(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921708
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】二酸化炭素を皮膚に供給するパック
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20160510BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20160510BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20160510BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20160510BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20160510BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/02
A61Q19/00
A61K9/70 401
A61P17/00
A61K33/00
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-544693(P2014-544693)
(86)(22)【出願日】2013年9月30日
(86)【国際出願番号】KR2013008736
(87)【国際公開番号】WO2014069792
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2014年7月4日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0120680
(32)【優先日】2012年10月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511011665
【氏名又は名称】シーアンドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】朴 漢郁
【審査官】
岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2004/004745(WO,A1)
【文献】
特開2006−028158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/19
A61K 8/02
A61K 9/70
A61K 33/00
A61P 17/00
A61Q 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面に酸コーティング層が乾燥された粉末状に付着形成された不織布と、片面に炭酸塩コーティング層が乾燥された粉末状に付着形成された他の不織布とでなり、前記両コーティング層が対向するように重ね合わせることと共に、外側のいずれかの片面には、防水フィルムを貼付し一体に接合した構成になる二酸化炭素を皮膚に供給するパック。
【請求項2】
酸コーティング層は、精製水、または増粘剤が添加された精製水に、酸を混合した酸溶解液で塗布形成したことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素を皮膚に供給するパック。
【請求項3】
炭酸塩コーティング層は、増粘剤が混合された水溶性オイル、または増粘剤が混合された無水エタノールとポリビニルピロリドンの混合物、或いは増粘剤が混合された水溶性オイルと無水エタノール及びポリビニルピロリドンの混合物、若しくは増粘剤が混合された精製水の中で、選択した1種の混合液に炭酸塩を混合して得られる炭酸塩溶解液で塗布形成したことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素を皮膚に供給するパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚美容に効果がある二酸化炭素発生物質を含むパックに
関し、より詳しくは、
使用前まで未反応の安定状態に保持され、皮膚に貼付し加水した時に、初めて炭酸塩と酸の反応による二酸化炭素が皮膚に作用するようになっている二酸化炭素を皮膚に供給するパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から二酸化炭素を皮膚に作用させて、治療、または美容を図ろうとする製品が多様な形態に公知されている。例えば、日本特開昭62−286922号には、二酸化炭素を発生する湿布用パッチが開示されており、その構造は、炭酸と有機酸を含有する布から成り、この布を施術部位に貼付し加水することで、二酸化炭素が発生して皮膚に作用する。
【0003】
二酸化炭素は、血行を促進する効果を持っていることで知られているので、前記の湿布用パッチ以外にも、日本特開昭61−207322号に開示したように、酸性基の高分子物質でコーティングされたアスコールビン酸と、中性の水溶性高分子物質でコーティングされた炭酸塩の混合物からなる発泡性固形組成物とも公知されており、この組成物は加水により炭酸塩にコーティングされた水溶性高分子物質と、アスコールビン酸にコーティングされた酸性基の高分子物質が共に溶解されながら、炭酸塩とアスコールビン酸が互いに反応して二酸化炭素を発生するようになることであるが、固形体であるから発泡性入浴剤や、発泡性粉末飲料、菓子、コンタクトレンズ消毒用精製、トイレ等の洗浄に用いる洗剤類に適用されている。
【0004】
また、PCT公開WO1999−24043号に開示された二酸化炭素含有粘性組成物は、含水粘性組成物に気泡状の二酸化炭素を保持させたことであって、増粘剤で酸と炭酸塩との加水反応による二酸化炭素の発生量を調節して皮膚疾患の治療を図る。
【0005】
尚、日本特開2004−307513号、及び日本登録特許第3633930号には、少なくとも酸と水とを含む粘性物が主剤として含浸され不織布と、これと別に、前記不織布の粘性物と接触すると二酸化炭素を発生するように、少なくとも炭酸塩を含んでいる液状反応剤からなる二酸化炭素外用剤調剤用材料が開示されている。これは使用時に、先ず主剤の不織布を皮膚に貼り付け、次に反応剤を前記不織布に投与することで、発生する二酸化炭素が皮膚に作用されるようにしたことである。
【0006】
また、日本特開2005-225832号には、皮膚と接する面が透水性素材であり、反対面は非透水性素材であるパックの内部に、二酸化炭素含有液、或いは炭酸塩と酸の混合物を
充填しておいたのを開始しており、これは使用時皮膚に貼付し水を添加することで、パック内部から発生する二酸化炭素が水に溶解されたまま、皮膚に作用して血行促進効果を得ている。
【0007】
また、日本特開2005−89357号には、炭酸塩非水液状組成物と酸性非水液状組成物を各々区分して受納し、使用時には二つを混合し水を添加して二酸化炭素が発生するようになっている二酸化炭素供給皮膚化粧料が開示されている。
【0008】
その以外にも、韓国特許第10−0990947号には、炭酸塩と反応して二酸化炭素を発生する酸が酸性ポリマーの形態で存在することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本特開昭62−286922号公報
【特許文献2】日本特開昭61−207322号公報
【特許文献3】PCT公開WO1999−24043号公報
【特許文献4】日本特開第2004−307513号公報
【特許文献5】日本特許第3633930号公報
【特許文献6】日本特開2005−225832号公報
【特許文献7】日本特開2005−89357号公報
【特許文献8】韓国特許第10−0990947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
二酸化炭素を皮膚に作用させて、刺激を与えて治療効果や、美容効果を図ろうとする製品において、二酸化炭素は炭酸塩と酸を混合し加水して発生させる。
【0011】
炭酸塩と酸は、共に粉末化出来るから、これらを混合するのは難しくない。しかし、炭酸塩は潮解性が強い水酸化ナトリウムからえられる物質だから、大気中の湿気を吸収し溶けるので、粉末状に炭酸塩と酸とを混合しておけば、湿気をすいこんで溶ける炭酸塩が周辺の酸粉末と接して
反応を引き起こすようになると問題がある。
【0012】
そのために、上述の従来技術においては、粉末状の炭酸塩と酸は別に収納し、使用時に二つを混合し加水する方式に使用するようになっている。
【0013】
しかし、前記のような方式においても、炭酸塩の収納は外部と完全に隔離させなければ得てして大気中の湿気を吸い込んで塊になるから、長期間放置して置くほど、酸と反応出きる炭酸塩の分量が減少するようになる短所がある。そして、使用者には毎度別に収納された酸粉末と炭酸塩粉末とを混合し加水することが、煩わしく不便だという問題点もある。
【0014】
一方、内部に二酸化炭素含有液、または炭酸塩粉末と酸粉末の混合物が充電されたパックの場合は、使用時に直ぐ加水することで、
使用が簡単で便利であるが、このパックの一側面が透水性素材であり、反対側面は非透水性素材である袋状になっているから大量生産に合わない形態である。
【0015】
従って、本発明の目的は、二酸化炭素を皮膚に作用させて医療効果、または美容効果を図ることにおいて、炭酸塩と酸を共に未反応の混合状態に保持することが出来るようにして、長期間の保管にも経時変化による変質がなく、また、大量生産に適する構成になる二酸化炭素を皮膚に供給するパックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の目的を実現する本発明のパックは、片面に
乾燥された粉末状の酸コーティング層を持っている不織布と、且つ片面に
乾燥された粉末状の炭酸塩コーティング層を持っている他の不織布を、前記コーティング層が対向するように
重ね合わせると共に、外側のいずれかの片面には防水フィルムを
貼付し一体に重ねて接合した構成からなる。
【0017】
ここで、不織布の酸コーティング層は、精製水、または少量の増粘剤が混合された精製水に、酸を混合して得られる酸溶解液を塗布し乾燥させることで得られる。
【0018】
また、炭酸塩コーティング層は、少量の増粘剤が混合された水溶性オイル、または少量の増粘剤が混合された無水エタノールとポリビニルピロリドン混合物、或いは少量の増粘剤が混合された水溶性オイルと無水エタノール、ポリビニルピロリドンの混合物、若しくは少量の増粘剤が混合された精製水の中で選択した1種に、炭酸塩を混合して得られる炭酸塩溶解液を塗布し乾燥させることで得られる。
【発明の効果】
【0019】
前述した構成の本発明は、基材として不織布を使っており、その片面には酸と炭酸塩が、粉末状にコーティングされていることであるから、使う時には単に通常の美容液(エッセンス)を、または、それが含まれた通常のシート状の美容パックを施術部位に付け、その上に前記防水フィルムが外部に向こうように重ね置くことで簡便に用いられる。
【0020】
本発明のパックにおいて、二酸化炭素は、美容液に含まれている水分が、隣接された不織布に染み込むと、その間に混在されている酸粉末と、炭酸塩粉末とが溶解されながら、互い間に反応をおこすことにより発生するようになる。
【0021】
一方、前記不織布の片面が防水フィルムで塞がっているから、発生される二酸化炭素は殆ど反対側の美容液に浸した不織布を透過して被施術部位に作用するようになる。
【0022】
このように二酸化炭素が作用される間にも、本発明においては、酸と炭酸塩が被施術者の皮膚に直接触れないから、皮膚が損傷される恐れがない。
【0023】
また、酸と炭酸塩は二枚に対接された不織布の間に保持されることだから、携帯中や、保管中においても、不織布から酸粉末、または炭酸塩粉末が脱落、或は剥離されることもないから、製品の有効使用期間が長いようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に関するパックの構成を示す側断面図である。
【
図2】本発明に関するパックの製造に適した方法の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に関するパックは、
図1の示したように、外側片面には防水フィルム2が添付され、反対側面には炭酸塩コーティング層4が塗布された不織布6と、内側片面に酸コーティング層8が塗布された他の不織布10を、前記炭酸塩コーティング層4と酸コーティング層8とが
互いに貼り合わすように、二つの不織布6、10を
重ね合わせて超音波で接合した構成からなる。
【0026】
ここで、炭酸塩コーティング層6は、精製水、または少量の増粘剤が混合された精製水に炭酸塩を1:1の比率で混合させた溶解液で塗布し乾燥させることで設けられる。
【0027】
炭酸塩は、精製水に溶解した後には沈殿するために、少量の増粘剤を前記精製水に混合して、沈殿されないで均等な混合状に保持させることが望ましい。
【0028】
また、本発明に適宜の増粘剤は、特に制限されなくて、この実施例では、セルロースガムを1.5重量%程度の少量に混合したが、炭酸塩の塗布及びコーティングに別の問題は起こらない。
【0029】
尚、酸コーティング層8は、沈澱も起こらなくて水によく溶けるものから、精製水に溶かした混合液に塗布、及びコーティングし乾燥することで設けられる。
【0030】
そして、この実施例では不織布6と他の不織布10と間を、超音波で接合させているが、通常の医療用接着剤で
貼付しても良い、これは製造工程の効率性と、製造費の側面において最も望ましい。
【0031】
前述した本発明のパックにおいて、炭酸塩コーティング層4と酸コーティング層8は、塗布乾燥されて粉末状に残っていても、これらは前記不織布6と他の不織布10との間で保持されるから、脱落しても外に流失されないので、長期間保管しても品質の低下
がないのみならず、携帯時に
大切に扱わないでも良い。
【0032】
また、使用においては、施術部位に通常の美容液、または水を塗って、その上に本発明のパックを貼付すると、他の不織布10に水分が染み込みながら浸透して、両不織布6,10間の炭酸塩と酸とを溶解させることで、反応が起こして二酸化炭素が発生する。
【0033】
一方、前記不織布の片側には防水フィルム2が
貼付されているから、発生された二酸化炭素のほとんどは、前記他の不織布10を透過して皮膚に作用するようになる。
【0034】
また、本発明に関するパックは、施術し続ける間に、被施術部位が他の不織布10に被着されているから、炭酸塩成分や、酸成分等が皮膚と触らないので、皮膚損傷、或いはアレルギーなどの皮膚トラブルの恐れもない。
【0035】
前述の本発明に関するパックは、
図2の示すような製造工程で生産可能である。
不織布6は、炭酸塩溶解液が貯蔵された第1コーティング槽12を通過する時、炭酸塩コーティングロールグルーブ14を経て片面に炭酸塩溶解液がロールコーティング、またはグラビア印刷方式でコーティングされた後に、第1乾燥炉16を通過しながら乾燥されて、片面に炭酸塩コーティング層4を持っているようになる。
【0036】
また、他の不織布10も同様に、酸溶解液が貯蔵された第2コーティング槽18を通過する時、酸コーティングロールグルーブ20を経て片面に酸溶解液がロールコーティング、或いはグラビア印刷方式でコーティングされた後に、第2乾燥炉22を通過しながら乾燥されて酸コーティング層4を片面に持っているようになる。
【0037】
次に、前記不織布6の炭酸塩コーティング層4と、他に不織布10の酸コーティング層8とが対向するように、且つ通常のT−ダイ26から供給される防水フィルム2が、前記不織布6の外側、つまり、炭酸塩コーティング層4の反対側面に合わせるように供給して、超音波溶接手段24を共に通過させば、前記
図1に示したことのような構成のパックを得るようになる。
【符号の説明】
【0038】
2 防水フィルム
4 炭酸塩コーティング層
6 不織布
8 酸コーティング層
10 他の不織布
12 第1コーティング槽
14 1次コーティングロールグルーブ
16 第1乾燥炉
18 第2コーティング槽
20 第2コーティングロールグルーブ
22 第2乾燥炉
24 超音波溶接手段