【実施例】
【0031】
本発明の原理をさらに明確なものとするために、本願にクレームするセラミック製品および方法がいかにして作製されかつ評価されるかについての完全な開示および説明を当業者に提供すべく、下記に実施例を示す。これらは、単に発明の具体例を意図するものであり、発明者が発明と見なす範囲を制限することを意図するものではない。数(例えば、量、温度等)に関して、正確さを保証するために努力がなされた。しかしながら、いくらかの誤差および偏差が存在した可能性がある。別の方法で示されない限り、パーツは、重量パーツであり、温度は摂氏または大気温度であり、圧力は大気圧または大気圧に近い圧力である。
実施例1:延伸ロールの寿命対焼成バルク密度
どのレベルの焼成バルク密度が最良の延伸ロール寿命密度と相互に関連するかを決定するために、長さが異なる(
図3Aに示す短い長さ、および
図3Bに示す長い長さ)多数の延伸ロールに対して試験を行った(数日に亘って測定した)。
図3Aに示すように、短い長さの延伸ロールについては、バルク密度が約0.95g/cc〜約1.05g/ccの場合に最良のロール寿命を得ることができる。
図3Bに示すように、長い長さの延伸ロールについては、バルク密度が約1.00〜約1.05g/ccの場合に最良のロール寿命を得ることができる。
【0032】
これらのバルク密度値を、試験用カートリッジを用意する際に使用できる。例えば、試験用カートリッジを、短い長さの延伸ロールをシミュレートするために用意することができる。ミルボード材料の特性を測定するために、カートリッジを、約0.95g/cc〜約1.05g/ccのバルク密度となるように圧縮してもよい。カートリッジを圧縮した後に測定した材料特性は、短い長さの延伸ロールの製品に使用される場合、同じ材料の特性と実質的に類似するであろう。
実施例2:延伸ロールの寿命対平均ショアDデュロメータ硬さ
延伸ロールの硬さおよび延伸ロールの寿命(数日に亘って測定される)の間の相関を決定するために、異なる長さの多数の延伸ロールに対して試験を行った。これらの試験のために、ショアDデュロメータ硬さ計を用いて硬さを測定した。
図4Aに示すように、短い長さの延伸ロールについては、ロールの硬さが約40〜約45の場合に、最良のロール寿命となる。
図4Bに示すように、長い長さの延伸ロールについては、ロールの硬さが約40〜約50の場合に、最良のロール寿命となる。
【0033】
一例において、仕上げられたロール用の最良のデュロメータレベルに関する知識は、ミルボード材料のロットおよび延伸ロールを生産するためのそれらの適合性を評価するための測定基準を提供できる。例えば、ミルボード材料のあるロットのプレートからなる試験用カートリッジを、上述したようにカートリッジに圧縮でき、表面を仕上げることができる。カートリッジの部分のショアDデュロメータ硬さを測定でき、例えば
図4Aおよび4Bに示す最良のデュロメータレベルと比較することができる。
実施例3:ショアDデュロメータ硬さと延伸ロールの焼成バルク密度との相関
図5A、5Bおよび5Cは、焼成バルク密度と平均デュロメータ硬さとの相関を示す図である。これらの図に示すように、変数の間には正相関がある。しかしながら、試験実施時のわずかな測定誤差(デュロメータ硬さの測定誤差、および程度は小さいがプレート重量の測定誤差等)により、図はデータ点が大きくばらつき、相関係数を悪化させていることを示している。しかしながら、基本的には、延伸ロール(したがって試験用カートリッジ)の密度が高いほど、デュロメータ硬さ値は大きくなる。
図5Cは、
図5Aおよび
図5Bにおける平均デュロメータ読み値の範囲がオーバーラップしていることから、
図5Aおよび
図5Bに示すデータを組み合わせたものであり、デュロメータ硬さと焼成バルク密度とのより明確な相関を示している。
実施例4:テスト用カートリッジと製品延伸ロールとのショアDデュロメータ硬さの比較
同一のミルボード材料から作製された試験用カートリッジおよび製品延伸ロールを測定するための試験を行った。表1に示すように、試験用カートリッジを用いた測定値は、延伸ロールを用いた測定値と実質的に類似するものとなった。この試験を行う際、シャフトの各端部(すなわち駆動端およびアイドル端)に材料を有し、その間には材料を有さない延伸ロールを使用した。シャフトの各端部の「A」および「B」欄は、シートガラスの製造時にペアとして利用される延伸ロールのそれぞれを表す。上述したように、延伸ロールはペアで使用され、双方のロールは同一ロットの材料からなる。「全体平均」欄は、製品延伸ロールにおける材料の平均ショアDデュロメータ測定値を提供する。一方「試験用平均」欄は、同一材料ロットから作製した試験用カートリッジの平均ショアDデュロメータ測定値を提供する。この特定の試験から分かるように、製品延伸ロールの平均ショアDデュロメータ測定値は42であり、試験用カートリッジの平均ショアDデュロメータ測定値は41であった。
表1 あるミルボードロットから完成された延伸ロールと、同一ロットからのプレートを用いた試験用カートリッジとの比較
【0034】
【表1】
【0035】
実施例5:試験用カートリッジの過度の圧縮の効果およびショアD硬さに及ぼす影響
1.025g/ccの目標バルク密度を達成するために、計算するのではなく、試験用カートリッジの圧縮長さを固定して試験を行った。表2に示すように、固定圧縮長さは、1.025g/ccの所望とする目標密度を達成するために必要とされるものよりも短かった(すなわちカートリッジは過度に圧縮された)。過度に圧縮されたカートリッジのその結果生じるバルク密度は、「実際の圧縮長さに基づく推測されるバルク密度」の欄に示すように、目標バルク密度よりも高かった。1〜6欄は、カートリッジの軸に沿った3つの位置(すなわち左、中央および右)における測定値、およびカートリッジを180度回転させた後の同一の3つの位置における測定値を示す。「平均デュロメータ」欄から分かるように、カートリッジを過度に圧縮することにより、デュロメータ硬さ値は増加した(35〜50の仕様許容差を超えるものもあった)。さらに、その値は同一ロットから得た製品ロールの平均ショアDデュロメータ硬さよりも高かった。硬すぎる(すなわち、仕様許容差よりも高い)製品ロールを使用することの1つの欠点は、ロールが製造中のガラスに割れまたは他の不良を引き起こすことである。
表2 デュロメータ硬さにおける過度に圧縮したカートリッジの効果
【0036】
【表2】
【0037】
表2に示すように、実際の圧縮長さは、そうあるべきであった長さよりも短く、よって決定されたデュロメータは高い。さらに、所望の目標バルク密度は、好ましくは約1.025g/ccであるが、他の例において、バルク密度を約1.09g/ccに変更できる。
実施例6:所定バルク密度を得るために必要な圧縮カートリッジ長さの算出
上述したように、本発明の一実施形態において、カートリッジを所定バルク密度に圧縮してもよく、そのバルク密度を得るために必要な圧縮力を定量化できる。ある実施形態において、目標バルク密度を得るために必要な圧縮カートリッジ長さを算出することにより、所定のバルク密度値を決定できる。表3は、必要とされる圧縮長さを算出するために使用できる計算を示す。
表3 試験用の圧縮長さの算出
ここで、
ρ=目標バルク密度=1.025g/cm
3
r=積層されたプレートの半径=3.2258cm
V
M=圧縮された長さにおける試験用カートリッジの堆積=
W=30枚プレートが積層された試験用カートリッジの重量=
M=所望バルク密度を達成するための試験用カートリッジの圧縮長さ=
ρ=w/V
Mであり、V
Mについて解くと、V
M=w/ρ
また、V
M=πr
2M
したがって :
w/ρ=πr
2Mであり、Mについて解くとM=w/(ρπr
2)
M=w/((1.025g/cm
3)(3.14...)(3.23cm)
2)
M=(w/33.50800821g/cm)×(1インチ/2.54cm)
M=w(1インチ)/85.11034086g
したがって、式
M=w(1インチ)/85.11g
を圧縮長さを求めるために使用する。一例において、この方法論によって圧縮長さを算出できる。作業者は、所望とする焼成プレートの目標密度および半径を変更できることも理解されよう。
実施例7:製品延伸ロールに適用される条件をシミュレートするために必要とされるカートリッジ圧の算出
上述したように、一実施形態において、ある材料ロットが延伸ロールの製造に使用するのに適しているかどうかを決定するために、カートリッジの特性が測定される。カートリッジの特性を測定する1つの方法は、使用時に延伸ロールが受ける条件をシミュレートすることである。例えば、使用時に延伸ロールが既知の圧力を受けるならば、各種特性を測定または決定するために、試験用カートリッジに、同様の圧力を受けさせることができる。ある実施形態において、試験は、材料が焼成された試験用カートリッジのものとすることができる。試験は、材料が焼成されていない試験用カートリッジのものとすることもできる。いずれかまたは双方の場合において、材料特性の測定値(例えばこれに限定されるものではないが圧縮率、復元率および弾性)を、材料が必要な仕様を満たすか否かを決定するために、製造元が提供するデータと比較できる。以下の式は、8.625インチ(21.91cm)の直径の水圧ラムを備えたシステムにおける延伸ロールに対する、および2.5インチ(6.35cm)の直径の水圧ラム(例えばピストン)を備えたシステムにおけるカートリッジに対する200psi(1379000Pa)の圧力をシミュレートするために必要な計算を示す。
【0038】
F=PA=圧力×面積
=(200)×(8.625/2)
2×π
=11685lbs(5300kg)
システムが試験用カートリッジに作用するこの力に適合するようにするために、試験器における水圧ラムの直径を用いて必要な圧力を算出できる。
【0039】
11685lbs=PA=圧力×面積
=P×(2.5/2)
2×π
P=2380psi(16410000Pa)
必要な圧力が算出されると、下記の式に示すように、圧縮率、復元率および弾性等の各種材料特性を算出できる。ASTEM F36の手順である「ガスケット材料の圧縮率および復元率のための標準試験方法」に基づくと、圧縮率および復元率は下記の式により算出される。
【0040】
圧縮率、%=(P−M)/P×100%
復元率、%=(R−M)/(P−M)×100%
ここで、「P」は初期負荷下におけるプレート(すなわちカートリッジ)の厚さ(ミリメートルまたはインチ)であり、「M」は全負荷下における厚さ(ミリメートルまたはインチ)であり、「R」は復元した厚さ(ミリメートルまたはインチ)である。これらの値を
図6に示す。弾性は下記の式を用いて同様に算出できる。
【0041】
弾性、%=(R−M)/M×100%
上述した値は例示を目的とするものであり、本発明の実施形態が上述した値に限定されることを意図するものではないことが理解されよう。