【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、標準的な洗浄ブラシではなく、外部チャージリングを有する回転アトマイザーを洗浄するために、アトマイザーの外面形状に適合し、かつ、外部チャージリングの場合には外部チャージリングの外面形状にも適合するブラシ形状を有する特別な洗浄ブラシを用いるという全体的な技術的教示に基づいており、洗浄ブラシは、外部チャージリングの前にある回転アトマイザーの外面形状の領域のみをブラッシングし得るだけでなく、外部チャージリングそれ自体および外部チャージリングの奥にある回転アトマイザーの外面形状の領域をもブラッシングし得る。
【0013】
本発明に係る洗浄機器は、それゆえに、好ましくは外部チャージ電極をも備える回転アトマイザーの外面形状における洗浄領域を洗浄する。本発明に係る洗浄機器は、特に、実チャージ電極(eigentlichen Aufladungselektroden)が埋め込まれる、外側に突き出る外部チャージリングを有する回転アトマイザーを洗浄するのに有利に好適である。また一方、本発明はまた、個々の外部チャージ電極が指状に回転アトマイザーから突き出る静電外部チャージシステムを有する回転アトマイザーを洗浄することにも好適である。さらに、本発明は、本質的には、たとえば、タイプをいくつか挙げてみると、空気レスアトマイザー、空気混合アトマイザー、超音波アトマイザーまたは回転ディスクアトマイザーのような他のタイプのアトマイザーを洗浄することにも好適である。本発明は、静電外部チャージシステムを有するアトマイザーに対して好適であるだけではなく、塗布されるコーティング剤が直接チャージによって静電的にチャージされるアトマイザーを洗浄するためにも用いられ得るということも事前に言及されるべきである。
【0014】
本発明に係る洗浄機器の洗浄ブラシが、好ましくは、洗浄されるアトマイザーの外面形状に適合するブラシ形状を有することが既に上述されている。環状に周囲に延び、本質的には放射状に突き出し、埋め込まれたチャージ電極を有している外部チャージリングを有する回転アトマイザーに洗浄ブラシを適合させるために、洗浄ブラシは、好ましくは、外向きな曲面部分または他の凹部を有し、その形状は本質的には外部チャージリングの負の形状(Negativform)であり、外部チャージリングの領域およびそれと隣接する領域においても、回転アトマイザーの外面形状に対して洗浄ブラシが適合する(anschmiegt)。外部チャージリングは、それゆえに、洗浄中、洗浄ブラシの外向きな曲面部分に突き出し得て、洗浄ブラシは、本質的にはその全長にわたって、外部チャージリングを含む回転アトマイザーの外面形状に対して適合する。これによって、洗浄ブラシが、外部チャージリングの前の領域においてだけではなく、外部チャージリングとその奥にある領域も備える全体の洗浄領域内部においても、回転アトマイザーの外面形状を洗浄するという長所がもたらされる。
【0015】
本発明の文脈の範囲内で様々な変形例が可能であり、それらは以下に簡潔に説明される。他の変形例もまた可能であることが指摘されるべきである。
【0016】
以下に説明される本発明に係る洗浄機器の変形例の全てに共通するのは、アトマイザーの外面形状をブラッシングして、それによってアトマイザーを洗浄する回転する洗浄ブラシが用いられるということである。
【0017】
本発明の第一の変形例においては、回転する洗浄ブラシが、本質的には回転対称なブラシ形状を有し、固定回転軸を中心に回転し、洗浄ブラシの回転軸はアトマイザーの噴霧軸と本質的に平行に位置する。それゆえに、ブラシ形状がそれに対応するように適合され、洗浄ブラシがアトマイザーの外面形状に対して適合し、プロセス中において、外面形状における凸部(例:外部チャージリング)および凹部をも洗浄するように、洗浄されるアトマイザーは、洗浄中、洗浄ブラシの隣に配置される。本発明に係る洗浄機器の第一の変形例においては、アトマイザーは、洗浄中、回転する洗浄ブラシの周囲における周方向の動作を実行し、洗浄ブラシは、アトマイザーの全周囲にわたってアトマイザーの外面形状を洗浄し得る。回転する洗浄ブラシの周囲におけるアトマイザーの周方向の動作は、好ましくは、洗浄ブラシの回転方向と反対向きである。本発明の第一の変形例においては、アトマイザーを洗浄する前に洗浄液によって洗浄ブラシを湿らせ、および/または、アトマイザーを洗浄した後に洗浄液によってそれを洗浄するために、洗浄機器は、好ましくは、少なくとも一つの固定式の洗浄ノズルを有する。この変形例の長所は、回転する洗浄ブラシの固定配置である。これは、回転する洗浄ブラシのそれぞれの位置に洗浄ノズルを適合させるために複雑な機構が必要ないように、洗浄ノズルもまた固定されて配置され得るという長所を有する。また一方、洗浄ブラシを移動させる複雑な機構が必要ないので、回転する洗浄ブラシの固定配置もまた有利である。
【0018】
また一方、本発明の第二の変形例においては、洗浄中、洗浄ブラシとアトマイザーが固定され、お互いに平行となるように洗浄ブラシおよびアトマイザーの両方が配置され、洗浄ブラシがアトマイザーをその全周囲にわたって洗浄し得るように、洗浄ブラシおよびアトマイザーの両方がそれら自身の軸に対する回転動作を実行する。ここにおいても、アトマイザーを洗浄する前に洗浄液によって洗浄ブラシおよび/またはアトマイザーを湿らせ、および/または、アトマイザーを洗浄した後に洗浄液によってそれ/それらを洗浄するために、洗浄機器は、好ましくは、少なくとも一つの固定式の洗浄ノズルを有する。
【0019】
本発明の第三の変形例においては、アトマイザーの軸は、洗浄中、固定されて配置され、洗浄中、アトマイザーがそのアトマイザーの軸に対して回転動作を実行することが可能であり、また一方で、それは厳密に必要なわけではない。また一方、本発明のこの変形例においては、洗浄されている間には、アトマイザーは、好ましくは、何の動作も実行しない。洗浄ブラシがアトマイザーをその全周囲にわたって洗浄し得るように、回転する洗浄ブラシは、固定された回転アトマイザーを軸とする周方向の動作を実行する。本発明のこの変形例においては、それゆえに、回転アトマイザーは固定されて配置される一方、同様な回転する洗浄ブラシは、アトマイザーを軸とする周方向の動作をも実行する。洗浄されるアトマイザーを軸とする洗浄ブラシの周方向の動作は、たとえば、遊星ギア機構および空圧駆動部によって実現され得る。これは、それ自身の軸を中心とする洗浄ブラシの回転のためには追加の駆動部は必要ではないだろうという長所を有するだろう。そうでなければ、2つの分離された駆動部が用いられ得る。すなわち、洗浄ブラシの回転用の一つの駆動部と、アトマイザーを軸とする洗浄ブラシの周方向の動作用のもう一つの駆動部である。本発明のこの変形例の長所は、洗浄されるアトマイザーが洗浄中は固定されるので洗浄機器の挿入開口部がより小さくなり得るという事実である。
【0020】
本発明の第四の変形例においては、洗浄機器は、回転対称のブラシ形状を伴う複数の(例:3つの)回転する洗浄ブラシを有し、洗浄プロセスの間、洗浄ブラシはアトマイザーの周囲に、特に、お互いが等距離離隔して配置される。個々の洗浄ブラシのそれぞれは固定回転軸を中心に回転し、概して、アトマイザーを軸とする周方向の動作を実行しない。それゆえに、洗浄されるアトマイザーは異なる回転する洗浄ブラシの間の中央に位置し、洗浄ブラシが回転アトマイザーをその全周囲にわたって洗浄し得るように、洗浄中、洗浄されるアトマイザーはそのアトマイザーの軸に対して限定された角度の回転動作を実行する。3つの回転する洗浄ブラシを伴う一態様においては、アトマイザーは、好ましくは、120°の回転動作を実行し、洗浄ブラシがアトマイザーの全周囲を取り囲み得ることを確保する。この変形例においては、固定ノズルによって、洗浄剤による洗浄ブラシの湿潤化が起こり得て、それもまた、回転する洗浄ブラシの後に続く洗浄の間に用いられ、洗浄剤によって洗浄ブラシを湿らせ得る。ついで、洗浄ブラシの急速な回転によって、回転する洗浄ブラシの実際の洗浄が行われ、その結果として、いかなる汚れの残渣も洗浄ブラシから振り落とされる。ブロー空気リングによって、後に続くアトマイザーの乾燥が行われ得る。本発明のこの変形例においても、洗浄されるアトマイザーは、洗浄プロセスの間、中央部に位置し、それによって、本発明に係る洗浄機器の筐体内の相対的に小さな挿入開口部を可能とする。同様に、最初に言及されたブロー空気リングとアトマイザーの筐体との間の距離が小さいまま維持され得るので、これは同様にアトマイザーの乾燥に有利に働く。
【0021】
また一方、本発明の第五の変形例においては、洗浄ブラシがアトマイザーの外面形状をブラッシングするように、アトマイザーの軸を中心に回転する洗浄ブラシが用いられ、洗浄ブラシがアトマイザーの軸からの一定の距離をもって配置され、回転軸と対向する。この場合、洗浄されるアトマイザーと同軸に洗浄ブラシを伴うポットが回転するように、洗浄ブラシは、好ましくは、回転するポットの内壁に配置され、洗浄プロセス中、アトマイザーはそこに同軸に挿入される。洗浄剤によって洗浄ブラシを湿らせるために、たとえば固定式のノズルが用いられ得て、それは、ブラシの奥側に取り付けられ、および、ブラシの間を通って噴霧する。また一方、遠心力によって、いかなる汚れ残渣も洗浄ブラシに向けてより深く運ばれるという結果がもたらされるだろうが、この変形例における洗浄ブラシの急速な回転によって洗浄ブラシの洗浄は可能とはならない。本発明のこの変形例において洗浄ブラシを洗浄する可能性は、完成品の洗浄機器、または、その内部に位置する洗浄ブラシを伴う少なくとも一つのポットが洗浄液で満たされることによって、洗浄ブラシが洗浄剤浴内で回転し得るというところにある。この場合もアトマイザーはブロー空気リングの助けによってアトマイザーが乾燥し得て、ブロー空気リングの直径を小さなままにする可能性があり、それは乾燥を助ける。
【0022】
上述のポット状の洗浄ブラシがあることによって、洗浄ブラシが中心から離れた位置に挿入開口部を有し得て、そこを通って、アトマイザーが、洗浄ブラシの回転軸に対して横方向に、ポット状の洗浄ブラシに挿入され得る。たとえば、この目的を達成するために、洗浄ブラシは複数の部分から構成され得て、それらは周囲にわたって分配されるように配置され、かつ、それぞれがお互いの間の間隔をあけたままにして、そこを通って、アトマイザーは放射方向に挿入され、引き抜かれ得る。アトマイザーの横向きの挿入/引抜は、軸方向の挿入/引抜と比較して、ブラシの毛(Borsten)またはブラシの毛の束が曲がることによる問題が起こらないという長所を有する。さらに、これによって、比較的小さな設計が可能となる。
【0023】
洗浄ブラシ用のポット状の容器によって、遠心力によって洗浄剤および汚れ残渣が放射方向外向きに運ばれ、そして何らかのかたちで排出されなければならないという問題が起こり得る。ポット状の容器および/または洗浄ブラシが、それらの周囲に、洗浄剤および/または汚れ残渣が外向きに排出され得る少なくとも一つの開口部を有することによって、これが可能となる。
【0024】
本発明の異なる変形例における洗浄ブラシを洗浄するために、塗料の粒子がブラシからたたき落とされるまたははぎ取られる板、棒、櫛または似たものが、ブラシと係合し得る。
【0025】
本発明に係る洗浄機器は、好ましくは、アトマイザーが洗浄される大部分は閉鎖された筐体を有する。アトマイザーは、それゆえに、洗浄のために、挿入開口部を通して筐体に挿入され、挿入動作が、好ましくは、アトマイザーの噴霧軸に対して直角となるように位置調整される。この場合、一方では、挿入開口部が、アトマイザーが挿入開口部を通して筐体に挿入されるほど十分に大きいことが必要である。しかしながら、他方では、汚れ残渣が挿入開口部を通して洗浄機器から外向きに漏れることを妨げるために可能な限り小さな挿入開口部も必要である。本発明の好ましい例示的態様においては、筐体の挿入開口部は、それゆえに、アトマイザーの外側断面の本質的には負の形状である開放断面を有し、筐体へのアトマイザーの挿入を可能とするために、挿入開口部の周縁エッジとアトマイザーの外面形状との間に、可能な限り狭い一定の間隔が残存する。
【0026】
別の態様においては、アトマイザーは、その噴霧軸と同軸に、洗浄機器の筐体へ挿入される。本例示的態様においては、挿入開口部は、アトマイザーの噴霧軸に対して直角で、アトマイザーの外側断面の本質的には負な形状である外側断面を有する。それゆえに、本例示的態様においては、挿入開口部は概して円形である。
【0027】
好ましくは、本発明に係る洗浄機器の筐体内部に様々なステーションがあり、それらのステーションは、全体の洗浄プロセスのうちの一部としての様々な役割をもたらす。
【0028】
そのため、アトマイザー内部リンスステーションが、本発明に係る洗浄機器の筐体内部に位置し得て、そのステーションにおいて、アトマイザー内に残存するコーティング剤を洗い落とすように、アトマイザーがリンス剤によって洗い流される。
【0029】
さらに、ブラシ湿潤化ステーションが、好ましくは、洗浄機器の筐体内部に位置し、そのブラシ湿潤化ステーションにおいて、後に続く洗浄中の洗浄効果を向上させるために、洗浄剤によって洗浄ブラシが湿らされる。
【0030】
さらに、洗浄ステーションも洗浄機器の筐体内部に位置し、その洗浄ステーションにおいて、アトマイザーの外面形状をブラッシングする洗浄ブラシによって、アトマイザーが洗浄される。
【0031】
ブラシリンスステーションもまた、好ましくは、洗浄機器の筐体の内部に位置し、そのブラシリンスステーションにおいて、汚れ残渣を洗浄ブラシから除去するために、リンス剤によって洗浄ブラシが洗浄される。
【0032】
アトマイザー外部リンスステーションもまた、洗浄機器の筐体内に位置し得て、そのアトマイザー外部リンスステーションにおいて、後に続く洗浄の効果を向上させるために、ブラッシングされる前に、外側から、アトマイザーにリンス剤または洗浄剤が噴霧される。
【0033】
最後に、乾燥ステーションもまた、好ましくは、洗浄機器の筐体内部に位置し、その乾燥ステーションにおいて、アトマイザーが続いて乾燥される。
【0034】
上述のさまざまなステーションが、洗浄機器の筐体内部に、空間的に分離するように配置され得る。しかしながら、たとえば、乾燥ステーションとアトマイザー外部リンスステーションとが共通のステーションを形成し、およびそれゆえに空間的に分離しないという可能性もある。
【0035】
本発明の好ましい例示的態様においては、お互いに空間的に離隔する3つのステーションが筐体内部に設けられる。すなわち、アトマイザー内部リンスステーション、アトマイザーの外部リンスおよびアトマイザーを乾燥させるためのステーション、および/または、アトマイザーを洗浄するための、洗浄剤によって洗浄ブラシを湿らせるための、および、リンス剤を用いて洗浄ブラシをリンスするためのステーションである。
【0036】
本発明の好ましい例示的態様においては、筐体内の、アトマイザー内部リンスステーション、アトマイザー外部リンスステーション、乾燥ステーション、および/または、洗浄ステーションの間の移動経路に基本的には沿ってアトマイザーは移動し得て、移動経路は、好ましくは、アトマイザーの噴霧軸に直角に、かつ、直線的に延びる。さらに、移動経路は、好ましくは、水平方向または垂直方向に延びることにも言及されるべきである。本発明に係る洗浄機器の筐体は、それゆえに、好ましくは、アトマイザーが筐体内部で移動経路上にある時にアトマイザーが洗浄機器の筐体から外側に向けて突き出るスリット状の開口部を移動経路に沿って有する。そして、筐体の外側に位置する塗装ロボットによって、アトマイザーは洗浄機器の筐体内に移動され得る。スリット状の開口部は、好ましくは、移動経路に対して横向きに、挿入開口部の正幅よりも小さな正幅を有するので、アトマイザーは、スリット状の開口部を通してではなく、挿入開口部を通して、筐体に挿入され、かつ、筐体から取り除かれるのみであり得る。
【0037】
スリット状の開口部の唯一の目的は、それゆえに、筐体の外側に位置する塗装ロボットによってアトマイザーが筐体内に移動し得る一方で、挿入開口部を通ってアトマイザーが筐体内に挿入され、かつ、筐体から取り除かれ得るということである。本例示的態様においては、洗浄ステーション、乾燥ステーションおよびアトマイザー内部リンスステーションは、直線状の移動経路に沿って、一直線になるように連続して並ぶように配置される。この場合、アトマイザー内部リンスステーションは、好ましくは、挿入開口部のすぐ奥もしくは直下に配置されるので、アトマイザーが移動経路に沿ってさらに移動させられることなく、筐体への挿入直後に、アトマイザーがアトマイザー内部リンスステーションに到達する。洗浄ステーションとアトマイザー内部リンスステーションとの間の移動経路に沿って乾燥ステーションが位置し、洗浄ステーションは、好ましくは、乾燥ステーションおよびアトマイザー内部リンスステーションよりも挿入開口部から遠く離れて配置される。
【0038】
さらに、アトマイザー用の挿入開口部が洗浄ステーションと乾燥ステーションとの間にも配置され得ることにも言及されるべきである。これによって、洗浄機器の外形寸法を可能な限りコンパクトにすることができる。また一方、そのような配置によって、より短い合計の移動経路も得られる。
【0039】
乾燥ステーションは、好ましくは、旋回可能な鐙と、固定式の鐙とを有し、それらはそれぞれ、ブロー空気を供給するための少なくとも一つのノズルを有し、ノズルはアトマイザーへ向けて指向する。この場合、鐙の全長にわたってアトマイザーにブロー空気を吹き付けるために、複数のブロー空気ノズルが、好ましくは、鐙に沿って配置される。固定式の鐙および旋回可能な鐙は、好ましくは、本質的には垂直方向かつ横方向にアトマイザーの近傍に向かって延び、旋回可能な鐙がアトマイザーを中心に旋回可能となり得るように、旋回可能な鐙は、好ましくは、垂直な旋回軸を中心に旋回可能である。この場合、旋回可能な鐙の旋回軸は、好ましくは、アトマイザーの軸と一致する。ここで、旋回可能な鐙は好ましくは限られた最大旋回角度だけ旋回され、可能な旋回角度は330°と270°との間であることにも言及されなければならない。旋回可能な鐙および固定式の鐙によって、アトマイザーの非常に効率的な乾燥が可能になる。この目的を達成するために、まずはアトマイザーに対して、固定式の鐙によって、そこに位置するブロー空気ノズルを用いて自由に吹き付けられる。ついで、同様に複数のブロー空気ノズルを有する旋回可能な鐙がアトマイザーに吹き付け、終点のところまで、かつ、好ましくは180°未満の回転角度まで、旋回可能な鐙は、作動していないブロー空気ノズルとともに第一の回転方向に向けて旋回する。旋回可能な鐙の始点は、好ましくは、旋回可能な鐙が固定式の鐙と対向する位置である。ついで、作動しているブロー空気ノズルとともに、旋回可能な鐙が、第二の終点に至るまで、可能な限り最大の回転角度まで反対の回転方向に旋回する。必要であれば、このプロセスが繰り返され得る。最終的に、たとえば回転角度180°まで、第一の回転方向に向けて、旋回角度がアトマイザーを中心として旋回する。
【0040】
さらに、旋回中の鐙に関連して、旋回中の鐙が第一の動作から作動し得ることにも言及されるべきである。
【0041】
本発明の別の例示的態様においては、乾燥ステーションは、乾燥プロセス中にアトマイザーを横方向に取り囲む2つの旋回中の鐙を有し、アトマイザーの軸と同軸に延びる回転軸を中心として旋回し得る。複数のブロー空気ノズルが、好ましくは、旋回中の鐙の内側にある旋回中の鐙に沿って連続して並ぶように配置され、個々のブロー空気ノズルは、アトマイザーに向けて内側に指向する。2つの旋回中の鐙が、それらの回転軸またはアトマイザーの軸を中心として回転する時、ブロー空気ノズルは、アトマイザーの全周囲にわたってアトマイザーに吹き付け、それによってアトマイザーを乾燥させる。この場合、一方における旋回中の鐙の2本の脚と、他方におけるアトマイザーの外面形状との間の間隔が可能な限り小さい場合に有利である。旋回中の鐙の両方の脚は、それゆえに、開放内部断面を取り囲み、それは好ましくは、アトマイザーの外面形状の負の形状を形成するので、旋回中の鐙の両方の脚と、アトマイザーの外面形状との間に、ほぼ一定の小さな間隔が存在する。
【0042】
本発明に係る洗浄機器においては、アトマイザーは、好ましくは、洗浄前に噴霧される。汚れを緩ませるために、洗浄プロセスの間に汚れた表面がブラシに向けて回転する直前に、汚れた表面の湿潤化(Benetzung)/事前湿潤化(Vorbefeuchtung)が行われる。そのため、湿潤化(Benetzung)/湿潤化(Befeuchtung)は、好ましくは、洗浄工程の一部であり、別個の工程の一部ではない。反対側においては、好ましくはノズル配置があり、それがブラシ係合領域から離れる/回転する直後に、アトマイザーの洗浄された表面をリンスまたは再リンスし、それはまた「リンス洗浄」とも呼ばれる。アトマイザーの表面が「リンスされた清浄」(すなわち、最後の汚れ残渣および/または希釈された汚れがリンスされ尽くした)であり、かつ、洗浄剤もまたブラシ係合の領域に到達するように、リンス洗浄用の本ノズル配置はアトマイザーの表面に向けて指向し、洗浄剤もまた実際のブラシ洗浄用に用いられ得る。これによって、追加のリンス剤の消費がないという長所がもたらされる。リンス剤を二度用いる本方法は、保護に値する独立の顕著性を有する。乾燥は一つのステーションにおけるさらなる機能とは組み合わせられず、個別に設けられる。
【0043】
個々のブロー空気ノズルの設計に関して、さまざまな可能性がある。たとえば、ブロー空気ノズルがスリット状であり、0.1〜1mmのスリット幅と、100mm〜300mmのスリット長さを有し得る。
【0044】
あるいは、また一方で、ブロー空気ノズルが、丸形状の、好ましくは円形状のボアを有し、そのボアが、0.1mm〜2.0mmのボア直径および1mm〜4mmの間隔を有し得るという可能性もある。
【0045】
好ましくは、ブロー空気ノズルからブロー空気が200m/秒を超える流速で流れるように、ブロー空気ノズルが設計される。
【0046】
洗浄ブラシからいかなる汚れ残渣をも取り除くために、上述のブラシリンスステーションは、リンス剤によって洗浄ブラシを洗浄する役割を有する。リンス剤を洗浄ブラシに押し出すために、ブラシリンスステーションは、それゆえに、好ましくは、複数のリンスノズルを有する。この目的を達成するために、2つを超えるリンスノズルが好ましくは設けられ、個々のリンスノズルが、0.4mm〜1.0mmのノズル直径を有する可能性がある。
【0047】
実際、初めから十分な洗浄効果を得るために、ここでブラシリンスステーションとして呼ばれるノズル配置もまた、アトマイザーと最初に接触する前に(アトマイザーが、洗浄機器および洗浄ブラシに達する間に)、ブラシの全体を湿らせるために用いられる。実際の洗浄の間(アトマイザーが洗浄ブラシと接触する時)、洗浄機器が作動していないこともあり得る。洗浄後、上述のパーツ(板、棒、櫛など)とともに、これらのノズルが洗浄され得る。
【0048】
本発明の文脈の範疇においては、乾燥ステーションがブロー空気を加熱する加熱手段を有する可能性もある。さらに、乾燥ステーションはブロー空気を乾燥させる空調手段をも有し得て、その結果として、乾燥効果がさらに向上される。最後に、乾燥手段は吸い込み手段をも有し、アトマイザーの外面形状の表面から空気を吸い込み、それによって、乾燥プロセスを手助けし得る。上述の加熱の可能性もまた洗浄剤のために用いられ得て、それも同様に加熱され得る。
【0049】
上述のアトマイザー内部リンスステーションによって、リンス剤を用いてアトマイザーをリンスすることと、アトマイザーに残存するいかなるコーティング剤をもアトマイザーからリンスすることが可能となり、それは、とりわけ、塗料変更の時、もしくは、急速リンスとして知られるものの時に行われる。しかしながら、アトマイザーから出てくるコーティング剤の残渣とリンス剤との混合物も同様に汚れに至り得て、それゆえに、好ましくは、本質的に管状または漏斗状の容器によって、アトマイザー内部リンスステーション内に回収され、アトマイザーはリンスプロセス中には容器の上または中に本質的に同軸に配置され、残存するコーティング剤およびリンス剤を容器に向けて噴霧し、その結果、洗浄機器の汚れが大部分抑制される。残存するコーティング剤およびリンス剤を排出するまたは再利用するために、漏斗状または管状の容器が、好ましくは、排出システムに接続される。
【0050】
さらに、本発明はアトマイザー用の完成品の洗浄機器に限定されるものではないことにも言及されるべきである。むしろ、上述のように、本発明はまた、そのような洗浄機器内で用いられ得て、洗浄ブラシのブラシ形状がアトマイザーの外面形状に適合し得る新規な洗浄ブラシをも含む。
【0051】
たとえば、本発明に係る洗浄ブラシは、複数のブラシディスクからなる多部品ブラシであってもよく、それは共通の回転軸を中心に回転可能であり、回転軸に沿って連続して並ぶように配置される。この場合、洗浄ブラシは、好ましくは、2〜10個のブラシディスクを備える。
【0052】
さらに、洗浄ブラシが好ましくは30mm〜120mmの長さを有するブラシ繊維を有し、個々のブラシ繊維は、好ましくは、それぞれが多数のブラシ繊維を包含するブラシ束を形成するように組み合わせられ、個々のブラシ束は、好ましくは、お互いに4mm〜10mmの間隔を有することにも言及されるべきである。
【0053】
さらに、個々のブラシ束は、好ましくは、2.5mm〜7mmの直径を有し、個々のブラシ繊維は、好ましくは、0.15mm〜1mmの直径を有する。
【0054】
個々のブラシ繊維の断面に関しては、さまざまな可能性があり、断面は、好ましくは、丸い形状、星型形状、三角形状または多角形状である。
【0055】
さらに、個々のブラシ繊維は、好ましくは、洗浄されるアトマイザーの外面形状に対して傾斜角をもって配置され、傾斜角は好ましくは10°〜90°の間の範囲である。
【0056】
実際の洗浄プロセスの間、洗浄ブラシはアトマイザーに対して軽く圧着されるので、アトマイザーの外面形状は、所定の貫通深さまで、洗浄ブラシの荷重がかけられていない外面形状を貫通し、それは好ましくは5mm〜40mmの間の範囲である。
【0057】
個々のブラシ繊維の材料に関して、さまざまな可能性があり、ポリアミド、とりわけポリアミド6、ポリアミド12またはポリアミド66、が好ましくは用いられる。一例示的態様においては、爆発を防止するために、洗浄ブラシのブラシ繊維および/または基体が、たとえば導電性ポリアミドのような導電性プラスチックからなる。また一方、洗浄ブラシの基体は、後で機械加工された導電性ポリプロピレン(PP)から構成され得る。
【0058】
さらに、さまざまなブラシの毛の材料、強度、角度などの組み合わせが可能である。
【0059】
加えて、洗浄ブラシが好ましくはブラシ基体を有し、そこで個々の洗浄繊維がしっかりとクランプされ、圧着され、または、固定されることにも言及されるべきである。
【0060】
最後に、本発明はまた、新規な洗浄方法をも含み、それは、アトマイザーの外面形状もまた、外部チャージ電極およびその奥の領域において洗浄ブラシによって洗浄される。
【0061】
さらに、本発明に係る洗浄方法の文脈において、以下の工程が好ましくは引き続いて実行される:
アトマイザーから残存コーティング剤を洗い落とすために、リンス剤によってアトマイザーをリンスする工程と、
後に続く洗浄の効果を向上させるために、洗浄剤によって洗浄ブラシを湿らせる工程と、
洗浄ブラシによってアトマイザーを洗浄する前にアトマイザーを湿らせる工程と、
アトマイザーの外面形状を洗浄ブラシがブラッシングするように、洗浄ブラシを用いてアトマイザーを洗浄する工程と、
最後に残った汚れ残渣を取り除くためにアトマイザーの外側をリンスする工程と、
具体的にはアトマイザーにブロー空気を吹き付けることによって、洗浄後にアトマイザーを乾燥させる工程と、
具体的には洗浄液を用いて洗浄ブラシを噴霧することによって、アトマイザーを洗浄した後に洗浄ブラシを洗浄する工程。
【0062】
最後に、添加剤もまた洗浄剤に添加され得ることに言及されるべきである。さらに、洗浄の効果を向上させるために、洗浄剤(例:溶媒、シンナー)もまたパルス状の空気によって混合され得る。
【0063】
本発明の他のさらに有利な発展形は、従属項において特定されるか、または、図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様の記載とともに、より詳細に以下に説明される。