特許第5921726号(P5921726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921726
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】針引き込み式安全自滅式注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/50 20060101AFI20160510BHJP
【FI】
   A61M5/50
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-559061(P2014-559061)
(86)(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公表番号】特表2015-508686(P2015-508686A)
(43)【公表日】2015年3月23日
(86)【国際出願番号】CN2013000189
(87)【国際公開番号】WO2013127258
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2014年8月28日
(31)【優先権主張番号】201220071139.1
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514218997
【氏名又は名称】王祖揚
【氏名又は名称原語表記】WANG,Zuyang
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王祖揚
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101411908(CN,A)
【文献】 中国実用新案第202105269(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第1803212(CN,A)
【文献】 中国実用新案第201076648(CN,Y)
【文献】 特表2008−528067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/50
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

針引き込み式の安全な自滅式注射器であって、バレル本体(1)を備え、前記バレル本体(1)の端部のバレルネック(2)の中には針基本体(3)が設けられており、バレル本体(1)の中にはコアロッド(8)が設けられており、コアロッド(8)の端部に近いところにはゴム栓(9)が設けられており、
前記針基本体(3)の上部はバレルネック(2)の中に置かれており、針基本体(3)の中段には弾性密封規制部(4)が形成され、針基本体(3)の下部は外側スリーブタイプ引き込みロックユニット(5)と繋がり、弾性密封規制部(4)の表面には環状緩衝隙間(6)が設けられており、環状緩衝隙間(6)の外側の弾性密封規制部(4)の外壁には環状密封規制係止部(7)が形成され、コアロッド(8)の端部には非対称弾性ロック引き込み部材(10)が設けられており、
前記バーブの下端にはベース部(11)が形成され、ベース部(11)の上部には一側に偏向する第一湾曲アーム(12)が形成され、第一湾曲アーム(12)とベース(11)との接続箇所の外側壁には内部が凹状の円弧角(13)又は斜角が形成され、同円弧角は45度〜179度であり、第一湾曲アーム(12)の下端はベース部(11)の上端と繋がり、第一湾曲アーム(12)の上端は第二湾曲アーム(14)の一側と繋がり、第二湾曲アーム(14)の他端はぶら下がっており、第一湾曲アーム(12)と第二湾曲アーム(14)との接続箇所の外側には円弧面(15)が形成され、第一湾曲アーム(12)と第二湾曲アーム(14)との接続箇所の内側には2度〜90度の内夾角(17)が形成され、第二湾曲アーム(14)のぶら下がり端と第一湾曲アーム(12)の間には幅0.5mm〜40mmの切り欠きが形成され、前記第一湾曲アーム(12)の長さは0.5mm〜50mmであり、前記第二湾曲アーム(14)の長さは0.5mm〜60mmであり、前記第二湾曲アーム(14)のぶら下がり端には刺部(21)が形成され、かつ第二湾曲アーム(14)のぶら下がり端はベース部(11)の外側縁より伸び出していることを特徴とする安全な自滅式注射器。
【請求項2】
針引き込み式の安全な自滅式注射器であって、バレル本体(1)を備え、前記バレル本体(1)の端部のバレルネック(2)の中には針基本体(3)が設けられており、バレル本体(1)の中にはコアロッド(8)が設けられており、コアロッド(8)の端部に近いところにはゴム栓(9)が設けられており、
前記針基本体(3)の上部はバレルネック(2)の中に置かれており、針基本体(3)の中段には弾性密封規制部(4)が形成され、針基本体(3)の下部は外側スリーブタイプ引き込みロックユニット(5)と繋がり、弾性密封規制部(4)の表面には環状緩衝隙間(6)が設けられており、環状緩衝隙間(6)の外側の弾性密封規制部(4)の外壁には環状密封規制係止部(7)が形成され、コアロッド(8)の端部には非対称弾性ロック引き込み部材(10)が設けられており、
前記針基本体(3)の外部壁には少なくとも一つの規制バルジループ(25)が形成され、外側スリーブタイプ引き込みロックユニット(5)の内腔の内壁には規制バルジループ(25)と嵌合する環状規制溝(26)が設けられていることを特徴とする安全な自滅式注射器。
【請求項3】
前記非対称弾性ロック引き込み部材(10)がバーブであり、
前記バーブはプラスチック材質であり、かつコアロッド(8)と一体構造となり、一次成型であるか、或いはバーブがコアロッド(8)と分離型の組立構造となることを特徴とする請求項1または2に記載の針引き込み式の安全な自滅式注射器。
【請求項4】
前記バーブの下端にはベース部(11)が形成され、ベース部(11)の上部には一側に偏向する第一湾曲アーム(12)が形成され、第一湾曲アーム(12)とベース(11)との接続箇所の外側壁には内部が凹状の円弧角(13)又は斜角が形成され、同円弧角は45度〜179度であり、第一湾曲アーム(12)の下端はベース部(11)の上端と繋がり、第一湾曲アーム(12)の上端は第二湾曲アーム(14)の一側と繋がり、第二湾曲アーム(14)の他端はぶら下がっており、第一湾曲アーム(12)と第二湾曲アーム(14)との接続箇所の外側には円弧面(15)が形成され、第一湾曲アーム(12)と第二湾曲アーム(14)との接続箇所の内側には2度〜90度の内夾角(17)が形成され、第二湾曲アーム(14)のぶら下がり端と第一湾曲アーム(12)の間には幅0.5mm〜40mmの切り欠きが形成され、前記第一湾曲アーム(12)の長さは0.5mm〜50mmであり、前記第二湾曲アーム(14)の長さは0.5mm〜60mmであり、前記第二湾曲アーム(14)のぶら下がり端には刺部(21)が形成され、かつ第二湾曲アーム(14)のぶら下がり端はベース部(11)の外側縁より伸び出していることを特徴とする請求項3に記載の針引き込み式の安全な自滅式注射器。
【請求項5】
前記コアロッド(8)には四つの十字型等角分布の補強リブ(18)が形成され、補強リブ(18)の外縁には規制折片(19)が設けられており、前記規制折片(19)と補強リブ(18)の間は少なくとも2個の接点(20)により繋がっていることを特徴とする請求項1または2に記載の針引き込み式の安全な自滅式注射器。
【請求項6】
前記環状緩衝隙間(6)は環状の溝構造であり、そのノッチから溝底までの高さは0.05mm〜4mmであり、環状緩衝隙間(6)の幅は0.05mm〜4mmであり、環状緩衝隙間(6)の外側の溝壁と環状密封規制係止部(7)の表面の弧面アーク頂点との距離は0.1mm〜6mmであり、環状緩衝隙間(6)の外側の溝壁のノッチと環状密封規制係止部(7)の外壁との距離は0.1mm〜6mmであり、環状緩衝隙間(6)の外側の溝壁の溝底と環状密封規制係止部(7)の外壁との距離は0.1mm〜6mmであり、環状密封規制係止部(7)の表面は弧面状であり、環状密封規制係止部(7)の表面のアーク頂点から弧面上縁までの距離はアーク頂点から弧面下縁までの距離より小さく、前記環状密封規制係止部(7)の下部の弾性密封規制部(4)の外壁には環状凹み(22)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の針引き込み式の安全な自滅式注射器。
【請求項7】
前記環状凹み(22)は環状緩衝隙間(6)の溝底と同じ水平面に位置するか、或いは環状緩衝隙間(6)の溝底より高いことを特徴とする請求項1または2に記載の針引き込み式の安全な自滅式注射器。
【請求項8】
前記バレル本体(1)のバレルネック(2)の外部にはバレル本体シース(23)が設置され、前記バレル本体(1)のバレルネック(2)の内壁には環状密封規制係止部(7)と嵌合する環状密封規制凹み(24)が設けられており、環状密封規制凹み(24)の深さは0.01mm〜4mmであり、環状密封規制凹み(24)の高さは0.01mm〜6mmであり、環状密封規制凹み(24)の凹みの底部は弧面状になっていることを特徴とする請求項1または2に記載の針引き込み式の安全な自滅式注射器。
【請求項9】
前記外側スリーブタイプ引き込みロックユニット(5)の内腔は中空であり、その内腔の内壁の下端の切り欠きに近いところには環状係止ロック部(27)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の針引き込み式の安全な自滅式注射器。
【請求項10】
前記環状係止ロック部(27)の上部には環状溝(28)が形成され、環状溝(28)の内側壁(29)の厚みは0.01mm〜3mmであり、環状溝(28)の内側壁が環状溝(28)の外側壁(30)と2度〜90度の夾角を形成し、環状溝(28)の内側の壁の上端に形成される内直径は1mm〜80mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の針引き込み式の安全な自滅式注射器。
【請求項11】
前記環状溝(28)のノッチ幅は溝底の幅より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の針引き込み式の安全な自滅式注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器における針引き込み式の安全な自滅式注射器に関し、特にその機械接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
参照特許文献1
特許番号:ZL200710047077.4
出願日:2007.10.16
公開番号:CN101411908
特許権者:上海頂尖堂生化科技有限公司
参照特許文献1に開示される安全な自滅式ワクチン注射器は、バレル本体を備え、バレル本体の中にはコアロッドが設けられており、コアロッドが端部に近づけるところにはゴム栓が設けられており、バレル本体のバレルネックの中には針が設けられており、針のところには針管が設けている。
そのなかで、前記コアロッド端部のロッド本体側壁には横欠けが設けられており、横欠けはコアロッド端部ロッド本体における縦欠けと繋がり、横欠けは縦欠けと嵌合している。針は上針基と下針基に嵌められており、下針基の内腔は中空であり、下針基は筒状構造であり、下針基に取り付けらてており上針基に向かう他端の切り欠の内壁には下針基の凸状リブが設けられている。コアロッド端部には横欠けと縦欠けによって繋がって形成されている弾性体が設けられている。、このコアロッドのロッド本体は一定の弾性を有している。そのうち、縦欠けは上狭下広の形状であり、横欠けの外部にある切り欠き部の上部にあるコアロッドのロッド本体の外壁はここの下部にあるコアロッドのロッド本体の外壁より突き出している。横欠けは外高内低の形状とすることが可能であり、コアロッド端部は円弧状、上針基は円柱状である。上針基の外壁の上段には補強リブが設けられており、上針基の外壁の下段には上針基を固定するバルジループが設けられており、上針基を固定するバルジループの外径は上針基の外壁の直径より0.05mm〜0.3mm大きい。
前記下針基は円柱状、その内腔は中空であり、下針基の腔の内壁には下針基の環状の固定溝が設けられており、下針基の環状の固定溝は上針基を固定するバルジループと嵌合することができる。下針基の環状の固定溝の上部にある腔の内径は上針基を固定するバルジループの上部にあるロッド本体の外壁の外径より0.1mm〜0.35mm小さい。つまり、下針基の環状の固定溝の下部にある腔の内径≦上針基を固定するバルジループの下部にあるロッド本体の外壁の外径である。下針基が針基のバルジループの他端にある外壁の端部には、下針基の環状の凸状リブが設けてられている。
前記バレル本体のバレルネックの内壁にはそれぞれバレルネック上限規制リングとバレルネック下限規制リングが設けられている。バレルネック上限規制リングとバレルネック下限規制リングの距離は0.3mm〜1.5mmであり、バレルネック上限規制リングはバレルネック上限規制リングとバレルネック下限規制リングの内壁より0.1mm〜0.6mm突き出し、バレルネック下限規制リングはバレルネック上限規制リングとバレルネック下限規制リングの内壁より0.02mm〜0.25mm突き出している。つまり、バレルネック上限規制リングの上部にあるバレル本体の内腔の内径≧バレルネック上限規制リングとバレルネック下限規制リングの間のバレル本体の内腔の内径であり、バレルネック上限規制リングとバレルネック下限規制リングの間のバレル本体の内腔の内径≦バレルネック下限規制リングの下部にあるバレル本体の内腔の内径である。バレルネック上限規制リングとバレルネック下限規制リングの間のバレル本体の内腔の内径は下針基の環状の凸状リブの外径より0.1mm〜0.5mm小さい。バレルの内腔がバレルネックに向かう他端の内壁にはバレル本体規制リブが設けており、バレル本体規制リブはリニア環状リブと数本縦リブで構成される環状リブ、及び、一本縦リブと数個の突き出しポイントで構成される環状リブにすることができる。バレル本体規制リブの下部にあるバレル本体の内壁にはバレル本体の内部の凸状リブが設けられている。つまり、バレル本体規制リブとバレル本体の内部の凸状リブの距離≧環状規制チップの厚さであり、バレル本体規制の内径は環状規制チップの直径より小さいことを特徴とする。
【0003】
参照特許文献2
特許番号:ZL200720067715.4
出願日:2007.03.08
公開番号:CN201076648
特許権者:上海頂尖堂生化科技有限公司
参照特許文献2に開示される金属フック構造付きのコアロッドは、コアロッド本体を備え、コアロッド本体の上端部には柱状ファスナーが設けられており、柱状ファスナーにはゴム栓を嵌められている。
前記ゴム栓には据付穴が設けられており、据付穴の中にバーブが設けられていることを特徴とする。
【0004】
従来の安全注射器の構造の中には、バーブを利用して針の伸縮機能を実現して、安全注射を実現しているものがあるが、バーブはほとんど金属部品またはプラスチック品を使っている。金属部品は加工が必要であり、コアロッドとの嵌合又は組立を行う必要があって、制作プロセスが複雑であり、難度が大きく、且つ安定性が良くない上に、加工工程と製造コストが増加することだけではなく、金属部品そのもの及びその組立プロセスの安全性や製品の品質などの不確定性を増やすことになる。従来のプラスチックバーブは構造的に欠陥または不完全なところがあるので、製品は使用過程に安全面での危険又は安全面での弱点が存在している。従来のプラスチックバーブの設計は、針の引き込み機能を実現できていても、使用中に針が引き込まれた後であっても正常軌跡に位置しているので、針が再度押し出されて使用者の二次損傷が生じるリスクがある。
【0005】
また、従来の単針基引き込み式の安全自滅式注射器または安全注射器には、全部に同じ難題が存在している。それは具体的に言えば次の問題をどのように解決するかということである。つまり、内針基がバレル本体と安定的に係止して、一定の強度に達して安定性の要求に適合すること、及び使いやすいように針基を引き込む時に必要なテンションが大きくてはならないことである。固い嵌合構造は内針基とバレル本体の内壁の安定的なロック効果を達成できるが、使用者の利便性のニーズを達成することがなかなか難しい。プラスチック材料そのものに内在する不安定性と環境温度変化による特性は、硬い嵌合構造の製品の安定性が悪くなることを引き起こし、生産プロセスにおける品質と精度は制御しにくく、量産を実現することができない。
【0006】
以上のように、製品の使用過程における安全性と安定性をさらに向上し、同時に加工工程を簡略化して製造コストを低減する目的を目指すように、従来の引き込み式注射器のコアロッド構造、内針基とバレル本体のロック構造に対してさらに改善を行う必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、針引き込み式自滅式注射器を提供することを目的とする。注射器の内針基と注射器のバレル本体の間は弾性緩衝機構によってお互いにロックし、緩衝隙間の変形による拡張力を利用して、両者のロックおよび脱離の効果を実現する。同弾性緩衝機構は内針基に配置されてもよく、またバレル本体の内壁に配置されてもよい。同時に、内針基とバレル本体には両方ともお互いに嵌合できる弾性緩衝係止機構を形成する。コアロッド端部には弾性機能付きの非対称ロック部品が設けられており、同ロック部品と注射器の針基の内腔は係止方式によってお互いにロックする。針基が注射器のバレル本体まで引き込まれると、非対称な弾性構造の作用力で、針基が力を受けて一側に偏向する。注射針はこれで約四十五度の方向でバレル本体の内壁の一側に倒れ、バレル本体のネック部にロックされる。従って、注射針と針基は再度バレル本体のネック部へ押し出されることができなくなり、有効に針が再度押し出されて二次損傷になることを防ぎ、注射器の安全な自滅操作を実現し、従来技術に存在する欠陥と不足を克服した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を実現するために、本発明の技術方案は針引き込み式の安全な自滅式注射器であって、バレル本体を備え、前記バレル本体の端部のバレルネックの中には針基の本体が設けられており、バレル本体の中にはコアロッドが設けられており、コアロッドの端部の近くにはゴム栓が設けられている。
前記針基本体の上部はバレルネックの中に設置され、針基本体の中段には弾性密封規制部が形成され、針基本体の下部は外側のスリーブタイプの引き込みロックユニットと繋がり、弾性密封規制部の表面には環状緩衝隙間が設けられている。環状緩衝隙間の外側の弾性密封規制部の外壁には環状密封規制係止部が形成され、コアロッドの端部には非対称弾性ロック引き込み部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明は針引き込み式の安全な自滅式注射器を開示した。その注射器のコアロッドの端部には弾性機能付きの非対称な引き込みロック部品が設けられている。非対称な構造で嵌合する弾性機能の設計は、同ロック部品がスムーズに針基の内腔に挿入することを確保でき、その弾性拡張の機能を利用することで、両側の非対称な係止部と針基の内腔の外側スリーブタイプ引き込みロックユニット部が噛み合ってロックすることを実現する。外側スリーブタイプ引き込みロックユニットが内腔に噛み合う環状溝も弾性緩衝の特性を有するので、非対称な引き込みロック部品と推進状態で接触するとき、両者とも相対的に緩衝変形を発生し、ロック部品が外側スリーブタイプ引き込みロックユニットの内腔に係止やすくなり、ロック部品を引き戻すときに外側スリーブタイプ引き込みロックユニットとお互いにロックする。針基が注射器のバレル本体の中に引き戻された後、非対称な作用力の応力環境において、針基が一側に偏向し、注射針はこれで約四十五度の方向でバレル本体の内壁の一側に倒れ、バレル本体のネック部にロックされる。従って、注射針と針基は再度バレル本体のネック部へ押し出されることができなくなり、有効に針が再度押し出されて二次損傷になることを防ぎ、確実に注射器の安全な自滅操作を実現する。本発明の実施時、前記非対称弾性引き込みロック部品はプラスチックバーブである。同プラスチックバーブは、非対称性を有する弾性体の構造が巧妙に嵌合する設計原理を採用し、特性の角度と寸法設計を適用し、バーブ本体に弾性緩衝ロック機能を有させる。上記の非対称な弾性を有する引き込みロック部品はコアロッドと一体構造を形成し、全体部品は一次成型を採用し、単独加工又は後続組立を必要とせず、有効に製造コストを低減し、組立プロセスを簡略し、組立工程を減らした。製品の使用操作は簡単であり、動作状態が安定である。コアロッド端部の非対称な弾性を有する引き込み部品が針基の内腔との間で生ずる係止ロック効果は優れており、製品の全体構造は合理的であり、巧みな構想にもとづき、普及応用しやすく、従来製品の設計と技術と比べて、設計的に目立つ技術的なブレークスルーを有し、素晴らしい安全性と実用性という特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明の構造表示図である。
【0011】
図2図2は本発明の針基の本体と外側のスリーブタイプ引き込みロックユニットの組立図である。
【0012】
図3図3は本発明のバーブの構造表示図である。
【0013】
図4図4は本発明の第一使用状態図である。
【0014】
図5図5は本発明の第二使用状態図である。
【0015】
図6図6は本発明の第三使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
本発明は、針引き込み式の安全な自滅式注射器であって、バレル本体1を備え、前記バレル本体1の端部のバレルネック2の中には針基本体3を設けており、バレル本体1の中にはコアロッド8が設けられており、コアロッド8の端部に近いところにはゴム栓9が設けられており、従来技術と違って、前記針基本体3の上部はバレルネック2の中に設置され、針基本体3の中段に弾性密封規制部4が形成され、針基本体3の下部は外側スリーブタイプ引き込みロックユニット5と繋がり、弾性密封規制部4の表面には環状緩衝隙間6を設けており、環状緩衝隙間6の外側の弾性密封規制部4の外壁には環状密封規制係止部7が形成され、コアロッド8の端部には非対称弾性ロック引き込み部材10が設けられていることを特徴とする。前記弾性密封規制部は、内針基本体とバレル本体の間に安定に噛み合う要求を達成させることができ、軽く脱離する効果も実現できる。
【0018】
上記の非対称弾性ロック引き込み部材の一側又は両側には弾性機構を形成し、かつ同非対称弾性ロック引き込み部材の一側の弾性機構の側部の外側は同非対称弾性ロック引き込み部材がロッド本体と接続する外壁より突き出すので、針部との係止ロック効果と偏向機能を確保することができる。
【0019】
具体的に実施するとき、前記非対称弾性ロック引き込み部材10はバーブであって、前記バーブはプラスチック材質、コアロッド8と一体構造になり、一次成型のものであるか、或いはバーブはコアロッド8と分離型の組立構造になる。
【0020】
具体的に実施するとき、上記バーブは、ほかの組立構造により、コアロッド端部まで組み立てることもできる。
【0021】
具体的に実施するとき、前記バーブの下端にはベース部11を形成し、ベース部11の上部には一側に偏向する第一湾曲アーム12を形成し、第一湾曲アーム12がベース部11との接続箇所の外側壁には内部が凹状の円弧角13又は斜角を形成し、同円弧角は45度〜179度である。第一湾曲アーム12の下端はベース部11の上端と繋がり、第一湾曲アーム12の上端は第二湾曲アーム14の一側と繋がり、第二湾曲アーム14の他端はぶら下がる。第一湾曲アーム12と第二湾曲アーム14との接続箇所の外側には円弧面15が形成され、第一湾曲アーム12と第二湾曲アーム14との接続箇所の内側には2度〜90度の内夾角17が形成される。第二湾曲アーム14のぶら下がり端と第一湾曲アーム12の間には幅0.5mm〜40mmの切り欠きが形成され、前記第一湾曲アーム12の長さは0.5mm〜50mmであり、前記第二湾曲アーム14の長さは0.5mm〜60mmである。このような設計構造こそが針部の係止ロック効果と偏向機能を確保することができる。
【0022】
具体的に実施するとき、前記コアロッド8には四つ十字型の等角分布の補強リブ18を形成し、補強リブ18の外縁には規制折片19を設けており、前記規制折片19と補強リブ18の間は少なくとも2個の接点20により繋がっており、注射器の組立完了後に規制折片の先端はちょうど上向きにバレル本体下端を突っ張って、注射器が使用前に外力作用を受けてコアロッドが前に移動して、注射器が予想外に廃棄されてしまうことを防止する。使用時には、ただ接点に沿って規制折片を曲げることで、それを補強リブから折ることができる。
【0023】
具体的に実施するとき、前記環状緩衝隙間6は環状の溝構造を有し、そのノッチから溝底までの高さは0.05mm〜4mmであり、環状緩衝隙間6の幅は0.05mm〜4mmであり、環状緩衝隙間6の外側の溝壁の環状密封規制係止部7の表面弧面のアーク頂点との距離は0.1mm〜6mmであり、環状緩衝隙間6の外側の溝壁のノッチの環状密封規制係止部7の外壁との距離は0.1mm〜6mmであり、環状緩衝隙間6の外側の溝壁の溝底が環状密封規制係止部7の外壁との距離は0.1mm〜6mmである。環状密封規制係止部7の表面は弧面状であり、環状密封規制係止部7の表面のアーク頂点から弧面の上縁までの距離はアーク頂点から弧面の下縁までの距離より小さく、前記環状密封規制係止部7の下部の弾性密封規制部4の外壁には環状凹み22が形成される。
【0024】
具体的に実施するとき、前記環状凹み22は環状緩衝隙間6の溝底と同じ水平面に位置し、或いは環状緩衝隙間6の溝底より高い。
【0025】
具体的に実施するとき、前記バレル本体1のバレルネック2の外部にはバレル本体シース23が嵌められている。
【0026】
具体的に実施するとき、前記バレル本体1のバレルネック2の内壁には、環状密封規制係止部7と嵌合する環状密封規制凹み24が設けられており、環状密封規制凹み24の深さは0.01mm〜4mmであり、環状密封規制凹み24の高さは0.01mm〜6mmであり、環状密封規制凹み24の凹みの底部は弧面状になる。
【0027】
具体的に実施するとき、前記針基本体3の外部壁には少なくとも一つの規制バルジループ25を形成し、外側スリーブタイプ引き込みロックユニット5の内腔の内壁には規制バルジループ25と嵌合する環状規制溝26が設けられている。
【0028】
具体的に実施するとき、前記外側スリーブタイプ引き込みロックユニット5の内腔は中空であり、その内腔の内壁の下端の切り欠きに近いところには、環状係止ロック部27が形成される。
【0029】
具体的に実施するとき、前記環状係止ロック部27の上部には環状溝28が形成され、環状溝28の内側壁29の厚みは0.01mm〜3mmであり、環状溝28の内側壁2が環状溝28の外側壁30と2度〜90度の夾角を形成し、環状溝28の内側壁の上端に形成する内直径は1mm〜80mmであり、前記環状溝28のノッチ幅は溝底の幅より大きい。
【0030】
実際に操作するとき、図3図4のように、液を吸入して注射を始め、コアロッドをゆっくりと推進し、非対称弾性ロック引き込み部材の合計幅は外側スリーブタイプ引き込みロックユニットの環状溝の内径より大きい為、両者が接触してから、非対称弾性ロック引き込み部材の一側が変形した後に、幅を狭くしてから外側スリーブタイプ引き込みロックユニットの内腔に入らせる。内腔に入ると、応力効果が失われ、非対称弾性ロック引き込み部材が元の形状に回復する。この時、注射が完了し、後ろへコアロッドを引くと、同非対称弾性ロック引き込み部材(バーブ第二湾曲アームのぶら下がり端)の側端はちょうど外側スリーブタイプ引き込みロックユニットの環状溝に挟まれて、コアロッドテンションの作用で、テンションが外側スリーブタイプ引き込みロックユニットを通して針基本体に伝導され、針基本体の弾性密封規制部の環状緩衝隙間が力を受けて変形して、環状緩衝隙間が狭くなることにつれ、環状密封規制係止部はバレル本体の環状密封規制凹みから滑り出す。最後に針部の全体がバレル本体の内腔に引き込まれて、非対称弾性ロック引き込み部材の作用で、針部は一側に偏向し、正常な位置移動軌跡を外れるので、再度バレルネックの中に組み立てることができなくなり、注射器の安全な自滅操作が実現される。
【0031】
以上が、本発明の実施形態の一例の説明であるが、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって表現された技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6