのうちの外部に露出している部分のおおよそ全体、すなわち、先端側パッキン8よりも先端方向D1側の部分のおおよそ全体を、観察可能である。従って、中心軸CL上の位置からは、絶縁体10の先端側パッキン8よりも先端方向D1側の部分の表面10o上の任意の位置で生じた放電を、観察可能である。従って、光センサ300を、絶縁輪郭109と金具輪郭509とが、中心軸CLを囲む全周に亘って、互いに離れて見える位置に配置することによって、貫通放電が生じたか否かの判定の精度を向上できる。
【0111】
図14は、中心軸CLから若干離れた位置から見た組立体100xの先端部の概略を示している。
図13の例とは異なり、絶縁体10と中心電極20と主体金具50とが、傾いて観察される。太線で示された輪郭109xは、絶縁体10の観察される部分の外周側の輪郭である(以下「絶縁輪郭109x」と呼ぶ)。図示するように、金具輪郭509の一部が、絶縁体10の後ろに隠れている。すなわち、絶縁輪郭109xが、金具輪郭509と、接触している。この場合、空間Sfの一部が、絶縁体10の後ろに隠れてしまい、観察できない。すなわち、絶縁体10の表面10oの一部が、観察できない。従って、絶縁体10の表面10oのうちの隠れた部分で放電が生じた場合に、正しい判定を出来ない可能性がある。
【0112】
以上により、正面センサ301の位置としては、正面センサ301から組立体100xの先端部を観察する場合に、絶縁輪郭と金具輪郭509とが、中心軸CLを囲む全周に亘って、互いに離れて見える位置を採用することが好ましい。こうすれば、貫通放電が生じたか否かの判定の精度を向上できる。特に、正面センサ301の図示しない受光面の中心の位置から組立体100xの先端部を観察する場合に、絶縁輪郭と金具輪郭509とが互いに離れて見える位置を採用することが好ましい。こうすれば、判定の精度を更に向上できる。なお、受光面の中心としては、受光面内に質量が均等に分布していると仮定した場合の重心の位置を採用可能である。
【0113】
G.変形例:
(1)測定波長範囲を好ましい範囲に調整する方法としては、好ましい測定波長範囲を実現する光センサを採用する方法に限らず、他の種々の方法を採用可能である。例えば、組立体100xと光センサの受光面との間に、好ましい測定波長範囲内の光を透過し、好ましい測定波長範囲外の光を遮断する、光学フィルタを、配置してもよい。
【0114】
(2)側方センサ302の向きは、中心軸CLと垂直な方向に限らず、中心軸CLと斜めに交差する方向であってもよい。いずれの場合も、側方センサ302の位置と向きとしては、絶縁体10の先端部の表面10oを観察可能な位置と向きとを、採用することが好ましい。
【0115】
(3)スパークプラグ100の製造方法としては、
図2の方法に限らず、他の種々の方法を採用可能である。例えば、電圧の変化の代わりに、電流の変化に応じて、放電が生じたが否かを判定してもよい。また、電圧印加時に常に放電が生じるような条件下で、絶縁体10の絶縁性能の検査を行ってもよい。この場合、
図2のステップS125、S130を省略可能である。また、
図3の微分回路420を省略可能である。
【0116】
組立体100xを形成する工程(
図2:S100)において、絶縁体10と中心電極20と主体金具50との組み付けの順序としては、任意の順序を採用可能である。例えば、絶縁体10に主体金具50を組み付けた後に、中心電極20を絶縁体10に組み付けてもよい。また、接地電極30xを主体金具50に接合する工程は、任意の段階で実行可能である。例えば、絶縁体10の絶縁性能の検査が終わった後に、接地電極30が主体金具50に接合されてもよい(例えば、
図2のステップS140とステップS150との間)。
【0117】
絶縁体10の絶縁性能の検査を行う検査装置の構成としては、
図3に示す構成に限らず、上述した検査方法を実現可能な任意の構成を採用可能である。例えば、ADコンバータ510の代わりに、光センサ300からの信号の強さが所定の閾値以下であるか否かを判定するディスクリミネータ回路を採用してもよい。
【0118】
(4)スパークプラグの構成としては、
図1で説明した構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、中心電極20のうちのギャップgを形成する部分に、貴金属チップを設けても良い。また、接地電極30のうちのギャップgを形成する部分に、貴金属チップを設けてもよい。貴金属チップの材料としては、イリジウムや白金等の貴金属を含む合金を採用可能である。
【0119】
また、
図1の構成では、接地電極30の先端部31が、中心電極20の先端方向D1側を向く面である先端面20s1と対向して、ギャップgを形成している。この代わりに、接地電極30の先端部が、中心電極20の外周面と対向して、ギャップを形成してもよい。また、接地電極30と主体金具50との間に、他の導電体が配置されていてもよい。この場合も、接地電極30は、他の導電体を通じて、主体金具50と電気的に接続される。
【0120】
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。