(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921606
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】使い捨てランセットカートリッジのメータ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/151 20060101AFI20160510BHJP
A61B 5/157 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
A61B5/14 300D
A61B5/14 300L
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-125623(P2014-125623)
(22)【出願日】2014年6月18日
(62)【分割の表示】特願2011-521672(P2011-521672)の分割
【原出願日】2009年8月3日
(65)【公開番号】特開2014-193411(P2014-193411A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2014年7月17日
(31)【優先権主張番号】12/187,416
(32)【優先日】2008年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501464761
【氏名又は名称】ノヴァ バイオメディカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ファウラー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ダジェット ロバート
【審査官】
門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−339473(JP,A)
【文献】
特開2005−111135(JP,A)
【文献】
特表2005−506857(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/086843(WO,A2)
【文献】
特開昭58−007260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/151
A61B 5/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨てランセットカートリッジとともに使用されるメータであって、
メータハウジングと、
前記メータハウジングの一端に配置されたランセットカートリッジポートと、
前記メータハウジングの側部に配置されたコントロールパネルと、
前記メータハウジングの側部に配置された表示部であって、前記ランセットカートリッジポート内に、再使用防止部材を備える使い捨てランセットカートリッジが位置した際に、被分析物の測定データを表示可能となるように構成された表示部と、
前記メータハウジング内に配置された、複数回使用可能な駆動アセンブリであって、使い捨てランセットカートリッジが前記ランセットカートリッジポート内に位置した際に前記ランセットカートリッジのランセットを格納位置から穿刺位置まで駆動するように構成された、複数回使用可能な駆動アセンブリと、
複数回使用可能な前記駆動アセンブリがコック位置にある際に、複数回使用可能な前記駆動アセンブリに協働的に接続される作動トリガと、
前記メータハウジング内のランセットカートリッジロックであって、ランセットカートリッジが前記ランセットカートリッジポートに挿入された際に前記ランセットカートリッジの底部にあるノッチと協働的及び付勢的に係合するために配置されるロッキングタブと、
前記メータハウジング内に配置され、前記被分析物の濃度を測定する電子測定モジュールであって、前記コントロールパネル及び前記表示部と電子的に接続される電子測定モジュールと、
を備え、
複数回使用可能な前記駆動アセンブリは、駆動ウィングピストン面を有する端部と、該駆動ウィングピストン面を有する前記端部に隣接する歯止めマウントに回転可能に取付けられるウィング歯止めと、を有し、
前記ウィング歯止めは、前記駆動ウィングピストン面を超えて予め定められた距離延在し、使い捨てランセットカートリッジが回転可能ウィングを有し前記ランセットカートリッジポート内に位置した際に、前記ウィング歯止めが使い捨てランセットカートリッジの駆動ウィングの前に位置する、メータ。
【請求項2】
請求項1に記載のメータであって、
カートリッジ係合部材を有する排出装置本体と、排出ボタンであって、前記排出装置本体に横方向に一体的に接続され、前記ランセットカートリッジを摺動可能に排出するために前記メータハウジングの外側に配置された排出ボタンと、を有するカートリッジ排出装置をさらに備える、メータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のメータであって、
前記メータハウジング内に収容され、電子測定モジュールに電子的に結合されるスキャナモジュールをさらに備える、メータ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のメータであって、
ピストン発射準備部材をさらに備え、該ピストン発射準備部材は、
発射準備部材本体と、
前記発射準備部材本体に横方向に一体的に接続されるコッキングボタンと、を有し、
前記コッキングボタンは、駆動ピストンを発射可能位置に摺動可能に移動させるために、前記メータハウジングの外側に配置されている、メータ。
【請求項5】
請求項4に記載のメータであって、
穿刺深さ調整装置をさらに備え、該穿刺深さ調整装置は、
前記メータハウジング内に位置する前記発射準備部材本体の穿刺深さ端部と係合する、穿刺深さ調整装置軸に対する可変半径を有する弓状面と、
前記発射準備部材本体の前記穿刺深さ端部に対する前記弓状面の位置を設定するために、その一部が前記メータハウジングの外側に延出する外面と、を有する、
メータ。
【請求項6】
請求項2に記載のメータであって、
前記排出装置本体は、
タブ係合面と、前記メータハウジング内に位置するランセットカートリッジ排出面とを有し、
前記タブ係合面は、前記排出ボタンが摺動可能に係合される際に前記ランセットカートリッジ排出面が前記ランセットカートリッジに係合する前に、前記ロッキングタブと係合するように配置される、
メータ。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のメータであって、
前記電子測定モジュールは、
マイクロプロセッサモジュール、メモリモジュール、及び電源モジュールを含む、
メータ。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のメータであって、
前記メータハウジング内に取り付けられるデータ伝送モジュールをさらに備える、メータ。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載のメータであって、
前記メータハウジング内に取り付けられるデータポートをさらに備える、メータ。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載のメータであって、
前記メータハウジング内に取り付けられる充電モジュールをさらに備える、メータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
1.発明の分野
本発明は、概してランセット装置に関する。特に、本発明は、ランセットの再使用を防止する使い捨てランセット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2.先行技術の説明
ランセットは、血液サンプルを採取する目的で患者の皮膚に小さい穿刺孔を形成するための、医療分野で一般に使用される周知の装置である。ランセットは、様々な被分析物のために血液滴を検査する目的で病院およびその他の医療機関で使用され、また、糖尿病患者のような個人によっても使用される。一般的に、ランセットは、HIV、肝炎、およびその他の血液感染性疾患に感染する危険性を減らすために、使い捨てで使用される。上記装置の針は、使用に先立って技師または使用者によってコックされた(作動準備完了状態にされた)小型のバネによって、患者の皮膚中に駆動される。この針は、使用前に取り外される防護用安全キャップでカバーされている。安全キャップは、ランセットの端部を無菌状態に保ち、上記装置を作動可能状態にするための一種のプッシュロッド(押し棒)として通常用いられる。上記装置が作動可能状態にされた後、安全キャップが取り外されると針が露出し、ランセット使用の準備が整う。
【0003】
患者および/または施術者が多種多様な状況において使用することが可能であるランセット装置には、様々な種類がある。その1つの種類は、複数回および/または繰り返し使用されるように構成されている。この種類では、使用者によって押されたランセットを患者の皮膚に向かって突出させる、ランセットインジェクタが通常備えられている。より一般的には、ランセット装置は、正確で、標準化された一定の方法で穿刺するために、容器へのランセットの収容、および患者の皮膚内へのランセットの発射を効率的に行う。ランセットインジェクタは、ランセットの針の穿刺深さを制御および調整するために、アダプタキャップをさらに備えていてもよい。
【0004】
別の種類としては、使用後に装置全体が廃棄される、使い捨てで使用されるように構成されているものがある。このような装置は一般的に、穿刺先端部を収容し、および、患者の皮膚に導入または駆動するハウジングを備え、後に使用済みランセットと共に廃棄される。このような装置は、効率的施術に必要な皮膚の穿刺を実現するのに効果的である。しかしながら、このような1回限りの使い捨てランセット装置は、装置の安全な使用および廃棄を確保するための安全機能を、多くは取り入れていないのが一般的である。このような装置の主なデメリットは、不注意で再使用される可能性があることである。このような装置は上述のような構成であるため、使用者は装置を再コックすることが可能であり、汚染されたランセットが引き続いて不適切に使用される可能性がある。
【0005】
使い捨てランセットの再使用を積極的に防止する装置も開発されている。米国特許第5,423,847号(1995年、Strong他)は、安全なランセットインジェクタを開示している。この安全なランセットインジェクタは、診断目的で血液サンプルを採取するために、ランセットおよび独立したプラットフォームと共に使用されるものである。このランセットインジェクタは、ランセットを前方に押し出し、速やかに皮膚から針を撤収するために、2つの弾性バンドを使用している。また、このランセットインジェクタは、ランセットが複数回使用されることを完全に排除する連動機構をさらに備えており、これにより、使用済みランセットは、ランセットインジェクタがコック状態/作動可能状態にされ得る前に、排出されることになる。
【0006】
米国特許第6,168,606号(2001年、Levin他)は、バネ駆動の使い捨てランセット装置を開示している。この装置は、使用に先立って使用者が安全キャップを取り外しさえすればいいように、組み立て中に予めコックされている。プルタブと針安全キャップとの間の薄い合成樹脂繊維製接続部によって、駆動バネに何らかの圧縮力が加えられることが防止でき、その結果、この装置が再コック状態/再作動可能状態になることが防止される。
【0007】
米国特許第6,514,270号(2003年、Schraga)は、ハウジングと、ハウジングに可動可能に配置され、コック位置と穿刺位置との間で動くように構成された穿刺先端部を有するランセットと、ランセットを穿刺位置に移動させるように構成された駆動アセンブリと、を有する使い捨てランセット装置を開示している。保持部材および係合ハブが備えられ、それらはランセットがコック位置に配置された際に、作動アセンブリによって解除されるまで、協働して相互に係合する構成になっている。作動アセンブリは、作動位置と非作動位置との間で移動するように構成されている。作動部材が作動位置に移動することによって、保持部材および係合ハブは協働した相互係合から解除され、その結果、ランセットは穿刺位置へと移動することになる。制限器アセンブリは、作動アセンブリが作動位置から移動するのを防止し、作動アセンブリを用いてのランセットの再発射を防止する。
【0008】
しかしながら、これらの装置はランセット装置にすぎず、ランセット装置によって採取された血液サンプルに対して被分析物の定量を行うためには、別個のテストストリップと共に使用されなければならない。
【0009】
ランセットとテストストリップとを単一の容器内に集約した、一体型のランセットおよびセンサ装置もまた、開発されている。このような一体型装置は、ランセットによって採取された血液サンプルをテストストリップが取得した後に、一体型のランセットおよびテストストリップがランセットインジェクタから取り外され、メータに接続されるようなランセットインジェクタと共に、一般的に使用される。あるいは、このような一体型装置は、ランセットインジェクタが内蔵されたメータと共に使用される。
【0010】
このような一体型装置の1つが、Ghesquiere他による米国特許出願公開第2007/0149897号に開示されている。この装置は、ランセットと、医療計画において体の被分析物のレベルを測定するためのテストストリップと、を一体化したものであり、連結されたランセット針と被分析物センサとが備えられている。ランセット本体は、センサ受容端部とランセット端部とを備える。ランセット針は、ランセット端部に連結され、ランセット端部から突出している。センサは、ランセット本体のセンサ受容端部に連結される。この一体型装置は回転する架台内に配置され、分析試験中あるいは分析試験完了後に架台が機械式伝動装置によって回転し、ランセットとテストストリップとの一体型装置の使用済みランセットに保護カバーを再び取り付けるために、ランセットは配置される。
【0011】
米国特許出願公開第2006/0020228号(2006年、Fowler他)は、一体型のランセットおよびテストストリップを開示している。このアセンブリは、格納位置と、ランセット筐体の針端部から延出した位置と、の間でランセットが移動するようなランセット筐体内に配置されたランセットと、ランセット筐体の針端部に配置された、サンプル受容端部を有する細長いテストストリップと、を備える。ランセットは、皮膚を穿刺した後、過失による穿刺防止のためにランセット筐体の中に撤収されて、露出しない。
【0012】
ランセットおよびテストストリップが一体化したこれらの装置の主なデメリットは、使用済み一体型装置の再発射/再使用を防止するための安全機構が欠けていることである。
先行技術の装置は、単に発射機構を再コックすることによって、不用意に再発射する可能性があり、不用意に誤って使用済みランセットで皮膚を穿刺してしまう事態につながりかねない。
【0013】
したがって、必要とされているのは、再使用防止のための安全機構を備えた使い捨てランセットである、ランセット装置である。さらに必要とされるのは、ランセット部の再発射/再使用が不可能な、ランセットおよびテストストリップが一体化した装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,423,847号明細書
【特許文献2】米国特許第6,168,606号明細書
【特許文献3】米国特許第6,514,270号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0149897号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0020228号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
[発明の概要]
本発明の目的は、使い捨てで使用可能なランセット装置を提供することである。本発明の別の目的は、不用意に再使用される可能性のない、一体型のランセットセンサシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、再使用防止部材を有する使い捨てランセットアセンブリと、複数回使用される別個のランセット駆動アセンブリと、を少なくとも備える安全ランセットシステムを提供することによって、上記および他の目的を達成する。使い捨てランセットアセンブリは、再使用防止部材を備える。再使用防止部材を有する使い捨てランセットアセンブリは、複数回使用されるランセット駆動アセンブリに動作可能に結合される。使い捨てランセットアセンブリの再使用防止部材は、ランセットが、初めて使用された後に、ランセットアセンブリから穿刺位置に延出するのを防止するように構成されている。特に、再使用防止部材は、ランセット駆動アセンブリのランセット駆動ピストンと相互に作用する。ランセットアセンブリが使い捨てで1回限り使用される装置である一方で、ランセット駆動アセンブリは、再使用可能である。ランセット駆動アセンブリは、ランセットアセンブリのランセットと係合するように構成されており、作動されると、ランセットを解除する前にランセットを穿刺位置に延出させる。複数回使用されるランセット駆動アセンブリは、駆動ピストンがコック位置または発射可能位置にある際に協働的に駆動ピストンに接続される、アクチュエータボタンをさらに備える。
【0017】
本発明の一実施形態では、安全ランセットシステムの使い捨てランセットアセンブリは、ランセット駆動アセンブリのランセット駆動ピストンと係合する、コッキングタブを備える。コッキングタブは、使い捨てランセットアセンブリが複数回使用されるランセット駆動アセンブリと動作可能に結合された際に、ランセット駆動ピストンを作動可能状態にする。コッキングタブは、ランセット駆動ピストンを作動可能状態にした後に、使い捨てランセットアセンブリから取り外される。コッキングタブは、必要に応じて、使用されるまでランセットの針を無菌状態に維持する針安全キャップに、一体的に接続される。針安全キャップが使い捨てランセットアセンブリの針から取り外されると、コッキングタブも同時に取り外される。ランセット駆動アセンブリを作動可能状態にするのは、使い捨てランセットアセンブリのコッキングタブである。一旦コッキングタブが取り外されると、使い捨てランセットアセンブリに再び組み入れられることは不可能である。コッキングタブがなければ、使用済みランセットアセンブリを複数回使用されるランセット駆動アセンブリとどのように再結合させても、コッキングタブのピストン接合面が失われてしまっているため、駆動ピストンを作動可能状態にすることはできない。その結果、使い捨てランセットアセンブリを再使用することは不可能であり、使用済みランセットアセンブリの再使用がいかに不用意に試みられたとしても、再使用は防止される。
【0018】
本発明の別の実施形態では、安全ランセットシステムの使い捨てランセットアセンブリは、使い捨てランセットアセンブリが、複数回使用されるランセット駆動アセンブリと動作可能に結合された後に作動されると、ランセット駆動アセンブリのランセット駆動ピストンに係合される、回転駆動ウィングを備える。ランセット駆動ピストンは、ランセットが穿刺位置に達した後にランセット駆動ピストンが戻ると回転駆動ウィングと係合する、駆動ウィング歯止めをさらに備える。駆動ウィング歯止めは、ランセット駆動ピストンが
静止位置に戻る間に、駆動ウィングを係合不能位置まで回転させる。
【0019】
本発明の別の実施形態では、使い捨てランセットアセンブリは、ランセットアセンブリを初めて使用する前に、回転駆動ウィングが係合不能位置まで回転するのを防止する、回転防止ウィング止めを備える。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態では、複数回使用されるランセット駆動アセンブリのランセット駆動ピストンは、曲折可能な駆動ウィング歯止めを備える。駆動ウィング歯止めは、駆動ピストンがランセットを穿刺位置まで移動させた後に、回転可能な駆動ウィングと係合可能である、ウィング回転面を有する。ウィング回転面は、駆動ピストンが静止位置に戻る間に、回転可能な駆動ウィングと接触し、回転可能な駆動ウィングを係合不能位置まで回転させる。
【0021】
本発明の別の実施形態では、複数回使用されるランセット駆動アセンブリは、システム筐体内に収納され、ランセットカートリッジロックを備える。ランセットカートリッジロックは、細長い付勢部材を有し、付勢部材は、その付勢部材から側方に延出するロッキングタブを備える。ロッキングタブは、ランセットカートリッジがシステム筐体のランセットカートリッジ受容ポート内に挿入された際に、使い捨てランセットカートリッジの底部にあるノッチと協働的に付勢係合するよう配置されるが、ランセットカートリッジの中央長手方向の軸に沿って配置されることが好ましい。
【0022】
本発明の別の実施形態では、複数回使用されるランセット駆動アセンブリは、排出部材を備える。排出部材は、タブ係合面を有する排出装置本体と、ランセットカートリッジ排出面と、排出装置本体側方に一体的に接続された排出ボタンと、を備える。排出ボタンは、システム筐体の外側に配置され、摺動可能に移動してランセットカートリッジを排出する。タブ係合面は、排出ボタンが作動されてランセットカートリッジ排出面がランセットカートリッジと係合する前に、ロッキングタブと係合するように配置される。
【0023】
本発明のさらにもう一つの実施形態では、複数回使用されるランセット駆動アセンブリは、駆動ピストン係合面を有する深さ設定ゲージを備える。深さ設定ゲージは非平面であり、複数回使用されるランセット駆動アセンブリの駆動ピストンの一部と協働係合できるようにシステム筐体内に配置される。深さ設定ゲージの外面部は、システム筐体の外側に延出し、ランセットが検体を穿刺する際の既定の深さが選択されることが可能である。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態では、複数回使用されるランセット駆動アセンブリは、発射準備部材を備える。発射準備部材は、発射準備部材本体と、発射準備部材本体側方に一体的に接続されたコッキングボタンと、を備える。コッキングボタンは、システム筐体の外側に配置され、駆動ピストンをコック位置に摺動可能に移動させる。
【0025】
本発明の別の実施形態では、複数回使用されるランセット駆動アセンブリは、ランセットカートリッジが、ランセットカートリッジに一体的に接続される使い捨てセンサストリップを実装した際に被分析物の濃度を測定するためにシステム筐体内に配置される、電子測定モジュールを備える。電子測定モジュールは、センサストリップと電子的に連結するためのセンサストリップ接合面を有する。
【0026】
本発明の更なる実施形態では、複数回使用されるランセット駆動アセンブリは、電子測定モジュールと電子的に連結されるスキャナモジュールを、システム筐体内に備える。スキャナモジュールは固有の患者バーコードを読み込むことにより、当該患者バーコードを所有する患者に被分析物の測定値を関連付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の安全ランセットおよびセンサアセンブリの一実施形態の斜視図である。
【
図2】ランセットハウジング、ランセット、センサストリップ、および再使用防止部材を示す、
図1の実施形態の分解斜視図である。
【
図4】ハウジング保持ノッチ、および、ランセットに接続された再使用防止部材を示す、
図1の実施形態の側面図である。
【
図6】本発明の使い捨てランセットおよびセンサアセンブリの別の実施形態の斜視図である。
【
図7】ランセットハウジング、ランセット、回転ウィングである再使用防止部材、およびセンサストリップを示す、
図6の実施形態の分解斜視図である。
【
図9】
図8のランセットおよび回転ウィングの拡大底面斜視図である。
【
図10】ランセットの回転ウィングとの係合に使用される、ランセット駆動体および歯止めの分解斜視図である。
【
図11】
図10のランセット駆動体と歯止めとが組み立てられた態様の側面図である。
【
図12】ランセットを穿刺位置に駆動した後に歯止めが回転ウィングと係合している態様を示す、ランセットカートリッジおよびランセット駆動体の斜視図である。
【
図13】ランセットカートリッジがメータハウジング内に取り付けられた態様を示す、使い捨てランセットカートリッジおよびメータの正面斜視図である。
【
図14】メータハウジングに連結されたスキャナウィンドウを示す、使い捨てランセットカートリッジおよびメータの後面斜視図である。
【
図15】コッキングタブ安全ランセットと共に使用されるメータの別の実施形態の上面図である。
【
図16】回転ウィング安全ランセットと共に使用されるメータの一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
本発明の好ましい実施形態が、
図1〜16に図示されている。
図1は、複数回使用されるランセット駆動アセンブリおよびメータと共に使用される、本発明の使い捨てランセットカートリッジ10の一実施形態を図示している。ランセットカートリッジ10は、
図10〜12に示したものと同様な駆動ピストンと協働して係合する、再使用防止部材70を実装している。再使用防止部材70は、ランセットカートリッジ10における最上部の部材として、ランセットハウジング20に取り外し可能に連結されており、その一部がランセットハウジング端部21を越えて延出している。
図2は、組み立てられてランセットカートリッジ10を形成する様々な部材を示す、ランセットカートリッジ10の
分解図である。ランセットカートリッジ10は、ランセットハウジング20と、ランセット40と、セン
サストリップ60と、再使用防止部材70と、を備える。
【0029】
ランセットハウジング20は、ランセットカートリッジ10が静止状態にある時に、ランセット40を受容および収容するように構成された、ハウジング凹部23を備える。ランセットハウジング20は、ランセット40が使用時にそこを通って突出および撤収されるハウジング開口端21と、ハウジング閉口端22と、を有する。ランセット40は、ランセットハウジング20の両側に延出する、第1駆動ウィング44と任意の第2駆動ウィング45とを有する。ランセットハウジング20は、金属製、またはプラスチック材料製
であってよく、プラスチック材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ナイロン、ポリウレタン、ニトロセルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリエステル、アクリル、およびポリスチレン等が挙げられる。
【0030】
ランセットハウジング20は、ハウジング凹部23と、第1側方開口部24と、第2側方開口部25と、任意の
第1ウィングガード26および第2ウィングガード27と、を備える。任意の
第1ウィングガード26および第2ウィングガード27が、ランセットハウジング20に実装されると、
第1ウィングガード26および第2ウィングガード27と、ランセットハウジング20の
ハウジング側部30,31と、のそれぞれの間に駆動ピストン溝28,29が形成される。第1
側方開口部24および第2側方開口
部25は、ランセット40が格納静止位置と露出穿刺位置との間で移動できるように、十分に細長い形状である。
【0031】
ランセット40は、第1
駆動ウィング44および第2駆動ウィン
グ45と、付勢部材46と、ランセット針
141(
図9および12に図示)と、任意の針安全キャップ50と、を有するランセット本体42を備える。任意の針安全キャップ50は、タブ捕捉開口部52を備える。付勢部材46は、一端においてランセット本体42に直接接続され、反対端に係止部材48を備える。係止部材48は、ランセットハウジング20の保持フランジ35を受容するスロット49を備えることが好ましい。係止部材48は、付勢部材46が目的通りに機能するように、すなわち、ランセット本体42およびランセット針
141を、駆動ピストンによって露出穿刺位置まで移動させた後で、ランセットハウジング20内の格納位置に撤収するために、ランセット40の一端を固定する。
【0032】
セン
サストリップ60は、液状サンプル中の所定の被分析物の濃度を測定することができる、使い捨てセンサストリップである。このようなセンサテストストリップの一例は、血糖測定のための、使い捨てグルコーステストストリップであるが、他の被分析物を測定するために設計された使い捨てストリップも、ランセットカートリッジ10に実装されてよい。
【0033】
本実施形態における再使用防止部材70は、取り外し可能な細長いピストンコッキングタブ71である。ピストンコッキングタブ71は、第1タブ端部73に位置する、少なくとも1つの駆動ピストン係合可能面72と、第2タブ端部75、またはその近傍に位置する針キャップ連動機構74と、を備える。ピストンコッキングタブ71は、ランセットカートリッジ10が連結されるメータハウジング内の位置調整タブと協働する、位置調整ノッチ76を任意に備えていてもよい。
【0034】
さて、
図3を参照すると、
図1の実施形態のランセットカートリッジ10の上面図が示されている。より明らかに示されているように、第1
駆動ウィング44および第2駆動ウィン
グ45は、ハウジング側部30,31から外向き且つ垂直に、駆動
ピストン溝28,29の中に延出している。ランセット40を格納位置から露出穿刺位置に駆動するランセット駆動機構を実装するメータハウジングがない状態では、ランセットカートリッジ10は使用不可能であることに注目されたい。
【0035】
図4は、ランセットカートリッジ10の側面図である。ピストンコッキングタブ71は、第1駆動ウィング44後方のピストン溝28の中へと、そしてハウジング閉口端22に近づくように、横方向および下方向に延出しているピストンフランジ77を備える。ピストンフランジ77は、駆動ピストン係合可能面72を備える。針キャップ連動機構74は、針安全キャップ50のタブ捕捉開口部52を通って延出し、ピストンコッキングタブ71を針安全キャップ50に連動させる。ランセットカートリッジ10が、適切なランセット駆動機構を有するメータハウジング内に挿入されると、駆動ピストン係合可能面72は
ランセット駆動ピストンと係合し、ランセット駆動ピストンを発射可能位置まで押し出す。ランセットカートリッジ10がメータハウジング内に挿入されて、ピストンコッキングタブ71がランセット駆動ピストンをメータハウジング内で作動可能状態にした後で、針安全キャップ50がランセットカートリッジ10から取り外される際に、ピストンコッキングタブ71も同時にランセットカートリッジ10から取り外される。ピストンコッキングタブ71がランセットカートリッジ10から取り外されることで、メータハウジングに配置されたランセット駆動ピストンを作動可能状態にするコッキング機構が、効率的に取り外される。
【0036】
ランセットカートリッジ10が検体を穿刺するのに使用された後では、ランセットカートリッジ10は、ランセット駆動ピストンを再び作動可能状態にするのに必要なコッキングタブ71をもはや有していない。使用済みランセットカートリッジ10をメータから取り外した後に再挿入しても、ランセット駆動ピストンと係合してピストンを発射可能位置に駆動する、ピストン係合可能面72は存在しない。使用済みランセットカートリッジ10を用いて、ランセット駆動ピストンを再び作動可能状態にすることができない限りは、試験サンプルを得るために同一または別の検体を穿刺するのに、使用済みランセットカートリッジ10を再使用することは不可能である。よって、ランセットカートリッジ10は、真の意味で、使い捨てランセットカートリッジである。
【0037】
より明らかに
図4に示されている別の装置は、ランセットカートリッジ保持ノッチ36である。カートリッジ保持ノッチ36は、メータハウジング内のロック機構と協働し、ランセットカートリッジ10をメータハウジングから取り外すことが望まれるまで、ランセットカートリッジ10をメータハウジングと連結した状態に保持する。
【0038】
さて、
図5を参照すると、再使用防止部材70の拡大斜視図が示されている。先に開示されているように、コッキングタブ71は、針キャップ連動機構74とピストンフランジ77とを備える。針キャップ連動機構74は、針安全キャップ50のタブ捕捉開口部52内に挿入されるフランジであり、第2タブ端部75近傍に備えられる。ピストンフランジ77は、ピストン係合可能面72を有する第1タブ端部73に備えられ、コッキングタブ71から横方向および下方向に延出する。
【0039】
図6は、複数回使用されるランセット駆動アセンブリおよびメータと共に使用するための、使い捨てランセットカートリッジ
100の別の実施形態を図示している。本実施形態では、ランセットカートリッジ100は、
図10〜12に示される駆動ピストンと協働および係合する、再使用防止部材170を実装する。先に開示された実施形態とは異なり、針安全キャップ150のみがランセットハウジング120の開口端121から延出している。
図7は、組み立てられてランセットカートリッジ100を形成する様々な部材を示す、ランセットカートリッジ100の
分解図である。ランセットカートリッジ100は、ランセットハウジング120と、ランセット140と、セン
サストリップ160と、再使用防止部材170と、を備える。先に開示された実施形態と同様に、ランセットハウジング120は、ランセットカートリッジ100が静止状態にある時に、ランセット140を受容および収容するように構成された、ハウジング凹部123を備える。ランセットハウジング120は、使用中に、ランセット140が突出および撤収の際に通過するハウジング開口端121と、ハウジング閉口端122と、を有する。
【0040】
ランセットハウジング120は、第1側方開口部124と、任意の第2側方開口部125と、任意の
第1ウィングガード126および第2ウィングガード127と、をさらに備える。任意の
第1ウィングガード126および第2ウィングガード127が、ランセットハウジング120に実装されると、
第1ウィングガード126および第2ウィングガード127と、ランセットハウジング120の
ハウジング側部130,131と、のそれぞれの間に駆動ピストン溝128,129が形成される。第1
側方開口部124および第2側方開口
部125は、ランセット140が格納静止位置と穿刺位置との間で移動できるように、十分に細長い形状である。
【0041】
ランセット140は、ランセット本体142の片側に位置する回転可能な駆動ウィングマウント143(
図9参照)と、回転可能な駆動ウィング止め144と、付勢部材146と、ランセット針
141(
図9および12に図示)と、任意のランセット針安全キャップ150と、を有するランセット本体142を備える。付勢部材146は、一端においてランセット本体142に直接接続され、反対端に係止部材148を備える。係止部材148は、ランセットハウジング120の保持フランジ135を受容するスロット149を備えることが好ましい。係止部材148は、付勢部材146が目的通りに機能するように、すなわち、ランセット本体142およびランセット針
141を、駆動ピストンによって穿刺位置まで移動させた後で、ランセットハウジング120内の格納静止位置に撤収するために、ランセット140の一端を固定する。
【0042】
ランセットカートリッジ100に実装されたセンサストリップ160は、先に開示されたセンサストリップ60と同一または同様である。
本実施形態における再使用防止部材170は、駆動ウィングマウント143を用いてランセット140上に回転可能に取り付けられた回転可能な駆動ウィング172である。回転可能な駆動ウィング172は、第1駆動ウィング部174と、第2駆動ウィング部176と、第1
駆動ウィング部174および第2駆動ウィング
部176に直接接続する中間駆動ウィング部178と、を備える。中間駆動ウィング部178は、ランセット本体142の回転可能なウィングマウント143に、回転可能に取り付けられる。第1駆動ウィング部174は第1側方開口部124を通って延出しており、第2駆動ウィング部176は、駆動ウィング止め144と係合可能となるように配置されている。当然のことながら、第2駆動ウィング部176は、中間駆動ウィング部178から任意に十分に延出してもよく、さらに、ランセットハウジング120の任意の第2側方開口部125を通って延出してもよい。
【0043】
図8は、ランセットカートリッジ100の上面図である。より明らかに示されているように、第1
駆動ウィング部174および第2駆動ウィング
部176は、ハウジング側部130,131から外向き且つ垂直に、駆動
ピストン溝128,129の中に延出している。先の実施形態と同様に、ランセットカートリッジ100の本実施形態も、ランセット140を格納位置から露出穿刺位置に駆動するランセット駆動機構を実装するメータハウジングがない状態では使用不可能である。
【0044】
図9は、回転可能な駆動ウィング
172が取り付けられたランセット140の拡大底面斜視図である。回転可能な駆動ウィング
172は、第2ウィング部176が駆動ウィング止め144に接した状態で、回転可能な駆動ウィングマウント143に回転可能に取り付けられる。駆動ウィング止め144は、第1
駆動ウィング部174および第2駆動ウィング
部176がランセット本体142から略垂直に延出するように、回転可能な駆動ウィング
172が矢印200の方向に回転するのを防止する。その目的は、ランセットカートリッジ100がメータハウジング内に挿入される際に、ランセット駆動ピストンからの接触に適切な位置に駆動ウィング部174,176を向けるためである。
【0045】
本実施形態における再使用防止部材170が所望のように機能するためには、ランセット駆動ピストンは、回転可能な駆動ウィング
172と相互作用する部材を実装しなければならない。
図10および11は、ランセットカートリッジ100と共に使用するための、ランセット駆動ピストン180の一実施形態を図示している。駆動ピストン180は、端部183,185と端部183における駆動ウィングピストン面182とを有するピストン本体181と、トリガ解除止め184と、ウィング歯止め190と、歯止めマウント186と、を備える。矢印210によって示される限定された可動域を実現するために、ウィング歯止め190は、歯止めバネ(図示せず)によって歯止めマウント186に回転可能に取り付けられる。歯止め190は、
歯止め曲折面194とウィング回転面196とを有する、ウィング係合可能部192を備える。歯止め190のウィング係合可能部192は、駆動ウィングピストン面182を越えて延出している。その際、ランセット駆動ピストン180を収容しているメータハウジング内にランセットカートリッジ100が装填された後に、ランセット駆動ピストン180が発射可能位置から発射されてランセット針141および本体142のそれぞれが格納静止位置から穿刺位置に移動した時に、第1駆動ウィング部174がウィング回転面196と駆動ウィングピストン面182との間に位置するよう、十分な距離がとられている。発射または作動プロセスの間、
歯止め曲折面194は第1ウィング部174と接触する。ウィング止め144が回転可能な駆動ウィング172の回転を防止するので、駆動ウィングピストン面182が第1ウィング部174に接触する直前まで、歯止め190は第1ウィング部174の下方に曲折する。ランセット針141を穿刺位置に駆動した後、駆動ピストン180が戻ると、歯止め190のウィング回転面196は、第1ウィング部174と係合し、回転可能な駆動ウィング172を回転させて、第1駆動ウィング部174をランセットハウジング120内に配置する。それにより、第1駆動ウィング部174は、もはやランセットハウジング120から延出することはなく、また、駆動ウィングピストン面182が係合できる面を提供することももはやない。駆動ウィング172の回転により、ランセット駆動ピストン180が再発射準備および発射/作動しても、初回使用後では、ランセット針141およびランセット本体142を穿刺位置へと駆動することはできない。
図12は、ランセット針141を穿刺位置に駆動した後、ランセット駆動ピストン180が戻る間に、回転可能な駆動ウィング172を回転させる、歯止め190のウィング回転面196を図示している。
【0046】
図13は、携帯型のメータハウジング300およびランセットカートリッジ10の正面斜視図である。メータハウジング300は、表示部330と、作動トリガ310と、カートリッジ排出装置320と、コントロールパネル340と、カートリッジポート350と、スキャナ360と、を備える。図に示す通り、ランセットカートリッジ10は、ピストンコッキングタブ71である再使用防止部材70を備える。ピストンコッキングタブ71が備えられているので、メータハウジング300は、メータハウジング300内に収容されているランセット駆動ピストン
180を作動可能状態にするための発射準備機構を備えていない。その理由は、ランセットカートリッジ10がカートリッジポート350内に挿入された際に、ピストンコッキングタブ71がランセット駆動ピストン
180を作動可能状態にするからである。
図14は、
図13に示されるメータハウジング300の後面斜視図である。スキャナ360は、患者情報を含み得るバーコードを読み込むためのスキャナウィンドウ362を備える。メータハウジング300は、プロセッサおよびデータを保存するためのメモリを少なくとも含む電子測定モジュールと、スキャナモジュールと、電源モジュールと、を備える。メータハウジング300は、充電モジュール、データ伝送モジュール、データポート等を任意に備えていてもよい。
【0047】
図15は、メータハウジング300内部の上面図であり、明確にするためにランセット駆動ピストン180およびカートリッジ排出装置320のみを示している。ランセット駆動ピストン180は、ランセット駆動ピストン180を発射可能位置から穿刺位置に駆動し、さらに格納静止位置に戻るように駆動する手段を提供する、バネのような複数の付勢部材198を備える。カートリッジ排出装置320は、カートリッジ解放アーム324と部材解放面504とを備える。カートリッジ解放アーム324は、ランセットカートリッジ10がメータハウジング300内に挿入された際に、先に
図4に示されたカートリッジスロット36内に配置されているカートリッジロック502を有するカートリッジロック部材500と係合する。また、部材解放面504も、カートリッジ解放アーム324によって係合される。カートリッジロック部材500は、細長く弾性的な部材であり、カートリッジ解放アーム324によって横方向に移動するほどの可撓性を有するが、場合によっ
てはランセットカートリッジ10または100をロックおよび保持するほどの剛性を有する。カートリッジ解放アーム324は、2つの目的を果たす。カートリッジ解放アーム324は、カートリッジロックと係合してカートリッジロックをカートリッジスロット36から移動させる一方で、ほぼ同時にメータハウジング300からランセットカートリッジ10を排出する。また、カートリッジ排出装置320は、複数の付勢部材326をさらに備える。メータハウジング300の本実施形態から顕著に欠けているのは、ランセット駆動ピストン発射準備部材および穿刺深さゲージである。
【0048】
さて、
図16を参照すると、ランセットカートリッジ100と共に使用するためのメータハウジング300の開放斜視図が示されている。本実施形態では、メータハウジング300は、複数回使用されるランセット駆動ピストン180と、カートリッジ排出装置320と、穿刺深さ調整装置400と、ランセットピストン発射準備部材410と、を備える。カートリッジ排出装置320は、排出装置本体322と排出ボタン328とを備える。排出装置本体322は、タブ係合面325とランセットカートリッジ排出面326とを有する、カートリッジ開放アーム324を備える。排出ボタン328は、排出装置本体322に一体的に接続される。ランセットピストン発射準備部材410は、発射準備部材本体411に横方向に一体的に接続されたコッキングボタン412を有する発射準備部材本体411を備える。コッキングボタン412が使用者によって作動されると、発射準備部材410は、発射準備部材端部413をランセット駆動ピストン180の駆動ピストン端部185の一部と摺動可能に係合させ、それにより、ランセット駆動ピストン180を発射可能位置に移動させる。発射準備部材端部413は、ランセット駆動ピストン180の穿刺位置への前進運動を止める駆動ピストン止めとしての機能も果たし、ひいてはランセット針141の穿刺位置への前進運動を抑制する。発射準備部材410は、穿刺深さ調整装置400と協働する穿刺深さ端部414をさらに備える。穿刺深さ調整装置400は、ランセット針141の検体への穿刺深さを可変的に調整するように構成されており、使用者によって手動で制御される。穿刺深さ調整装置400は、発射準備部材410の穿刺深さ端部414と係合するホイール軸401に対する可変半径を有する、弓状面402を備える調整ホイールである。穿刺深さ調整装置400は、メータハウジング300の固定戻り止め(図示せず)と協働する、戻り止め係合機構404をさらに備える。戻り止め係合機構404は、戻り止めを受容するためのくぼみを有する。くぼみは、ランセット針141の穿刺深さの所定の設定を表し、弓状面402の特定の位置と一致する。穿刺深さ調整装置400の外面部406は、使用者による操作のために、メータハウジング300の外側に延出している。
図16Aは、
図16の上面図であり、穿刺深さ調整装置400、発射準備部材410、およびカートリッジ排出装置320の多様な部品をより明らかに示している。
【0049】
ピストンコッキングタブ71を有するランセットカートリッジ10を使用するために、ランセットカートリッジ10は、ランセットカートリッジ10と共に使用されるように構成されたメータハウジング300内に挿入される。ランセットカートリッジ10をメータハウジング300内に挿入するプロセスによって、ピストンコッキングタブ71のピストン係合可能面72は、メータハウジング300内でランセット駆動ピストンと係合し、ランセット駆動ピストンを発射可能位置に押し出すことになる。針安全キャップ50を取り外すと、同時にランセットカートリッジ10からピストンコッキングタブ71を取り外すことになり、ランセットカートリッジ10は使い捨てでの使用の準備ができる。ピストンコッキングタブ71は、針安全キャップ50が取り外される際に、同時にランセットカートリッジ10から取り外されるので、ランセット駆動ピストンを作動可能状態にする機構もまた、取り外される。よって、このランセットカートリッジを引き続き使用して、別のまたは同じ検体を穿刺することは不可能になる。
【0050】
回転可能な駆動ウィング
172を有するランセットカートリッジ100を使用するために、ランセットカートリッジ100は、ランセットカートリッジ100と共に使用されるように構成されたメータハウジング300内に挿入される。ランセットカートリッジ100がメータハウジング300内に挿入される前または後のどちらかに、ランセット駆動ピストン180は、使用者がランセットピストン発射準備部材410を用いてランセット駆動ピストンをコックすることによって、作動可能状態にされる。ランセットピストン発射準備部材410は、トリガ解除止め184が
作動トリガ310によって係合されるまで摺動可能に後方に移動し、ランセット駆動ピストン180を発射可能位置に押し出す。針安全キャップ150を取り外すと、ランセットカートリッジ100は使い捨てでの使用の準備ができる。
作動トリガ310を押すことによって、作動可能状態のランセット駆動ピストン180を作動させると、ランセット駆動ピストン180は、回転可能な駆動ウィング172の第1駆動ウィング部174に向かって移動する。この移動の間、歯止め190の歯止め曲折面194は、第1駆動ウィング部174に接触する。そして、ランセット本体142上の駆動ウィング止め144は、歯止め曲折面194が第1駆動ウィング部174と衝突することによって、回転可能な駆動ウィング
172が回転するのを防止するので、歯止め190は、第1駆動ウィング部174の下方に曲折し、駆動ウィングピストン面182が第1駆動ウィング部174と係合する直前に、自動的に非曲折位置に戻る。続いて、ランセット駆動ピストン180は、第1駆動ウィング部174に衝突し、穿刺位置まで進み続ける。穿刺位置に到達した後で、歯止め190のウィング回転面196は、第1ウィング部174と係合し、回転可能な駆動ウィング172を回転させて、第1駆動ウィング部174をランセットハウジング120内に配置する。それにより、第1駆動ウィング部174は、もはやランセットハウジング120から延出することはなく、また、駆動ウィングピストン面182が係合できる面を提供することももはやない。駆動ウィング172が回転してランセットハウジング120に入ることで、ランセット駆動ピストン180への接触面の提供が効率的に排除され、使用者によってランセット駆動ピストン180が再び作動可能状態にされたり、再び作動されたりしたとしても、ランセット140の再使用が防止される。
【0051】
本発明の好ましい実施形態について、本明細書において説明してきたが、上述したものは単なる例証である。各技術分野における当業者が、本明細書に開示された発明をさらに改変することは当然起こることであり、そのような改変の全ては、添付の特許請求の範囲によって定義される発明の範囲内にあるとみなされる。