(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、光源としてLEDランプを用いる場合には、グレア防止あるいはLEDランプの保護のために、レンズのようなカバーが必要となる。かかるカバーの材質としては、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂が最適であるが、カバーに合成樹脂を用いると火災の際に溶融滴下するため、鉄道車両用材料等に使用することができなかった。
【0007】
そこで、光源のカバーの材質として、不燃性であり透光性のあるガラスを採用することが考えられるが、一般にガラスは割れやすいといった問題があり、該問題を解決するには肉厚となり重量増加を招くというさらなる問題があった。また、ガラスは、合成樹脂に比べて加工が困難であると共に、材料費も高価であるといった問題もあった。
【0008】
以上のような従来の照明装置に関する問題点に鑑みて、本件発明者らは既に特願2010−130798号により、光源を覆う保護カバーを合成樹脂により成形したとしても、これらを下方より取り囲む位置まで延出したケーシングの一部に溶融物受け部を設けることにより、万一火災等により保護カバーが溶融したとしても、該溶融物を下方に漏らす虞のない照明装置を提案している。
【0009】
ところが、このような照明装置では、次のような問題を解決するための改良が望まれることになった。すなわち、当初は照明装置を構成するケーシング内の左右の光源が同じ高さで、かつ客室内の天井部の基準面にほぼ合致する位置に配されることを想定していたが、これでは、客室内の天井部の隅に沿って展開された広告のうち特に天井部に沿った面には、ケーシング内で反射された光が届かないという問題が新たに浮上した。
【0010】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、大型化や重量増加を招くことなく、限られたスペース内におけるレイアウトやデザインの自由度も向上し、しかも、客室内の天井部の隅に沿って展開した広告の全面に対しても、十分に光を照射することができる照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]光源(20)が取り付けられ、客室内(2)の天井部(3)に設置するケーシング(11C)を備えた照明装置(10)において、
前記ケーシング(11C)は、長尺に延びており、その長手方向に平行に延びる一側端部(13)から他側端部(13)にかけて弧状に湾曲した断面形状に形成され、
前記ケーシング(11C)は、前記天井部(3)に対して姿勢を調整可能な取付手段(50)を介して設置され、
前記天井部(3)の設置面に前記取付手段(50)として、前記ケーシング(11C)の断面形状と同じ曲率で湾曲した取付面(52)を備えたブラケット(51)
が配設
され、該取付面(52)の長手方向における所定間隔おきに両側方向に等間隔で並ぶ複数のネジ孔(53)
が設け
られ、
前記ケーシング(11C)の長手方向における所定間隔おきに両側方向に等間隔で並ぶ複数の小孔(18)
が前記ネジ孔(53)に対応
して設け
られ、
前記ケーシング(11C)を前記ブラケット(51)の取付面(52)に対して所望の姿勢をなす位置に配置した状態で、当該位置にて互いに合致した前記小孔(18)と前記ネジ孔(53)と
がネジ止め
されることを特徴とする照明装置(10)。
【0012】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の照明装置(10)によれば、ケーシング(11C)に光源(20)が取り付けられ、該ケーシング(11C)が客室内(2)の天井部(3)に設置される。ここでケーシング(11C)は、長尺に延びており、その長手方向に平行に延びる一側端部(13)から他側端部(13)にかけて弧状に湾曲した断面形状に形成される。
【0013】
前記ケーシング(11C)は、前記天井部(3)に対して姿勢を調整可能な取付手段(50)を介して設置すれば、ケーシング(11C)の姿勢を後から容易に適宜調整することができる。取付手段(50)としては、前記天井部(3)の設置面に、前記ケーシング(11C)の断面形状と同じ曲率で湾曲した取付面(52)を備えたブラケット(51)を配設しておき、このブラケット(51)に対してケーシング(11C)を所望の左右の傾きを持たせた状態で取り付ければ良い。
【0014】
ここで前記ブラケット(51)の取付面(52)には、その長手方向における所定間隔おきに両側方向に等間隔で並ぶ複数のネジ孔(53)を設け、一方の前記ケーシング(11C)には、同じく長手方向における所定間隔おきに両側方向に等間隔で並ぶ複数の小孔(18)を前記ネジ孔(53)に対応させて設けておく。
【0015】
このような簡易な構成により、前記ケーシング(11C)を前記ブラケット(51)の取付面(52)に対して所望の姿勢をなす位置に配置した状態で、当該位置にて互いに合致した前記小孔(18)と前記ネジ孔(53)とをネジ止めすることにより、容易に所望の姿勢で取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る照明装置によれば、大型化や重量増加を招くことなく、限られたスペース内におけるレイアウトやデザインの自由度も向上する。また、天井部と壁面部の境目、例えば客室内の天井部の隅に沿って展開した広告の全面に対しても、十分に光を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施の形態に係る照明装置を鉄道車両の客室内の天井部に取り付けた状態を示す概略断面図である。
【
図2】本発明の第1実施の形態に係る照明装置を示す端面図である。
【
図3】本発明の第1実施の形態に係る照明装置の保護カバーが溶融した際の状態を示す端面図である。
【
図4】本発明の第1実施の形態に係る照明装置を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施の形態に係る照明装置の一端部を示す拡大斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施の形態に係る照明装置を示す正面図である。
【
図7】本発明の第1実施の形態に係る照明装置を示す平面図である。
【
図8】本発明の第1実施の形態に係る照明装置を示す底面図である。
【
図9】本発明の第2実施の形態に係る照明装置を示す端面図である。
【
図10】本発明の第2実施の形態に係る照明装置の一端部を示す拡大斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施の形態に係る照明装置の保護カバーが溶融した際の状態を示す端面図である。
【
図12】本発明の第3実施の形態に係る照明装置を示す端面図である。
【
図13】本発明の第3実施の形態に係る照明装置の照射範囲を示す説明図である。
【
図14】本発明の第4実施の形態に係る照明装置を示す端面図である。
【
図15】本発明の第4実施の形態に係る照明装置の取り付けを説明する端面図である。
【
図16】本発明の第4実施の形態に係る照明装置のケーシングを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき、本発明を代表する各種実施の形態を説明する。
図1〜
図8は、本発明の第1実施の形態を示している。
図1は、鉄道車両の客室内の天井部への照明装置の取付状態を示す概略断面図であり、
図2は、照明装置の端面図、
図3は、照明装置の保護カバーが溶融した際の端面図である。
図4は、照明装置の斜視図であり、
図5は、照明装置の一端部の拡大斜視図であり、
図6は、照明装置の正面図であり、
図7は、照明装置の平面図であり、
図8は、照明装置の底面図である。
【0019】
図1において、照明装置10は、鉄道車両1の客室内2の天井部3に設置されるものであり、本実施の形態では、客室内2にて座席5が並ぶ前後方向に延びるように設置される。本実施の形態における照明装置10は、客室内2の天井部3の近傍を柔らかく照明するための間接照明をなしている。
【0020】
照明装置10は、長手方向に延びる複数のユニットが一列をなすように順次繋がれて、客室内2の天井部3に、ユニットの主要部をなすケーシング11が、その開口部を下方に向けて埋め込むような状態に設置されている。また、照明装置10のケーシング11は、客室内2の天井部3の中心線を対称軸として、左右対称の位置関係で一対に並んで延びるように設置されている。
【0021】
図2に示すように、照明装置10は、光源20が取り付けられ、該光源20から照射された光を受けて間接的に外部を照らす反射面12を備えたケーシング11と、前記光源20を外側から覆う状態で前記ケーシング11に装着される保護カバー30とから成る。ここでケーシング11の一部は、保護カバー30の全域に対して鉛直方向に重なる位置まで少なくとも延出し、かつ保護カバー30の最下部30aに近接する部分に、保護カバー30が溶融滴下した際に該溶融物を下方に漏らさず受け入れる溶融物受け部40が設けられている。
【0022】
ケーシング11は、長尺に延びており下向きに円弧状に湾曲した断面形状であり、その長手方向に平行に延びる両側端部13,13は、それぞれ内側に向って下方から上方へと回り込むように湾曲した形状に成形されている。このようなケーシング11は、アルミニウム等の金属により容易に押出し成形することができるものである。ケーシング11の内側全体に亘る反射面12には、光反射効率が高くなる表面処理が施されている。具体的には例えば、白色塗料を塗布したり、あるいは鏡面加工しても良い。
【0023】
光源20の種類は特に限定されないが、LEDランプであることが好ましい。LEDランプは小型であること、低消費電力であること、長寿命であることという利点を有する。本実施の形態では、
図2に示すように、細幅状に延びる基板21上に表面実装型のLEDランプを複数並べて配列させている。LEDランプの発光色は任意に選択できる。基板21はその一面が実装面であり、該実装面上にLEDランプが電気的に接続される配線回路が形成されている。
【0024】
図2に示すように、光源20を含む基板21は、ケーシング11における両側端部13,13の湾曲した内側に沿って、該内側の空間を閉じる状態に取り付けられている。詳しくは、側端部13の湾曲した内側には、互いに対向する一対のレール溝14,14が設けられており、各レール溝14に、基板21の両側端縁がそれぞれ摺動可能に嵌合するように取り付けられている。
【0025】
保護カバー30は、前記基板21と同じく細幅状に延びる同形状の平板状に形成されている。保護カバー30の材質は、アクリル樹脂やPC樹脂等の光透過性材料であれば特に限定されないが、加工の容易性等の理由からガラスではなく合成樹脂であることが好ましい。なお、保護カバー30は無色透明の他、有色透明であっても良く、また、保護カバー30に光拡散剤を含有させて、保護カバー30内で積極的に光を拡散させても良い。
【0026】
図2に示すように、保護カバー30は、ケーシング11における両側端部13,13の湾曲した内側に沿って、前記基板21を外側から覆う状態に装着されている。詳しくは、側端部13の湾曲した内側には、前記各レール溝14の外側に互いに対向する一対のレール溝15,15が設けられており、各レール溝15に、保護カバー30の両側端縁がそれぞれ摺動可能に嵌合するように取り付けられている。ここで、保護カバー30は、基板21上の光源20と近接しており、基板21に対して平行に重なる状態に配置される。
【0027】
ケーシング11の両側端部13の最外縁13aは、保護カバー30の最下部30aに対して下方から上方に回り込むように延出している。この両側端部13の最外縁13aと基板21との間の空間が、
図3に示すように、保護カバー30が溶融滴下した際に、該溶融物を下方に漏らさず受け入れる溶融物受け部40として設定されている。ここで、両側端部13の最外縁13aと基板21との間の空間は、保護カバー30の溶融物の体積分に相当する容量を備える深さに設定されている。
【0028】
すなわち、側端部13の湾曲した内側において、上向きに延びる最外縁13aの高さ位置は、前述した保護カバー30の溶融物の体積分に相当する容量を備える深さが得られる程度に設定される。ここで、前記光源20から照射される光は、保護カバー30をそのまま透過して、その光軸がケーシング11の反射面12の略中心に向うように設定されている。そのため、光源20から照射された光が反射面12に向う直接光の照射範囲内では、前記側端部13の最外縁13aにより本来なら反射面12に向う光の一部が遮られるが、間接照明としての光の利用効率上は特に問題ない程度である。
【0029】
次に、第1実施の形態に係る照明装置10の作用について説明する。
図5〜
図8に示すように、本照明装置10のケーシング11は、長尺に延びており、その長手方向に平行に延びる両側端部13,13が、それぞれ内側に下方から上方に向い湾曲する形状に成形される。
【0030】
図2に示すように、光源20を含む基板21は、ケーシング11における両側端部13,13の湾曲した内側に沿って、該内側の空間を閉じる状態に取り付ける。すなわち、互いに対向する一対のレール溝14,14に、基板21の両側端縁をそれぞれ摺動可能に嵌合させる。
【0031】
保護カバー30も、前記基板21と同様に細幅状に延びるように形成されており、ケーシング11における両側端部13,13の湾曲した内側に沿って、前記基板21を外側から覆う状態に装着する。すなわち、互いに対向する一対のレール溝15,15に、保護カバー30の両側端縁をそれぞれ摺動可能に嵌合させる。これにより、照明装置10のユニットが完成する。
【0032】
図1に示すように、本照明装置10は、鉄道車両1の客室内2の天井部3に、そのケーシング11をその開口部を下方に向けて埋め込む状態に設置する。ここで照明装置10は、複数のユニットを順次繋げることにより、所望の長さまで適宜延ばすことができる。これにより、客室内2における照明による演出効果を高めることができる。特に、ケーシング11の開口した下端面と天井部3の表面とが面一となるように設置することにより、照明装置10と天井部3の一体感が高まり、デザイン性も向上する。
【0033】
また、本実施の形態では、鉄道車両1の客室内2の天井部3の中心線を対称軸として、左右対称の位置関係で一対のケーシング11,11を設置している。これにより、客室内2の天井部3を左右両側からバランスよく広範囲に照明することが可能となる。なお、左右の照明装置10をそれぞれ個別に点灯制御するようにしても良い。
【0034】
しかも、本照明装置10では、光源20にLEDランプを用いたことにより、所望の明るさを低い電力消費で得られるばかりでなく、装置全体を小型化することができ、軽量化も図られる。また、ユニットの主要部をなすケーシング11は、アルミニウム等の金属により容易に押出し成形することができ、コスト面でも有利である。
【0035】
図2において、光源20が点灯すると、光源20から照射された光は外部に直接漏れることなく、ケーシング11の反射面12によって一旦反射されてから外部に間接的に照射される。これにより、光源20からのグレアを低減することができ、また、間接照明としての演出効果を高めることができる。
【0036】
ケーシング11には、光源20を外側から覆う状態で保護カバー30が装着されており、光源20から照射された光は保護カバー30を透過する。これにより、光源20の輝度が低減されて過度の強い光の照射を防止することができると共に、光源20の故障の原因となり得る他の物体の接触を防ぎ、光源20を保護することができる。
【0037】
また、ケーシング11の両側端部13,13は、保護カバー30の全域に対して鉛直方向に重なる位置まで少なくとも延出している。これにより、万一火災等が発生した際には保護カバー30の溶融滴下ないし破片は、そのまま下方の客室内2に直接落下する虞はなく、必ずケーシング11の両側端部13,13によって一旦は受け止められる。
【0038】
しかも、ケーシング11の両側端部13,13の最外縁13aは、保護カバー30の最下部30aに対して下方から上方に回り込むように延出しており、該両側端部13,13の最外縁13aと基板21との間の空間が溶融物受け部40となっている。すなわち、保護カバー30が万一溶融したとしても、溶融物受け部40に溶融物は受け入れられて下方へ滴下する虞はない。
【0039】
これにより、保護カバー30は溶融滴下し得る材質として、加工しやすく丈夫で廉価な合成樹脂を採用することができる。また、保護カバー30が実際に万一溶融したとしても、溶融物受け部40に受け入れられることで滴下する虞もなく、例えば、鉄道車両用材料等に使用することも可能となる。なお、溶融物受け部40は、保護カバー30全体の溶融物の体積分に相当する容量を備える深さに設定すると良い。
【0040】
なお、一列をなすように繋がれた各ケーシング11のうち、その長手方向の両端に位置するケーシング11の端部は、それぞれ他の部材等によって塞がれることになる。よって、ケーシング11の端部から溶融物がこぼれ落ちる虞はない。他に例えば、各ケーシング11の長手方向の両端にそれぞれ蓋状の構造体を設けて、ケーシング11ごとに両端を塞いだり、あるいは一列をなす各ケーシング11のうち、その長手方向の両端に位置するケーシング11の端部にのみ予め蓋状の構造体を設けても良い。
【0041】
図9〜
図11は、本発明の第2実施の形態を示している。
本実施の形態では、前述した第1実施の形態に係る照明装置10と基本的な構成は共通するが、溶融物受け部41の具体的な構成が異なっている。
図9は、照明装置の端面図、
図10は、照明装置の一端部の拡大斜視図であり、
図11は、照明装置の保護カバーが溶融した際の端面図である。なお、第1実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0042】
本実施の形態では、ケーシング11の両側端部13,13の最外縁13aに、保護カバー30の溶融物を導き受け入れる凹溝を形成して、該凹溝を溶融物受け部41として設定している。これにより、いっそう確実に保護カバー30の溶融物を受け入れることができ、受け入れた溶融物が外部に漏れる事態も防止することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態によれば、凹溝により溶融物を受け入れるため、両側端部13,13の最外縁13aの高さはなるべく低く抑えることができる。それにより、光源20から照射された光が反射面12に向う直接光の照射範囲内で、側端部13の最外縁13aにより本来なら反射面12に向う光が遮られる面積も小さくなるため、光の利用効率を高めることができる。
【0044】
図12および
図13は、本発明の第3実施の形態を示している。
本実施の形態では、前述した第1実施の形態に係る照明装置10と基本的な構成は共通するが、ケーシング11Bの上面側の形状と客室内2の天井部3に対する取り付け態様が異なっている。
図12は、照明装置の端面図、
図13は、照明装置の照射範囲を示す説明図である。なお、第1実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0045】
本実施の形態では、ケーシング11Bは、客室内2の天井部3に沿って長手方向に延びると共に、反射面12により反射された光が、天井部と壁面部の境目まで照射可能な状態、より具体的には、天井部3の隅に沿って天井面から壁面部4に亘り展開された広告6の全面(特に天井面に沿った面)に到達する広告照射状態に設置される。
図1に示すように、天井部3に沿って、座席5が並ぶ前後方向に延びる一対の凹部3a,3aが形成されている。各凹部3aは、前述したように天井部3の中心線を対称軸として、左右対称の位置関係で並んでいる。
【0046】
図12に示すように、ケーシング11Bは凹部3a内にて、一側端部13(図中の右側)の最外縁13aが天井部3の基準面(天井面)より低い位置に配される一方、反対側の他側端部13(図中左側)の最下部13bが前記基準面より高い位置に配されて、前記広告照射状態となる。なお、
図12では、光源20を含む基板21や保護カバー30を図示省略し、
図13では、保護カバー30を図示省略している。
【0047】
前記一側端部13(図中右側)の最外縁13aが、天井面以下となる低い位置に配されることで、反射面12からの間接光の照射範囲は、
図13(a)に示すように、広告6のうち特に天井面に沿った面にまで拡げる。しかも、ケーシング11Bの他側端部13(図中の左側)の最外縁ではなく最下部13bが、凹部3a内にて天井面以上となる高い位置に配されるので、この他側端部13によって前記一側端部13からの間接光の照射範囲が途中で遮れることがない。
【0048】
このような照明装置10によれば、
図13(b)に示すように、広告6のうち特に天井面に沿った面が照射範囲から外れるようなことはない。すなわち、客室内2の座席5の領域を照射するだけでなく、天井部3の隅に沿って天井面から壁面部4に亘り展開された広告6の全面、特に天井面に沿った部分にも光を照射することができる。また、1つの照明装置10によって広告6の全面を照射する配光とすることが可能となり、広告6には班、影、線等が生じることなく全面に亘り満遍なく照射され、乗客からは広告6がより見やすくなる。
【0049】
図1に示すように、天井部3には左右対称の位置関係で一対の照明装置10が2列に配置されているが、進行方向に向って左側に配設される照明装置10の場合に、
図12および
図13において説明したように、右側の光源20を天井面の高さより低くなるように配置し、左側の光源20は従来の位置と同じ高さに配置することになる。また、進行方向に向って右側に配設される照明装置10の場合は、逆の配置とする。
【0050】
前記ケーシング11Bの上面側には、前記凹部3a内の水平な設置面に対して当接させると、自ずと前記広告照射状態をなすための取付部17が予め設けられている。これにより、取付部17(の上面)を単に凹部3a内の設置面に宛がうだけで、所望する前記広告照射状態に設定することが可能となり、ケーシング11Bの取り付け時に、その向き、角度ないし傾斜等の姿勢を調整する手間がなく、迅速に取り付けることができる。なお、
図12においてケーシング11Bの端面には、かかる端面を塞ぐための前述した蓋状の構造体を止める止着部16が設けられている。
【0051】
なお、前記ケーシング11Bには、前述した第1実施の形態に係る溶融物受け部40を設けているが、この溶融物受け部40の代わりに前述した第2実施の形態に係る溶融物受け部41を設けても良い。また、ケーシング11Bの両側端部13,13のうち両側を湾曲させて、それぞれに光源20を含む基板21や保護カバー30、それに溶融物受け部40を設けた例を説明したが、必ずしも両側に設ける必要はなく片側だけでも足りる。これは前述した第1,2実施の形態についても同様である。
【0052】
図14〜
図16は、本発明の第4実施の形態を示している。
本実施の形態では、前述した第3実施の形態に係る照明装置10と基本的な構成は共通するが、ケーシング11Cの上面側の形状と客室内2の天井部3に対する取り付け態様が異なっている。
図14は、照明装置の端面図、
図15は、照明装置の取り付け方を示す端面図、
図16は、照明装置の平面図である。なお、他の実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0053】
本実施の形態では、ケーシング11Cは、天井部3の凹部3a内に対して前記広告照射状態をなす姿勢を調整可能な取付手段50を介して設置されている。
図14に示すように、凹部3a内の設置面には、取付手段50として、ケーシング11Cの断面形状と同じ曲率で湾曲した取付面52を備えたブラケット51が配設されている。ブラケット51の取付面52には、その長手方向における所定間隔おきに両側方向に等間隔で並ぶ複数のネジ孔53が設けられている。ネジ孔53にはナット54が配されている。
【0054】
図16に示すように、ケーシング11Cには、その長手方向における所定間隔おきに両側方向に等間隔で並ぶ複数の小孔18が、前記ネジ孔53に対応するように設けられている。
図15に示すように、ケーシング11Cをブラケット51の取付面52に対して所望の前記広告照射状態に設置されている。
【0055】
すなわち、進行方向に向って左側に配設される照明装置10の場合に、一側端部13(図中の右側)の最外縁13aが天井部3の基準面(天井面)より低い位置に配される一方、反対側の他側端部13(図中左側)の最下部13bが前記基準面より高い位置に配された状態で、当該位置にて互いに合致した小孔18とネジ孔53とがネジ止めされている。
【0056】
ここでケーシング11Cの取付角度は、ケーシング11Cの小孔18がブラケット51のネジ孔53に合致する位置単位で適宜調整することができる。このような簡易な構成により、ケーシング11Cをブラケット51の取付面52に対して所望の広告照射状態をなす位置に配置した状態で、当該位置にて互いに合致した小孔18とネジ孔53とをネジ止めすることにより、容易に所望の広告照射状態に取り付けることが可能となる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述したような実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、鉄道車両1の客室内2の天井部3に設置する例を説明したが、航空機や自動車等の他の乗物における客室内の間接照明、あるいは一般家庭用の間接照明として適用しても良い。ここでケーシング11B,11Cを、その反射面12により反射された光が天井部3と壁面部4の境目まで照射可能な状態に設置する場合、天井部3の隅に沿って展開された広告を照射する目的に限定されることはない。
【0058】
また、ケーシング11は必ずしも天井部に対して埋め込む状態に設置する必要はなく、天井面にそのまま設置したり、通常の照明器具と同様にソケット等を介して取り付けても構わないことは言うまでもない。また、前記各種実施の形態では、光源20としてLEDランプを使用した例を説明したが、他に例えば、小型電球等を使用しても良い。また、各照明装置10を一列に並ぶように直線状に配置したが、他に例えば、天井部3の形状に対応させて緩やかに湾曲して並ぶように配置しても良い。
【0059】
さらに、本発明の根幹をなす第1実施の形態の溶融物受け部40、あるいは第2実施の形態の溶融物受け部41も、それぞれ図示した形状に限定されるものではない。また、それぞれ別々に構成するだけではなく、1つのケーシング11に含まれるように組み合わせて構成することもできる。