特許第5921680号(P5921680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921680
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】高温回路結合装置
(51)【国際特許分類】
   G08C 19/00 20060101AFI20160510BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20160510BHJP
   H01F 38/18 20060101ALI20160510BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20160510BHJP
   H01F 27/245 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   G08C19/00 C
   F02C7/00 A
   G08C19/00 G
   H01F38/18 L
   H01F38/18 K
   H01F17/04 F
   H01F27/24 A
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-519284(P2014-519284)
(86)(22)【出願日】2012年7月5日
(65)【公表番号】特表2014-529369(P2014-529369A)
(43)【公表日】2014年11月6日
(86)【国際出願番号】US2012045504
(87)【国際公開番号】WO2013006674
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2014年7月11日
(31)【優先権主張番号】13/176,800
(32)【優先日】2011年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル、デイヴィッド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シリッグ、コーラ
(72)【発明者】
【氏名】ウエイツ、ロッド
(72)【発明者】
【氏名】クルカーニ、アナンド エイ
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0121896(US,A1)
【文献】 特開2011−124367(JP,A)
【文献】 特開2004−356468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 19/00
F02C 7/00
H01F 17/04
H01F 27/245
H01F 38/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の機器における回路結合装置であって、
前記機器の動作温度範囲の最高値よりも高いキュリー温度を有する積層型の一次コアを備え、該一次コアの周囲に、前記動作温度範囲の最高値を超える温度において導電性と近傍の導体に対する電気的絶縁とを保つ一次コイルを巻回してある、一次誘導コイルアセンブリと、
前記動作温度範囲の最高値よりも高いキュリー温度を有する積層型の二次コアを備え、該二次コアの周囲に、前記動作温度範囲の最高値を超える温度において導電性と近傍の導体に対する電気的絶縁とを保つ二次コイルを巻回してある、二次誘導コイルアセンブリと、
を備えた空隙心型変成器を含み、
前記一次コア及び前記二次コアが、セラミックフェライト、ナノ構造鋼、ナノ結晶構造鉄合金及びケイ素鋼の中から選んだ材料からなる複数のコア材料をエポキシ層を間に挟んで積層した積層体として形成されると共に、前記一次誘導コイルアセンブリと前記二次誘導コイルアセンブリとが、空隙を間において互いに近接させて前記機器内に配置され、
当該回路結合装置のインダクタンスが、摂氏150度未満の温度において50μHを下回り、室温から少なくとも摂氏250度までの前記動作温度範囲の全域で10%の範囲内で安定したインダクタンス値に維持される、
前記動作温度範囲の全域で安定したインダクタンスを有する回路結合装置。
【請求項2】
前記動作温度範囲が室温から摂氏700度までである、請求項1に記載の回路結合装置。
【請求項3】
前記誘導コイルアセンブリの一方が、前記機器の静止部品に取り付けられ、前記誘導コイルアセンブリの他方が、前記機器の回転部品に取り付けられ、
前記回転部品の回転中に周期的に前記誘導コイルアセンブリの一方と前記誘導コイルアセンブリの他方との間に前記空隙が確立される、
請求項1又は請求項2に記載の回路結合装置。
【請求項4】
前記回転部品がガスタービンエンジンにおけるブレードである、請求項3に記載の回路結合装置。
【請求項5】
前記誘導コイルアセンブリのうちの少なくとも1つにおける前記コアの前記コア材料ナノ結晶構造鉄合金からなり、該ナノ結晶構造鉄合金は、Si、Co、B、C、La、及びNi元素のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路結合装置。
【請求項6】
前記一次及び二次コイルのうちの少なくとも一方は、貴金属導線からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回路結合装置。
【請求項7】
前記一次及び二次コイルのうちの少なくとも一方は、Niクラッド銅線、Ni線、NiCr線、又はPt線からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回路結合装置。
【請求項8】
前記一次及び二次コイルのうちの少なくとも一方は、セラミックコーティングした導線からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回路結合装置。
【請求項9】
前記一次及び二次コイルのうちの少なくとも一方は、セラミック絶縁を有する27%ニッケルクラッド銅からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回路結合装置。
【請求項10】
前記一次及び二次コイルのうちの少なくとも一方は、セラミックポッティング材料を含んでいる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の回路結合装置。
【請求項11】
継ぎ目に沿って取り外し可能にして運転中に互いに連結されている第1及び第2のケーシング部分を有するガスタービンエンジンにおける回路結合装置であって、
前記継ぎ目の付近で前記第1のケーシング部分に取り付けられ、前記ガスタービンエンジン内で室温から該ガスタービンエンジンの動作温度までの動作温度範囲に曝される、空隙芯型変成器をなす一次側アセンブリと、
前記継ぎ目の付近且つ前記空隙芯型変成器の一次側アセンブリの付近で前記第2のケーシング部分に取り付けられ、前記ガスタービンエンジン内で前記動作温度範囲に曝される、前記空隙芯型変成器をなす二次側アセンブリと、
を備え、
空隙を間において互いに近接配置された前記一次側アセンブリと前記二次側アセンブリとの各コア部分が、セラミックフェライト、ナノ構造鋼、ナノ結晶構造鉄合金及びケイ素鋼の中から選んだ材料からなる複数のコア材料をエポキシ層を間に挟んで積層した積層体として形成されており、これらコア部分の前記コア材料は、前記動作温度範囲の最高値を超えるキュリー温度を有し、
電気回路に組み込まれた当該回路結合装置が、摂氏150度未満の温度において50μHを下回るインダクタンスを有し且つ前記動作温度範囲において10%以下のインダクタンス変化を示す、
回路結合装置。
【請求項12】
静止部品内に配置された回転部品と該回転部品に配置されたセンサ素子とを有するガスタービンエンジンにおける回路結合装置であって、
前記回転部品に取り付けられ、前記センサ素子から信号を受信する、空隙芯型変成器をなす一次側アセンブリと、
前記静止部品に取り付けられた、前記空隙芯型変成器をなす二次側アセンブリと、
を備えており、
前記空隙芯型変成器の一次側アセンブリ及び二次側アセンブリが、前記ガスタービンエンジンの運転中、周期的に、空隙を間に挟んで互いに近接して位置することにより、前記空隙を越えて信号が伝送され、
前記空隙芯型変成器の一次側アセンブリ及び二次側アセンブリの各コア部分は、セラミックフェライト、ナノ構造鋼、ナノ結晶構造鉄合金及びケイ素鋼の中から選んだ材料からなる複数のコア材料をエポキシ層を間に挟んで積層した積層体として形成されており、このれらコア部分の前記コア材料は、前記回転部品の動作温度範囲の最高値を超えるキュリー温度を有し、
前記空隙をまたぐインダクタンスが、摂氏150度未満の温度において50μHを下回り、該インダクタンスの変化が、室温から少なくとも摂氏250までの範囲で10%以下に保たれる、
回路結合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンなどの超高温環境における回路結合装置(例えば変成器)に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、動作環境の監視に有用であり、特に、超高温の動作環境にある個々の部品(燃焼タービンエンジンの部品など)の状態を表す電子データの無線伝送を可能にする計装をした部品及びテレメトリシステムに有用である。そのようなシステムの1つが、2007年11月8日に出願された係属中の米国特許出願11/936,936(代理人整理番号2007P20938US、2009年5月14日に特許文献1として出願公開、この出願は本明細書に援用される)に記載されている。
【0003】
変成器の通常の動作温度範囲は、室温から200℃までである。しかしながら、現在の産業プロセスに適用するには、室温から200℃を超える温度までの温度条件において機器のセンサが確実に動作し、電力及び信号を送受信できることが必要である。必要とされる電源及び信号伝送経路の仕様及び構成に応じて、変成器は、計装回路の一部とする、又は、特定用途に必要な周波数及び電圧を調節し伝送するために使用する、あるいはこれら両手法で、実施することが可能である。
【0004】
ガスタービンエンジンといった産業プロセスの格納容器内にあるセンサへ外部から配線を直接引き回すことができない場合、電力やデータの伝送は、信頼性と再現性を最大にするべくギャップ(空隙)を通して誘導される。ギャップを介して電力やデータを有効に伝達するために、一方の側に一次コイルが、そして他方の側に二次コイルが、使用される。一次コイルを通し送られる電力及び周波数によって二次コイルに電力及び周波数が誘導され、電気信号の伝送が遂行される。効率は100%未満で、二次コイルに誘導される電力量は、一次コイルを通し提供される電力よりも少ない。変成器コア(鉄心、磁芯)として現在使用されている材料の有する透磁率は、温度が高温範囲へ上昇するにつれて悪化し、変成器による電力の伝送効率を低下させる。したがって、変成器コアの製造業者は、自社製変成器コアの材料について、250℃を越える温度で有効であるとは評価していない。
【0005】
図1は、先行技術に係る閉芯型の変成器28を示している。多重巻線を有する一次コイル30を通過する交流周波数の一次回路電流29が、コア32に交流磁場を生成する。交流磁場はコア32によって二次コイル34へ伝達される。二次コイル34は多重巻線を有し、二次回路の交流周波数電流33を生成する。
【0006】
2000年3月にGlenn Research Centerから出された非特許文献1において、Russell G. DeAnnaは以下のように述べている。
(8ページ)「これらのテレメトリシステムの妥当な目標は、最大500°F(260℃)までの温度での動作である。これにより、圧縮器の領域においてガス経路の外側に位置する非冷却のパッケージが可能になると考えられる。送信パッケージは、燃焼器及びタービンの部分において冷却しなければならないと考えられる。260℃以上で動作するテレメトリシステムの設計は難題であろう。
Karnani(1998)が、392°F(200℃)で電力及びデータの誘導結合を使用する無線テレメトリを実証し、キャパシタ、抵抗、発振器、はんだなどの高温要素について提言している。・・・温度に伴う抵抗率の変化が、抵抗における最も重要な影響である。・・・高温での電子部品の故障は、多くの場合、使用される実際の材料又は要素の電気的不具合よりもむしろ、パッケージング技術に起因している。
・・・
現在のテレメトリシステムは、1970年代のアナログ技術を使用しており、257°F(125℃)未満への冷却を必要とし、精度及びチャンネル容量に限界を抱えている。新規なシステムは、デジタルでなければならず、データの品質及び量を改善する一方で、当該システムが配置されることの多い高温のギアボックスオイルにおける高い温度−少なくとも392°F(200℃)−において動作できなければならない。このようなシステムは、シャフトへの取り付けを必要とし得る。テレメトリシステムが回転するので、センサは通常、テレメトリシステムに有線で接続される。
・・・
(第10ページ)電力伝送を最大にするために高Q回路が望まれる。しかしながら、LRC成分が温度依存性を有し、Qが高すぎると回路が共振からドリフトアウトしてしまう可能性があることから、幅広い温度の用途において高Q回路が唯一の目標ではない。したがって、生じ得る周波数の変化に対応するために、回路の利得は、より広域の周波数帯域へ広げなければならない。23に等しいQが、Karnani(1998)によって392°F(200℃)の温度範囲にわたって動作するように設計された回路において使用されている。わずか2巻きの銅による送信コイルを使用することによって低Qが得られている。
ガスタービンの用途における重要な問題は、鋼などの磁性材料に対するコイルの近接である。・・・したがって、システムは、電力コイルを鋼からできるだけ離して配置するか、又は、一次コイルにおいて充分に過剰な電力を利用可能として損失を許容できるように、設計しなければならない。効率を改善するために、フェライトコアを二次コイルに使用することができる。しかしながら、フェライトを用いる場合、高い周波数において生じ得る飽和を避けるために、透磁率の周波数依存性を観察しなければならない。」
【0007】
図2は、DeAnnaによる提案に従い二次コイルにフェライトコア37を用いて伝送効率を改善した、空芯変成器40の概略図である。多重巻線の一次コイル35を通過する交流周波数の一次回路電流36が一次コイル35の内外に交流磁場を生成し、この交流磁場により、フェライトコア37及び該フェライトコアに巻回した多重巻線の二次コイル38に交流磁場が誘導され、二次回路交流周波数電流39が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US2009/0121896A1
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Report on Wireless Telemetry for Gas-Turbine Applications (NASA/TM-2000-209815)(ARL-MR-474)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
超高温の電子部品に確実に且つ繰り返し電力供給する一方で、200℃を超える温度に達する温度変化に起因する電気回路特性の変化を軽減又は解消することが、依然として必要である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
次の図面を参照して以下に本発明を説明する。
図1】先行技術に係る閉芯型固体バルク材料変成器の図である。
図2】先行技術に係る空芯変成器の図であり、効率を改善するためのフェライトコアが二次コイルに示されている。
図3】積層閉芯型変成器の図である。
図4図3に示した閉芯型変成器の温度とインダクタンス(マイクロヘンリー(μH))に関するグラフである。
図5】積層ナノ構造鋼空隙芯型変成器の図である。
図6図3の閉芯型変成器と図5の積層ナノ構造鋼空隙芯型変成器とで比較した温度とインダクタンスとの関係を示す比較グラフである。
図7】センサを収容したケーシングの静止部分の概略断面図であり、センサの回路がケーシングの継ぎ目の空隙をまたいでいる。
図8】タービン静止シール及びタービンブレードアセンブリの部分的断面図であり、超高温環境において回転する要素に関する動作パラメータを検出するセンサ回路の一部として動作する変成器の、静止要素及び回転要素の両方を示している。
【0012】
スマート部品は、産業用ガスタービン、航空機用エンジン、石油及びガス産業において使用されるタービンなどのタービンエンジンの運転中に部品の状態をリアルタイムで監視することを可能にする。タービンにおける部品の状態を把握することは、内部エンジンパラメータに基づくタービン運転の最適化や状態に基づいた保守など、多くの利点を有している。そのような知識により、先進タービンエンジンに関し、性能の大幅な改善と運転コストの削減を実現することができる。タービン部品の計装の現状では、センサを部品に取り付け、リード線をルータへ延ばし、タービンから監視場所まで長くリード線の太い束を引き回さなければならない。すべてのリード線を収容できるようにすると共に、回転部品上の電子回路を動作させる電気信号を伝送する手段を設けるために、プロセスは、手間暇を要し、高価で、信頼性が低くなり、そしてタービンの数多くの部品の修正を必要とする。無線テレメトリは、複雑なリード線の引き回し及び機械的なコネクタを、すべて不要とまではいかなくとも低減するので、静止及び可動部品からデータを抽出するために殊に有用である。比較的低い温度においては電池駆動の回路を使用することができるが、電池を使用するには温度が高すぎる場所(通常、>125℃)においては、誘導RF電力などの革新的な技術を採用して、ガスタービンエンジンなどの静止及び可動部品に位置する回路に電力を供給する必要がある。200℃を上回る動作温度の領域において誘導電力を使用するためには、当該温度で変成器を動作させる必要がある。このような要件は、200℃程度の現状の動作温度限界をもつ高温変成器技術の現水準を超えている。
【0013】
本発明の発明者は、200℃を超える温度での動作を評価された変成器を今まで一つも知らない。本明細書に開示する実施形態は、200℃超の温度で無線テレメトリを提供する能力をもつシステムを構成する独自の組み合わせを提示する。タービンエンジンの部分的温度は、概して250℃を超え、550℃にもなる温度領域が、センサを配置したい場所に存在する。本明細書に開示する実施形態では、250℃、300℃、400℃、又は500℃以下の温度で、及びこれを越えて700℃あるいはそれ以上の温度まで、有効に動作する変成器を例示する。
【0014】
固体コア型及び空隙コア型変成器に関する現在の変成器設計は、例えば、インターネットのウェブアドレスhttp://www.epanorama.net/documents/components/transformers.htmlで見られる以下の指針を提供している。
「空隙の無い変成器
コアの面積がわかっている場合、コアに空隙を持たない変成器の一次側の巻き数は、以下の式を使用して計算することができる。
N1=sqrt((10^8*L1*l)/(u*Afe))
ここで、
・N1=一次コイル巻き数
・Afe=コア面積(cm^2)
・L1=一次コイルインダクタンス(H)
・l=磁力線の平均長(cm)(コア内を通ってコアを巡る線長)
・u=磁性材料の相対透磁率(一般的変成器鉄心で約500)
二次コイルの巻き数は、以下の式を使用して決定することができる(90%の変成器効率を期待)。
N2=1.1*U2/U1=1.1*sqrt(Z2/Z1)=
ここで、
・N1=一次コイル巻き数
・N2=二次コイル巻き数
・U1=一次側電圧
・U2=二次側電圧
・Z1=一次側インピーダンス
・Z2=二次側インピーダンス

空隙の有る変成器
変成器の一次側を流れるDC電流が存在する場合、一次側インダクタンスは小さくなる。この現象の影響を補償するために(この現象が問題である回路において)、コアは、コア内の小空隙をもつべきである。実際には、空隙は、コアにおける磁力線の長さの約1/1000となるように選択すべきである。この場合、一次コイルに必要な巻き数を決定するために、以下の式を使用することができる。
N1=sqrt((L1*li)/(Afe×10^8))
ここで、
・N1=一次コイル巻き数
・Afe=コア面積(cm^2)
・L1=一次コイルインダクタンス(H)
・li=空隙の大きさ(mm)
この式が、空隙の無い変成器に関する前記式と比べ、はるかに大きい一次コイル巻き数を与えることに注意すべきである。」
【0015】
一次巻線に関する上記式において、閉芯型変成器と空隙芯型変成器のインダクタンス(L)の関係を比較すると、次のことが分かる。
L1=(N1^2*(u*Afe))/(10^8*l)[閉芯型]
L1=(N1^2*/(Afe*10^8))/(li)[空隙芯型]
これは、閉芯型変成器においてインダクタンスが「磁性材料の相対透磁率(u)」に比例すること、及び、空隙芯型変成器においてインダクタンスが「空隙の大きさ(mm)(li)」に反比例することを、示している。これらの関係が、他のすべての変数を一定に保った場合にインダクタンスは、選択された(閉芯型又は空隙芯型)構成の変成器のインダクタンスに対して一定になる、という従来からの予想を証明している。
【0016】
回路及び革新的変成器の構成の試験を、超高温環境で使用するモデルのプロトタイプ構成に対し行った。所定周波数について、温度に対する閉芯型変成器(図3)の構成のインダクタンスが、図4に示されている。参照番号29',30',32',33',34'は、図1における同様の参照番号29,30,32,33,34に相当するが、図3における変成器のコア32'は、高キュリー温度ナノ構造鋼積層体31を使用して製作されている。
【0017】
図4に示すように、閉芯型変成器のインダクタンスは約150℃で低下し始め、温度が525℃に達するまで直線のプロットに沿って急激に降下する。温度上昇に伴いインダクタンスが低下する変成器の使用は、センサ回路で容認できない。熱電対等のセンサは、温度の変化に対しその出力電圧の変化で反応することによって動作するので、センサは、室温から超高温までの全範囲において適切に働くために、温度によって変化することのない一定の電圧を受ける必要がある。検出回路の電圧が変動すると、温度変化に従い生じる熱電対の電圧変化が打ち消されてしまうため、このようなシステムは不適切である。閉芯型変成器のインダクタンスは温度上昇に伴い激しく低下するので、一定の電源電圧という目標は、達成が不可能ではないにせよ、困難である。回路の出力を安定させるために低い温度において広く使用されているツェナーダイオードなどの回路素子は、高い温度においては機能しない。300℃〜500℃の温度で動作することができるツェナーダイオードは存在しない。
【0018】
本発明の発明者は、超高温(200℃〜550℃かそれ以上)に耐えることの可能な特殊材料を使用する回路及び変成器の構成(回路結合装置)を創案し、超高温で変成器インダクタンスが低下する問題に対して予想外の解決策を創出した。このように、超高温環境においてテレメトリ変成器を使用するためのこれまでに知られていない驚くべき解決策が本発明により提供される。高キュリー温度のコア材料及び超高温耐性の配線を用いた空隙芯型変成器を使用することで、安定した低レベルのインダクタンス(インダクタンスの変化が室温におけるインダクタンス値の10%以下)を、室温から極めて高い動作温度に至るまで達成することができる。経験則によれば、金属は、自身の溶融温度の約半分までの温度において構造的に安定である。例えば、銅は1083℃で融解し、おおよそ500℃〜550℃まで有用である。より高い温度においては、白金などのより高融点材料の使用が考えられる。材料のキュリー温度が動作温度よりも高いことを要する。
【0019】
一例として図5に示すような(図3と同様の符号を付してあり、符号29'',30'',32'',33'',34''が、図3における同様の符号29',30',32',33',34'に相当する)、一次及び二次巻線の両方にナノ構造鋼コアを用いた積層空隙芯型変成器50を、温度に対するインダクタンスの関係を明らかにするために試験した。図4のプロットと比較した結果のプロットを図6に示す。低い温度(<150℃)における効率、すなわち総インダクタンスが低い一方で、室温から525℃を上回るまで温度が上昇しても、知覚できるほどの変化はインダクタンスにない(10%の変化よりもはるかに小さい)。したがって、低効率が許容される回路において、空隙芯型変成器の空隙を通る一定のインダクタンス(したがって一定の電圧)という利点が、超高温の回路へ一定の電圧を供給するためのこれまでに知られていない解決策を提供する。
【0020】
インダクタンスは、超高温(>250℃)で変成器を使用できるようにするためには、安定している又は一定である必要がある。超高温において安定したインダクタンスを達成するためには、セラミックフェライト、ナノ構造鋼(ナノ組織鋼)、ナノ結晶構造鉄合金、及び一部のケイ素鋼など、高いキュリー温度及び充分な透磁率を有するコア材料を使用する。標準的な微細構造及びナノ構造化した微細構造の両方が、種々の実施形態において使用可能であると考えられる。
【0021】
標準的なケイ素鋼は、約350℃までの温度において機能するが、これより高い温度になると抵抗加熱が始まり、自身の温度が上昇する。
【0022】
使用し得る他のコア材料は、フェライト又は積層鋼材料など、高キュリー温度をもつものである。積層鋼材料は、例えばSi、Co、B、C、La、Niなどの元素を含むFeの豊富な合金であり、標準的な又はナノ結晶の微細構造を有する。
【0023】
ナノ結晶構造鉄合金の組成物の1つが、NAMGLASS.RTM.という商品名で販売されており、鉄が約82%で、残りがケイ素、ニオブ、ホウ素、銅、炭素、ニッケル、及びモリブデンである組成をもっている。当該ナノ結晶構造鉄合金材料は、500℃よりも高いキュリー温度、極めて小さい保磁力、少ない渦電流損失、高い飽和磁束密度という好適な特性を備え、透磁率が室温から超高温動作範囲を越えて非常に安定していることが、明らかになっている。このナノ結晶構造鉄合金材料は、環状体又は「C」形コア変成器のコアの形態のテープ巻き構成で市販されている。本実施形態では、当ナノ結晶構造鉄合金材料(又は他の材料)を、後述するように「I」形のコア形状にて利用する。
【0024】
使用可能な別の市販品として、ドイツのVacuumschmelze(世界本社:VACUUMSCHMELZE GmbH & Co. KG - Gruner Weg 37 - D-63450 Hanau)から入手することのできるVitroperm 800というナノ構造積層ケイ素鋼コアがある。
【0025】
鋼又は他の基材へのナノ構造コーティング(バルク材料であるものと対比して)も、抵抗加熱が回避できるのであれば、変成器のコアとして使用した場合に同様の利点を含む。
【0026】
本発明の発明者は、積層体の薄い層の間の絶縁層をエポキシの薄層とすることを案出した。エポキシが加熱によって酸化したとしても、積層間電流が極めて小さいこと、そして、導電に関しては不十分に接続されたコアスタック(積み重ね)の形状におそらくは起因する部分もあって、酸化エポキシの残部が適度な電気的分離を維持するために充分であることから、絶縁機能が失われないことが見出された。100時間の劣化試験で、機能に低下のないことが示されている。
【0027】
ナノ構造鋼は、室温から570℃程度までその磁気特性を維持する(この温度を上回ると機能を失い始める)。ケイ素鋼は、室温から700℃程度までその磁気特性を維持する。
【0028】
このような変成器の巻線用配線は、目標の超高温において充分な導電性及び酸化耐性を有する必要がある。使用可能な配線材料は、Ni、NiCr、90/10ニッケル/クロム(Chromel[登録商標])、Ptなどの導電性貴金属、あるいは、NiクラッドCuやセラミックコーティングした導電ワイヤなどの耐酸化コーティングした標準的な導体、を用いて作成し得る。適切な変成器機能のために、巻線は、お互いに且つ周囲の又は隣接した導体から電気的に絶縁する。従来の変成器においては、これがポリマーエポキシ材料を使用して達成されている。しかしながら、本欄で想定されている変成器の使用温度は非常に高いので、そのような絶縁材料は使用できない。
【0029】
酸化防止用に提供される配線の薄いセラミックコーティングに加えて、巻線間の電気的絶縁を保証するためのポッティング材料としてセラミックセメント材料を使用することができる。
【0030】
コアの巻線に使用する配線は、超高温における酸化及び不具合を抑制するセラミック絶縁を備えた27%ニッケルクラッド銅で製作することができる。該配線は、セラミック被覆のニッケルクラッド銅とし得る。純ニッケル配線も試してみたが、ニッケル配線の抵抗が高いため、コアにおける巻線が少なくて配線の長さが短い場合など、限られた構成でしか最適性能を発揮することができない。セラミック被覆配線の取り扱い性は、保護用セラミックコーティングの結果として、標準的な有機絶縁銅に比べて難題であり、コイルを巻くときに絶縁材料が損なわれないように注意を要する。他の配線材料として、絶縁した銀、陽極酸化アルミニウム、又は白金が挙げられる。実施形態の一つにおいてセラミック被覆ニッケルクラッド銅を使用し、温度が銅にとって高すぎる場合には白金製の配線を使用する。
【0031】
セラミック被覆配線は、Ceramawire(786 Pitts Chapel Rd., Elizabeth City, NC 27909)とCalifornia Fine Wire(338 So. Fourth Street, Grover Beach, CA 93433-0199)から入手可能である。セラミックコーティングは、スラリーコート又はスパッタで適用でき、スパッタによるコーティングは付着性に優れ且つ厚い。
【0032】
各種セラミックポッティング材料を、一次側及び回転誘導コイルアセンブリ186,195(これらは後述する)の両方の絶縁に使用することができる。巻線192,201がコア部材190,200に短絡(導通)しないように保証することが重要である。配線に設けるセラミック絶縁に加えて、微細粒子サイズのセラミックセメントであるHセメントなどの化合物を、巻線コア190,200の絶縁下地コートとして使用することができる。巻線コア190,200の巻回後、酸化アルミニウム系セラミックセメントであるCotronics 940でポッティングすることができる。酸化に対する保護の目標は、予想される動作環境において所望の動作寿命が達成されるように、酸化速度を予定の比率で遅らせることである。
【0033】
空隙芯型変成器は、図7に示すような静止構成において使用することができる。200℃を超える温度に直面する筐体内でセンサ46,48から機械部品42,44の境界を越える不連続を形成しないように、機械又はケーシング部品42,44の間に非接触のコネクタを設けるべきである。空隙芯型変成器49,51により、機械的なコネクタを必要とせずに継ぎ目をまたぐ電気接続を提供する。破線55は、超高温の処理チャンバ(又はタービン)の内側の過酷な環境から少なくともある程度は保護された状態に部品を保つために、パージ(又は他の気体)を充満させる内部ケーシング又はパージキャビティの境界を表している。本例のケーシング42,44はケーシング構造の最外周に示してあるが、これとは別にパージ空間が回転シャフト上(のタービンブレードの根元においてなど)のライニング又はシールドとして中心の方に配置される場合もある。いずれの場合においても、その原理は、筐体内のピーク温度がパージガスを流すことで抑えられることにある。ガスタービンの通常の動作温度は約1300℃であり、センサは、エンジンの最も高温となる領域で働く可能性がある。本例に示す部品を含むテレメトリシステムは、温度が550℃を超えないと想定されるパージキャビティに取り付け可能である。
【0034】
検出又は電力用の配線を、分割されたケーシングの第1の側において第1モジュール一次コイルに案内すると共に、センサへの配線は、分割されたケーシングの第2の側に案内する。このようにして、ケーシングの継ぎ目をまたぐコネクタ又は継手を必要とすることなく、分割の両側に位置するコイルの近接によって運転中に信号及び電力のいずれか又は両方が自動的に伝送される。したがって、ケーシングの分解時に保守作業者が配線を外す必要がない。保守作業の際に機械的なコネクタをポッティングその他で接続する、あるいは切り離す必要がないので、超高温の動作環境におけるセンサ及びセンサ回路の保守において有用であり時間も節約される。
【0035】
タービンエンジンのケーシングは分割シェルである。現状の静止回路及びセンサは、ケーシングの分割をまたいで有線接続されている。各配線の接続は、ケーシングを(保守の際などに)分割するときに壊され(切断され)、ケーシングを再び閉じるときに再接続される(例えば、再び継ぎ合わせられる)。このような再接続の作業は、時間を要し、計装の信頼性を低下させる。本システムは、ケーシングのギャップを無線で越えて回路接続することができる。当該構成によれば、有線接続の回路及びセンサに邪魔されることなくケーシングを開閉することができる。本システムは、配線の再接続に起因する遅延を伴うことなく使用することができる。信頼性に影響し得る配線の再度の接合が不要である。この静止無線回路接続は、回路(センサ)素子が運転中に静止していて且つ保守のためには分離される場所において、使用することができる。
【0036】
上記のような無線接続を使用する回路例の一つが、「半受動」の回転送受信回路である。当文脈において半受動回路は、(自身で電力を発生する)完全能動回路と対比することができる。すなわち、半受動回路は、外部の供給源から誘導される電力を受け取り、当該エネルギーを(キャパシタを使用するなどで)短時間蓄え、該エネルギーをセンサを通じて処理し、そして、そのデータを読み取ってギャップを越えて送り返す。このような半受動回路及びセンサは、(RFID素子のように)開始信号を受信して即時に応答信号を返す受動センサと対比される。半受動センサ起動回路はRFID回路ではない。
【0037】
図8は、タービンエンジンのブレードの根元付近に設けられるタービン静止シール機構の一部分を示しており、二次誘導コイルアセンブリ195が、回路結合によって静止誘導コイルアセンブリ186と連絡している。単独又は複数の静止一次誘導コイル186が、燃焼タービンの運転中に回転する二次誘導コイルアセンブリ195によって描かれる弧を形成するように、1つ以上の静止シールセグメント180の内面に配置される。
【0038】
一例として、誘導コイルアセンブリ186,195のそれぞれの誘導コア190,200は、絶縁層(例えばエポキシ)を間に挟んだ複数枚の0.007インチ厚のナノ結晶構造鉄合金材料薄板で形成される。これら薄板は、長さ約11インチの弧に作り上げられている。複数枚の薄板で形成されたコア積層部アセンブリは、例えば、厚さ3/8インチ×幅3/8インチ×高さ1/2インチほどの寸法を有する。
【0039】
弓形ブラケット182にチャンネル又は溝が形成され、その中に静止一次誘導コイルアセンブリ186が固定される。一次誘導コイルアセンブリ186が金属製のブラケット182に接触することがないように、非導電性のホルダ(図示せず)を使用することができる。この非導電性ホルダは、RF透過カバー170にも使用し得るジルコニア、アルミナ、ジルコニア強化アルミナ(ZTA−強化セラミック材料)、又は他の構造用セラミック材料で製造することができる。
【0040】
一次誘導コイルアセンブリ186は、ブラケット182への取り付け領域にローブ(lobe)を形成することができる。ブラケット182における材料の該当領域は、組み込みに対応するようにわずかに大きいサイズにされた同じローブ形状に、除去される。該ローブ形状が、誘導コイルアセンブリ186を積極的に保持可能な曲率半径を画定し、誘導コイルアセンブリ186は、端からブラケット182へ組み入れて所定の位置までスライドさせることができる。ローブ形状は、積極的保持を維持可能であると同時に、誘導コイルアセンブリ186に引張応力が生じないようにする。誘導コイルアセンブリ186は、引張応力下で構造的な不具合を生じやすい比較的脆い材料で製造される。セラミックセメントを誘導コイルアセンブリ186の表面との間に塗布し、嵌め合いを確実にすると共に加熱及び冷却時の熱膨張差を吸収することができる。誘導コイルアセンブリ186のローブ状領域を覆って運転中に保持するブラケット182の各端部に、薄板(図示せず)を取り付けることができる。1つ以上のブラケットが、Inconel 625などの静止シールセグメント180と同じ合金で製造され、静止シールセグメント180の内面に合う弓形を有する。
【0041】
不連続の(断続的)溶接を使用してブラケット182を静止シールセグメント180の内面へ固定し、静止シールセグメント180のひずみを最小限にする。誘導コイルアセンブリ186は、少なくとも1つの静止コア190と、JP Technologiesが販売する「Hセメント」で固定された少なくとも1つの静止一次巻線192と、を備える。コア190,200は、積層コア部材(ビルディングブロック)を複数並べて有し、該ブロックはそれぞれ、0.007インチ厚の薄板で作られ、3/8インチ(厚さ)×3/8インチ(幅)×1/2インチ(高さ)の寸法を有する。
【0042】
1つ以上の静止一次巻線192は、高周波大電流電源により励起される。電力は、各静止誘導コイルアセンブリ186へ個別に供給するか、あるいは、一連の静止誘導コイルアセンブリ186を電気的に接続して1つの電源で駆動する。一例として、5個の静止誘導コイルアセンブリ186を隣接させ、各自の電源によって各々を駆動する。各静止一次巻線192を通って流れる電流によって、回転二次誘導コイルアセンブリ195の磁界が増強され、回転二次巻線201において電流が生じる。回転二次巻線201の電流により、無線テレメトリ送信アセンブリに含まれる無線テレメトリ送信回路に電力が供給される。
【0043】
図8は、燃焼タービン10の始動前に初期ギャップ“A”がRF透過カバー170と静止コア190との間に存在することを示している。初期ギャップ“A”は、燃焼タービンの始動時には13mmほどで、タービンブレードと静止シールセグメント180が互いに近づくときにはベース負荷において4mm程度まで減少する。ギャップ“A”は、利用可能な空間の大きさに応じて、2mmから30〜50mmまでの間に設定される。一例として、一次コイルは二次コイルの3倍のサイズである。一次コイルと二次コイルとが離れるほど効率は低くなるが、エネルギー伝達効率の低下に起因して信号が失われることなく二次コイルから一次コイルを離せる距離は、一次コア及びコイルが大きいほど延びる。
【0044】
燃焼タービン内の様々な形状に対応するために、個別の一次及び二次誘導コイルアセンブリ186,195を複数使用することができる。例えば、静止誘導コイルアセンブリ186は、回路を動作させて必要なデータを伝送するために充分な電力をシステム部品に誘導するべく、静止シールセグメント180の所定の長さに延びている必要がある場合もある。誘導コイルアセンブリ186の長さが4フィート程必要であることもある。この例の場合は、製造を容易にするために、各々が約1フィートの長さを有する4つの個別の電力/アンテナアセンブリをそれぞれのブラケット182と共に製造し、互いに隣接させて1つ以上の静止シールセグメント180に設置することができる。その個々のコイルアセンブリの端部間の間隔が充分に小さければ、複数のコイルアセンブリが長さ4フィートの単一のコイルアセンブリとして機能する。このようなコイルアセンブリは直線状要素又は湾曲要素から構成でき、これにより、用途に応じて直線状、湾曲、又は他の形状に構成された種々の長さのアセンブリを提供することができる。複数のこのようなコイルアセンブリが、タービン内の1つ以上の静止シールセグメント180の上半分において112度程度の弧に延びる場合がある。
【0045】
本発明の種々の実施形態を図示し説明してきたが、当該実施形態が例示の目的で提示されているにすぎないことは当然である。本発明から逸脱することなく、様々な派生、変更、置換が可能である。本発明は特許請求の範囲に係る思想及び範囲によってのみ特定されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
28 閉芯型変成器
30,30',30'' 一次コイル
31,31' 鋼積層体
32,32',32'' コア
34,34' 二次コイル
49 空隙芯型変成器
50 積層空隙芯型変成器
51 空隙芯型変成器
180 静止シールセグメント
182 ブラケット
186 一次側コイルアセンブリ
190 一次側コア
192 一次巻線
195 二次側コイルアセンブリ
200 二次側コア
201 二次巻線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8