(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記錠剤の位置により前記反射画像および前記透過画像のシート中央位置を算出し、該算出結果に基づいて、前記反射画像に写るシートと、前記透過画像に写るシートとのずれ量を算出し、該算出結果に基づいて前記反射画像または前記透過画像に写る異物候補の位置を補正する補正部を更に備え、
前記判定部は、前記補正部の補正結果に基づいて、前記反射画像および前記透過画像に写る異物候補の位置が所定の範囲で一致するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1記載の異物検査装置。
前記判定部は、前記異物候補と前記錠剤との色相または彩度が、所定の範囲内で一致しているか否かにより、前記異物候補と前記錠剤との色が類似しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の異物検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
先ず、本実施の形態に係る異物検査装置が組み込まれた錠剤包装システムの構成について、
図1を参照しつつ説明する。
図1に示されるように、錠剤包装システム100は、プラスチックシート搬送部110、加熱装置120、成形装置121、錠剤充填装置130、蓋シート搬送部140、シール装置150、包装シート切り出し部160、取り出し部170、錠剤検査部180、を有する。また、錠剤包装システム100は、錠剤充填装置130とシール装置150との間に異物検査装置200が組み込まれている。以下、錠剤包装システム100による錠剤の包装過程を簡単に説明する。
【0013】
透明な塩化ビニル等からなるPTPシート300は、紙部材等からなるコイルに巻き付いた状態であり、PTPシート搬送部110は、このPTPシート300を、コイルから巻き解きつつ、次の工程である加熱装置120、成形装置121へ搬送する。加熱装置120は、搬送されたPTPシート300を加熱する。形成装置121は、空圧と鋳型とを用いて、錠剤400を入れるための凹部(以後、ポケットと称する)を加熱装置120により加熱されたPTPシート300に一定間隔で形成する。なお、説明上、
図1ではポケットを省略している。ポケットが形成されたPTPシート300は、複数の搬送ローラを経由して錠剤充填装置130における錠剤400の排出口の位置まで搬送される。
【0014】
錠剤充填装置130は、その錠剤400の排出口まで搬送されたPTPシート300に形成されたポケットに錠剤ホッパー131に蓄積された錠剤400を一錠ずつ供給する。なお、本実施の形態においては、錠剤400が素錠である場合を例にとり、以後説明を行う。錠剤400が供給されたPTPシート300、具体的には、錠剤400がポケットに収納された状態にあるPTPシート300は、異物検査装置200へ搬送され、PTPシート300の上面に異物や同種物が付着しているか否かを検査する異物検査処理がなされる。なお、異物検査処理の結果は、後述する取り出し部170に用いられる。また、異物検査処理の詳細は後述する。異物検査処理がなされたPTPシート300は、シール装置150へ搬送される。
【0015】
蓋シート搬送部140は、コイルに巻かれた状態のアルミ箔等からなる蓋シート141をコイルから巻き解くと共に、シール装置150まで搬送する。シール装置150は、蓋シート141によりポケットの開口を閉塞するよう、蓋シート141と、錠剤400がポケットに収納された状態にあるPTPシート300とを接合(シール)するための加圧ローラである。これにより錠剤400を包装するPTP包装シート500が作製される。
【0016】
作製されたPTP包装シート500は、複数の搬送ローラにより錠剤検査部180の撮像区域まで搬送される。錠剤検査部180は、CCDカメラや画像処理装置等を有しており、PTP包装シート500上の所定の撮像区域を撮像し、錠剤400が確実に包装されているか否か等の不良の判定を行う。この判定結果は、後述する取り出し部170に用いられる。なお、この所定の撮像区域は、包装シート切り出し部160で切り出されるシート(ブリスターパック)ごとのサイズにより決定されることが好ましい。
【0017】
包装シート切り出し部160は、PTP包装シート500を、1つのブリスターパック中の錠剤400の数が所定の数となるように切り出し、所定の大きさのブリスターパックを作成する。取り出し部170は、切り出されたブリスターパックを取り出す。ここで、取り出し部170は、異物検査処理の検査結果や錠剤検査部180の検査結果に基づいて、不良と判定されたブリスターパックを取り除く。
【0018】
次に、本実施の形態に係る異物検査装置200の構成について
図2及び
図3を参照しつつ説明する。異物検査装置200は、
図2に示されるように、制御部210と、撮像部220と、反射用光源230と、透過用光源240と、液晶シャッター板250、位置検出器260とを有する。
【0019】
制御部210は、図示しない駆動回路等を用いて撮像部220、反射用光源230、透過用光源240、液晶シャッター板250および位置検出器260を適宜制御する。より具体的には、制御部210は、CPU(Central Processing Unit)211、メモリ212、HDD(Hard disk drive)213を有する所謂PCといった情報処理装置である。CPU211は、メモリ212上に展開されるOS(Operating System)、BIOS(Basic Input/Output System)、アプリケーション等の各種プログラムを実行し、異物検査装置200の制御を行う。メモリ212は、所謂RAM(Random Access Memory)などの揮発性のメモリであり、実行されるプログラムの作業領域や、後述する反射画像や透過画像を一時保管するバッファ領域として利用される。HDD213は、各種データを格納する記憶媒体であり、本実施の形態においては後述する粉噛検出画素数、異物検出画素数、異物検出結果等を格納する。
【0020】
撮像部220は、
図3に示されるように、錠剤400が収納された状態におけるPTPシート300の凹部301の開口を有する面(以後、上面と称する)の上方に位置するよう設けられ、凹部301を含むPTPシート300全体を撮像するものである。なお、撮像部220は、1個のブリスターパックを構成するPTPシート300の範囲を撮像範囲として撮像することが好ましい。また、このような撮像部220としては、例えばカラー画像を生成可能な3CCDカメラを用いることが好ましい。
【0021】
反射用光源230は、撮像部220の近傍に設けられ、PTPシート300の上方からPTPシート300における撮像部220の撮影範囲へ光(反射光)を照射する。一方、透過用光源240は、PTPシート300の下方に設けられ、下方から当該撮影範囲へ光(透過光)を照射する。透過光としては、赤色光が好ましい。
【0022】
液晶シャッター板250は、透過用光源240とPTPシート300との間に位置するよう設けられ、電気を通電すると遮光し、電気を遮断すると透光する特性を有する。液晶シャッター板250は、その遮光状態での表面色が、PTPシート300と同一色であり且つPTPシート300の色より濃いものを用いることが好ましい。例えば、PTPシート300が薄い灰色であれば、液晶シャッター板250の遮光状態の表面色を濃灰色とすることが好ましい。また、液晶シャッター板250は、撮像部220の撮影範囲より大きいものを用いることが好ましい。
【0023】
位置検出器260は、PTPシート300の下方から凹部301を検出するものであり、凹部301を検出する度に検出信号を図示しないカウンタへ送出する。カウンタは、複数回の検出信号が入力される度に制御部210へのタイミングを示すカウントアップ信号を送出する。なお、この検出信号の数は、ブリスターパックにおける錠剤400の個数(短手方向の個数、換言すれば、PTPシート300の搬送方向の個数)に応じて設定することが好ましい。本実施の形態においては、1つのブリスターパックにおける錠剤400の数が2×5個となるものを例にとり、説明を行う。そのため、2回の検出信号でカウントアップ信号を送出する。
【0024】
制御部210は、カウントアップ信号が入力される度に、撮像部220による撮像及び各種光源の発光を順次実行し、後述する反射画像、透過画像を得る。即ち、本実施の形態においては、PTPシート300の搬送方向に2個の錠剤分の幅をもつ画像が得られる。この画像に基づいて、異物検査処理が制御部210により実行される。なお、本実施の形態においては、カウントアップ信号はPTPシート300の搬送速度に対応して、300ms毎に出力される。
【0025】
次に、本実施の形態に係る異物検査装置200が行う異物検査処理の概要を簡単に説明する。
【0026】
図3に示されるように、錠剤400は、錠剤ホッパー131から落下する形でPTPシート300の凹部301へ供給される。このとき、錠剤ホッパー131内での錠剤400同士の接触、錠剤400と錠剤ホッパー131内壁や排出口との接触等により、錠剤400に欠損等が生じて錠剤400の同種物(例えば粉体)が飛散することがある。これが繰り返されることにより、同種物が錠剤ホッパー131や排出口等に滞留する。同種物が滞留することにより、ある程度の大きさとなった後、PTPシート300上に付着する。この状態で蓋シート141とPTPシート300とを接合すると、粉噛みの状態となる。粉噛みは異物混入と異なり、不良と判定すると歩留まりの悪化が懸念されるため、粉噛みと異物混入とを見分ける必要がある。本実施の形態に係る異物検査処理は、この粉噛みと異物混入とを見分ける処理である。
【0027】
異物検査処理では、この粉噛みと異物混入とを見分ける手法として、反射画像と透過画像とを用いる。反射画像は、反射用光源230により反射光をPTPシート300の撮像範囲へ照射した状態で、撮像部220により該撮像範囲を撮像して得られたカラー画像である。カラー画像であるため、反射画像に同種物が写っていた場合には、錠剤400とその色が類似し、異物が写っていた場合にはその色が異なる。一方、透過画像は、透過用光源240により透過光をPTPシート300の撮像範囲へ照射した状態で、撮像部220により該撮像範囲を撮像して得られたカラー画像である。透過光を下から照射しているため、錠剤400は影となり黒色に写る。また、透過画像に同種物や異物が写っていた場合も同様に影となり黒色に写る。異物検査処理は、これら反射画像と透過画像とを用い、これらに写る異物とみられる異物候補の色と位置とに基づいて、異物候補が同種物であるか異物であるかを判定する。
【0028】
例えば、
図4に示される反射画像と
図5に示される透過画像には、6つの異物候補600a〜600fが写っている。ここで、説明上、錠剤400と異物候補600a〜600dは同色、600eは異色であるとする。
図4に示されるように、異物候補600a〜600dは、反射画像において錠剤400と同色であり、透過画像における異物候補600a〜600dと同一位置にある。この場合は同種物である可能性が非常に高い。そのため、異物検査処理では異物候補600a〜600dを「粉噛み」と判定する。一方、異物候補600eは、反射画像と透過画像とで同一位置にあるが、その色が錠剤400と異なる。したがって、異物検査処理では異物候補600eを「異物」と判定する。また、透過画像に写る異物候補600fは反射画像には写っていない。これは、PTPシート300の一部やPTPシート300を巻いていたコイルの一部等、反射光により消えてしまうような同種物でないものである可能性が高い。したがって、異物検査処理では異物候補600fを「異物」と判定する。
【0029】
このように、これら反射画像と透過画像とを用い、これらに写る異物とみられる異物候補の色と位置とに基づいて、異物候補が同種物であるか異物であるかを判定することにより、精度よく同種物と異物とを見分けることが可能となる。
【0030】
次に、本実施の形態に係る異物検査装置200の機能構成を、
図6を参照しつつ説明する。
図6に示されるように、異物検査装置200は、PTPシート300の撮像範囲を撮像する撮像処理部201と、得られた反射画像、透過画像を取得する画像取得部202と、取得した各画像を画像処理する画像処理部203と、画像処理した各画像に基づく異物検査処理における各種判定処理を行う判定処理部204と、反射画像と透過画像とに写るシート位置のずれを補正する位置補正部205と、を機能として有する。これら機能は、CPU211やメモリ212等のハードウェア資源が協働することにより実現される。
【0031】
次に、前述した各機能が協働して実行する異物検査処理について、
図7を参照しつつその詳細を説明する。なお、本実施の形態に係る異物検査処理は、カウントアップ信号が入力される度に実行されるものとして説明する。
【0032】
先ず、撮像処理部201は、PTPシート300の撮像をする撮像処理を行い、反射画像及び透過画像をメモリ212といった記憶領域に格納する(S101)。具体的には、カウントアップ信号が入力されると、撮像処理部201は、反射用光源230を点灯させ、液晶シャッター板250をON状態(遮光状態)に制御し、撮像部220を駆動させてPTPシート300の撮像範囲を撮像する。撮像部220のシャッター速度は、例えば1/4000秒である。この撮像により得られた画像を反射画像として記憶領域に格納する。次いで、撮像処理部201は、反射用光源230を消灯させると共に透過用光源240を点灯させ、液晶シャッター板250をOFF状態(透光状態)に制御し、撮像部220を駆動させてPTPシート300の撮像範囲を撮像する。この撮像により得られた画像を透過画像として直前に撮像した反射画像に対応付けて記憶領域に格納する。
【0033】
撮像後、画像取得部202は、反射画像とそれに対応する透過画像とを記憶領域から取得する(S102)。取得後、画像処理部203は、反射画像および透過画像を二値化する(S103)。二値化後、判定処理部204は、先ず二値化した反射画像に異物候補(以後、反射画像における異物候補を反射異物候補と称する)が写っているか否かを判定する(S104)。具体的には、反射画像に写るシートのうち、錠剤400があるべき箇所を除いた領域に反射異物候補があるか否かを判定する。反射異物候補が写っていない場合(S104,NO)、次に判定処理部204は、二値化した透過画像に異物候補(以後、透過画像における異物候補を透過異物候補と称する)が写っているか否かを判定する(S105)。具体的には、反射画像と同様に、透過画像に写るシートのうち、錠剤400があるべき箇所を除いた領域に透過異物候補があるか否かを判定する。
【0034】
透過異物候補が写っていない場合(S105,NO)、判定処理部204は、PTPシート300には異物が無いとしてシート異物なしの判定を行い(S106)、本フローは終了となる。一方、透過異物候補が写っている場合(S105,YES)、反射画像に写らず、透過画像に写るものは粉噛みではなく異物である可能性が高いため、判定処理部204は、透過異物候補がシート不良となるような異物であるか否かを判定する第1異物判定処理を実行し(S107)、本フローは終了となる。第1異物判定処理については後述する。
【0035】
ステップS104において、反射異物候補が写っている場合(S104,YES)、判定処理部204は、ステップS105と同様に、二値化した透過画像に透過異物候補が写っているか否かを判定する(S108)。透過異物候補が写っていない場合(S108,NO)、判定処理部204は、反射異物候補がPTPシート300に付着したものではない(例えば、撮像部220のレンズの汚れや、大気を漂う埃、光の乱反射等)としてシート異物なしの判定を行い(S109)、本フローは終了となる。
【0036】
一方、透過異物候補が写っている場合(S105,YES)、位置補正部205は、位置ずれ補正処理を行い、反射画像と透過画像との異物候補の位置ずれを補正する(S110)。PTPシート300は、ステップS101の撮像処理中にも搬送されているため、反射画像と透過画像とではシートの位置が若干異なっている。したがって、反射画像と透過画像とに写る異物候補が同一のものであるのか否かが判定し難い。そのため、位置補正部205は、異物候補のずれを補正している。
【0037】
具体的には、反射画像および透過画像に写るPTPシート300のシート中央位置を、錠剤400の位置関係から算出し、反射画像のシート中央位置と透過画像のシート中央位置とのずれ量を算出する。この算出したずれ量を反射画像または透過画像の異物候補へ加算して画像を補正することにより、反射画像と透過画像とに写る異物候補の位置ずれを補正できる。位置ずれ補正後、判定処理部204は、異物候補が粉噛みであるか否か、異物候補がシート不良となるような異物であるか否かを判定する第2異物判定処理を実行し(S111)、本フローは終了となる。第2異物判定処理については後述する。
【0038】
次に、前述した第1異物判定処理について、
図8を参照しつつその詳細を説明する。先ず、判定処理部204は、透過画像に写る透過異物候補を1つ選択し(S201)、選択した透過異物候補の透過画像上の画素数が予め設定された異物検出画素数以上であるか否かを判定する(S202)。異物検出画素数は、透過異物候補が付着した状態でPTPシート300がブリスターパックとなった場合に、シート不良と判定される異物の大きさを規定したしきい値であり、予めHDD213等に格納されている。即ち、異物検出画素数は、事前にシート不良を招く異物の透過画像上での画素数を調査し、調査結果から設定される値である。シート不良を招く異物の大きさとしては、例えば0.1〜0.3mm角が挙げられ、異物検出画素数は、これに対応する画素数とすることが好ましい。
【0039】
透過異物候補の画素数が異物検出画素数以上でない場合(S202,NO)、判定処理部204は、透過異物候補がシート不良となる異物に当たらないと判定し(S203)、透過画像に写る全ての透過異物候補を選択したか否かを判定する(S204)。全ての透過異物候補を選択し終えると(S204,YES)、本フローは終了となる。一方、透過異物候補の画素数が異物検出画素数以上である場合(S202,YES)、判定処理部204は、透過異物候補がシート不良となる異物に当たると判定し(S205)、ステップS204の処理へ移行する。なお、ステップS203,S205の判定結果を異物検出結果として対象の透過画像と対応付けてHDD213に格納するようにしても良い。この異物検出結果を取得することにより、錠剤包装システム100は、取り出し部170にてブリスターパックを不良として扱うか否かを判定できる。
【0040】
次に、第2異物判定処理について、
図9および
図10を参照しつつその詳細を説明する。先ず、判定処理部204は、反射画像または透過画像に写る異物候補の1つを選択し(S301)、選択した異物候補(以後、選択異物候補と称する)が、反射画像および透過画像の2つの画像にともに存在するか否かを判定する(S302)。例えば、選択した異物候補が反射異物候補であり、透過画像に写っていないと判定されれば、この反射異物候補が、反射画像に写り且つ透過画像に写らないもの、即ち、前述したようなPTPシート300に付着したものではないと考えられる。また、選択した異物候補が透過異物候補であり、反射画像に写っていないと判定されれば、この透過異物候補が、透過画像に写り且つ反射画像に写らないもの、即ち、「異物」であると考えられる。本判定では、選択異物候補がこれらに当たるか否かを判定している。なお、存在するか否かは、選択異物候補の一定範囲内に対応する異物候補があるか否かにより判定される。例えば、反射異物候補の一定範囲内に透過異物候補がある場合や、透過異物候補の一定範囲内に反射異物候補がある場合は、選択異物候補が2つの画像に存在すると判定される。なお、この一定範囲とは、例えば0.2mmである。
【0041】
選択した異物候補が、2つの画像に存在する場合(S302,YES)、判定処理部204は、反射画像と透過画像とで選択異物候補の重心が所定の範囲で一致するか否かを判定する(S303)。言い換えると、判定処理部204は、反射異物候補と透過異物候補との位置が所定の範囲で一致しているか否かを判定している。なお、所定の範囲で一致するとしている理由は、画像処理上での位置判定であるため、重心にある程度誤差があっても重心が一致していると判定するためである。所定の範囲とは、例えば0.1mmである。
【0042】
重心が一致しない場合(S303,NO)、判定処理部204は、選択異物候補が粉噛みでなく異物であると判定し、選択異物候補の画素数が異物検出画素数以上であるか否かを判定する(S304)。選択異物候補の画素数は、反射画像または透過画像何れかの画素数でよいが、検査精度の面から見て透過異物候補の画素数を対象とすることが好ましい。また、画素数が多い異物候補を対象としてもよい。例えば、反射異物候補が選択異物候補である場合、当該反射異物候補の画素数と、当該反射異物候補と重心が異なると判定された透過異物候補の画素数とを比較し、画素数が多い異物候補を対象にして異物検出画素数の比較を行う。
【0043】
選択異物候補が異物検出画素数以上でない場合(S304,NO)、判定処理部204は、選択異物候補がシート不良(取り出し部170において不良として取り除かれるもの)の原因となるシート不良異物に当たらないと判定し(S305)、ステップS204と同様に全ての異物候補を選択したか否かを判定する(S306)。なお、ここで、重心が一致しないと判定された選択異物候補に対応する反射異物候補および透過異物候補は、既に選択されたものと判定される。これは、重複した判定を避けるためである。全ての異物候補を選択した場合(S306,YES)、本フローは終了となる。
【0044】
一方、選択異物候補が異物検出画素数以上である場合(S304,YES)、判定処理部204は、選択異物候補がシート不良異物に当たると判定し(S307)、これを異物検出結果として選択異物候補に対応付けてHDD213等に格納し、ステップS306へ移行する。
【0045】
また、重心が一致する場合(S302,YES)、判定処理部204は、選択異物候補の色が錠剤400と所定の範囲で一致するか否かを判定する(S308)。反射画像と透過画像とで異物候補の重心が一致し、且つ、錠剤400の色と異物候補の色とが同一である場合、異物候補は同種物である可能性が高い。したがって、この判定結果により、選択異物候補が粉噛みであるか否かを判定することができる。具体的には、二値化する前のカラーの反射画像における錠剤400と同種物との彩度または色相、若しくはそれらの両方により判定する。なお、二値化した反射画像の彩度または色相、若しくはそれらの両方により判定するようにしてもよい。また、彩度や色相が完全に一致するか否かで判定しても良いが、誤差を踏まえ、所定の範囲で一致するか否かを判定することが好ましい。所定の範囲としては、例えば、彩度、色相の範囲を0−255の範囲へ変換し、この範囲における±10以内である。この場合、±10以内であれば、所定の範囲で一致すると判定される。
【0046】
選択異物候補の色が一致する場合(S308,YES)、判定処理部204は、選択異物候補を「粉噛み」と判定し(S309)、選択異物候補の画素数が粉噛検出画素数以上であるか否かを判定する(S310)。粉噛検出画素数は、異物候補が付着した状態でPTPシート300がブリスターパックとなった場合に、シート不良と判定される異物の大きさを規定したしきい値であり、異物検出画素数と同様、予めHDD213等に格納されている。また、粉噛検出画素数は、事前にシート不良を招く粉噛みの画像上での画素数を調査し、調査結果から設定される。なお、「粉噛み」は「異物」と比較して多少大きいものでもシート不良としなくてもよい。即ち、粉噛検出画素数は、異物検出画素数より大きい値とすることができる。したがって、シート不良を招く粉噛みの大きさとしては、例えば0.3〜1.0mm角が挙げられ、粉噛検出画素数は、これに対応する画素数とすることが好ましい。なお、選択異物候補の画素数は、ステップS304と同様、反射画像または透過画像何れかの画素数でよいが、検査精度の面から見て透過異物候補の画素数を対象とすることが好ましい。一方、選択異物候補の色が一致しない場合(S308,NO)、選択異物候補は「異物」であると判定され、ステップS304へ移行する。
【0047】
選択異物候補が粉噛検出画素数以上でない場合(S310,NO)、判定処理部204は、選択異物候補がシート不良となる異物に当たらないと判定し(S311)、ステップS306へ移行する。一方、選択異物候補が粉噛検出画素数以上である場合(S310,YES)、判定処理部204は、選択異物候補がシート不良異物に当たると判定し(S312)、これを異物検出結果として選択異物候補に対応付けてHDD213等に格納し、ステップS306へ移行する。
【0048】
ステップS302の、2つの画像が存在するか否かの判定において、2つの画像が存在しないと判定された場合(S302,NO)、判定処理部204は、選択異物候補は反射異物候補であるか否かを判定する(S313)。選択異物候補が反射異物候補でない場合(S313,NO)、判定処理部204は、選択異物候補が粉噛みでなく「異物」であると判定し、選択異物候補の画素数が異物検出画素数以上であるか否かを判定する(S314)。
【0049】
選択異物候補が異物検出画素数以上でない場合(S314,NO)、判定処理部204は、選択異物候補がシート不良異物に当たらないと判定し(S315)、ステップS306へ移行する。一方、選択異物候補が異物検出画素数以上である場合(S314,YES)、判定処理部204は、選択異物候補がシート不良異物に当たると判定し(S316)、これを異物検出結果として選択異物候補に対応付けてHDD213等に格納し、ステップS306へ移行する。また、ステップS313において、選択異物候補が反射異物候補であると判定された場合(S313,YES)、選択異物候補がシート不良異物に当たらないと判定し(S315)、ステップS306へ移行する。
【0050】
なお、本実施の形態においては、異物検査処理にステップS101の撮像処理が含まれているが、これを必ずしも含める必要はない。既に撮影された反射画像と透過画像さえ取得できれば、異物検査処理により同種物と異物とを区別することができる。この場合、撮像部220、反射用光源230、透過用光源240、液晶シャッター板250、位置検出器260を別装置として異物検査装置200から除き、制御部210を異物検査装置200とすることができる。
【0051】
また、異物検査処理における各ステップの順序は単なる一例に過ぎず、適宜ステップを入れ替えてまたは除いて、同種物と異物とを区別できるように異物検査処理を構築してもよい。例えば、ステップS103の二値化処理後にステップS110の位置ずれ補正処理(ここでは、双方の画像に異物候補があるか否かを未だ判定していないため、算出したずれ量を何れかの画像に写るシート又は画像全体に加算する)を行い、ステップS111の第2異物判定処理へ移行することで、同種物と異物とを区別できるという効果を維持しつつ、ステップS104〜S109を除くことができる。なお、この場合、ステップS111の第2異物判定処理においては、ステップS301にて異物候補を選択できない場合(何れの画像にも異物候補が写らない場合)、シート異物なし判定がなされる。
【0052】
また、異物候補が「異物」と判定された場合、ステップS202やS304において、その色を判定し、その色に対応する異物検出画素数を選択して、異物候補がシート不良異物であるか否かを判定するようにしてもよい。即ち、異物検出画素数を予めその色に応じて複数用意しておく。このように、異物の色に基づいてその種類を特定することにより、鉄片や異種錠剤など重大な不良を招くものをより細かく判定できる。
【0053】
また、本実施の形態においては、各画像に写る異物候補を全て判定すると説明したが、最大の画素数からなる異物候補のみを選択し、画素数の判定を行うようにしてもよい。例えば、色と重心が一致する所謂「粉噛み」の異物候補のうち最大のものと、重心が一致しない又は反射画像に写らない所謂「異物」の異物候補のうち最大のものとを選択する。最大の「粉噛み」異物候補のみ画素数が粉噛検出画素数以上か否かを判定すれば、例えば、最大の「粉噛み」異物候補のみ画素数が粉噛検出画素数以上であればもはや当該画像に写るシートは「シート不良」であるため他の判定を省ける。一方、最大の「粉噛み」異物候補のみ画素数が粉噛検出画素数以上でなければ、他の「粉噛み」異物候補もその画素数が粉噛検出画素数以上でないため、「粉噛み」異物候補の判定を省ける。これは、「異物」の異物候補でも同様である。
【0054】
以上に説明した本実施の形態に係る異物検査装置200によれば、PTPシート300に付着した同種物と異物とを極めて精度よく且つ省スペースで区別することができる。したがって、錠剤400が素錠であっても、糖衣錠やフィルムコート錠と同等の感度で検査を行うことができる。また、異物検出画素数より粉噛検出画素数を大きい値としており、言い換えれば、同種物の判定基準を異物の判定基準より低く設定しているため、歩留まりの向上を実現することが可能となる。
【0055】
また、実施の形態にて述べた各種ステップを、異物検査プログラムとして、
図11に示されるような、コンピュータにより読み取り可能な可搬型の記録媒体9に記憶させ、当該記録媒体9を情報処理装置10等に読み込ませることにより、前述した機能を情報処理装置10等に実現させることができる。記録媒体9としては、例えば、光ディスク(CD−ROM、DVDディスク等)、磁気ディスク(ハードディスクドライブ等)、フラッシュメモリ、ICカード、更にネットワークを介することで伝送可能な媒体等、コンピュータで読み取りや実行が可能な全ての媒体が含まれる。
【0056】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【0057】
なお、特許請求の範囲に記載の取得部は、例えば前述の実施の形態における画像取得部202に対応し、判定部および不良異物判定部は、例えば判定処理部204に対応する。また、補正部は、例えば位置補正部205に対応する。また、第1しきい値は、例えば粉噛検出画素数に対応し、第2しきい値は、例えば異物検出画素数に対応する。