【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0034】
実施例1〜30および比較例1〜5
(1)各種薬品の説明
SBR:日本ゼオン(株)製のニッポールNS116(溶液重合SBR、結合スチレン量21%、Tg−25℃)
天然ゴム:RSS♯3
エポキシ化天然ゴム:GUTHRIE POLYMER SDN.BHD社製のENR−25(エポキシ化率:25モル%、ガラス転移点:−41℃)
シリカ:デグッサ社製のUltrasil VN3
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラックI(ISAFカーボン)
ワックス:日本精鑞製のオゾエース0355
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日本油脂(株)製の桐
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤BBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(ジフェニルグアニジン)
アミノ酸1:味の素(株)製のL−メチオニン(モノスルフィド結合含有)
アミノ酸2:味の素(株)製のL−シスチン(ジスルフィド結合含有)
アミノ酸3:キシダ化学(株)製のL−システイン(メルカプト基含有)
アミノ酸4:味の素(株)製のL−アルギニン(3つ以上のアミノ基含有)
アミノ酸5:味の素(株)製のL−ヒスチジン(Nが2つ入った複素環含有)
アミノ酸6:味の素(株)製のL−チロシン(ヒドロキシフェニル基含有)
【0035】
(株)神戸製鋼所の1.7Lのバンバリーミキサーを用いて、表1および2の工程1に示す配合量の薬品を充填率が58%になるように添加して、回転数80rpmの条件下で、混練機の表示温度が140℃になるまで3〜8分間混練した。なお、実施例25〜30および比較例5では、シリカを工程1中で2回に分けて投入した。一旦、排出した後、工程1で得られた混練物に対して、工程2に示す配合量の硫黄および加硫促進剤を加え、オープンロールを用いて50℃で3分間混練して未加硫ゴム組成物を得た。工程2で得られた未加硫ゴム組成物を、それぞれの評価に必要なサイズに成形し、150℃で最適時間プレス加硫することにより、実施例および比較例のゴム組成物を作製した。最適加硫時間は、キュラストメーターなどの加硫試験機を用いて、t100を求め、それに従って決定した。
【0036】
なお、以下の各測定において、表1(実施例1〜6、比較例1)では比較例1を、表2(実施例7〜12、比較例2)では比較例2を、表3(実施例13〜18、比較例3)では比較例3を、表4(実施例19〜24、比較例4)では比較例4を、表5(実施例25〜30、比較例5)では比較例5を、それぞれ基準配合とした。
【0037】
(耐摩耗性試験)
ランボーン摩耗試験機にて、負荷荷重2.5kg、温度20℃、スリップ率40%、試験時間2分間の条件下で、各加硫ゴム組成物から得られたランボーン摩耗試験用加硫ゴム試験片を摩耗させて、ランボーン摩耗量を測定し、各配合の容量損失量をそれぞれ計算し、基準配合の耐摩耗性指数を100として、下記計算式により耐摩耗性をそれぞれ指数表示した。耐摩耗性指数が大きいほど、耐摩耗性が優れていることを示す。
【0038】
(耐摩耗性指数)=(基準配合の容量損失量)/(各配合の容量損失量)×100
【0039】
(転がり抵抗試験)
加硫ゴム組成物として、2mm×130mm×130mmのゴムスラブシートを作製し、そこから測定用試験片を切り出し、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%、周波数10Hzの条件下で、各試験用ゴム組成物のtanδを測定し、基準配合の転がり抵抗指数を100として、下記計算式により転がり抵抗特性をそれぞれ指数表示した。転がり抵抗指数が小さいほど、転がり抵抗が低く、転がり抵抗特性が優れていることを示す。
【0040】
(転がり抵抗指数)=(各配合のtanδ)/(基準配合のtanδ)×100
【0041】
(操縦安定性指数の評価)
上記と同様に、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%、周波数10Hzの条件下で、各試験用ゴム組成物の複素弾性率E
*を測定し、基準配合の弾性率を100として、下記計算式により操縦安定性指数をそれぞれ指数表示した。操縦安定性指数が大きいほど、操縦安定性が高く、優れていることを示す。
【0042】
(操縦安定性指数)=(各配合のE
*)/(基準配合のE
*)×100
【0043】
(引張強さ試験)
JIS K 6251加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方に従って、引張強さを測定した。基準配合の引張強さを100として、下記計算式により引張強さ指数をそれぞれ計算し指数表示した。引張強さ指数が大きいほど、強度が高く、優れていることを示す。
【0044】
(引張強さ指数)=(各配合の引張強さ)/(基準配合の引張強さ)×100
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
表1〜4からわかるように、実施例では耐摩耗性は、基準配合と比較して同等か、または大きく向上した。転がり抵抗指数についても、基準配合比で小さく、低減することができた。E
*についても向上しながら、操縦安定性指数も向上した。とくにモノスルフィド結合を有するアミノ酸、または3つ以上のアミノ基を有するアミノ酸で耐摩耗性と同時に操縦安定性を大きく向上させることができたうえに、転がり抵抗もより小さくすることができた。さらに引張強度も向上した。また、Nが2つ入った複素環を有するアミノ酸では、耐摩耗性や操縦安定性は基準配合とほぼ同等であったが、転がり抵抗を大きく低減させることができた。その他のアミノ酸でも、大小はあるものの、向上効果が確認できた。
【0050】
また、フィラーとしてはカーボンブラックと併用した系、シリカ単独の系のいずれでも効果が得られたが、とくにシリカ単独配合とした方がより優れていた。また、表の数値ではわからないが、基準配合の70℃におけるtanδ同士を比較すると、カーボンブラック併用配合よりも、シリカ単独配合の方が低いので、シリカ配合比率の高い配合において、効果が高い。
【0051】
さらに、ゴムとしては、合成ゴムと併用した配合よりは、天然ゴムおよび/または改質天然ゴムのみを用いた配合で、より効果が高くなった。