【文献】
三枝晋 ほか,胃癌患者における血清Granulysin濃度の意義に関する検討,日本消化器外科学会誌,2003年 7月 1日,Vol.36,No.7,P.901
【文献】
三枝晋 ほか,胃癌組織中のgranulysin濃度に関する検討,日本消化器外科学会誌,2004年 7月 1日,Vol.37,no.7,P.1079
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工程a)が、表8に列挙された遺伝子の組み合わせから選択される少なくとも2の異なる生物学的マーカーを定量することによって行われる、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
該癌が、副腎皮質癌、肛門癌、胆管癌、膀胱癌、骨肉腫、脳および中枢神経系の癌、乳癌、子宮頚癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、カポシ肉腫、腎臓癌、咽頭および下咽頭癌、肝臓癌、肺癌、中皮腫、形質細胞腫、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、口腔および口腔咽頭癌、卵巣癌、膵癌、陰茎癌、下垂体癌、前立腺癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌、胃癌、睾丸癌、胸腺癌、甲状腺癌、腟癌、外陰癌、及び子宮癌からなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、患者の癌の転帰の新規な予後診断方法を提供し、この新規な方法は、腫瘍部位において、上記患者の癌に対する適応的免疫応答の存在またはレベルを標示する1種以上の生物学的マーカーを検出および/または定量することに基づく。
今回、驚くべきことに、悪性癌に対する、とりわけ、結腸直腸癌に対する現場適応的免疫応答の精確な測定を、局所腫瘍浸潤の度合および局所リンパ節への拡散にかかわらず、癌担持患者のその後の臨床転帰を予測する単なるパラメーターとして使用し得ることを本発明に従って証明した。
(i) 腫瘍部位での患者からの適応的免疫応答レベルと(ii) 疾病の転帰とのこの統計的に極めて有意な相関は、全て、従来技術の知識によれば、哺乳類癌における浸潤性免疫細胞が有害な炎症性プロセスから有益な適応的免疫応答までの範囲の極めて変動性のある転帰からなるさらに驚くべきことである。
さらに、本発明に従い意外にも見出した上記の高度に有意な相関は、今や、デュークスまたはフライス(Grujis)法のような当該技術において知られている通常の臨床病理癌病期決定方法によって提供される臨床病理データをさらに必要とすることなく、患者の癌の転帰の予後診断の判定を可能にする。
さらに詳述するように、(i) 本明細書において開示するような、適応的免疫応答の1種以上の生物学的マーカーの存在または量と(ii) 無病生存率(DFS)および全生存率(OS)を含む患者の癌の現実の転帰との統計的相関を判断したとき、10
-8よりも高いP値が、例えば、Zhang等(2003年、前出)、Diederischen等(2003年、前出)またはOshikiri等(2003年、前出)の研究のような種々の従来技術の研究において開示されている5×10
-2〜1×10
-3のP値と比較して、本発明によって得られている。
【0012】
本出願人は、(i) 腫瘍中の免疫細胞のタイプ、密度および位置と(ii) DFSおよびOSを含む患者の臨床的転帰との極めて有意な関係(例えば、低P値)が存在することを見出した。この極めて有意な相関は、適応的免疫応答の生物学的マーカーをアッセイするのに、(i)免疫化学アッセイまたは(ii)遺伝子発現分析のいずれかを使用したときに見出している。
適応的免疫応答の生物学的マーカーを、遺伝子発現分析により、全腫瘍組織サンプル中で分析することにより、少なくとも2種のマーカーの多くの有意な組合せのような多数の有意なマーカーの組合せを、およそ10
-4以下のP値でもって見出した。
重要なことに、本発明においては、T
H1適応的免疫に対する共調節遺伝子の主要クラスタを同定しており、このクラスタは、TBX1 (T-ボックス転写因子21)、IRF1 (インターフェロン調節因子1)、IFNG(ガンマ-インターフェロン)、CD3Z (CD3ζ)、CD8、GLNY (グラニュリシン)およびGZMB(グランザイムB)を含む。さらに、これらの遺伝子発現と腫瘍再発間の逆相関も見出している。
本発明に従うもう1つの極めて有意な遺伝子クラスタは、PDCD1LG1、VEGF、TNFRSF6B、IRF1、IL8RAおよびSELLを含む。
適応的免疫応答の生物学的マーカーを、免疫組織化学分析により、(i)腫瘍の中心(CT)内、(ii)“浸潤性周辺部”とも称し得る腫瘍を取巻く細胞環境部(IM)内または(iii) CTおよびIMの双方内のいずれかで分析することによっても、マーカーの多くの有意の組合せを見出した。最高の統計相関値は、生物学的マーカーを腫瘍の中心(CT)内および浸潤性周辺部(IM)内の双方において定量したときに見出している。
【0013】
第1に、本発明に従い、腫瘍部位での高密度のT細胞と疾病の好ましい転帰との高い相関が存在することを見出している。とりわけ、癌の前向きの転帰は、腫瘍の中心部分中またはその浸潤性周辺部中いずれかの腫瘍部位での高密度のCD3+細胞、CD8+細胞、CD45RO+細胞またはグランザイム-B+細胞の定量と高度に相関していることを証明している。
第2に、腫瘍部位での高密度のCD3+細胞、CD8+細胞、CD45RO+細胞またはグランザイム-B+細胞の存在の測定は、癌再発の減少および/または癌再発の遅延および/または癌再発の無いことに高度に相関していることを見出している。
第3に、腫瘍部位での高密度のCD3+細胞、CD8+細胞、CD45RO+細胞またはグランザイム-B+細胞の存在の測定は、併発的遠隔転移の減少または併発的遠隔転移(M病期)の無いことに高度に相関していることを見出している。
第4に、腫瘍部位での高密度のCD3+細胞、CD8+細胞、CD45RO+細胞またはグランザイム-B+細胞の存在の測定は、早期転移の減少または早期転移(VEまたはLIまたはPI)の無いことに高度に相関していることを見出している。
第5に、腫瘍部位での高密度のCD3+細胞、CD8+細胞、CD45RO+細胞またはグランザイム-B+細胞の存在の測定は、腫瘍細胞による局所リンパ節の浸潤(N病期)の減少に高度に相関していることを見出している。
第6に、腫瘍部位での高密度のCD3+細胞、CD8+細胞、CD45RO+細胞またはグランザイム-B+細胞の存在の測定は、腸壁を介しての浸潤(T病期)の減少に高度に相関していることを見出している。
さらに一般的には、リンパ血管および神経周囲構造体内での腫瘍塞栓によって示される腫瘍の早期蔓延の無いことは、強い現場免疫応答の存在と著しく関連していることを見出しており、この強い免疫応答を、とりわけ、腫瘍部位で見出される高免疫細胞密度により、さらにまた、腫瘍部位の免疫と関連する種々の遺伝子の高発現レベルにより例証している。
【0014】
さらに、本発明によれば、2つの異なる腫瘍領域、即ち、腫瘍の中心(CT)プラス腫瘍の浸潤性周辺部(IM)での強い適応的免疫応答の検出は、患者の長期無病生存時間および全生存時間と高度に相関しており、癌進行の患者の予後診断に有意に有益であることも見出している。
重要なことに、本発明においては、(i) 単一の生物学的マーカーを使用して免疫組織化学アッセイにおいてアッセイしたときの、免疫系を形成する特異性タイプの細胞の細胞密度と(ii) DFSまたはOSとの高い相関を、上記生物学的マーカーを腫瘍中心(CT)中および浸潤性周辺部(IM)中の双方でアッセイしたとき、少なくとも10
-7ほどの低いP値でもって見出している。
一般的には、本発明によれば、適応的免疫応答の生物学的マーカーの存在または量をアッセイしたときの癌患者における免疫細胞のタイプ、密度および位置は、デュークスおよびUICC-TNM分類のような通常の臨床病理癌病期決定方法の価値を上回り且つそれに依存しない予後診断的価値を有することを見出している。
さらに詳細には、本発明は、今や、患者の癌の転帰を、とりわけ疾病の早期段階の癌について、さらに詳細には、デュークス分類に従い病期I/IIIとして当初分類された癌について予測する、通常の臨床病理癌病期決定方法よりもはるかに正確であることを証明した予後診断方法および技術的手段を提供する。
即ち、本発明によれば、腫瘍部位での強い適応的免疫応答の検出は、患者の長期の無病生存時間(DFS)および全生存時間(OS)と高度に相関していることを見出している。
【0015】
従って、本発明の第1の目的は、下記の工程を含むことを特徴とする、患者の癌の進行の生体外予後診断方法からなる:
a) 上記患者からの腫瘍組織サンプルにおいて、癌に対する上記患者の適応的免疫応答状態を標示する少なくとも1種の生物学的マーカーを定量する工程;および、
b) 工程a)で得られた前記少なくとも1種の生物学的マーカーの値を同じ生物学的マーカーの所定の参照値と比較する工程(この所定の参照値は、前記癌の進行の特定の予後診断と相関している)。
予期に反して、本発明によれば、強い調節された適応的免疫応答は、等しく好ましい癌予後診断と相関していることを見出している。
さらに予期に反して、本発明に従って見出した上記の相関は、腸壁を介しての腫瘍浸潤および局所リンパ節への拡大(デュークス分類A、B、C)とは無関係であることも見出している。
逆に、驚くべきことに、弱い現場適応的免疫応答は、最低の腫瘍浸潤性を有する患者(デュークス分類A)においてさえも、極めて貧弱な予後診断と相関していることも見出している。
従って、本発明の癌予後診断方法に従って使用する基準、即ち、癌患者の適応的免疫応答の状態は、T、N、Mおよびデュークス分類の基準とは異なるだけでなく、疾病の予測(無病間隔および生存時間)においてもより正確であるようである。
従って、本発明によれば、癌担持患者の適応的免疫応答レベルの尺度を、癌疾患の転帰を予測するための単なる尺度として、さらなるデータを何ら必要としないで、とりわけ通常の癌病期決定方法によってもたらされる臨床病理データを何ら必要としないで使用し得ることを初めて見出している。
事実、種々の従来技術の研究は、癌予後診断における適応的免疫応答のマーカー(1種以上)の可能性ある関連を指摘していたものの、これらの従来研究は、通常の癌病期決定方法によって提供される予後診断データに対する確認としてまたは追加情報として使用し得るデータしか含んでいない。従って、従来技術の研究において、癌担持患者の適応的免疫応答を標示する1種以上の生物学的マーカーの測定に専ら基づく信頼し得るまたは再現性のある如何なる生体外癌予後診断方法をも開示または示唆するものはない。
また、腫瘍部位での強い適応的免疫応答の検出は、結腸癌と直腸癌のような複数の癌に対する信頼し得るマーカーであることも見出している。
また、本発明の癌予後診断の実施は、従来技術方法よりも高い正確性でもって、免疫療法のようなアジュバント療法からの利益を受け得る腫瘍再発の高リスクにある患者を指標する。
【0016】
本明細書において意図するとき、“癌の進行の予後診断”なる表現は、癌の発症が既に診断されている患者における、下記のような種々の事象の予後診断を含む:
(i) 転移発生の可能性;
(ii) 結腸直腸癌のような随所(loco-regional)再発発生の可能性;および、
(iii) 長期の無病(DFS)および/または長期の全生存(OS)時間の発生の可能性;即ち、本発明に従う生体外予後診断による試験後5年以上のDFS時間またはOS時間。
本明細書において意図するとき、“腫瘍組織サンプル”とは、(i) 包括的な原発腫瘍(全体としての)、(ii) 腫瘍の中心からの組織サンプル、(iii) 腫瘍を直接取巻く組織(該組織はより具体的には腫瘍の“浸潤性周辺部”と称する)からの組織サンプル、(iv) 腫瘍と近接しているリンパ島、(v) 腫瘍に最も近い位置にあるリンパ節、(vi) 術前に採取された腫瘍組織サンプル(例えば、処置後の患者のフォローアップのための)、および(vii) 遠隔転移を含む。
好ましくは、工程a)が、1種以上の遺伝子、即ち、1種以上の適切な生物学的マーカーの発現分析からなる場合は、上記1種以上の遺伝子の発現の定量は、全腫瘍組織から実施する。
好ましくは、工程a)が、1種以上の細胞発現生物学的マーカーの免疫組織化学アッセイによる特異性免疫細胞密度の評価からなる場合には、上記1種以上の生物学的マーカーの定量は、上記(i)〜(vi)と番号付けした腫瘍組織サンプルのうちの少なくとも2つの異なる腫瘍組織サンプルにおいて別々に実施する。最も好ましくは、この実施態様によれば、上記1種以上の生物学的マーカーの定量は、(i)腫瘍の中心(CT)内または(ii)浸潤性周辺部(IM)内の双方内で別々に実施する。
【0017】
腫瘍組織サンプルは、腫瘍の中心、腫瘍の浸潤性周辺部または最も近いリンパ節のいずれに由来するかどうかにかかわらず、1種または数種の生物学的マーカーの、とりわけ組織学または免疫組織化学法による、フローサイトメトリー法による並びにゲノムおよびプロテオミクス分析のような遺伝子またはタンパク質発現分析法によるさらなる定量のための、外科的腫瘍切除後または生検のための組織サンプル採取後のような、腫瘍中心または腫瘍を取巻く浸潤性周辺部から取出した組織の切片またはスライスを包含する。腫瘍組織サンプルは、本発明の癌予後診断方法において使用し得るものであることを承知されたい。これらの実施態様においては、生物学的マーカーの発現レベルは、腫瘍組織サンプル、例えば、患者から得られた腫瘍組織塗抹標本中の生物学的マーカーの量(例えば、絶対量または濃度)を評価することによって評価し得る。細胞サンプルは、勿論、サンプル中の生物学的マーカーの量を評価する前に、種々の周知の採取後調製および保存方法(例えば、核酸および/またはタンパク質抽出、固定、保存、凍結、超音波処理、濃縮、蒸発、遠心分離等)に供し得る。同様に、腫瘍組織塗抹標本も、採取後調製および保存方法、例えば、固定に供し得る。
本明細書において意図するとき、“適応的免疫応答”とは、腫瘍部位での局所的な宿主癌患者の免疫系からの細胞の活性化量のような活性の存在を含む。
本明細書において意図するとき、“上記腫瘍に対する上記患者の適応的免疫応答”なる表現は、直接(TCR依存性)または間接(TCR非依存性)またはその両方の上記癌に対する作用を介しての上記患者の任意の適応的免疫応答を含む。
適応的免疫応答は、宿主癌患者の腫瘍に対する特異的免疫応答を意味し、宿主の特異的免疫応答に関与する細胞の存在、数または活性を含む。
本明細書において使用するとき、Tリンパ球は、Th1およびTh2 Tヘルパーリンパ球細胞サブセットのようなTヘルパーリンパ球を含む。
本明細書において使用するとき、Tリンパ球は、T細胞毒性リンパ球を含む。
【0018】
適応的免疫
先天性免疫との比較において、後天性(適応的)免疫は、身体が各種の抗原に晒され、その抗原に対して特異性の防御を構築するときに発生する。
適応的免疫応答は、抗原特異性であり、発生するのに数日以上を要し得る。適応的免疫において重要な役割を有する細胞タイプは、マクロファージおよび樹状細胞のような抗原提示細胞である。T細胞サブタイプの抗原依存性賦活化、B細胞活性化および抗体産生、並びにマクロファージおよびNK細胞の活性化は、全て適応的免疫において重要な役割を果たす。また、適応的免疫応答は、免疫記憶、即ち、生涯に亘って発生し続けるプロセスを誘発させ、所定の抗原に対する将来の応答を増強させる。
白血球の特定のタイプであるリンパ球は、下位群、即ち、後天性免疫応答における重要な実践体であるBおよびTリンパ球を含有する。Bリンパ球(B細胞とも称する)は、抗体を産生させる。抗体は、特異性抗原に結合し、食細胞が抗原を破壊するのを容易にする。Tリンパ球(T細胞)は、抗原を直接攻撃し、免疫応答の制御をもたらす。1つの抗原タイプに特異性であるB細胞およびT細胞が発現する。異なる抗原に暴露されたときは、異なるB細胞およびT細胞が形成される。
リンパ球は、発現するとき、通常、身体自身の組織(自己)を、身体中には通常見出せない組織および粒子(非自己)から異なるものとして認識することを習得する。B細胞およびT細胞が形成された時点で、これら細胞の幾分かは増殖し、免疫系についての“記憶”を得る。これによって、免疫系が同じ抗原に暴露される次の機会により迅速に且つより効果的に応答し、多くの場合、病気になるのを阻止するのを可能にする。例えば、適応的免疫は、水痘症に罹患しいわゆる“免疫”であった個々人が再び水痘症に罹患するのに対処する。
【0019】
適応的免疫系
適応的免疫系は、後天性免疫系とも称し、殆どの哺乳類が病原体による最初の感染に対し生き残るとき、これら哺乳類がその同じ病原体によって生じるさらなる病気に対して一般に免疫であるという興味ある事実を説明している。この事実は、近代の医療においてワクチンを使用することによって活用されている。適応的免疫系は、骨髄内の幹細胞によって産生されるロイコサイト(即ち、白血球)と称する免疫細胞に基づく。免疫系は、2つの成分に分類し得る。哺乳類を含む多くの種は、下記のタイプを有する:
体液(血液のような)内の細菌およびウイルスに対して作用する体液免疫系。その主要な作用手段は、B細胞によって産生される抗体とも称するイムノグロブリンである(Bは、これら細胞が骨髄内で発現することを意味する)。
ウイルスが感染した他の細胞を保護する細胞免疫系。これは、Tリンパ球とも称するT細胞によりなされる(Tは、これらの細胞が胸腺内で発現することを意味する)。下記の2つの主要タイプのT細胞が存在する:
細胞毒性T細胞(TC細胞)は、T細胞レセプターを使用して他の細胞表面を精査することによって感染細胞を認識する。TC細胞が感染細胞を認識した場合、TC細胞は、感染細胞にアポトーシスとなる(“自殺する”)ようにシグナルを送るグランザイムを放出し、そのようにして、感染細胞および形成過程において存在し得るウイルスを死滅させる。
ヘルパーT細胞(TH細胞)は、マクロファージ(危険物質を取込む)と相互作用し、さらにまた、BおよびT細胞の増殖を誘発させるサイトカイン類(インターロイキン類)を産生させる。
さらに、細胞介在免疫の調節において重要である調節T細胞(Treg細胞)も存在する。
【0020】
細胞毒性T細胞:細胞毒性(またはTC)T細胞は、その表面に、ウイルス感染体細胞および腫瘍細胞の群IのMHC分子によって示される抗原フラグメントに結合し得る抗原レセプターを有するT細胞(白血球の1つのタイプ)である。MHC-抗原複合体により一旦活性化されると、TC細胞はタンパク質パーフォリンを放出し、このパーフォリンがターゲット細胞の原形質膜に孔を形成する;この孔は、イオンおよび水をターゲット細胞中に流入させ、ターゲット細胞を膨張させ、最終的には溶解させる。また、TCは、グランザイム、即ち、セリンプロテアーゼを放出し、このプロテアーゼは、パーフォリンにより形成された孔からターゲット細胞に入り、アポトーシス(細胞死)を誘発させる。殆どのTC細胞は、細胞表面上に、群IのMHC分子の1部に引付けられるタンパク質CD8を存在させている。この親和性は、TC細胞とターゲット細胞を、抗原特異性活性化の間、緊密に一緒に結合したままに保つ。CD8表面タンパク質を含むTC細胞は、CD8+T細胞と称する。
ヘルパー(またはTH)T細胞:ヘルパー(またはTH)T細胞は、その表面に、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)上で見出される群IIのMHC分子によって示される抗原フラグメントに結合し得る抗原レセプターを有するT細胞(白血球の1つのタイプ)である。一旦抗原に結合すると、TH細胞は、増殖し、活性化TH細胞と記憶TH細胞に分化する。活性化TH細胞は、他のリンパ球を賦活化するサイトカイン、タンパク質またはペプチド類を分泌する;最も一般的なのは、強力なT細胞増殖因子であるインターロイキン-2 (IL-2)である。活性化されて増殖中のTH細胞は、2つの主要サブタイプの細胞、Th1およびTh2細胞に分化し得る。これらのサブタイプは、産生される特定のサイトカインに基づき定義される。Th1細胞は、インターフェロン-ガンマおよびインターロイキン12を産生させ、一方、Th2細胞は、インターロイキン-4、インターロイキン-5およびインターロイキン-13を産生させる。記憶TH細胞は、最初に遭遇した抗原に対して特異性であり、二次免疫応答中に動員され得る。殆どのTH細胞は、細胞表面上に、群IIのMHC分子の1部に引付けられるタンパク質CD4を存在させている。この親和性は、TH細胞とターゲット細胞を、抗原特異性活性化の間、緊密に一緒に結合したままに保つ。CD4表面タンパク質を含むTH細胞は、CD4+T細胞と称する。CD4+T細胞数の減少は、HIVがAIDSを引起す一次メカニズムである。
【0021】
他の関連用語の定義
本明細書において使用するとき、“腫瘍部位”なる表現は、腫瘍組織自体、並びに腫瘍の浸潤性周辺部のような腫瘍組織と密接に接触している組織および腫瘍組織または腫瘍の浸潤性周辺部に最も近い局所リンパ節を意味する。
本明細書において意図するとき、適応的免疫応答の“状態”は、(i) 腫瘍部位での癌に対する特異的免疫応答の存在、および(ii) 該特異的免疫応答のレベルを含む。
本明細書において意図するとき、“生物学的マーカー”は、癌患者の腫瘍に対する適応的免疫応答の状態を標示し得る任意の検出可能な、測定可能なまたは定量可能なパラメーターからなる。マーカーは、本発明の癌予後診断方法を、(i) 上記マーカーについての定量値の上昇または低下と(ii) 患者において実際に観察した癌の進行との間に良好な統計的相関を見出す場合に実施する目的においては、“生物学的マーカー”となる。試験した各マーカーについて補正値を算出し、従って、本発明に従う“生物学的マーカー”としての上記マーカーの統計的関与度を判定するには、当業者にとって既知の統計方法の任意の1つを使用し得る。例えば、カプラン・メイヤー(Kaplan-Meier)曲線を使用する統計方法および/またはログランク検定を使用する単変量解析および/またはCox比例ハザードモデルを、本明細書の実施例において示しているようにして使用し得る。0.05よりも低い、より好ましくは10
-3、10
-4、10
-5、10
-6または10
-7よりも低いP値(単変量および多変量解析(例えば、それぞれ、ログランク検定およびCox検定)に従う)を測定した任意のマーカーが、本発明の癌予後診断方法において使用し得る“生物学的マーカー”からなる。
生物学的マーカーとしては、腫瘍部位における免疫系に由来する細胞の存在或いは数または密度がある。
また、生物学的マーカーとしては、腫瘍部位における免疫系由来の細胞によって特異的に産生されたタンパク質の存在または量がある。
【0022】
また、生物学的マーカーとしては、腫瘍部位における宿主の特異的免疫応答の発生に関連する遺伝子の発現レベルを標示する任意の生物学的物質の存在または量がある。従って、生物学的マーカーとしては、腫瘍部位における免疫系由来の細胞が特異的に産生するタンパク質をコード化するゲノムDNAから転写したメッセンジャーRNA(mRNA)の存在または量がある。
従って、生物学的マーカーとしては、腫瘍組織内またはその近隣において(腫瘍の浸潤性周辺部内または最も近いリンパ節内のような)集められたBリンパ球、Tリンパ球、単球/マクロファージ樹状細胞、NK細胞、NKT細胞およびNK-DC細胞によるような免疫系に由来する細胞によって特異的に発現された表面抗原、或いは該表面抗原をコード化するmRNAがある。
具体的には、生物学的マーカーとして使用する興味ある表面抗原としては、T細胞またはT細胞サブセットが発現するCD3、CD4、CD8およびCD45ROがある。
例えば、CD3抗原の発現またはそのmRNAの発現を生物学的マーカーとして使用する場合、本発明に従う方法の工程a)でのこの生物学的マーカーの定量は、Tリンパ球およびNKT細胞全部に関連する患者の適応的免疫応答レベルを標示し得る。
例えば、CD8抗原の発現またはそのmRNAの発現を生物学的マーカーとして使用する場合、本発明に従う方法の工程a)でのこの生物学的マーカーの定量は、細胞毒性Tリンパ球に関連する患者の適応的免疫応答レベルを標示し得る。
例えば、CD45RO抗原の発現またはそのmRNAの発現を生物学的マーカーとして使用する場合、本発明に従う方法の工程a)でのこの生物学的マーカーの定量は、記憶Tリンパ球または記憶エフェクターTリンパ球に関連する患者の適応的免疫応答レベルを標示し得る。
さらに具体的には、生物学的マーカーとして使用するタンパク質としては、パーフォリン、グラニュリシンおよびグランザイム-Bのような、免疫系由来の細胞により特異的に産生された細胞溶解性タンパク質がある。
【0023】
生体外癌予後診断方法の説明
上記方法の工程a):
本発明に従う方法の工程a)の終了時には、使用する少なくとも1種の生物学的マーカーの各々についての定量値が得られる。
先に詳述したように、工程a)の特定の実施態様は、下記を含む:
(i) 1種以上の生物学的マーカーを、免疫化学法により定量する工程;興味ある1種以上のタンパク質マーカーを、例えば、上記1種以上のタンパク質マーカーの各々に対する特異性の抗体を使用しての、腫瘍組織サンプルでの現場免疫組織化学方法によって定量することを含む。ある実施態様においては、得られる定量値は、分析中の腫瘍組織サンプルで上記タンパク質マーカーの各々を発現させる細胞の密度からなる。
(ii) 1種以上の生物学的マーカーを、遺伝子発現分析により定量する工程;1種以上の興味あるマーカーmRNAを、例えば、リアルタイムPCRであるTaqman PCR分析を実施することによって定量することを含む。
【0024】
従って、本発明方法のある種の実施態様においては、工程a)は、腫瘍組織サンプル中で、適応的免疫応答の特異性生物学的マーカーを発現する細胞を定量することからなる。一般的には、少なくとも2種の生物学的マーカーの組合せをアッセイする。本発明方法の工程a)のこれらの実施態様においては、工程a)の終了時に得られた値は、上記腫瘍組織サンプル中に含ませ且つ、例えば、生物学的マーカーの組合せのうちで、1つの特定の生物学的マーカーを発現させる免疫系の細胞またはその細胞サブセットの数または密度からなる。これらの実施態様においては、工程a)の終了時に得られるのは、マーカーの組合せ中に含ませた各生物学的マーカーにおいて見出せる細胞密度値である。本明細書において使用するとき、興味ある細胞の密度は、組織サンプルの表面積の1単位当りで計数したこれら興味ある細胞の数として、例えば、組織サンプル表面積の平方cmまたは平方mm当りで計数したこれら興味ある細胞の数として表し得る。本明細書において使用するとき、興味ある細胞の密度は、サンプルの1容量単位当りのこれら興味ある細胞の数として、例えば、サンプルの立方cm当りの興味ある細胞の数としても表し得る。本明細書において使用するとき、興味ある細胞の密度は、全体細胞数または全体細胞下位集団(100%とする)当りの特定の細胞サブセット(例えば、CD3+T細胞)の百分率からなっていてもよい。例えば、上記方法の1つの実施態様においては、細胞を、先ず、腫瘍組織サンプルからの機械的分散により集め、その後、興味ある細胞を、必要に応じて、細胞密度を判定する前に、例えばラベル化表面抗原-特異性抗体によりラベル化した後、フローサイトメトリーによって計数する。本発明者等は、本発明者等が(i) 興味ある生物学的マーカーの定量値と(ii) 癌疾患の転帰との間に、上記定量値を免疫組織化学法によって評価したときに見出した高い統計的関連性は、少なくとも、下記によって説明し得るものと信じている:
‐腫瘍組織スライスの表面積当りのマーカー発現性細胞を、上記腫瘍組織スライスの複数の異なる表面積から行うようにして計数するような、各マーカーについての高度に精確な定量方法;および、
‐2種類以上の組織サンプル中の上記マーカーの別々の定量の組合せ、例えば、(i)腫瘍中心(CT)内および(ii)浸潤性周辺部(IM)内の双方での上記生物学的マーカー定量の組合せ;上記統計的関連性は、その場合、例えば、多変量解析により、測定している各定量値の組合せから出発して算出していることが理解し得る。
【0025】
上記方法のある種の他の実施態様においては、工程a)は、腫瘍組織サンプル中で、適応的免疫応答の1種以上のマーカー遺伝子の発現レベル(例えば、相応する特異性mRNAの量)を定量することからなる。一般的には、少なくとも2種のマーカー遺伝子の組合せについての発現レベルの評価を行う。上記方法の工程a)のこれらの実施態様においては、工程a)の終了時に得られるのは、上記マーカーの組合せにおいて含ませた免疫系由来の細胞によって特異的に産生された各マーカータンパク質(1種以上)について見出された発現レベル値である。
また、上記発現レベルは、組織サンプル中で検出した上記興味あるタンパク質の量を反映する任意の任意単位、例えば、上記組織サンプルのmRNA分のリアルタイムPCR分析によるような上記組織サンプルのmRNA分のPCR分析によって生成させたcDNA物質が発出する放射性または蛍光シグナルの強度としても表し得る。
また、上記発現レベルは、組織サンプル中で検出した上記興味あるタンパク質をコード化するmRNAの量を反映する任意の任意単位、例えば、興味あるタンパク質に特異的に結合させたラベル化抗体が発出する放射性または蛍光シグナルの強度としても表し得る。また、工程a)の終了時に得られる値は、当該技術において周知の種々のタンパク質検出方法、例えば、ELISA、SELDI-TOF、FACSまたはウェスタンブロッティングによって測定し得る興味あるタンパク質(1種以上)の濃度からなり得る。
本発明に従う癌予後診断方法の工程a)のある種の実施態様においては、生物学的マーカー(1種以上)を、(i) 包括的な原発腫瘍(全体としての)、(ii) 腫瘍の中心からの組織サンプル、(iii) 腫瘍を直接取巻く組織(該組織はより具体的には腫瘍の“浸潤性周辺部”と称する)からの組織サンプル、(iv) 腫瘍に最も近い位置にあるリンパ節、(v) 術前の腫瘍生検の実施(例えば、処置後の患者のフォローアップのための)および(vi) 遠隔転移からなる群から選ばれる癌患者由来の1種または2種以上の腫瘍組織サンプル中で個別に定量する。これらの実施態様においては、工程a)の終了時に、腫瘍組織サンプル(i)、(ii)または(iii)の各々において得られた定量値を、上記方法の工程b)において、腫瘍組織サンプル(i)〜(vi)の各々において前以って測定した相応する参照値をそれぞれ比較する。上記方法の工程a)において、使用する生物学的マーカー毎に2回以上の定量値を得ることにより、生物学的マーカー毎に1回のみの定量値を測定したときよりも正確な最終癌予後診断を可能にする。
【0026】
本発明に従う癌予後診断方法の他の実施態様においては、2種以上の生物学的マーカーについての定量値を、上記方法の工程a)において取得する。これらの実施態様においては、工程b)は、使用した生物学的マーカー毎に、(i)この生物学的マーカーについて工程a)で得られた定量値を(ii)同じ生物学的マーカーについての所定の参照値と比較することによって実施する。
本発明に従う癌予後診断方法のさらなる実施態様においては、工程a)を2種以上の腫瘍組織サンプルにおける定量値を単一生物学的マーカーにおいて得ることによって実施するか、または工程a)を2種以上の生物学的マーカーにおいて定量値を得ることによって実施し、その後、これらの定量値を、工程b)において、相応する所定の参照値と比較する。
本発明の生体外予後診断方法の好ましい実施態様においては、工程a)は、下記からなる群から選択する:
a1) 腫瘍組織切片中の上記少なくとも1種の生物学的マーカーを、免疫検出法により、(i)腫瘍中心(CT)および(ii)浸潤性周辺部(IM)の双方において別々に定量する工程;および、
a2) 上記腫瘍組織サンプル全体中の上記少なくとも1種の生物学的マーカーを遺伝子発現分析により定量する工程。
本発明の生体外予後診断方法の第1の特定の実施態様によれば、工程a1)は、少なくとも2種の異なる生物学的マーカーを(i)腫瘍中心(CT)内および(ii)浸潤性周辺部(IM)内の双方において別々に定量することによって実施する。
本発明の生体外方法において、工程a)が工程a1)からなる場合、工程b)は、(i) 同じ生物学的マーカーについてそれぞれCTおよびIM内で得られた各々の定量値を(ii)それぞれCTおよびIMにおける相応する参照値と比較することによって実施する。
本発明の生体外予後診断方法の第2の特定の実施態様によれば、工程a2)は、全組織サンプルにおいて、少なくとも5種の異なる生物学的マーカーを定量することによって実施する。
本発明の生体外方法において、工程a)が工程a2)からなる場合、工程b)は、(i) 少なくとも5種の異なる生物学的マーカーの上記組合せの各生物学的マーカーについて得られた各々の定量値を比較することよって実施する。
【0027】
上記方法の工程b)
上記方法の工程b)においては、使用した各々の生物学的マーカーにおいて、工程a)の終了時に得られた値を、同じ生物学的マーカーにおける参照値と、さらに、腫瘍中心(CT)および浸潤性周辺部(IM)における参照値を必要とする場合は上記同じ生物学的マーカーにおける参照値と比較する。従って、同じ生物学的マーカーにおける参照値は、前以って測定するか、或いは、上記生物学的マーカーにおいて、患者の癌に対する適応的免疫応答の高レベルおよび低レベル間の識別に適する参照値を標示することが既に知られている。上記生物学的マーカーにおける上記前以って測定した参照値は、良好な癌予後診断と相関するか、或いは、逆に、悪い癌予後診断と相関している。
参照値を前以って測定するための第1の例としての実施態様
各生物学的マーカーにおける各参照値は、下記の工程を含む方法を実施することによって前以って測定し得る:
a) 下記からなる群から選ばれる少なくとも1つの腫瘍組織サンプル収集物を得る工程;
i) Tis、またはT1、またはT2、またはT3もしくはT4、およびN0、またはN1、またはN2、またはN3、およびM0またはM1と分類され、そして、早期転移(VEまたはLIまたはPI)の無いまたは早期転移の有る、抗癌治療を受けており、その後、抗癌治療後の癌の再発または癌の再生のない癌患者からの腫瘍組織サンプルの収集物;
ii) Tis、またはT1、またはT2、またはT3もしくはT4、およびN0、またはN1、またはN2、またはN3、およびM0またはM1と分類され、そして、早期転移(VEまたはLImまたはPI)の無いまたは早期転移の有る、抗癌治療を受けており、その後、抗癌治療後の癌の再発または再生のある癌患者からの腫瘍組織サンプルの収集物;
b) 工程a)において得られた腫瘍組織サンプルの収集物に含まれる各腫瘍組織サンプルについて、上記生物学的マーカーを定量し、それによって上記生物学的マーカーおよび上記腫瘍組織サンプル収集物についての定量値の収集物を得る工程;
c) 工程b)の終了時に得られた上記定量値の収集物から、上記生物学的マーカーについての平均定量値を算出し、それによって特定の癌予後診断と相関する上記生物学的マーカーにおける所定の参照値を得る工程。
上記工程a)の定義において述べている“抗癌治療”とは、上記腫瘍組織サンプルを収集する以前に癌患者が受けた、放射線療法、化学療法および手術、例えば、腫瘍の外科的切除のようなあらゆるタイプの癌治療に関する。
上記の所定の参照値を得る方法によれば、2以上の所定参照値を、1つの生物学的マーカーにおいて得ることができる。例えば、1つの生物学的マーカーにおいて、上記方法は、同じ生物学的マーカーについて少なくとも4つの所定参照値、即ち、工程a)において、上述する腫瘍組織サンプルの収集物(i)および(ii)の各々によって出発したときに得られた平均定量値から算出したそれぞれ1つの所定参照値の測定を可能にする。
【0028】
参照値を前以って測定するための第2の例としての実施態様
また、本発明方法の工程b)での比較において使用する参照値は、以下で説明するようにして測定し得る“カットオフ”値からなり得る。
各生物学的マーカーについての各々の参照(“カットオフ”)値は、下記の工程を含む方法を実施することによって前以って測定し得る:
a) 参照値を測定すべきである生物学的マーカーを選定する工程;
b) 癌患者からの腫瘍組織サンプルの収集物を得る工程;
c) 工程b)において得られた各腫瘍サンプルについて、相応する癌患者における実際の臨床転帰に関する情報を得る工程;
d) 工程a)において選定した上記生物学的マーカーにおいて1連の任意定量値を得る工程;
e) 上記生物学的マーカーを工程b)において得られた収集物中に含まれる各腫瘍組織サンプル中で定量する工程;
f) 上記腫瘍サンプルを、工程c)において得られた1つの特定の任意定量値についてそれぞれ下記の2つの群:
(i) 上記1連の定量値中に含まれた上記任意定量値よりも低い上記マーカーに対する定量値を示す腫瘍サンプルを含む第1群;
(ii) 上記1連の定量値中に含まれた上記任意定量値よりも高い上記マーカーに対する定量値を示す腫瘍サンプルを含む第2群;
に分類し、それによって、2つの群の腫瘍サンプルを上記特定の定量値に対して得、各群の腫瘍サンプルを別々に計数する工程;
g) (i)工程e)において得られた上記生物学的マーカーについての定量値と(ii) 工程f)において定義した第1および第2群に含ませた腫瘍サンプルが由来する患者の実際の臨床転帰と間の統計的有意性を算出する工程;
h) 工程f)およびg)を、工程d)において得られた任意定量値の全てを検定するまで繰返す工程;
i) 上記参照値(“カットオフ”値)を、最高の統計的有意性(最も有意である)を工程g)において算出した任意定量値からなるものとして設定する工程。
【0029】
上記方法は、“カットオフ”値をデータ群の中央値において設定することからなり、本明細書の実施例において十分に開示している。
上記で開示しているように、上記方法は、悪いおよび良い転帰予後診断間の区別を可能にする単一の“カットオフ”値の設定を可能にする。実際には、本明細書における実施例において開示しているように、高い統計的有意値(例えば、低P値)は、一般に、連続する任意定量値の範囲において得られ、単一の任意定量値においてのみではない。従って、上記“カットオフ”値の測定方法の1つの別の実施態様においては、最小の統計的有意値(有意の最小閾、例えば、最大閾P値)を任意に設定し、そして、工程g)で算出した統計的有意値がより高い(より有意である、例えば、より低いP値)任意定量値範囲を保持し、それによって定量値の範囲を得る。該定量値範囲は、本発明に従う“カットオフ”値からなる。“カットオフ”値のこの特定の実施態様によれば、悪いまたは良い臨床転帰予後診断は、本発明の予後診断方法の工程b)において、工程a)において得られた値を、1つの特定の生物学的マーカーに対して上記“カットオフ”値の範囲定めする上記範囲値と比較することによって判定し得る。ある実施態様においては、検討した生物学的マーカーにおける定量値の範囲からなるカットオフ値は、最高の統計的有意値(例えば、一般的には見出す最低P値)を見出した定量値を中心とした値の範囲からなる。
上記で説明しているカットオフ値を前以って測定する方法のある種の好ましい実施態様においては、上記生物学的マーカーは、腫瘍サンプル内で特異性タンパク質マーカーを発現する細胞の密度からなる。さらに、単一のタンパク質マーカーにおいては、少なくとも2つの異なる生物学的マーカーにおけるカットオフ値、それぞれ、(i) 腫瘍の中心(CT)において上記タンパク質マーカーを発現する細胞の密度からなる第1の生物学的マーカーにおいて測定した第1のカットオフ値および(ii)浸潤性周辺部(IM)において上記タンパク質マーカーを発現する細胞の密度からなる第2の生物学的マーカーにおいて測定した第2のカットオフ値を測定し得る。
上記のカットオフ値の測定方法の工程c)のある種の好ましい実施態様においては、患者の実際の臨床転帰に関する上記情報は、(i) 無病生存(DFS)の期間および(ii)全生存率(OS)からなる群から選ばれる。
事実、本発明に従う癌予後診断方法を実施するに当っては、2種以上の生物学的マーカーについての所定の参照値を利用できることが好ましい。従って、一般的には、少なくとも1つの所定の参照値を、本発明に包含される癌に対する適応的免疫応答の状態を標示する複数の生物学的マーカーにおいて、上記で説明している所定の参照値を得る方法の任意の1つを複数の生物学的マーカーについて単純に繰返すことによって測定し得る。
例えば、生物学的マーカーが、免疫系に由来する細胞が発現するCD3抗原のような表面抗原からなり、さらに、上記癌予後診断方法の工程a)において、腫瘍部位でのCD3+細胞密度のフローサイトメトリー分析を実施するある種の実施態様においては、所定の参照値は、細胞全体または細胞下位集団全体当りの特異性細胞(例えば、CD3+)の、悪い癌予後診断、例えば、再発または再帰、短い生存時間等と相関する百分率のような細胞密度値からなり得るか、或いは、対照的に、良好な癌予後診断、例えば、早期転移のないこと、転移が全くないことまたは長期の無病生存時間と相関する細胞密度値からなり得る。
【0030】
ある種の実施態様においては、上記参照所定値は、上記で既に開示したような“カットオフ”値からなり、この“カットオフ”値は、悪い癌予後診断と良い癌予後診断間を区別する興味ある生物学的マーカーの定量中央値からなる。例えば、ヒト結腸直腸癌においては、生物学的マーカーとして腫瘍部位でのCD3+細胞の免疫組織化学分析を使用する場合、所定のカットオフ参照値は、腫瘍の中心から集めた腫瘍組織サンプルにおいてはCD3+細胞数約300個/mm
2を有し得ること、さらに、所定のカットオフ参照値は、浸潤性周辺部から集めた腫瘍組織サンプルにおいてはCD3+細胞数約600個/mm
2を有し得ることが判明している。カットオフ値が低および高CD3+定量値を範囲定めする値の範囲からなる他の実施態様においては、上記カットオフ値は、最適には、腫瘍中心(CT)における定量においてCD3+細胞数50個/mm
2〜CD3+細胞数1000個/mm
2の範囲、浸潤性周辺部(IM)における定量においてCD3+細胞数80個/mm
2〜CD3+細胞数1300個/mm
2の範囲である。
CD3、CD8、CD45RO、GZMB細胞密度におけるログランク検定に基づく最適カットオフ値は、本明細書の実施例において示しているように、腫瘍中心において、それぞれ、細胞数370、80、80、30個/mm
2、また、浸潤性周辺部において、それぞれ、細胞数640、300、190、60個/mm
2であった。
上記実施態様によれば、悪い癌予後診断は、CD3+生物学的マーカーにおいて発生させた定量値が、比較を本発明方法の工程b)において実施したとき、所定のカットオフ参照値よりも低い場合に得られる。逆に、良い癌予後診断は、CD3+生物学的マーカーにおいて発生させた定量値が、比較を本発明方法の工程b)において実施したとき、所定のカットオフ参照値よりも高い場合に得られる。
【0031】
参照値を前以って測定するための第3の例としての実施態様
また、例えば、生物学的マーカーが人体の免疫応答に関連する遺伝子の発現レベルからなる実施態様においては、所定の参照値は、悪い癌予後診断、例えば、再発または再帰、短い生存時間等と相関する遺伝子発現値からなり得るか、或いは、対照的に、良好な癌予後診断、例えば、転移が全くないことまたは長期の無病生存時間と相関する遺伝子発現値からなり得る。遺伝子発現値は、任意の任意単位として表し得る。例えば、遺伝子発現値は、(i) 生物学的マーカー特異性mRNAの量と(ii) 腫瘍組織サンプル中で見出される、例えば、リボソーム18S mRNAのような無関係mRNAの量との差(デルタCT)と表し得る。例えば、ヒト結腸直腸癌においては、(i) 生物学的マーカー特異性mRNAの量と(ii)無関係mRNAの量との差は、デルタCTおよび参照群(例えば、“100%”と設定した、転移過程の早期処置(VELIPI)を受け、再発を被っている患者における)からの全ての値の平均からなるように任意に決定し得る。これらの実施態様においては、上記方法の工程a)において
特定の遺伝子特異性mRNAにおいて発生させた定量値が100%よりも高いと、その場合は、所定の参照値によるよりも良好な癌予後診断が得られる。例えば、このことは、本明細書における実施例において、とりわけ、CD8α特異性mRNA、GZM-B特異性mRNAおよびGLNY特異性mRNAを使用したときに示されている。
【0032】
工程b)において行う比較
既に詳述したように、また、下記の実施例において示すように、本発明の生体外予後診断方法の工程b)は、試験する生物学的マーカー毎に、下記をそれぞれ比較することからなる:
(i) 上記生物学的マーカーについて工程a)において見出した定量値;および、
(ii) 上記生物学的マーカーについて既に前以って測定している相応する参照値。
2種以上の生物学的マーカーを工程a)において定量する場合は、工程b)は、2回以上の上記で定義した種類の比較工程からなる。
また、1種の特定の生物学的マーカーを、工程a)において、種々の腫瘍位置、とりわけ、腫瘍中心(CT)内および浸潤性周辺部(IM)内の双方で別々に定量する場合は、工程b)は、上記特定の生物学的マーカーについて、上記特定の生物学的マーカーを定量した腫瘍位置の数と同じ数の比較工程を含む。とりわけ、特定の生物学的マーカーを、工程a)において、CT内およびIM内の双方において別々に定量する状況においては、その場合、工程b)は、上記特定の生物学的マーカーについて、下記の2回の比較工程をそれぞれ含む:
(i) 上記生物学的マーカーについてCT内で工程a)において得られた定量値と上記生物学的マーカーについてのCT内での所定の参照値との第1の比較工程;および、
(ii) 上記生物学的マーカーについてIM内で工程a)において得られた定量値と上記生物学的マーカーについてのIM内での所定の参照値との第2の比較工程。
即ち、工程b)は、工程a)で得られた定量値の数と同じ数の単一比較工程を含む。
上記比較工程b)は、工程a)が、上記で定義したような、工程a1) (免疫学的方法)または工程a2) (遺伝子発現分析)のいずれかからなるかの如何にかかわらず、好ましくは、工程a)において測定した複数のマーカー定量値の統計的適応性を、相応する参照値との比較後に、例えば、下記の実施例において開示しているように、Pログランク検定を使用して算出することも含む。
【0033】
さらに簡単には、上記比較工程b)は、工程a)において、各生物学的マーカーについて、さらにまた、必要に応じて試験する各種の腫瘍組織について測定した定量値を、それぞれ、(i) 上記生物学的マーカーについての、必要に応じて上記の種の腫瘍組織内での定量値が所定の相応する参照値よりも高い場合の“Hi”と称する第1群および(ii) 上記生物学的マーカーについての、必要に応じて上記の種の腫瘍組織内での定量値が所定の相応する参照値よりも低い場合の“Lo”と称する第2群の2つの群に分類することを含み得る。比較工程b)の結果が、試験した各マーカーについて専ら“Hi”値からなる場合、その癌に対しては好ましい転帰の予後診断が決定されることとなる。逆に、比較工程b)の結果が、試験した各マーカーについて専ら“Lo”値からなる場合は、その癌に対しては貧弱な転帰の予後診断が決定される。中間の結論は、下記の実施例において開示しておるように、比較工程b)において、“Hi”定量値が試験した1種以上の生物学的マーカーについて見出され、さらに、“Lo”定量値が試験した組合せ生物学的マーカーの残りのマーカーについて見出される場合の“不均質”患者において決定される。
本発明者等は、癌の転帰を予測するための本発明に従う生体外予後診断方法の高い統計的適応性を説明するさらなる理由は、高度に正確な参照値、例えば、良い予後診断を有する患者と悪い予後診断を有する患者間で再現性のある正確な区別を可能にする高度に正確な“カットオフ”値を提供する試験した患者コホートの大きさからなるものと信じている。
従って、本発明に従う生体外方法の最も好ましい実施態様においては、比較工程b)において使用する各特定の生物学的マーカーおよび必要に応じての腫瘍組織タイプについての所定の参照値は、癌担持個々人の大集団に由来する腫瘍組織サンプルにおいて前以って測定した上記マーカーおよび必要に応じての上記腫瘍組織タイプ中の上記マーカーについての定量値に基づき算出する。
【0034】
特定の所定参照値の正確性は、特定の生物学的マーカーについての定量値を得、従って、特定の癌転帰と関連する平均値(所定の参照値)を算出するのに使用する組織サンプルの数によって上昇する。従って、本発明に従う生体外予後診断方法の高い正確性に対するもう1つの説明は、本発明方法の工程b)において上記定量値と比較する所定の参照値の高い適応性においても存在する。最も好ましくは、興味ある各生物学的マーカーについて高度に適応性のある所定参照値を得る見地において、上記の所定参照値は、特定の臨床転帰を受けている同じ複数の癌担持患者由来の組織サンプルにおいて測定した上記マーカーの複数の定量値の平均値からなる。
最も好ましくは、正確な所定参照値を評価するに当っては、上記参照値は、特定の生物学的マーカーについての、特定の悪いまたは良い臨床転帰、例えば、診断後5年よりも長いDFSまたはOFSを受けている少なくとも50名の癌担持患者由来の組織サンプルを使用しての少なくとも50の定量値から前以って決定する。
好ましい実施態様においては、特定の生物学的マーカーについての少なくとも60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500のまたはそれ以上の低量値から得られる。
例えば、下記の実施例において開示する所定の参照値は、約500名の癌担持患者のコホートに由来する組織サンプルから得られている。
大患者コホート、即ち、大多数の組織サンプルを試験するのを本発明に従って実現し得たのは、とりわけ、本明細書においてさらに詳述する組織マイクロアレー技術の使用によっていた。
工程b)を実施するのに使用する方法の特定の実施態様は、下記の実施例において十分に詳述している。
【0035】
本発明方法の必要に応じての工程c)
本発明の生体外癌予後診断方法は、予後診断結果自体を提供する工程c)をさらに含み得る。
即ち、本発明の癌予後診断方法は、使用する生物学的マーカー(1種以上)次第で、下記のいずれかであるさらなる工程c)を含み得る:
(i) 癌再発も癌再帰もない患者の癌進行に対する良好な予後診断を、特定の生物学的マーカーまたは生物学的マーカーの特定の組合せについて工程a)において得られた定量値(1以上)が、それぞれ、相応する所定の参照値(1以上)よりも高いまたは低いときに判定する;または、
(ii) 癌再発も癌再帰もある患者の癌進行に対する悪い予後診断を、特定の生物学的マーカーまたは生物学的マーカーの特定の組合せについて工程a)において得られた定量値(1以上)が、上記相応する所定の参照値(1以上)よりも高いまたは低いときに判定する。
また、本発明の癌予後診断方法は、使用する生物学的マーカー(1種以上)次第で、下記のいずれかであるさらなる工程c)を含み得る:
(i) 高無病生存率(DFS)値または高全生存率(OS)値を有する患者の癌進行に対する良好な予後診断を、特定の生物学的マーカーまたは生物学的マーカーの特定の組合せについて工程a)において得られた定量値(1以上)が、それぞれ、相応する所定の参照値(1以上)よりも高いまたは低いときに判定する;または、
(ii) 低無病生存率(DFS)値または低全生存率(OS)値を有する患者の癌進行に対する悪い予後診断を、特定の生物学的マーカーまたは生物学的マーカーの特定の組合せについて工程a)において得られた定量値(1以上)が、上記相応する所定の参照値(1以上)よりも高いまたは低いときに判定する。
通常、本発明において使用する生物学的マーカーの殆どにおいて、定量値は、癌に対する適応的免疫応答の増大によって上昇する。例えば、工程a)において定量する生物学的マーカーが免疫系の細胞により特異的に発現されたタンパク質または遺伝子からなる場合、上記マーカーの定量値は、試験する患者の癌に対する適応的免疫応答のレベルによって上昇する。従って、本発明の癌予後診断方法の工程b)を実施する場合、良好な予後診断は、工程a)において得られる特定の生物学的マーカーについての定量値が、相応する所定の参照値よりも、とりわけ所定の参照値がカットオフ値からなる実施態様において高いときに判定する。逆に、悪い予後診断は、工程a)において得られる特定の生物学的マーカーについての定量値が、相応する所定の参照値よりも、とりわけ所定の参照値がカットオフ値からなる実施態様において低いときに判定する。
工程c)を実施するのに使用する方法の特定の実施態様は、下記の実施例において十分に詳述している。
【0036】
生物学的マーカーの組合せ
本発明の癌予後診断方法を2種以上の生物学的マーカーにより実施する場合、工程a)において定量する異なる生物学的マーカーの数は、通常は100種未満の異なるマーカー数、殆どの実施態様においては50種未満の異なるマーカー数である。
有利には、高処理量のサンプルスクリーニングを探求する場合、本発明の癌予後診断方法は、20種類までの異なる生物学的マーカーを使用して実施する。
本発明方法の工程a)において定量する異なる生物学的マーカーの数が高いほど、最終の癌予後診断は正確である。
本発明の生体外予後診断方法を使用して、正確且つ信頼し得る癌予後診断を得るのに必要な異なる生物学的マーカーの数は、とりわけ、工程a)において実施する定量方法のタイプによって変動し得る。
具体的には、高い統計的有意性は、工程a)を興味あるタンパク質マーカーの現場免疫組織化学検出により実施するときの少数の生物学的マーカーの組合せにより見出せたが、上記各マーカーの別々の定量を腫瘍中心(CT)内および浸潤性周辺部(IM)内の双方で実施することを条件とした。例えば、高い統計的有意性は、下記の実施例において開示しているように、2〜10種の生物学的マーカーの組合せによって得られている。何ら特定の理論によって拘束することは望まないが、本発明者等は、癌予後診断における高度の統計的適応性(10
-3よりも低いP値)は、工程a)を、生物学的マーカー定量において免疫組織化学方法を使用することによって、また、3種またはそれ以上の異なる生物学的マーカーの組合せを使用することによって実施するときに達成されるものと信じている。
さらに具体的には、高い統計的有意性は、工程a)を興味ある遺伝子マーカーの遺伝子発現分析により実施するときの少数の生物学的マーカーによっても見出せたが、遺伝子発現分析法は、全腫瘍サンプルにおいて実施している。2種遺伝子マーカーの種々の高度に有意な組合せの具体的な実施態様は、とりわけ下記の表4において示している。何ら特定の理論によって拘束することは望まないが、本発明者等は、高度の統計的適応性(10
-3よりも低いP値)は、工程a)を、生物学的マーカー定量において遺伝子発現分析法を使用することによって、また、10種の異なる生物学的マーカーの組合せ、より好ましくは15種の異なる生物学的マーカーの組合せ、最も好ましくは20種またはそれ以上の異なる生物学的マーカーの組合せを使用することによって実施するときに達成されるものと信じている。
【0037】
下記の実施例において示すように、信頼し得る癌予後診断は、例えば、CD3+、CD8+、CD45RO、GZM-B、GLNY、TBX21、IRF1、IFNG、CXCL9およびCXCL10の各生物学的マーカーの定量によって例示されるように、単一の生物学的マーカーを本発明方法の工程a)において定量するときに得ることができる。
従って、本発明に従う癌予後診断方法の好ましい実施態様においては、工程a)において述べている腫瘍組織サンプルは、(i) 包括的な原発腫瘍(全体としての)、(ii) 腫瘍の中心からの組織サンプル、(iii) 腫瘍を直接取巻く組織(該組織はより具体的には腫瘍の“浸潤性周辺部”と称する)からの組織サンプル、(iv) 腫瘍に最も近い位置にあるリンパ節、(v) 術前に行った腫瘍生検(例えば、処置後の患者のフォローアップのための)、および(vi) 遠隔転移からなる群から選ばれる。
最も好ましくは、本発明の生体外予後診断方法を、特異性タンパク質を発現する細胞の密度からなる生物学的マーカーによって実施する場合、工程a)を免疫組織化学法によって実施し、細胞密度を、(i)腫瘍の中心(CT)内、(ii)浸潤性周辺部(MI)内、(iii) CT内およびIM内の双方において別々に測定する。
最も好ましくは、本発明の生体外予後診断方法を、興味ある遺伝子の発現レベルからなる生物学的マーカーによって実施する場合、工程a)を、癌患者から初期に集めた全腫瘍組織、例えば、外科手術中の腫瘍切除に由来する腫瘍組織から出発するリアルタイムTaqman PCR分析のような遺伝子発現分析法により実施する。
好ましくは、工程a)において定量する、上記患者の癌に対する適応的免疫応答の状態を標示する少なくとも1種の生物学的マーカーは、Bリンパ球、単球/マクロファージ、樹状細胞、NK細胞、NKT細胞、およびNK-DC細胞からなる群から選ばれる免疫系由来の細胞によって発現される少なくとも1種の生物学的マーカーからなる。
【0038】
好ましくは、工程a)において定量する上記少なくとも1種の生物学的マーカーは、下記からなる群から選択する:
(i) 腫瘍組織サンプル中に含まれ、上記生物学的マーカー、一般的にはタンパク質マーカーを発現する免疫系由来の細胞の数または密度;および、
(ii) 腫瘍組織サンプル中の興味ある核酸の発現レベル、一般的には、特異性遺伝子マーカーによってコード化されたmRNAの量。
ある種の実施態様においては、上記少なくとも1種の生物学的マーカーは、腫瘍部位に存在するTリンパ球の密度からなる。
本発明方法のある種の他の実施態様においては、上記少なくとも1種の生物学的マーカーは、腫瘍部位に存在する免疫系由来の細胞によって発現されるタンパク質の定量値からなる。
本発明方法のさらなる実施態様においては、上記少なくとも1種の生物学的マーカーは、腫瘍部位に存在する免疫系由来の細胞によって特異的に発現された遺伝の発現定量値からなる。
本発明の癌予後診断方法を実施するのに使用し得る好ましい生物学的マーカーの目録は、下記の表2、4、8、9および10に列挙している。表2、_9および10は、列挙している各々の生物学的マーカーについて、GenBank国際データベースにおいて利用し得るように、その核酸およびアミノ酸配列に対する受託番号も含んでいる。
本発明に従う癌予後診断方法は結腸直腸癌について試験しているものの、上記方法は、広範囲の癌について応用可能である。何ら特定の理論によって拘束することを望まないが、本発明者等は、本発明の癌予後診断方法は、免疫系由来の細胞が入り込む中心腫瘍から発症するあらゆる癌の進行を予後診断するのに成功裏に実施し得るものと信じている。
【0039】
従って、本発明に従う癌予後診断方法は、以下からなる群から選ばれる癌の進行について患者の予後を判定するのに潜在的に有用である:副腎皮質癌、肛門癌、胆管癌(例えば、末梢癌(periphilar cancer)、末梢胆管癌、肝臓内胆管癌)、膀胱癌、骨肉腫(例えば、骨芽細胞腫、骨軟骨腫、血管腫、軟骨粘液線維腫、骨肉腫、軟骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、骨の巨細胞腫、脊索腫、リンパ腫、多発性骨髄腫)、脳および中枢神経系の癌(例えば、髄膜腫、星状細胞種、乏突起膠腫、上衣腫、神経膠腫、髄芽腫、神経節膠腫、神経鞘腫、胚細胞腫、頭蓋咽頭腫)、乳癌(例えば、非浸潤性乳管癌、浸潤性道管癌、浸潤性小葉腺癌、上皮内小葉癌、女性化乳房)、キャッスルマン病(例えば、巨大リンパ節過形成、血管濾胞性リンパ節過形成)、子宮頚癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌(例えば、子宮内膜腺癌、アデノカントーマ、乳頭漿液性腺癌、明細胞)、食道癌、胆嚢癌(粘液腺癌、小細胞癌)、消化管カルチノイド腫瘍(例えば、絨毛癌、破壊性胞状奇胎)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、カポシ肉腫、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)、咽頭および下咽頭癌、肝臓癌(例えば、血管腫、肝細胞腺腫、限局性結節性過形成、肝細胞癌)、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌)、中皮腫、形質細胞腫、鼻腔および副鼻腔癌(例えば、鼻腔神経芽細胞腫、中正肉芽腫)、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、口腔および口腔咽頭癌、卵巣癌、膵癌、陰茎癌、下垂体癌、前立腺癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫(例えば、胎児性横紋筋肉腫、胞巣状横紋筋肉腫、多形性横紋筋肉腫)、唾液腺癌、皮膚癌(例えば、メラノーマ、非メラノーマ皮膚癌)、胃癌、睾丸癌(例えば、セミノーマ、非セミノーマ生殖細胞癌)、胸腺癌、甲状腺癌(例えば、濾胞腺癌、退形成癌、低分化癌、甲状腺髄様癌、甲状腺リンパ腫)、腟癌、外陰癌、および子宮癌(例えば、子宮平滑筋肉腫)。
【0040】
本発明方法のさらなる実施態様においては、上記少なくとも1種の生物学的マーカーは、下記の生物学的マーカーからなる群から選択する:
(i) 各種生物学的マーカー:ICAM-2/CD102、4-1BB/TNFRSF9、IFN-ガンマR1、IFN-ガンマR2、B7-1/CD80、IL-1 RI、IL-2 Rアルファ、BLAME/SLAMF8、IL-2 Rベータ、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、IL-7 Rアルファ、CCR9、CXCR1/IL-8 RA、CD2、CD3イプシロン、CD3ゼータ、CD3ガンマ、CD4、CD4+/45RA-、IL-12 Rベータ 1、CD4+/45RO-、IL-12 Rベータ 2、CD4+/CD62L-/CD44、CD4+/CD62L+/CD44IL-17、CD5、インテグリン アルファ 4/CD49d、CD6、インテグリンアルファ E/CD103、CD8、インテグリンアルファ M/CD11b、CD8+/45RA-、インテグリンアルファ X/CD11c、CD8+/45RO-、インテグリンベータ 2/CD18、CD27/TNFRSF7、LAG-3、CD28、LAIR1、CD30/TNFRSF8、LAIR2、CD31/PECAM-1、CD40リガンド/TNFSF5、NCAM-L1、CD43、NTB-A/SLAMF6、CD45、CD83、CD84/SLAMF5、RANK/TNFRSF11A、L-セレクチン、CD229/SLAMF3、SIRPベータ 1、CD69、SLAM、共通ガンマ鎖/IL-2 Rガンマ、CRACC/SLAMF7、CX3CR1、CXCR3、CXCR4、CXCR6、TNF RI/TNFRSF1A、TNF RII/TNFRSF1B、Fas/TNFRSF6、Fasリガンド/TNFSF6、TSLP、TSLP R、ICAM-1/CD54、IL-2、IFN-ガンマ、IL-4、IL-5、IL-10、IL-13;
(ii) Th1/Th2細胞の生物学的マーカー:Il-2R共通ベータ鎖、共通ガンマ鎖/IL-2 Rガンマ、IFN-ガンマ、IFN-ガンマ R1、IL-12、IFN-ガンマ R2、IL-12 Rベータ 1、IL-2、IL-12 Rベータ 2、IL-2 R アルファ、IL-2 Rベータ、IL-24、TNF RI/TNFRSF1A、TNF RII/TNFRSF1B、IL-4 R、TNF-ベータ/TNFSF1B;
(iii) インターフェロン群の生物学的マーカー:IFNアルファ、IFNベータ、IFN-アルファ/ベータR1、IFN-アルファ/ベータ R2、IFN-ガンマ R1、IFN-ガンマ R2、IFN-アルファ A、IFN-アルファ/ベータ R2、IFN-アルファ B2、IFN-ベータ、IFN-アルファ C、IFN-ガンマ、IFN-アルファ D、IFN-アルファ G、IFN-オメガ、IFN-アルファ H2;
(iv) 共通ガンマ鎖レセプター群の生物学的マーカー:共通ガンマ鎖/IL-2 Rガンマ、IL-7 Rアルファ、IL-2、IL-9、IL-2 R アルファ、IL-9 R、IL-2 R ベータ、IL-15、IL-15 R アルファ、IL-21、IL-7、IL-21 R、IL-31;
【0041】
(v) CX3C ケモカインおよびレセプターの生物学的マーカー:CX3Cケモカインリガンド、CX3CL1/フラクタルカイン、CX3Cケモカインレセプター、CX3CR1;
(vi) CXCケモカインおよびレセプター類の生物学的マーカー:CXCケモカインリガンド、CXCL13/BLC/BCA-1、CXCL11/I-TAC、CXCL14/BRAK、CXCL8/IL-8、CINC-1、CXCL10/IP-10/CRG-2、CINC-2、CINC-3、CXCL16、CXCL15/ラングカイン、CXCL5/ENA、CXCL9/MIG、CXCL6/GCP-2、CXCL7/NAP-2、GRO、CXCL4/PF4、CXCL1/GRO アルファ、CXCL12/SDF-1、CXCL2/GROベータ、胸腺ケモカイン-1、CXCL3/GRO ガンマ、CXCケモカインレセプター、CXCR6、CXCR3、CXCR1/IL-8 RA、CXCR4、CXCR2/IL-8 RB、CXCR5;
(vii) CCケモカインおよびレセプターの生物学的マーカー:CCケモカインリガンド、CCL21/6Cカイン、CCL12/MCP-5、CCL6/C10、CCL22/MDC、CCL28、CCL3L1/MIP-1アルファイソ型LD78 ベータ、CCL27/CTACK、CCL3/MIP-1アルファ、CCL24/エオタキシン-2、CCL4/MIP-1ベータ、CCL26/エオタキシン-3、CCL15/MIP-1デルタ、CCL11/エオタキシン、CCL9/10/MIP-1ガンマ、CCL14a/HCC-1、MIP-2、CCL14b/HCC-3、CCL19/MIP-3ベータ、CCL16/HCC-4、CCL20/MIP-3アルファ、CCL1/I-309/TCA-3、CCL23/MPIF-1、MCK-2、CCL18/PARC、CCL2/MCP-1、CCL5/RANTES、CCL8/MCP-2、CCL17/TARC、CCL7/MCP-3/MARC、CCL25/TECK、CCL13/MCP-4CC、ケモカインレセプター、CCR1、CCR7、CCR2、CCR8、CCR3、CCR9、CCR4、D6、CCR5、HCR/CRAM-A/B、CCR6;
(viii) CCケモカインインヒビターの生物学的マーカー:CCI、CCウィルスケモカインホモログ、MCV-タイプII、MIP-II、MIP-I、MIP-III;
(ix) Cケモカインおよびレセプターの生物学的マーカー:第1および第3システイン残基を欠落するC(ガンマ)下位群、リンホタクチン(SCM-1 アルファとしても知られている)およびSCM-1ベータ(現在、これら2つのみの群メンバーであり、双方ともリンパ球およびNK細胞に対し化走活性を有する)、Cケモカインリガンド、XCL1/リンホタクチン、Cケモカインレセプター、XCR1;
(x) 他のインターロイキンの生物学的マーカー:IL-12、IL-12 Rベータ1、IL-12 Rベータ2、IL-27、IL-15、IL-31。
【0042】
本明細書においては、興味ある各種生物学的マーカーの各々の名称は、HUGO Gene Nomenclature Committeeからのデータベースにおけるような、国際的に承認された遺伝子配列およびタンパク質配列データベースにおいて見出せるような相応する遺伝子の国際的に承認された名称を参照している;上記データベースは、とりわけ下記のインターネットアドレスにて利用可能である:
http://www.gene.ucl.ac.uk/nomenclature/index.html
また、本明細書においては、興味ある各種生物学的マーカーの各々の名称は、国際的に承認された遺伝子配列およびタンパク質配列データベースGenBankにおいて見出せるような相応する遺伝子の国際的に承認された名称も参照し得る。
これらの国際的に承認された配列データベースにより、本明細書において説明する興味ある生物学的マーカーの各々に相応する核酸およびアミノ酸配列を、当業者であれば検索し得る。
本発明方法のさらなる実施態様においては、既に説明しているように、生物学的マーカーの組合せについての定量値は、本発明の癌予後診断方法の工程a)において取得する。
従って、本発明の癌予後診断方法は、生物学的マーカーの組合せによって実施し得る。使用する生物学的マーカーの数は、本発明方法を実施する時点で実際に入手可能である興味ある異なる生物学的マーカーの数によってのみ限定される。しかしながら、生物学的マーカーの数があまり多過ぎると、最終の予後判定を同時に有意に改良することなく、上記方法の時間を有意に長引かせる。
【0043】
通常、本発明の癌予後診断方法を生物学的マーカーの組合せによって実施する実施態様においては、50種よりも多くない異なる生物学的マーカーを、工程a)において定量する。殆どの実施態様においては、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15, 16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49および50種の異なる生物学的マーカーの組合せを定量する。しかしながら、本明細書において既に先に説明しているように、高い統計的有意性(例えば、10
-3よりも低いP値)を達成するのに必要な組合せマーカー数は、上記生体外予後診断方法の工程a)において上記生物学的マーカーの組合せを定量する方法の種類に依存するであろう。
工程a)を、生物学的マーカーを免疫組織化学法により定量することによって実施する本発明の生体外予後診断方法のある種の実施態様においては、少ない数のマーカーの組合せ使用は、とりわけこれら生物学的マーカーを腫瘍中心(CT)内および浸潤性周辺部(IM)内の双方において別々に定量する場合に、十分に有益であり得る。
工程a)を、生物学的マーカーを遺伝子発現分析法により定量することによって実施する本発明の生体外予後診断方法のある種の実施態様においては、高めの数のマーカー、例えば、少なくとも約10種の異なる生物学的マーカーの組合せ使用を一般に必要とする。
【0044】
本発明方法のさらなる実施態様においては、上記少なくとも1種の生物学的マーカーは、CD3、CD8、GZMB、CD45RO、GLNY、TBX21、IRF1、IFNG、CXCL9、CXCL10、CD4、CXCR3、CXCR6、IL-18、IL-18Rベータ、フラクタルカイン、IL-23、IL-31、IL-15、IL-7、MIG、パーフォリン、TCRαβ、TCRγδ、LAT、ZAP70、CD5およびCD2からなる群から選択する。これらの生物学的マーカーは、好ましくは、本発明の生体外予後診断方法の工程a)において、現場免疫組織化学法のような免疫化学法によって定量する。定量値は、腫瘍組織サンプルからの組織切片の表面積当りの含ませた興味あるマーカータンパク質を発現する細胞の平均密度として表し得る。
例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15, 16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28種の異なる生物学的マーカーの組合せを、工程a)において定量し、これらの生物学的マーカーは、CD3、CD8、GZMB、CD45RO、GLNY、TBX21、IRF1、IFNG、CXCL9、CXCL10、CD4、CXCR3、CXCR6、IL-18、IL-18Rベータ、フラクタルカイン、IL-23、IL-31、IL-15、IL-7、MIG、パーフォリン、TCRαβ、TCRγδ、LAT、ZAP70、CD5およびCD2からなる群から選択する。この群の生物学的マーカーの定量は、好ましくは、本発明の生体外予後診断方法の工程a)において、免疫組織化学法によって実施する。
さらに具体的には、本発明の生体外予後診断方法の工程a)において定量し得る2種以上の異なる生物学的マーカーの組合せは、CCR5、CR7、CD103、CD119、CD120a、CD120b、CD122、CD127、CD134、CD14、CD152、CD154、CD178、CD183、CD184、CD19、CD1a、CD210、CD25、CD26、CD27、CD28、CD3、CD32、CD4、CD44、CD45、CD45Ra、CD45Ro、CD47、CD49d、CD5、CD54、CD56、CD62L、CD69、CD7、CD8、CD80、CD83、CD86、CD95、CD97、CD98、CXCR6、GITR、HLA-DR、ICOS、IFNγRII、IL-18Rα、KIR-NKAT2、PD1、TCRαβおよびTGFRIIからなる群から選ばれる2種以上の生物学的マーカーであり得る。この群の生物学的マーカーの定量は、好ましくは、本発明の生体外予後診断方法の工程a)において、免疫組織化学法によって実施する。これらのマーカータンパク質の各々に対して特異性の抗体の目録は、下記の表3に示している。
【0045】
さらに、少なくとも2種の生物学的マーカーの組合せは、以下の生物学的マーカーを含む生物学的マーカーの群から選ばれる2種以上の異なる生物学的マーカーの組合せを包含する:T-ボックス転写因子21 (T-bet)、インターフェロン調節因子1 (IRF-1)、IFNγ、CD3ζ、CD8、グラニュリシン(GLNY)およびグランザイムB (GZMB)。この群の生物学的マーカーの定量は、好ましくは、本発明の生体外予後診断方法の工程a)において、免疫組織化学法によって実施する。
例えば、2種の生物学的マーカーの組合せは、CD8A-TBX21、CD3Z-CD8A、CD3Z-TBX21、B7H3-TGFB1、IFNG-TBX21、CD4-CD8A、CD8A、IFNG、CD4-TBX21、CD3Z-CD4、CD4-TGFB1、CD8A-GLNY、IFNG-IRF1、GLNY-IFNG、IRF1-TBX21、IL8-PTGS2、GLNY-TBX21、CD3Z-GLNY、CD3Z-IFNG、GZMB-IFNG、GLNY-IRF1、IL10-TGFB1、CD8A-IL10、CD4-IL10、CD8A-GZMB、GZMB-TBX21、CD3Z-GZMB、CD4-IRF1、GNLY-GZMB、B7H3-IL10、CD4-GZMB、GZMB-IRF1、IL10-TBX21、CD4-IFNG、B7H3-CD4、CD8A-TGFB1、CD3Z-IL10およびCD4-GNLYからなる群から選択し得る。この群の生物学的マーカーの定量は、好ましくは、本発明の生体外予後診断方法の工程a)において、遺伝子発現分析法によって実施する。
必要に応じて1種以上の異なる生物学的マーカーと一緒に使用し得る2種の生物学的マーカーの他の組合せは、下記の表4に列挙している。この群の生物学的マーカーの定量は、好ましくは、本発明の生体外予後診断方法の工程a)において、遺伝子発現分析法によって実施する。
必要に応じて1種以上の異なる生物学的マーカーと一緒に使用し得る少なくとも2種のマーカーのさらなる組合せは、下記の表8に列挙している。この群の生物学的マーカーの定量は、好ましくは、本発明の生体外予後診断方法の工程a)において、遺伝子発現分析法によって実施する。
【0046】
少なくとも2種の生物学的マーカーのさらなる組合せは、以下の生物学的マーカーを含む下記の表9に列挙している生物学的マーカーの群から選択する2種以上の異なる生物学的マーカーの組合せを包含する:18s、ACE、ACTB、AGTR1、AGTR2、APC、APOA1、ARF1、AXIN1、BAX、BCL2、BCL2L1、CXCR5、BMP2、BRCA1、BTLA、C3、CASP3、CASP9、CCL1、CCL11、CCL13、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL2、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL5、CCL7、CCL8、CCNB1、CCND1、CCNE1、CCR1、CCR10、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCRL2、CD154、CD19、CD1a、CD2、CD226、CD244、PDCD1LG1、CD28、CD34、CD36、CD38、CD3E、CD3G、CD3Z、CD4、CD40LG、CD5、CD54、CD6、CD68、CD69、CLIP、CD80、CD83、SLAMF5、CD86、CD8A、CDH1、CDH7、CDK2、CDK4、CDKN1A、CDKN1B、CDKN2A、CDKN2B、CEACAM1、COL4A5、CREBBP、CRLF2、CSF1、CSF2、CSF3、CTLA4、CTNNB1、CTSC、CX3CL1、CX3CR1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL16、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6、CXCL9、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CYP1A2、CYP7A1、DCC、DCN、DEFA6、DICER1、DKK1、Dok-1、Dok-2、DOK6、DVL1、E2F4、EBI3、ECE1、ECGF1、EDN1、EGF、EGFR、EIF4E、CD105、ENPEP、ERBB2、EREG、FCGR3A、CGR3B、FN1、FOXP3、FYN、FZD1、GAPD、GLI2、GNLY、GOLPH4、GRB2、GSK3B、GSTP1、GUSB、GZMA、GZMB、GZMH、GZMK、HLA-B、HLA-C、HLA-、MA、HLA-DMB、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DPA1、HLA-DQA2、HLA-DRA、HLX1、HMOX1、HRAS、HSPB3、HUWE1、ICAM1、ICAM-2、ICOS、ID1、ifna1、ifna17、ifna2、ifna5、ifna6、ifna8、IFNAR1、IFNAR2、IFNG、IFNGR1、IFNGR2、IGF1、IHH、IKBKB、IL10、IL12A、IL12B、IL12RB1、IL12RB2、IL13、IL13RA2、IL15、IL15RA、IL17、IL17R、IL17RB、IL18、IL1A、IL1B、IL1R1、IL2、IL21、IL21R、IL23A、IL23R、IL24、IL27、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL31RA、IL4、IL4RA、IL5、IL6、IL7、IL7RA、IL8、CXCR1、CXCR2、IL9、IL9R、IRF1、ISGF3G、ITGA4、ITGA7、インテグリン、アルファE (抗原CD103、ヒト粘膜リンパ球、抗原1;アルファポリペプチド)、遺伝子hCG33203、ITGB3、JAK2、JAK3、KLRB1、KLRC4、KLRF1、KLRG1、KRAS、LAG3、LAIR2、LEF1、LGALS9、LILRB3、LRP2、LTA、SLAMF3、MADCAM1、MADH3、MADH7、MAF、MAP2K1、MDM2、MICA、MICB、MKI67、MMP12、MMP9、MTA1、MTSS1、MYC、MYD88、MYH6、NCAM1、NFATC1、NKG7、NLK、NOS2A、P2X7、PDCD1、PECAM-、CXCL4、PGK1、PIAS1、PIAS2、PIAS3、PIAS4、PLAT、PML、PP1A、CXCL7、PPP2CA、PRF1、PROM1、PSMB5、PTCH、PTGS2、PTP4A3、PTPN6、PTPRC、RAB23、RAC/RHO、RAC2、RAF、RB1、RBL1、REN、Drosha、SELE、SELL、SELP、SERPINE1、SFRP1、SIRP ベータ 1、SKI、SLAMF1、SLAMF6、SLAMF7、SLAMF8、SMAD2、SMAD4、SMO、SMOH、SMURF1、SOCS1、SOCS2、SOCS3、SOCS4、SOCS5、SOCS6、SOCS7、SOD1、SOD2、SOD3、SOS1、SOX17、CD43、ST14、STAM、SAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5A、STAT5B、STAT6、STK36、TAP1、TAP2、TBX21、TCF7、TERT、TFRC、TGFA、TGFB1、TGFBR1、TGFBR2、TIMP3、TLR1、TLR10、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TNF、TNFRSF10A、TNFRSF11A、TNFRSF18、TNFRSF1A、TNFRSF1B、OX-40、TNFRSF5、TNFRSF6、TNFRSF7、TNFRSF8、TNFRSF9、TNFSF10、TNFSF6、TOB1、TP53、TSLP、VCAM1、VEGF、WIF1、WNT1、WNT4、XCL1、XCR1、ZAP70およびZIC2。この群の生物学的マーカーの定量は、好ましくは、本発明の生体外予後診断方法の工程a)において、遺伝子発現分析法によって実施する。
【0047】
少なくとも2種の生物学的マーカーのさらなる好ましい組合せは、以下の生物学的マーカーを含む群から選択する2種以上の異なる生物学的マーカーの組合せを包含する:TNFRSF6B、CEACAM1、PDCD1LG1、CD8A、PTGS2、BIRC5、SELL、INDO、IRAK4、TNF、TNFRSF10A、MMP7、LILRB3、CD3Z、TNFRSF8、GAPD、CXCL10、EBAG9、IL8、STAT1、CXCR3、TGFB1、ICOS、CXCL9、CD97、IL18RAP、CXCR6、ART1、IRF1、B7H3、ACE、IL18R1、TBX21、IL18、PDCD1、IFNG、GNLY、GATA3、VEGF、GZMB、LAT、CD4、IRTA2、IL10、TNFSF4、THSD1およびPDCD1LG2。この群の生物学的マーカーの定量は、好ましくは、本発明の生体外予後診断方法の工程a)において、遺伝子発現分析法によって実施する。
本明細書において説明している生物学的マーカーの群から選ばれる少なくとも2種の生物学的マーカーの如何なる組合せも、本発明に包含される。
本発明方法のある種の実施態様においては、本明細書においては生物学的マーカーの“セット”とも称し得る2種の生物学的マーカーの組合せを、工程a)において使用する。
遺伝子発現分析法により定量し得る生物学的マーカーの特定のセットは、以下の生物学的マーカーからなるセットからなる:PDCD1LG1、VEGF、TNFRSF6B、IRF1、IL8RAおよびSELL。この生物学的マーカーのセットは、下記の実施例において開示しているように、高い統計的適応性を有している。
【0048】
生物学的マーカーを定量する一般的方法
本発明に包含される細胞タイプ、タンパク質タイプまたは核酸タイプの生物学的マーカーを定量する当業者にとって既知の任意の1つの方法を、本発明の癌予後診断方法を実施するのに使用し得る。即ち、サンプル中のタンパク質または核酸を検出または定量するための当該技術において周知の標準および非標準(新しい)方法の任意の1つを容易に使用し得る。
そのような方法は、核酸タイプの生物学的マーカーを核酸プローブまたはプライマーによって検出および定量することを含む。
また、そのような方法は、タンパク質タイプの生物学的マーカーを、核酸(例えば、周知のセレックス(Selex)法により結合するように選定した核酸)および抗体(抗体フラグメントを含む)のような上記マーカーに特異的に結合する任意のタイプのリガンド分子によって検出および定量することを含む。興味ある生物学的マーカーが酵素からなるある種の実施態様においては、これらの検出および定量方法は、相応する酵素活性を検出および定量することを含む。
とりわけ、抗体類、即ち、表2に列挙している生物学的マーカーのような本明細書において説明する生物学的マーカーは、全部ではないにしても殆どが現在のところ既に入手可能である。
さらに、抗体が所定の生物学的マーカーにとってまだ利用できない状況或いは所定の生物学的マーカーに対するさらなる抗体の産生を探求している状況においては、上記所定の生物学的マーカーに対する抗体は、抗体産生性ハイブリドーマの生成のような通常の方法によって容易に得ることができる。この方法においては、生物学的マーカータンパク質の完全体またはセグメントを含むタンパク質またはペプチドを合成または分離する(例えば、当該タンパク質またはペプチドを発現させる細胞からの精製により、或いは当該タンパク質またはペプチドをコード化する核酸を、公知の方法を使用して、生体内または生体外で転写し、翻訳することにより)。脊椎動物、好ましくは、マウス、ラット、ウサギまたはヒツジのような哺乳類を、上記タンパク質またはペプチドを使用して免疫する。脊椎動物は、必要に応じて(好ましくは)、少なくともさらにもう1回、上記タンパク質またはペプチドで免疫して、脊椎動物が上記タンパク質またはペプチドに対して旺盛な免疫応答を示すようにし得る。脾細胞を免疫化脊椎動物から分離し、当該技術において周知の種々の方法のいずれか1つを使用して、不死化細胞系と融合させてハイブリドーマを形成させる。その後、この方法で形成させたハイブリドーマを、標準方法を使用して、スクリーニングし、上記生物学的マーカータンパク質またはそのフラグメントと特異的に結合する抗体を産生する1種以上のハイブリドーマを同定する。本発明は、この方法により製造したハイブリドーマおよびそのようなハイブリドーマを使用して製造した抗体も包含する。ポリクローナル抗体も同様に使用し得る。
【0049】
本発明の生物学的マーカーの発現は、転写核酸またはタンパク質の発現を検出する多種多様な周知の方法のいずれか1つにより評価し得る。そのような方法の非限定的な例としては、分泌した細胞表面、細胞質または核タンパク質の免疫学的検出法;タンパク質精製法、タンパク質の機能または活性アッセイ法;核酸ハイブリッド化法;核酸逆転写法、および核酸増幅法がある。
1つの好ましい実施態様においては、マーカーの発現は、その通常の翻訳後修飾の全部または1部を受けているマーカータンパク質のようなマーカータンパク質またはそのフラグメントと特異的に結合する抗体(例えば、放射線ラベル化、発色団ラベル化、フルオロフォアラベル化、ポリマーバックボーン抗体または酵素ラベル化抗体)、抗体誘導体(例えば、基質またはタンパク質-リガンド対(例えば、ビオチン-ストレプタビジン)のタンパク質もしくはリガンドを接合させた抗体)または抗体フラグメント(例えば、一本鎖抗体、分離した抗体超可変ドメイン)を使用して評価する。
もう1つの好ましい実施態様においては、マーカーの発現は、mRNA/cDNA (即ち、転写ポリヌクレオチド)を患者腫瘍組織サンプル中の細胞から調製することにより、さらに、このmRNA/cDNAをマーカー核酸またはそのフラグメントの補体である参照ポリヌクレオチドでハイブリッド化することにより評価する。cDNAは、必要に応じて、参照ポリヌクレオチドとのハイブリッド化前に、種々のポリメラーゼ連鎖反応法の任意の1つを使用して増幅させ得る;好ましくは、cDNAは、増幅させない。
関連する実施態様においては、上記サンプルから得られた転写ポリヌクレオチドの混合物を、生物学的マーカー核酸の少なくとも1部(例えば、少なくとも7、10個、15個、20個、25個、30個、40個、50個、100個、500個またはそれ以上のヌクレオチド残基)と相補性または相同性のポリヌクレオチドを固定させた基質と接触させる。相補性または相同性のポリヌクレオチドが基質上で識別的に検出可能であれば(例えば、異なる選定位置の固定した異なる発色団またはフルオロフォアを使用して検出可能である)、その場合は、複数のマーカーの発現レベルを、単一の基質(例えば、選定した位置に固定したポリヌクレオチドの“遺伝子チップ”マイクロアレー)を使用して、同時に評価することができる。核酸相互のハイブリッド化を含むマーカー発現評価方法を使用する場合、ハイブリッド化は、緊縮ハイブリッド化条件下に実施するのが好ましい。
【0050】
腫瘍組織サンプル中の生物学的マーカータンパク質または核酸を検出および/または定量する例としての1つの方法は、腫瘍組織サンプル、例えば、(i) 包括的な原発腫瘍(全体としての)、(ii) 腫瘍の中心からの組織サンプル、(iii) 腫瘍を直接取巻く組織(該組織はより具体的には腫瘍の“浸潤性周辺部”と称する)からの組織サンプル、(iv) 腫瘍に最も近い位置にあるリンパ節、(v) 術前に行った腫瘍生検(例えば、処置後の患者のフォローアップのための)、および(vi) 遠隔転移を癌患者から取得することを含む。該方法は、上記生物学的サンプルを、ポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNAまたはcDNA)を検出することのできる化合物または薬剤と接触させるさらなる工程を含む。本発明の検出方法は、そのように、例えば、生体外腫瘍組織サンプル中のmRNA、タンパク質、cDNAまたはゲノムDNAを検出するのに使用することができる。例えば、mRNAの生体外検出方法は、ノーザンハイブリッド化および現場ハイブリッド化を含む。生物学的マーカータンパク質の生体外検出方法は、酵素免疫吸着測定法(ELISA)、ウェスタンブロット法、免疫沈降法および免疫蛍光法を含む。さらにまた、マーカータンパク質の生体内検出方法は、対象者に該タンパク質またはそのフラグメントに対して特異性のラベル化抗体を導入することを含む。例えば、抗体は、対象者内でのその存在および位置を標準の画像形成法によって検出し得る放射性マーカーでラベル化し得る。
そのような検出および/または定量アッセイの一般的原理は、生物学的マーカーとプローブを含有し得るサンプルまたは反応混合物を、該マーカーとプローブが相互作用し結合するのを可能にする適切な条件下に十分な時間で調製し、それによって、取出すことのできるおよび/または反応混合物中で検出することのできる複合体を形成させることを含む。
本明細書において使用するとき、用語“プローブ”は、特異的に意図したターゲット分子、例えば、生物学的マーカーによってコード化されたまたは該マーカーに相応するヌクレオチド転写物またはタンパク質に選択的に結合し得る任意の分子を称する。プローブは、当業者であれば、適切な生物学的調製物から合成または誘導し得る。ターゲット分子の検出目的においては、プローブは、本明細書において説明するように、ラベル化するように特異的に設計し得る。プローブとして使用し得る分子の例としては、限定するものではないが、RNA、DNA、タンパク質、抗体および有機分子がある。
【0051】
これらの生物学的マーカーの検出および/または定量アッセイ法は、種々の方法で実施し得る。
例えば、そのようなアッセイを実施する1つの方法は、プローブを基体とも称する固相支持体上に固定し、この固相上に固定されたターゲットマーカー/プローブ複合体を反応終了時に検出することを含む。そのような方法の1つの実施態様においては、生物学的マーカーの定量についてアッセイすべき対象者からのサンプルを、担体または固相支持体上に固定させてもよい。もう1つの実施態様においては、プローブを固相に固定させ、対象者からのサンプルをアッセイの固定していない成分として反応させることができる逆の状況も可能である。
アッセイ成分を固相に固定させる多くの確立された方法が存在する。これらの方法としてが、限定するものではないが、ビオチンとストレプタビジンの接合により固定されたマーカーまたはプローブ分子がある。そのようなビオチン化アッセイ成分は、ビオチン-NHS (N-ヒドロキシ-スクシンイミド)から、当該技術において既知の方法(例えば、ビオチン化キット;Pierce Chemicals社、イリノイ州ロックフォード)を使用して調製し、ストレプタビジンコーティーング96ウェルプレート(Pierce Chemicals社)のウェル中に固定し得る。ある種の実施態様においては、固定させたアッセイ成分を含む表面は、前以って製造して、保存することができる。
そのようなアッセイ用の他の適切な担体または固相支持体としては、マーカーまたはプローブが属する群の分子を結合することのできる任意の材料である。周知の支持体または担体としては、限定するものではないが、ガラス、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、デキストラン、アミラーゼ、天然および変性セルロース、ポリアクリルアミド、斑レイ岩、およびマグネタイトがある。
【0052】
アッセイを上記方法により実施するためには、固定していない成分を、第2成分を固定している固相に添加する。反応を終えた後、複合体化していない成分を、形成された全ての複合体は固相上に固定したままであるような条件で除去する(例えば、洗浄することによって)。固相に固定させたマーカー/プローブ複合体の検出は、本明細書において概略した多くの方法で達成し得る。
好ましい実施態様においては、プローブは、固定していないアッセイ成分である場合、検出およびアッセイの読出し目的において、本明細書において説明し且つ当業者にとっては周知である検出可能なラベルにより直接または間接的にラベル化し得る。
また、マーカー/プローブ複合体形成を、さらなる操作またはいずれかの成分(マーカーまたはプローブ)のラベル化もすることなく、例えば、蛍光エネルギー移動法を使用することによって直接検出することもできる(例えば、Lakowicz等の米国特許第5,631,169号、Stavrianopoulos等の米国特許第4,868,103号参照)。第1の‘供与体’分子上のフルオロフォアラベルを、適切な波長の入射光による励起時に、その発出された蛍光エネルギーが第2の‘受容体’分子上の蛍光ラベルによって吸収されて、今度は、この蛍光ラベルが吸収エネルギーに基づき蛍光を発し得るように選定する。また、‘供与体’タンパク質分子は、トリプトファン残基の自然蛍光エネルギーを単純に利用し得る。異なる波長の光を発出して‘受容体’分子ラベルを‘供与体’のラベルと識別し得るようなラベルを選定する。各ラベル間のエネルギー移動の効率は各分子を分離している距離と関連しているので、各分子間の、空間関係を評価することができる。結合が分子間で生じる場合には、アッセイにける‘受容体’分子ラベルの蛍光発出は最大でなければならない。FRET結合事象は、当該技術において周知の標準の蛍光検出手段によって好都合に測定し得る(例えば、蛍光測定計を使用して)。
もう1つの実施態様においては、プローブがマーカーを認識する能力を測定するのは、いずれのアッセイ成分(プローブまたはマーカー)もラベル化することなく、リアルタイム生体分子相互作用分析(BIA)のような方法を使用することによって達成し得る(例えば、Sjolander, S. and Urbaniczky, C., 1991, Anal. Chem. 63:2338-2345;および、Szabo et al., 1995, Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699-705を参照されたい)。本明細書において使用するとき、“BIA”または“表面プラズモン共鳴”は、生体特異性相互作用を、相互作用物のいずれも(例えば、BIAコア)ラベル化することなく、リアルタイムで試験するための方法である。結合表面での質量の変化(結合事象を標示する)は、表面近くの光の屈折率の変化をもたらす(生物学的分子間のリアルタイム反応の指標として使用し得る検出可能なシグナルを生じる表面プラズモン共鳴(SPR)の光現象)。
【0053】
また、もう1つの実施態様においては、同様な診断および予後診断アッセイは、液相中の溶質としてのマーカーおよびプローブによって実施し得る。そのようなアッセイにおいては、複合体化したマーカーとプローブを、複合体化していない成分から、限定するものではないが分画遠心法、クロマトグラフィー、電気泳動および免疫沈降法のような多くの標準方法の任意の1つによって分離する。分画遠心法においては、マーカー/プローブ複合体は、複合体化していないアッセイ成分から、複合体のその異なるサイズおよび密度に基づく複合体の異なる沈降平衡による1連の遠心分離工程によって分離し得る(例えば、Rivas, G., and Minton, A. P., 1993, Trends Biochem Sci. 18(8):284-7参照)。標準のクロマトグラフィー法を使用しても、複合体化分子を複合体化していない分子から分離し得る。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーは、分子をサイズにより分離し、カラムフォーマット内で適切なゲル濾過樹脂を使用することにより、例えば、比較的大きな複合体を比較的小さな複合体化していない成分から分離し得る。同様に、複合体化していない成分と比較したときのマーカー/プローブ複合体の相対的に異なる荷電特性も、複合体を複合体化していない成分から識別するのに、例えば、イオン交換クロマトグラフィー樹脂を使用することによって活用し得る。そのような樹脂およびクロマトグラフィー法は、当業者にとって周知である(例えば、Heegaard, N. H., 1998, J. Mol. Recognit. Winter 11(1-6):141-8;Hage, D. S., and Tweed, S. A. J Chromatogr B Biomed Sci Appl 1997 Oct. 10;699(1-2):499-525を参照されたい)。また、ゲル電気泳動を使用しても、複合体化アッセイ成分を未結合成分から分子し得る(例えば、Ausubel et al., ed., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1987-1999を参照されたい)。この方法においては、タンパク質または核酸複合体を、例えば、サイズまたは電荷に基づき分離する。結合相互作用を電気泳動過程において維持するためには、非変性ゲルマトリックス材料および還元剤の存在しない条件は典型的に好ましい。また、SELDI-TOF法も活性表面とカップリングさせたマトリックスまたはビーズ上または抗体コーティーング表面またはビーズ上で使用し得る。
特定のアッセイおよびその成分に対する適切な条件は、当業者にとって周知である。
【0054】
特定の実施態様においては、マーカーmRNAの量を、生物学的サンプル中で、当該技術において既知の方法を使用して、現場および生体外方式の双方によって測定し得る。用語“生物学的サンプル”は、対象者から分離した組織、細胞、生体液およびこれらの分離物、並びに対象者内に存在する組織、細胞および液体を包含するものとする。多くの発現検出方法は、分離したRNAを使用する。生体外方法においては、mRNAの分離に対しては選択しない任意のRNA分離方法を、結腸直腸癌由来のRNAの精製において使用し得る(例えば、Ausubel et al., ed., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York 1987-1999参照)。さらに、多数量の組織サンプルは、例えば、Chomczynskiの1工程RNA分離法(1989年、米国特許第4,843,155号)のような当業者にとって周知の方法を使用して容易に処理し得る。
分離したmRNAは、限定するものではないが、サザンまたはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析およびプローブアレー法のようなハイブリッド化および増幅アッセイにおいて使用し得る。mRNAレベル検出のための1つの好ましい診断方法は、分離したmRNAを、検出する遺伝子によってコード化されているmRNAにハイブリッド化し得る核酸分子(プローブ)と接触させることを含む。核酸プローブは、例えば、長さにおいて少なくとも7、15、30、50、100、250または500個のヌクレオチドを有し、そして本発明のマーカーをコード化するmRNAまたはゲノムDNAに緊縮条件下に特異的にハイブリッド化するに十分なオリゴヌクレオチドのような全長cDNAまたはその1部であり得る。本発明の予後診断アッセイにおいて使用するのに適する他のプローブは、本明細書において説明している。mRNAのプローブによるハイブリッド化は、当該マーカーが発現したことを指標する。
1つの方式において、mRNAを、例えば分離したmRNAをアガロースゲル上に流し込み、mRNAをこのゲルからニトロセルロースのような膜に移すことによって固体表面に固定しプローブと接触させる。別の方式においては、プローブ(1種以上)を固体表面に固定し、mRNAを、プローブ(1種以上)と、例えば、Affymetrix遺伝子チップアレー内で接触させる。熟練技術者であれば、既知のmRNA検出方法を、本発明のマーカーによりコード化されているmRNAの量の検出において使用するよう容易に適応化し得るであろう。
【0055】
サンプル中のmRNAマーカー量を測定する別の方法は、例えば、rtPCR (Mullisの米国特許第4,683,202号、1987年に示されている試験実施態様)、リガーゼ連鎖反応 (Barany, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189-193)、自律性配列複写 (Guatelli et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅システム(Kwoh et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardi et al., 1988, Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製 (Lizardi等の米国特許第5,854,033号)または他の任意の核酸増幅法による核酸の増幅工程、および、その後の増幅した分子の当業者にとって周知の方法を使用しての検出工程を含む。これらの検出方式は、核酸分子を、そのような分子が極めて少数しか存在しない場合に検出するのにとりわけ有用である。本明細書において使用するとき、増幅プライマーは、遺伝子の5’または3’領域(それぞれ、プラスおよびマイナスストランド;その逆も可能である)にアニーリングし且つ間に短領域を含有し得る核酸分子の対であると定義する。一般に、増幅プライマーは、長さで約10〜30個のヌクレオチドであり、長さで約50〜200個のヌクレオチドの領域にフランキングしている。適切な条件下に適切な試薬により、そのようなプライマーは、これらプライマーがフランキングしたヌクレオチド配列を含む核酸分子の増幅を可能にする。
現場法においては、mRNAは、検出前に、結腸直腸癌から分離することを必要としない。そのような方法においては、細胞または組織サンプルは、既知の組織学方法を使用して調製/加工する。その後、サンプルを支持体、典型的にはガラススライド上に固定し、次いで、上記マーカーをコード化しているmRNAにハイブリッド化し得るプローブと接触させる。
【0056】
マーカーの絶対的発現量に基づき測定を行う別法として、測定は、マーカーの標準化した発現量に基づき得る。発現量を、その発現をマーカーでない遺伝子、例えば、構成的に発現するハウスキーピング遺伝子の発現と比較することによりマーカーの絶対発現量を補正することによって標準化する。標準化用の適切な遺伝子としては、アクチン遺伝子、リボソーム18S遺伝子、GAPD遺伝子、または上皮細胞特異性遺伝子のようなハウスキーピング遺伝子がある。この標準化は、1つのサンプル、例えば、患者サンプル中ともう1つのサンプル、例えば、結腸直腸癌でないサンプル中での発現量或いは異なる源からのサンプル間の比較を可能にする。
また、発現量は、相対的発現量として提示し得る。マーカーの相対的発現量を測定するには、そのマーカーの発現量を、当該サンプルにおける発現量を測定する前に、正常対癌細胞分離物の10以上のサンプル、好ましくは50以上のサンプルにおいて測定する。多数のサンプル中でアッセイした遺伝子各々の平均発現量を判定し、これをそのマーカーの基礎発現量として使用する。その後、試験サンプルにおいて測定したマーカーの発現量(絶対発現量)を、そのマーカーにおいて得られた上記平均発現値で除する。これによって、相対発現値を得る。
【0057】
本明細書において既に説明しているように、本発明の癌予後診断方法を実施するときに生物学的マーカータンパク質を検出および/または定量するための1つの好ましい薬剤は、そのような生物学的マーカータンパク質またはそのフラグメントに特異的に結合する抗体、好ましく、検出可能なラベルを含む抗体である。抗体は、ポリクローナル、或いは、より好ましくはモノクローナルであり得る。完全抗体、またはそのフラグメントもしくは誘導体(例えば、FabまたはF(ab’)サブユニット2)を使用し得る。プローブまたは抗体に関しての“ラベル化”なる用語は、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップリング(即ち、物理的に結合)させることによるプローブまたは抗体の直接のラベル化、並びに、直接ラベル化したもう1つの試薬による反応性によるプローブまたは抗体の間接ラベル化を包含するものとする。間接ラベル化の例としては、蛍光ラベル化二次抗体を使用する一次抗体の検出、およびDNAプローブを蛍光ラベル化ストレプタビジンによって検出できるようにするDNAプローブのビオチンによる末端ラベル化がある。
種々の方式を使用して、サンプルが所定の抗体に結合する生物学的マーカータンパク質を含有するかどうかを判定することができる。そのような方式の例としては、限定するものではないが、酵素イムノアッセイ(EIA)法、ラジオイムノアッセイ(RIA)法、ウェスタンブロット分析法および酵素免疫吸着測定法(ELISA)がある。熟練技術者であれば、既知のタンパク質/抗体検出および/または定量法を、本発明に従う癌予後診断方法において使用するように容易に適応化し得るであろう。
1つの方式においては、抗体、或いは抗体フラグメントまたは誘導体を、ウェスタンブロット、SELDI-TOF (マトリックス上にカップリングさせた抗体-ビーズにより実施する)または免疫蛍光法のような方法において使用して、発現タンパク質を検出する。そのような使用においては、抗体またはタンパク質のいずれかを固形支持体上に固定させるのが好ましい。適切な固相支持体または担体としては、抗原または抗体を結合し得る任意の支持体がある。周知の支持体または担体としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および変性セルロース、ポリアクリルアミド、斑レイ岩およびマグネタイトがある。
当業者であれば、抗体または抗原を結合させる多くの他の適切な担体を知っているであろうし、そのような支持体を本発明による使用のために適応化し得るであろう。例えば、結腸直腸癌から分離したタンパク質は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供してニトロセルロースのような固相支持体上に固定させ得る。その後、支持体を適切な緩衝液で洗浄し、次いで、検出可能にラベル化した抗体により処理する。その後、固相支持体を緩衝液で2回洗浄して未結合抗体を除去する。その後、固形支持体上の結合ラベルの量を、通常の手段により検出することができる。
【0058】
本発明の癌予後診断方法を実施する目的において生物学的マーカーを定量する最も好ましい方法を、以下に説明する。
組織マイクロアレーによる生物学的マーカーの定量
ある種の実施態様においては、生物学的マーカーまたは生物学的マーカーのセットは、当該技術において既知の組織マイクロアレー法の任意の1つによって定量し得る。
組織マイクロアレーは、組織を通常の組織学パラフィンブロックから再配置して複数の患者またはブロックに由来する組織を同じスライド上で見られるようにする方法によって製造する。この製造は、ニードルを使用して標準の組織切片を生検し、このコアを受入れパラフィンブロック上のアレーに入れることによって実施する。この方法は、1987年、Wanによって最初に開示された(Wan, Fortuna and Furmanski ; Journal of Immunological Methods)。組織マイクロアレーのある種の実施態様においては、組織コアを、ブロック内の特定の空間固定位置に配置する。この方法は、とりわけKononen等によって開示されている(Nature Medicine in 1998)。
組織アレー法は、パラフィン埋込み組織試験標本から小さな最低限の円筒状サンプルを獲得することを含む。その後、これらの円筒体を、もう1つのパラフィンブロック内に系統的な高密度グリッドに配列する。
例えば、(i)腫瘍の中心、(ii)浸潤性周辺部または(iii)局所リンパ節の生検サンプルの形としてのような腫瘍組織サンプルを、適切な数の個々人から入手し、ホルマリン固定し、パラフィン埋込み腫瘍組織ブロックとする。これらをTMAブロックに移す。複数のTMAブロックを同時に作成し得る。各TMAブロックを300倍まで区分化する;得られる全てのTMAスライドは、同じ配置位置に同じ組織を有する。個々のスライドは、組織形態を確認するためのH&E染色、mRNA現場ハイブリッド化、タンパク質免疫組織化学または遺伝子変化についてのDNA分析のような種々の分子分析において使用し得る。
【0059】
これらの円筒状腫瘍組織サンプルは小さい(直径0.4〜1mm×高さ3〜4mm)ので、1000個までの組織を、劣化および組織要件を最小にしながら、1個のパラフィンブロック内に配列し得る。さらにまた、これらのパラフィンブロックは、横方向に切断して数百枚の組織マイクロアレー切片とすることができ、その後、各々を種々の遺伝子分析において使用し得る。
分析速度の増大以外に、組織マイクロアレーは、本発明に従う癌予後診断方法の再現性および信頼性も確証し得る;何故ならば、数百の種々の組織サンプルを、同じスライド上で全て実質的に同一の方法で、並行して取扱い、調製し、染色し得るからである (Kallioniemi, O.; Wagner, U.; Kononen, J. and Sauter, G. Tissue microarray technology for high-throughput molecular profiling of cancer. Human Molecular Genetics (2001), 10, 657-662)。
典型的には、腫瘍の代表的な領域をパラフィン埋込み腫瘍組織ブロックから取出し、それによって腫瘍組織サンプルを取得する。その後、これらの腫瘍組織サンプルをもう1つの受入れパラフィンブロックに移し、そこでこれらのサンプルをスポット付けする。次いで、上記受入れパラフィンブロック内に配列した組織サンプルスポットを、さらなる分析用に、薄い切片、典型的には2〜5μmの切片に切断する。
典型的には、さらなる分析においては、アレーの1枚の薄片、即ち、組織マイクロアレーを、先ず、興味ある1種の生物学的マーカーに対して特異性のラベル化抗体と一緒にインキュベートする。洗浄後、上記興味ある生物学的マーカーに結合したラベル化抗体を、ラベル化抗体が担持するラベルの種類、例えば、放射線、蛍光または酵素ラベルに応じた適切な方法によって明白化する。また、複数のラベル化も、とりわけ、2種以上の生物学的マーカーを定量する目的で2種以上のタンパク質特異性抗体を使用する実施態様において、同時に実施し得る。
組織マイクロアレーを使用して生物学的マーカーを定量する具体的な実施態様は、下記の実施例において開示している。
【0060】
通常の組織スライド(パラフィン埋込みまたは凍結試験標本)においての免疫組織化学による生物学的マーカーの定量
ある種の実施態様においては、生物学的マーカーまたは生物学的マーカーのセットは、当該技術において既知の免疫組織化学法の任意の1つの方法により定量し得る。
その場合、分析は、(i) 包括的な原発腫瘍(全体としての)、(ii) 腫瘍の中心からの組織サンプル、(iii) 腫瘍を直接取巻く組織(該組織はより具体的には腫瘍の“浸潤性周辺部”と称する)からの組織サンプルおよび(iv) 腫瘍に最も近い位置にあるリンパ節、(vi) 遠隔転移において実施し得る。
また、分析は、好ましくは、腫瘍領域(上記で定義した)の組合せにおいても実施し得る。
典型的には、さらなる分析においては、腫瘍の1枚の薄片を、先ず、興味ある1種の生物学的マーカーに対して特異性のラベル化抗体と一緒にインキュベートする。洗浄後、上記興味ある生物学的マーカーに結合したラベル化抗体を、ラベル化抗体が担持するラベルの種類、例えば、放射線、蛍光または酵素ラベルに応じた適切な方法によって明白化する。また、複数のラベル化も同時に実施し得る。
フローサイトメトリー法による生物学的マーカーの定量
ある種の実施態様においては、生物学的マーカーまたは生物学的マーカーのセットは、当該技術において既知のフローサイトメトリー法の任意の1つの方法により定量し得る。
例えば、試験する腫瘍組織サンプル中に含まれる細胞を、先ず、機械的に分散させることにより抽出し、液媒中の細胞懸濁液を調製する。
その後、そのようにして得られた細胞を、定量すべき生物学的マーカー(1種以上)に対して特異性の抗体と一緒に適切な時間インキュベートする。
細胞懸濁液を洗浄して未結合抗体を除去した後、得られた細胞を、フローサイトメトリーを実施することにより、上記生物学的マーカーの各々を発現する細胞懸濁液中に存在する細胞総数の割合を定量する見地において分析する。
フローサイトメトリーを使用して生物学的マーカーを定量する具体的な実施態様は、下記の実施例において開示している。
【0061】
核酸増幅による生物学的マーカーの定量
ある種の実施態様においては、生物学的マーカーまたは生物学的マーカーのセットは、当該技術において既知の核酸増幅法の任意の1つの方法により定量し得る。
その場合、分析は、(i) 包括的な原発腫瘍(全体としての)、(ii) 腫瘍の中心(CT)からの組織サンプル、(iii) 腫瘍を直接取巻く組織(該組織はより具体的には腫瘍の“浸潤性周辺部”と称する)からの組織サンプルおよび(iv) 腫瘍に最も近い位置にあるリンパ節、(vi) 遠隔転移において実施し得る。
また、分析は、好ましくは、腫瘍顕微解剖後の腫瘍領域(上記で定義した)の組合せにおいても実施し得る。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、そのような生物学的マーカーの定量における高感度で強力な方法である。
本発明の癌予後診断方法を実施するときに生物学的マーカーを定量するのに適している核酸増幅方法の任意の1つの方法を実施するには、ターゲットmRNAまたはターゲットcDNAと特異的にハイブリッド化するプライマーの対を必要とする。
興味あるターゲット核酸生物学的マーカーと特異的にハイブリッド化するプライマーの対は、当該技術において既知の多くの方法の任意の1つの方法によって設計し得る。
ある種の実施態様においては、本発明の生物学的マーカーの各々について、少なくとも1対の特異性プライマー対並びに相応する検出核酸プローブは、とりわけ下記のインターネットアドレスの公的な“Quantitative PCR primer database”において既に示され、完全に説明されている:
http://lpgws.nci.nih.gov/cgi-bin/PrimerViewer
他の実施態様においては、プライマーの特異性対は、Nakae等の米国特許第6,892,141号に開示された方法を使用して設計し得る;該米国特許の開示は、全て参考として本明細書に合体させる。
【0062】
PCR方法の多くの特定の適応化が、定性および定量検出の双方について当該技術において知られている。とりわけ、蛍光染料を使用して増幅させたPCR生成物を検出し定量する方法が知られている。均質PCRとしても知られている現場増幅および検出も、以前から開示されている。例えば、Higuchi et al., (Kinetics PCR Analysis: Real-time Monitoring of DNA Amplification Reactions, Bio/Technology, Vol 11, pp 1026-1030 (1993));Ishiguro et al., (Homogeneous quantitative Assay of Hepatitis C Virus RNA by Polymerase Chain Reaction in the Presence of a Fluorescent Intercalater, Anal. Biochemistry 229, pp 20-213 (1995));および、Wittwer et al., (Continuous Fluorescence Monitoring of Rapid cycle DNA Amplification, Biotechniques, vol.22, pp 130-138 (1997.))を参照されたい。
また、核酸を定量する多くの他の方法も開発されている(Southern, E. M., J. Mol. Biol., 98:503-517, 1975;Sharp, P. A., et al., Methods Enzymol. 65:750-768, 1980;Thomas, P. S., Proc. Nat. Acad. Sci., 77:5201-5205, 1980)。さらに最近、サンプル中の核酸の量を測定することのできるPCRおよびRT-PCR法も開発されている。1つの方法は、例えば、反応生成物のプラトー形成前の反応の対数期におけるPCR生成物量を測定する(Kellogg, D. E., et al., Anal. Biochem. 189:202-208 (1990);および、Pang, S., et al., Nature 343:85-89 (1990))。比較的一定量で全てのサンプル中に含まれる遺伝子配列をサンプル増幅効率標準化に利用している。しかしながら、この方法は、幾つかの欠点を有する。この方法は、各サンプルが等しい入力量の核酸を含むことおよびサンプル間の増幅効率が分析時まで同一であることを必要とする。さらにまた、ゲル電気泳動またはプレート捕捉ハイブリッド化のような通常のPCR定量方法を使用して、サンプルの全てがこの方法が必要とするような反応の対数期中に実際に分析されているかを判定するのは困難である。
【0063】
定量的拮抗(QC)-PCRと称するもう1つの方法は、名前が暗示するように、各反応物中に内部対照拮抗剤を含ませることに依存している(Becker-Andre, M., Meth. Mol. Cell Biol. 2:189-201 (1991);Piatak, M. J., et al., BioTechniques 14:70-81 (1993);および、Piatak, M. J., et al., Science 259:1749-1754 (1993))。各反応の効率を内部拮抗剤に標準化している。既知の量の内部拮抗剤を各サンプルに典型的に添加する。未知のターゲットPCR生成物を既知の拮抗剤PCR生成物と比較して相対的量を得る。この一般的方法における困難性は、同じ効率のターゲット分子と一緒に増幅する内部対照を開発することにある。
例えば、使用する核酸増幅方法は、リアルタイム定量PCR分析からなり得る。
リアルタイムまたは定量的PCR (QPCR)は、DNA、cDNAまたはRNAテンプレートの出発量の定量を可能にする。QPCRは、PCR生成物が増幅サイクル毎に集積するにつれて増大する蛍光レポーター分子の検出に基づく。蛍光レポーター分子としては、二本鎖DNA(即ち、SYBR Green I)または配列特異性プローブ(即ち、Molecular BeaconsまたはTaqMan
R Probes)に結合する染料がある。
好ましい核酸増幅方法は、Therianos等の公開米国特許出願第2005/0089862号(該米国特許出願の開示は、全て参考として本明細書に合体させる)に開示されている方法のような多重定量PCR法を含む定量的PCR増幅方法である。
例えば。本発明の生物学的マーカーの定量においては、腫瘍組織サンプルは、生検収集後まもなく迅速凍結する。その場合、“腫瘍組織サンプル”、即ち、(i) 包括的な原発腫瘍(全体としての)、(ii) 腫瘍の中心からの組織サンプル、(iii) 腫瘍を直接取巻く組織(該組織はより具体的には腫瘍の“浸潤性周辺部”と称する)からの組織サンプル、(iv) 腫瘍に最も近い位置にあるリンパ節、(v) 術前実施の腫瘍生検(例えば、処置後の患者のフォローアップのための)、および(vi) 遠隔転移からの全RNAを分離し、定量する。その後、抽出し定量したRNAの各サンプルを逆転写し、得られたcDNAを、PCRにより、定量する各生物学的マーカーに対して特異性のプライマーの対を使用して増幅させる。対照のプライマー対、例えば、18S cDNAおよびGADPH cDNA、または任意の他の周知の“ハウスキーピング”遺伝子と特異的にハイブリッド化するプライマー対を対照として同時に使用する。
核酸増幅法を使用して生物学的マーカーを定量する具体的な実施態様は、下記の実施例において開示している。
【0064】
癌予後診断キット
本発明は、患者の癌(例えば、腫瘍組織患者サンプルのようなサンプル中の)の予後を評価するためのキットも包含する。このキットは、複数の試薬を含み、その各々は、生物学的マーカー核酸またはタンパク質と特異的に結合し得る。マーカータンパク質と結合させるための適切な試薬としては、抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント等がある。マーカー核酸(例えば、ゲノムDNA、mRNA、スプライスmRNAまたはcDNA等)と結合させるための適切な試薬としては、相補性核酸がある。例えば、核酸試薬としては、基体に固定させたオリゴヌクレオチド(ラベル化したまたはラベル化していない)、基体と結合させていないラベル化オリゴヌクレオチド、PCRプライマー対、分子ビーコンプローブ等があり得る。
従って、本発明のさらなる目的は、患者の癌進行の予後診断用のキットからなり、このキットは、上記患者の癌に対する適応的免疫応答の状態を標示する少なくとも1種の生物学的マーカーを定量する手段を含む。
本発明のキットは、必要に応じて、本発明の方法を実施するのに有用なさらなる成分を含み得る。例えば、上記キットは、相補性核酸をアニーリングするのに適するまたは抗体を該抗体が特異的に結合するタンパク質と結合させるのに適する液体(例えば、SSC緩衝液)、1以上のサンプルコンパートメント、本発明の癌予後診断方法の性能を説明する使用説明材料等を含み得る。
【0065】
抗体を含むキット
ある種の実施態様においては、本発明に従うキットは、抗体の1種、組合せまたはセットを含み、これら抗体の各々の種は、本発明の1つの生物学的マーカーに対して特異性である。
1つの実施態様においては、上記キットは、少なくとも2種類の抗体を含む組合せまたはセットを含み、抗体の各々の種は、CD3、CD8、GZMB、CD45RO、GLNY、TBX21、IRF1、IFNG、CXCL9、CXCL10、CD4、CXCR3、CXCR6、IL-18、IL-18Rベータ、フラクタルカイン、IL-23、IL-31、IL-15、IL-7、MIG、パーフォリン、TCRαβ、TCRγδ、LAT、ZAP70、CD5、CD2生物学的マーカーの1つの対して特異性の抗体からなる群から選ばれる。
本発明に従う抗体キットは、2〜20種類の抗体を含み得、各々の種類の抗体は、本発明の1つの生物学的マーカーに対して特異性である。例えば、本発明に従う抗体キットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20種類の抗体を含み得、各々の種類の抗体は、本明細書において定義しているような1つの生物学的マーカーに対して特異性である。
本発明に従う生物学的マーカーに対して特異性の各種抗体は、CD3、CD8、GZMB、CD45RO、GLNY、TBX21、IRF1、IFNG、CXCL9、CXCL10、CD4、CXCR3、CXCR6、IL-18、IL-18Rベータ、フラクタルカイン、IL-23、IL-31、IL-15、IL-7、MIG、パーフォリン、TCRαβ、TCRγδ、LAT、ZAP70、CD5およびCD2からなる群から選ばれる生物学的マーカーに対して特異性の抗体を含む。
本発明に従う生物学的マーカーに対して特異性の各種抗体は、CCR5、CR7、CD103、CD119、CD120a、CD120b、CD122、CD127、CD134、CD14、CD152、CD154、CD178、CD183、CD184、CD19、CD1a、CD210、CD25、CD26、CD27、CD28、CD3、CD32、CD4、CD44、CD45、CD45Ra、CD45Ro、CD47、CD49d、CD5、CD54、CD56、CD62L、CD69、CD7、CD8、CD80、CD83、CD86、CD95、CD97、CD98、CXCR6、GITR、HLA-DR、ICOS、IFNγRII、IL-18Rα、KIR-NKAT2、PD1、TCRαβおよびTGFRIIからなる群から選ばれる生物学的マーカーに対して特異性の抗体を含む。これらの抗体の特定の実施態様は、下記の表3に列挙している。
また、特異性抗体によって検出し得る生物学的マーカーは、CD3、CD8、GZMB、CD45RO、GLNY、TBX21、IRF1、IFNG、CXCL9、CXCL10、CD4、CXCR3、CXCR6、IL-18、IL-18Rベータ、フラクタルカイン、IL-23、IL-31、IL-15、IL-7、MIG、パーフォリン、TCRαβ、TCRγδ、LAT、ZAP70、CD5、CD2からなる生物学的マーカーの群から選ばれ得る。
ある種の他の実施態様においては、本発明に従うキットは、本発明の1種以上の生物学的マーカーと結合するリガンド対または特異性可溶性分子の1種、組合せまたはセットを含む。
【0066】
核酸プライマーを含むキット
ある種の他の実施態様においては、本発明に従うキットは、プライマー対の1種、組合せまたはセットを含み、これらプライマー対の各々の種は、本発明の1つの生物学的マーカーと特異的にハイブリッド化する。
1つの実施態様においては、上記キットは、少なくとも2種類のプライマー対を含むプライマー対の組合せまたはセットを含み、プライマー対の各々の種類は、CD8A-TBX21、CD3Z-CD8A、CD3Z-TBX21、B7H3-TGFB1、IFNG-TBX21、CD4-CD8A、CD8A、IFNG、CD4-TBX21、CD3Z-CD4、CD4-TGFB1、CD8A-GLNY、IFNG-IRF1、GLNY-IFNG、IRF1-TBX21、IL8-PTGS2、GLNY-TBX21、CD3Z-GLNY、CD3Z-IFNG、GZMB-IFNG、GLNY-IRF1、IL10-TGFB1、CD8A-IL10、CD4-IL10、CD8A-GZMB、GZMB-TBX21、CD3Z-GZMB、CD4-IRF1、GNLY-GZMB、B7H3-IL10、CD4-GZMB、GZMB-IRF1、IL10-TBX21、CD4-IFNG、B7H3-CD4、CD8A-TGFB1、CD3Z-IL10およびCD4-GNLY生物学的マーカーのうちの1つとハイブリッド化するプライマー対からなる群から選択し得る。
【0067】
もう1つの実施態様においては、上記キットは、少なくとも2種類のプライマー対を含むプライマー対の組合せまたはセットを含み、プライマー対の各々の種類は、以下の生物学的マーカーのうちの1つとハイブリッド化するプライマー対からなる群から選ばれる:18s、ACE、ACTB、AGTR1、AGTR2、APC、APOA1、ARF1、AXIN1、BAX、BCL2、BCL2L1、CXCR5、BMP2、BRCA1、BTLA、C3、CASP3、CASP9、CCL1、CCL11、CCL13、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL2、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL5、CCL7、CCL8、CCNB1、CCND1、CCNE1、CCR1、CCR10、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCRL2、CD154、CD19、CD1a、CD2、CD226、CD244、PDCD1LG1、CD28、CD34、CD36、CD38、CD3E、CD3G、CD3Z、CD4、CD40LG、CD5、CD54、CD6、CD68、CD69、CLIP、CD80、CD83、SLAMF5、CD86、CD8A、CDH1、CDH7、CDK2、CDK4、CDKN1A、CDKN1B、CDKN2A、CDKN2B、CEACAM1、COL4A5、CREBBP、CRLF2、CSF1、CSF2、CSF3、CTLA4、CTNNB1、CTSC、CX3CL1、CX3CR1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL16、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6、CXCL9、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CYP1A2、CYP7A1、DCC、DCN、DEFA6、DICER1、DKK1、Dok-1、Dok-2、DOK6、DVL1、E2F4、EBI3、ECE1、ECGF1、EDN1、EGF、EGFR、EIF4E、CD105、ENPEP、ERBB2、EREG、FCGR3A、CGR3B、FN1、FOXP3、FYN、FZD1、GAPD、GLI2、GNLY、GOLPH4、GRB2、GSK3B、GSTP1、GUSB、GZMA、GZMB、GZMH、GZMK、HLA-B、HLA-C、HLA-、MA、HLA-DMB、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DPA1、HLA-DQA2、HLA-DRA、HLX1、HMOX1、HRAS、HSPB3、HUWE1、ICAM1、ICAM-2、ICOS、ID1、ifna1、ifna17、ifna2、ifna5、ifna6、ifna8、IFNAR1、IFNAR2、IFNG、IFNGR1、IFNGR2、IGF1、IHH、IKBKB、IL10、IL12A、IL12B、IL12RB1、IL12RB2、IL13、IL13RA2、IL15、IL15RA、IL17、IL17R、IL17RB、IL18、IL1A、IL1B、IL1R1、IL2、IL21、IL21R、IL23A、IL23R、IL24、IL27、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL31RA、IL4、IL4RA、IL5、IL6、IL7、IL7RA、IL8、CXCR1、CXCR2、IL9、IL9R、IRF1、ISGF3G、ITGA4、ITGA7、インテグリン、アルファE (抗原CD103、ヒト粘膜リンパ球、抗原1;アルファポリペプチド)、遺伝子hCG33203、ITGB3、JAK2、JAK3、KLRB1、KLRC4、KLRF1、KLRG1、KRAS、LAG3、LAIR2、LEF1、LGALS9、LILRB3、LRP2、LTA、SLAMF3、MADCAM1、MADH3、MADH7、MAF、MAP2K1、MDM2、MICA、MICB、MKI67、MMP12、MMP9、MTA1、MTSS1、MYC、MYD88、MYH6、NCAM1、NFATC1、NKG7、NLK、NOS2A、P2X7、PDCD1、PECAM-、CXCL4、PGK1、PIAS1、PIAS2、PIAS3、PIAS4、PLAT、PML、PP1A、CXCL7、PPP2CA、PRF1、PROM1、PSMB5、PTCH、PTGS2、PTP4A3、PTPN6、PTPRC、RAB23、RAC/RHO、RAC2、RAF、RB1、RBL1、REN、Drosha、SELE、SELL、SELP、SERPINE1、SFRP1、SIRP ベータ 1、SKI、SLAMF1、SLAMF6、SLAMF7、SLAMF8、SMAD2、SMAD4、SMO、SMOH、SMURF1、SOCS1、SOCS2、SOCS3、SOCS4、SOCS5、SOCS6、SOCS7、SOD1、SOD2、SOD3、SOS1、SOX17、CD43、ST14、STAM、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5A、STAT5B、STAT6、STK36、TAP1、TAP2、TBX21、TCF7、TERT、TFRC、TGFA、TGFB1、TGFBR1、TGFBR2、TIMP3、TLR1、TLR10、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TNF、TNFRSF10A、TNFRSF11A、TNFRSF18、TNFRSF1A、TNFRSF1B、OX-40、TNFRSF5、TNFRSF6、TNFRSF7、TNFRSF8、TNFRSF9、TNFSF10、TNFSF6、TOB1、TP53、TSLP、VCAM1、VEGF、WIF1、WNT1、WNT4、XCL1、XCR1、ZAP70およびZIC2。
【0068】
1つの実施態様においては、上記キットは、少なくとも2種類のプライマー対を含むプライマー対の組合せまたはセットを含み、プライマー対の各々の種類は、以下の生物学的マーカーのうちの1つとハイブリッド化するプライマー対からなる群から選ばれる:TNFRSF6B、CEACAM1、PDCD1LG1、CD8A、PTGS2、BIRC5、SELL、INDO、IRAK4、TNF、TNFRSF10A、MMP7、LILRB3、CD3Z、TNFRSF8、GAPD、CXCL10、EBAG9、IL8、STAT1、CXCR3、TGFB1、ICOS、CXCL9、CD97、IL18RAP、CXCR6、ART1、IRF1、B7H3、ACE、IL18R1、TBX21、IL18、PDCD1、IFNG、GNLY、GATA3、VEGF、GZMB、LAT、CD4、IRTA2、IL10、TNFSF4、THSD1およびPDCD1LG2。
1つの実施態様においては、上記キットは、少なくとも2種類のプライマー対を含むプライマー対の組合せまたはセットを含み、プライマー対の各々の種類は、以下の生物学的マーカーのうちの1つとハイブリッド化するプライマー対からなる群から選ばれる:CD3、CD8、GZMB、CD45RO、GLNY、TBX21、IRF1、IFNG、CXCL9、CXCL10、CD4、CXCR3、CXCR6、IL-18、IL-18Rベータ、フラクタルカイン、IL-23、IL-31、IL-15、IL-7、MIG、パーフォリン、TCRαβ、TCRγδ、LAT、ZAP70、CD5、CD2。
さらにもう1つの実施態様においては、上記キットは、核酸プライマーまたはプライマー対のセットまたは組合せを含み、各々のプライマーまたはプライマー対は、PDCD1LG1、VEGF、TNFRSF6B、IRF1、IL8RAおよびSELL生物学的マーカーとハイブリッド化する。
本発明に従うプライマーキットは、2〜20種類のプライマー対を含み得、各々の種類のプライマー対は本発明の生物学的マーカーの1つと特異的にハイブリッド化する。例えば、本発明に従うプライマーキットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20種類のプライマー対を含み得、各々の種類のプライマー対は、本明細書において定義しているような1つの生物学的マーカーに対して特異的にハイブリッド化する。
とりわけ、興味ある1つの生物学的マーカーと特異的にハイブリッド化する、少なくとも1対の特異性プライマー並びに相応する検出核酸プローブは、とりわけ下記のインターネットアドレスの公的な“Quantitative PCR primer database”において既に示され、完全に説明されている:
http://lpgws.nci.nih.gov/cgi-bin/PrimerViewer
【0069】
抗癌治療のモニタリング
本発明の生物学的マーカーの発現レベルに対する薬剤(例えば、薬物化合物)の影響をモニターすることは、患者の適応的免疫応答の状態を経時的にモニターすることに当てはまる。例えば、生物学的マーカー発現に影響を与える薬剤の有効性を、抗癌治療を受けている患者の治療中にモニターし得る。
好ましい実施態様においては、本発明は、以下の工程を含むことを特徴とする、薬物(例えば、作用薬、拮抗薬、ペプチド擬態物、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子または他の薬物候補剤)による患者の治療の有効性のモニタリング方法を提供する:(i) 上記薬剤の投与前の患者から投与前サンプルを取得する工程;(ii) 上記投与前サンプル中の本発明の1種以上の選定した生物学的マーカーの発現レベルを検出する工程;(iii) 上記患者から1以上の投与後サンプルを取得する工程;(iv) 上記投与後サンプル中の上記生物学的マーカー(1種以上)の発現レベルを検出する工程;(v) 上記投与前サンプル中の上記生物学的マーカー(1種以上)の発現レベルを上記投与後の1以上のサンプル中の上記マーカー(1種以上)の発現レベルと比較する工程;および、(vi) 上記薬剤の患者への投与を相応に変更する工程。例えば、治療過程における生物学的マーカー遺伝子(1種以上)の発現の低下は、有効でない投与量および投与量増大の望ましさを指標し得る。逆に、生物学的マーカー遺伝子(1種以上)の発現上昇は、有効な治療および投与量変更の必要のないことを指標し得る。
【0070】
既に本明細書において説明しているように、本発明の癌予後診断方法の実施は、従来技術の方法を上回る正確さでもって、免疫療法のようなアジュバント療法の利益を受け得る腫瘍再発高リスク患者を標示し得る。
例えば、本発明の癌予後診断方法の終了時に、転移のない良好な予後または長い無病生存時間の予後を判定した場合、その後の抗癌治療は、何らのアジュバント化学療法を含まない。
しかしながら、本発明の癌予後診断方法の終了時に、転移のある悪い予後または短い無病生存時間の悪い予後を判定した場合、患者は、適切なアジュバント化学療法組成物の投与を受ける。
さらに、本発明の癌予後診断方法の終了時に、転移のある悪い予後または短い無病生存時間の悪い予後を判定した場合、患者は、インターロイキンのような免疫賦活化サイトカインまたはケモカインを含む製薬組成物のような適切な免疫賦活化用組成物の投与を受ける。
好ましい免疫賦活化サイトカインまたはケモカインは、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-7、G-CSF、IL-15、GM-CSF、IFN-γ、CXCL9、CXCL10、フラクタルカイン、MIG、IFNα、IL-18、IL-12、IL-23およびIL-31からなる群から選ばれる。
従って、本発明は、癌患者における癌治療を適応化する方法にも関し、該方法は、下記の処置を含むことを特徴とする:
a) 上記患者から収集した少なくとも1種の腫瘍組織サンプルに対して、本明細書において開示する上記癌予後診断方法を実施する処置;
b) 上記癌患者の癌治療を、悪い癌予後が処置a)の終了時に判定された場合、上記患者にアジュバント化学療法または免疫賦活化療法を施すことにより適応化させる処置。
本発明のもう1つの目的は、患者の薬剤による治療(アジュバントまたは新アジュバント)の有効性をモニターするためのキットからなり、このキットは、上記患者の癌に対する適応的免疫応答の状態を標示する少なくとも1種の生物学的マーカーを定量する手段を含むことを特徴とする。
本発明を、以下の実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明をこれら実施例に限定するものではない。
【実施例】
【0071】
A. 各実施例における材料および方法
実施例1〜4の材料および方法
A. 1. 患者およびデータベース
Laennec/HEGP Hospitalにおいて1986年〜2004年の間に腫瘍の一次切除を受けている結腸直腸癌の全ての症例(n = 959)を再検討した。この選択されていないコホートにおける観察時間は、診断から最後の接触(死亡または最後のフォローアップ)までの間であった。データは、再発の無かった或いは死亡した患者の最後のフォローアップ時において検討されていた。フォローアップの平均期間は、44.5ヶ月であった。フォローアップの無かった6名の患者は、分析から除外した。組織病理および臨床知見は、下記の表1に開示しているように、UICC-TNM病期決定システム(Sobin LH, Wittekind C, (eds). UICC TNM classification of malignant tumors. 6th ed. New York: Wiley-Liss, 2002)に従って採点した。早期転移性浸潤は、血管塞栓の存在(VE)、リンパ節浸潤(LI)、または神経周囲浸潤(PI)として定義した。VELIPI陽性腫瘍は、これらの病理知見の少なくとも1つを有し、一方、VELIPI陰性腫瘍は、上記3つの知見を有してなかった。腫瘍のTNMおよびVELIPI状態は、切除時の組織病理報告から決定した。信頼し得るウェブベースのデータベース、TME.データベース (Tumoral MicroEnvironment Database)を、Java
(登録商標)-2 Enterprise-Edition (J2EE)を使用して3段構造物上に構築し、臨床データセットおよび結果を高処理法により統合した。
【0072】
前向きの連続した選定されていない患者コホートを示すLaennec/HEGP Hospitalにおいて1986年〜2004年の間に一次切除を受けている959名の結腸直腸癌患者の記録を回顧的に再検討した。AJCC/UICC TNM病期、デュークス病期、腫瘍タイプのような通常の組織病理パラメーター並びに分化、リンパ節血管塞栓、神経周囲腫瘍浸潤(VELIPI)の度合は、表1に詳述している。アジュバントおよび緩和化学療法についてのデータは、記録されていた。5-フルオロウラシル(FU)系化学療法によるアジュバント療法は、327名の患者に施されていた(病期IIの疾病患者57名、病気IIIの疾病患者136名、病気IVの疾病患者134名)。
身体検査、血球数、肝機能試験、血清癌胎児性抗原、腹部超音波検査およびコンピュータ断層撮影検査、および胸部X線のような術後患者サーベイランスは、Laennec/HEGPおよび関連病院において、結腸癌患者における一般的な基準に従って患者全員に実施されていた。結腸鏡検査は、切除の1年後および正常な場合の3年毎に1回行われていた。腫瘍再発が疑われた場合、患者は、腹部コンピュータ断層撮影検査、磁気共鳴映像検査、胸部X線、結腸鏡検査、および該当する場合の生検を含む集中的精密検査を受けていた。
臨床知見、処置、組織病理報告およびフォローアップデータを前向きに収集し、更新し(A.Bにより)、TME.データベースに収録した。該データベースは、zlatko.trajanoski@tugraz.at.に対して申請したときにアクセス可能である。観察時間は、診断から最後の接触(死亡または最後のフォローアップ)までの間であった。データは、再発の無かった患者においては最後のフォローアップ時に或いは死亡時に検討されていた。フォローアップの平均期間は、44.5ヶ月であった。進行/死亡または最後のフォローアップまでの最低:最高値は、それぞれ、(0:214)ヶ月であった。フォローアップの無かった6名の患者は、分析から除外した。再発までの時間または無病時間は、再発患者においては手術日から確定腫瘍再発日まで、無病患者においては手術日から最後のフォローアップの日までの時間として定義した。
【0073】
A.2. 組織病理
各患者における腫瘍のH&E切片の全てを、結腸癌の病理に長じている2名の病理学者(D.D.、T.M.)または2名の研究者(F.P.、J.G.)により、以下の各々について盲検的に再評価した:(a) 腫瘍性リンパ浸潤物、(b) 浸潤性周辺部でのリンパ反応(患者当り10〜20領域分析)。これらの免疫浸潤物の密度を、上記研究者個々により、以下で開示するように、弱い(点数1)、中程度(点数2)または強い(点数3)として採点した。
TMAにより評価した415の腫瘍からの377の無作為に選択した腫瘍を、免疫細胞密度について再評価した。組織切片の再評価は、結腸癌の病理に長じている2名の病理学者(D.D.、T.M.)または2名の研究者(F.P.、J.G.)により個々に実施した。原発腫瘍の4枚の切片の平均数を分析した。分析領域は、上記領域を代表するものとして選定し、壊死性物質または膿腫からは距離があった。免疫浸潤物は、下記のようにして採点した:
(a) 腫瘍性リンパ浸潤物
腫瘍性リンパ浸潤物の密度は、腫瘍上皮および腫瘍周囲ストローマ内に分布した小円型リンパ球を5本の中出力視野(Nikon顕微鏡、×20対物)において計数することによって定量した。1(弱い)、2(中程度)または3(強い)と採点した免疫浸潤物密度は、それぞれ、上記群の16%、62%および22%において観察された。
(b) 浸潤性周辺部でのリンパ反応
進行性腫瘍(浸潤性周辺部)の最深点に隣接するリンパ球のカフ(cuff)を、明白(点数3)、明白でない(点数2)または無し(点数1)として判定した。1、2または3と採点したリンパ反応は、それぞれ、上記群の18%、60%および22%いおいて観察された。
(c) 腫瘍の周囲を取巻くリンパ節
クローン様リンパ反応は、固有筋層外面(muscularis propria externa) と結腸周囲繊維-脂肪組織との界面において典型的に見出され、粘膜(例えば、憩室起源)または先在リンパ節のいずれにも関連しない浸潤癌の周囲を取り囲むリンパ凝集物(多くの場合、胚中心を有する)として定義した。切片内での2個の大きなリンパ凝集物がこの特徴の存在に必要であった(点数2)。2個よりも多い大リンパ凝集物を点数3として示し、一方、リンパ凝集物の1個のみまたは不存在は、1と採点した。1、2または3として採点したリンパ結節密度は、それぞれ、上記群の38%、39%および23%において観察された。
【0074】
リアルタイムTaqman PCR分析
全RNAを、959症例コホートからの100の無作為に選択した凍結腫瘍試験標本から抽出した;十分な品質と量を有する75サンプルを、下記で開示しているように、定量的リアルタイムTaqMan-PCR(低密度アレー)および7900ロボット化PCR装置(Applied-Biosystems社、カリフォルニア州フォスターシティー)を使用して、遺伝子発現について分析した。
組織サンプルは、手術後15分以内で急速凍結され、液体N
2中で保存されていた。上記コホートからの無作為に選択した凍結腫瘍試験標本(n = 100)をRNAについて抽出した。全RNAをRNeasy分離キット(Qiagen社、カリフォルニア州バレンシア)による均質化によって分離した。RNAの完全性と量を、バイオアナライザー 2100 (Agilent Technologies社、カリフォルニア州パロアルト)において評価した。75サンプルが、低密度アレー分析に対して十分なRNA品質と量を有していた。これらのサンプルは、上記コホートを代表し、全てを遺伝子発現分析において評価した。RT-PCR試験を、製造業者の使用説明書(Applied-Biosystems社、カリフォルニア州フォスターシティー)に従い実施した。定量的リアルタイムTaqMan-PCRを、低密度アレーおよび7900ロボット化リアルタイムPCR装置(Applied-Biosystems社)を使用して実施した(詳細については、表2の遺伝子目録を参照されたい)。18SおよびGAPDHプライマーおよびプローブを、内部対照として使用した。データは、SDSソフトウェア v2.2 (Applied-Biosystems社)を使用して解析した。
組織サンプルは、手術後15分以内で急速凍結され、液体N
2中で保存されていた。上記コホート(n =959)からの無作為に選択した凍結腫瘍試験標本(n = 100)をRNAについて抽出した。全RNAをRNeasy分離キット(Qiagen社、カリフォルニア州バレンシア)による均質化によって分離した。RNAの完全性と量を、バイオアナライザー 2100 (Agilent Technologies社、カリフォルニア州パロアルト)において評価した。75サンプルが、低密度アレー分析に対して十分なRNA品質と量を有していた。これらのサンプルは、上記コホートを代表し、全てを遺伝子発現分析において評価した。RT-PCR試験を、製造業者の使用説明書(Applied-Biosystems社、カリフォルニア州フォスターシティー)に従い実施した。定量的リアルタイムTaqMan-PCRを、低密度アレーおよび7900ロボット化リアルタイムPCR装置(Applied-Biosystems社)を使用して実施した(詳細については、表2の遺伝子目録を参照されたい)。18SおよびGAPDHプライマーおよびプローブを、内部対照として使用した。データは、SDSソフトウェア v2.2 (Applied-Biosystems社)を使用して解析した。
【0075】
大規模フローサイトメトリー分析
細胞を、39の新鮮腫瘍サンプルから機械的分散により抽出した。全ての細胞(腫瘍細胞を含む)を、フローサイトメトリーにより分析した。新鮮腫瘍から離れている部位からの正常粘膜に由来する細胞も分析した。細胞を、免疫細胞マーカーに対する抗体と一緒に4℃で30分間インキュベートした(抗体目録についての表3を参照されたい)。分析は、4色FACS CaliburフローサイトメーターおよびCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson社、カリフォルニア州サンディエゴ)により実施した。免疫下位集団を、全細胞総数の百分率および全CD3+細胞数の百分率として測定した。平均連結階層的クラスタ分析を適用し、結果は、GENESISプログラムを使用して表示した(Sturn A, Quackenbush J, Trajanoski Z. Genesis: cluster analysis of microarray data. Bioinformatics 2002;18(1):207-8;Galon J, Franchimont D, Hiroi N, et al. Gene profiling reveals unknown enhancing and suppressive actions of glucocorticoids on immune cells. Faseb J 2002;16(1):61-71;http://www.genome.tugraz.atにおいて利用可能なソフトウェア)。
組織マイクロアレーの構築
組織アレー装置(Beecher Instruments;ALPHELYS社、フランス国プレジール)を使用して、腫瘍の2つの代表的領域(中心および浸潤性周辺部)を、切除時に調製されていたパラフィン埋込み組織ブロックから取出した(それぞれ、0.6mmおよび1mm直径穿孔)。1990年〜2003年に切除された結腸癌のうち、50%(415症例)を、組織マイクロアレーの構築用に無作為に選定した。T、N、M、VELIPI病理知見によれば、これらの腫瘍を有する患者は、上記コホート全体を代表していた。受入れパラフィンブロック内に配列した組織コアを、ハリスヘマトキシリン(HE)および免疫組織化学染色用に5μm切片に切断した。
【0076】
免疫組織化学
抗原を検索し、内生ペルオキシダーゼ活性を失活させた後、切片を、CD45ROおよびCD3に対するモノクローナル抗体(Neomarkers社、カリフォルニア州フレモント)と一緒にインキュベートした(室温で60分間)。エンビジョン+系(二次抗体に結合させた酵素接合ポリマー主鎖)およびDAB色原体を使用した(Dako社、デンマーク国コペンハーゲン)。組織切片をハリスヘマトキシリンにより対比染色した。イソタイプ整合マウスモノクローナル抗体を陰性対照として使用した。各スライドを、画像分析ワークステーション(Spot Browser
R、ALPHELYS社)を使用して分析した。多染性高解像力スポット画像(740×540ピクセル、1.181μm/ピクセル解像力)を得た(×100倍率)。測定値は、組織表面単位当りの陽性細胞数として記録した。
統計解析
カプラン・メイヤー曲線を使用して、全生存率および無病生存率に対する早期転移浸潤(VELIPI)の病理兆候の影響を評価した。各種臨床パラメーターの有意性は、ログランク検定を使用する単変量解析により評価した(表1)。Cox比例ハザードモデルを使用して、単変量解析においては有意ですることが判明している全ての共変量の生存率(全および無病)に対する同時影響を検定した。同じ検定を使用して、CD45RO密度(細胞数/mm
2)の全および無病生存率に対する効果を、単独で、または腫瘍、結節および転移(T、N、M)病期決定共変量と一緒に評価した。Anova-t検定およびWilcoxon-Mann-Whitney検定は、VELIPI陽性およびVELIPI陰性腫瘍間で有意に異なる発現によってマーカーを同定するのに使用したパラメトリックおよび非パラメトリック検定であった。遺伝子発現レベルおよびCD45RO密度の対数の正規性は、Shapiro検定を使用して判定した。Wilcoxon検定は、種々の患者群に亘っての中央値生存率間の差異の有意性を評価するのに使用した。全ての検定は、両側であった。P値 <0.05を統計的に有意であるとみなした。全てのP値を、多重補正調整なしで報告している。全ての解析を、統計ソフトウェアRおよびStatviewにより行った。
【0077】
実施例5の材料および方法
A.3. 患者およびデータベース
Laennec-HEGP Hospital群において1990年〜2003年の間に腫瘍の一次切除を受けていた415名の結腸直腸癌(CRC)患者の記録を再検討した。Laennec-HEGP Hospital群からのこれら415名の患者は、本研究の主対象者であった(表11〜S1)。
パラフィン埋込み腫瘍サンプルは、Avicenne Hospitalにおいて1996年〜2001年の間にCRCを有すると診断された150名の連続する患者から入手できた。最後に、フォローアップも失くしてなく利用可能な2つの腫瘍領域からの生検サンプル(組織マイクロアレースポット)を有するこれらのバリデーション群の119名の患者を、生存率分析において評価した。Avicenne Hospitalからのこれら119名の患者(それぞれ、UICC-TNM病期I、II、IIIおよびIVを有する12名、33名、48名および26名の患者)は、第1のバリデーション群であった。
Laennec-HEGP Hospital群からの75名の患者由来の凍結腫瘍サンプルは、遺伝子発現分析用に選定した。これらの患者は、主要群の415名の患者とは異なる。この群の75名の患者(それぞれ、UICC-TNM病期I、II、IIIおよびIVを有する6名、17名、24名および28名の患者)から、利用可能な2つの腫瘍領域からの生検サンプル(組織マイクロアレースポット)を有する69名の患者からのパラフィン埋込み腫瘍サンプルを、生存率分析において評価した。Laennec-HEGP Hospital群からのこれら69名の患者は、第2のバリデーション群であった。
これらのコホートにおける観察時間は、診断から最後の接触(死亡または最後のフォローアップ)までの間であった。データは、再発の無かった患者においては最後のフォローアップ時に或いは死亡時に検討されていた。主要群の平均フォローアップ期間は、45.3ヶ月であった。進行/死亡または最後のフォローアップまでの最低:最高値は、それぞれ、(0:166)ヶ月であった。再発までの時間または無病時間は、再発患者においては手術日から確定腫瘍再発日まで、無病患者においては手術日から最後のフォローアップの日までの時間として定義した。組織病理および臨床知見は、UICC-TNM病期決定システムに従って採点されていた(L. Sobin, C. Wittekind, TNM classification of malignant tumors. 6th, Ed. (Wiley-Liss, New York, 2002))。術後患者サーベイランスは、Laennec-HEGP、Avicenneおよび関連病院群において、CRC患者に対する一般的基準に従って患者全員に実施されていた。アジュバント化学療法は、病期IIIのCRCを有する患者、高リスク病気IIのCRCに対して施され、緩和化学療法は、進行性結腸直腸癌を有する患者(病期IV)および腫瘍の完全切除がなされていない患者に対して施されていた。アジュバント化学療法は、フルオロウラシル(FU)系であった。フォローアップデータを前向きに収集し、更新した。信頼し得るウェブベースのデータベース、TME.データベース (Tumor MicroEnvironment Database)を、Java
(登録商標)-2 Enterprise-Edition (J2EE)を使用して3段構造物上に構築し、臨床データと高処理法によるデータを統合した。
【0078】
A.4. 組織病理
リアルタイムTaqman PCR分析
リアルタイムTaqman PCR分析は、上記実施例1〜4の材料および方法において記載したようにして実施した。
組織マイクロアレーの構築
組織マイクロアレーの構築は、上記実施例1〜4の材料および方法において記載したようにして実施した。
免疫化学
組織マイクロアレー切片を、CD3 (SP7)、CD8 (4B11)、CD45RO (OPD4)、GZMB (GrB-7)、サイトケラチン(AE1AE3)およびサイトケラチン-8 (Neomarkers社、カリフォルニア州フレモント)に対するモノクローナル抗体と一緒にインキュベートした(室温で60分間)。エンビジョン+系(二次抗体に結合させた酵素接合ポリマー主鎖)およびDAB色原体を使用した(Dako社、デンマーク国コペンハーゲン)。二重染色は、リン酸塩接合二次抗体とファストブルー(FastBlue)色原体によって明確化された。単染色においては、組織切片をハリスヘマトキシリンにより対比染色した。イソタイプ整合マウスモノクローナル抗体を陰性対照として使用した。各スライドを、画像分析ワークステーション(Spot Browser
R、ALPHELYS社)を使用して分析した。多染性高解像力スポット画像(740×540ピクセル、1.181μm/ピクセル解像力)を得た(×100倍率)。密度は、単位組織表面積当りの陽性細胞数として記録した。各複製において、平均密度を統計解析において使用した。
各腫瘍において、スポットの複製は、各腫瘍領域(CTおよびIM)において染色細胞密度の良好なレベルの均質性を示していた。腫瘍領域(CT/IM)間での免疫浸潤物の不均質密度(HiLoおよびLoHi)は、CD3、CD8、CD45ROおよびGZMB細胞密度についてそれぞれ評価した腫瘍の37%、33%、47%、36%において存在していた。
【0079】
統計解析
ジェネシスクラスタリングソフトウェア(J. Galon et al., 2002, Faseb J, Vol. 16 : 61)を使用して、
図1に示す相関マトリックスを可視化し、ピアソン非集中階層的クラスタ分析を行った。pvクラスタRパッケージを使用して、判明クラスタを検証した。
カプラン・メイヤーの生存推定量を使用して、生存曲線を可視化し、OSおよびDFSの2年、4年および5年における中央値75位パーセンタイルおよび生存率の推定量を得た。ログランク検定を使用して異なる群の患者間の無病および全生存率を比較した。RT-PCRにより測定したマーカーにおいては、中央値発現量をカットオフとして採用し、変数を二分した。TMA (CD3、CD45RO、CD8、GZM)を使用して2つの異なる領域(CTおよびIM)においてさらに試験した4種のマーカーにおいては、“最小P値”法を使用して、無病生存転帰の関連する患者群間で最良の分離を提供するカットオフを得た。CD3、CD8、CD45RO、GZMB細胞密度におけるカットオフ値は、それぞれ、腫瘍中心において370、80、80,30細胞/mm
2、浸潤性周辺部において640、300、190および60細胞/mm
2であった。この方法で得られたP値は重大な過剰適合を示し得るので、DFSログランクP値は、Altman等が提案した式を使用して補正した(D.G. Altman et al., 1994, J. Natl Cancer Inst, Vol. 86 : 829)。さらに、DFSおよびOSログランクP値は、2倍クロス確認を使用して算出した(D. Faraggi et al., 1996, Stat Med, Vol. 15 : 2203)。100回の繰返しを行った(分類変量に対して層化してまたは層化しないで)。中央値P値は、表13〜14(S4〜S5)および16〜17(S7〜S8)に要約している。
多変量Cox比例ハザードモデルを、CD3
CTCD3
IM併用領域マーカーに当てはめて、伝統的組織病理学腫瘍マーカーによる調節後のその危険率を判定した。Coxモデルは、UICC-TNM I、II、IIIを示す患者のみに当てはめて、共通ベースラインハザード関数を担保した。DFSモデルからの危険率は、Hollander等が提案しているようなリーブ・ワン・アウトクロス確認(leave-one-out cross-validation)により推定した縮小係数(Shrinkage factor)を使用して補正した(N. Hollander et al., 2004, Stat Med, Vol. 23 : 1701)。中央値をカットオフとして使用するモデルは、表14〜15および18〜19に提示している。さらに、興味あるマーカーは、興味あるマーカーをその本来の連続尺度で考慮したときは、独立した予後因子であった(データは示していない)。
明細書全体を通して、<0.05のP値を、統計摘に有意であるとみなした。解析は、全て、統計ソフトウェアR (生存パッケージ)およびStatviewにより行った。
【0080】
B. 結果
実施例1:臨床転帰と適応的免疫応答との相関
1.1 早期転移浸潤および臨床転帰
早期転移浸潤(VELIPI)を示す血管塞栓(VE)、リンパ浸潤(LI)および神経周囲浸潤(PI)の存在の予後診断の意義を、959名の結腸直腸癌患者の単変量解析によって研究した。VE、LI、PIおよびVELIPI、並びにT、N、M病期は、無病および全生存率の有意に影響していた(P<0.001) (表1)。
5年無病生存率は、それぞれ、VELIPI陰性腫瘍を有する患者において32.4%、VELIPI陽性腫瘍を有する患者において12.1%であった。また、差異は、無病生存期間中央値においても観察された(VELIPI陽性腫瘍およびVELIPI陰性腫瘍において、それぞれ、3.3対26.9ヶ月、P<0.001)。同様なパターンは、全生存率においても見出された(表1)。
さらにまた、早期転移浸潤の1以上の兆候の存在は、悪い予後を与えていた。カプロン・メイヤー曲線は、VELIPI陽性腫瘍を有する患者におけるよりもVELIPI陰性腫瘍を有する患者においてより長い全生存および無病生存を示唆していた(ログランク検定、P<0.001)。VE、LIまたはPIは、NおよびM病期と相関していた(全ての比較においてP<0.001)。生存に対する全ての有意な共変数の影響を、Cox比例ハザードモデルを使用して同時に検定した。TNM病期決定について調整する多変数解析により、VELIPI状態が良好な予後と有意に且つ非依存的に関連していることを確認した(全および無病生存それぞれにおいてP=0.04およびP=0.01)。デュークス病期決定についての調整では、VELIPI状態は、良好な予後と非依存的に関連していた(全および無病生存それぞれにおいてP=0.007およびP=0.002)。
【0081】
1.2 免疫細胞浸潤、炎症、早期転移浸潤および予後
結腸直腸腫瘍(n=377)を、腫瘍内および浸潤性周辺部内の免疫細胞浸潤物について組織病理学的に評価した。
強い免疫浸潤物の存在(点数3)は、VELIPI陰性腫瘍に関連していた。
75例の結腸直腸腫瘍における炎症誘発性および免疫抑制性分子に対するmRNAを、低密度アレー定量的リアルタイムPCRにより測定した。炎症誘発性メディエイター(IL-8、VEGF、CEACAM-1、MMP-7、Cox-2およびトロンボスポンジン-1)または免疫抑制性分子(TGFβ、IL-10、B7-H3およびCD32b)に対するmRNA含有量とVELIPI状態または再発との有意な関係は、見出せなかった(
図1、データは示していない)。
T細胞は、T-betまたはGATA-3の発現後、T
H1またはT
H2細胞にそれぞれ分化する。防御免疫応答は、表現型CD8+、CD45RO+、CCR7-、CD62L-、パーフォリン+、グラニュリシン+、グランザイム-B+を有するエフェクター記憶T細胞により介在される。これらの細胞は、細胞毒性メディエイターを放出することにより、抗原刺激に対し即時のエフェクター機能を発揮する。
図1に示すように、CD8α、グラニュリシンおよびグランザイム-Bは、VELIPI陰性腫瘍においては上昇し、再発のなかった患者からのそのような腫瘍においては、再発のあった患者からのVELIPI陽性腫瘍と比較したとき、さらに上昇していた(
P<0.05)。
さらにまた、再発のなかった患者からのVELIPI陰性腫瘍は、再発のあった患者からのVELIPI陽性腫瘍と比較して、T
H1メディエイターT-bet、IRF-1およびIFN-γの有意の上昇を有していた(P<0.05)。対照的に、T
H2転写因子、GATA-3は、いずれの群の患者においても上昇していなかった(
図1)。
【0082】
実施例2:腫瘍浸潤性免疫細胞の表現型
39例の新鮮切除結腸癌からの免疫細胞の下位集団を、大規模フローサイトメトリーにより分析した。分析を純化するために、410の種々の組合せの表面マーカーをFACSによって測定し、結果を、最低から最高発現までプロットした。
T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞およびマクロファージを、腫瘍のVELIPI状態との関連で分析した。CD3+T細胞が、最も有力な腫瘍浸潤性免疫細胞であった。CD3+、CD3+CD4+およびCD3+CD8+ T細胞は、VELIPI陽性腫瘍と比較して、VELIPI陰性腫瘍において有意に上昇していた(それぞれ、2.6、2.5、4.9倍上昇、P<0.05)。
T細胞下位集団の表現型および官能性マーカーの大規模分析(腫瘍から分離した集団全体中およびCD3+T細胞集団中での陽性細胞のパーセント)は、65の種々の組合せのマーカーにおいてVELIPI陰性およびVILIPI陽性腫瘍間の有意差(P<0.05)を明らかにしていた。段階的クラスタ分析(Eisen MB, Spellman PT, Brown PO, Botstein D. Cluster analysis and display of genome-wide expression patterns. Proc Natl Acad Sci U S A 1998;95(25):14863-8)は、VILIPI陽性腫瘍における均質パターンを示しており、一方、VILIPI陰性腫瘍の2つの下位群を識別し得た。
T細胞分化過程の未熟ものからエフェクター記憶T細胞までの全てのマーカー(CD45RO、CD45RA、CD27、CD28、CCR7、CD127)が、識別的に発現したマーカーのクラスタ内に存在していた。T細胞の移行(CD62L-、CCR7-、CD103、CD49d、CXCR3)および活性化(HLA-DR、CD98、CD80、CD86、CD134)の各マーカーも、VILIPI陰性およびVILIPI陽性腫瘍腫瘍間で識別的に発現していた。
結果は、未熟T細胞(CD3+CCR7+)が腫瘍中では稀であることを示していた。対照的に、早期記憶T細胞(CD45RO+CCR7-CD28+CD27+)からエフェクター記憶T細胞(CD45RO+CCR7-CD28-CD27-)までの分化経路においては、全ての下位集団が検出された。VILIPI陽性腫瘍と比較すると、VILIPI陰性腫瘍は、これらT細胞を有意に多く含んでいた(P<0.05)。結果は、VILIPI陰性腫瘍における成熟CD8+ T細胞の高割合を示していた。腫瘍とは対照的に、同じ患者のからの離れた正常粘膜は、VELIPI状態に応じたCD8+T細胞下位集団の差異を示していなかった。
【0083】
実施例3:エフェクター記憶T細胞および生存率
415例の結腸直腸癌から製造した組織マイクロアレーにおける免疫組織化学分析を実施した。抗-CD3抗体による染色は、腫瘍の内部および浸潤性周辺部の双方におけるT細胞の存在を明らかにした。CD45RO+細胞は、自動画像ソフトウェアによって計数した。バリデーション試験は、光学および自動細胞計数間に近い相関を示した(R
2=0.914, P<0.001)。
VELIPI陰性腫瘍は、VILIPI陽性腫瘍と比較したとき、多数のCD45RO細胞を含んでいた(P=0.02)。さらに、高密度の記憶T細胞は、リンパ節陰性(N-)および転移陰性(M-)腫瘍と関連していた(P<0.001)。
リンパ節浸潤の進行性病期(N2、N3)は、腫瘍中でのCD45ROの低密度に関連していた(
図2)。
多変数Cox比例ハザード解析は、M (P<0.001)、N (P=0.002)およびT (P=0.004)、並びにCD45RO (P=0.02) が、全生存率に対する独立した予後因子であることを示していた。カプロン・メイヤー曲線は、低密度のCD45ROを有する患者におけるよりも高密度CD45ROを含有する腫瘍を含む患者において、長い全生存および無病生存を示唆していた(
図3A、3B) (ログランク検定、P<0.001)。腫瘍が高密度のCD45ROを含有している患者は、低密度のCD45ROを有する患者におけるそれぞれ11.1ヶ月および20.6ヶ月と比較したとき、36.5ヶ月の無病生存中央値および53.2ヶ月の全生存中央値を有していた(全比較においてP<0.001) (
図3A、B3)。5年全生存(
図3A)および無病生存(
図3B)率は、高密度のCD45ROを含有する腫瘍を有する患者においては46.3%と43.1%、低密度のCD45ROを含有する腫瘍を有する患者においては23.7%と21.5%であった。
【0084】
上記実施例1〜3の結果は、959例の結腸直腸癌における早期転移浸潤(血管塞栓(VE)、リンパ浸潤(LI)および神経周囲浸潤(PI)、(集約してVELIPIと称する)の病理兆候と転帰の間に関連が存在することを示している。
また、腫瘍のVELIPI状態と腫瘍内での免疫応答の痕跡との間の関連の存在を証明している。とりわけ、39例の結腸直腸癌の分析は、CD3、CD8、CD45RO、CCR7、CD28およびCD27マーカーに特徴を有する腫瘍内エフェクター記憶T細胞の存在がVELIPI陰性腫瘍と関連していることを示していた。415例の結腸直腸癌の分析は、高密度の浸潤性CD45RO+細胞が良好な臨床転帰と相関していることを示していた。
本発明における1連の959例の結腸直腸癌においては、細心の病理試験により検出された塞栓は、VELIPI状態と全生存率間の有意で独立した関連を示していた。
上記実施例1〜3においては、VILIPI陽性およびVILIPI陰性腫瘍中或いは再発のあったまたはなかった患者からの腫瘍中の炎症誘発性および免疫抑制性分子に対するmRNAの含有量における有意差は、見出せなかった。これらの知見は、炎症が早期転移浸潤における要因ではないことを示唆していた。
対照的に、T
H1エフェクターT細胞(CD8、T-bet、IRF-1、IFN-γ、グラニュリシンおよびグランザイム-B)の産生物およびマーカーに対するmRNAは上昇しており、この上昇は、長期の生存および早期転移浸潤の病理兆候の無いことと関連していた。
組織マイクロアレーを使用して、高数のCD45RO+T細胞と、リンパ血管および神経周辺浸潤の不存在との関連(P<0.002)を、上記実施例1〜3において証明した。高密度のエフェクター記憶T細胞を含有する腫瘍は、そのような細胞を欠如する腫瘍よりも長い無病および全生存率と関連していた(P<0.001)。腫瘍中のCD45RO陽性記憶T細胞の存在は、独立した予後因子である。
【0085】
実施例1〜3においては、結腸直腸癌における細胞および分子の差異の高処理量定量測定は、腫瘍微細環境の詳細な特性決定および臨床転帰との関連の特定を可能にした。試験結果は、腫瘍微細環境と宿主免疫応答が腫瘍進行において多大な重要性を有することを示している。
即ち、上記実施例1〜3においては、単変量解析により、早期転移浸潤の組織学的兆候の存在または不存在に応じた無病および全生存率における有意差(P<0.001)が示されたことを証明している。多変量Cox解析によれば、病理学的病期(T、N、M) (P<0.001)および早期転移浸潤(P=0.04)とは、生存率と個々に関連していた。早期転移浸潤の兆候の無い腫瘍は、免疫細胞の浸潤物を含み、T
H1エフェクターT細胞(CD8、T-bet、IRF-1、IFN-γ、グラニュリシンおよびグランザイム-B)の産生物に対するmRNAを上昇させていた。
対照的に、炎症誘発性メディエイターまたは免疫抑制性分子のいずれも識別的に発現していなかった。転移浸潤の早期兆候を有するまたは有しない腫瘍においては、65組のT細胞マーカー組合せにおいて有意差が存在し、階層的クラスタ分析は、T細胞移行、活性化および分化のマーカーがこれらの兆候を欠く腫瘍において上昇していること示していた。
これらの腫瘍は、早期記憶(CD45RO+CCR7-CD28+CD27+)からエフェクター記憶(CD45RO+CCR7-CD28-CD27-)までのT細胞範囲の増大した数のCD8陽性T細胞を含有していた。免疫組織化学によって評価した浸潤性記憶CD45RO+細胞の存在は、早期転移浸潤、病理学的病期および生存率に相関していた。
従って、結腸直腸癌中での免疫応答兆候は、早期転移浸潤病理痕跡の無いことおよび長期生存と関連していることを証明している。
【0086】
実施例4:(i)適応的免疫応答と(ii)再発および生存時間との相関
結腸直腸癌中での宿主応答の機能的配向を、18種の免疫関連遺伝子の評価による定量的リアルタイムPCRによって調べた。これらの遺伝子は、試験した75例の腫瘍の中から可変的に発現させた。
全ての遺伝子間で行った相関解析(153回の相関検定を示す)は、39組の高有意性組合せ(P<0.0001)を含む70組の有意性組合せ(P<0.05)を示した(
図4参照)。
相関マトリックスを作成し、次いで、全ての相関における類似性および相違性パターンを可視化する好都合な方法を提供する非監視(unsupervised)階層的クラスタ分析を行った。この分析は、T
H1 (T-bet、IRF-1、IFN-γ)および免疫適応(CD3ζ、CD8、GLNYおよびGZMB)関連遺伝子からなる共調節遺伝子の主要クラスタ、並びに炎症誘発性メディエイターおよび免疫抑制性メディエイターと称する2つのクラスタの同定を可能にする。
各クラスタの発現パターンは、腫瘍内で、ほぼ共通して排他的であった。T
H1/適応性クラスタ由来の遺伝子の発現量は再発に逆相関しており、一方、他(VEGF、MMP-7、Cox-2、IL-8、サバイビン、CEACAM1、TRAIL-R、B7H3、IL-10、TGFb)は、逆相関していなかった。
75例の結腸直腸癌をT
H1/適応性クラスタ由来の遺伝子のmRNA量(最高から最低の発現量)に従って分類する階層的3構造は、20%から80%までの累進的再発率を示していた(群1と群2を比較するフィッシャーの精密検定、P=0.016)。腫瘍中でT
H1/適応性遺伝子発現の均質な上昇パターンを有する患者は、最良の予後と関連していた。
要するに、これらのデータは、臨床転帰に対する現場T
H1/適応的免疫の有益な効果についての証拠を提供していた。
【0087】
その後、免疫適応性遺伝子発現プロフィールの細胞最終結果を、415例の腫瘍の免疫組織化学による組織マイクロアレー分析によって評価した。
さらにまた、現場適応的免疫応答の分布を、腫瘍中心(CT)を浸潤性周辺部(IM)と一緒にスポッティングすることによって探究した。
両腫瘍領域において、全Tリンパ球(CD3)、CD8 T細胞エフェクターおよび関連細胞毒性分子(GZMB)、並びに記憶T細胞(CD45RO)の免疫染色は、試験した全てのサンプルにおいて広範囲の陽性免疫細胞密度を示していた。
6640例の相応する免疫染色物を、正確な細胞密度測定を可能にする、シグナル定量(取込みスポット)用の専用画像分析ワークステーションによって分析した。
バリデーション試験は、光学および自動細胞計数間で近い相関を示した(全てのマーカーにおいてR
2>0.9、P<0.001)。
特定領域における免疫細胞分布を、臨床転帰と関連させて分析した。再発の無かった患者からの腫瘍は、再発の有った患者からの腫瘍よりも、各腫瘍領域(CTまたはIM)における有意に高い免疫細胞密度(CD3、CD8、CD45RO、GZMB)を有していた(全てP<0.003) (
図4)
コンピュータシグナル定量化に基づき、無病および全生存時間について患者を区別するための染色細胞密度(両腫瘍領域の全てのマーカーについて)のカットオフ値を検定する手段を考案した(1600回のログランク検定)。これによって、免疫細胞密度(CD3、CD8、CD45RO、GZMB)の最適カットオフ値を定め、且つ2つの腫瘍領域における有意である広い範囲のカットオフ値が存在することを示すのを可能にした(
図5)。これらのカットオフ値に従い、腫瘍の各領域(CTまたはIM)における免疫細胞浸潤物(CD3、CD8、CD45RO、GZMBにおける高または低密度)が患者(n=415)を種々の無病生存(DFS)中央値を有する群へ明白に区別したことを観察した(
図5)。ログランク検定は、DFS (1.5×10-
4〜1.4×10
-8範囲のP値) (
図5および表5)およびOS (表6)について両腫瘍領域において試験した全てのマーカーにおいて高度に有意であった。
【0088】
さらに、免疫細胞集団の腫瘍(CT/IM)内での人工的分布が予後に影響し得るどうかを試験した。DFSおよびOSについてのカプラン・メイヤー曲線を、両腫瘍領域において高または低CD3密度を有する患者について解析した。この解析は、高CD3
CT/CD3
IM密度が、単一領域での高CD3密度と比較したとき、有意に良好な全および無病生存率をもたらしていることを証明していた(P<0.0001) (
図7A、7B)。CT領域プラスIM領域を合せた解析では、全ての適応的免疫マーカーについて高および低密度を有する患者間のDFS差の中央値は、CTまたはIM領域の単独解析と比較したとき(
図6および
図7C)、さらに上昇していた(3.7×10-
7〜5.2×10
-11範囲のP値)。従って、低-および高-患者における中央値DFSは、それぞれ、CD3
CTにおいて5.9対45.9ヶ月、CD3
IMにおいて12.9対47.8ヶ月(
図6)、CD3
CT/CD3
IMにおいて5.9対66.2ヶ月であった(
図7Cおよび表4)。まとめると、これらの観察は、無病および全生存時間を、現場調節適応的免疫応答の異なる腫瘍領域における人工的分布および増幅に基づいて予測し得ることを示唆している。
結腸直腸癌予後診断は、現在、腫瘍浸潤の病理学的基準によっている。TNM病期および腫瘍分化について調整したCox比例ハザード回帰モデルは、CD3
CT/CD3
IM密度が無病および全生存率に対する独立した予後指標であることを示していた(それぞれ、P=2.8×10-
6、P=3.0×10
-3) (表5)。明らかに、CD3
CT/CD3
IM密度は、無病生存に関連する最も意義のあるパラメーターであり、全生存解析におけるTおよびN病期のP値よりも良好なP値を有していた。さらにまた、全ての適応的免疫マーカーが、無病および全生存に対して、TNM病期および腫瘍分化について調整した独立の予後診断価値を示していた(
図7)。
【0089】
結腸直腸癌の通常の病期決定法は、各病期に属する転帰の際立った変動性について説明していない。上記現場免疫応答の本質および増幅は強い独立した予後診断価値を保持しているので、本発明者等は、この調整した免疫応答が各病期での患者転帰をさらに予測し得るかどうかを調べた。本発明者等は、患者をデュークス分類に従い階層化し(
図8a)、疾病の全ての病期におけるCD3
CT/CD3
IMの影響を証明した(
図8b)。
予期に反して、本発明者等は、強い現場調整適応的免疫応答が、腸壁を介しての腫瘍浸潤および局所リンパ節への拡大(デュークス分類A、B、C)にもかかわらず、同様に好ましい予後と相関していることを見出した。逆に、弱い現場適応的免疫応答は、最小の腫瘍浸潤を有する患者(デュークス分類AおよびB)においてさえも、極めて貧弱な予後と相関していた(
図8b)。
上記実施例1〜3においては、腫瘍蔓延の早期兆候(リンパ血管および神経周囲浸潤)およびリンパ節浸潤の無いことが強い密度の腫瘍内エフェクター記憶T細胞(T
EM)の存在と関連していることを実証した。
本実施例においては、両腫瘍領域における記憶(CD45RO+)細胞密度対CD3+ T細胞密度のさらなる評価が腫瘍再発のリスクにある患者をさらに区別し得るかどうかをさらに判定する。CD3
CT/CD3
IM/CD45RO
CT/CD45RO
IMは、患者を、腫瘍再発の高および低リスクを有する2つの群に顕著に階層化した(
図8C)。明らかに、両腫瘍領域内のこれらのマーカーの低密度は、同時遠隔転移を有する患者(デュークスD)と比較したとき、デュークスC、Bの、さらにはA病期でさえの患者における同様な転帰を明らかにしていた。
この場合、細胞および分子の免疫パラメーターの高処理量定量測定法を使用して、ヒト結腸直腸癌の微細環境内の免疫力を特性決定した。
【0090】
免疫学的サーベイランスおよび形作りの役割の如何にかかわらず、本発明のデータは、ヒト結腸直腸癌が臨床的に検出可能になる時点で、現場の自然抗-腫瘍免疫が外科的切除後の腫瘍再発の制御に主要な役割を果たすという概念を明らかに実証している。
有益な現場適応的免疫応答は、最小の腫瘍浸潤を有する患者に限られるものではなく、現場免疫力が腫瘍の進行とともに持続し得ることを示唆している。腫瘍内リンパ球が、腫瘍細胞の転移能力を減退させるような形で、腫瘍ストローマ、腫瘍細胞、またはその双方を変性させる可能性は、否定し得ない。
しかしながら、現場適応的免疫マーカー、T
H1関連分子および細胞毒性メディエイターの発現と腫瘍再発の低発生率との相関は、術後の持続性腫瘍細胞の免疫介在拒絶についての証拠を提供している。
この方法において、高密度の記憶T細胞(CD45RO陽性細胞)の現場存在と関連する良好な予後診断価値は、おそらくは、マウスモデル
18において示されているように、これらの細胞の重大なトラフィッキング特性および長期持続性抗-腫瘍防御能力に由来している。
腫瘍の中心および周辺部双方における免疫細胞密度の定量的測定法を使用しての、予め形成された現場適応的免疫応答の本評価は、腫瘍再発を制御する調整された適応的免疫応答の重要性を明らかにした。
予期に反して、本明細書において使用する免疫学的基準は、優れた、TNMおよびデュークス分類の予後診断価値とは別個の予後診断価値を有するのみならず、腫瘍浸潤性にかかわらず同様に好ましい予後と相関していた。
再発までの時間および全生存時間は、腸壁を介して、さらに、局所リンパ節へ拡散する腫瘍の存在によるよりはむしろ局所適応的免疫応答の状態によって支配されていることも証明している。
この新規な見識は、幾つかの重要な意味合いを有し、結腸直腸癌を含む癌腫の進化についての理解を変え得る。さらに、使用している基準は、現在使用している結腸直腸癌の分類の再評価につながるべきであり、さらなる正確さでもって、アジュバント療法(免疫療法のような)の利益を受けることのできる腫瘍再発の高リスクにある患者を指標すべきである。
免疫マーカーに対する広範な抗体群の入手可能性と組合せた免疫組織化学の使用は、本発明方法の他の腫瘍への応用を容易にするであろう。
【0091】
実施例5:(i)適応的免疫応答と(ii)再発および生存時間との相関に関するさらなる結果
ゲノムおよび現場免疫染色分析を、それぞれ、75名および415名の患者において実施した(表11(S1))。データを、専用のTumoral MicroEnvironment Database (TMEデータベース;申請時にアクセス可能)に入力した。定量的リアルタイムPCRを使用して、炎症、Tヘルパー1(T
H1)適応的免疫および免疫抑制に関連する免疫遺伝子の発現量を評価した。これらの遺伝子は、試験した75例の腫瘍において可変的な発現パターンを示した。全ての遺伝子間で行った相関解析は、39組の高度に有意の組合せを示した(P<0.0001) (表4)。T
H1適応的免疫について共調節した遺伝子の優性クラスタを同定した(Tボックス転写因子21 (T-bet)、インターフェロン調節因子1 (IRF-1)、IFNγ、CD3ζ、CD8、グラニュリシン(GLNY)、グランザイム B (GZMB))。患者をこのクラスタからの遺伝子の発現量に従って分類する階層的3構造は、これら遺伝子の発現と腫瘍再発との逆相関を明らかにした(患者群を比較するP値、全てP<0.05)。これらのデータは、T
H1適応的免疫が臨床転帰に対し有益な効果を有することを示している。
次に、組織マイクロアレーを使用して、415例のCRCの腫瘍中心(CT)および浸潤性周辺部(IM)内での現場適応的免疫応答を調べた。全Tリンパ球(CD3)、CD8 T細胞エフェクターおよびその関連細胞毒分子(GZMB)、および記憶T細胞(CD45RO)の免疫染色を、専用画像分析ワークステーションを使用して定量した。再発の無かった患者からの腫瘍は、上記実施例4において先に観察されているように、腫瘍が再発した患者からの腫瘍が有するよりも高い免疫細胞密度(CD3、CD8、GZMB、CD45RO)を各腫瘍領域(CT、IM)において有していた。各腫瘍領域(CT、IM)において、また各マーカー(CD3、CD8、GZMB、CD45RO)について、免疫細胞密度と患者転帰との間に、広い範囲のカットオフ値において統計的に有意な相関が存在する(
図9(S5))。とりわけ、無病生存に対して最小P値を与えるカットオフを使用すると、各腫瘍領域(CT、IM)におけるCD3+、CD8+、GZMB+およびCD45RO+細胞の密度は、患者を統計的に異なる無病生存(1.0×10
-2〜4.8×10
-6の範囲の、(23)後に補正したP値)および全生存(5.5×10
-3〜7.9×10
-8の範囲のP値)を有する群に階層化することを可能にする(表12、13(S3、S4))。(24)後の100回繰返しの2倍クロス確認を使用(表12、13(S3、S4))しての或いはカットオフをデータ群の中央値に設定(表14、15(S5、S6))してのデータの再評価は、各免疫パラメーターの予後診断価値に関して一致した結果を与えた。
【0092】
その後、腫瘍領域の合せた解析が患者の生存予測を改善し得るかどうかを調べた。適応的免疫のマーカー全て(CD3、CD8、GZMBおよびCD45RO)において、CTプラスIM領域の合せた解析(HiHi対LoLo)は、単一領域分析(Hi対Lo)と比較したとき、患者間の無病および全生存時間の差を増大させた(表12〜15(S3〜S6))。また、データを、(24)後に2倍クロス確認(各マーカーにおいて100*CV)を使用して解析し、高有意差を証明した(表12、13(S3、S4))。CD3
CT/CD3
IMは、無病および全生存解析における最小P値(それぞれ、P=7.6×10
-8およびP=4.0×10
-7)と関連していた(表12、13(S3、S4))。これらの結果を確認するために、第1群とは異なるさらなる患者コホートおよび他の病院からのCRCの第3のコホートを分析した。各コホートにおいて、CD3
CT/CD3
IMの中央値カットオフ値(高密度を有する50%の患者および低密度を有する50%の患者)を決定した。上記2つの独立したコホートは、第1群で得られたデータを確証した。また、全ての統計解析を、同時の遠隔転移の無い下位群の患者(UICC-TNM病期I、IIおよびIII)において実施した。有意なP値は、無病生存および全生存解析におけるCD3
CT/IM、CD8
CT/IMおよびCD45RO
CT/IMにおいて観察された(表16〜19(S7、S10))。
これらの免疫基準が患者転帰を癌進行の各段階で識別し得るかどうかを判定した、患者を、UICC-TNM分類(25)に従い階層化した(
図10A)。両腫瘍領域内での強い現場免疫反応は、腫瘍の局所拡大および局所リンパ節浸潤(病期I、II、III)にもかかわらず、好ましい予後と相関していた。逆に、両腫瘍領域内での弱い現場免疫反応は、最小の腫瘍浸潤(病期I)を有する患者においてさえも貧弱な予後と相関していた(
図10B)。本発明者等は、最近、CRCの腫瘍蔓延の抑制におけるCD45RO+記憶T細胞密度の重要性を実証していた(22)。本発明者等は、両腫瘍領域(CTおよびIM)内で低密度のCD3+細胞およびCD45RO+記憶T細胞を有する患者は、同時の遠隔転移を有する患者(病期IV)と同様に、極めて貧弱な予後を有することを見出した(
図10C)。腫瘍浸潤(T病期)、腫瘍分化およびリンパ節浸潤(N病期)について調節した後の多変量解析においては、CD3
CT/CD3
IM密度(HiHi、不均質、LoLo)は、無病生存解析において最高の危険率および最小のP値を有する独立の予後因子のままであった(2.391のHR;(26)後に補正したP=1.4×10
-6) (表20(S11))。CD3
CT/CD3
IM密度は、全生存と関連する特異な独立したパラメーターであった(1.89のHR;P=1.2×10
-5) (表21(S12))。組織病理パラメーターは、もはや、両腫瘍領域において調整された高または低密度の免疫マーカーを有する患者の無病および全生存と関連していなかった(HiHi対LoLo) (表20および21(S11および12))。
【0093】
さらに、
図11および12に示すように、本発明に従う生体外予後診断方法は、結腸および直腸癌の転帰の予測によって例証されているように、各種タイプの癌の予後診断において成功裏に実施することができる。
さらにまた、
図13に例示しているように、本発明に従う生体外予後診断方法は、早期段階の癌を患っている患者における癌の転帰の予後診断において高度に信頼し得ることが判明している。
さらにまた、
図14に例示しているように、本発明に従う生体外予後診断方法は、癌の転帰の正確な予後診断を、1種以上の生物学的マーカーとして、6種の生物学的マーカーの組合せまたはセット、即ち、遺伝子発現分析方法、より正確には、リアルタイムPCR分析法によって定量するPDCD1LG1、VEGF、TNFRSF6B、IRF1、IL8RAおよびSELLを使用して可能にすることも証明している。
要するに、実施例5に提示した結果は、ヒトCRCが臨床的に検出可能になる時点で、適応的免疫応答が腫瘍再発の予防において役割を果たすことを示している。
T
H1分極化、細胞毒性および記憶T細胞に対するマーカーの存在と腫瘍再発の低い発生率との明確な相関を見出した。
従って、本発明においては、CRC内での免疫細胞のタイプ、密度および位置は、優れた、UICC-TNM分類(L . Sobin et al., 2002, TNIM classification of malignant tumors. 6th, Ed., Wiley-Liss, New York) の価値とは別個の予後診断価値を有することを見出した。これらの結果は、再発までの時間および全生存時間が局所適応的免疫応答の状態によってほぼ支配されていることを示している。
本発明が提供する新規な免疫学的手段は、臨床転帰の現在の指標の見直しにつながり得、アジュバント療法の最大の利益を受ける高リスク患者を同定する一助となり得る。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】
【表4】
【0098】
【表5】
【0099】
【表6】
【0100】
【表7】
【0101】
【表8】
【0102】
【表9】
【0103】
【表10】
【0104】
【表11】
【0105】
【表12】
【0106】
【表13】
【0107】
【表14】
【0108】
【表15】
【0109】
【表16】
【0110】
【表17】
【0111】
【表18】
【0112】
【表19】
【0113】
【表20】